JP4608428B2 - パーキングブレーキ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車のシートに操作レバーを設けたパーキングブレーキ装置に関する。
パーキングブレーキ装置の操作レバーは、通常、運転席及び助手席の各シート間から突出していることから、前記シート間の空間利用を阻害するほか、運転席のシートを前後位置調整すると運転手に対する相対位置関係が変化して、操作感が変わる問題がある。これから、操作レバーを運転席のシートに設け、運転席のシートと共に操作レバーも前後位置調整できることで、操作感を一定にするパーキングブレーキ装置が提案されている(特許文献1)。
特許文献1は、運転席のシートに操作レバー(パーキングブレーキ操作レバー)とラチェット歯や複数のピン孔を設けたスライドレールとを設け、前記操作レバー及びスライドレールを係合又は解除するロックピンを別途設けたパーキングブレーキ装置を開示している(特許文献1特許請求の範囲ほか、第1図〜第3図参照)。このパーキングブレーキ装置は、スライドレールにブレーキケーブルが接続されており、必要に応じてロックピンにより操作レバーをスライドレールに係合させることにより両者を連動させ、ブレーキケーブルを引っ張る。
実全昭61-191964号公報
運転席のシートに操作レバーを設けた場合、シートと操作レバーとの相対位置関係に変化がなくなるので、操作レバーの操作感を一定に保つことができるが、操作レバーにブレーキケーブルを直結すると、操作レバーが前後位置調整できることによりブレーキケーブルの実効長(車輪のブレーキ機構までに必要な長さ)が長く又は短くなり、制動状態を変化させる虞がある。そこで、特許文献1のパーキングブレーキ装置は、回転操作する操作レバーとブレーキケーブルを引くスライドレールとを分離し、必要に応じてロックピンにより両者を連動させることで制動状態の変化を防止している。しかし、操作レバーと別にロックピンを操作しなければならず、パーキングブレーキ装置全体の操作性を損ねる問題がある。
また、特許文献1のパーキングブレーキ装置はスライドプレートにラチェット機構を設けて、スライドレールが単独でブレーキケーブルを引っ張った状態を維持できるようにしている。これから、制動状態を維持している間、操作レバーがシートの座部から突出しないように、あえてロックピンを外して操作レバーを倒しておくことが考えられる。しかし、再び操作レバーとスライドプレートをロックピンで連結することは難しいため、操作レバーを倒しておくことは現実的にできない問題がある。そこで、特許文献1のパーキングブレーキ装置に見られる問題、すなわち操作レバーの回転操作をブレーキケーブルに伝達する構成や、制動状態を作り出した状態で操作レバーを倒して収納できるようにするため、シートに操作レバーを設けるパーキングブレーキ装置について検討した。
検討の結果開発したものが、操作レバーを運転席のシートに設け、前記操作レバーの回転操作に応答してブレーキケーブルを引っ張るブレーキ作動部を車体に配したパーキングブレーキ装置において、操作レバーの回転軸と同軸である扇状のピニオンを前記操作レバーに設け、前記ピニオンが噛みあうことにより前進するラックを車体に設け、前記ラックとブレーキ作動部とを中間ケーブルで接続してなり、ピニオンは、操作レバーを倒した段階でラックとの噛み合いが完全に解消され、操作レバーを引き起こした段階からラックに噛み合わせ、操作レバーの回転操作によピニオンの回転によりラックを前進させ、前記ラックの前進を中間ケーブルによりブレーキ作動部に伝達させ、そして前記ブレーキ作動部がブレーキケーブルを引っ張るパーキングブレーキ装置である。
