JP4612199B2 - 合成樹脂製容器蓋 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂製容器蓋、更に詳しくは、容器の口頸部から容器蓋を離脱することなく容器蓋の天面壁にストローを挿通せしめ、ストローを通して容器内の飲料を吸引することができる合成樹脂製容器蓋に関する。
【0002】
【従来の技術】
容器蓋を装着することによって開口が閉じられている容器に収容されている飲料、例えば乳飲料或いはコーヒ等の飲料、を飲む場合、容器から容器蓋を離脱せしめて開口を解放し、開口から直接的に飲料を飲むことを好む人と、容器蓋にストローを挿通せしめて、ストローを通して飲料を吸引することを好む人がいる。前者は主として男性であり、後者は主として女性である。かような事実に鑑みて、容器に離脱自在に装着される容器蓋の天面壁に、押圧力を加えることによって破断される破断可能ラインによって規定された開口領域を形成した容器蓋が提案され、実用に供されている。かような容器蓋においては、所望により容器から容器蓋を離脱することに代えて、開口領域にストローを当接せしめて押圧して破断可能ラインを破断せしめて開口を形成し、かかる開口を通してストローを挿通せしめれば、ストローを通して容器内の飲料を吸引することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
天面壁にストローを挿通せしめることができる形態の容器蓋においては、(1)ストローを挿通せしめるための開口を充分容易に形成することができること、(2)衛生上の見地から、ストローを挿通せしめるために破断可能ラインを破断せしめて開口を形成しても、天面壁の一部が離脱せしめられて容器内に落下することがないこと、(3)天面壁にストローを挿通せしめた時に、天面壁には容器内に空気を導入するための空気導入孔が形成されること(かような空気導入孔が形成されないと、容器内の飲料をストローを介して吸引することが実質上不可能である)、という三要件を充足することが重要である。しかしながら、本発明者等が知る限りにおいて、かかる三要件の全てを充分確実に充足する容器蓋は未だ実現されていない。
【0004】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、上記三要件の全てを充分確実に充足することができる、天面壁にストローを挿通せしめることができる形態の、新規且つ改良された合成樹脂製容器蓋を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討の結果、天面壁に破断可能薄肉ラインによって規定された所要形状の開口領域を形成し、かかる開口領域の先端縁を薄肉ラインによって規定することによって上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
【0006】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する合成樹脂製容器蓋として、天面壁と該天面壁の周縁から垂下するスカート壁とを有する合成樹脂製容器蓋において、該天面壁には、円弧状主部と該円弧状主部の両端から延在する一対の付加部とを有する破断可能薄肉ラインによって、円形主部と帯状付加部とから構成された開口領域が規定されており、該帯状付加部の先端縁は薄肉ラインによって規定されており、該破断可能薄肉ラインを破断し該帯状付加部の先端縁をヒンジとして該開口領域を下方に変位せしめることができる、ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋が提供される。
【0007】
好適実施形態においては、該帯状付加部の先端縁を規定している該薄肉ラインの肉厚D1は該破断可能薄肉ラインの肉厚D2よりも大きい。該破断可能薄肉ラインの該円弧状主部は180度を越える角度範囲に渡って延びている。該天面壁の中央部には円形沈降部が形成されており、該開口領域は該沈降部に規定されている。該破断可能薄肉ラインは該天面壁の外面にスコアを形成することによって生成されており、ストローの先端を該破断可能薄肉ラインの該円弧状主部に作用せしめることによって該破断可能薄肉ラインを破断することができる。該スコアは0.4乃至1.5mmである深さD3を有する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0009】
