JP4610657B2 - イオン発生装置及びイオンの有無判定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、空気中のイオンを検出するイオン検出器を備えるイオン発生装置及びイオンの有無判定方法に関する。
近年、正(プラス)及び/又は負(マイナス)のイオンにより、居住空間内の空気を清浄化する技術が盛んに用いられている。例えば、空気清浄機をはじめとするイオン発生装置では、内部の通風路の途中に正及び負のイオンを発生させるイオン発生器を配設し、発生させたイオンを空気と共に外部の空間へ放出するようにしている。
イオンが放出された空間においてイオンの濃度が1000〜2000個/cm3 程度あれば、セラチア菌、バチルス菌等の細菌に対して有意な除菌効果が得られる。また、空気中のイオンは、浮遊粒子を不活性化させると共に臭気成分を変性させる。これにより、居住空間全体の空気が清浄化される。
上述した効果を生む標準的なイオン発生器は、針電極と対向電極との間、又は放電電極と誘電電極との間に高電圧交流の駆動電圧を印加することにより、コロナ放電を発生させて正及び負のイオンを発生させる。イオン発生器を複数使用することにより、空気中のイオンの濃度を高めることも可能である。
一方、イオン発生器の稼動が長期にわたることで、コロナ放電に伴うスパッタ蒸発によって放電電極が損耗した場合、又は化学物質、塵埃等の異物が放電電極に累積的に付着した場合、イオンの発生量が減少することが避けられない。この場合、イオン発生器の保守が必要であることを使用者に報知するため、空気中のイオンの有無を判定する必要がある。
これに対し、例えば特許文献1では、空気中のイオンを捕集する捕集電極を備えており、イオンの発生動作を開始させたとき(又はイオンの発生動作が停止したとき)に生じる捕集電極の電位の変化に基づいて、イオンの有無を検出(判定)するイオン検出装置及びイオン発生装置が開示されている。
特開2007−114177号公報
ところで、上述したように、従来、正のイオンであるH+ (H2 O)m (mは任意の自然数)、及び負のイオンであるO2 - (H2 O)n (nは任意の自然数)が、イオンの反応によって空気中の浮遊細菌等を殺菌することは知られていた。しかしながら、前記イオンは各々が再結合して消滅するため、イオン発生器の極近傍では高濃度が実現できても、イオン発生器からの距離が遠くなればなるほど急激にその濃度が減少するものである。従って、実験装置のような容積の小さい空間ではイオン濃度を数万個/cm3 とすることが出来ても、実際の居住空間や作業空間等、容積の大きい空間ではせいぜい2〜3,000個/cm3 の濃度とするのが限度であった。
一方発明者らは、実験室レベルで前記イオン濃度が7,000個/cm3 の場合、トリインフルエンザウイルスを10分間で99%まで、50,000個/cm3 の場合は、99.9%まで除去できることを発見した。夫々の除去率が持つ意味は、空気中に1,000個/cm3 のウイルスが存在したと仮定した場合、夫々10個/cm3 及び1個/cm3 が残留することを示す。換言すれば、イオン濃度を7,000個/cm3 から50,000個/cm3 に高めることによって、残留するウイルスが1/10になるのである。
このことから、人などが生活する居住空間及び作業空間の全体にわたってイオン濃度を高濃度にすることが、感染症予防や環境浄化において非常に重要なことであるとの知見を得た。
しかしながら、イオン濃度及びイオンの有無が判定されるべき空気が高温・多湿の場合、前記電位の変化量が小さくなるため、特許文献1に開示された技術では、イオンの有無の判定すら困難になるという問題があった。また、イオン発生器の稼動が長期にわたった場合、発生するイオンそのものが減少するため、前記電位の変化量が更に小さくなり、イオンの有無の判定が一層困難なものとなっていた。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、温度・湿度の影響、及びイオン発生器の経時変化の影響を受けることなく高精度にイオンの有無を判定することが可能なイオン発生装置及びイオンの有無判定方法を提供することにある。
本発明に係るイオン発生装置は、少なくともプラスのイオンを発生させるイオン発生部を有する第1イオン発生器と、少なくともマイナスのイオンを発生させるイオン発生部を有する第2イオン発生器と、前記第1及び第2イオン発生器をオン/オフさせる駆動回路と、前記第1及び第2イオン発生器の夫々が発生させたプラス及びマイナスのイオンを捕集してイオンの発生状態を示す指標を検出するイオン検出器と、該イオン検出器が検出した指標に基づいて前記イオンの有無を判定する判定手段とを備えるイオン発生装置において、前記判定手段は、前記駆動回路が前記第1及び第2イオン発生器を所定周期で交互にオンさせた場合、前記イオン検出器が検出した指標の差分が所定の閾値より大きいときに、前記イオンが有ると判定するようにしてあることを特徴とする。
本発明にあっては、プラス及びマイナスのイオンを夫々発生させる第1及び第2イオン発生器を所定周期で交互にオンさせた場合、プラス及びマイナスのイオンを捕集して検出したイオンの発生状態を示す指標の差分が所定の閾値より大きい(又は小さい)ときに、イオンが有る(又は無い)と判定する。
れにより発生したプラス及びマイナスのイオンの一部が捕集されて検出されるため、イオンの検出精度が向上する。また、第1及び第2イオン発生器を交互にオンさせたときに検出される指標の差分が、第1及び第2イオン発生器の一方をオン/オフさせたときに検出される指標の変化量より増大するため、イオンの有無の判定が容易となる。更に、第1及び第2イオン発生器にオンのタイミングの重なりが生じないため、第1及び第2イオン発生器の夫々をオン/オフさせたときに検出される指標の差分が略極大となってイオンの有無の判定が確実に行える。また、判定を周期的に行うため、同一処理を繰り返すことによってイオン無しと誤って判定される確率を低減することができる。
従って、イオンの有無を判定されるべき空気が高温・多湿のとき、又はイオン発生器の経時変化でイオンの発生量が減少したときのように、一のイオン発生器のオン/オフに伴う指標の変化量が小さいために、イオンの有無の判定が困難なときであっても、誤りなくイオンの有無を判定する。
本発明に係るイオン発生装置は、前記第1及び第2イオン発生器は、共にプラス及びマイナスのイオンを夫々発生させる2つのイオン発生部を並設し、且つ該並設方向に列設してあることを特徴とする。
本発明にあっては、プラス及びマイナスのイオン発生部の並設方向が揃った第1及び第2イオン発生器をイオン発生部の並設方向に列設してある。
