JP4604367B2 - 化学増幅型ポジ型レジスト組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体の微細加工に用いられる化学増幅型のポジ型レジスト組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体の微細加工には通常、レジスト組成物を用いたリソグラフィプロセスが採用されており、リソグラフィにおいては、レイリー(Rayleigh)の回折限界の式で表されるように、原理的には露光波長が短いほど解像度を上げることが可能である。半導体の製造に用いられるリソグラフィ用露光光源は、波長436nmのg線、波長365nmのi線、波長248nmのKrFエキシマレーザーと、年々短波長になってきており、次世代の露光光源として、波長193nmのArFエキシマレーザーが有望視されている。
【0003】
ArFエキシマレーザー露光機に用いられるレンズは、従来の露光光源用のものに比べて寿命が短いので、ArFエキシマレーザー光に曝される時間はできるだけ短いことが望ましい。そのためには、レジストの感度を高める必要があることから、露光により発生する酸の触媒作用を利用し、その酸により解裂する基を有する樹脂を含有するいわゆる化学増幅型レジストが用いられる。
【0004】
しかしながら、従来公知の化学増幅型レジスト組成物では、定在波の発生等によりラインエッジラフネスすなわちパターン側壁の平滑性が低下する結果、線幅の均一性が悪くなるという問題点が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、樹脂成分と酸発生剤を含有し、ArFやKrFなどのエキシマレーザーリソグラフィに適した化学増幅型のポジ型レジスト組成物であって、感度や解像度などの各種のレジスト性能が良好であるとともに、特に改善されたラインエッジラフネスを与えるポジ型レジスト組成物を提供することにある。
【0006】
本発明者らは、ラインエッジラフネスを改善すべく、化学増幅型ポジ型レジスト組成物について鋭意検討を重ねた結果、シクロヘキサノール類という特定の化合物を含有せしめた化学増幅型ポジ型レジスト組成物が、改善されたラインエッジラフネスを与えるのみならず各種のレジスト性能も良好であることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、酸の作用でアルカリ可溶となる樹脂、酸発生剤、及びシクロヘキサノール類を含有する化学増幅型ポジ型レジスト組成物に係るものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の組成物は、シクロヘキサノール類という特定の化合物を含有することを特徴とするものであるが、該シクロヘキサノール類としては、例えば下式(I)
(式中、R1、R2、R3及びR4は、互いに独立に水素、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は水酸基を表す。)
で示される化合物が挙げられる。ここで炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基は、直鎖でも分岐していても良い。式(I)で示されるシクロヘキサノール類の代表例としては、次の化合物が挙げられる。これらは2種以上の混合物として使用することもできる。
【0009】
シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、2−エチルシクロヘキサノール、4−エチルシクロヘキサノール、2−t−ブチルシクロヘキサノール、4−t−ブチルシクロヘキサノール、2、3−ジメチルシクロヘキサノール、2、6−ジメチルシクロヘキサノール、2、5−ジメチルシクロヘキサノール、2、4−ジメチルシクロヘキサノール、3、4−ジメチルシクロヘキサノール、3、5−ジメチルシクロヘキサノール、2、2−ジメトキシシクロヘキサノール、3、3、5−トリメチルシクロヘキサノール、2、3、5−トリメチルシクロヘキサノール、2、3、6−トリメチルシクロヘキサノール、2、4、5−トリメチルシクロヘキサノール、3、3、5、5−テトラメチルシクロヘキサノール、1、2−シクロヘキサンジオール、1、3−シクロヘキサンジオール、1、4−シクロヘキサンジオール、1、2、3−シクロヘキサントリオール、1、3、5−シクロヘキサントリオールなど。中でも、1、2−シクロヘキサンジオール、1、3−シクロヘキサンジオール、1、4−シクロヘキサンジオール等が好ましく使用される。
【0010】
本発明の化学増幅型レジスト組成物は、シクロヘキサノール類の他に、バインダー成分としてアルカリ可溶性となりうる樹脂又はアルカリ可溶性樹脂を、また感放射線成分として放射線の作用により酸を発生する活性化合物を含有し、放射線照射部で感放射線成分から発生する酸の触媒作用を利用するものである。ここで、アルカリ可溶性となりうる樹脂として、酸の作用でアルカリ可溶となる樹脂が挙げられる。
化学増幅型のポジ型レジストは、放射線照射部で発生した酸が、その後の熱処理(post exposure bake)によって拡散し、樹脂等の保護基を解裂させるとともに酸を再生成することにより、その放射線照射部をアルカリ可溶化する。
