JP4603120B2 - 石炭灰用分散剤組成物、石炭灰組成物および水硬性材料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は石炭灰用分散剤組成物、該分散剤組成物を含有する石炭灰組成物および該石炭灰組成物を含有する水硬性材料組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、特定の含窒素ポリオキシアルキレン誘導体とポリカルボン酸系化合物を含有する石炭灰用分散剤組成物、該分散剤組成物と水と石炭灰とからなる石炭灰組成物、ならびに該石炭灰組成物と水硬性材料とからなる水硬性材料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保全および資源保護の観点から、産業廃棄物の再利用の一つとして、石炭火力発電所等から発生する石炭灰の有効利用が注目されている。石炭灰は現在のところ埋め立て等による廃棄処分が主流であるが、一方でセメントコンクリート用混和材,人口骨材等に利用されている。しかしながら、近年に至って大規模な石炭灰の埋め立て用地の確保は、年々困難となってきている。そのため、石炭灰の再利用の主用途であるセメントコンクリート分野をはじめとした資源としての有効な利用の拡大が望まれている。
【0003】
石炭灰の埋め立て方法には、加湿灰埋立工法、スラリ埋立工法等があるが、埋立後の飛散灰の少ないスラリ工法が主流となっている。なかでも、埋立密度や埋立後の地盤強度等の点から、高密度かつ均一分散が可能で、より一層高濃度の石炭灰スラリが望まれている。また、石炭灰を他の廃棄物等と混合することで、土木建築用充填材あるいは道路用基礎材料などへの応用が試みられているが、石炭灰が他の混合物等と均一に分散しにくく、不均一になってしまう等の問題がある。特に未燃炭素量の多い石炭灰の場合、その傾向が顕著である。
また、石炭灰利用の主用途であるセメントコンクリート組成物には、施工性、耐久性および品質等の面から、ほとんどの場合、空気連行剤や減水剤などのセメントコンクリート用添加剤が配合されている。
ところで、近年、コンクリート構造物の高層化、大型化に伴い、コンクリートに対する高強度化、高耐久性の要求が高まっている。コンクリートの高強度化のためには、コンクリート組成物中のセメント等の水硬性成分の増加、水分の減少等が必要であるが、コンクリート組成物を混練したあとの粘性が高まるため、減水剤等の添加剤が必要となっており、特に減水剤の果たす役割が重要視されている。
【0004】
減水剤としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物塩、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物塩、リグニンスルホン酸塩およびポリカルボン酸系化合物等が用いられている。このうち、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物塩およびメラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物塩は、スランプロスが大きく、また、減水性も十分とは言えないため、良好に施工することが可能な時間が限られ、施工不良の原因となるおそれがある。また、原料であるホルムアルデヒドの残留による人体への影響も問題となってきている。一方、リグニンスルホン酸塩は減水性が不十分である。そのため、これらの問題のないポリカルボン酸系の減水剤を使用する場合が多くなってきている。
しかし、石炭灰、特に未燃炭素分を多く含む石炭灰を混和したセメントコンクリート組成物では、減水剤等のセメントコンクリート用添加剤が、この未燃炭素分に吸着され、その効果を示さない場合や本来発揮すべき効果を十分に得られない場合がある。そのため、セメントコンクリート用添加剤が本来その効果を発揮するのに必要な量以上のセメントコンクリート添加剤を使用することになるが、セメントコンクリート添加剤の過剰添加により、空気量の経時変化や凝結遅延等、施工性や硬化後の物性に支障を来す場合がある。また、石炭灰は、使用する石炭の種類、燃焼温度あるいは燃焼時の酸素濃度によって、未燃分の増減や粒径の不均一化等が起こるため、品質にばらつきが生じる。
【0005】
従って、セメントコンクリート分野へ使用される石炭灰には、一定の品質が求められているが、発生する石炭灰は品質にばらつきがあるため、セメントコンクリート分野において十分に利用されてないのが現状である。
このような状況下で、セメントコンクリート用添加剤の効果を阻害しにくい石炭灰組成物や石炭灰を含有するセメントコンクリート組成物が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような状況下において、石炭灰の分散に優れた効果を示す分散剤組成物、施工性が良好な石炭灰組成物および石炭灰を含有する水硬性材料組成物の提供を目的としてなされたものである。つまり、本発明は、少量の添加でも石炭灰を良好に分散し、未燃炭素量が多い石炭灰にも有効な分散剤組成物と、石炭灰を均一に分散すると共に粘性の低い石炭灰組成物および石炭灰が均一に分散した水硬性材料組成物とを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
(I)一般式(1)
【0008】
【化6】
【0009】
(ただし、式中、Zは活性水素を2〜10個持つ多価アルコールまたは有機アミンの(a+b)価の残基、A1Oは炭素数2〜18のオキシアルキレン基の1種または2種以上で、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でも良く、R1は炭素数2〜4のアルキレン基、R2は水素原子または炭素数1〜22の1価の炭化水素基、またはR2 2として窒素原子と結合して環状構造を形成する2価の炭化水素基もしくは2価の含窒素炭化水素基、R3は水素原子,炭素数1〜22の1価の炭化水素基またはアシル基、n=1〜75、m=1〜75、Zが多価アルコールの残基である場合a=1〜10、b=0〜9、かつ2≦a+b≦10であり、Zが有機アミンの残基である場合a=0〜10、b=0〜10、かつ2≦a+b≦10である。なお、a個の[(A1O)nR1NR2 2]およびb個の[(A1O)mR3]はすべてZと結合するものとする。)