これにより、前記並設方向が各イオン発生部の近傍を夫々通流する気流の方向と略直角をなすように第1及び第2イオン発生器を通風路に置き、例えば第1イオン発生器のプラスのイオン発生部と、第2イオン発生器のマイナスのイオン発生部とが夫々発生させたプラス及びマイナスのイオンに基づいて指標を検出することとした場合は、第1及び第2イオン発生器を所定周期で交互にオンさせたときに検出される指標の差分が、第1及び第2イオン発生器の一方をオン/オフさせたときに検出される指標の変化量より増大するため、イオンの有無の判定が容易となる。また、イオン検出器と列設した第1及び第2イオン発生器との離隔距離を略最小にできるため、第1及び第2イオン発生器を所定周期で交互にオンさせたときに検出される指標の差分が略極大となってイオンの有無の判定が確実に行える。更に、各イオン発生部の夫々が通風路に発生させるイオンが、通風路の気流と共に効率よく通流する。
本発明に係るイオン発生装置は、前記判定手段が、前記イオンが無いと判定した場合、前記駆動回路が、前記第1又は第2イオン発生器をオンさせた時に、前記判定手段が前記イオンの有無を再度判定するようにしてあることを特徴とする。
本発明にあっては、イオンが無いと判定した場合、第1又は第2イオン発生器をオンさせた時に、イオンの有無を再度判定する。
これにより、第1又は第2イオン発生器の一方をオンさせた時の指標の変化量に着目してイオンの有無を判定するため、例えば、プラスからマイナスへとイオンが入れ替わる時の指標の急激な変化を捉えてイオンの有無を判定する。
従って、イオンの有無を判定されるべき空気の湿度が極度に高まったときのように、一旦変化した指標がイオン発生器をオンさせている間に逆方向に変化するようなときであっても、誤りなくイオンの有無を判定する。
本発明に係るイオン発生装置は、前記判定手段が、所定回数連続して前記イオンが無いと判定した場合、警告を発する手段を備えることを特徴とする。
本発明にあっては、所定回数連続でイオンが無いと判定した場合、使用者に警告を発する。
これにより、イオンの発生量が低下した場合に使用者へ報知し、イオン発生器の保守、即ちイオン発生器の清掃又は交換を促す。
本発明に係るイオンの有無判定方法は、少なくともプラスのイオンを発生させるイオン発生部を有する第1イオン発生器と、少なくともマイナスのイオンを発生させるイオン発生部を有する第2イオン発生器と、前記第1及び第2イオン発生器の夫々で発生させたプラス及びマイナスのイオンを捕集してイオンの発生状態を示す指標をイオン検出器で検出し、該イオン検出器で検出した指標に基づいて前記イオンの有無を判定するイオンの有無判定方法において、前記第1及び第2イオン発生器を所定周期で交互にオンさせた場合、前記イオン検出器で検出した指標の差分が所定の閾値より大きいときに、前記イオンが有ると判定することを特徴とする。
本発明にあっては、プラス及びマイナスのイオンを夫々発生させる第1及び第2イオン発生器を所定周期で交互にオンさせた場合、プラス及びマイナスのイオンを捕集して検出したイオンの発生状態を示す指標の差分が所定の閾値より大きい(又は小さい)ときに、イオンが有る(又は無い)と判定する。
れにより発生したプラス及びマイナスのイオンの一部が捕集されて検出されるため、イオンの検出精度が向上する。また、第1及び第2イオン発生器を交互にオンさせたときに検出される指標の差分が、第1及び第2イオン発生器の一方をオン/オフさせたときに検出される指標の変化量より増大するため、イオンの有無の判定が容易となる。更に、第1及び第2イオン発生器にオンのタイミングの重なりが生じないため、第1及び第2イオン発生器の夫々をオン/オフさせたときに検出される指標の差分が略極大となってイオンの有無の判定が確実に行える。また、判定を周期的に行うため、同一処理を繰り返すことによってイオン無しと誤って判定される確率を低減することができる。
本発明によれば、プラス及びマイナスのイオンを夫々発生させる第1及び第2イオン発生器を所定周期で交互にンさせたときにプラス及びマイナスのイオンを捕集して検出した指標の差分が所定の閾値より大きい(又は小さい)場合、イオンが有る(又は無い)と判定する。
れにより発生したプラス及びマイナスのイオンの一部が捕集されて検出されるため、イオンの検出精度が向上する。また、第1及び第2イオン発生器を交互にオンさせたときに検出される指標の差分が、第1及び第2イオン発生器の一方をオン/オフさせたときに検出される指標の変化量より増大するため、イオンの有無の判定が容易となる。更に、第1及び第2イオン発生器にオンのタイミングの重なりが生じないため、第1及び第2イオン発生器の夫々をオン/オフさせたときに検出される指標の差分が略極大となってイオンの有無の判定が確実に行える。また、判定を周期的に行うため、同一処理を繰り返すことによってイオン無しと誤って判定される確率を低減することができる。
のため、イオンの有無を判定されるべき空気が高温・多湿のとき、又はイオン発生器の経時変化でイオンの発生量が減少したときのように、イオン発生器のオン/オフに伴う指標の変化量が小さいためにイオンの有無の判定が困難な場合であっても、誤りなくイオンの有無を判定する。
従って、温度・湿度の影響、及びイオン発生器の経時変化の影響を受けることなく高精度にイオンの有無を判定することが可能となる。
本発明に係るイオン発生装置の構成を示す正面断面図である。 イオン発生装置の構成を示す側断面図である。 イオン発生器の構成を示す正面断面図である。 前壁に取り付けられたイオン発生器をハウジングの内側から見た模式的な立面図である。 イオン発生装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。 イオン発生装置が通常の稼動状態にある場合に制御入力へ入力される駆動信号を示すタイミングチャートである。 イオン検出器の構成を示す回路図である。 イオン検出器の回路基板の導体パターンを示す平面図である。 イオン発生器の放電回数に対するマイナスのイオン濃度を示すグラフである。 リブを有しないイオン発生器を常温常湿でオン/オフさせたときの計測部の出力電圧を示すグラフである。 イオン発生器の駆動タイミングの違いによって計測部の出力電圧の変化量に差が生じることを示すグラフである。 イオン発生器とイオン発生器とを常温常湿で10秒ごとに交互にオン/オフさせたときの計測部の出力電圧を示すグラフである。 イオン発生器とイオン発生器とを常温高湿(90%以上)で1秒ごとに交互にオン/オフさせたときの計測部の出力電圧を示すグラフである。 イオンの有無を判定する場合に制御入力へ入力する駆動信号を示すタイミングチャートである。 通常の稼動状態においてイオン発生器を駆動させるCPUの処理手順を示すフローチャートである。 PC1〜4切替のサブルーチンに係るCPUの処理手順を示すフローチャートである。 イオンの有無を判定した結果に基づいて警告を発するCPUの処理手順を示すフローチャートである。 イオンの有無を判定した結果に基づいて警告を発するCPUの処理手順を示すフローチャートである。 イオンの有無を判定した結果に基づいて警告を発するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係るイオン発生装置の構成を示す正面断面図、図2はイオン発生装置の構成を示す側断面図、図3はイオン発生器6aの構成を示す正面断面図、図4は前壁5aに取り付けられたイオン発生器6a,6b,6c,6dをハウジング1の内側から見た模式的な立面図である。他のイオン発生器6b,6c,6dの構成については、イオン発生器6aと同様である。
