JP4613620B2 - 固体撮像装置 - Google Patents
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Description
開発当初は、MOS型イメージセンサは、画素と選択スイッチのみで構成されるパッシブ型とよばれる構造であったため、読み出される信号が微弱でノイズに対して弱いという欠点があった。しかし、CMOS集積回路と同様のプロセスで製造できるCMOSイメージセンサが開発され、CMOSプロセスに付随した微細化技術により、画素毎に増幅器を有するアクティブ型の構造が容易に作れるようになり、上述のような欠点を克服することができた。また、CMOSイメージセンサは、画素部以外の駆動回路、信号処理回路を同一チップに集積できるという特徴をもっているため、近年ではより多くの研究開発がなされている。
ところで、このようなCMOSイメージセンサでは、読み出された信号を一度サンプルホールドする際に、その読み出す回路の動作スピード不足のために、混色(カラーフィルタを有する画素において隣接する色の異なる画素に信号が混ざってしまう現象)や残像(前に読み出される同色の画素信号が本来の信号に混ざってしまう現象)が発生するという課題があった。
そこで、以下に従来の読出し方式の具体例を挙げて、その問題点を説明する。
そして、この記憶された画素信号は、スイッチ20(SW1、SW2、……)の動作によって画素毎に順次送出され、アンプ21、帰還容量22、及びスイッチ23(SW3)で構成されるスイッチトキャパシタ型積分回路で読み出され、スイッチ24(SW4)を介してサンプルホールド用の容量25に記憶される。さらに、この容量25にサンプルホールドされた信号は、スイッチ26(SW5)の動作によってバッファ27を介して後段に出力される。
まず、期間(1)では、スイッチ23がオンし、帰還容量22が初期化される。次に期間(2)では、1つのスイッチ20(SW1)がオンすると、同時にスイッチ23がオフし、スイッチ20(SW1)に対応する容量19(C1)に蓄積された電荷が帰還容量22に読み出される。その読み出された信号は、スイッチ24を介して容量25に記憶され、スイッチ26を介してバッファ27に入力される。
次に期間(3)において、スイッチ23がオンし、帰還容量22が初期化される。このときスイッチ24はオフしているため、容量25は読み出された信号を保持したままであり、その信号はバッファを介して出力され続ける(図中のV2)。
次の期間(4)において今度は次のスイッチ20(SW2)がオンすると同時にスイッチ23がオフし、スイッチ20(SW2)に対応する容量19(C2)に蓄積された電荷が帰還容量22に読み出される。その読み出された信号は、スイッチ24を介して容量25に記憶され、スイッチ26を介してバッファ27に入力される。
この後も同様の動作が順次行われ、1行分の画素信号が読み出されていく。
(非特許文献1参照)。
米本和也著CQ出版社「CCD/CMOSイメージ・センサの基礎と応用」第92頁〜第94頁
まず、図9は画素の色配列と読み出し時の行データの例を示している。図示のように、画素アレイ10にはカラーフィルタを通して画素11毎に色が分離されて信号が蓄積される。図9は一般的によく用いられるベイヤー配列の例であり、R(赤)、B(青)、Gr、Gb(緑)の4つの組み合わせを最小単位として、行、列に連続的に配置されたものである。
このような画素から1行分の信号が読み出され、列毎に配列された容量19に記憶される。記憶された信号は、スイッチ20のSW1、SW2、……と順次選択されて読み出されていく。
ここで、R、Grが連続的に配置された行が読み出された場合を考える。図10はそのタイミングチャートを示す。まず、図10の期間(1)において、アンプ21の帰還容量22が初期化され、期間(2)においてスイッチ20のSW1がオンし、R(赤)の信号が読み出される。このとき赤は出力上限(全白)までの信号量を有している。
また、これとは逆に前の信号が全黒であり、次に全白の信号が来た場合も同様に全黒の状態にひきずられてしまい、混色の問題となる。