で示される含窒素ポリオキシアルキレン誘導体10〜95重量%とポリカルボン酸系化合物90〜5重量%とからなる石炭灰用分散剤組成物であって、
前記ポリカルボン酸系化合物が、一般式(2)
【化7】
(ただし、R 4 ,R 5 およびR 6 はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上で、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でも良く、R 8 は水素原子または炭素数1〜22の1価の炭化水素基、R 7 は炭素数1〜4のアルキレン基を表し、p=1〜150である。)
で示されるポリアルキレングリコールエーテル系単量体(ア)50〜99重量%、一般式(3)または式(3')
【化8】
(ただし、M 1 は水素原子、1価の金属、2価の金属、アンモニウムまたは1価の有機アミノ基を表し、m1はM 1 の原子価を表し、Xは−M 2 1/m2 または−Y−(AO) r R 9 (ここで、M 2 は水素原子、1価の金属、2価の金属、アンモニウムまたは1価の有機アミノ基を表し、m2はM 2 の原子価を表し、Yはエーテル基またはイミノ基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上で、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でも良く、R 9 は水素原子または炭素数1〜22の1価の炭化水素基、r=1〜150である。)を表す。)
で示されるジカルボン酸系単量体(イ)1〜50重量%および共重合可能な他の単量体(ウ)0〜30重量%を重合して得られる共重合体、又は
一般式(4)
【化9】
(ただし、R 10 は水素原子またはメチル基を表し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上で、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でも良く、R 11 は水素原子または炭素数1〜22の1価の炭化水素基を表し、s=1〜150である。)
で示されるポリアルキレングリコールエステル系単量体(エ)50〜99重量%、一般式(5)
【化10】
(ただし、R 12 は水素原子またはメチル基を表し、M 3 は水素原子、1価の金属,2価の金属、アンモニウムまたは1価の有機アミノ基を表し、m3はM 3 の原子価を表す。)
で示されるモノカルボン酸系単量体(オ)1〜50重量%および共重合可能な他の単量体(ウ)0〜30重量%を重合して得られる共重合体である、石炭灰用分散剤組成物、
(II)上記石炭灰用分散剤組成物、水および石炭灰からなる石炭灰組成物、および
(III)上記石炭灰組成物および水硬性材料からなる水硬性材料組成物
を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の石炭灰用分散剤組成物の一成分である一般式(1)の含窒素ポリオキシアルキレン誘導体としては、各種のものを挙げることができる。この一般式(1)におけるZは、活性水素を2〜10個持つ多価アルコールまたは有機アミンの(a+b)価の残基を示す(ここで(a+b)価は、2≦a+b≦10であることから2〜10価の範囲の価数であり、Zに結合する[(A1 O) n R1 NR2 2] および[(A1 O) m R3 ] の個数により定まる)。このうち、多価アルコール残基を構成する多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ドデシレングリコール、オクタデシレングリコール、ネオペンチルグリコール、スチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−ペンタトリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、エリスリトール、アドニトール、アラビトール、アラビノース、キシリトール、キシロース、ソルビトール、ソルビタン、ソルバイト、グルコース、フラクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、マルトース、シュクロース等が挙げられ、そのうち好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびブチレングリコールである。
【0011】
また、Zが有機アミン残基の場合、この有機アミン残基を構成する有機アミンとしては、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、イソトリドデシルアミン、テトラドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、イソヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、イソオクタデシルアミン、エイコシルアミン、ドコシルアミン、テトラコシルアミン、オレイルアミン、リノールアミン、アニリン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ドデシル−プロピレンジアミン、テトラデシル−プロピレンジアミン、ヘキサデシル−プロピレンジアミン、オクタデシル−プロピレンジアミン、オレイル−プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、メチルエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられ、そのうち好ましくはメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、イソトリドデシルアミン、テトラドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、イソヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、イソオクタデシルアミン、エイコシルアミン、ドコシルアミン、テトラコシルアミン、オレイルアミン、リノールアミン、アニリン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン等が挙げられる。
