JP4610001B2 - 車両用の油圧緩衝器及び二輪車等のフロントフォーク - Google Patents
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Description
(a)ピストンロッド内の第1のバイパス油路に中空のニードル弁を進退自在に設け、中空のニードル弁内に第2のバイパス油路を設け、この第2のバイパス油路に第2のバイパス油路の開口面積を調整する弁を先端部に有する第2の調整ロッドを進退自在に設けた。即ち、第1のバイパス油路内に第2のバイパス油路を形成したので、ピストンロッドのバイパス油路の構成が簡素となり製作が容易となる。従って、コストアップを招くことがない。
(b)第2のバイパス油路に、ブロー弁を先端部に有する第2の調整ロッドを進退自在に設けたので、低速時における圧側減衰の急激な上昇を防ぐことができる。また、ブロー弁は伸張時に第2のバイパス油路を閉じるので、伸側減衰力に影響を与えない。
(c)第1の調整ロッドのニードル弁内に第1のバイパス油路と並列に第2のバイパス油路を形成し、この第2のバイパス油路内に第2のバルブシート面を形成したので、中空ピストンロッドには1つのバルブシート面を形成するだけで済み、中空ピストンロッド内のバイパス油路の構成が簡素となる。従って、中空ピストンロッド内のバイパス油路の製作が容易となり、コストアップを招くことがない。
(d)中空ピストンロッドの大径の中空孔内に第1のバイパス油路の第1のバルブシートを形成し、第1のバルブシートに第1の調整ロッドの先端部に設けた中空のニードル弁が臨む。即ち、中空のニードル弁は、中空ピストンロッドの大径の中空孔内に収装されるので、中空のニードル弁の内径を大きくすることができる。その結果、中空のニードル弁内にブロー弁を収装することができる。また、ブロー弁の受圧径を大きくとることができるので減衰力の調整幅を大きくとることができる。
(e)ブロー弁がポペット弁からなるので、伸張時に第2のバイパス油路を確実に閉じる。その結果、第2のバイパス油路が伸張時の減衰力に影響を与えない。
(f)第2の調整ロッドは軸方向に進退してスプリングのばね荷重を調整するともに、ブロー弁の移動量をも規制する。ブロー弁の欠点である開弁後に大きく変化する開口面積を、ブロー弁の先端部の形状をニードル弁形状として変化しにくくするとともに、ブロー弁の移動量を規制することで、開口面積の急激な増大を防ぐことができる。
(e)フロントフォークのピストンの減衰力調整可能が乗車姿勢のまま可能である。
中空ピストンロッド22は、図3、図5に示すように、中空ピストンロッド本体22Aと、中空ピストンロッド本体22Aの先端部の外周にロックナット46を介して螺着したホルダ50からなり、ホルダ50の先端側の外径は基端側より小径に形成される。ホルダ50の先端側の外周にはピストン51が取付けられる。ピストン51はダンパシリンダ21内の油室Cを中空ピストンロッド22が収容される中空ピストンロッド側油室C1と中空ピストンロッド22が収容されないピストン側油室C2に区画する。
中空ピストンロッド22は軸方向に形成された中空孔60を有し、中空孔60の下端部はピストン側油室C2に開口する。
アウタチューブ11の上端の上記ばねアジャスタ24の内周には、図2に示すように、Oリングを介して上記中空の第1の調整ロッド64を軸方向に進退する中空の第1のアジャスタ84が回動自在に設けられる。第1のアジャスタ84の外端部には第1の操作ダイアル85が止めねじ86で固定される。第1のアジャスタ84の下端部の外周には中空の第1のスライダ87が異形嵌合し、第1のスライダ87は外周のねじ部87Aを介して上記ばねアジャスタ24の内周に螺合する。第1のスライダ87の下端部は環状カラー90を介して円筒状のジョイントカラー91に当接し、ジョイントカラー91は上記第1の調整ロッド64の上端側の基端部に当接する。環状カラー90は第1のスライダ87とジョイントカラー91の偏心を吸収するために設けられる。第1のアジャスタ84を回動すると第1のスライダ87が回転しながら軸方向に進退して、ジョイントカラー91を介して第1の調整ロッド64を軸方向に進退させる。そして、第1の調整ロッド64の先端部の中空のニードル弁65が第1のバルブシート63との間の開口面積を調整して伸側減衰力を調整する。
