JP4605688B2 - 接着剤塗布装置及び接着剤塗布方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定長さに切断された帯状ゴム板の切断面に接着剤を塗布するための接着剤塗布装置及び接着剤塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる帯状ゴム板の一例として、タイヤのトレッド部を構成する帯状ゴム板がある。この帯状ゴム板は、押し出し成型機から連続的に帯状に押し出し成型された後、カッターにより所定の長さに切断される。この切断された帯状ゴム板は、後工程でドラムに巻きつけられ、切断面どうしをジョイントする。そのために、各切断面に接着剤を塗布するようにしている。 接着剤を塗布する方法として、従来は次のように行っている。
【0003】
すなわち、押し出し成型された帯状ゴム板は、ベルトコンベアに搭載されて搬送される。そして、接着剤を塗布する際には、帯状ゴム板を搭載したベルトコンベアを一時停止させ、加圧した接着剤をスプレーにより切断面に噴射塗布していた。なお、ベルトコンベアを一時停止させずに走行させながら、接着剤をスプレー塗布する場合もある。接着剤を塗布する範囲については、通常は切断面の全面にわたって塗布することが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スプレーによる塗布方法では、塗布範囲をコントロールすることが困難である。上記のように、帯状ゴム板の切断面の全面又はほぼ全面にわたって接着剤を塗布する必要がある場合は、切断面以外の領域への接着剤の飛散が生じやすくなる。これにより、帯状ゴム板の切断面以外の部分に接着剤が付着する可能性があり、品質劣化の原因となる。
【0005】
さらに、帯状ゴム板の切断面以外の部分に接着剤が飛散する可能性があることから、周囲の環境状態が悪くなるという問題もある。そのために、接着剤塗布を行う領域を囲うためのブースを必要としたり、排気装置を設けなければならないといった問題もあった。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、帯状ゴム板の切断面に接着剤を塗布するにあたり、切断面以外の領域への接着剤の飛散を防止し、環境劣化等の問題を改善することのできる接着剤塗布装置及び接着剤塗布方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明に係る接着剤塗布装置は、
所定長さに切断された帯状ゴム板の幅方向に沿った切断面に接着剤を塗布するための接着剤塗布装置であって、
接着剤が含浸されるローラ外周部を有するローラと、
前記ローラを前記切断面に沿って移動させるローラ移動手段と、
前記ローラ外周部に接着剤を供給する接着剤供給手段とを備え、
接着剤が含浸された前記ローラ外周部を、前記切断面に対して押し付けながら前記幅方向に沿って移動させることにより、前記切断面に接着剤を塗布するようにしたことを特徴とするものである。
この構成による接着剤塗布装置の作用・効果は、以下の通りである。
まず、ローラ外周部を有するローラを備えており、このローラを接着剤塗布のために使用する。接着剤供給手段を備えており、ローラ外周部に接着剤を供給する。これにより、ローラ外周部には接着剤が含浸される。このローラ外周部を切断面に対して押し付けながら、切断面に沿って移動させる。これにより、ローラ外周部に含浸された接着剤が、切断面に塗布される。
【0006】
接着剤が、ローラのローラ外周部に含浸させた状態で塗布されるから、接着剤が切断面以外の領域に飛散するということがない。また、ローラ外周部を切断面に押し付けた状態で、ローラ外周部を切断面に沿って移動させるものであるから、切断面の全面又はほぼ全面にわたって接着剤を塗布することができる。その結果、帯状ゴム板の切断面に接着剤を塗布するにあたり、切断面以外の領域への接着剤の飛散を防止し、環境劣化等の問題を改善することのできる接着剤塗布装置を提供することができる。
【0007】
本発明の好適な実施形態として、 前記接着剤供給手段は、所定量の接着剤を前記ローラ外周部の所定箇所に滴下するように構成され、前記ローラ外周部の全域に前記接着剤を馴染ませるための板部材を設け、前記ローラ外周部を前記板部材の表面に押し付けながら回転移動させることで、前記接着剤を馴染ませるようにしたものあがげられる。
ローラ外周部への接着剤の供給は、接着剤供給手段により所定量の接着剤をローラ外周部に対して滴下することにより行われる。 この場合、接着剤の滴下は、ローラ外周部のある箇所に対して行われる。次に、 ローラ外周部を板部材の表面に対して押し付けながら回転移動させる。これにより、接着剤をローラ外周部の全体にわたり馴染ませることができる。その結果、切断面に対して均一に接着剤を塗布することができる。