【0012】
本発明の含窒素ポリオキシアルキレン誘導体に用いられる多価アルコールまたは有機アミンの有する活性水素の和が10を超えると、必要なオキシアルキレン基の付加反応が困難となり好ましくない。なお、用いられる多価アルコールまたは有機アミンが単一化合物ではなく混合物である場合は、それらが有する活性水素の数は、平均値で表され、必ずしも整数であるとは限らない。したがって、(a+b)価も2〜10の範囲の実数ということができる。
次に一般式(1)のA1 Oで示される炭素数2〜18のオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシスチレン基、オキシドデシレン基、オキシテトラドデシレン基、オキシオクタデシレン基などが挙げられ、ここでオキシプロピレン基としては、1,2−オキシプロピレン基が好適であり、オキシブチレン基としては、1,2−オキシブチレン基、2,3−オキシブチレン基が好適である。A1 Oで示されるオキシアルキレン基としては炭素数2〜3のオキシアルキレン基(つまり、オキシエチレン基またはオキシプロピレン基)が好適である。A1 Oで示されるオキシアルキレン基の炭素数が18を超えると、多価アルコールまたは有機アミンへの付加が困難となるので好ましくない。なお、A1 Oが複数(つまりmまたはnが2以上)のときは、各A1 Oは同じオキシアルキレン基でも、また異なるものでもよいが、異なる場合(つまり2種以上のオキシアルキレン基の場合)は、これら異種のオキシアルキレン基がブロック状に結合(重合)しても、ランダム状に結合(重合)してもよい。
【0013】
また、一般式(1)のR1 で示される炭素数2〜4のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基があり、プロピレン基としては、1,2−プロピレン基が好適であり、ブチレン基としては、1,2−ブチレン基、2,3−ブチレン基が好適である。R1 の炭素数が4を超えると製造が困難なため好ましくない。
さらに、一般式(1)のR2 またはR3 で示される炭素数1〜22の1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イソトリドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オレイル基、ベヘニル基、フェニル基、ベンジル基、クレジル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、そのうち好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基である。
【0014】
さらにR2 2として窒素原子と結合して環状構造、つまりピロリジニル基、ピペリジル基、ピベラジニル基等の環状イミノ基類を形成する1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、3−アザ−1,5−ペンチレン基等の2価の炭化水素基および2価の含窒素炭化水素基がある。
R2 またはR3 で示される1価の炭化水素基の炭素数が22を超えると、一般式(1)で示される化合物の親水性が十分でなくなるので好ましくない。
一般式(1)のR3 で示される炭素数1〜22のアシル基としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、安息香酸、トルイル酸等の飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、芳香族脂肪酸、置換芳香族脂肪酸に由来するアシル基がある。R3 で示されるアシル基の炭素数が22を超えると、一般式(1)で示される化合物の親水性が十分でなくなるので好ましくない。
【0015】
一般式(1)におけるnおよびmは、いずれも(A1 O) で示されるオキシアルキレン基の繰り返し数を表すものであって、その数は1〜75の範囲に選定される。これらの値が75を超えると高粘度のため製造が困難となり好ましくない。一般式(1)のaおよびbの値は、Zが多価アルコールの残基の場合はa=1〜10、b=0〜9、かつ2≦a+b≦10であり、Zが有機アミンの残基である場合はa=0〜10、b=0〜10、かつ2≦a+b≦10である。なお、Zが多価アルコールの残基であってa=0であると、本発明の効果が得られない。また、残基前のZ(つまり、前述の多価アルコールあるいは有機アミン)が有する活性水素の数は10個以下であるので、Zが多価アルコールの残基である場合にはaの値は10を、bの値は9を超えることはなく、Zが有機アミンの残基である場合には、aおよびbの値が10を超えることはない。Zを残基とする多価アルコールまたは有機アミンの活性水素の数は10個以下であるので、a+bの値が10を超えることはできない。
さらに一般式(1)においては、a個の[(A1 O) n R1 NR2 2] およびb個の[(A1 O) m R3 ] はすべて、(a+b)価の残基であるZと直接結合しているものである。
また、一般式(1)で示される含窒素ポリオキシアルキレン誘導体の数平均分子量は、特に制限はなく、各種状況に応じて適宜選定することができるが、通常は135〜10,000であり、好ましくは500〜5,000である。