本発明のパーキングブレーキ装置は、操作レバーの回転操作をブレーキ作動部に伝達する構成として、操作レバーに設けたピニオンと車体に設けたラックとからなるラックピニオン機構を利用した点に特徴がある。これにより、シートに合わせて操作レバーを前後位置調整しても、ピニオンがラックに噛み合う位置関係を問わず、ピニオンの回転量に応じてラックを前進させることができる。ここで、ピニオンは、操作レバーを引き起こした段階からラックに噛みあう範囲で歯を有する扇状にすることが好ましい。これにより、操作レバーを倒して収納している状態ではピニオンがラックに噛みあわず、シートの前後位置調整によって、操作レバーが勝手に引き起こされたり、逆にラックが勝手に後退することがなくなる。
車体に設けるラックは、進退方向に延びる長孔である軌道孔及び連結孔を設けて、軌道孔は、ラックが後退した際、車体から突出する案内突起を前端に係合させ、連結孔は、ラックが前進した際、中間ケーブルの接続部を後端に係合させた構成にするとよい。軌道孔は、ラックの進退範囲を決定すると共に、案内突起を前端に係合させることでラックの後退限度を決定する。連結孔は、中間ケーブルの接続部を後端に係合させることで、ラックの前進により確実に中間ケーブルを引っ張ることができる。また、後述するようにロック機構により制動状態を維持したまま操作レバーを倒した場合、中間ケーブルの接続部は連結孔の前端に向けて移動できるため、中間ケーブルがラックの後退による影響を受けなくて済む。
本発明のパーキングブレーキ装置は、ブレーキ作動部にロック機構を設けることにより、制動状態を維持したまま、操作レバーを倒して収納できるようにするとよい。具体的には、ブレーキ作動部はブレーキケーブルの引っ張りを中間ケーブルの引っ張り回数に応じて択一的に維持及び解除するロック機構を設けることにより、操作レバーを引き起こしてラックを前進させ、前記ラックが中間ケーブルを引っ張るとブレーキ作動部がブレーキケーブルを引っ張ると共にロック機構が前記ブレーキケーブルの引っ張りを維持した状態で操作レバーを倒すことができ、操作レバーを再度引き起こしてラックを前進させ、前記ラックが中間ケーブルを引っ張るとブレーキ作動部がブレーキケーブルを引っ張ると共にロック機構が前記ブレーキケーブルの引っ張りを解除させてから操作レバーを倒すことができる。
また、ブレーキ作動部にロック機構を設けた場合、押し下げ方向の付勢手段を操作レバーに設けてあると、ロック機構がブレーキケーブルの引っ張りを維持した状態又はブレーキケーブルの引っ張りを解除させた状態で操作レバーの回転操作をやめると前記付勢手段に従って倒すことができる。これにより、回転操作をしている以外は、操作レバーは自動的に倒れて収納でき、シートの座部から突出することがなくなる。
同様に、後退方向の付勢手段をラックに設けてあると、ロック機構がブレーキケーブルの引っ張りを維持した状態又はブレーキケーブルの引っ張りを解除させた状態で操作レバーの回転操作をやめると前記付勢手段に従ってラックを後退させ、前記ラックに従って操作レバーを倒すことができる。ラックに設けた付勢手段は、ラックを確実に初期位置に復帰させる働きも有する。
本発明のパーキングブレーキ装置は、操作レバーの回転操作をブレーキ作動部に伝達する構成として、操作レバーに設けたピニオンと車体に設けたラックとからなるラックピニオン機構を採用したことにより、シートに合わせて操作レバーを前後位置調整させながら、操作レバーの操作感を一定に保つことができる。また、中間ケーブルの引っ張り回数に応じて択一的に維持及び解除するロック機構をブレーキ作動部に配することにより、制動状態を維持したまま、操作レバーのみを倒して収納することができる。
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。図1は本発明に基づくパーキングブレーキ装置1の一例を表す右前斜め上方から見た斜視図、図2は本例のパーキングブレーキ装置1を表す右前斜め下方から見た斜視図、図3はシート2を略した図1相当拡大斜視図、図4はシート2を略した左前斜め上方から見た拡大斜視図である。説明の便宜上、図1以外は操作レバー11の化粧カバー118を省略している。
