JP3654542B2 - 広口瓶用のキャップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、飲料用などのコップ状の広口瓶に被嵌されるキャップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コップ状の広口瓶に対するキャップとして、内面に合成樹脂製のパッキンがライニングされた瓶口閉止用のアルミ製下蓋と、この下蓋に嵌合保持される合成樹脂製の上蓋とから成るものが広く一般に普及しており、その下蓋の一つとして、瓶口を閉止する天板に、瓶口外周部の環状係止部を巻き込む係止縁部と摘み片とを設け、かつ、この摘み片の付け根部から天板の中央部にわたって二本の切れ目線を形成して成るものがある。
【0003】
そして上蓋として、天板の周縁部に筒状の周壁を垂下させると共に、この周壁の内周面に、下蓋の係止縁部に下方から係止する係止部材を形成して成るものがあり、流通の段階では、この上蓋の係止部材を下蓋の係止縁部に弾性的に嵌着させている。
【0004】
上記の下蓋の開封に際しては、二本の切れ目線に沿って、この切れ目線の間の天板部分を切り裂き、残りの天板部分すなわち2個の半円形の天板部分を左右に押し拡げるのであって、天板部分を一旦切り裂くと、これを元に戻すことは不可能であることから、例えば悪戯によって下蓋が開封された事態を一目瞭然にして知ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、開栓に際して、半円形の天板部分の先端部に指先を押し付けて、この2個の天板部分を左右に押し拡げる際に、指先に大きな痛さを覚えることは避け得ず、更に、キャップには上蓋が添えられてはいるものの、この上蓋は、それの係止部材を下蓋の係止縁部に弾性的に嵌着させる構成であって、この上蓋には瓶口を再封する機能は全くなく、従って、飲み残し飲料の持ち運びに際して、瓶口を上蓋で閉じたとしても飲料の漏れ出しは余儀ないものであって、この上蓋は単に瓶口に載せ掛けて埃よけに利用するしかなかったのである。
【0006】
また、近年では資源のリサイクル化が提唱されて、資源ゴミの分別回収が実施されつつあるが、それまではキャップが広口瓶と一体不可分にあったことから、広口瓶とアルミ製の下蓋および合成樹脂製の上蓋を一纏めにして、これらを資源ゴミとしてガラスのリサイクルルートに乗せてしまうことがあり、この内の上蓋は合成樹脂製であって、リサイクルの工程途中等で焼却できるので問題はないが、下蓋については、これがアルミ製であって、再生ガラスにアルミが混入する事態を避ける上で、下蓋を分別回収しなければならないという問題もあった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点を解決するために、本発明は、悪戯による開封の事態を一目瞭然にして知ることができるようにした上で、下蓋を安全に開封でき、しかも、飲料漏れを伴わせずに瓶口を確実に再封可能と成し、更に、再生ガラスにアルミが混入することも防止できるように、下蓋を合成樹脂製と成したのである。
【0008】
【発明の実施の形態】
即ち、本発明による広口瓶用のキャップは、瓶口の係止部に弾性的に嵌着される軟質合成樹脂製の下蓋と、この下蓋に嵌合保持される合成樹脂製の上蓋とから構成され、かつ、下蓋に脆弱な被破断部を介して筒状のスカートを備えさせて、この下蓋に上蓋嵌合凹部を形成する一方、この嵌合凹部に上蓋の周壁を嵌合保持させて成るものである。
【0009】
【実施例】
以下、本発明にかゝる広口瓶用キャップの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は外周部に環状の係止部1が形成された広口瓶Aの瓶口2を封着するキャップ3を示し、この広口瓶用のキャップ3は、図2,3にも示すように、瓶口2に弾性的に嵌着される軟質合成樹脂製の下蓋4と、この下蓋4に嵌合保持される合成樹脂製の上蓋5とから成る。
【0010】
下蓋4は、例えばポリエチレン(PE)やエチレンビニルアセテート(EVA)などの軟質の合成樹脂製であって、凹凸面部aが縮径方向に弾性変形して瓶口2の内周面に密接される下蓋周壁6と、この周壁6の内周面に連設されて瓶口2を閉止する縦断面形状が山形の天板7と、周壁6の上端から外方に向けて延設されて瓶口2の天面2aに着座する外周フランジ8と、この外周フランジ8の周縁部から垂下されて口部外面に相対峙する筒状部材9と、この筒状部材9の内面側に膨出されて瓶口2の環状係止部1に下方から係止する係止部材10と、脆弱な被破断部11を介して前記筒状部材9の下端側に連設され且つ周方向の一部には断面極小なるブリッジによる破断開始部bが形成されて、前記筒状部材9との間に上蓋嵌合凹部Bを形成する筒状のスカート12とから構成されている。