図1乃至図4を参照して説明すると、本発明に従って構成された全体を番号2で示す合成樹脂製容器蓋は、ポリエチレン及びポリプロピレンの如き適宜の合成樹脂から一体に成形されている。かかる容器蓋2は、円形天面壁4及びこの天面壁4の周縁から垂下するスカート壁6を有している。スカート壁6には周方向に延びる破断可能ライン8が形成されており、スカート壁6は破断可能ライン8よりも上方の主部10と破断可能ライン8よりも下方のタンパーエビデント裾部12とに区画されている。スカート壁6の内周面には下方に延びる突条14が周方向に適宜の間隔を置いて複数個(図示の場合8個)形成されており、上記破断可能ライン8は、突条14の軸線方向中間部において、スカート壁6の外周面から切断刀(図示していない)を作用せしめ、突条14の少なくとも一部を残留せしめてスカート壁6を切断することによって形成される。突条14の各々の切断されることなく残留せしめられた部分が所謂橋絡部を構成し、タンパーエビデント裾部12は橋絡部を介してスカート壁6の主部10に接続されている。
【0010】
スカート壁6の主部10の内周面には、図4から理解されるとおり、係合手段16が形成されている。係合手段16は、周方向に適宜の間隔を置いて配設され周方向に延びる複数個(図示の場合8個)の弧状突条18から構成されている。また、スカート壁6のタンパーエビデント裾部12の内周面には、係止手段20が形成されている。係止手段20は周方向に間隔を置いて配設され半径方向内方に向かって上方に傾斜して延びる複数個(図示の場合8個)の突出片22から構成されており、突出片22及び弧状突条18は周方向の大部分において交互に位置するように配設せしめられている。
【0011】
スカート壁6の主部10の外周面には、半径方向外方に突出する鍔24が形成されており、スカート壁6のタンパーエビデント裾部12の外周面には、円弧状突出部26及び摘み片28が形成されている。円弧状突出部26は半径方向外方に突出せしめられ鍔24と整合せしめられており、摘み片28は鍔24に対して略90度離隔せしめられた位置に配設せしめられ基端部30及び円弧状部32から構成されている。円弧状部32は、図3から明確に理解される如く、基端部30の端部から周方向に、スカート壁6のタンパーエビデント裾部12の外周面に沿って円弧状に延びている。摘み片28の円弧状部32の内面はスカート壁6のタンパーエビデント裾部12の外周面から離隔されているが、図3に図示する如く、円弧状部32の内面からスカート壁6のタンパーエビデント裾部12の外周面まで延びる破断可能な細い接続片34が配設されている。また、スカート壁6のタンパーエビデント裾部12には、摘み片8の基端部30の近傍において、タンパーエビデント裾部12の軸方向全幅に渡って延びるスリット36が形成されている。
【0012】
天面壁4の内面の外周縁部には、図4に図示するとおり、内側円筒状シール片38及び外側円筒状シール片40が形成されている。内側円筒状シール片38は天面壁4の内面から下方に向かって半径方向外方に若干傾斜して延出している。外側円筒状シール片40は内側円筒状シール片38から半径方向外方に所定距離離間せしめて配置されており、天面壁4の内面から実質上鉛直に下方に延出せしめられている。
【0013】
図3と共に図5を参照して説明を続けると、天面壁4は環状主部42、円形沈降部44、及び主部42と沈降部44との間に介在せしめられている円錐台筒状部46を有する。沈降部44は天面壁4の中央部に形成されている。天面壁4の沈降部44には、沈降部44の外面にスコア48を形成することによって破断可能薄肉ライン50が生成されており、この破断可能薄肉ライン50によって、開口領域52が規定されているのが望ましい。破断可能薄肉ライン50は円弧状主部54、円弧状主部54の両端から沈降部44の周縁近傍まで延在する一対の付加部56を有している。円弧状主部54は180度を越える角度範囲に渡って延びているのが好ましい。一対の付加部56は円弧状主部54の両端から離れるに従って両者間の間隔が漸次増大する形態である。開口領域52は円形主部58、帯状付加部60とから構成されている。開口領域52の帯状付加部60の先端縁は、沈降部44の外面にスコア62を形成することによって生成される円弧状に延びる薄肉ライン64によって規定されており、薄肉ライン64の肉厚D1は、破断可能薄肉ライン50の肉厚D2よりも大きいのが好適である。破断可能薄肉ライン50の肉厚D2は0.2乃至0.3mm程度でよく、薄肉ライン64の肉厚D1は破断可能薄肉ラインD2よりも0.1乃至0.2mm大きいのが好ましい。薄肉ライン64の肉厚D1が破断可能薄肉ライン50の肉厚D2と同一或いはこれよりも小さい場合には、後に詳述する如くして、ストローを挿通せしめるために、ストローの先端を破断可能薄肉ライン50の円弧状主部54に作用せしめると、破断可能薄肉ライン50と共に薄肉ライン64が破断され、開口領域52が天面壁4の沈降部44から離脱せしめられ、容器内に落下するという衛生上好ましくない事態が発生する虞がある。