図中1はハウジングであり、ハウジング1は、下部に吸込口11,11を夫々有して離隔し対向する両側壁1a,1b、及び中央部に二つの嵌合孔12,12を有する天壁1cを備える。ハウジング1内の下部には、回転軸方向の両側に出力軸21,21を有するモータ2が配され、該モータ2の出力軸21,21の夫々には、二つのケーシング4,4に回転自在に収容された二つの羽根車3,3が装着されている。
羽根車3,3の上方には、夫々の回転により発生する気流を個別に上方へ通流させる筒部としての二つのダクト5,5が夫々配設されている。ダクト5,5の夫々は、二つのイオン発生部61,62を夫々有するイオン発生器6a,6b,6c,6dを下部に有し、嵌合孔12,12に取外しを可能に配置された風向体7,7を備える。イオン発生器6a,6cの上方には、発生したイオンを捕集する捕集電極66及び該捕集電極66の電位を計測する計測部67が、長手方向を略水平にして、イオン発生器6a,6cと隣接するように配されている。尚、モータ2と、羽根車3,3と、ケーシング4,4とが送風機を構成する。
ハウジング1は、更に、平面視矩形をなす底壁1dと、該底壁1dの前後の二辺に連なる前壁1e及び後壁1fとを備え、略直方体をなしている。前壁1eの下部には、イオン発生装置に対する操作を受け付けるための操作部85と、警告、運転状態等の情報を表示するLEDからなる表示部86とが設けられている。両側壁1a,1b下部の吸込口11,11には、羽根車3,3が吸込口11,11から吸込む空気を通過させ、該空気中の異物を除去して清浄空気にするフィルタ8,8が取り付けられている。天壁1cの嵌合孔12,12は、その長手方向が前後となる長方形をなし、前側の内面が鉛直に対して前方へ傾斜し、後側の内面が鉛直に対して後方へ傾斜している。また、ハウジング1は上下方向の途中で上分体と下分体とに分断され、下分体にケーシング4,4が装着され、上分体にダクト5,5が装着されている。
羽根車3,3は、外縁に対し回転中心側が回転方向へ変位する複数の羽根3aを有する多翼羽根車、換言すると円筒形状をなすシロッコファンである。また、羽根車3,3は、一端に軸受板を有し、該軸受板の中心に開設されている軸孔にモータ2の出力軸21,21が取り付けられ、他端の開口から中心部の空洞へ吸込んだ空気を外周部の羽根3a間から放出するように構成されている。
ケーシング4,4は、羽根車3,3の回転により発生する気流を羽根車3,3の回転方向へ誘導して気流の速度を増すための円弧形誘導壁41,41、及び該円弧形誘導壁41,41の一部から円弧形誘導壁41,41の接線方向の一方へ上向きに開放された吹出口42,42を有する。吹出口42,42は、円弧形誘導壁41,41の一部から円弧形誘導壁41,41の接線方向の一方へ、且つ鉛直に対して斜め方向へ突出する角筒形状をなしている。
また、ケーシング4,4は、深皿形をなし、円弧形誘導壁41,41及び吹出口42,42用の開放部を有するケーシング本体4a,4aと、羽根車3,3の前記開口と対応する箇所が開放されており、ケーシング本体4a,4aの開放側を閉塞する蓋板4b,4bとを備える。ケーシング本体4a,4a夫々の対向側は、仕切り用の連結壁43にて一体に連結されている。また、蓋板4b,4bの開放部とフィルタ8,8との間に、複数の通気孔を有する通気板9,9が設けられている。
連結壁43のモータ2と対応する箇所は、一方のケーシング本体4a側へ窪む凹所を有し、該凹所の縁部に深皿状の支持板44が取り付けられ、凹所及び支持板44の中央部間にゴム板45,45を介してモータ2を挾着保持してある。凹所及び支持板44の中央部に開設されている軸孔には、出力軸21,21が挿通されており、出力軸21,21には、羽根車3,3を取り付けてある。また、連結壁43の上端はケーシング4,4よりも上方へ延出されている。
ダクト5,5は、その下端が吹出口42,42に連なり、その上端が嵌合孔12,12に連なり、上下方向の途中が絞られている角筒形の筒部からなる。また、ダクト5,5は、吹出口42,42から円弧形誘導面41,41の接線方向の一方に沿って配された前壁5a,5a、及び吹出口42,42からほぼ鉛直に配された後壁5b,5bを有する。前壁5a,5a及び後壁5b,5bには、ほぼ鉛直に配された二つの側壁5c,5c、5d,5dが連なっており、吹出口42,42から吹き出された空気を、前壁5a,5a及び側壁5c,5c、5d,5dに沿って層流とし、鉛直に沿わせて通流させるように構成されている。
前壁5a,5aにはイオン発生器6a,6b,6c,6d、捕集電極66、及び計測部67を有する保持体63に対応する貫通孔が開設されており、該貫通孔に保持体63が嵌込みにより取り付けられている。後壁5b,5bにはモータ2、イオン発生器6a,6b,6c,6d、計測部67及び電源線に接続されている回路基板10と、該回路基板10を被覆するカバー20とが取り付けられている。
また、ダクト5,5は上下方向の途中でダクト上分体51とダクト下分体52とに分断されている。ダクト下分体52は角筒形をなし、横方向の中央が連結壁43にて仕切られている。ダクト上分体51は、横方向に離隔して並置される角筒部51a,51aの下部が連結部51bにて一体に連なっており、連結部51b及び連結壁43にて仕切られている。また、ダクト上分体51の上端には、外部から指等の異物が挿入されるのを防ぐための防護網30,30を配してある。
風向体7,7は、前後方向の断面形状が逆台形をなす角枠部71,71、及び該角枠部71,71内に前後方向へ離隔して並置され、鉛直に対して前後方向一方へ傾斜する複数の風向板72,72を有し、等形状に形成されている。角枠部71,71の前後の壁は鉛直に対して前後方向へ傾斜している。
イオン発生器6a,6b,6c,6dの夫々は、略直方体のケース60に収納されており、羽根車3,3の回転により発生する空気の通流方向と略直交する方向へ離隔して並設した2つのイオン発生部61,62を備える。イオン発生部61,62は、電極基板63に配されており、尖鋭状をなす放電電極61a,62a、及び該放電電極61a,62aを囲繞する誘導電極61b,62bを夫々有し、高電圧を印加された放電電極61a,62aがコロナ放電を夫々発生させる。これにより、一方のイオン発生部61がプラスのイオンを、他方のイオン発生部62がマイナスのイオンを夫々の誘電電極61b、62bの開口側へ発生させるように構成されている。
