JP2008081651A - インク組成物および平版印刷版の作製方法 - Google Patents

インク組成物および平版印刷版の作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】支持体上にインク組成物をインクジェット記録方式により吐出して画像部を形成し、平版印刷版とする際に、インクジェット記録装置におけるインクジェットノズルの詰まりを防止し、安定した吐出を可能にするとともに、耐刷性も高めることのできる、インク組成物および平版印刷版の作製方法を提供する。
【解決手段】特定のキノン類、溶剤および質量平均分子量が5000〜30000である高分子化合物を含有してなることを特徴とするインク組成物。支持体上に、水溶性ポリマーを含有する非感光性のインク受容層を設け、該インク受容層上に、該インク組成物をインクジェット記録方式により吐出して画像部を形成する工程と、該画像部に含まれる溶剤を45℃以下の温度で揮発させる工程とを有する平版印刷版の作製方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、インク組成物および平版印刷版の作製方法に関するものであり、とくにインクジェット記録方式により印刷版を作成するためのインク組成物および該インク組成物を用いた平版印刷版の作製方法に関する。
近年、画像情報をコンピュータを用いて電子的に処理し、蓄積し、出力する、デジタル化技術が広く普及してきており、このようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきている。これに伴い、レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術が注目されてきている。
一方、レーザー光を用いたCTP技術の他に、インクジェット記録方式を用いたCTP技術が知られている。
例えば、特許文献1〜3には、支持体上に、光硬化性インク組成物を用いてインクジェット方式により画像部を形成し、露光して該インク組成物を硬化させる製版方法が開示されている。また、特許文献4には、色材、溶剤および有機溶剤を含むインク組成物を用いて支持体上に画像部を形成する方法が開示されている。インクジェット記録方式は、画像出力方式としては比較的高速であり、また複雑な光学系を必要としないので構造が簡単である。また、インクジェット用インクにより画像形成するので、画像形成前の支持体は感光層などの塗膜が不要である。したがって、平版印刷版の製造コストを下げることができる。
特開平5−204138号公報 特開平4−69244号公報 特開昭63−102936号公報 米国特許第6,742,886号明細書
しかしながら、従来技術のインク組成物を用いてインクジェット記録方式により画像部を形成しようとすると、インクジェット記録装置におけるインクジェットノズルに、上記インク組成物が詰まりやすく、安定した吐出ができなくなるという問題点がある。また、得られた印刷版の耐刷性が不十分であるという問題点もある。
したがって本発明の目的は、支持体上にインク組成物をインクジェット記録方式により吐出して画像部を形成し、平版印刷版とする際に、インクジェット記録装置におけるインクジェットノズルの詰まりを防止し、安定した吐出を可能にするとともに、耐刷性も高めることのできる、インク組成物および平版印刷版の作製方法を提供することである。
本発明は、以下の通りである。
1)インクジェット記録方式により印刷版を作成するためのインク組成物であって、
下記一般式(1)または(2)で表されるキノン類、溶剤および高分子化合物を含有してなることを特徴とするインク組成物。
Figure 2008081651
式中、R11〜R16及びR21〜R28は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基、−O−R31、−NH−R32、または、−NR3334を示す。R31、R32及びR33は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。また、R31、R32及びR33の炭化水素基中にカルボニル基またはカルボキシル基を含んでいてもよい。
2)支持体上に、水溶性ポリマーを含有するインク受容層を設け、該インク受容層上に、上記1)に記載のインク組成物をインクジェット記録方式により吐出して画像部を形成する工程と、該画像部に含まれる溶剤を45℃以下の温度で揮発させる工程とを少なくとも有することを特徴とする平版印刷版の作製方法。
3)支持体上に、水溶性ポリマーを含有するインク受容層を設け、該インク受容層上に、上記1)に記載のインク組成物をインクジェット記録方式により吐出して画像部を形成する工程と、該画像部に含まれる溶剤を、該インク受容層に直接0.3〜3.0m/秒の流速の室温風に曝露して揮発させる工程とを少なくとも有することを特徴とする平版印刷版の作製方法。
本発明によれば、インク組成物の一成分として特定のキノン類を使用しているので、インクジェット記録装置におけるインクジェットノズルの詰まりを防止し、安定した吐出を可能にするとともに、耐刷性も高めることのできる、インク組成物および平版印刷版の作製方法を提供することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
<特定キノン類>
まず、一般式(1)または(2)で表されるキノン類について説明する。
本発明のインク組成物は、一般式(1)または(2)で表されるキノン類(以下、特定キノン類ということがある)を含有することを特徴としている。
Figure 2008081651
式中、R11〜R16及びR21〜R28は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基、−O−R31、−NH−R32、または、−NR3334を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基または、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。R31、R32及びR33は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基または、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。また、R31、R32及びR33の炭化水素基中にカルボニル基またはカルボキシル基を含んでいてもよい。
一般式(1)で表されるキノン類としては、例えば、1,4−ナフトキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2−メトキシ−1,4−ナフトキノン、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、2−クロロ−3−ピロリジノ−1,4−ナフトキノン、2−クロロ−3−モルフォリノ−1,4−ナフトキノン、2−メチル−3−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、2−メトキシ−1,4−ナフトキノン−3−スルホン酸ナトリウム、2−エチルチオ−1,4−ナフトキノン、2−ベンジルカルバモイル−1,4−ナフトキノン、2−フェニルカルバモイル−1,4−ナフトキノン、5,6,8−トリオキシ−1,4−ナフトキノン、2−アミノ−3−クロロ−1,4−ナフトキノン、5,8−ジヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、2−メチル−3−メチルチオ−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルチオ−1,4−ナフトキノン、3−アセトキシ−2−ドデシル−1,4−ナフトキノン、3−フェニル−1,4−ナフトキノン−2−カルボン酸ベンジル、2−ベンゾイル−3−フェニル−1,4−ナフトキノン、3−ドデシル−2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、3−(1−ドデセニル)−2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン等が挙げられ、中でも、2−クロロ−3−モルフォリノ−1,4−ナフトキノン、2−メチル−3−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン等の窒素原子または酸素原子を含む置換基を有するナフトキノン類が、吐出性の観点から好ましい。
一般式(2)で示されるキノン類としては、例えば、9,10−アントラキノン、1−クロロ−9,10−アントラキノン、2,3−ジメチル−9,10−アントラキノン、2−ヒドロキシメチル−9,10−アントラキノン、1−アミノ−4−ヒドロキシ−9,10−アントラキノン、1−アミノ−2,4−ジヒドロキシ−9,10−アントラキノン、1−メチルアミノ−9,10−アントラキノン、1,4−ビス(メチルアミノ)−5,8−ジヒドロキシ−9,10−アントラキノン、1−(4−トルイジノ)−4−メトキシ−9,10−アントラキノン、1,5−ジシクロヘキシルアミノ−9,10−アントラキノン、1,5−ジペンチルアミノ−9,10−アントラキノン、1,5−ジ(4−メチルフェニルメチル)−9,10−アントラキノン、1,4−ビス(4−カルバモイルアニリノ)−9,10−アントラキノン、1,2−ジヒドロキシ−9,10−アントラキノン、1,4−ジヒドロキシ−9,10−アントラキノン、1,5−ジヒドロキシ−9,10−アントラキノン、1,8−ジヒドロキシ−9,10−アントラキノン、2,6−ジヒドロキシ−9,10−アントラキノン、9,10−アントラキノン−2−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−4−[(4−メチルフェニル)アミノ]−9,10−アントラキノン、1,4−ジヒドロキシ−5,8−ジフェニル−9,10−アントラキノン、1,4−ビス(ヒドロキシエチルアミノ)−9,10−アントラキノン、1,8−ジヒドロキシ−4,5−ジニトロ−9,10−アントラキノン、アリザリンレッドS1水和物等が挙げられ、中でも、1,5−ジペンチルアミノ−9,10−アントラキノン、1−ヒドロキシ−4−[(4−メチルフェニル)アミノ]−9,10−アントラキノン、1,4−ジヒドロキシ−5,8−ジフェニル−9,10−アントラキノン等の窒素原子または酸素原子を含む置換基を有するアントラキノン類が、吐出性の観点から好ましい。
上記特定キノン類は、一般に市販されているものを用いてもよいし、「TheChemistry of Synthetic Dyes」、「K.Venkataraman編」、「ACADEMIC PRESS(米国)出版」に記載の方法を用いて容易に合成することもできる。また、これらの特定キノン類の添加量としては、インク組成物中、0.05〜3.0質量%が好ましく、0.1〜2.5質量%がさらに好ましく、0.15〜2.0質量%が特に好ましい。これらの特定キノン類は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<溶剤>
本発明に使用される溶剤としては、有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、1,3−ブタンジオール、ベンジルアルコール、乳酸エチル等が挙げられる。
また本発明のインク組成物中、有機溶剤は、50〜98質量%が好ましく、75〜96質量%がさらに好ましく、80〜95質量%が特に好ましい。
<高分子化合物>
本発明における高分子化合物は、印刷版の耐刷性を高めるための必須成分である。
本発明に使用される高分子化合物において、質量平均分子量は5000〜30000であることが必要である。さらに好ましい分子量は、6000〜18000である。質量平均分子量が前記範囲外であると、印刷版の耐刷性を高めることができない。
また本発明において好ましい高分子化合物は親油性ポリマーである。なお本発明でいう親油性ポリマーとは、水100gに対する溶解度が、25℃で、5g以下であるポリマーを意味する。好ましくは3g以下である。
本発明における好ましい親油性ポリマーは、以下の一般式(1)で示されるラジカル重合性モノマーを、40〜100モル%用いて得られるポリマーが好ましい。
Figure 2008081651
一般式(1)中、R1はHまたはメチル基を表し、Xは単結合、COOまたはCONR2を表し、R2はHまたは炭素数12以下の炭化水素基を表し、Yは炭素数1〜20の炭化水素基を表す。なお、炭化水素基内に、エーテル結合、エステル結合またはアミド結合を含んでいてもよい。また、OH基、COOH基、ハロゲン基を置換基として有していてもよい。
好ましいラジカル重合性モノマーの例としては、以下が挙げられる。
スチレン、p−メトキシスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H, 1H, 2H, 2Hパーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、p−スルファモイルフェニル(メタ)アクリルアミド。
なお上記以外の公知のラジカル重合性モノマーを、必要に応じて使用することもできる。
また本発明のインク組成物中、高分子化合物は、2〜50質量%が好ましく、4〜25質量%がさらに好ましく、5〜20質量%が特に好ましい。上記範囲において、インク組成物の吐出性をさらに改善することができる。
また、本発明のインク組成物は、本発明の効果を損ねない範囲において、その他の各種添加剤を使用することもできる。例えば、色材;特開2002−311577号公報、特開2003−221419号公報、特開2004−101893号公報、特開2004−107589号公報に開示されているフッ素含有化合物;界面活性剤、重合禁止剤等が挙げられる。
<支持体>
次に、本発明で用いられる支持体(平版印刷版用支持体)について説明する。
本発明では、支持体の表面粗さRaが、0.1〜10μmであることが好ましい。
尚、Raは、JIS B0601−1994に基づく、算術平均粗さである。表面粗さが小さいと、重合硬化した画像との密着性が低く、耐刷性が低い。また、表面粗さが大きすぎると、画像の膜厚が低い部分が発生するため、耐刷性が低くなる。本発明に使用される支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が挙げられる。
中でも、本発明においては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸度安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明においては表面処理されたアルミニウム支持体が好ましい。以下、好ましいアルミ支持体について記載する。
〔アルミ支持体〕
本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3mmである。
このようなアルミニウム板には、必要に応じて粗面化処理、陽極酸化処理などの表面処理を行ってもよい。以下、このような表面処理について簡単に説明する。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
<アルミ砂目形状を作製するための表面処理の詳細>
