JP4605361B2 - 箔及びその製造方法 - Google Patents
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ここで、微粒子としては、金属微粒子又はカーボン微粒子などの非金属微粒子が用いられている。また、被覆剤としては、フォトマスク用レジスト剤が使用されている。
また、網点印刷に通常使用されるオフセット印刷方式では、湿し水によるインキの乳化が必然的に生じ、更には印刷板からゴムローラー、ゴムローラーからアルミニウム箔への2回の網点転写による形状の歪みなどにより、ピット配列の制御性が大幅に低下する。
このように特許文献1乃至8の従来技術においては、電解コンデンサ用電極箔のピット形成位置を、高密度に配列させるための簡便な方法がないという課題がある。
上記構成において、エッチング促進成分は、好ましくは、箔又は箔の酸化膜を溶解するアルカリ又は酸である。また、上記成分は、好ましくは、箔よりも電気化学的に貴な、金属のコロイド又はイオンである。また、上記成分は、好ましくは、箔を化学的に不安定にする基により改質された樹脂またはこの樹脂のエマルジョンである。
上記製造方法によれば、迅速、安価にエッチング開始位置の制御された、高い拡面率を有する箔を、安定的にかつ連続して低コストで製造することができる。
上記製造方法によれば、箔がアルミニウム又はアルミニウム合金であるので、拡面処理された電解コンデンサ用アルミニウム箔などを低コストで製造することができる。
本発明の箔は、拡面率が大きく、かつ、機械強度が強いので、例えば大容量の電解コンデンサ用電極箔を提供することができる。
最初に、本発明の第一の実施の形態による箔の製造方法について、図1に模式的に示す部分斜視図を参照して説明する。
図示するように、箔2には、インクジェット方式を用いた印刷機により、網目状のマスクパターン3が印刷される。網目状のマスクパターンにおいて、丸状の孔部分が、インクが印刷されていない開口部3aとなっている。
ここで、インクは、後述する箔2のエッチングに用いる薬品にはエッチングされない材料からなっており、熱あるいは紫外線により硬化する樹脂、半重合体、モノマーのいずれかあるいは複数を含むインク、または無機系のゾル分散液を用いることが好ましい。
なお、本発明においては、マスクは、インクが印刷されたマスクパターン3とインクが印刷されない開口部3aとから構成されているが、インクが印刷された部分を、適宜マスクパターン3と呼ぶことにする。
ここで、箔2としては、インクジェット方式を用いた印刷機によりマスクパターン3が印刷できるものであればなんでもよく、例えば、電極となる金属、半導体、高分子材料、有機半導体などが挙げられる。箔2は、膜状やフィルム状であれば良い。このような箔2としては、電解コンデンサ用電極箔がその一例となる。電解コンデンサ用電極箔2の場合には、金属の薄い箔からなり、安価で抵抗の小さいアルミニウム又はアルミニウム合金箔を用いることが好適である。アルミニウム合金箔としては、例えば、Pb(鉛)を所定量添加した合金などを使用することができる。
このアルミニウム箔2の電解エッチングには、塩化物イオンを含む電解液中で、アルミニウム箔2を陽極として行うことができる。以下の説明においては、適宜、箔2を電解コンデンサ用電極箔2として説明する。
図示するように、拡面処理された箔1には、上記の網目状のマスクパターン3により、マスクパターンが印刷されていない開口部3aで箔の溶解を誘導し、箔2がエッチングされ、表面から所定の深さに形成されたピット4(孔部、以下、適宜トンネルピットとも呼ぶ)が多数形成されていることが分かる。
特に、箔2として、アルミニウムの電解コンデンサ用電極箔2の場合には、図示するように、アルミニウムの異方性エッチングにより、角柱状のトンネルピット4が得られる。このトンネルピット4の形状は、箔2が結晶である場合にはその結晶面やエッチング方式により所望の形状にできる。
このようなインクジェット方式を用いたマスクパターンの印刷は、印刷版あるいはゴムローラーが箔と接する他の印刷方式では困難である。
したがって、本発明を、例えば電解コンデンサ用電極箔の製造に適用すれば、迅速に、且つ安価にエッチング開始位置の制御された、高い拡面率を有する電解コンデンサ用電極箔1を、安定的に、かつ、連続してしかも低コストで製造することができる。この場合には、拡面率が大きく、かつ、機械強度が強いので、大容量の電解コンデンサを製造することができる。そして、拡面率が大きいので、同一容量の電解コンデンサをより小型にすることができる。