電極基板63には、トランジスタ、抵抗等の回路素子が配された回路基板64が対向しており、該回路基板64は、マイナスのイオン発生部62と対向する側に、前記高電圧を発生させる昇圧トランス65を有している。昇圧トランス65の巻線の巻方向は、該巻線から漏洩する磁束が、イオン発生部62の近傍においてイオン発生部61,62の並設方向と略平行になるようにしてある(図3に破線で示す)。電極基板63と回路基板64との間、及び昇圧トランス65の周囲には、合成樹脂を充填してある。
イオン発生器6a,6b,6c,6dは、保持体63に保持されてダクト5,5夫々の前壁5a,5aに取り付けられている。イオン発生器6a,6c及びイオン発生器6b,6dの夫々2つは、イオン発生部61,62の並設方向を同一にして該並設方向に列設し、該列設方向と前記通流方向とが略直交するように配設してある。イオン発生器6a,6cとイオン発生器6b,6dとは、イオン発生部61,62の並設方向を逆向きにして前記通流方向に並置されている。イオン発生器6a,6b,6c,6d夫々のイオン発生部61,62は、前記貫通孔からダクト5,5内に臨んでいる。前記通流方向に連なるイオン発生部61,62の両側方の保持体63には、使用者が放電電極61a,62aに直接的に触れることを防止するためのリブ64,64を設けてある。
捕集電極66は、イオンを捕集する略矩形の板状電極からなり、イオン発生器6aのイオン発生部62と、イオン発生器6cのイオン発生部61とが夫々発生させたマイナス及びプラスのイオンを重点的に検出するために、前記イオン発生部62,61の直近に配して電極面をダクト5,5内に露出させてある。捕集電極66の電極面は、イオン発生器6a,6cの列設方向と略平行となるようにしてあり、捕集電極66がプラス(又はマイナス)のイオンを捕集した場合、捕集電極66の電位が上昇(又は低下)する。捕集電極66の電位は、接地電位に対する電圧値として後述する計測部67で計測されるようにしてある。
尚、捕集電極66は、イオン発生器6aのイオン発生部62と、イオン発生器6cのイオン発生部61との直近に配したが、これらのイオン発生部62,61夫々からのマイナス及びプラスのイオンが、捕集電極66に効率よく捕集されるように、可能な限り上記イオン発生部62,61に近接させて配置することが好ましい
上述のとおり構成されたイオン発生装置は、居住室内に据えられる。送風機のモータ2の駆動により、羽根車3,3が回転し、室内の空気が両側の吸込口11,11から二つのケーシング4,4内へ吸込まれ、吸込まれた空気中の塵埃等の異物はフィルタ8,8により除去される。この際、ケーシング4,4内に吸込まれた空気は、羽根車3,3周りの円弧形誘導壁42,42により層流となり、この層流の空気が円弧形誘導壁41,41に沿って吹出口42,42へ通流し、該吹出口42,42からダクト5,5内へ吹き出される。
図5は、イオン発生装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。制御系の中枢となるのはCPU81であり、CPU81は、プログラム等の情報を記憶するROM82、一時的に発生した情報を記憶するRAM83、及び時間を計時するためのタイマ84と互いにバス接続されている。CPU81は、ROM82に予め格納されている制御プログラムに従って入出力、演算等の処理を実行する。
CPU81には、更に、イオン発生装置の風量を変更する操作を受け付けるための操作部85と、警告、運転状態等の情報を表示するLEDからなる表示部(警告を発する手段)86と、羽根車3,3が装着されたモータ2を駆動するための送風機駆動回路87と、捕集電極66の電位を計測する計測部67が計測したアナログの電圧をデジタルの電圧に変換して取り込むためのA/D変換回路89とがバス接続されている。操作部85は、警報音を鳴動させるためのブザー(警告を発する手段)を備えている。
尚、捕集電極66及び計測部67がイオン検出器を構成する。
CPU81にバス接続された出力インタフェース88,88,88,88夫々の出力端子は、2つの出力端子を有するイオン発生器駆動回路91,91,91,91夫々の制御入力PC1,PC2,PC3,PC4に接続されている。イオン発生器駆動回路91,91,91,91夫々の出力端子の一端は、陰極がイオン発生器6a,6b,6c,6d夫々の接地入力G1,G2,G3,G4、及び接地電位に接続された14Vの直流電源E1の陽極に接続されており、他端は、イオン発生器6a,6b,6c,6d夫々の電源入力V1,V2,V3,V4に接続されている。
イオン発生装置が通常の稼動状態にある場合、タイマ84が所定時間を計時する都度、CPU81が、出力インタフェース88,88,88,88を介して、イオン発生器駆動回路91,91,91,91の制御入力PC1,PC2,PC3,PC4のオン/オフを夫々反転させる(切り替える)。これにより、イオン発生器駆動回路91,91,91,91の夫々が、イオン発生器6a,6b,6c,6dの電源入力V1,V2,V3,V4と、直流電源E1の陽極との接続を所定時間毎に接/断するようになっている。
図6は、イオン発生装置が通常の稼動状態にある場合に制御入力PC1,PC2,PC3,PC4へ入力される駆動信号を示すタイミングチャートである。図中横軸は時間(秒)を表し、縦軸はオン/オフの状態を表す。制御信号PC1,PC3へ入力される駆動信号は、デューティ50%で交互に1秒オン/1秒オフを繰り返し、制御入力PC1,PC2、及び制御入力PC3,PC4の夫々2つへ入力される駆動信号は、同位相でオン/オフを繰り返すようにしてある。これにより、イオン発生器駆動回路91,91、91,91の夫々は、イオン発生器6a,6b、及びイオン発生器6c,6dへの電源供給を1秒おきに交互に接/断する。従ってイオン発生器6a,6bと、イオン発生器6c,6dとが1秒おきに交互に駆動される。
図7は、イオン検出器の構成を示す回路図である。イオン検出器は、回路基板の部品側(表面)及び検出側(裏面)に夫々配された計測部67及び捕集電極66を備える。
計測部67は、捕集電極66を5Vの直流電源にプルアップする抵抗R4を有し、抵抗R4の両端子は、コンデンサC1と並列接続されている。捕集電極66は、計測部67の保護抵抗R1を介して、反転入力端子及び出力端子の間に抵抗R2が接続された演算増幅器IC1の非反転入力端子68に接続されている。
演算増幅器IC1の出力端子は、接地電位に接続されたコンデンサC2及びC4の夫々と直列接続された抵抗R3及びR5に接続されている。コンデンサC2及び抵抗R3の接続点は、保護電極69に接続されており、コンデンサC4及び抵抗R5の接続点は、コネクタCN5の出力端子に接続されている。コネクタCN5は、計測部67が計測した電位をA/D変換回路89に与えるためのものである。保護電極69は、捕集電極66の一部を除く周囲を包囲すると共に、保護抵抗R1及び該保護抵抗R1の両端子に夫々接続された部分を包囲するようにしてある。