本発明の平版印刷版用支持体は、後述するアルミニウム板に表面処理を施すことによって、上述した表面の砂目形状をアルミニウム板の表面に形成させたものが好ましい。本発明の平版印刷版用支持体は、アルミニウム板に粗面化処理および陽極酸化処理を施して得られるが、この支持体の製造工程は、特に限定されず、粗面化処理および陽極酸化処理以外の各種の工程を含んでいてもよい。上述した表面の砂目形状を形成させるための代表的方法として、アルミニウム板に機械的粗面化処理、アルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および電解液を用いた電気化学的粗面化処理を順次施す方法、アルミニウム板に機械的粗面化処理、アルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および異なる電解液を用いた電気化学的粗面化処理を複数回施す方法、アルミニウム板にアルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および電解液を用いた電気化学的粗面化処理を順次施す方法、アルミニウム板にアルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および異なる電解液を用いた電気化学的粗面化処理を複数回施す方法が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。これらの方法において、前記電気化学的粗面化処理の後、更に、アルカリエッチング処理および酸によるデスマット処理を施してもよい。これらの方法により得られた本発明の平版印刷版用支持体は、上述したように、2種以上の異なる周期の凹凸を重畳した構造が表面に形成されており、平版印刷版としたときの耐汚れ性および耐刷性のいずれにも優れる。以下、表面処理の各工程について、詳細に説明する。
<機械的粗面化処理>
機械的粗面化処理は、電気化学的粗面化処理と比較してより安価に、平均波長5〜100μmの凹凸のある表面を形成することができるため、粗面化処理の手段として有効である。機械的粗面化処理方法としては、例えば、アルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、特開平6−135175号公報および特公昭50−40047号公報に記載されているナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法を用いることができる。また、凹凸面をアルミニウム板に圧接する転写方法を用いることもできる。即ち、特開昭55−74898号、特開昭60−36195号、特開昭60−203496号の各公報に記載されている方法のほか、転写を数回行うことを特徴とする特開平6−55871号公報、表面が弾性であることを特徴とした特願平4−204235号明細書(特開平6−024168号公報)に記載されている方法も適用可能である。
また、放電加工、ショットブラスト、レーザー、プラズマエッチング等を用いて、微細な凹凸を食刻した転写ロールを用いて繰り返し転写を行う方法や、微細粒子を塗布した凹凸のある面を、アルミニウム板に接面させ、その上より複数回繰り返し圧力を加え、アルミニウム板に微細粒子の平均直径に相当する凹凸パターンを複数回繰り返し転写させる方法を用いることもできる。転写ロールへ微細な凹凸を付与する方法としては、特開平3−8635号、特開平3−66404号、特開昭63−65017号の各公報等に記載されている公知の方法を用いることができる。また、ロール表面にダイス、バイト、レーザー等を使って2方向から微細な溝を切り、表面に角形の凹凸をつけてもよい。このロール表面には、公知のエッチング処理等を行って、形成させた角形の凹凸が丸みを帯びるような処理を行ってもよい。また、表面の硬度を上げるために、焼き入れ、ハードクロムメッキ等を行ってもよい。そのほかにも、機械的粗面化処理としては、特開昭61−162351号公報、特開昭63−104889号公報等に記載されている方法を用いることもできる。本発明においては、生産性等を考慮して上述したそれぞれの方法を併用することもできる。これらの機械的粗面化処理は、電気化学的粗面化処理の前に行うのが好ましい。
<電気化学的粗面化処理>
電気化学的粗面化処理には、通常の交流を用いた電気化学的粗面化処理に用いられる電解液を用いることができる。中でも、塩酸または硝酸を主体とする電解液を用いることで特徴的な凹凸構造を表面に形成させることができる。本発明における電解粗面化処理としては、陰極電解処理の前後に酸性溶液中での交番波形電流による第1および第2の電解処理を行うことが好ましい。陰極電解処理により、アルミニウム板の表面で水素ガスが発生してスマットが生成することにより表面状態が均一化され、その後の交番波形電流による電解処理の際に均一な電解粗面化が可能となる。この電解粗面化処理は、例えば、特公昭48−28123号公報および英国特許第896,563号明細書に記載されている電気化学的グレイン法(電解グレイン法)に従うことができる。この電解グレイン法は、正弦波形の交流電流を用いるものであるが、特開昭52−58602号公報に記載されているような特殊な波形を用いて行ってもよい。また、特開平3−79799号公報に記載されている波形を用いることもできる。また、特開昭55−158298号、特開昭56−28898号、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭54−85802号、特開昭60−190392号、特開昭58−120531号、特開昭63−176187号、特開平1−5889号、特開平1−280590号、特開平1−118489号、特開平1−148592号、特開平1−178496号、特開平1−188315号、特開平1−154797号、特開平2−235794号、特開平3−260100号、特開平3−253600号、特開平4−72079号、特開平4−72098号、特開平3−267400号、特開平1−141094の各公報に記載されている方法も適用できる。また、前述のほかに、電解コンデンサーの製造方法として提案されている特殊な周波数の交番電流を用いて電解することも可能である。例えば、米国特許第4,276,129号明細書および同第4,676,879号明細書に記載されている。
電解槽および電源については、種々提案されているが、米国特許第4203637号明細書、特開昭56−123400号、特開昭57−59770号、特開昭53−12738号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32823号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特開昭62−127500号、特開平1−52100号、特開平1−52098号、特開昭60−67700号、特開平1−230800号、特開平3−257199号の各公報等に記載されているものを用いることができる。また、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭53−12738号、特開昭53−12739号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32833号、特開昭53−32824号、特開昭53−32825号、特開昭54−85802号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特公昭48−28123号、特公昭51−7081号、特開昭52−133838号、特開昭52−133840号号、特開昭52−133844号、特開昭52−133845号、特開昭53−149135号、特開昭54−146234号の各公報等に記載されているもの等も用いることができる。