シリンダ本体21Aの基端部の内周には、図4、図6に示すように、軸方向に厚肉の頂部27Aを有する円筒状のサブタンク27が螺着される。サブタンク27の頂部27Aにはホルダ115が立設される。ホルダ115は軸部115Aと大径の基部115Bからなり、サブタンク27の頂部27Aの上側面に形成した上部凹部116内にホルダ115の基部115Bを螺着し、ホルダ115の軸部115Aの外周には圧側減衰力発生機構を有する隔壁部材120が嵌着される。隔壁部材120の下部には油溜室R1が区画される。隔壁部材120には、圧側油路121と伸側油路122が円周上に交互に形成され、圧側油路121の下部開口端に圧側バルブ123が設けられ、伸側油路122の上部開口端に伸側チェックバルブ124が設けられる。圧側油路121と圧側バルブ123及び伸側油路122と伸側チェックバルブ124が隔壁部材120の減衰力発生機構を構成する。
シリンダ側取付部材100の上記取付軸部100C内には、図7に示すように、軸方向に貫通する中心孔156が形成される。中心孔156内には、上記アジャストロッド134を回動するための圧側アジャスタ160が回転自在に設けられる。圧側アジャスタ160は、図14に示すように、基端側の軸部160Aと有底の円筒部160Bと、円筒部160Bの先端部の係合部160Cからなる。軸部160Aは円筒部160Bの底部に開口する軸方向の貫通孔161を有し、取付軸部100Cの中空孔156内にOリングを介して嵌挿される。円筒部160Bの底部にゴム等の弾性体からなる円柱状の弁体162が圧入される。係合部160Cは直径方向に削切された切欠き163を有し、更に、係合部160Cの内周には、図13に示すように、ゴム等の弁体162を軸方向に抜け止めするための円筒状のバルブストッパ164が圧入される。バルブストッパ164の内径は、図7に示すように、上記弁体162の外径より小径に形成されて、弁体162の軸方向の抜け止めをなす。また、バルブストッパ164には圧側アジャスタ160の係合部160Cの切欠き163と深さと幅が同一の切欠き165が形成され、バルブストッパ164の切欠き165はアジャスタの切欠き163と円周方向の同一位置となるように、圧入される。
シリンダ本体21Aの基端部の外周に、図6に示すように、円筒状ケース200が設けられる。円筒状ケース200は小径の嵌着部200Aと、小径の嵌着部200Aの内周の鍔部200Bと、基端側の大内径の嵌着部200Cと、小径の嵌着部200Aより大内径の先端側のシリンダ部200Dとからなる。小径の嵌着部200Aがシリンダ本体21Aの基端部の外周に嵌着され、鍔部200Bがシリンダ本体21Aとサブタンク27の外周の外周段部との間に挟持され、基端側の大内径の嵌着部200CはOリングを介してサブタンク27の外周に嵌着される。
(圧縮行程)
フロントフォーク10の圧縮時には、図1に示すように、アウタチューブ11とインナチューブ12の一方が他方に対して相対的に圧縮され、懸架スプリング40とダンパユニット23の外側の気体室Bが圧縮される。懸架スプリング40と気体室Bの気体ばねが、車両が路面から受ける衝撃力を吸収する。
中空ピストンロッド22がダンパシリンダ21内に進入すると、図5に示すように、ピストン側油室C2が収縮して、ピストン側油室C2の作動油が、ホルダ50内の小径の中空孔60Aと中空のニードル弁65の外周と第1のバルブシート63の間の油路とホルダ50の横孔61からなる第1のバイパス油路62を通り、中空ピストンロッド側油室C1に流れる。一方、中空ピストンロッド22の進入容積分の作動油が、図6に示すように、ピストン側油室C2に設けた隔壁部材120のバイパス油路125を通り、隔壁部材120の下部の油溜室R1に流れ、更に、サブタンク27の頂部27Aの外周部に形成された複数の軸方向の貫通孔135を通って、サブタンク27内の油溜室R2に流れる。