上述した回路において、捕集電極66にプラス(又はマイナス)のイオンが捕集された場合、プラスのイオンが有する正の電荷(又はマイナスのイオンが有する負の電荷)が捕集電極66と接続されたコンデンサC1の接地側の電極に流入する。これによって上昇(又は下降)したコンデンサC1及び保護抵抗R1の接続点の電位は、保護抵抗R1を介して演算増幅器IC1の非反転入力端子68に与えられる。一方、演算増幅器IC1は、出力端子が反転入力端子に帰還されて増幅度1のインピーダンス変換器を形成しており、前記出力端子の電位は、非反転入力端子68に与えられた電位と同電位となる。この電位は、接地電位に対するアナログの電圧値として、抵抗R5を介しコネクタCN5の出力端子から出力される。
また、演算増幅器IC1の出力インピーダンスは、抵抗R3の抵抗値に比して十分小さい値となっており、保護電極69は、捕集電極66をプルアップする抵抗R4(1GΩ)の1/10万の抵抗値を有する抵抗R3(10kΩ)を介して捕集電極66と同電位に保たれることになる。従って、捕集電極66に捕集されたイオンが有する電荷は、捕集電極66から演算増幅器IC1に至る間に回路基板の表面を伝導して保護電極69の包囲の外側に移動することが抑止される。
尚、保護抵抗R1は、抵抗に限定されるものではなく、例えば保護以外の目的で、抵抗、コイル等の回路素子の直並列回路を有するようにしてもよい。
図8は、イオン検出器の回路基板の導体パターンを示す平面図である。図8(a)は、回路素子が実装される表面の導体パターンを示し、図8(b)は、捕集電極66及び保護電極69が形成された裏面の導体パターンを示す。捕集電極66は、スルーホール66a,66bにより、表面の導体パターンと電気的に接続されており、前記導体パターンには、保護抵抗R1、抵抗R4及びコンデンサC1夫々の一端子が取着されるようになっている。
裏面の捕集電極66を包囲する保護電極69は、略矩形の回路基板の長手方向の一辺に欠落部Kを有して平面視略コの字状をなしており、スルーホール69a,69bによって、表面の回路素子の周囲を包囲する保護電極69と電気的に接続されている。表面の保護電極69は、また、前記導体パターンと、保護抵抗R1及び非反転入力68を接続する導体パターンとを包囲している。
上述した導体パターン及び保護抵抗R1を包囲する保護電極69がなす平面は、捕集電極66がなす平面と略平行であるため、昇圧トランス65から漏洩する磁束が前記保護電極69と最小限に鎖交することになる。
図9は、イオン発生器6a(又は6b,6c,6d)の放電回数に対するマイナスのイオン濃度を示すグラフである。図中横軸は単位時間当たりの放電回数(回/秒)であり、縦軸は、イオンが空気と共に放出される風向体7の上面から25cm上方に離隔された位置におけるマイナスのイオン濃度(万個/cm3 )を表す。標準の放電回数である480回/秒のときのイオン濃度は、約180万個/cm3 であり、放電回数を例えば35回としたときのイオン濃度は、180万個/cm3 の1/2を少し超える程度の値が確保される。ここでは、上記35回でイオン濃度が半減するものとみなし、イオン発生器6aの放電回数が35回のときにイオンが有ると判定される限界となるように、イオンの有無の判定の閾値を決定するものとする。
図10は、リブ64を有しないイオン発生器6a,6bを常温常湿でオン/オフさせたときの計測部67の出力電圧を示すグラフである。この出力電圧は、イオン検出器が検出した指標に相当するものである。図中横軸は時間(秒)であり、縦軸は電圧(V)を表す。放電回数は35回/秒である。ここでは、計測部67の捕集電極66は、主に、イオン発生器6aのマイナスのイオン発生部62が発生させたマイナスのイオンを捕集する。図10(a)に示すように、イオン発生器6a,6bをオンさせた場合、約5Vであった計測部67の出力電圧は、概ね5秒後に約3Vまで下降して飽和する。また、図10(b)に示すように、イオン発生器6a,6bをオフさせた場合、約3Vであった計測部67の出力電圧は、概ね6秒後に約5Vまで上昇して飽和する。従って、イオン発生器6a,6bをオン/オフさせた場合、計測部67の出力電圧の変化量は約2Vとなる。
これに対し、イオン発生器6a,6bにリブ64を付加した場合、前記変化量が約1Vに半減し、変化量が飽和するまでに要する時間が9秒又はそれ以上になることが、本願発明者らによる実験で判明している。イオンの有無の判定に要する時間を延長するのは好ましくないため、前記変化量を判定する際の閾値を1Vより更に下げてマージンを持たせることが望ましい。
以上のことから、本実施の形態では、イオン発生器6a,6bを10秒ごとにオン/オフし、オン/オフを切り替える直前に計測した計測部67の出力電圧の変化量が、0.5Vより大きい場合にイオンが有ると判定するものとした。この判定(以下、イオン判定1という)は、常温常湿での判定を想定したものである。但し、上述した10秒は、これに限定されるものではなく、10秒より長く(又は短く)してもよい。
一方、高湿度の環境下では、イオン発生器6a,6bをオン/オフさせたときの計測部67の出力電圧が5Vから十分に下降しなくなり(即ち、オン/オフさせたときの出力電圧の変化量が減少して)、イオンの有無の判定が不能となることが問題であった。そこで、本願発明者らは、イオン発生部61,62の並設方向に列設されたイオン発生器6a,6cを交互にオン/オフさせて、捕集電極66にマイナス及びプラスのイオンを交互に捕集させたときの計測部の出力電圧の差分に着目した。その結果、この差分が、特に高湿度の環境下において、上述した出力電圧の変化量より大きくなることがわかった。
図11は、イオン発生器の駆動タイミングの違いによって計測部67の出力電圧の変化量に差が生じることを示すグラフである。図中横軸は駆動される各イオン発生器の放電回数(回/秒)を表し、縦軸は計測部67の出力電圧の変化量の最大値(V)を表す。実線はイオン発生器6a,6bを10秒ごとに同時にオン/オフさせた場合を示し、波線はイオン発生器6a,6cを10秒ごとに交互にオン/オフさせた場合を示す。環境条件は、何れも周囲温度が30℃、湿度が95%である。
イオン発生器6a,6bを同時にオン/オフさせた場合に、計測部67の出力電圧が殆ど変化しないような環境下であっても、イオン発生器6a,6cを交互にオン/オフさせることにより、放電回数が増すに従って計測部67の出力電圧の変化量(この場合は交互にオンさせたときの差分)が増大する傾向が読みとれる。