【0011】
そして、前記スカート12の下端縁を瓶口肩部2bに当接させて、スカート内部への埃の侵入を防止できるようにし、かつ、前記スカート12の破断開始部bの近傍に破断開始用の摘み片13を連設して、スカート12の破断開始の容易化を図り、更に、この摘み片13の外面部に、開封手順を明示するための折れ曲がり矢印cを付してある。
【0012】
尚、この実施例では、筒状部材9の周方向に所定の間隔を隔ててスリットを形成して、このスリット間の断面極小なるブリッジよって被破断部11を構成しているが、スリットに代えてスカート12の連設部位を薄肉にして、被破断部11を所謂スコアによって構成してもよい。
【0013】
上蓋5は、例えばポリプロピレン(PP)やポリスチレン(PS)などの比較的硬質の合成樹脂製であって、中央部をやゝ凹入させた上蓋天板14と、この天板14の周縁部から垂下されて前記下蓋4の嵌合凹部Bに差し込まれる上蓋周壁15と、この周壁15の外周面に膨出されて前記スカート12の係止部16に下方から係止する係止部材17と、上蓋天板14から垂下されて下蓋4の外周フランジ8に相対峙するフランジ押圧部材18と、同じく上蓋天板14から垂下されて下蓋4の山形天板7の頂点部に相対峙する天板押圧部材19とから構成され、かつ、フランジ押圧部材18と天板押圧部材19とにわたって、天板中心まわりに補強用のリブ20を放射状に連設すると共に、上蓋天板14の周縁部には、上蓋天板上に積み重ねられる広口瓶Aの瓶底嵌合部21を膨出させている。
【0014】
尚、図3に示すように、前記下蓋4の山形天板7と外周フランジ8との上面を自由状態でほゞ面一にする一方、前記天板押圧部材19の垂下寸法をフランジ押圧部材18の垂下寸法よりも大きくして、図1に示すように、上蓋周壁15の係止部材17をスカート12の係止部16に係止させた状態で、前記外周フランジ8をフランジ押圧部材18と瓶口天面2aとで挟着し、かつ、前記天板押圧部材19によって山形天板7の頂点部を押圧させて、その山形天板7の突っ張り作用によって下蓋周壁6を瓶口内周面に押圧させるようにしている。
【0015】
上記のように構成された広口瓶用のキャップ3によれば、下蓋4の嵌合凹部Bに上蓋5の周壁15を嵌合させ、かつ、その上蓋5の係止部材17を下蓋4の係止部16に係止させて、下蓋4と上蓋5とを予め一体化させた状態で、周壁6と外周フランジ8と筒状部材9とによる瓶口嵌合凹部Cを広口瓶Aの瓶口2に被せ、かつ上蓋5を押圧して、瓶口2の係止部1に下蓋4の係止部材10を係止させることで瓶口2が封着される。
或いは、下蓋4と上蓋5とを予め一体化させずに、先ずは下蓋4の瓶口嵌合凹部Cを広口瓶Aの瓶口2に被せて下蓋4を押圧し、この下蓋4の係止部材10を瓶口2の係止部1に係止させて後に、下蓋4の嵌合凹部Bに上蓋5の周壁15を嵌合保持させる封着形態をとることもできる。
【0016】
かゝるキャップ3による瓶口2の封着状態では、下蓋4の周壁6が縮径方向に弾性変形して瓶口2の内周面に密接され、かつ、下蓋4の外周フランジ8がフランジ押圧部材18と瓶口天面2aとで挟着され、更に加えて、天板押圧部材19によって山形天板7の頂点部が押圧されて、その山形天板7の突っ張りの作用で下蓋周壁6が瓶口内周面に押圧されることで、瓶口2に対する下蓋4のシール性が高く保持される。
【0017】
開封に際しては、折れ曲がり矢印cに従って摘み片13を引っ張り、破断開始部bを引き千切って、更に脆弱な被破断部11を破断し、スカート12を引き剥がしてしまうのである。
このようにしてスカート12を引き剥がすことで、下蓋4に対する上蓋5の嵌合保持が解除されるのであって、かゝるスカート12の引き剥がし状態では、上蓋5は単に下蓋4の筒状部材9に被さっているだけであり、この上蓋5を取り外した状態を図4に示しているが、ユーザーが商品を手にした状態で、かゝるスカート引き剥がしの事態を目にしたならば、既に悪戯などによって商品が開封されたことを一目瞭然にして知ることができる。
【0018】