このような一般式(1)で示される含窒素ポリオキシアルキレン誘導体の具体例を挙げれば、ポリオキシエチレン(2〜150モル)メチルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)エチルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)プロピルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)ブチルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)アミルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)ヘキシルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)オクチルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)2−エチルヘキシルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)デシルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)ドデシルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)イソトリドデシルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)テトラドデシルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)ヘキサデシルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)イソヘキサデシルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)オクタデシルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)イソオクタデシルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)エイコシルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)ドコシルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)テトラコシルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)オレイルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)リノールアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)硬化牛脂アルキルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)牛脂アルキルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)ヤシアルキルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)パームアルキルアミン、ポリオキシエチレン(2〜150モル)モノフェニルアミン、N,N’−〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)〕エチレンジアミン、N,N’−〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)〕テトラメチレンジアミン、N,N’−〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)〕ドデシル−プロピレンジアミン、N,N’−〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)〕テトラデシル−プロピレンジアミン、N,N’−〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)〕ヘキサデシル−プロピレンジアミン、N,N’−〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)〕オクタデシル−プロピレンジアミン、N,N’−〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)〕オレイル−プロピレンジアミン、N,N’,N''−〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)〕ジエチレントリアミン、N,N’,N''−〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)〕アミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕メチルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕エチルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕プロピルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕ブチルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕アミルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕ヘキシアルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕オクチルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕2−エチルヘキシルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕デシルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕ドデシルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕イソトリドデシルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕テトラドデシルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕ヘキサデシルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕イソヘキサデシルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕オクタデシルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕イソオクタデシルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕エイコシルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕ドコシルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕テトラコシルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕オレイルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕リノールアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕硬化牛脂アルキルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕牛脂アルキルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕ヤシアルキルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕パームアルキルアミン、〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕モノフェニルアミン、N,N’−〔〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕〕エチレンジアミン、N,N’−〔〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕〕テトラメチレンジアミン、N,N’−〔〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕〕ドデシル−プロピレンジアミン、N,N’−〔〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕テトラデシル−プロピレンジアミン、N,N’−〔〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕ヘキサデシル−プロピレンジアミン、N,N’−〔〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕オクタデシル−プロピレンジアミン、N,N’−〔〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕オレイル−プロピレンジアミン、N,N’,N''−〔〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕ジエチレントリアミン、N,N’,N''−〔〔ポリオキシエチレン(2〜150モル)・ポリオキシプロピレン(2〜150モル)〕アミンなどがある。
【0016】
次に、本発明において、上記含窒素ポリオキシアルキレン誘導体と共に石炭灰用分散剤組成物を構成するポリカルボン酸系化合物としては、一般式(2)
【0017】
【化11】
【0018】
(ただし、R4 ,R5 およびR6 はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上で、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でも良く、R8 は水素原子または炭素数1〜22の1価の炭化水素基、R7 は炭素数1〜4のアルキレン基を表し、p=1〜150である。)
で示されるポリアルキレングリコールエーテル系単量体(ア)50〜99重量%、一般式(3)または式(3')
【0019】
【化12】
【0020】
(ただし、M1 は水素原子、1価の金属、2価の金属、アンモニウムまたは1価の有機アミノ基を表し、m1はM1 の原子価を表し、Xは−M2 1/m2または−Y−(AO)r R9 (ここで、M2 は水素原子、1価の金属、2価の金属、アンモニウムまたは1価の有機アミノ基を表し、m2はM2 の原子価を表し、Yはエーテル基またはイミノ基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上で、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でも良く、R9 は水素原子または炭素数1〜22の1価の炭化水素基、r=1〜150である。)を表す。)
で示されるジカルボン酸系単量体(イ)1〜50重量%および共重合可能な他の単量体(ウ)0〜30重量%を重合して得られる共重合体、または一般式(4)
【0021】
【化13】
【0022】
(ただし、R10は水素原子またはメチル基を表し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上で、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でも良く、R11は水素原子または炭素数1〜22の1価の炭化水素基を表し、s=1〜150である。)