図12は、イオン発生器6a,6bとイオン発生器6c,6dとを常温常湿で10秒ごとに交互にオン/オフさせたときの計測部67の出力電圧を示すグラフである。図中横軸は時間(秒)であり、縦軸は電圧(V)を表す。放電回数は480回/秒である。ここでは、時刻T1,T3でイオン発生器6a,6bをオンさせると共にイオン発生器6c,6dをオフさせ、時刻T2でイオン発生器6a,6bをオフさせると共にイオン発生器6c,6dをオンさせる。これにより、計測部67の捕集電極66は、主に、イオン発生器6aのマイナスのイオン発生部62が発生させたマイナスのイオンと、イオン発生器6cのプラスのイオン発生部61が発生させたプラスのイオンとを交互に捕集する。尚、イオン発生器6c,6dをオン/オフさせない図10のような場合であっても、放電回数を480回としたときは、計測部67の出力電圧の波形が、図12のように+5Vからほぼ接地電位まで大きく振れることがわかっている。
ところで、高湿度の環境下では、上述したように計測部67の出力電圧が+5Vから十分に下降しなくなる。このような場合であっても、イオン発生器6a,6bとイオン発生器6c,6dとを交互にオン/オフさせるときは、イオン発生器6a,6bをオンした直後に、計測部67の出力電圧が一旦急峻に立ち下がることが、本願発明者らによる実験で判明した。この出力電圧の立ち下がりを検出することにより、高湿度の環境下であってもイオンの有無を判定することが可能となる。
図13は、イオン発生器6a,6bとイオン発生器6c,6dとを常温高湿(90%以上)で1秒ごとに交互にオン/オフさせたときの計測部67の出力電圧を示すグラフである。図中横軸は時間(秒)を表し、縦軸は電圧(V)を表す。放電回数は480回/秒である。ここでは、時刻T4,T6でイオン発生器6a,6bをオンさせると共にイオン発生器6c,6dをオフさせ、時刻T5,T7でイオン発生器6a,6bをオフさせると共にイオン発生器6c,6dをオンさせる。時刻T4,T6でイオン発生器6a,6bをオンした直後に、出力電圧が、3V近辺を極小値として負方向のピークを有する波形で垂下することがわかる。
以上のことから、イオン発生器6a,6bとイオン発生器6c,6dとを1秒ごとに交互にオン/オフさせ、イオン発生器6a,6bをオンさせる直前の計測部67の出力電圧を基準とし、オンさせた直後の出力電圧の極小値への変化量に基づいてイオンの有無を判定する方法をイオン判定2とした。先に説明したイオン判定1でイオンの有無を判定できない場合に、イオン判定2を適用することにより、常温常湿から高湿度の環境下まで、高精度にイオンの有無を判定することが可能となる。
尚、イオン判定2では、2秒周期で1秒ごとに各イオン発生器のオン/オフを切り替えているがこれに限定するものではなく、例えば1秒より長い時間間隔で切り替えてもよい。
図14は、イオンの有無を判定する場合に制御入力PC1,PC2,PC3,PC4へ入力する駆動信号を示すタイミングチャートである。図中横軸は時間(秒)を表し、縦軸は駆動信号のオン/オフの状態を表す。イオン判定1では、各駆動信号のオン/オフを10秒周期で6回切り替え、イオン有りと判定された場合は、その時点で判定を正常終了する。イオン有りと判定されなかった場合は、イオン判定2に移行して各駆動信号のオン/オフを1秒周期で10回切り替え、イオン有りと判定された場合は、その時点で判定を正常終了する。イオン判定1,2で共にイオン有りと判定されなかった場合は、イオン無しと判定し、所定のカウント値をカウントアップする。3時間ごとに行うイオンの有無の判定の結果、上記カウント値が所定値に達したときに、所定の警告を発するようにしてある。
イオン判定1の各周期では、先ず制御入力PC1,PC2へ入力される駆動信号をオンさせると共に制御入力PC3,PC4へ入力される駆動信号をオフさせ、10秒後にこれらの駆動信号のオン/オフを切り替える。そして、更に10秒後に1周期が終了する。これにより、先の10秒間ではイオン発生器6a,6bだけがオンとなり、夫々のイオン発生部62が発生させたマイナスのイオンによるマイナスの電荷が、捕集電極66に蓄積される。続く10秒間ではイオン発生器6c,6dだけがオンとなり、夫々のイオン発生部61が発生させたプラスのイオンによるプラスの電荷が、捕集電極66に蓄積されたマイナスのイオンを中和する。従って、計測部67の出力電圧は、20秒間の前半で接地電位へ向けて下降し、後半では、直流電源(5V)の電源電圧に向けて上昇する(図12参照)。
イオン判定1でイオンの有無を判定する場合、イオン判定1の期間における出力電圧の最大値と最小値との差分が所定の電圧(例えば0.5V)より大きいときにイオン有りと判定する。
イオン判定2の各周期において制御入力PC1〜PC4へ入力される駆動信号は、各駆動信号をオン/オフさせる周期(2秒)がイオン判定1での周期(20秒)と異なるだけである。
イオン判定2でイオンの有無を判定する場合、イオン判定2の期間における出力電圧の最大値と最小値との差分が所定の電圧(例えば0.5V)より大きいときにイオン有りと判定する。
以下に、上述した構成のイオン発生装置の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。
図15は、通常の稼動状態においてイオン発生器6a,6b,6c,6dを駆動させるCPU81の処理手順を示すフローチャートであり、図16は、PC1〜4切替のサブルーチンに係るCPU81の処理手順を示すフローチャートである。図15,16の処理は、ROM82に予め格納されている制御プログラムに従って実行される。また、図15の処理は、処理が終了する都度、再び実行されるようにしてある。
尚、イオンの有無を判定するための計測中であることを示す「計測フラグ」及びオン/オフの位相を示す「トグルフラグ」は、RAM83に記憶するものとする。
図15の処理が起動された場合、CPU81は、タイマ84に1秒の計時を開始させる(ステップS11)。尚、計時させる時間は1秒に限定されるものではなく、例えば0.5秒、1.5秒等の時間であってもよい。その後、CPU81は、タイマ84が計時を終了したか否かを判定する(ステップS12)。計時を終了していないと判定した場合(ステップS12:NO)、CPU81は、タイマ84が計時を終了するまで待機する。
計時を終了したと判定した場合(ステップS12:YES)、CPU81は、「計測フラグ」が1にセットされているか否かを判定する(ステップS13)。セットされていると判定した場合(ステップS13:YES)、CPU81は、そのまま処理を終了する。これにより、イオンの有無の判定中は、本処理の中でイオン発生器6a,6b,6c,6dをオン/オフさせないようにする。「計測フラグ」が1にセットされていないと判定した場合(ステップS13:NO)、CPU81は、PC1〜4切替に係るサブルーチンを呼び出して実行し(ステップS14)、処理を終了する。