まず、本例のパーキングブレーキ装置1の構成を説明する。本例のパーキングブレーキ装置1は、図1〜図4に見られるように、運転席のシート2の座部21の内側面(本例では運転席及び助手席の間の側を内側面と呼ぶ。以下、同じ。)に操作レバー11を設け、前後位置調整するシート2の軌道を構成する架台22の内レール221の内側面にラック13を設け、そしてシート2の座部21の下、前記架台22の外レール222及び内レール221に挟まれた位置にブレーキ作動部15を設けて、ラック13とブレーキ作動部15とを中間ケーブル14で結んでいる。ブレーキ作動部15は、外部から視認されない隠れた位置に設けることが好ましく、前記隠れた位置であればシート2の座部21の下以外に設けてもよい。しかし、中間ケーブル14を短くする観点から、本例のようにシート2の座部21の下に設けることが好ましい。
操作レバー11は、従来公知のパーキングブレーキ装置と同様な構成で、回転操作するグリップ111以外は化粧カバー118により隠している。本例の操作レバー11は、前記化粧カバー118内で、シート2の座部21の内側面に取り付けたレバー基部114に、回転軸113を介して回転操作自在に取り付けている。レバー基部114は、シート2の座部21と一体になって、架台22の内レール221に沿って摺動する内ガイド223に設けたレバー取付ブラケット115を介してシート2の内側面に固定している。ピニオン12は、回転軸113から前方に向けて延びるグリップ111と前記回転軸113を挟んで反対側のレバー本体112に取り付けた扇状部材で、扇状縁部に多数の歯121を設けている。このピニオン12は、操作レバー11を一定程度引き起こした段階からラック13に噛みあうように、レバー本体112に取り付けている。すなわち、グリップ111が水平になるまで操作レバー11を倒せば、ピニオン12とラック13との噛み合いが完全に解消され、操作レバー11が多少持ち上げられた程度では、ラック13の前進、ひいてはブレーキ作動部15が制動状態にならないようになっている。
このほか、本例の操作レバー11は、レバー基部114の前方に突出する基部アーム116とグリップ111の根元との間にレバー復帰スプリング(コイルスプリング)117を架け渡し、倒す方向の付勢を与えている。これにより、引き起こす回転操作をやめて操作レバー11から手を放すと、操作レバー11は自動的に倒れるようになり、またピニオン12が噛みあう範囲でラック13も後退させることができる。また、上述したように、ピニオン12がラック13に噛みあわない段階で操作レバー11は自由状態になるが、レバー復帰スプリング117により倒す方向に付勢されているため、倒されてシート2の座部21より下に収納された操作レバー11ががたつく虞はない。
ラック13は、進退方向に延びる長孔である3個の軌道孔132と1個の連結孔133とを設けた板部材で、上縁にピニオン12と噛みあう多数の歯131を設けている。本例のラック13は、進退方向とシート2の前後位置調整方向とを一致させているので、各軌道孔132及び連結孔133はシート2の前後位置調整方向に延び、また前記多数の歯131はシート2の前後位置調整方向に並んでいる。ピニオン12に噛みあう前記歯131は、ラック13と一体に形成してもよいし、歯131だけを設けた部材をラック13に取り付けてもよい。歯131の並ぶ範囲は、シート2に合わせて前後位置調整した操作レバー11を回転操作した時でも確実にピニオン12が噛みあうように、シート2の前後調整範囲と、ピニオン12が噛みあってラック13が前進する長さとの合計以上の長い範囲としている。
3個の軌道孔132は、ラック13の進退方向に直列かつ等間隔で並んでおり、シート2の架台22の内レール221に固定したラック取付ブラケット134から突出し、シート2の前後位置調整方向に直列かつ等間隔に並んだ3個の案内突起135をそれぞれ前端に係合させている。本例の案内突起135は、ラック取付ブラケット134から突出するボルトからなり、各軌道孔132から突出するボルトにナットを螺着することで、前記ナットをラック13に係合させている。このように、複数、好ましくは3個以上の案内突起135を対応する軌道孔132に係合させたラック13は、全案内突起135によって支持され、かつ進退方向をシート2の前後位置調整方向に規制されるので、安定かつ確実に進退方向に案内される。ラック13は、位置固定された案内突起135に対して軌道孔132の後端が係合する範囲で前進できる。