【0008】
本発明の別の好適な実施形態として、 前記板部材は、テフロンコーティングを行った金属板により形成されるものがあげられる。
金属板にテフロンコーティングを行うことにより、接着剤が滴下されたローラ外周部を押し付けて移動させても、接着剤が金属板に付着することがない。これにより、金属板のメンテナンス回数を減らすことができ、寿命が長くなる。
【0009】
本発明の更に別の好適な実施形態として、 前記ローラ外周部の前記切断面に対する押し付け力を調整可能に構成しているものがあげられる。
これにより、適切な押圧力を付与することができる。
【0010】
本発明による接着剤塗布方法は、上記説明してきた接着剤塗布装置を利用して、帯状ゴム板の幅方向に沿った切断面に接着剤を塗布するための接着剤塗布方法であって、
ローラのローラ外周部に接着剤を供給するステップと、
前記接着剤が含浸されたローラ外周部を、前記切断面に対して押し付けながら前記幅方向に沿って移動させることにより、前記切断面に接着剤を塗布するステップとを有することを特徴とするものである。かかる構成による作用・効果については、既に説明した通りである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる接着剤塗布装置の好適な実施形態を図面を用いて説明する。まず、本発明に適用できる帯状ゴム板の具体例について、 図1により説明する。この帯状ゴム板は、空気入りタイヤのトレッド部を形成するために用いられる。
まず、公知の押出し装置により帯状ゴム板1が連続的に成型される。連続成型される帯状ゴム板1は、不図示の搬送機構により図1の左から右側へと搬送される。この帯状ゴム板1を公知の切断装置を用いて、 所定の長さの帯状ゴム板2になるように切断する。この帯状ゴム板2は、搬送方向に沿って所定の長さを有すると共に、紙面垂直方向に所定の幅寸法を有している。また、切断装置により切断されることにより、前後方向に2箇所の切断面2aを有する。 この2箇所の切断面2aに夫々接着剤を塗布するために、接着剤塗布装置が設けられている。すなわち、 切断面2aは接着面でもある。
【0012】
切断面2aに接着剤が塗布されると、ドラム3の外周に巻きつけられ、切断面2aどうしがジョイントされる。その後は、所定の処理工程を実施することにより、 製品としての空気入りタイヤを製造することができる。
【0013】
なお、図1にも示されている通り、切断面2aは帯状ゴム板2の表面に対して垂直ではなく、かなり傾斜をしている。これは、接着面積をできるだけ広く取り、接着力を高めるためである。また、帯状ゴム板2の前後2箇所の切断面2aに接着剤を塗布する必要があることから、図1にも示すように、2箇所に接着剤塗布装置が設けられている。
【0014】
<接着剤塗布装置の構成>
次に接着剤塗布装置の構成を説明する。図2は、接着剤の塗布を行っている状態を示す接着剤塗布装置の側面図であり、図3は、接着剤塗布装置の平面図であり、図4は、図2の主要部分の部分拡大図であり、図5は、フェルトローラに接着剤を滴下させる状態を示す接着剤塗布装置の側面図であり、図6はフェルトローラの詳細を示す拡大図であり、図7は接着剤塗布装置の斜視図である。
【0015】
図2において、切断された帯状ゴム板2は矢印A方向にベルトコンベア10に搭載されて搬送される。帯状ゴム板2の一方の切断面2aが図示されている。
【0016】
接着剤塗布装置は、フレーム部材11,12,13を備えており、各機構を指示している。また、前後方向に伸びるフレーム部材12に対して、前後方向( 矢印D方向) に移動可能なスライドフレーム14を備えている。また、スライドフレーム14を移動可能にするための不図示の駆動機構が設けられている。
【0017】
切断面2aに接着剤を塗布するためのフェルトローラ15が設けられ、このフェルトローラ15を回転自在に支持する支持軸16と、この支持軸16の一端が取りつけられるホルダー17が設けられている。一方、シリンダ18が取付板19に取りつけられており、このシリンダ18にはシリンダ軸20が矢印B方向に出退可能に取りつけられている。また、シリンダ軸20の先端部にはブラケット21が設けられている。ブラケット21には、回転支軸22が設けられており、フェルトローラ15と支持軸16は、回転支軸22周りに回動自在な状態で取り付けられている。また、付勢バネ23が設けられており、フェルトローラ15と支持軸16を回転支軸22に対して時計回りに付勢している。これにより、フェルトローラ15は切断面2aに対して押し付けられる。付勢バネ23による押し付け力は、ボルトナット機構24により調整することができる。また、フェルトローラ15は上述のように、時計回りに付勢されているが、不図示のストッパーにより所定位置以上に回転しないように構成されている。