化学増幅型ポジ型レジストには、バインダー樹脂がアルカリ可溶性であり、かかるバインダー成分及び感放射線成分(酸発生剤)に加えて、酸の作用により解裂しうる保護基を有し、それ自体ではアルカリ可溶性バインダー樹脂に対して溶解抑止能を持つが、酸の作用により上記保護基が解裂した後はアルカリ可溶性となる溶解抑止剤を含有するものと、バインダー樹脂が酸の作用により解裂しうる保護基を有し、それ自体ではアルカリに不溶又は難溶であるが、酸の作用により上記保護基が解裂した後はアルカリ可溶性になるものとがある。
【0011】
化学増幅型ポジ型レジスト組成物において、それ自体がアルカリ可溶性であるバインダー樹脂は、例えば、フェノール骨格を有するアルカリ可溶性樹脂や、(メタ)アクリル酸エステル骨格を有し、エステルのアルコール側に脂環式環及びカルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂などでありうる。具体的には、ポリビニルフェノール樹脂、ポリイソプロペニルフェノール樹脂、これらポリビニルフェノール樹脂又はポリイソプロペニルフェノール樹脂の水酸基の一部がアルキルエーテル化された樹脂、ビニルフェノール又はイソプロペニルフェノールと他の重合性不飽和化合物との共重合樹脂、(メタ)アクリル酸の脂環式エステルの重合体であって、その脂環式環にカルボキシル基を有する樹脂、(メタ)アクリル酸の脂環式エステルと(メタ)アクリル酸との共重合樹脂などが挙げられる。
【0012】
このようなアルカリ可溶性樹脂自体をバインダー成分とする場合は、溶解抑止剤が用いられる。溶解抑止剤は、フェノール系化合物のフェノール性水酸基を、アルカリ現像液に対しては溶解抑止能を持つが、酸の作用により解裂する基で保護した化合物でありうる。酸の作用により解裂する基としては、例えば、tert−ブトキシカルボニル基が挙げられ、これがフェノール性水酸基の水素に置換することになる。溶解抑止剤には、例えば、2,2−ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)プロパン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)スルホン、3,5−ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)−1,1,3−トリメチルインダンなどが包含される。
【0013】
化学増幅型ポジ型レジスト組成物において、酸の作用でアルカリ可溶となる樹脂は、酸の作用により解裂しうる保護基を有し、それ自体ではアルカリに不溶又は難溶であるが、酸の作用により上記保護基が解裂した後はアルカリ可溶性になる樹脂が挙げられ、該樹脂をバインダー成分とする場合、このバインダー樹脂は、例えば、先に例示したフェノール骨格を有する樹脂や(メタ)アクリル酸骨格を有する樹脂のようなアルカリ可溶性樹脂に、酸の作用により解裂しうる保護基を導入したものでありうる。
このような、アルカリ現像液に対しては溶解抑止能を持つが、酸に対しては不安定な基は、公知の各種保護基であることができる。例えば、tert−ブチル、tert−ブトキシカルボニル又はtert−ブトキシカルボニルメチルのような4級炭素が酸素原子に結合する基;テトラヒドロ−2−ピラニル、テトラヒドロ−2−フリル、1−エトキシエチル、1−(2−メチルプロポキシ)エチル、1−(2−メトキシエトキシ)エチル、1−(2−アセトキシエトキシ)エチル、1−〔2−(1−アダマンチルオキシ)エトキシ〕エチル又は1−〔2−(1−アダマンタンカルボニルオキシ)エトキシ〕エチルのようなアセタール型の基;3−オキソシクロヘキシル、4−メチルテトラヒドロ−2−ピロン−4−イル(メバロニックラクトンから導かれる)又は2−メチル−2−アダマンチル、2−エチル−2−アダマンチルのような非芳香族環状化合物の残基などが挙げられ、これらの基がフェノール性水酸基の水素又はカルボキシル基の水素に置換することになる。これらの保護基は、公知の保護基導入反応によって、フェノール性水酸基又はカルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂に導入することができる。また、このような基を有する不飽和化合物を一つのモノマーとする共重合によって、上記の樹脂を得ることもできる。
【0014】
以上のような、アルカリ可溶性の又は酸の作用でアルカリ可溶となる樹脂をバインダーとする化学増幅型レジストは、放射線の作用により酸を発生する酸発生剤を含有する。酸発生剤は、その物質自体に、又はその物質を含むレジスト組成物に、放射線を照射することによって、酸を発生する各種の化合物であることができる。例えば、オニウム塩、ハロゲン化アルキルトリアジン系化合物、ジスルホン系化合物、ジアゾメタンスルホニル骨格を有する化合物、スルホン酸エステル系化合物などが挙げられる。このような酸発生剤の具体例を示すと、次のとおりである。
【0015】
ジフェニルヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート、
【0016】
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
トリフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