連結孔133は、軌道孔132と平行であればラック13のどの部位に設けてもよいが、本例ではラック13の一番前に設けた軌道孔132の下に形成した張り出し部139に、前記軌道孔132と平行に設けている。ラック13は軌道孔132の長さの範囲で前進し、ブレーキ作動部15のロック機構が働いた状態では、中間ケーブル14が引っ張られた状態を維持したままラック13のみ後退することから、軌道孔132に係合する中間ケーブル14の接続部143が相対的に前進できるように、連結孔133の長さは軌道孔132の長さに等しくしている。連結孔133の長さは軌道孔132の長さ以上であればよい。
中間ケーブル14は、ラック取付ブラケット134に設けた支持フランジ145にケーブルカバー141を固定し、前記支持フランジ145から延びるケーブルワイヤ142の前端に取り付けた接続部143のピン144を連結孔133の後端に係合させている。接続部143は、前記張り出し部139を挟む幅の平面視U字状部材で、中間ケーブル14が引っ張られた状態を維持したままラック13のみ後退することから、軌道孔132に係合するピン144に対して相対的にラック13が後退できるように、接続部143の折り曲げ部146とピン144との距離は前記ラック13の後退する長さに等しくして、ラック13の後退を妨げないようにしている。
このほか、本例のラック13は下縁の一部から突出させた鉤状のラック側フック136と、ラック取付ブラケット134に設けたブラケット側フック137との間にラック13復帰スプリング138(コイルスプリング)を架け渡し、後退方向の付勢を与えている。これにより、ピニオン12との噛み合いが解消した後も、ラック13を後退させることができる。操作レバー11に取り付けたピニオン12は、初期位置のラック13を基準として、シート2の前後位置調整を問わずに噛みあうように設定しているため、ピニオン12との噛み合いが解消されたラック13は、常に初期位置に復帰できるようにしておくことが好ましい。
例えば操作レバー11を倒して収納できる従来の傾倒式パーキングブレーキ装置は、操作レバー11や本発明のブレーキ作動部15に相当する構成部分を初期位置に復帰させる付勢手段として、コイルスプリング等を用いていた。本発明のパーキングブレーキ装置1では、ラック13とラック取付ブラケット134との間に架け渡したラック復帰スプリング138により、ラック13を確実に初期位置に復帰させる。
ブレーキ作動部15は、ブレーキ機構(図示略)に延びるブレーキケーブル16を引っ張って前記ブレーキ機構を働かせて制動状態を作り出し、また前記ブレーキケーブル16を弛めて前記ブレーキ機構を停止させて非制動状態に復帰するモジュールである。具体的な構成は自由であり、ブレーキケーブル16の引っ張りを中間ケーブル14の引っ張り回数に応じて択一的に維持及び解除するロック機構(図示略)を有すればよい。最も簡易には、従来公知の傾倒式パーキングブレーキ装置の操作レバーを省略した構成を例示できる。本発明では、ブレーキ作動部15の構成や設置場所を問わないため、前記操作レバーを省略した傾倒式パーキングブレーキ装置を横倒しの姿勢で車体に設けることができる。これにより、ブレーキ作動部15は高さ方向に扁平な構成となり、ブレーキ作動部15を設ける空間の高さを抑制できることから、本例のように、シート2の座部21の下にブレーキ作動部15を設けることもできる。