で示されるポリアルキレングリコールエステル系単量体(エ)50〜99重量%、一般式(5)
【0023】
【化14】
【0024】
(ただし、R12は水素原子またはメチル基を表し、M3 は水素原子、1価の金属,2価の金属、アンモニウムまたは1価の有機アミノ基を表し、m3はM3 の原子価を表す。)
で示されるモノカルボン酸系単量体(オ)1〜50重量%および共重合可能な他の単量体(ウ)0〜30重量%を重合して得られる共重合体である。
【0025】
上記一般式(2)において、R4 ,R5 およびR6 は水素原子またはメチル基である。
一般式(2),(3)および(4)において、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられ、好ましくはオキシエチレン基である。なお、AOが複数(つまりp,rまたはsが2以上)のときは、各AOは同じオキシアルキレン基でも、また異なるものでもよいが、異なる場合(つまり2種以上のオキシアルキレン基の場合)は、これら異種のオキシアルキレン基がブロック状に結合(重合)しても、ランダム状に結合(重合)してもよい。
一般式(2)において、R7 は炭素数1〜4のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基があり、プロピレン基としては、1,2−プロピレン基が好適であり、ブチレン基としては、1,2−ブチレン基、2,3−ブチレン基が好適である。R7 の炭素数が4を超えると製造が困難なため好ましくない。
また、R8 は、水素原子または炭素数1〜22の1価の炭化水素基を示すが、具体的には、前述した一般式(1)のR2 またはR3 の場合と同様である。
さらに、pは炭素数2〜4のオキシアルキレン基(つまりAO)の付加モル数(繰り返し数)であり、通常は1〜150であり、好ましくは10〜100である。
【0026】
一般式(3)および式(5)において、M1 ,M2 およびM3 は、それぞれ水素原子,1価の金属,2価の金属、アンモニウムまたは1価の有機アミノ基である。1価の金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム等が挙げられ、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウムである。
2価の金属としてはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられ、好ましくはマグネシウム、カルシウムである。
1価の有機アミノ基としては、モノエタノールアミノ基、ジエタノールアミノ基、トリエタノールアミノ基などのアルカノールアミノ基、あるいはメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、トリメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、トリエチルアミノ基などのアルキルアミノ基等が挙げられ、好ましくはモノエタノールアミノ基、ジエタノールアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基である。
なお、m1、m2およびm3は、それぞれM1 ,M2 およびM3 の原子価、即ち1または2を示す。
【0027】
一般式(3)において、Xは−M2 1/m2または−Y−(AO)r R9 である。Yはエーテル基(−O−)またはイミノ基(−NH−)である。
また、rは前記pと同様に、炭素数2〜4のオキシアルキレン基(つまりAO)の付加モル数(繰り返し数)であり、通常は1〜150であり、好ましくは10〜100である。
さらにR9 は、水素原子または炭素数1〜22の1価の炭化水素基であり、炭素数1〜22の1価の炭化水素基としては、具体的には、前述した一般式(1)のR2 またはR3 の場合と同様である。R9 で示される1価の炭化水素基の炭素数が22を超えると、一般式(3)で示される化合物の親水性が十分でなくなるので好ましくない。
なお、本発明においては、一般式(3)で示される化合物の代わりに、あるいはこれと共に式(3') で示される化合物(即ち無水マレイン酸)を用いることもできる。
【0028】
次に、一般式(4)において、R10は水素原子またはメチル基を表し、R11は水素原子または炭素数1〜22の1価の炭化水素基を表す。ここで炭素数1〜22の1価の炭化水素基としては、具体的には、前述した一般式(1)のR2 またはR3 の場合と同様である。R11で示される1価の炭化水素基の炭素数が22を超えると、一般式(4)で示される化合物の親水性が十分でなくなるので好ましくない。また、sは前記pと同様に、炭素数2〜4のオキシアルキレン基(つまりAO)の付加モル数(繰り返し数)であり、通常は1〜150であり、好ましくは1〜80である。
【0029】
本発明において用いられるポリカルボン酸系化合物の好適な一例としては、前述のように一般式(2)で示されるポリアルキレングリコールエーテル系単量体(ア)、一般式(3)または式(3') で示されるジカルボン酸系単量体(イ)および共重合可能な他の単量体(ウ)を重合して得られる共重合体が挙げられるが、ここでポリアルキレングリコールエーテル系単量体(ア)、ジカルボン酸系単量体(イ)および他の単量体(ウ)の重合割合は、単量体(ア)50〜99重量%、好ましくは70〜98重量%、単量体(イ)1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%、単量体(ウ)0〜30重量%、好ましくは0〜15重量%である。
なお、ここで必要に応じて使用される共重合可能な他の単量体(ウ)としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、N−フェニルマレイミド等を挙げることができる。