p−トリルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
p−トリルジフェニルスルホニウム パーフルオロブタンスルホネート、
p−トリルジフェニルスルホニウム パーフルオロオクタンスルホネート、
2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム パーフルオロブタンスルホネート、
シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム パーフルオロオクタンスルホネート、
【0017】
2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシ−1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソラン−5−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3,4,5−トリメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(2,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(2−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−ブトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
【0018】
ジフェニル ジスルホン、
ジ−p−トリル ジスルホン、
ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(p−トリルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(4−tert−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(2,4−キシリルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、
(ベンゾイル)(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、
【0019】
1−ベンゾイル−1−フェニルメチル p−トルエンスルホネート(通称ベンゾイントシレート)、
2−ベンゾイル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル p−トルエンスルホネート(通称α−メチロールベンゾイントシレート)、
1,2,3−ベンゼントリイル トリスメタンスルホネート、
2,6−ジニトロベンジル p−トルエンスルホネート、
2−ニトロベンジル p−トルエンスルホネート、
4−ニトロベンジル p−トルエンスルホネート、
【0020】
N−(フェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフタルイミド、
N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフタルイミドなど。
【0021】
また、本発明の化学増幅型のポジ型レジスト組成物においては、塩基性化合物、特に塩基性含窒素有機化合物、例えばアミン類を、クェンチャーとして添加することにより、露光後の引き置きに伴う酸の失活による性能劣化を改良できる。クェンチャーに用いられる塩基性化合物の具体的な例としては、以下の各式で示されるようなものが挙げられる。
【0022】
【0023】
式中、R11及びR12は互いに独立に、水素、水酸基で置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル又はアリールを表し、R13、R14及びR15は互いに独立に、水素、水酸基で置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アリール又はアルコキシを表し、R16は水酸基で置換されていてもよいアルキル又はシクロアルキルを表し、Aはアルキレン、カルボニル又はイミノを表す。R11〜R16で表されるアルキル及びR13〜R15で表されるアルコキシは、それぞれ炭素数1〜6程度であることができ、R11〜R16で表されるシクロアルキルは、炭素数5〜10程度であることができ、そしてR11〜R15で表されるアリールは、炭素数6〜10程度であることができる。また、Aで表されるアルキレンは、炭素数1〜6程度であることができ、直鎖でも分岐していてもよい。
【0024】
本発明のレジスト組成物では、酸の作用でアルカリ可溶となる樹脂100重量部に対して、酸発生剤を0.1〜20重量部、シクロヘキサノール類を1〜20重量部の範囲で含有することが好ましい。
クェンチャーとしての塩基性化合物を用いる場合は、同じくレジスト組成物の樹脂100重量部に対して、0.001〜1重量部の範囲、さらには0.01〜1重量部の割合で含有することが好ましい。
本発明の組成物はまた、必要に応じて、増感剤、溶解抑止剤、他の樹脂、界面活性剤、安定剤、染料など、各種の添加物を少量含有することもできる。
【0025】