図5〜図10はシート2の前後位置調整と操作レバー11の回転操作との関係を表した側面図であり、図5は操作レバー11が倒されている初期非制動状態、図6は操作レバー11を引き起こした制動回転操作状態、図7は制動状態を維持したまま操作レバー11を収納した制動維持状態、図8は制動状態を維持したままシート2を後退させたシート調整状態、図9は再び操作レバー11を引き起こした解除回転操作状態、そして図10は操作レバー11を倒した復帰非制動状態をそれぞれ表している。
次に、シート2の前後位置調整と本例のパーキングブレーキ装置1の操作との関係を説明する。シート2が架台22に対して前方に位置し、ブレーキ作動部15が初期非制動状態にある場合、図5に見られるように、操作レバー11はシート2に合わせて前方に位置し、倒れている。この初期非制動状態では、操作レバー11に設けたピニオン12はラック13に噛みあっていないので、ラック13はラック復帰スプリング138の付勢に従って後退し、案内突起135は軌道孔132の前端に係合し、中間ケーブル14の接続部143は連結孔133の後端に係合している。
上記初期非制動状態から操作レバー11を引き起こすと、ピニオン12がラック13に噛み合い始め、図6に見られるように、前記ピニオン12に押し出されるようにラック13が前進する。そして、前記ラック13により中間ケーブル14が引っ張られ、この中間ケーブル14の引っ張りによってブレーキ作動部15の制動状態を作り出し、ブレーキ作動部15が有するロック機構が前記制動状態を維持する。制動状態は、従来同様、ブレーキ作動ランプ等を点灯させることで確認できる。ブレーキ作動部15が制動状態を作り出すために必要な中間ケーブル14の引っ張り量は、できるだけ小さい方が好ましい。これは、ラック13の前進量が小さく、前記ラック13の前進に必要なピニオン12の回転量も小さいことを意味する。しかし、操作レバー11におけるグリップ111は、回転軸113からのピニオン12までより長いのでピニオン12に比べて大きな回転量を確保でき、操作性を損ねることはない。
上記制動状態では、引き起こされた操作レバー11がレバー復帰スプリング117を伸ばし、前記レバー復帰スプリング117が縮もうとする力により操作レバー11は倒す方向に付勢されている。また、ピニオン12の噛みあいにより前方に押し出されたラック13がラック復帰スプリング138を伸ばし、前記ラック復帰スプリング138が縮もうとする力によりラック13は後退方向に付勢されている。これから、操作レバー11から手を放すと、図7に見られるように、操作レバー11はレバー復帰スプリング117が縮むことによって倒れ、シート2の座部21から突出しないように収納できる。また、ラック13は、前記操作レバー11が倒れる際のピニオン12との噛み合いと、レバー復帰スプリング117が縮むことによって後退し、初期位置に復帰できる。
操作レバー11を収納した制動維持状態では、ピニオン12とラック13とは完全に分離しており、シート2に合わせて操作レバー11を前後位置調整しても、ラック13が前後位置調整されることはない。そこで、図8に見られるように、パーキングブレーキ装置1の制動状態を保ったまま、シート2を後退させることができる。シート2が後退していれば、同様に前進させることができる。このとき、操作レバー11はシート2の座部21より下方に倒れているので、シート2の位置調整の操作を阻害することはない。また、非制動状態で操作レバー11が倒れて収納されている時も、前述同様、ラック13を前後位置調整させることなく、シート2を前後位置調整できる。
本発明は、シート2に操作レバー11を設けることにより、前後位置調整したシート2に対する操作レバー11の位置関係を固定しながら、シート2に合わせて前後位置調整した操作レバー11をどの位置で回転操作しても、操作感が一定である点に特徴がある。すなわち、図9に見られるように、後退したシート2の位置で操作レバー11を引き起こせば、再びピニオン12がラック13に噛みあい、前記ピニオン12に押し出されるようにラック13が前進する。そして、最初の引き起こしを僅かに超える程度まで操作レバー11を引き起こすと、前記超過量分だけラック13が多く前進し、中間ケーブル14を多く引っ張る。この結果、ブレーキ作動部15のロック機構が制動状態の維持を解除して、非制動状態に復帰させることができる。非制動状態への復帰は、従来同様、ブレーキ作動ランプ等の消灯により確認できる。