電解液である酸性溶液としては、硝酸、塩酸のほかに、米国特許第4,671,859号、同第4,661,219号、同第4,618,405号、同第4,600,482号、同第4,566,960号、同第4,566,958号、同第4,566,959号、同第4,416,972号、同第4,374,710号、同第4,336,113号、同第4,184,932号の各明細書等に記載されている電解液を用いることもできる。
(硝酸電解)
硝酸を主体とする電解液を用いた電気化学的粗面化処理により、平均開口径0.5〜5μmのピットを形成することができる。ただし、電気量を比較的多くしたときは、電解反応が集中し、5μmを超えるハニカムピットも生成する。このような砂目を得るためには、電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、1〜1000C/dm2 であるのが好ましく、50〜300C/dm2 であるのがより好ましい。この際の電流密度は20〜100A/dm2であるのが好ましい。また、高濃度または高温の硝酸電解液を用いると、平均開口径0.2μm以下の小波構造を形成させることもできる。
(塩酸電解)
塩酸はそれ自身のアルミニウム溶解力が強いため、わずかな電解を加えるだけで表面に微細な凹凸を形成させることが可能である。この微細な凹凸は、平均開口径が0.01〜0.2μmであり、アルミニウム板の表面の全面に均一に生成する。このような砂目を得るためには電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、1〜100C/dm2であるのが好ましく、20〜70C/dm2 であるのがより好ましい。この際の電流密度は20〜50A/dm2 であるのが好ましい。
このような塩酸を主体とする電解液での電気化学的粗面化処理では、アノード反応にあずかる電気量の総和を400〜1000C/dm2 と大きくすることでクレーター状の大きなうねりを同時に形成することも可能であるが、この場合は平均開口径10〜30μmのクレーター状のうねりに重畳して平均開口径0.01〜0.4μmの微細な凹凸が全面に生成する。
<アルカリエッチング処理>
アルカリエッチング処理は、上記アルミニウム板をアルカリ溶液に接触させることにより、表層を溶解する処理である。
電解粗面化処理より前に行われるアルカリエッチング処理は、機械的粗面化処理を行っていない場合には、前記アルミニウム板(圧延アルミ)の表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等を除去することを目的として、また、既に機械的粗面化処理を行っている場合には、機械的粗面化処理によって生成した凹凸のエッジ部分を溶解させ、急峻な凹凸を滑らかなうねりを持つ表面に変えることを目的として行われる。
アルカリエッチング処理の前に機械的粗面化処理を行わない場合、エッチング量は、0.1〜10g/m2 であるのが好ましく、1〜5g/m2 であるのがより好ましい。エッチング量が0.1g/m2未満であると、表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等が残存する場合があるため、後段の電解粗面化処理において均一なピット生成ができずムラが発生してしまう場合がある。一方、エッチング量が1〜10g/m2であると、表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等の除去が十分に行われる。上記範囲を超えるエッチング量とするのは、経済的に不利となる。
アルカリエッチング処理の前に機械的粗面化処理を行う場合、エッチング量は、3〜20g/m2 であるのが好ましく、5〜15g/m2 であるのがより好ましい。エッチング量が3g/m2未満であると、機械的粗面化処理等によって形成された凹凸を平滑化できない場合があり、後段の電解処理において均一なピット形成ができない場合がある。また、印刷時に汚れが劣化する場合がある。一方、エッチング量が20g/m2を超えると、凹凸構造が消滅してしまう場合がある。
電解粗面化処理の直後に行うアルカリエッチング処理は、酸性電解液中で生成したスマットを溶解させることと、電解粗面化処理により形成されたピットのエッジ部分を溶解させることを目的として行われる。電解粗面化処理で形成されるピットは電解液の種類によって異なるためにその最適なエッチング量も異なるが、電解粗面化処理後に行うアルカリエッチング処理のエッチング量は、0.1〜5g/m2 であるのが好ましい。硝酸電解液を用いた場合、塩酸電解液を用いた場合よりもエッチング量は多めに設定する必要がある。電解粗面化処理が複数回行われる場合には、それぞれの処理後に、必要に応じてアルカリエッチング処理を行うことができる。
アルカリ溶液に用いられるアルカリとしては、例えば、カセイアルカリ、アルカリ金属塩が挙げられる。具体的には、カセイアルカリとしては、例えば、カセイソーダ、カセイカリが挙げられる。また、アルカリ金属塩としては、例えば、タケイ酸ソーダ、ケイ酸ソーダ、メタケイ酸カリ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩;炭酸ソーダ、炭酸カリ等のアルカリ金属炭酸塩;アルミン酸ソーダ、アルミン酸カリ等のアルカリ金属アルミン酸塩;グルコン酸ソーダ、グルコン酸カリ等のアルカリ金属アルドン酸塩;第二リン酸ソーダ、第二リン酸カリ、第三リン酸ソーダ、第三リン酸カリ等のアルカリ金属リン酸水素塩が挙げられる。中でも、エッチング速度が速い点および安価である点から、カセイアルカリの溶液、および、カセイアルカリとアルカリ金属アルミン酸塩との両者を含有する溶液が好ましい。特に、カセイソーダの水溶液が好ましい。
<デスマット処理>
電解粗面化処理またはアルカリエッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗い(デスマット処理)が行われる。用いられる酸としては、例えば、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ化水素酸、ホウフッ化水素酸が挙げられる。上記デスマット処理は、例えば、上記アルミニウム板を塩酸、硝酸、硫酸等の濃度0.5〜30質量%の酸性溶液(アルミニウムイオン0.01〜5質量%を含有する。)に接触させることにより行う。アルミニウム板を酸性溶液に接触させる方法としては、例えば、アルミニウム板を酸性溶液を入れた槽の中を通過させる方法、アルミニウム板を酸性溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、酸性溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が挙げられる。デスマット処理においては、酸性溶液として、上述した電解粗面化処理において排出される硝酸を主体とする水溶液もしくは塩酸を主体とする水溶液の廃液、または、後述する陽極酸化処理において排出される硫酸を主体とする水溶液の廃液を用いることができる。デスマット処理の液温は、25〜90℃であるのが好ましい。また、処理時間は、1〜180秒であるのが好ましい。デスマット処理に用いられる酸性溶液には、アルミニウムおよびアルミニウム合金成分が溶け込んでいてもよい。
<陽極酸化処理>
以上のように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は2.0g/m2より少ないと平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
<親水性表面および親水化処理>
親水性表面としては、陽極酸化皮膜でもよいが、さらにその上から親水化処理を施すことが好ましい。ここでいう親水性表面とは、水との接触角が10°より小さいのものを言い、5°より小さくなるものが特に好ましい。また親水化処理した際、親水化化合物は陽極酸化皮膜に吸着していることが好ましい。