また、本発明において用いられるポリカルボン酸系化合物の好適な他の例としては、一般式(4)で示されるポリアルキレングリコールエステル系単量体(エ)、一般式(5)で示されるモノカルボン酸系単量体(オ)および共重合可能な他の単量体(ウ)を重合して得られる共重合体が挙げられるが、ここでポリアルキレングリコールエステル系単量体(エ)、モノカルボン酸系単量体(オ)および他の単量体(ウ)の重合割合は、単量体(エ)50〜99重量%、好ましくは70〜98重量%、単量体(オ)1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%、単量体(ウ)0〜30重量%、好ましくは0〜15重量%である。
本発明の石炭灰用分散剤組成物に用いるポリカルボン酸系化合物は、公知の方法により、重合開始剤を用いて重合することにより得ることができる。重合の方法については、塊状重合でも溶液重合でも良い。溶液重合で水を溶剤として用いる場合は、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩や、過酸化水素、水溶性のアゾ系開始剤を用いることができ、その際に亜硫酸水素ナトリウム、ヒドロキシルアミン塩酸塩、チオ尿素、次亜リン酸ナトリウムなどの促進剤を併用することもできる。
また、溶液重合でメタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール類、n−ヘキサン、2−エチルヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等の有機溶剤を用いた重合の場合や塊状重合の際には、ベンゾイルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソブチレートなどの有機過酸化物やアゾイソブチロニトリルなどのアゾ系化合物などを用いることができる。また、その際にはチオグリコール酸、メルカプトエタノールなどの連鎖移動剤を用いることもできる。
【0030】
本発明の石炭灰用分散剤組成物において、一般式(1)で示される含窒素ポリオキシアルキレン誘導体とポリカルボン酸系化合物の組成割合は、含窒素ポリオキシアルキレン化合物10〜95重量%とポリカルボン酸系化合物90〜5重量%であり、好ましくは含窒素ポリオキシアルキレン化合物20〜80重量%とポリカルボン酸系化合物80〜20重量%である。ポリカルボン酸系化合物が5重量%未満であると、本発明の石炭灰用分散剤組成物を石炭灰に加えたときに、該石炭灰中に含まれる未燃カーボンにこの分散剤組成物が吸着されて、少量の添加量では所望する分散効果が得られなくなり、本来必要とする分散効果を得るために多量の分散剤を添加せざるを得なくなり、その結果、過剰添加による水硬性材料の硬化遅延等が起こり好ましくない。
なお、本発明の石炭灰用分散剤組成物は、そのままの形態で用いることもできるが、必要に応じて水で希釈して用いることも可能である。
【0031】
また、本発明の石炭灰組成物には、少なくとも水、石炭灰および分散剤を含み、分散剤としては本発明の石炭灰用分散剤組成物を用いる。
ここで本発明の石炭灰組成物における各成分の割合は、状況に応じて適宜選定すべきであるが、通常は上記分散剤を石炭灰に対して0.01〜5重量%、好ましくは0.02〜3重量%の範囲で選定する。分散剤(つまり本発明の石炭灰用分散剤組成物)の割合が0.01重量%では、十分な分散効果が得られない場合があり、5重量%を超えて使用しても分散性の向上は認められず、経済的に不利となる。
本発明の石炭灰組成物における石炭灰については、火力発電所等で微粉炭燃焼ボイラの燃焼ガス等から集塵器で採取するフライアッシュやクリンカアッシュ、微粉炭燃焼ボイラの燃焼ガスが空気予熱器・節炭器等を通過する際に採取したシンダアッシュ等である。なかでもフライアッシュに対して特に分散効果があり、特に未燃炭素量が5重量%を超える石炭灰、とりわけ未燃炭素量5〜25重量%の石炭灰に対しても充分にその効果を発揮することができる。また、石炭灰組成物の水の比率は、石炭灰に対して15〜300重量%である。
このように本発明の分散剤組成物が特に効果を発揮する石炭灰は、未燃炭素量が5重量%を超える石炭灰、なかでもフライアッシュであるが、そのうち特にBlain値(ブレーン比表面積)として2,000cm2 /g以上、とりわけ2,000〜10,000cm2 /gのものが好適である。
【0032】
本発明の水硬性材料組成物には、少なくとも水、石炭灰、水硬性材料および分散剤を含み、分散剤としては本発明の石炭灰用分散剤組成物を用いる。
本発明の水硬性材料組成物における水硬性材料としては、普通、早強、中庸熟、ビーライト等のポルトランドセメントや、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、シリカフューム、石灰石等の鉱物系粉体を配合した混合セメント、石膏等が挙げられる。
本発明の水硬性材料組成物における各成分の割合は、状況に応じて適宜選定すべきであるが、通常は上記分散剤を、水硬性材料と石炭灰の合計重量に対して0.01〜5重量%、好ましくは0.02〜3重量%の範囲で選定する。分散剤の割合が0.01重量%では、十分な分散効果が得られない場合があり、5重量%を超えて使用しても分散性の向上は認められず、経済的に不利となる。また、この水硬性材料組成物における水硬性材料と石炭灰との割合については、各成分の種類や性状によっても異なるが、一般には水硬性材料:石炭灰=99:1〜1:99(重量比)、好ましくは95:5〜10:90(重量比)の範囲で定める。さらに、この水硬性材料組成物中の水の比率は、水硬性材料と石炭灰の合計重量に対して10〜300重量%である。
なお、本発明の水硬性材料組成物には、砂、砂利などの骨材となる他の成分も所望に応じて適量配合することができる。
【0033】
【実施例】
次に本発明を実施例によって更に詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