【0018】
図2に示すように、シリンダ18は移動ブラケット25及び取付板19により傾斜した状態で取り付けられており、その結果、支持軸16とフェルトローラ15も角度θだけ傾斜して取りつけられることになる。帯状ゴム板2の切断面2aがもともと傾斜した面となっているため、シリンダ18を傾斜させることで、フェルトローラ15の外周面と切断面2aとを合わせることができる。これにより、接着剤の塗布を切断面2aに対して均一に行うことができる。
【0019】
取付板19は移動ブラケット25( ローラ移動手段に相当する。) に一体的に固定されており、この移動ブラケット25は、スライドフレーム14に対して図2の紙面に垂直な方向( 図3の矢印C方向) にスライド移動可能になっている。
【0020】
次に、フェルトローラ15の構成を図6により説明する。支持軸16には、その先端部に径が細くなった小径部16aが形成されている。この小径部16aに第1カラー26と第2カラー27とが嵌めこまれる。フェルトローラ15は、ローラ本体部15aと、このローラ本体部15aの外周に設けられるローラ外周部15bとを備えている。ローラ本体部15aは、第1カラー26と第2カラー27とにより挟まれており、ナット28により小径部16aから抜けないように結合される。ローラ外周部15bはフェルトにより形成され、接着剤が含浸される。なお、ローラ外周部15bは接着剤が含浸されるような素材であればなんでもよく、フェルトに限定されるものではない。なお、ローラ15は、支持軸16の小径部16aに対してフリーに回転できるように取り付けられている。
【0021】
次に、接着剤をローラ15に対して供給するための機構を図3、図5、図6により説明する。図5に示すように、スタンド40に接着剤供給装置41が取りつけられている。接着剤供給装置41の吐出部41aは下方に向いており、所定量の接着剤を下方に滴下することができる。
【0022】
接着剤供給装置41の下方には、受け板42( 板部材に相当する。) とホルダープレート43が設けられている。ホルダープレート43は、スタンド40の下部40aに取り付けられている。受け板42は、ボルト44によりホルダープレート43に対して締結される。図3に示すように、受け板42は、所定の面積を有し、この受け板42の上をローラ15のローラ外周部15bを接触させて移動させることができる。ローラ外周部15bのある箇所に接着剤を滴下し、その後ローラ外周部15bを受け板42に接触させて移動させることで、ローラ外周部15bの全域にわたって接着剤を馴染ませることができる。受け板42は、好ましくは鉄板の表面にテフロンコーティングを施したものが用いられる。かかる材料を用いることにより、接着剤が受け板42の表面に付着しにくくなるので、受け板42のメンテナンス回数を減らし、受け板42の寿命を長持ちさせることができる。
【0023】
また、図3の平面図からも分かるように、接着剤を供給するための機構は、帯状ゴム板が搬送される領域の外部に設けられている。これにより、帯状ゴム板の搬送を適切に行うことができる。
【0024】
<作用>
次に、本実施形態により接着剤の塗布を行う場合の作用を説明する。まず、フェルトローラ15に接着剤を供給する場合の手順を説明する。まず、接着剤供給装置41の直下にフェルトローラ15が位置するように、スライドフレーム14及び移動ブラケット25を駆動する。なお、この場合、シリンダ18のシリンダ軸20を引き込ませている。フェルトローラ15が接着剤供給装置41の直下に位置した状態で、フェルトローラ15のローラ外周部15bは、受け板42の表面に付勢バネ23の付勢力により押し付けられている。
【0025】
次に、接着剤供給装置41の吐出部41aから所定量の接着剤をローラ外周部15bに滴下する。接着剤が滴下されるのは、ローラ外周部15bの所定箇所のみであり全域ではない。そこで、移動ブラケット25をスライドフレーム14に沿って矢印C方向( 図3) に移動させる。これにより、フェルトローラ15を受け板42の表面に押し付けながら回転移動させる。その結果、ローラ外周部15bの全域にわたり、接着剤を馴染ませ含浸させることができる。
【0026】