図3は、本発明の第二の実施の形態による箔の製造方法を模式的に示す部分斜視図である。図示するように、箔2には、インクジェット方式を用いた印刷機により、網点状のパターン5が印刷される。
インクは、上記本発明の第一の実施の形態による箔1の製造方法のインクとは異なり、箔2に形成したパターン5でのエッチングを促進させる成分を含有している。ここで、箔2に形成したパターン5でのエッチングを促進させる成分を含有しているインクとしては、箔2やその表面に存在する箔2の酸化膜を溶解する酸性、アルカリ性の水系インクが挙げられる。
また、箔2よりも電気化学的に貴な、金属のコロイド又はイオンが含まれているインクを使用することができる。例えば、上記箔2として、アルミニウムを用いた場合には、アルミニウムよりも電気化学的に貴な金属コロイドのパターン5をアルミニウム箔2に形成すると、電解液に浸漬した際にコロイドと接したアルミニウムの溶解を引き起こし、ピット4の形成を誘導することが可能になる。
さらに、箔2の表面を化学的に不安定にするインクなども使用することができる。このような成分としては、箔2の表面を化学的に不安定にする基により改質された樹脂又はこの樹脂のエマルジョンなどである。このような樹脂としては、カルボキシル基やスルホ基により改質をした樹脂や、そのエマルジョンを使用することができる。
これにより、エッチングを誘導させるインクを使用する場合には、個々に独立した網点
のパターン5を箔2の表面に形成させることにより、網点に対応した位置でトンネルピット4を形成し、規則的な配列を得ることができる。この際、パターン5の形成されていない箔2はエッチングされない。このようにして形成される拡面処理された箔1の形状は、本発明の第一の実施形態による、拡面処理された箔1と同様である(図2参照)。
この箔1を電解コンデンサ用電極箔1に適用すれば、箔1の拡面率が大きく、かつ、機械強度が強いので、大容量の電解コンデンサ用電極箔1となる。さらに、本発明の電解コンデンサ用電極箔1は拡面率が大きいので、同一容量の電解コンデンサをより小型にすることができる。
図3及び図4は、本発明の第三の実施の形態による箔の製造方法を模式的に示す部分斜視図である。
最初に、図3に示すように、箔2には、インクジェット方式を用いた印刷機により、網点状のマスクパターン5が印刷される。この網点状のマスクパターン5は、上記第二の実施形態におけるマスクパターンと同じである。また、この網点状のマスクパターン5としては、マスクパターン3の所謂反転マスクパターンを用いることができる。
ここで、陽極酸化膜6のマスクは、上記箔2との接着性に優れ、また耐熱性、耐酸性も良好であることから、電解エッチングに対して優れたマスクとして機能する。この箔2の陽極酸化膜6は、アジピン酸アンモニウムやほう酸アンモニウムに代表されるほぼ中性の電解液中で形成されるバリヤー型陽極酸化膜、あるいは、硫酸や蓚酸(しゅう酸)に代表される酸性電解液中で形成されるポーラス型陽極酸化膜を用いることができる。陽極酸化膜6の緻密さ及びその膜厚制御性からは、バリヤー型陽極酸化膜を形成することが好ましい。
この箔2が酸化され難い材料の場合には、箔2の露出面には、酸化膜が形成されない。一方、この箔2が酸化され易い材料の場合において、箔2の露出面に酸化膜が形成される場合であっても、陽極酸化膜6よりも充分に薄い膜であればよい。
ここで、箔2が電解コンデンサ用電極箔2である場合には、安価で抵抗の小さい、アルミニウム箔2を用いることが好適である。このアルミニウム箔2の電解エッチングには、塩化物イオンを含む電解液中で、アルミニウム箔2を陽極として行うことができる。また、この場合には、陽極酸化膜6は、酸化アルミニウム膜となり、アルミニウム箔2との接着性に優れ、また耐熱性、耐酸性も良好であることから、電解エッチングに対して優れたマスクとして機能する。
一方、インクが、化学エッチング又は電解エッチングに対して充分な耐性を示さない場合でも、電解コンデンサ用電極箔2の陽極酸化に対して安定であれば、陽極酸化膜6のマスクを形成するためのパターンとして使用することができる。この場合には、化学エッチング又は電解エッチングによりインクがエッチングされるので、箔2の化学エッチング又は電解エッチングの前に、インクをエッチングする必要がない。
図5は、本発明の箔のピットを模式的に示す部分斜視図である。図示するように、箔2には、裏面にもピット4が形成されている。この裏面のピット4は、本発明の第一乃至第三の実施の形態による箔1の製造方法により形成することができる。