なお、以下の説明において、上述のような読み出し回路への入力(画素信号)の変化に対し、読み出し回路の出力信号が変化するまでの動作を広義にセトリングといい、出力信号が許容可能な状態に至るまでに要する時間をセトリング時間として説明する。
図11に示す回路は、図7に示したスイッチ20及びアンプ21以降の読み出し回路を複数並列に設けることにより、1行同時に読み出された画素信号を色毎に読み出す構成としたものである。なお、図11では、2つの読み出し回路で共通する各回路要素の符号にAとBを付加して表している。
このような構成により、1つの読出し回路には同色の画素信号だけが読み出されることになり、混色の問題を回避することができる。
しかし、このような回路構成においても、残像という問題を生じてしまう。これを図12のタイミングチャートを用いて説明する。
次に期間(2)のとき、スイッチ20aのSW1がオンして白信号が読み出される。このとき問題点1と同じように、セトリング時間不足があると、本来の白信号まで出力が上がりきらない。
次に期間(3)の状態では、その上がり切っていない信号を容量25aにサンプルホールドして出力されることになる(V2)。
次に期間(4)においては、先ほど容量25aに白信号付近まで信号が押し上げられているので、アンプ21aの出力V1も白信号付近まで瞬時につられ、ここから目標値の白信号まで収束させることになるため、先ほど出力した信号より、目標値に近い信号を出力することができる。例えばセトリングされたときのアンプ21aの収束値が90%であると、全黒から全白を読み出したときには10%誤差が生じる。
次に連続して全白の信号を読み出したとき、その10%誤差をさらに10%誤差をもって収束させるため、99%まで目標の全白値に収束することになり、同じ全白を読み出しているのに出力された信号は異なってしまう。
このようにセトリング時間が十分でないと、黒信号から白信号に変化するときは、前の状態の信号が残った状態で出力されることから、出力画像に残像が生じてしまう。
なお、この問題点2も問題点1と同様に回路の動作スピードに起因したものであるので、スピードと消費電力のトレードオフの関係から簡単にスピード上げることができない。
また、複数の画素を2次元(行列)状に配置した画素アレイ部を有する構成においては、各画素信号が行単位で一時記憶手段(容量)に読み出すことにより、従来の一般的な行(水平ライン)単位の読み出し方式に容易に適用可能である。
また、画素アレイ部上にカラーフィルタを配置することにより、複数の色成分に対応して画素を設けた構成において、各画素信号を各色成分毎にサンプルホールド手段に振り分けてホールドすることで、より有効に混色を防止することが可能となる。具体的には、1行分の画素信号を一時記憶手段(容量)に記憶して画素選択スイッチ回路によって積分回路で積分し、この積分回路から出力される画素信号の積分値を入力選択スイッチにより色成分に合わせてサンプルホールド手段に振り分けてホールドし、出力選択スイッチによって合成して出力することにより、混色と残像を防止したカラー画像を出力することが可能である。
図1に示すように、本実施例においても、画素アレイ部(pix)10は、2次元(行列)方向に配置された複数の画素11より構成され、各画素11には光電変換部(フォトダイオード)12、転送トランジスタ13、増幅トランジスタ14、リセットトランジスタ15等が設けられ、フォトダイオード12によって生成された信号電荷は、増幅トランジスタ14と電流源16とのソースフォロア回路によって列毎に配置された垂直信号線に出力される。
次に、この積分回路のアンプ21の出力は、それぞれ並列に設けられた複数の入力選択スイッチ(SW11、SW13、……)24A、24B、容量(Csh1、Csh2、……)25A、25B、及び出力選択スイッチ(SW12、SW14、……)26A、26Bによって構成されるサンプルホールド回路に入力される。このサンプルホールド回路が本実施例の特徴となる部分である。
