JP4611261B2 - コート剤およびその用途 - Google Patents

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本発明は、フィルムや紙などの表面をコートするコート剤およびその表面をコートしたコートフィルムやコート紙に関するものである。
フィルムや紙の各種強度、印刷適正、印刷物の外観などの紙物性を向上させるため、その表面にポリビニルアルコール(以下、PVAと称す)、ポリアクリルアミド、澱粉などのコート剤を塗布する技術が知られている。特に、PVAは、フィルムや紙の強度向上効果が高く使い易いため、単独で使用されたり、他の樹脂と併用したりして多く使用されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−55892号公報
PVAをコート剤として使用したコートフィルムやコート紙は、通常の使用においてはなんら問題が無いが、PVAが水溶性の樹脂であるためコート層の耐水性を向上させることが望まれていた。また、プラスチックフィルムの表面をPVAでコートしたコートフィルムをインクジェット記録用媒体として利用した際、特に黒色インクを印刷した場合には、環境によって印刷表面にひび割れが生じてしまう場合があった。
本発明は、フィルムや紙などの表面をコートするコート剤であって、コート層の耐水性を向上させ、印刷表面のひび割れを低減させたコート剤およびこのコート剤で表面をコートしたコートフィルムやコート紙を提供することを課題とする。
すなわち本発明は、分子主鎖中に一般式(化3)で表される結合単位を含有する変性PVAと、ラジカル重合開始剤とを有するコート剤である。
Figure 0004611261
(式中、X1とX2は、炭素数1〜12の低級アルキル基、水素原子または金属塩を表す。gは、0〜3の整数を表す。hは、0〜12の整数を表す。Y1は、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸金属塩または水素原子を表す。)
変性PVAは、0.2質量%の、水溶液、メタノール溶液または水メタノール混合溶液の紫外線吸収スペクトルによる270nmの吸光度が、0.05以上のものであるもの、一般式(化4)で表される不飽和二重結合由来の紫外線吸収スペクトルのピークトップが、265〜275nmの間にあるものであること、けん化度60.0〜99.9モル%のものであることが好ましい。
Figure 0004611261
ラジカル重合開始剤は、変性PVA100質量部に対して、0.01〜10質量部配合されていることが好ましい。
コート剤は、紙やフィルムの少なくとも一方の面に塗布し、コート剤が乾燥する前にラジカルを発生させてコート剤中の変性ポリビニルアルコールを架橋させることが好ましい。
本発明では、コート層の耐水性を向上させ、印刷表面のひび割れを低減させることのできるコート剤およびこのコート剤で表面をコートしたコートフィルムやコート紙が得られる。
変性PVAは、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとビニルエステル単位を有するモノマーとを共重合させた後に、ケン化、洗浄および乾燥させて得られるものであり、その主鎖にカルボキシル基を起点とする不飽和二重結合をランダムに導入させたものである。
エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、一般式(化5)で表されるものを好適に使用出来る。
Figure 0004611261
(式中、X3とX4は、炭素数1〜12の低級アルキル基または水素原子を表す。iは、0〜12の整数を表す。Y2は、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸金属塩または水素原子を表す。)
これらモノマーとしては、特に限定するものではないが、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル等がある。
エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、一般式(化6)で表されるモノマーも好適に使用出来る。
Figure 0004611261
(式中、X5とX6は、炭素数1〜12の低級アルキル基または水素原子を表す。jは、0〜12の整数を表す。Y3は、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸金属塩または水素原子を表す。)
これらモノマーとしては、特に限定するものではないが、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、シトラコン酸ジメチル等がある。
エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、一般式(化7)で表されるモノマーも好適に使用出来る。
Figure 0004611261
(式中、kは、0〜12の整数を表す。Y4は、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸金属塩または水素原子を表す。)
これらモノマーとしては、特に限定するものではないが、例えば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等がある。
エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーの含有量(共重合量)は、特に限定するものではないが、重合させる全モノマーのうち0.1〜50モル%の範囲、好ましくは0.1〜10モル%の範囲とすると、得られる変性PVAの分子内の不飽和二重結合量と水溶性のバランスが良くなるため好ましい。