スコア48は0.4乃至1.5mmである深さD3を有するのが好ましい。スコア48の深さD3が過剰に浅い場合には、ストローの先端に対するスコア48の案内作用が不十分になり、破断可能薄肉ライン50の円弧状主部54にストローの先端を所要とおりに位置せしめることが困難になる傾向がある。ストロー自体は破断可能薄肉ライン50の円弧状主部54の直径と実質上同一の直径を有し、その先端縁は20乃至60度程度でよい角度で傾斜せしめられているのが好都合である。(図1を参照されたい)。
【0014】
図示の実施形態においては、更に、図1及び図3に二点鎖線で示し図2、図4及び図5に実線で示す如く、天面壁4の外面上にはシール部材67が配設されている。かかるシール部材67は天面壁4における環状主部42に剥離可動に接着され、天面壁4における沈降域44及び円錐台筒状部46を覆っている。シール部材67は、例えばアルミニウム箔と適宜の合成樹脂フィルムとの積層体、或いは所謂ガスバリア性に優れた合成樹脂フィルムの単層又は積層体から形成することができる。図示の実施形態におけるシール部材67は矩形状である。所望ならば、円形或いはその他の形状のシール部材を天面壁4上に配設することもできる。天面壁4の環状主部42に対するシール部材67の剥離可能な接着は周知の熱接着によって好都合に遂行することができる。シール部材67の周縁部の一部、例えば図3に交差線で示す領域、は天面壁4の環状主部42に対して非接着状態にせしめられているのが好都合である。シール部材67を天面壁4から離脱する際には、シール部材67の非接着領域を把持して引っ張り、かくして充分容易にシール部材67を天面壁4から剥離することができる。かようなシール部材67は天面壁4における沈降部44(後述するとおり、かかる沈降部44にはストローが挿通せしめられる)に埃等が堆積するのを防止する。そしてまた、天面壁4の沈降部44に形成されている薄肉ライン50及び6は薄肉である故に所謂ガスバリア性が比較的小さいが、シール部材67は薄肉ライン50及び6のガスバリア性を補完する。所望ならば、天面壁4における沈降部44自体の外面に直接的にシール部材を剥離可能に接着して薄肉ライン50及び6に直接的に覆うこともできる。
【0015】
図6は容器66の口頸部68に図1乃至図4に図示する容器蓋2を装着して、口頸部68を密封した状態における突出片22と容器66の係止あご部70との係合状態を図示しており、図7は容器66の口頸部68に図1乃至図4に図示する容器蓋2を装着して、口頸部68を密封した状態における弧状突条18と容器66の係止あご部70との係合状態を図示している。容器66の口頸部68は全体として略円筒形状であり、その外周面には係止あご部70が形成されている。容器66の口頸部68に容器蓋2を装着する際には、容器66の口頸部68に容器蓋2を被嵌して下方に押圧すると、容器蓋2のスカート壁6の内周面に形成されている、係止手段20、突条14及び係合手段16がそれ自体の弾性変形或いはスカート壁6の弾性変形によって係止あご部70を通過する。次いで弾性的に復元して係止手段20及び係合手段16が係止あご部70に係止乃至係合せしめられる。一方、容器蓋2の内側円筒状シール片38は容器66の口頸部68の内周面に密接せしめられて半径方向内方に撓まされ、容器蓋2の外側円筒状シール片40は容器66の口頸部68の外周面に密接せしめられて半径方向外方に撓まされ、これによって容器66の口頸部68が密封される。
【0016】
図1、図3及び図5を参照して説明を続けると、例えば乳飲料である容器66(図6及び図7)の内容物をストローを通して飲む際には、最初にシール部材67を天面壁4から離脱せしめて沈降部44を露呈せしめる。次いで、図1に二点鎖線で示す如く、ストローの先端をスコア48内に進入せしめ、破断可能薄肉ライン50の円弧状主部54に当接し押圧せしめて、ストローを下方に変位せしめると、破断可能薄肉ライン50の円弧状主部54と共に付加部56の各々が破断される。かくして、開口領域52は付加部56の先端縁をヒンジとして下方に変位され、開口領域52の主部58を通ってストローが容器66内に進入せしめられる。開口領域52の付加部56が存在していた部分は空気導入孔として機能する。開口領域52の主部58規定する、破断可能薄肉ライン50の円弧状主部54が180度を越える角度範囲に渡って延びている場合、開口領域52の主部58に挿通せしめられたストローは主部58内に拘束され、従って充分容易にストローを通して内容物を吸引することができる。