そして、出力選択スイッチ26A、26Bでは、これら2つの容量25A、25Bを1画素毎に交互に選択し、後段のバッファ27に出力し、このバッファ27で直列に合成された画素信号のサンプルホールド信号が後段の回路に出力される。
なお、図1ではサンプルホールド回路を2つの並列回路で構成した場合を示しているが、さらに3つ以上の並列回路で構成することも可能である。
図1に示す例では、一般的に用いられるベイヤー配列のカラーフィルタを採用した例であり、1行に異なる色は2種存在することから、サンプルホールド容量は2つ用意すればよいことになる。これとは別の配列をもつ場合でも、1行にもつ異なる色の数だけ、サンプルホールド容量を用意するだけで、本実施例と同様の効果を得ることができる。
まず期間(1)はアンプ21のリセット期間であり、スイッチ23がオンして帰還容量22を初期化する。次に期間(2)では、Rの信号の読出し期間となり、スイッチ24Aがオンして、容量25AにR画素信号が記憶され、期間(3)において、スイッチ24Aがオフすることで、R画素信号がサンプルホールドされる。したがって、バッファ27の出力V4にはRの画素信号が出力されている。
次の期間(4)において、今度はGrの信号が読み出され、容量25BにGr画素信号が記憶される。同時にスイッチ26Bがオンすることで、バッファ27の出力V4にはGrの信号が出力される。
このようにサンプルホールド容量が色毎に用意されているため、従来例の問題点1のように隣の異なる色信号をもつ画素信号に引きずられることがなく、混色は起きない。
次に、この原理を図3及び図4を用いて説明する。
図3は図1と同じ回路構成をしているが、図3に示す読出し回路には同色の連続した画素信号が選択されて入力される。
図4はタイミングチャートを示しており、まず、期間(1)において容量25Bには黒信号がサンプルホールドされており、スイッチ26Bがオンしていることにより、バッファ27の出力V4には黒信号が出力されている。さらに、スイッチ23がオンして帰還容量22を初期化すると同時にスイッチ24Aがオンし、容量25Aを基準電圧Vrefに初期化する。
次の期間(4)において、アンプ21には前の信号と同レベルの白信号が入力される。このときスイッチ24Aはオフし、スイッチ24Bはオンしているため、アンプ21は白信号を容量25Bに出力する。
さらに、期間(5)において、容量25Bには白信号がサンプルホールドされるが、セトリング時間の不足があると、本来の収束値よりΔV2ほど低い信号量が容量25Bにサンプルホールドされる。
しかし、このΔV2とΔV1は等しくなる。なぜなら、どちらの白信号もサンプルホールド容量を一度Vrefに初期化して信号をサンプルホールドしているから、例えばセトリングが入力信号の90%の精度であると、ΔV1とΔV2、いずれも白レベルの10%の信号量を有することになり、バッファ27のV4に出力される信号量は同じとなる。
このとき、セトリング精度の不足はあったとしても、例えばアンプ21の出力が入力の90%でセトリングされるということは、アンプ21が0.9倍のゲインを有していると考えられることから、リニアリティさえ確保できていれば、ゲインが1倍である必要がないので、ゲインは問題にはならない。例えば読出し回路が本例で示してきたスイッチトキャパシタ型積分回路で構成されている場合には、入力容量と帰還容量の比によってゲインが決まるため、セトリング不足によって生じるゲインをこの比によって補償してやることも可能である。
このようにして本実施例1では、読出し回路の動作スピードを上げることなく従来例に示した混色、残像の問題を解決することができる。
図6は本実施例の回路構成を示しており、図1と共通の構成については同一符号を付している。
本実施例2は図1に示す構成に、サンプルホールド回路の各容量25A、25Bの出力段に、出力下限値と出力上限値の中間電位Vinitを印加するスイッチ29A、29B(SW21、SW22)及びバッファ28を設けたものである。