ビニルエステル単位を有するモノマーとしては、特に限定するものではないが、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサティック酸ビニル等がある。これらの中でも、酢酸ビニルを使用すると、重合がより安定して行えるため好ましい。
変性PVAは、必要に応じて、これらのモノマーと共重合可能なモノマーを共重合させたものでもよい。共重合可能なモノマーとしては、特に限定するものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フタル酸、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和酸類、またはその塩類、または炭素数1〜18のモノアルキルエステル類もしくはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩などのアクリルアミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩などのメタクリルアミド類、炭素数1〜18のアルキル鎖長を有するアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類、トリメトキシビニルシランなどのビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール等のアリル化合物、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物、酢酸イソプロペニル等がある。これら共重合可能なモノマーの含有量(共重合量)は、特に限定するものではないが、重合させる全モノマーのうち0.001〜20モル%の範囲が好ましい。
変性PVAの数平均分子量(以下Mnと略記する。)は、特に限定するものではないが、変性PVAとして一般的な1900〜66500の範囲がよく、3800〜28500の範囲とすると、水溶性と保護コロイド性のバランスを向上させることができるため好ましい。
モノマーの重合方法は、公知の重合方法を用いることができ、特に限定するものではないが、通常は、メタノール、エタノールあるいはイソプロピルアルコールなどのアルコールを溶媒とする溶液重合が行なわれ、バルク重合、乳化重合、懸濁重合を行なうことも可能である。溶液重合においては、連続重合でもバッチ重合でもよい。重合させるモノマーは、一括でも分割して仕込んでもよい。重合させるモノマーを分割して仕込む場合は、連続的にまたは断続的に仕込んでもよい。溶液重合の重合反応温度は、通常30℃〜90℃程度の範囲から選択される。
溶液重合において使用する重合開始剤は、公知のラジカル重合開始剤を使用することができ、特に限定するものではないが、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルパレロニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルパレロニトリル)等のアゾ化合物、アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート等の過酸化物、ジイソプピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合物、t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート等のパーエステル化合物、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスメトキシバレロニトリルなどがある。
ケン化は、モノマーを共重合させて得られた共重合体をアルコールに溶解し、アルカリ触媒又は酸触媒の存在下で分子中のエステルを加水分解する作業である。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール等がある。アルコール中の共重合体の濃度は、特に限定するものではないが、10〜80重量%の範囲から選ばれる。
アルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物や、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルコラートを用いることができる。酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸水溶液や、p−トルエンスルホン酸等の有機酸を用いることができる。これら触媒の使用量は、共重合体に対して1〜100ミリモル当量にすることがよい。
ケン化温度は、特に限定するものではないが、10〜70℃、好ましくは30〜40℃の範囲がよい。反応時間は、特に限定するものではないが、30分〜3時間にわたって行われる。
変性PVAの吸光度は、特に限定するものではないが、0.2質量%の、水溶液、メタノール溶液または水メタノール混合溶液の紫外線吸収スペクトルによる270nmの吸光度が、0.05以上のものが好ましい。この吸光度は、ケン化工程において使用する触媒の量、ケン化時間、ケン化温度を変更することによって任意の値に調整することができる。
ここで、紫外線吸収スペクトルの帰属については、特開2004−250695公報等に、215nmの吸収はPVA中の−CO−CH=CH−の構造に帰属し、280nmの吸収はPVA中の−CO−(CH=CH)2−の構造に帰属し、320nmの吸収はPVA中の−CO−(CH=CH)3−の構造に帰属に関するという記載がある。
一般的なアルデヒド類を連鎖移動剤として用いたPVAの不飽和二重結合の二連鎖構造(−CO−(CH=CH)2−)由来の紫外線吸収スペクトルは、280nm近傍にピークトップがくるが、本発明の変性PVAは、一般式(化8)の構造に由来し270nm中心で265〜275nmの範囲に含まれるピークトップを有するものである。
Figure 0004611261
変性PVAのケン化度は、特に限定するものではないが、60.0〜99.9モル%の範囲にすると十分な不飽和二重結合を生成させることができて好ましい。