【0017】
容器66の口頸部68から容器蓋2を離脱して口頸部68を開封する際には、最初に摘み片28の円弧状部32を外方に強制して細い接続片34を破断せしめる。次いで、円弧状部32を把持して所要方向に引っ張り破断可能ライン8を破断すると、スカート壁6のタンパーエビデント裾部12が主部10から分離せしめられると共に口頸部68から離脱せしめられる。しかる後に、スカート壁6の主部10に形成されている鍔24に指を掛けて上方に強制して、係合手段16を構成する8個の弧状突条18を口頸部68の係止あご部70から弾性的に離脱せしめ、天面壁4及びスカート壁6の主部10を口頸部68から離脱せしめる。開封した口頸部68を一時的に仮密封することが望まれる場合には、タンパーエビデント裾部12が分離された容器蓋2、即ち天面壁4及びスカート壁6の主部10を口頸部68に被嵌して押圧し、係合手段16を構成する8個の弧状突条18を口頸部66の係止あご部70に再び係合せしめればよい。
【0018】
図示の容器蓋2は、スカート壁6の内周面に配設された係止手段20及び係合手段16を容器66の口頸部68に形成されている係止あご部70に係止せしめて、容器66の口頸部68に装着される形態であるが、本発明はかかる形態の容器蓋に限定されるものではなく、種々の形態の容器蓋、例えばスカート壁の内面に配設されている雌螺条を容器の口頸部に形成されている雄螺条に螺合せしめることによって容器の口頸部に装着される形態の容器蓋、にも適用することができるものである。
【0019】
【発明の効果】
本発明の容器蓋においては、(1)ストローを挿通せしめるための開口を充分容易に形成することができること、(2)衛生上の見地から、ストローを挿通せしめるために破断可能薄肉ラインを破断せしめて開口を形成しても、天面壁の一部が離脱せしめられて容器内に落下することがないこと、(3)天面壁にストローを挿通せしめた時に、天面壁には容器内に空気を導入するための空気導入孔が形成されること(かような空気導入孔が形成されないと、容器内の飲料をストローを介して吸引することが実質上不可能である)、という三要件を充足することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態を示す斜面図。
【図2】図1に示す容器蓋の正面図。
【図3】図1に示す容器蓋の上面図。
【図4】図3の線A−Aにおける断面図。
【図5】図4に示す沈降部近傍を拡大して示す部分拡大断面図。
【図6】図1に示す容器蓋を容器の口頸部に装着した状態における突出片と容器の係止あご部との係合状態を示す拡大部分断面図。
【図7】図1に示す容器蓋を容器の口頸部に装着した状態における弧状突条と容器の係止あご部との係合状態を示す拡大部分断面図。
【符号の説明】
2:容器蓋
4:天面壁
6:スカート壁
44:沈降部
48:スコア
50:破断可能薄肉ライン
52:開口領域
54:円弧状主部
56:付加部
58:円形主部
60:帯状付加部
64:薄肉ライン

Claims (6)

  1. 天面壁と該天面壁の周縁から垂下するスカート壁とを有する合成樹脂製容器蓋において、該天面壁には、円弧状主部と該円弧状主部の両端から延在する一対の付加部とを有する破断可能薄肉ラインによって、円形主部と帯状付加部とから構成された開口領域が規定されており、該帯状付加部の先端縁は薄肉ラインによって規定されており、該破断可能薄肉ラインを破断し該帯状付加部の先端縁をヒンジとして該開口領域を下方に変位せしめることができる、ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋。
  2. 該帯状付加部の先端縁を規定している該薄肉ラインの肉厚D1は該破断可能薄肉ラインの肉厚D2よりも大きい、請求項記載の合成樹脂製容器蓋。
  3. 該破断可能薄肉ラインの該円弧状主部は180度を越える角度範囲に渡って延びている、請求項1又は2に記載の合成樹脂製容器蓋。
  4. 該天面壁の中央部には円形沈降部が形成されており、該開口領域は該沈降部に規定されている、請求項1からまでのいずれかに記載の合成樹脂製容器蓋。
  5. 該破断可能薄肉ラインは該天面壁の外面にスコアを形成することによって生成されており、ストローの先端を該破断可能薄肉ラインの該円弧状主部に作用せしめることによって該破断可能薄肉ラインを破断することができる、請求項1からまでのいずれかに記載の合成樹脂製容器蓋。
  6. 該スコアは0.4乃至1.5mmである深さD3を有する、請求項記載の合成樹脂製容器蓋。
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