本発明のレジスト組成物は、通常、上記の各成分が溶剤に溶解された状態でレジスト液となり、シリコンウェハーなどの基体上に、スピンコーティングなどの常法に従って塗布される。ここで用いる溶剤は、各成分を溶解し、適当な乾燥速度を有し、溶剤が蒸発した後に均一で平滑な塗膜を与えるものであればよく、この分野で一般に用いられている溶剤が使用しうる。例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類、乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルのようなエステル類、アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンのようなケトン類、γ−ブチロラクトンのような環状エステル類などを挙げることができる。これらの溶剤は、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0026】
基体上に塗布され、乾燥されたレジスト膜には、パターニングのための露光処理が施され、次いで脱保護基反応を促進するための加熱処理を行った後、アルカリ現像液で現像される。ここで用いるアルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であることができるが、一般には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液が用いられることが多い。
【0027】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。例中、使用量を表す部は、特記ないかぎり重量基準である。また重量平均分子量は、ポリスチレンを標準品として、ゲルパーミェーションクロマトグラフィーにより求めた値である。
【0028】
樹脂合成例1(樹脂A1の合成)
メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、及びα−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンを、5:2.5:2.5のモル比(20.0部:9.5部:7.3部)で仕込み、全モノマーに対して2重量倍のメチルイソブチルケトンを加えて、溶液とした。そこに、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを全モノマー量に対して2モル%添加し、80℃で約8時間加熱した。その後、反応液を大量のヘプタンに注いで沈殿させる操作を3回行い、精製した。その結果、重量平均分子量が約 9,200の共重合体を得た。この共重合体は、次式で示される各単位を有するものであり、これを樹脂A1とする。
【0029】
【0030】
樹脂合成例2(メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチル/アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル/ノルボルネン/無水マレイン酸共重合体(樹脂A2)の合成)
メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチルを10.0g、アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチルを9.0g、ノルボルネンを5.7g、無水マレイン酸を5.9g仕込み(モル比 2:2:3:3)、全モノマーの2重量倍のメチルイソブチルケトンを加えて後、窒素雰囲気で80℃に昇温した。そこに、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを全モノマー量に対して3モル%添加し、80℃で約15時間加熱した。その後、反応液を大量のメタノールに注いで沈殿させる操作を3回行って、重量平均分子量が約 12160、分散が1.90の共重合体を17.1g(収率55.9%)得た。この共重合体は、次式で示される各単位を有するものであり、これを樹脂A2とする。
【0031】
【0032】
次に、以上の樹脂合成例で得られた各樹脂のほか、以下に示す原料を用いてレジスト組成物を調製し、評価した。
【0033】
<樹脂>A3:4−ヒドロキシスチレン/スチレン/アクリル酸 t−ブチル(60/20/20)共重合体、重量平均分子量11000(丸善石油化学(株)製、TSM4)<酸発生剤>B1:p-トリルジフェニルスルホニウム パーフルオロオクタンスルホネートB2:p-トリルジフェニルスルホニウム トリフルオロブタンスルホネートB3:ジ p-tert-ブチルフェニルヨードニウム カンファースルホネート<クェンチャー>C1:2,6−ジイソプロピルアニリンC2:トリイソプロパノールアミン
<添加剤>
D1:1,3−シクロヘキサンジオール 0.5部
D2:1,4−シクロヘキサンジオール 0.5部
D3:1,3−アダマンタンジオール 0.5部
<溶剤>
E1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 57部
γ−ブチロラクトン 3部
E2:乳酸エチル 94部
【0034】
実施例1〜4及び比較例1〜4