サブタンク27内のブラダ140が収縮して中空ピストンロッド22の進入容積分を補償する。ピストン速度が中空ピストンロッド22内の第2のバイパス油路71に介装されたブロー弁80の開弁圧に達すると、ブロー弁80が開いてピストン側油室C2の作動油は、中空ピストンロッド22の中空の小径孔60Aと、中空のニードル弁65内の軸方向の小径孔72Bと大径孔72Aと中空のニードル弁65の横孔74からなる中空のニードル弁内の第2のバイパス油路71と、中空ピストンロッドの横孔61を通り中空ピストンロッド側油室C1に流れる。
ピストン速度が中高速時には中空のニードル弁65内のブロー弁80が完全に開いて、ピストン側油室C2の作動油はピストン51の圧側油路52の圧側バルブ54を撓めて中空ピストンロッド側油室C1に流れる。一方、中空ピストンロッド22の進入容積分の作動油が、隔壁部材120の圧側油路121の圧側バルブ123を撓めて、隔壁部材120の下部の油溜室R1に流れ、更に、サブタンク27の頂部27Aの外周部に形成された複数の軸方向の貫通孔135を通って、サブタンク27内の油溜室R2に流れる。隔壁部材120の圧側油路121の圧側バルブ123を通るときの作動油の流動抵抗で圧側減衰力を発生する。また、ピストン51の圧側油路52の圧側バルブ54でも圧側減衰力を発生する。
フロントフォーク10の伸張時には、アウタチューブ11とインナチューブ12の一方が他方に対して相対的に伸張し、懸架スプリング40が伸張するとともに、ダンパユニット23の外側の気体室Bが拡大する。
中空ピストンロッド22がダンパシリンダ21内から退出すると、中空ピストンロッド側油室C1が収縮し、中空ピストンロッド側油室C1の作動油が、図5に示すように、中空ピストンロッド22の横孔61と、中空のニードル弁65の外周と第1のバルブシート63の間の油路と、小内径の中空孔60Aとからなる第1のバイパス油路62を通り、ピストン側油室C2に流れる。中空ピストンロッド側油室C1の圧力はブロー弁80の圧力導入孔83を経てブロー弁80の背後の油室S3に作用して、中空のニードル弁65内の第2のバイパス油路71を閉じる。一方、ピストン側油室C2が拡大すると、サブタンク27内のブラダ140が収縮状態から復元し、中空ピストンロッド22の退出容積相当分の作動油が隔壁部材120の伸側油路122に設けた伸側チェックバルブ124を開いてピストン側油室C2の減圧を補償する。
ピストン速度が一定の速度に達すると、ピストン51の伸側油路55の伸側バルブ57が開いて伸側の減衰力を発生する。
ロッドガイド41と中空ピストンロッド22との間に設けられたオイルシール44はダンパシリンダ21内の作動油を掻き落とす一方向に設けられるので、中空ピストンロッド22の表面に付着したダンパシリンダ21外の作動油は経時的にダンパシリンダ21内に侵入する。ダンパシリンダ21内に作動油が溜まるとダンパシリンダ21内の圧力が増す。ダンパシリンダ21の圧力がダンパシリンダ21の外周の円筒上ケース内に設けた環状のリリーフ弁201の開弁圧に達すると、リリーフ弁201がリリーフスプリング207を撓めて上動し、リリーフ弁201の外周に嵌着したOリングが円筒状ケース200のシリンダ部200Dのテーパ面に至ると、ダンパシリンダ21内の油室Cの作動油をダンパシリンダ21外の油室Aに逃がし、ダンパシリンダ21の圧力を一定に保つ。
(a)中空ピストンロッド22内の第1のバイパス油路62に中空のニードル弁65を進退自在に設け、中空のニードル弁65内に第2のバイパス油路71を設け、この第2のバイパス油路71に第2のバイパス油路71の開口面積を調整する弁を先端部に有する第2の調整ロッド75を進退自在に設けた。即ち、中空のニードル弁65内に第2のバイパス油路71を形成したので、中空ピストンロッドのバイパス油路の構成が簡素となり、製作が容易となる。その結果、コストアップを招くことがない。
11 アウタチューブ
12 インナチューブ
21 ダンパシリンダ
22 中空ピストンロッド