図16に示すPC1〜4切替に係るサブルーチンが呼び出しされた場合、CPU81は、「トグルフラグ」が1にセットされているか否かを判定する(ステップS21)。セットされていると判定した場合(ステップS21:YES)、CPU81は、「トグルフラグ」を0にクリアし(ステップS22)、更に、出力インタフェース88を介してイオン発生器駆動回路91の制御入力PC1をオンさせる(ステップS23)。同様に、CPU81は、制御入力PC2をオンさせ(ステップS24)、制御入力PC3をオフさせ(ステップS25)、更に制御入力PC4をオフさせて(ステップS26)処理を終了する。
ステップS21で「トグルフラグ」が1にセットされていないと判定した場合(ステップS21:NO)、CPU81は、「トグルフラグ」を1にセットし(ステップS27)、更に、出力インタフェース88を介してイオン発生器駆動回路91の制御入力PC1をオフさせる(ステップS28)。同様に、CPU81は、制御入力PC2をオフさせ(ステップS29)、制御入力PC3をオンさせ(ステップS30)、更に制御入力PC4をオンさせて(ステップS31)処理を終了する。
このようにして、CPU81は、イオン発生器駆動回路91の制御入力PC1,PC2及びPC3,PC4のオン/オフを切り替える。
図17、18及び19は、イオンの有無を判定した結果に基づいて警告を発するCPU81の処理手順を示すフローチャートである。以下の処理は、ROM82に予め格納されている制御プログラムに従い、CPU81による初期化処理の30秒後に実行され、その後3時間ごとに本処理が繰り返し実行されるようにしてある。この繰り返し周期は3時間に限定されるものではない。
尚、「ループカウント(C)」及び「エラーカウント」は、RAM83に記憶する変数である。「エラーカウント」には、CPU81による初期化処理の中で0を書き込むものとする。
図17の処理が起動された場合、CPU81は、初期設定として「計測フラグ」を1にセットし(ステップS41)、「トグルフラグ」を1にセットし(ステップS42)、そして、イオン判定1におけるPC1〜4の切替回数を記憶する「ループカウント(C)」に6を代入する(ステップS43)。その後、CPU81は、A/D変換回路89を介して計測部67の出力電圧の電圧値(V)の取り込みを開始する(ステップS44)。以後、取り込んだ電圧値(V)は、CPU81のレジスタ又はRAM83に順次記憶するものとする。
次いで、CPU81は、PC1〜4切替に係るサブルーチンを呼び出して実行し(ステップS45)、タイマ84に10秒の計時を開始させる(ステップS46)。その後、CPU81は、タイマ84が計時を終了したか否かを判定する(ステップS47)。計時を終了していないと判定した場合(ステップS47:NO)、CPU81は、タイマ84が計時を終了するまで待機する。
計時を終了したと判定した場合(ステップS47:YES)、CPU81は、「ループカウント(C)」から1を減算して(ステップS48)、「C」が0になったか否かを判定する(ステップS49)。0になっていないと判定した場合(ステップS49:NO)、CPU81は、処理をステップS45に戻す。これにより、PC1〜4の切り替えを繰り返す。
ステップS49で「C」が0になったと判定した場合(ステップS49:YES)、CPU81は、計測部67の出力電圧の取り込みを終了する(ステップS50)。その後、CPU81は、レジスタ又はRAM83に記憶した電圧値(V)の最大値と最小値との差分を算出し(ステップS51)、算出した差分が所定の閾値(0.5V)より大きいか否かを判定する(ステップS52)。所定の閾値より大きいと判定した場合(ステップS52:YES)、即ち、イオン有りと判定した場合、CPU81は、イオンの有無の判定が終了したことを示すために「計測フラグ」を0にクリアし(ステップS53)、更に「エラーカウント」を0にクリアして(ステップS54)処理を終了する。これにより、イオン無しの判定の履歴がクリアされる。
ステップS52で所定の閾値より小さいと判定した場合(ステップS52:NO)、即ち、イオン有りと判定しなかった場合、CPU81は、イオン判定2におけるPC1〜4の切替回数を記憶する「ループカウント(C)」に10を代入する(ステップS61)。そして、CPU81は、A/D変換回路89を介して計測部67の出力電圧の電圧値(V)の取り込みを開始する(ステップS62)。以後、取り込んだ電圧値(V)は、CPU81のレジスタ又はRAM83に順次記憶するものとする。
次いで、CPU81は、PC1〜4切替に係るサブルーチンを呼び出して実行し(ステップS63)、タイマ84に1秒の計時を開始させる(ステップS64)。その後、CPU81は、タイマ84が計時を終了したか否かを判定し(ステップS65)、計時を終了していないと判定した場合(ステップS65:NO)、タイマ84が計時を終了するまで待機する。
タイマ84が計時を終了したと判定した場合(ステップS65:YES)、CPU81は、「ループカウント(C)」から1を減算して(ステップS66)、「C」が0になったか否かを判定する(ステップS67)。0になっていないと判定した場合(ステップS67:NO)、CPU81は、処理をステップS63に戻す。
ステップS67で「ループカウント(C)」が0になったと判定した場合(ステップS67:YES)、CPU81は、計測部67の出力電圧の取り込みを終了する(ステップS68)。その後、CPU81は、レジスタ又はRAM83に記憶した電圧値(V)の最大値と最小値との差分を算出し(ステップS69)、算出した差分(変化量)が所定の閾値(0.5V)より大きいか否かを判定する(ステップS70)。所定の閾値より大きいと判定した場合(ステップS70:YES)、即ちイオン有りと判定した場合、CPU81は、処理をステップS53に戻す。
ステップS70で所定の閾値(0.5V)より小さいと判定した場合(ステップS70:NO)、即ち、イオン判定1及びイオン判定2の何れにおいてもイオン有りと判定しなかった場合、CPU81は、「エラーカウント」に1を加算し(ステップS71)、「エラーカウント」が60になったか否かを判定する(ステップS72)。60になっていないと判定した場合(ステップS72:NO)、CPU81は処理を終了する。
「エラーカウント」が60になったと判定した場合(ステップS72:YES)、即ち、イオン無しと判定した場合、CPU81は、「エラーカウント」を0にクリアし(ステップS73)、イオン無しを報知するために、表示部86の青ランプを消灯させる(ステップS74)と共に、警告を示す赤ランプを点灯させる(ステップS75)。更に、CPU81は、音による警告を発するために、操作部85が備えるブザーを鳴動させ(ステップS76)、その他必要な運転停止の処理を行い(ステップS77)、処理を終了する。
尚、「エラーカウント」の判定回数は、60に限定されるものではなく、任意の値でよい。
以上のように、本実施の形態によれば、捕集電極に対して主にプラス及びマイナスのイオンを夫々発生させるイオン発生器同士を異なるタイミングでオンさせた場合、計測部の出力電圧の差分が0.5Vより大きい(又は小さい)ときに、イオンが有る(又は無い)と判定する。