実施例1
ビーカーに第1表に示す性状のフライアッシュ(a)20.9gを秤量し、これに第2表に示す石炭灰用分散剤組成物(A)0.09g(フライアッシュ(a)に対して0.42重量%)を溶解させた水10gを添加し、攪拌棒でよく攪拌した。水を加えてから15分経過した後に、応力制御二重円筒粘度計(HAAKE社製、RotoviscoRT20)を用いて、ずり応力200Paにおける見かけ粘度の測定を20℃で行ったところ、511mPa・sであった。
【0034】
実施例2
実施例1におけるフライアッシュ(a)の代わりに、第1表に示す性状のフライアッシュ(b)20.6gを用いた以外は、実施例1と同様に粘度の測定を行ったところ、616mPa・sであった。
実施例3
実施例1におけるフライアッシュ(a)の代わりに、第1表に示す性状のフライアッシュ(c)21.6gを用いた以外は、実施例1と同様に粘度の測定を行ったところ、646mPa・sであった。
実施例4
実施例1におけるフライアッシュ(a)の代わりに、第1表に示す性状のフライアッシュ(d)21.5gを用いた以外は、実施例1と同様に粘度の測定を行ったところ、860mPa・sであった。
【0035】
比較例1
実施例1における石炭灰用分散剤組成物(A)の代わりに、この石炭灰用分散剤組成物(A)を構成するポリカルボン酸系化合物(第2表参照)のみを用いた以外は、実施例1と同様に粘度の測定を行ったところ、535mPa・sであった。
比較例2
比較例1におけるフライアッシュ(a)の代わりに、フライアッシュ(b)20.6gを用いた以外は、比較例1と同様に粘度の測定を行ったところ、730mPa・sであった。
比較例3
比較例1におけるフライアッシュ(a)の代わりに、フライアッシュ(c)21.6gを用いた以外は、比較例1と同様に粘度の測定を行ったところ、710mPa・sであった。
比較例4
比較例1におけるフライアッシュ(a)の代わりに、フライアッシュ(d)21.5gを用いた以外は、比較例1と同様に粘度の測定を行ったところ、946mPa・sであった。
【0036】
実施例5
ビーカーに研究用ポルトランドセメント(セメント協会)117gおよびフライアッシュ(b)29.6gを秤量し、これに第2表に示す石炭灰用分散剤組成物(B)0.29g(ポルトランドセメント粉体に対して0.2重量%)を溶解させた水50gを添加し、攪拌棒でよく攪拌した。水を加えてから15分経過した後に、応力制御二重円筒粘度計(HAAKE社製、RotoviscoRT20)を用いて、ずり応力200Paにおける見かけ粘度の測定を20℃で行ったところ、903mPa・sであった。
実施例6
実施例5における石炭灰用分散剤組成物(B)の代わりに、第2表に示す石炭灰用分散剤組成物(C)を0.44g用いた以外は、実施例5と同様に粘度の測定を行ったところ、829mPa・sであった。
実施例7
実施例5における石炭灰用分散剤組成物(B)の代わりに、第2表に示す石炭灰用分散剤組成物(D)を0.51g用いた以外は、実施例5と同様に粘度の測定を行ったところ、819mPa・sであった。
実施例8
実施例5における石炭灰用分散剤組成物(B)の代わりに、第2表に示す石炭灰用分散剤組成物(E)を0.29g用いた以外は、実施例5と同様に粘度の測定を行ったところ、777mPa・sであった。
実施例9
実施例5における石炭灰用分散剤組成物(B)の代わりに、石炭灰用分散剤組成物(F)を0.29g用いた以外は、実施例5と同様に粘度の測定を行ったところ、828mPa・sであった。
【0037】
比較例5
実施例5における石炭灰用分散剤組成物(B)の代わりに、この石炭灰用分散剤組成物(B)を構成するポリカルボン酸系化合物(第2表参照)のみを用いた以外は、実施例5と同様に粘度の測定を行ったところ、1060mPa・sであった。
比較例6
実施例6における石炭灰用分散剤組成物(C)の代わりに、この石炭灰用分散剤組成物(C)を構成するポリカルボン酸系化合物(第2表参照)のみを用いた以外は、実施例6と同様に粘度の測定を行ったところ、1070mPa・sであった。
比較例7
実施例7における石炭灰用分散剤組成物(D)の代わりに、この石炭灰用分散剤組成物(D)を構成するポリカルボン酸系化合物(第2表参照)のみを用いた以外は、実施例7と同様に粘度の測定を行ったところ、1110mPa・sであった。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明の分散剤組成物は、石炭灰の分散に優れた効果を示すものであるため、これを用いた石炭灰組成物および水硬性材料組成物は、石炭灰が均一に分散すると共に粘度が低いものとなるため、施工性に優れたものとなる。とりわけ、本発明の分散剤組成物は、未燃炭素量の多い石炭灰に対する分散効果が、従来の分散剤に比べて著しく高い。
Claims (4)
- 一般式(1)
で示される含窒素ポリオキシアルキレン誘導体10〜95重量%とポリカルボン酸系化合物90〜5重量%とからなる石炭灰用分散剤組成物であって、
前記ポリカルボン酸系化合物が、一般式(2)
で示されるポリアルキレングリコールエーテル系単量体(ア)50〜99重量%、一般式(3)または式(3')
で示されるジカルボン酸系単量体(イ)1〜50重量%および共重合可能な他の単量体(ウ)0〜30重量%を重合して得られる共重合体、又は
一般式(4)
で示されるポリアルキレングリコールエステル系単量体(エ)50〜99重量%、一般式(5)
で示されるモノカルボン酸系単量体(オ)1〜50重量%および共重合可能な他の単量体(ウ)0〜30重量%を重合して得られる共重合体である、石炭灰用分散剤組成物。 - 請求項1に記載の石炭灰用分散剤組成物、水および石炭灰からなる石炭灰組成物。
- 石炭灰が、未燃炭素量5重量%を超えるものである請求項2に記載の石炭灰組成物。
- 請求項2又は3に記載の石炭灰組成物および水硬性材料からなる水硬性材料組成物。
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