次に期間(2)において、アンプ21に白信号が入力され、スイッチ24Aを通して容量25Aに出力される。このとき、容量25AにはVinitに初期化された状態から電荷が蓄積されていくことから、黒信号の状態から電荷を蓄積するよりも目標値への収束が早く、アンプのスルーレートを下げることも可能となるため、回路全体の消費電力も抑えることができる。また、期間(2)では、同時にスイッチ29Bがオンし、先ほど黒信号を記憶していた容量25BがVinitに初期化される。
次に、期間(3)では白信号が容量25Aにサンプルホールドされ、期間(4)ではアンプ21に白信号が入力され、容量25BにはVinitに初期化された状態から電荷が蓄積されていく。同時にスイッチ29Aがオンし、容量25Aを白信号からVinitに初期化する。
次の期間(5)では白信号が容量25Bにサンプルホールドされる。さらに次の期間(6)で黒信号が容量25Aに入力されるが、容量25Aは既に白信号の状態からVinitまで電位が初期化されていることから、アンプ21が容量25Aの電荷を黒レベルまで下げるために必要な時間がここでも短縮されることになる。
このようにして、サンプルホールド容量をアンプ出力の上限、下限の中間電位Vinitに一度初期化することで、アンプ21のスルーレートを下げることが可能となり、実施例1と同様に、残像や混色の問題を解決しつつ、低消費電力化も図ることができる。
また、実施例2によれば、画素信号のサンプルホールを行う度に、サンプルホールド容量を読出し回路の出力上限と下限の中間電位に初期化することにより、読み出し回路のスルーレートを遅くすることができ、低消費電力化が実現できる。
Claims (4)
- 複数の画素で構成される画素アレイ部と、
前記画素アレイ部から並列に読み出した複数の画素信号を一時記憶する複数の一時記憶手段と、
前記複数の一時記憶手段を順次選択し、前記複数の画素信号を共通の伝送線に直列に出力する画素選択スイッチ手段と、
前記画素選択スイッチ手段によって直列に出力された画素信号を順次積分して出力する積分回路と、
前記積分回路の積分信号を所定の周期で順次サンプルホールドし、後段の回路に出力するサンプルホールド回路とを備え、
前記積分回路は、前記画素選択スイッチ手段によって出力された画素信号を増幅する演算増幅器と、前記演算増幅器の出力信号を蓄電する帰還容量と、前記帰還容量を放電して初期化する初期化スイッチとを有し、
前記サンプルホールド回路は、前記積分回路に対して並列に設けられた少なくとも一方のサンプルホールド手段と他方のサンプルホールド手段を含む複数のサンプルホールド手段と、前記積分回路の出力信号を画素信号毎に順次選択して前記複数のサンプルホールド手段に入力する入力選択スイッチ手段と、前記複数のサンプルホールド手段の出力信号を順次選択して直列信号に合成し、後段の回路に出力する出力選択スイッチ手段とを有し、
前記入力選択スイッチ手段、前記出力選択スイッチ手段、及び前記初期化スイッチをオンオフすることにより、
前記帰還容量と一方のサンプルホールド手段を初期化し、ある画素信号を一方のサンプルホールド手段に入力する期間に、他方のサンプルホールド手段に既にホールドしていた先行する画素信号を出力し、次に、前記帰還容量と他方のサンプルホールド手段を初期化し、他方のサンプルホールド手段に後続の画素信号を入力する期間に、一方のサンプルホールド手段にホールドした画素信号を出力する固体撮像装置。 - 前記画素アレイ部は複数の画素が行列状に配置され、各画素信号が行単位で前記一時記憶手段に読み出されることを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置。
- 前記画素アレイ部は複数の色成分に対応して設けられ、前記サンプルホールド手段は各色成分に対応して複数並列に設けられていることを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置。
- 前記入力選択スイッチは画素信号の色成分に応じて前記サンプルホールド手段を選択することを特徴とする請求項3記載の固体撮像装置。
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