このように、箔2の裏面にも、その表面と同様にピット4を形成すれば、箔2の表面だけにピット4を形成した場合の約2倍の拡面率が得られる。裏面のピット4の配列をエッチング又は誘導するマスクパターンは、本発明の第一乃至第三の実施の形態によるマスクパターンを使用することができ、網目状又は網点状のマスクパターン3,5を使用することができる。したがって、このように拡面処理された箔1を電解コンデンサ用電極箔1とすれば、裏面にも拡面処理されているので、同一面積の箔では、約2倍の静電容量が実現できる。
市販の油性インクジェットプリンタを用いて、厚さ110μm、純度99.9%、(100)面占有率95%以上のアルミニウム箔2に、直径約10μmの点部(ドット部)配列からなる開口部3aを有する網目状のマスクパターン3を印刷した。
次に、このマスクパターン3が印刷されたアルミニウム箔2を、60℃に維持した塩酸10%、硫酸30%の水溶液中において、150mA/cm2 の電流密度で30秒間の電解エッチングを行い、電解コンデンサ用電極箔1を製作した。この電解コンデンサ用電極箔1を、走査型電子顕微鏡で観察したところ、マスクパターンの印刷されていない開口部3aが形成された領域のみで、トンネル状ピット4の形成が確認された。
次に、このパターン5が印刷されたアルミニウム箔を、30℃に維持した塩酸10%、硫酸30%の水溶液中において、150mA/cm2の電流密度で、30秒間の電解エッチングを行った。実施例2で用いたインクは、酢酸を含んでおり、インクが印刷された網点下部のアルミニウム箔2の電解エッチングを誘導し、パターン5が形成されていないアルミニウム箔2部分がエッチングされなかった。この試料を走査型電子顕微鏡で観察したところ、アルミニウム箔2に印刷した点部に対応した領域のみで、トンネルピット4の形成が確認された。
次に、ホットプレートを使用し、マスクパターン5が印刷されたアルミニウム箔2を、150℃で20秒間加熱した。
続いて、0.05モルの四ほう酸アンモニウム中で5V,10秒間の陽極酸化を行い、マスクパターン5の開口部以外の領域に陽極酸化膜6を形成した。引き続き、マスクパターン5のインクをエッチング液により除去した。
次に、陽極酸化膜6のマスクパターンが形成されたアルミニウム箔2を、30℃に維持した塩酸10%、硫酸30%の水溶液中において、150mA/cm2 の電流密度で、30秒間の電解エッチングを行った。この試料を走査型電子顕微鏡で観察したところ、最初にアルミニウム箔2に印刷したドット位置に対応した陽極酸化膜6の開口部6aで、トンネルピット4の形成が確認された。
2:箔(アルミニウム箔)
3:網目状のマスクパターン
3a:網目状のマスクパターンの開口部
4:ピット(トンネルピット)
5:網点状のパターン
6:酸化膜(陽極酸化膜)
6a:酸化膜(陽極酸化膜)の開口部
Claims (10)
- インクに箔のエッチングを促進させる成分を含有させる工程と、
次に、上記インクに含有されている成分により上記パターンの下部の上記箔を促進してエッチングする工程と、を備え、
上記箔にピットを形成することにより、上記箔に拡面処理を施すことを特徴とする、拡面処理された箔の製造方法。 - 前記成分は、前記箔又は前記箔の酸化膜を溶解するアルカリ又は酸であることを特徴とする、請求項1に記載の拡面処理された箔の製造方法。
- 前記成分は、前記箔よりも電気化学的に貴な、金属のコロイド又はイオンであることを特徴とする、請求項1に記載の拡面処理された箔の製造方法。
- 前記成分は、前記箔を化学的に不安定にする基により改質された樹脂または該樹脂のエマルジョンであることを特徴とする、請求項1に記載の拡面処理された箔の製造方法。
- 前記箔は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなることを特徴とする、請求項1に記載の拡面処理された箔の製造方法。
- 前記エッチングは、電解エッチングであることを特徴とする、請求項1に記載の拡面処理された箔の製造方法。
- 前記箔に形成されるピットが、さらに、前記箔の裏面に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の拡面処理された箔の製造方法。
- 前記箔に形成されるピットが、前記箔の表面及び裏面に点状に配列されていることを特徴とする、請求項1に記載の拡面処理された箔の製造方法。
- 請求項1〜8の何れかに記載の箔の製造方法によって製造したことを特徴とする、拡面処理された箔。
- 前記箔が、電解コンデンサ用電極箔であることを特徴とする、請求項9に記載の拡面処理された箔。
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