これにより、イオンの有無を判定されるべき空気が高温・多湿のとき、又はイオン発生器の経時変化でイオンの発生量が減少したときのように、1つのイオン発生器のオン/オフに伴う計測部の出力電圧の変化量が小さいために、イオンの有無の判定が困難なときであっても、誤りなくイオンの有無を判定する。従って、温度・湿度の影響、及びイオン発生器の経時変化の影響を受けることなく高精度にイオンの有無を判定することが可能となる。
また、プラス及びマイナスのイオン発生部の並設方向を同一にしたイオン発生器同士を、前記並設方向の重なりが丁度なくなるまで偏倚させ、夫々のイオン発生部の近傍を通流する気流の方向と前記並設方向とが略直角をなすようにしてある。これにより、捕集電極は、一のイオン発生器のプラスのイオン発生部と、他のイオン発生器のマイナスのイオン発生部とが夫々発生させたイオンを捕集する。
従って、各イオン発生器を異なるタイミングでオンさせたときの計測部の出力電圧の差分が、1つのイオン発生器をオン/オフさせたときの出力電圧の変化量より増大するため、イオンの有無の判定を容易に行うことが可能となる。
更にまた、イオン発生器同士をイオン発生部の並設方向に突き合わせて列設してあり、夫々のイオン発生部の開口側が、前記列設方向と略垂直をなす一方向を向くようにしてある。
従って、捕集電極と、列設したイオン発生器との離隔距離を略最小にできるため、各イオン発生器を異なるタイミングでオンさせたときの計測部の出力電圧の差分が略極大となってイオンの有無の判定を確実に行うことが可能となる。また、各イオン発生部の夫々が通風路に発生させるイオンを、通風路の気流と共に効率よく通流させることが可能となる。
更にまた、捕集電極に対して、主にプラス及びマイナスのイオンを夫々発生させるイオン発生器同士を20秒周期で(10秒ごとに)交互にオンさせてイオンの有無を判定する。
これにより、イオン発生器同士にオンのタイミングの重なりが生じないため、各イオン発生器を異なるタイミングでオンさせたときの計測部の出力電圧の差分が略極大となってイオンの有無の判定を確実に行うことが可能となる。また、判定を周期的に行うため、同一処理を繰り返すことによってイオン無しと誤って判定される確率を低減することが可能となる。
更にまた、20秒周期で実施するイオン判定1によりイオンが無いと判定した場合、捕集電極に対して主にマイナスのイオンを発生させるイオン発生器を2秒周期でオンした後に、イオンの有無を再度判定する。
これにより、一のイオン発生器をオンさせた時の計測部の出力電圧の変化量に着目してイオンの有無を判定するため、プラスからマイナスへとイオンが入れ替わる時の出力電圧の急激な変化を捉えてイオンの有無を判定する。従って、イオンの有無を判定されるべき空気の湿度が極度に高まったときのように、一旦変化した計測部の出力電圧がイオン発生器をオンさせている間に逆方向に変化するようなときであっても、誤りなくイオンの有無を判定することが可能となる。
更にまた、60回連続でイオンが無いと判定した場合、表示部のLED、及び操作部のブザーにより使用者に警告を発する。
従って、イオンの発生量が低下した場合に使用者へ報知し、イオン発生部の清掃又はイオン発生器の交換を促すことが可能となる。
尚、本実施の形態にあっては、警告として表示部86の赤ランプを点灯させ、ブザーより警告音を発しているが、これに限定するものではなく、例えば、音声合成回路及びスピーカを備えて警告音声を発するようにしてもよい。
また、イオン判定1では、イオン発生器6a,6b及びイオン発生器6c,6dのオン/オフを切り替える直前の計測部67の出力電圧の差分と所定の閾値とを比較しているが、これに限定されるものではなく、例えば、イオン発生器6a,6bを10秒間オン及び10秒間オフさせている間に1秒毎にサンプリングした計測部の出力電圧について、最小値及び最大値を夫々決定し、決定した最大値及び最小値の差分と閾値とを比較してもよい。
更にまた、捕集電極66をDC5Vに抵抗でプルアップし、マイナスのイオンに着目してイオンの有無を判定しているが、これに限定するものではなく、例えば、接地電位に抵抗でプルダウンし、プラスのイオンに着目してイオンの有無を判定するようにしてもよい。
1 ハウジング
2 モータ
3 羽根車
4 ケーシング
5 ダクト
6a,6b,6c,6d イオン発生器
61,62 イオン発生部
66 捕集電極(イオン検出器の一部)
67 計測部(イオン検出器の一部)
81 CPU
82 ROM
83 RAM
84 タイマ
85 操作部
86 表示部(警告を発する手段)
91 イオン発生器駆動回路(駆動回路)

Claims (5)

  1. 少なくともプラスのイオンを発生させるイオン発生部を有する第1イオン発生器と、少なくともマイナスのイオンを発生させるイオン発生部を有する第2イオン発生器と、前記第1及び第2イオン発生器をオン/オフさせる駆動回路と、前記第1及び第2イオン発生器の夫々が発生させたプラス及びマイナスのイオンを捕集してイオンの発生状態を示す指標を検出するイオン検出器と、該イオン検出器が検出した指標に基づいて前記イオンの有無を判定する判定手段とを備えるイオン発生装置において、
    前記判定手段は、前記駆動回路が前記第1及び第2イオン発生器を所定周期で交互にオンさせた場合、前記イオン検出器が検出した指標の差分が所定の閾値より大きいときに、前記イオンが有ると判定するようにしてあることを特徴とするイオン発生装置。
  2. 前記第1及び第2イオン発生器は、共にプラス及びマイナスのイオンを夫々発生させる2つのイオン発生部を並設し、且つ該並設方向に列設してあることを特徴とする請求項1に記載のイオン発生装置。
  3. 前記判定手段が、前記イオンが無いと判定した場合、前記駆動回路が、前記第1又は第2イオン発生器をオンさせた時に、前記判定手段が前記イオンの有無を再度判定するようにしてあることを特徴とする請求項に記載のイオン発生装置。
  4. 前記判定手段が、所定回数連続して前記イオンが無いと判定した場合、警告を発する手段を備えることを特徴とする請求項又はに記載のイオン発生装置。
  5. 少なくともプラスのイオンを発生させるイオン発生部を有する第1イオン発生器と、少なくともマイナスのイオンを発生させるイオン発生部を有する第2イオン発生器と、前記第1及び第2イオン発生器の夫々で発生させたプラス及びマイナスのイオンを捕集してイオンの発生状態を示す指標をイオン検出器で検出し、該イオン検出器で検出した指標に基づいて前記イオンの有無を判定するイオンの有無判定方法において、
    前記第1及び第2イオン発生器を所定周期で交互にオンさせた場合、前記イオン検出器で検出した指標の差分が所定の閾値より大きいときに、前記イオンが有ると判定することを特徴とするイオンの有無判定方法。
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