親水化処理としては、例えば、米国特許第2,946,638号明細書に記載されているフッ化ジルコニウム酸カリウム処理、米国特許第3,201,247号明細書に記載されているホスホモリブデート処理、英国特許第1,108,559号に記載されているアルキルチタネート処理、独国特許第1,091,433号明細書に記載されているポリアクリル酸処理、独国特許第1,134,093号明細書および英国特許第1,230,447号明細書に記載されているポリビニルホスホン酸処理、特公昭44−6409号公報に記載されているホスホン酸処理、米国特許第3,307,951号明細書に記載されているフィチン酸処理、特開昭58−16893号公報および特開昭58−18291号公報に記載されている親油性有機高分子化合物と2価の金属との塩による処理、タモールなど多価スルホン酸化合物への浸漬処理が挙げられる。
また、特開昭62−019494号公報に記載されているリン酸塩、特開昭62−033692号公報に記載されている水溶性エポキシ化合物、特開昭62−097892号公報に記載されているリン酸変性デンプン、特開昭63−056498号公報に記載されているジアミン化合物、特開昭63−130391号公報に記載されているアミノ酸の無機または有機酸、特開昭63−145092号公報に記載されているカルボキシ基またはヒドロキシ基を含む有機ホスホン酸、特開昭63−165183号公報に記載されているアミノ基とホスホン酸基を有する化合物、特開平2−316290号公報に記載されている特定のカルボン酸誘導体、特開平3−215095号公報に記載されているリン酸エステル、特開平3−261592号公報に記載されている1個のアミノ基とリンの酸素酸基1個を持つ化合物、特開平3−215095号公報に記載されているリン酸エステル、特開平5−246171号公報に記載されているフェニルホスホン酸等の脂肪族または芳香族ホスホン酸、特開平1−307745号公報に記載されているチオサリチル酸のようなS原子を含む化合物、特開平4−282637号公報に記載されているリンの酸素酸のグループを持つ化合物等を用いた下塗りによる処理も挙げられる。更に、特開昭60−64352号公報に記載されている酸性染料による着色を行うこともできる。
また、ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液に浸せきさせる方法等により、親水化処理を行うのが好ましい。
Si付着量としては1.0〜20.0mg/m2付着させることが望ましい。2.0から17.0mg/m2がより望ましい。1.0mg/m2以上であると汚れにくさが良好になり、20.0mg/m2以下であると耐刷性、バーニング耐刷性が良好となる。
<水洗処理>
上述した各処理の工程終了後には水洗を行うのが好ましい。水洗には、純水、井水、水道水等を用いることができる。処理液の次工程への持ち込みを防ぐためにニップ装置を用いてもよい。
[ポリエステルフィルム支持体、紙支持体]
また、表面に適切な塗布層を設けたポリエステルフィルム支持体や紙支持体も本発明において好適に使用できる。例えば、特開200−118254号公報に記載されている、多孔質フィラー粒子、並びに、金属原子及び/又は半金属原子が酸素原子を介して繋がった結合を含有する樹脂と特定の高分子化合物との複合体を含んでなる結着樹脂を含有する層を設けた支持体や、特開2003−19873号公報に記載されている、(1)多孔質フィラー粒子、(2)金属アルコレート、該金属アルコレートとβ−ジケトン類及び/又はβ−ケトエステル類との反応で得られるキレート化合物、及び該キレート化合物を水と反応させて得られる部分的加水分解物の中から選択される少なくとも1種の金属アルコレート系化合物、並びに、(3)金属原子及び/又は半金属原子が酸素原子を介して繋がった結合を含有する樹脂と、該樹脂と水素結合を形成し得る基を含有する有機ポリマーとの複合体からなる結着樹脂を少なくとも含有する層を設けた支持体などが本発明において好適に使用できる。
<インク受容層>
本発明では、支持体上に、水溶性ポリマーを含有する非感光性のインク受容層を設ける形態が好ましい。
本発明におけるインク受容層について説明する。
[水溶性ポリマー]
本発明で使用する水溶性ポリマーは、室温(例えば、25℃)の水100gに対して1g以上溶解する化合物が好ましい。さらに、皮膜形成能を有する化合物が好ましく、質量平均分子量1000以上の水溶性ポリマーが好ましい。さらに好ましい質量平均分子量は、3000〜1000000である。好ましい水溶性ポリマーとしては、以下を挙げることができる。
・カルボン酸あるいはその塩を有する(メタ)アクリル樹脂、スチレン系樹脂、変性セルロース
・スルホン酸基あるいはその塩を有する(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂、スチレン系樹脂
・ポリアクリルアミドあるいはポリビニルピロリドンなどアミド基を有するポリマー
・ポリビニルアルコールなどヒドロキシル基を有するポリマー
・特開昭62−097892号公報に記載されているリン酸変性デンプンなどリン酸あるいはその塩を有する樹脂
・オニウム基を有する化合物を含有することも好ましい。オニウム基を有する化合物は、特開2000−10292公報、同2000−108538公報等に詳述されている。
・その他、ポリ(p−ビニル安息香酸)などで代表される構造単位を分子中に有する高分子化合物群の中から選ばれる化合物を用いることもできる。これらの高分子化合物として、より具体的には、p−ビニル安息香酸とビニルベンジルトリエチルアンモニウム塩との共重合体、p−ビニル安息香酸とビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリドとの共重合体などが挙げられる。
・また特開2005−125749公報記載のエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ含有する繰り返し単位と支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位とを有する共重合体も好ましい。
なお上記のような水溶性ポリマー以外の水溶性成分として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのような非ポリマーの水溶性化合物を使用することもできる。
[界面活性剤]
塗布むらを無くすためには、インク受容層の塗布液に、F系界面活性剤、または、Si系界面活性剤を用いることが好ましい。公知の界面活性剤を使用できる。
インク受容層の塗布液には、上記化合物をそれぞれ2種以上併用してもよい。
インク受容層は公知の方法で設けることができる。即ち、水もしくはメタノール、エタノール、メチルエチルケトン、1−メトキシ−2−プロパノールなどの有機溶剤またはそれらの混合溶剤に、上記の水溶性ポリマーおよび必要に応じて着色剤を好ましくは0.005〜10質量%の濃度で溶解させ、インク受容層の塗布液を調製し、これを支持体上に塗布、乾燥することにより設けることができる。このようにして、本発明におけるインク受容体を形成することができる。
インク受像層中の水溶性ポリマーの含有量は、好ましくは1〜99質量%、さらに好ましくは3〜95質量%である。着色剤の含有量は、好ましくは0.001〜50質量%、さらに好ましくは0.01〜20質量%である。
インク受像層の好ましい膜厚は、1mg/m〜500mg/mであり、特に好ましくは、2mg/m〜250mg/mである。