下蓋4の開封は、例えば広口瓶Aを手にして、親指で下蓋4の筒状部材9を突き上げるように力を加えることで行われるが、その下蓋4が軟質の合成樹脂製であることから、指先に痛さを覚えることなく、安全かつ簡易に下蓋4を開封することができる。
そして、この下蓋4は、本来的に瓶口2に弾性的に嵌着されるものであることから、飲料の飲みかけ途中において、図5に示すように、瓶口2を下蓋4によって密閉するように再封することが容易に可能であり、埃よけはもとより、飲み残し飲料の持ち運びや保管時の横倒し等に際しての飲料の漏れ出しを確実に防止できる。
【0019】
上記のように構成されたキャップ3にあっては、広口瓶Aと一体不可分である下蓋4と上蓋5とが合成樹脂製であることから、これらを一纏めにして、これを資源ゴミとしてガラスのリサイクルルートに乗せたとしても、従来のように、再生ガラスにアルミが混入する事態が確実に解消される。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかゝる広口瓶用のキャップによれば、悪戯などによる開封の事態を一目瞭然にして知ることができ、かつ、下蓋を軟質の合成樹脂製と成して、この下蓋を弾性的に瓶口に嵌着させるようにしたことで、瓶口を安全に且つ再封可能に開封できるようになり、しかも、キャップ全体を合成樹脂製としたことで、ガラス資源のリサイクル化に際して、再生ガラスにアルミが混入する事態を一切懸念せずに済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】瓶口を封着したキャップの断面図である。
【図2】広口瓶と共に示すキャップの分解斜視図である。
【図3】広口瓶と共に示すキャップの分解断面図である。
【図4】スカートを引き剥がして上蓋を開封させた状態を示す斜視図である。
【図5】下蓋による瓶口の再封状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1…瓶口係止部、2…瓶口、2a…瓶口天面、2b…瓶口肩部、4…下蓋、5…上蓋、6…下蓋周壁、7…山形天板、8…外周フランジ、9…筒状部材、10…下蓋係止部材、11…被破断部、12…スカート、13…摘み片、14…上蓋天板、15…上蓋周壁、16…係止部、17…上蓋係止部材、18…フランジ押圧部材、19…天板押圧部材、20…リブ、21…瓶底嵌合部、B…上蓋嵌合凹部、b…破断開始部。
Claims (5)
- 外周部に環状の係止部が形成された広口瓶用のキャップであって、瓶口に弾性的に嵌着される軟質合成樹脂製の下蓋と、この下蓋に嵌合保持される合成樹脂製の上蓋とから成り、前記下蓋が、縮径方向に弾性変形して瓶口の内周面に密接される周壁と、この周壁の内周面に連設されて瓶口を閉止する縦断面形状が山形の天板と、周壁の上端から外方に向けて延設されて瓶口の天面に着座する外周フランジと、この外周フランジの周縁部から垂下されて口部外面に相対峙する筒状部材と、この筒状部材の内面側に膨出されて瓶口の環状係止部に下方から係止する係止部材と、脆弱な被破断部を介して前記筒状部材の下端側に連設され且つ周方向の一部には破断開始部が形成されて、前記筒状部材との間に上蓋嵌合凹部を形成する筒状のスカートとから構成され、前記上蓋が、上蓋天板の周縁部から垂下されて前記下蓋の嵌合凹部に差し込まれる上蓋周壁と、この周壁の外周面に膨出されて前記スカートの係止部に下方から係止する上蓋係止部材と、上蓋天板から垂下されて外周フランジに相対峙するフランジ押圧部材と、上蓋天板から垂下されて前記山形天板の頂点部に相対峙する天板押圧部材とから構成され、かつ、前記嵌合凹部内への上蓋の嵌合係止下において、前記フランジ押圧部材と瓶口天面とによって外周フランジを挟着させると共に、前記天板押圧部材によって前記山形天板の頂点部を押圧させるようにしてあることを特徴とする広口瓶用のキャップ。
- 前記フランジ押圧部材と天板押圧部材とにわたって、天板中心まわりに放射状にリブを連設してある請求項1に記載された広口瓶用のキャップ。
- 前記スカートの下端縁を瓶口肩部に当接させるように構成してある請求項1または2に記載された広口瓶用のキャップ。
- 前記スカートの破断開始部の近傍に、破断開始用の摘み片を連設してある請求項1乃至3のいずれかに記載された広口瓶用のキャップ。
- 前記上蓋天板の周縁部に、上蓋天板上に積み重ねられる広口瓶の瓶底嵌合部を膨出させてある請求項1乃至4のいずれかに記載された広口瓶用のキャップ。
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