次に、ローラ外周部15bに接着剤が含浸されたフェルトローラ15を用いて、切断面2aに接着剤を塗布する。搬送されてきた帯状ゴム板を所定の位置に停止させる( 図2参照) 。移動ブラケット25を矢印C方向( 図3参照) に移動させ、フェルトローラ15を切断面2aの所定位置( 幅方向の一端部) に移動させる。この位置で、シリンダ18を駆動し、フェルトローラ15のローラ外周部15bを切断面2aに対して押し付ける。次いで、移動ブラケット25を矢印C方向に移動することで、フェルトローラ15が切断面2aに沿って回転移動する。これにより、ローラ外周部15bに含浸させている接着剤を切断面2aに塗布することができる。
【0027】
なお、帯状ゴム板2には2箇所の切断面2aが形成されるが、もう1つの切断面2aについても同様に接着剤が塗布される。そのために、図2等に示す接着剤塗布装置がもう1つ設けられている( 不図示) 。また、帯状ゴム板2には種々の長さのものがあるので、長さの変化に対応できるようにしておく必要がある。すでに述べたように、スライドフレーム14をフレーム部材12に沿って矢印D方向(図2参照)に移動できるようにしており、フェルトローラ15を矢印D方向に沿って移動させることができる( 図2の想像線を参照) 。これにより、帯状ゴム板2の長さの違いにも容易に対応することができる。
【0028】
<別実施形態>
帯状ゴム板はトレッド部を形成するものに限定されず、他の部分( 製品) を形成する場合にも本発明は応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】帯状ゴム板の具体例について説明する図
【図2】接着剤の塗布を行っている状態を示す接着剤塗布装置の側面図
【図3】 接着剤塗布装置の平面図
【図4】図2の主要部分を示す部分拡大図
【図5】 フェルトローラに接着剤を滴下させる状態を示す接着剤塗布装置の側面図
【図6】 フェルトローラの詳細を示す拡大図
【図7】接着剤塗布装置の斜視図
【符号の説明】
2 帯状ゴム板
2a 切断面
15 フェルトローラ
15b ローラ外周部
41 接着剤供給装置( 接着剤供給手段)
41a 吐出部
42 受け板
Claims (5)
- 所定長さに切断された帯状ゴム板の幅方向に沿った切断面に接着剤を塗布するための接着剤塗布装置であって、
接着剤が含浸されるローラ外周部を有するローラと、
前記ローラを前記切断面に沿って移動させるローラ移動手段と、
前記ローラ外周部に接着剤を供給する接着剤供給手段とを備え、
接着剤が含浸された前記ローラ外周部を、前記切断面に対して押し付けながら前記幅方向に沿って移動させることにより、前記切断面に接着剤を塗布するようにしたことを特徴とする接着剤塗布装置。 - 前記接着剤供給手段は、所定量の接着剤を前記ローラ外周部の所定箇所に滴下するように構成され、前記ローラ外周部の全域に前記接着剤を馴染ませるための板部材を設け、前記ローラ外周部を前記板部材の表面に押し付けながら回転移動させることで、前記接着剤を馴染ませるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の接着剤塗布装置。
- 前記板部材は、テフロンコーティングを行った金属板により形成されることを特徴とする請求項2に記載の接着剤塗布装置。
- 前記ローラ外周部の前記切断面に対する押し付け力を調整可能に構成していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着剤塗布装置。
- 所定長さに切断された帯状ゴム板の幅方向に沿った切断面に接着剤を塗布するための接着剤塗布方法であって、
ローラのローラ外周部に接着剤を供給するステップと、
前記接着剤が含浸されたローラ外周部を、前記切断面に対して押し付けながら前記幅方向に沿って移動させることにより、前記切断面に接着剤を塗布するステップとを有することを特徴とする接着剤塗布方法。
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JPS58189058A (ja) * | 1982-04-28 | 1983-11-04 | Bridgestone Corp | 接着剤塗付装置 |
JPH0471658A (ja) * | 1990-07-12 | 1992-03-06 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | タイヤ帯状材料への接着剤塗布方法及びその装置 |
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- 2001-06-22 JP JP2001189343A patent/JP4605688B2/ja not_active Expired - Lifetime
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