また、光学濃度は、0.01〜1.50が好ましく、特に0.05〜0.50が好ましい。光学濃度は、例えば日本平版機材製X−Riteによって測定することができる。光学濃度が0.01以上であることにより、インク受像層の塗布むら検知が一層良好となり、1.50以下であることにより、湿し水の汚染の可能性が低くなる。
<インクジェット記録>
次に、本発明におけるインクジェット記録方式について説明する。
・インク物性
上記インク組成物(以下、単にインクと呼ぶことがある)の物性値として、25℃の粘度は、1〜50mPa・sが好ましく、実機で吐出する際は、インク温度を25〜100℃の範囲でほぼ一定温度に保持し、そのときの粘度が2〜50mPa・sとなるようにすることが好ましい。
・インク保持手段
インクを保持する手段としては、公知のインクカートリッジに充填することが好ましく、特開平5−16377号公報に開示されるように変形可能な容器に収納し、タンクとなすことも可能である。また特開平5−16382号公報に開示されるように、サブタンクを有するとインクをヘッドへの供給が更に安定する。また特開平8−174860号公報に開示されるように、インク供給室の圧力が低下した場合に、弁の移動によりインクを供給する形態のカートリッジを用いることも可能である。これらのインク保持手段でヘッド内のメニスカスを適切にたもつための負圧付与方法としては、インク保持手段の高さすなわち水頭圧による方法、またインク流路中にもうけたフィルタの毛細管力による方法、また、ポンプ等により圧力を制御する方法、また、特開昭50−74341号公報に開示されるようにインクをインク吸収体に保持し、この毛細管力により負圧を付与する方法等が適切である。
・インク供給路
インクをこれらインク保持手段からヘッドに供給する方法として、ヘッドユニットに直接保持手段を連結する方法でもよいし、チューブ等の流路により連結する方法でもよい。これらインク保持手段および流路は、インクに対して良好な濡れ性を持つような素材であること、もしくは表面処理が施されていることが好ましい。
・ヘッド
インクを打滴する方法としては、特開平5−104725号公報に開示されるように、連続的にインク滴を吐出させ、画像に応じて滴を偏向して支持体に着弾させるか、させないかを選択制御する方法であってもよいし、所謂オンデマンド方式を呼ばれる、画像として必要な部分にのみインク滴を吐出させる方式であってもよい。オンデマンド方式は、特開平5−16349号公報に開示されるように、ピエゾ(圧電)素子等を用いて構造体の変形によりインク圧を発生させ、吐出させる方式であってもよいし、特開平1−234255号公報に開示されるように、熱エネルギーによる気化にともなう膨張により発生する圧力で吐出する方式であってもよい。また特開2001−277466号公報に開示されるように、電界により支持体への吐出を制御する方式であってもよい。
ノズルはたとえば特開平5−31908号公報に記載されるような形態が適用可能である。また、複数のノズル列を有するヘッドユニットを複数配置することにより高速化が可能である。
さらにノズルを特開昭63−160849号公報に記載されるように画像の幅と同等以上の幅分配置し、所謂ラインヘッドとなし、これらのノズルからの打滴と同時に支持体を移動させることにより、高速に画像を形成することが可能となる。
またノズルの表面は、特開平5−116327号公報に開示されるような表面処理を施すことにより、ノズル表面へのインク滴の飛沫の付着、およびインク滴の付着を防ぐことが可能となる。このような処理を施しても、なお汚れが付着する場合があり、このため、特開平6−71904号公報に開示されるように、ブレードにより清掃を行うことが好ましい。また、ノズルからインクが均等に吐出されるとは限らない。このようなときに、メニスカスを安定に保つために、特開平11−157102号公報に開示されるように、画像領域外で適宜インクを吐出させ、ヘッドに新しいインクを補給することにより、インク物性を適性値に維持することが好ましい。また、このような処置を施してもなお気泡がヘッド内に侵入もしくはヘッド内で発生することがある。このような場合は、特開平11−334092号公報に記載されるように、ヘッド外より強制的にインクを吸引することにより、物性の変化したインクを廃棄するとともに、気泡もヘッド外に排出することができる。更に長時間打滴しない場合は特開平11−138830号公報に開示されるように、キャップでノズル表面を覆うことによりノズル表面を保護することができる。これらの措置を講じてもなお吐出しない場合がありうる。ノズルの一部が吐出しない状態で画像形成すると、画像にムラが発生する等の問題が発生する。このようなことを避けるため、特開平2000−343686号公報に開示されるように、吐出しないことを検出して処置をとることが有効である。
・打滴
インクを吐出するにあたっては、粘度を一定に維持するためにインク温度を所定精度で一定に保持することが好ましい。このためにはインク温度検出手段と、インク加熱手段、および検出されたインク温度に応じて加熱を制御する制御手段を有することが好ましい。
さらにあるいは、インク温度に応じてインクを吐出させる手段への印加エネルギーを制御する手段を有することも好適である。
ヘッドユニットを特開平6−115099号公報に記載されるように機械的に移動させ、これと同期して支持体を直交方向に間欠的に移動させることにより重畳打滴を行うと、支持体の間欠的な移動の精度不良にともなうムラを見えにくくする効果があり、高画質を実現することが可能となる。このとき、ヘッドの移動速度、支持体の移動量、ノズル数の関係を適宜設定することにより、画質と記録速度の関係を好ましい関係に設定することが可能となる。また、逆にヘッドを固定し、支持体を機械的に所定方向に往復移動するとともに、それと直交方向に間欠移動させることにより、同様の効果を得ることが可能である。
・システムパラメータ
画像を形成するうえで、インク受容層上でのインク着弾径は、5〜500μmの間にあることが好適であり、このためには吐出時のインク滴の直径は5〜200μmであることが好ましく、このときのノズル径は5〜200μmであることが好ましい。特に印刷版を作成する場合は、吐出液滴量が20pL以下であることが好ましく、10pL以下であることが特に好ましい。
画像を形成するためには1インチあたりの画素数が50〜4000dpiであることが好ましく、そのためには、ヘッドのノズル密度は10〜4000dpiであることが好ましい。ここで、ヘッドのノズル密度は低くとも、支持体の搬送方向に対して傾ける、あるいは複数のヘッドユニットを相対的にずらして配置することにより、ノズル間隔の大きいヘッドで高密度の着弾を実現することが可能である。また上記のようにヘッドもしくは支持体の往復移動により、低ノズルピッチでヘッドが移動するごとに支持体を所定量搬送させ、インク滴を異なる位置に着弾させることにより、高密度の画像記録を実現することができる。
ヘッドと支持体の間隔に関しては、広すぎるとヘッドもしくは支持体の移動に伴う空気の流れでインク滴の飛翔が乱れ、着弾位置精度が低下する。逆に間隔が狭いと、支持体の凹凸、搬送機構に起因する振動等によりヘッドと支持体が接触する危険性があり、0.5〜2mm程度に維持されることが好ましい。
[画像部の溶剤揮発工程]
上記のようにして形成されたインク受容層上の画像部は、続いて45℃以下の温度で加熱し、溶剤揮発する工程に施される。溶剤揮発工程における加熱手段はとくに制限されないが、パネルヒータ、赤外線ランプ等が挙げられる。加熱温度は、好ましくは40℃以下である。なお、上記のような加熱手段を用いずに、室温での溶剤揮発も好ましい形態である。