ラジカル重合開始剤は、熱や放射線等を受けてラジカルを発生させて変性PVAを架橋させるために配合する化合物であり、特に限定するものではないが、例えば、過酸化物系重合開始剤、アゾ系重合開始剤、ヒドロペルオキシド、ペルエステル、過酸、レドックス系重合開始剤、光重合開始剤等を用いることができる。
過酸化物系重合開始剤としては過酸化ベンゾイル、アゾ系重合開始剤としてはアゾイソブチロニトリルやα, α'-アゾビスイソバレロニトリル、光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等のベンゾイン系、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、β−クロールアンスラキノン及び、α-ヒドロキシケトン等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は、2種類以上を併用することもできる。
ラジカル重合開始剤の配合量は、特に限定するものではないが、変性PVA100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲とすると、変性PVAを十分に架橋させることができるため好ましい。
コート剤は、インクの吸収性や印刷した画像の鮮明性を向上させるために白色顔料を添加してもよい。白色顔料としては、例えば、シリカ、クレー、タルク、ケイソウ土、ゼオライト、炭酸カルシウム、酸化チタン、サチンホワイト、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、酸化亜鉛等があり、これらを併用することもできる。これらの中でも高吸油量かつ高比表面積を有する2次粒子径が1〜5μの粒子を主成分とする微粉末シリカが最も好適に用いられる。
白色顔料は、変性PVA100質量部に対して30〜80質量部の範囲で使用することが好ましい。画像の鮮明性は白色顔料の充填量が多いほど良くなるが、塗工層の表面強度が弱くなるため塗工層が剥離したり鉛筆筆記性が悪くなったりする傾向がある。このため、白色顔料を高充填する場合には、顔料に対して強い結合力を有するシラノール変性PVAを変性PVAと併用することが好ましい。シラノール変性PVAは、ケイ素を含有するビニル化合物と酢酸ビニルを共重合させた後ケン化することにより得られる。(特開昭58−59203号公報参照) シラノール変性PVAは、変性PVA中に10〜50質量%の範囲で含有させると塗工層の表面強度の向上効果および画像の鮮明性をより向上できるため好ましい。
コート剤は、画像の鮮明性や塗工層の表面強度等を損なわない範囲で、他の水溶性または水分散性樹脂を添加してもよい。水溶性または水分散性樹脂としては、特に限定するものではないが、例えば、汎用のPVA、澱粉およびその誘導体、ゼラチン、カゼイン、アラビヤゴム、メチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドンおよびその共重合体、ポリアクリル酸ソーダ等のアニオン系水溶性樹脂等の水溶性樹脂、SBRラテックス、NBRラテックス、酢酸ビニルエマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、(メタ)アクリル酸エステルエマルジョン、塩化ビニルエマルジョン等の水分散性樹脂がある。また、被記録媒体の静電気を押さえる目的で無機電解質、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム等を添加してもよい。
コート剤を被覆するフィルムや紙は、特に限定するものではなく、普通紙、板紙及びこれらの加工紙、パルプと各種ポリマーの混合物、あるいはポリマーのみのフィルムもしくはシート等がある。特に、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリイミド、セロハン、セルロイド等のプラスチックフィルムであってもよい。
フィルムや紙にコート剤を被覆する方法は、通常のコーティング方法によって行えばよく、サイズプレス、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、ブレードコーター等によって、コート剤を支持体中に含浸する方法や支持体の上表面あるいは上表面と下表面にコート層を形成する方法などがある。
コート剤の塗工量は、フィルムを被覆する場合は通常1〜100g/mの範囲であり、紙を被服する場合は通常0.1〜10g/mの範囲である。塗工液の濃度は、塗工する装置・操作条件等に応じて任意に選択される。
コートフィルムやコート紙は、コート剤をその表面に塗布した後に、ラジカルを発生させてコート剤中の変性PVAを架橋させて得られるものである。ラジカルを発生させる方法としては、特に限定するものではないが、放射線を照射する方法やコート剤を加熱する方法があり、放射線を照射する方法が機器の取り扱いが容易であるため好適に用いられる。
放射線の光源は、特に限定するものではないが、例えば、紫外線、α線、β線、γ線、及び電子線等が使用できる。紫外線源としては、ブラックライト、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が使用できる。α線、β線、γ線、電子線の線源としては、ラジオアイソトープ(Co60等)等が使用できる。
コート剤に照射する放射線の照射強度は、特に限定するものではないが、コート剤中の変性PVAを十分に架橋させるため、0.1〜40mW/cmが好ましく、1〜20mW/cmがより好ましい。
以下、本発明について実施例を挙げて更に詳しく説明する。
尚、特に断りがない限り、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」を意味する。
実施例1
〈変性PVAの製造〉