以下の各成分を混合して溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト液を調製した。
【0035】
樹脂(種類及び量は表1記載)
酸発生剤(種類及び量は表1記載)
クェンチャー(種類及び量は表1記載)
溶剤(種類及び量は表1記載)
【0036】
シリコンウェハーにBrewer社製の有機反射防止膜用組成物である“DUV-30J-14”を塗布して215℃、60秒の条件でベークしてすることによって厚さ 1,600Åの有機反射防止膜を形成させ、次いでこの上に、上記のレジスト液を乾燥後の膜厚が、実施例1〜3、比較例1、3では0.39μm、実施例4および比較例4では0.42μmとなるようにスピンコートした。レジスト液塗布後は、ダイレクトホットプレート上にて、表1の「PB」の欄に示す温度で60秒間プリベークした。こうしてレジスト膜を形成したそれぞれのウェハーに、実施例4および比較例4ではKrFエキシマステッパー〔(株)ニコン製の“NSR 2205EX12B”、NA=0.55、2/3輪帯照明〕を、実施例1〜3および比較例1、3ではArFエキシマステッパー〔(株)ニコン製の“NSR ArF”、NA=0.55、σ=0.6〕を用い、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを露光した。露光後は、ホットプレート上にて表1の「PEB」の欄に示す温度で60秒間ポストエキスポジャーベークを行い、さらに2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行った。有機反射防止膜基板上のもので現像後のブライトフィールドパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、その結果を表2に示した。なお、ここでいうブライトフィールドパターンとは、外枠がクロム層(遮光層)で、その枠の内側にガラス面(透光部)をベースとしてライン状にクロム層(遮光層)が形成されたレチクルを介した露光及び現像によって得られ、したがって露光現像後は、ラインアンドスペースパターンの周囲のレジスト層が除去され、さらにその外側に外枠相当のレジスト層が残るパターンである。
【0037】
実効感度: 実施例1〜3および比較例1、3については0.18μm、実施例4および比較例4については0.25μmのラインアンドスペースパターンが1:1となる露光量で表示した。
解像度: 実効感度の露光量で分離するラインアンドスペースパターンの最小寸法で表示した。
パターン壁面の平滑性: 孤立ラインパターンの壁面を走査型電子顕微鏡で観察し比較例よりも滑らかになっているものを○、変化の無いものを×として判断した。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】
本発明の化学増幅型ポジ型レジスト組成物は、ラインエッジラフネスが著しく改善されたレジストパターンを与え、またドライエッチング耐性や感度、解像度などのレジスト諸性能も良好である。したがって、この組成物は、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザーなどを用いた露光に適しており、それによって高い性能のレジストパターンを与える。
Claims (6)
- 酸の作用でアルカリ可溶となる樹脂[ただし、フェノール性水酸基含有アルカリ可溶性樹脂の該水酸基の少なくとも一部が酸分解性保護基で保護された樹脂であって、酸分解性保護基として下記一般式(II)で表される基を必須成分として含む樹脂を除く。
(R 21 及びR 22 は独立に水素原子、置換されていても良いアルキル基または置換されていても良いアルコキシ基を表し、R 23 は置換されていても良いアルキル基を表す。)]、酸発生剤[ただし、式(III)で表されるビススルホニルジアゾメタン化合物を除く。
(R 24 は置換されていてもよく、かつ環構造中にヘテロ原子を有していてもよい縮合多環炭化水素基を表し、R 25 は置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状アルキル基、或いは置換されていてもよいアリール基を表す。但し、R 24 とR 25 は相異なる基を表す。)]、及びシクロヘキサノール類を含有することを特徴とする化学増幅型ポジ型レジスト組成物。 - 酸の作用でアルカリ可溶となる樹脂100重量部に対して、酸発生剤を0.1〜20重量部、シクロヘキサノール類を1〜20重量部含有する請求項1記載の組成物。
- シクロヘキサノール類が、1、2−シクロヘキサンジオール、1、3−シクロヘキサンジオール及び1、4−シクロヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
- さらに、塩基性化合物をクェンチャーとして含有する請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
- 酸の作用でアルカリ可溶となる樹脂100重量部に対して、塩基性化合物を0.001〜1重量部含有する請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
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