上記とは別に、あるいは上記の45℃以下の温度で加熱する工程と併用して、インク受容層上の画像部を、0.3〜3.0m/秒の流速の室温風に曝露させ、溶剤を揮発させてもよい。このような室温風の曝露により、溶剤の揮発効果が高まるとともに、前記の加熱手段を用いる溶剤揮発工程よりもコスト的に有利となる。前記流速が0.3m/秒未満であると室温風の暴露効果がそれほど発現せず、好ましくない。また3.0m/秒を超えると、着弾した画像部(画像ドット)を変形させる恐れがあるので好ましくない。
室温風の曝露は、画像部に対し25°〜75°の角度から行うのが好ましい。さらに好ましくは画像部に対し30°〜70°の角度である。但し、前記角度はインク受容層の平坦面を0°とし、該平坦面に対し鉛直方向を90°としたときの角度である。室温風の送風手段としては、公知の手段から適宜選択すればよく、例えばオリエンタルモーター(株)製ORIX FANが挙げられる。また室温風とは、平版印刷版の通常の製造工程の環境温度であり、とくに制限するものではないが、例えば、20℃〜32℃が一般的である。
画像部の膜厚(高さ)は、3μm以下が好ましい。さらに好ましくは2μm以下である。
[ガム処理]
以上、画像形成されたものは、さらに印刷の前にアラビアガムや澱粉誘導体、界面活性剤等を主成分とするガム処理することも可能である。ガムとしては、特公昭62−16834号、同62−25118号、同63−52600号、特開昭62−7595号、同62−11693号、同62−83194号の各公報に記載されているものが好ましい。なお、ガム処理の際に、インク受容層がガム液により溶解除去されることが好ましい。このようにして得られた版は平版印刷機により通常の印刷を行うことができる。尚、本発明では、ガム処理なしで、印刷することもできる。
[湿し水]
印刷する際の湿し水については、通常の平版印刷機および通常のインクにより印刷することができる。湿し水としては、一般に、イソプロピルアルコールを約20〜25%加えた水溶液を湿し水として用いるダールグレン方式が提案され、広く普及しているもの、また、イソプロピルアルコールは特有の不快臭があることと共に、毒性の面でも問題があり、有機溶剤中毒予防規則(有機則)第2種有機溶剤であって規制を受けるため、イソプロピルアルコールを代替する技術を導入したもの、さらにイソプロピルアルコール代替化合物として不揮発性もしくは高沸点化合物を使用する技術も開発されている。例えば、特定のアルキレンオキサイド系非イオン系界面活性剤を湿し水組成物に含めたもの、及び、アルキレンジアミンのエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加物を湿し水組成物に含めたものを使用することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。
実施例1
<支持体の作製>
<アルミニウム板>
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.005質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理およびろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作成した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上げ、JIS 1050材のアルミニウム板を得た。このアルミニウム板を幅1030mmにした後、以下に示す表面処理に供した。
<表面処理>
表面処理は、以下の(a)〜(j)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理および水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
(a)機械的粗面化処理
比重1.12の研磨剤(パミス)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。
(b)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2 溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃であった。電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2 、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.25g/m2 溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(f)デスマット処理
温度30℃の硫酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で25A/dm2 、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2 溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(i)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
(j)陽極酸化処理
電解液としては、硫酸を用いた陽極酸化処理を行い、酸化皮膜量が2.7g/m2 である、平版印刷版用支持体を得た。
[シリケートによる親水化層]
このように処理された支持体を、3号珪酸ソーダ水溶液に、70℃で13秒間浸漬した後、水洗乾燥した。東京精密(株)製、サーフコム 形式575Aの表面粗さ計を用い、カットオフ0.8mm、測定長3mmで、繰り返し5回の平均値として、表面粗さRaを測定したところ、0.55μmであった。
[インク受容層]
下記組成の塗布液をワイヤーバーにて支持体上に塗布し、80℃で15秒間乾燥し、インク受容層を形成した。塗布量は、20mg/mであった。
下記化合物 0.12g
ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)0.18g
イオン交換水 100g
Figure 2008081651
<インク組成物>
インク組成物1
以下の各成分を溶解攪拌することにより、インク組成物1を調製した。
ジプロピレングリコールジメチル 95g
メチルメタクリレート/メタクリルアミド共重合体 5g
(質量平均分子量=14000)
下記特定キノン類(1) 1.5g
Figure 2008081651
[インクジェット記録]
インクジェット記録装置として、Roland DG社製、SP-300Vを用い、該装置に装着されているシアンインクを上記インク組成物1に置き換え、べた印画を0.5m2行った。その後、テストプリントを行った所、ドットの抜けは無く良好であった。それにより、インク吐出性に問題がないことを確認した。
なお、テストプリントとは、各ノズルからのインク突出性が正常に行われているかを確認するテストの事である。
[溶剤揮発工程]
次に、上記のインクジェット記録装置を用い、UGRA画像が形成されるように、インク組成物1をインク受容層上に吐出した。続いて、得られた画像部に対し45°の角度から、1.5m/秒の流速の室温風をUGRA画像描画時及びその前後30秒間曝露し、実施例1の平版印刷版(1)を作製した。
得られた平版印刷版(1)を、ガム処理することなく、小森コーポレーション社製のリスロン印刷機で、IF102(富士写真フィルム(株)製)湿し水を用い、大日本インキ化学工業社(株)製のDIC−GEOS(N)墨のインキを用いて印刷し、UGRA画像の濃度が薄くなり始めたと目視で認められた時点の印刷枚数により、耐刷性を評価した。良好な印刷物が2万枚印刷できた。
得られた画像は、ドットの重なりがなく良好なものであった。
実施例2