ブレーキ作動部15が復帰非制動状態になれば、図10に見られるように、操作レバー11から手を放すことによりレバー復帰スプリング117が縮んで前記操作レバー11を倒し、シート2の座部21から突出しないように収納できる。また、ラック13は、ブレーキ作動部15が初期状態に復帰しようとして引っ張る中間ケーブル14と、前記操作レバー11が倒れる際のピニオン12との噛み合いと、レバー復帰スプリング117が縮むことによって後退し、初期位置に復帰できる。このように、本発明のパーキングブレーキ装置1は、前後位置調整するシート2に合わせて操作レバー11の位置が変わっても前記操作レバー11の回転操作の操作感を一定にできるほか、制動状態又は非制動状態を問わず、操作レバー11を倒していればシート2を自由に前後位置調整できる。
図1は本発明に基づくパーキングブレーキ装置の一例を表す右前斜め上方から見た斜視図である。 本例のパーキングブレーキ装置を表す右前斜め下方から見た斜視図である。 シートを略した図1相当拡大斜視図である。 シートを略した左前斜め上方から見た拡大斜視図である。 操作レバーが倒されている初期非制動状態を表した側面図である。 操作レバーを引き起こした制動回転操作状態を表した側面図である。 制動状態を維持したまま操作レバーを収納した制動維持状態を表した側面図である。 制動状態を維持したままシートを後退させたシート調整状態を表した側面図である。 再び操作レバーを引き起こした解除回転操作状態を表した側面図である。 操作レバーを倒した復帰非制動状態をを表した側面図である。
符号の説明
1 パーキングブレーキ装置
11 操作レバー
111 グリップ
112 レバー本体
113 回転軸
117 レバー復帰スプリング
12 ピニオン
13 ラック
131 歯
132 軌道孔
133 連結孔
135 案内突起
138 ラック復帰スプリング
14 中間ケーブル
143 接続部
15 ブレーキ作動部
16 ブレーキケーブル
2 シート
21 座部
22 架台

Claims (4)

  1. 操作レバーを運転席のシートに設け、前記操作レバーの回転操作に応答してブレーキケーブルを引っ張るブレーキ作動部を車体に配したパーキングブレーキ装置において、
    操作レバーの回転軸と同軸である扇状のピニオンを前記操作レバーに設け、前記ピニオンが噛みあうことにより前進するラックを車体に設け、前記ラックとブレーキ作動部とを中間ケーブルで接続してなり、
    ピニオンは、操作レバーを倒した段階でラックとの噛み合いが完全に解消され、操作レバーを引き起こした段階からラックに噛み合わせ、操作レバーの回転操作によピニオンの回転によりラックを前進させ、前記ラックの前進を中間ケーブルによりブレーキ作動部に伝達させ、そして前記ブレーキ作動部がブレーキケーブルを引っ張ることを特徴とするパーキングブレーキ装置。
  2. ラックは進退方向に延びる長孔である軌道孔及び連結孔を設けてなり、
    軌道孔は、ラックが後退した際、車体から突出する案内突起を前端に係合させ、
    連結孔は、ラックが前進した際、中間ケーブルの接続部を後端に係合させ請求項1記載のパーキングブレーキ装置。
  3. 操作レバーは押し下げ方向の付勢手段を設けてなり、操作レバーの回転操作をやめると前記付勢手段に従って倒すことのできる請求項1又は2いずれか記載のパーキングブレーキ装置。
  4. ラックは後退方向の付勢手段を設けてなり、操作レバーの回転操作をやめると前記付勢手段に従ってラックを後退させ、前記ラックに従って操作レバーを倒すことのできる請求項1〜3いずれか記載のパーキングブレーキ装置。
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