酢酸ビニル17部、メタノール14部、マレイン酸ジメチル0.023部及び酢酸ビニルに対して0.10%のアゾビスイソブチロニトリルを重合缶に仕込み、窒素置換後加熱して沸点まで昇温し、更に、酢酸ビニル6部、メタノール5部及びマレイン酸ジメチル0.207部の混合液を重合率75%に達するまで連続的に添加して重合させ、重合率90%に達した時点で重合を停止した。次いで常法により未重合の酢酸ビニルを除去し、得られた重合体を水酸化ナトリウムで常法によりケン化した。その後、90℃で90分熱風乾燥し、分子量(Mn)11000、ケン化度88.0モル%、マレイン酸ジメチル0.6モル%、0.2%水溶液の波長270nmにおける吸光度0.9、無変性PVA量13%の変性PVAを得た。
〈分析方法〉
変性PVAのケン化度は、JIS K 6276「3.5ケン化度」に準じて測定したものであり、分子量は、GPCを使用して試料濃度0.25w/v%水溶液を40℃で測定し、標準ポリエチレングリコール換算でMnを計算しものである。無変性PVAの含有量は、変性PVAをメタノール中でアルカリ触媒にて完全ケン化し、ソックスレー抽出した試料を濃度0.01w/v%水溶液に調整し、イオン排除のHPLCを使用し、IR検出器の面積比で計算したものである。270nm吸光度は、変性PVAを0.2質量%の水溶液に調整し、270nmの紫外線の吸光度を測定したものである。マレイン酸ジメチルの含有量はNMRにより測定したものである。
〈コート剤の調整〉
変性PVA100質量部と、水400質量部、ラジカル重合開始剤としてのα-ヒドロキシケトン(商品名イルガキュア2959チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1質量部を配合し、均一になるように攪拌機にて1時間攪拌した。
〈コートフィルムの調整〉
コート剤を、ポリエチレンテレフタレートフィルムに乾燥塗布量が1.5g/mとなるようにバーコーターにて塗布した後、ブラックライトにて5mW/cmの照射強度で20分間、紫外線を照射した。その後、90℃に調整したギアオーブン中で1時間乾燥させてコートフィルムを得た。
〈コート紙の調整〉
コート剤を、中質原紙(坪量60g/m)に乾燥塗布量が1.5g/mとなるように塗布した後、ブラックライトを利用して5mW/cmの照射強度で20分間、紫外線を照射した。その後、90℃に調整したギアオーブン中で1時間乾燥させてコート紙を得た。
〈インクジェット適正〉
得られたコートフィルムおよびコート紙に、EPSON社製のインクジェットプリンタ(PX−V600)で各色のインクを面状に印刷し、表面状態を目視にて確認した。印刷面が均一でひび割れが無かったものを○、印刷ムラが見られたものを△、印刷面にひび割れがあったものを×とした。
〈耐水性〉
コートフィルムおよびコート紙の質量を精密に測定した後、温度23℃に調整した蒸留水に10分間浸し、90℃に調整したギアオーブン中で1時間乾燥させた後に再度質量を測定した。測定前後の質量差が1%未満であったものを○、1%〜3%であったものを△、3%を超えたものを×とした。
実施例2〜14、比較例1〜9
変性PVAのケン化度、ラジカル重合開始剤の種類と量、放射線強度と照射時間を表1または表2に記載したように変えた以外は、実施例1と同様にしてコート剤を作成し、実施例1と同様に評価を行った。
Figure 0004611261

Claims (8)

  1. 酢酸ビニルとマレイン酸ジメチルとを、又は、酢酸ビニルと無水マレイン酸とを、重合缶に連続的に添加して共重合させた共重合体をけん化して得られる、分子主鎖中に一般式(化1)で表される結合単位を含有する変性ポリビニルアルコールと、ラジカル重合開始剤とを含有するコート剤。
    Figure 0004611261
    (式中、X1とX2は、炭素数1の低級アルキル基、水素原子または金属塩を表す。gは、0〜3の整数を表す。hは、0の整数を表す。Y1は、水素原子を表す。)
  2. 変性ポリビニルアルコールの濃度が0.2質量%である、水溶液、メタノール溶液または水メタノール混合溶液の紫外線吸収スペクトルによる270nmの吸光度が0.05以上の変性ポリビニルアルコールを用いることを特徴とする請求項1に記載したコート剤。
  3. 変性ポリビニルアルコールにおける一般式(化2)で表される不飽和二重結合由来の紫外線吸収スペクトルのピークトップが265〜275nmの間にある変性ポリビニルアルコールを用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載したコート剤。
    Figure 0004611261
  4. けん化度60.0〜99.9モル%の変性ポリビニルアルコールを用いることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載したコート剤。
  5. 変性ポリビニルアルコール100質量部に対して、ラジカル重合開始剤0.01〜10質量部を配合することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載したコート剤。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載したコート剤をフィルムの少なくとも一方の面に塗布し、コート剤が乾燥する前に加熱または紫外線を照射してコート剤中の変性ポリビニルアルコールを架橋させて得られたコートフィルム。
  7. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載したコート剤を、紙の少なくとも一方の面に塗布し、コート剤が乾燥する前に加熱または紫外線を照射してコート剤中の変性ポリビニルアルコールを架橋させて得られたコート紙。
  8. インクジェット記録用媒体であることを特徴とする請求項6に記載したコートフィルムまたは請求項7に記載したコート紙。
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