実施例1において、溶剤揮発工程時の1.5m/秒の流速の室温風の曝露を、3.0m/秒の室温風を、UGRA画像描画時及びその前後30秒間の曝露に変更し、平版印刷版(2)を作製したこと以外は、実施例1を繰り返した。テストプリントの結果は良好であり、インク吐出性に問題がないことを確認した。得られたUGRA画像は、ドットの重なりがなく良好なものであった。耐刷性を評価したところ、良好な印刷物が2万枚印刷できた。
実施例3
実施例1の溶剤揮発工程を、インク組成物1をインク受容層上に吐出した後、これを40℃でUGRA画像描画時及びその前後180秒間保持する工程に変更し、平版印刷版(3)を作製したこと以外は、実施例1を繰り返した。テストプリントの結果は良好であり、インク吐出性に問題がないことを確認した。得られたUGRA画像は、ドットの重なりがなく良好なものであった。耐刷性を評価したところ、良好な印刷物が2万枚印刷できた。
実施例4
実施例1の溶剤揮発工程を、インク組成物1をインク受容層上に吐出した後、これを室温で、2時間自然乾燥させた。自然乾燥させる工程に変更し、平版印刷版(4)を作製したこと以外は、実施例1を繰り返した。テストプリントの結果は良好であり、インク吐出性に問題がないことを確認した。得られたUGRA画像は、ドットの重なりが1.5個/100mm(平均値)見られたが、実用上、問題のないレベルであった。耐刷性を評価したところ、良好な印刷物が2万枚印刷できた。
実施例5
実施例1のインク組成物1において、特定キノン類(1)を下記構造を有する特定キノン類(2)に変更しインク組成物2とし、平版印刷版(5)を作製したこと以外は、実施例1を繰り返した。テストプリントの結果は良好であり、インク吐出性に問題がないことを確認した。得られたUGRA画像は、ドットの重なりがなく良好なものであった。耐刷性を評価したところ、良好な印刷物が2万枚印刷できた。
Figure 2008081651
実施例6
実施例1のインク組成物1において、特定キノン類(1)を下記構造を有する特定キノン類(3)に変更しインク組成物3とし、平版印刷版(6)を作製したこと以外は、実施例1を繰り返した。テストプリントの結果は良好であり、インク吐出性に問題がないことを確認した。得られたUGRA画像は、ドットの重なりがなく良好なものであった。耐刷性を評価したところ、良好な印刷物が2万枚印刷できた。
Figure 2008081651
実施例7
実施例1のインク組成物1において、特定キノン類(1)を下記構造を有する特定キノン類(4)に変更しインク組成物4とし、平版印刷版(7)を作製したこと以外は、実施例1を繰り返した。テストプリントの結果は良好であり、インク吐出性に問題がないことを確認した。得られたUGRA画像は、ドットの重なりがなく良好なものであった。耐刷性を評価したところ、良好な印刷物が2万枚印刷できた。
Figure 2008081651
実施例8
実施例1において、インク組成物1の処方を下記のように変更しインク組成物5とし、平版印刷版(8)を作製したこと以外は、実施例1を繰り返した。テストプリントの結果は良好であり、インク吐出性に問題がないことを確認した。得られたUGRA画像は、ドットの重なりがなく良好なものであった。耐刷性を評価したところ、良好な印刷物が2万枚印刷できた。
インク組成物5
乳酸エチル 92g
メチルメタクリレート/メタクリルアミド共重合体 8g
(質量平均分子量=6000)
上記特定キノン類(1) 1.5g
比較例1
実施例1において、溶剤揮発工程時の1.5m/秒の流速の室温風の曝露を、4.5m/秒の室温風の曝露に変更し、平版印刷版(9)を作製したこと以外は、実施例1を繰り返した。テストプリントの結果は良好であり、インク吐出性に問題がないことを確認した。しかし、得られたUGRA画像は、ドットの重なりや、風により飛び散ったドットが散在していた。明らかに印刷版としては不適であった。
比較例2
実施例1の溶剤揮発工程を、インク組成物1をインク受容層上に吐出した後、これを50℃でUGRA画像描画時及びその前後180秒間保持する工程に変更し、平版印刷版(10)を作製したこと以外は、実施例1を繰り返した。その結果、Al支持体の歪曲が発生し、その凸部が、インクジェット記録の際にノズルに触れ、画像に傷が入った。明らかに印刷版としては不適であった。
比較例3
実施例1のインク組成物1において、特定キノン類(1)を、下記構造を有するエチルバイオレットに変更しインク組成物6とし、平版印刷版(11)を作製したこと以外は、実施例1を繰り返した。テストプリントを行ったところ、ドットの抜けが8箇所見つかった。インクジェットノズルを顕微鏡観察したところ、数箇所にインク組成物起因と考えられる詰まりが発生していた。得られたUGRA画像には、ムラが発生していた。耐刷性の評価において、2万枚印刷後、ムラがさらに広がった。明らかに印刷版としては不適であった。
Figure 2008081651
比較例4
実施例1において、インク組成物1の処方を下記のように変更しインク組成物7とし、平版印刷版(12)を作製したこと以外は、実施例1を繰り返した。テストプリントを行ったところ、ドットの抜けが3箇所見つかった。それにより、インク吐出性にやや問題があることを確認した。得られたUGRA画像には、ムラが発生していた。耐刷性の評価において、枚数が増えるにつれ、画質が悪化し、不可であった。
インク組成物7
乳酸エチル 98g
メチルメタクリレート/メタクリルアミド共重合体 2g
(質量平均分子量=48000)
上記特定キノン類(1) 1.5g
比較例5
実施例1において、インク組成物1の処方を下記のように変更しインク組成物8とし、平版印刷版(13)を作製したこと以外は、実施例1を繰り返した。テストプリントの結果は良好であり、インク吐出性に問題がないことを確認した。しかし、得られたUGRA画像には、ムラが発生していた。耐刷性の評価は、2万枚未満であり、不可であった。
インク組成物8
乳酸エチル 87g
メチルメタクリレート/メタクリルアミド共重合体 13g
(質量平均分子量=4000)
上記特定キノン類(1) 1.5g
下記表1に、上記実施例および比較例で用いた平版印刷版の構成材料、溶剤揮発工程の概要、各種試験結果をあわせて示す。
Figure 2008081651

Claims (3)

  1. インクジェット記録方式により印刷版を作成するためのインク組成物であって、
    下記一般式(1)または(2)で表されるキノン類、溶剤および質量平均分子量が5000〜30000である高分子化合物を含有してなることを特徴とするインク組成物。
    Figure 2008081651


    式中、R11〜R16及びR21〜R28は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基、−O−R31、−NH−R32、または、−NR3334を示す。R31、R32及びR33は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。また、R31、R32及びR33の炭化水素基中にカルボニル基またはカルボキシル基を含んでいてもよい。
  2. 支持体上に、水溶性ポリマーを含有するインク受容層を設け、該インク受容層上に、請求項1に記載のインク組成物をインクジェット記録方式により吐出して画像部を形成する工程と、該画像部に含まれる溶剤を45℃以下の温度で揮発させる工程とを少なくとも有することを特徴とする平版印刷版の作製方法。
  3. 支持体上に、水溶性ポリマーを含有するインク受容層を設け、該インク受容層上に、請求項1に記載のインク組成物をインクジェット記録方式により吐出して画像部を形成する工程と、該画像部に含まれる溶剤を、該インク受容層に直接0.3〜3.0m/秒の流速の室温風に曝露して揮発させる工程とを少なくとも有することを特徴とする平版印刷版の作製方法。
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