23 ダンパユニット
51 ピストン
60A 大径の中空孔
60B 小径の中空孔
62 第1のバイパス油路
63 第1のバルブシート
64 第1の調整ロッド
65 中空のニードル弁
71 第2のバイパス油路
73 第2のバルブシート
75 第2の調整ロッド
80 ブロー弁
81 ポペット弁
82 スプリング
Claims (7)
- ダンパシリンダ内の油室にピストンを有する中空ピストンロッドを摺動自在に設け、ピストンに両側の油室を連通する油路を形成した車両用の油圧緩衝器において、
前記中空ピストンロッド内に、前記ピストンの油路と並列に第1のバイパス油路を設け、
該第1のバイパス油路に、該第1のバイパス油路の開口面積を調整する中空のニードル弁を有する第1の調整ロッドを進退自在に設け、
該中空のニードル弁内に、前記第1のバイパス油路と並列に第2のバイパス油路を設け、
該第2のバイパス油路に、該第2のバイパス油路の開口面積を調整する弁を先端部に有する第2の調整ロッドを進退自在に設けたことを特徴とする車両用の油圧緩衝器。 - ダンパシリンダ内の油室にピストンを有する中空ピストンロッドを摺動自在に設け、ピストンに両側の油室を連通する油路を形成した車両用の油圧緩衝器において、
前記中空ピストンロッド内に、前記ピストンの油路と並列に第1のバイパス油路を設け、
該第1のバイパス油路に、中空のニードル弁を先端部に有する第1の調整ロッドを進退自在に設け、
該中空のニードル弁内に、前記第1のバイパス油路と並列に第2のバイパス油路を設け、
該第2のバイパス油路に、ブロー弁を先端部に有する第2の調整ロッドを進退自在に設けたことを特徴とする車両用の油圧緩衝器。 - ダンパシリンダ内の油室にピストンを有する中空ピストンロッドを摺動自在に設け、ピストンに両側の油室を連通する油路を形成した車両用の油圧緩衝器において、
前記中空ピストンロッド内に、第1のバルブシートを有する第1のバイパス油路を前記ピストンの油路と並列に設け、
該第1のバルブシートに臨む中空のニードル弁を先端部に有する第1の調整ロッドを前記中空ピストンロッド内に進退自在に設け、
該中空のニードル弁内に、第2のバルブシートを有する第2のバイパス油路を前記第1のバイパス油路と並列に設け、
該第2のバルブシートに臨むブロー弁を先端部に有する第2の調整ロッドを第1の調整ロッド内に進退自在に設けたことを特徴とする車両用の油圧緩衝器。 - 前記中空ピストンロッドが大径の中空孔と小径の中空孔を有し、
前記第1のバイパス油路の第1のバルブシートを該大径の中空孔内に形成した請求項3に記載の車両用の油圧緩衝器。 - 前記ブロー弁は、前記第1の調整ロッド内に摺動自在に設けたポペット弁と該ポペット弁と前記第1の調整ロッドとの間に設けたスプリングからなり、
前記第2の調整ロッドが該スプリングのばね荷重を調整する請求項2又は3に記載の車両用の油圧緩衝器。 - 前記ポペット弁の先端部をニードル弁形状とした請求項5に記載の車両用の油圧緩衝器。
- 摺動自在に嵌合する車体側チューブと車輪側チューブと、
油室を有するダンパシリンダと、
ダンパシリンダ内油室に摺動自在に設けられピストンを有する中空ピストンロッドと、
ピストンの両側の油室を連通するピストン油路と、
前記中空ピストンロッド内に、前記ピストンの油路と並列に設けた第1のバイパス油路と、
該第1のバイパス油路に進退自在に設けられ、該第1のバイパス油路の開口面積を調整する弁を有する第1の調整ロッドと、
該中空のニードル弁内に、前記第1のバイパス油路と並列に設けた第2のバイパス油路と、
該第2のバイパス油路に進退自在に設けられ、該第2のバイパス油路の開口面積を調整する弁を先端部に有する第2の調整ロッドとからなる油圧緩衝器を備え、
前記車体側チューブと車輪側チューブ内に該油圧緩衝器を正立状態にして内装し、
前記第1の調整ロッドと第2の調整ロッドを、該車体側チューブの上端部から操作可能としたことを特徴とする二輪車等のフロントフォーク。
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