JP2001064070A - セメント系セルフレベリング性組成物 - Google Patents

セメント系セルフレベリング性組成物

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JP2001064070A
JP2001064070A JP23997399A JP23997399A JP2001064070A JP 2001064070 A JP2001064070 A JP 2001064070A JP 23997399 A JP23997399 A JP 23997399A JP 23997399 A JP23997399 A JP 23997399A JP 2001064070 A JP2001064070 A JP 2001064070A
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cement
composition
mol
acid
leveling composition
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Hiroshi Hayashi
浩志 林
Kazuhisa Tsukada
和久 塚田
Hirotaka Isomura
弘隆 磯村
Koichi Soeda
孝一 副田
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Taiheiyo Cement Corp
Original Assignee
Taiheiyo Cement Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 (A)結合材、(B)細骨材、(C)消
泡剤、並びに(D)ポリアルキレングリコール鎖を有す
るポリカルボン酸系高分子化合物を主成分とする液に、
還元性無機化合物および還元性有機化合物を添加し、次
いで乾燥粉末化することにより得られる粉末状セメント
分散剤を含有するセメント系セルフレベリング性組成
物。 【効果】 本発明のセメント系セルフレベリング性組成
物は、従来用いられてきた既調合のセメント系セルフレ
ベリング性組成物に比べ、高い流動性を長時間保持する
ことができ、しかも硬化時間が速い。これにより、打設
量が多い場合でも水平面の精度を悪化させることなく、
効率の良い施工を行うことが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は床下地調整材や布基
礎の天端調整材として用いられるセメント系セルフレベ
リング性組成物であって、水以外の材料を既調合で供給
することが可能な、セメント系セルフレベリング性組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】建築物において、床下地や基礎の天端部
分を水平に調整する方法として、従来はモルタルのこて
仕上による方法が採られていたが、近年ではセルフレベ
リング性組成物が使用されるようになり、高精度で効率
的な施工が可能となっている。ここで用いられるセルフ
レベリング性組成物としてセメント系セルフレベリング
性組成物(以下SL材という)がある。SL材は一般に
結合材であるセメント、細骨材およびセメント分散剤か
らなり、これに必要に応じて増粘剤、消泡剤、膨張材や
収縮低減剤等が配合されている。
【0003】SL材にはこれらの材料が予め調合されて
おり、施工現場で水を加えて練り混ぜて使用する既調合
SL材と、工場で製造してアジテーター車で施工現場ま
で運搬して使用するレディミックス型のSL材があり、
既調合SL材は主に床下地や基礎の天端部分を水平に調
整する材料として使用され、レディミックス型のSL材
は主に比較的大規模な建築物の床下地の調整材として用
いられている。このうち、既調合SL材は現場で混練し
打設するため、必要な流動性の保持時間は通常1時間程
度であり、用いられているセメント分散剤は流動性保持
効果が比較的低い、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン
縮合物の粉末またはメラミンスルホン酸塩ホルマリン縮
合物の粉末が主に使用されている(特開昭56−843
58号、特開平4−367546号)。
【0004】従来、既調合SL材は比較的小規模な建築
物で使用されていたが、近年では比較的大規模な建築物
で使用されることも多くなっており、この場合、流動性
の保持時間が短いと施工の効率や水平面の精度が悪化す
るなどの問題が生じるため、流動性の保持時間が長い既
調合SL材が望まれていた。従来のナフタレンスルホン
酸塩ホルマリン縮合物やメラミンスルホン酸塩ホルマリ
ン縮合物を主成分とする粉末状セメント分散剤を配合し
た既調合SL材において流動性保持時間を長くするため
には粉末状セメント分散剤の添加量を多くしたり、水セ
メント比を高くしたりする必要があるが、硬化時間が遅
延したり、材料分離が生じたり、強度が低下するなどの
問題があった。また、スルホン酸塩系ホルマリン縮合物
を主成分とするセメント分散剤ではホルマリンが有害物
質であるため、その取り扱いや使用に於いて必然的に制
約せざるを得なかった。
【0005】これに対し、レディミックス型のSL材に
使用されているポリカルボン酸系高分子化合物を主成分
とするセメント分散剤は、硬化時間が遅延したり、材料
分離が生じたり、強度が低下するなどの問題を生じるこ
となく、流動性を長時間保持することが可能であるが、
この分散剤は一般に水溶液として製造されるため、既調
合SL材にあらかじめ配合しておくことが不可能であ
る。このためポリカルボン酸系高分子化合物を主成分と
する分散剤を粉末化することも試みられているが、既知
の粉末化技術(特公平7−14829号)で水への溶解
度が高い粉末状分散剤を得ようとすると、粉末製造過程
中に不溶性のゲルが生成し、得られた粉末は分散作用を
初めとする性状面での安定性を欠き易かった。また、噴
霧乾燥装置を用いた粉末化方法(特許第2669761
号)も知られているが、多量の無機粉体を併用しなけれ
ばならないため、分散剤中のポリカルボン酸系高分子化
合物含量が低下したり、無機粉体に吸着され、水溶液状
態で使用した場合よりも分散性能が低下する問題があっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、上記問題点を解決し、粉末状セメント分散剤を配合
した、流動性保持効果の高いセメント系セルフレベリン
グ性組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者等は種々
検討した結果、ポリアルキレングリコール鎖を有するポ
リカルボン酸系高分子化合物含有液に、還元性無機化合
物と還元性有機化合物を添加して乾燥粉末化すれば、効
率良く流動性に優れた粉末状セメント分散剤が得られる
こと、さらにこの粉末状分散剤を結合材、細骨材および
消泡剤とともに使用すれば流動性保持効果の高いセメン
ト系セルフレベリング性組成物が得られることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は(A)結合材、(B)
細骨材、(C)消泡剤、並びに(D)ポリアルキレング
リコール鎖を有するポリカルボン酸系高分子化合物を主
成分とする液に、還元性無機化合物および還元性有機化
合物を添加し、次いで乾燥粉末化することにより得られ
る粉末状セメント分散剤を含有するセメント系セルフレ
ベリング性組成物を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のセメント系セルフレベリ
ング性組成物に配合される(D)粉末状セメント分散剤
は、前記の如くポリアルキレングリコール鎖を有するポ
リカルボン酸系高分子化合物を主成分とする液に還元性
無機化合物および還元性有機化合物を添加し、乾燥粉末
化することにより得られる。ここで用いられるポリアル
キレングリコール鎖を有するポリカルボン酸系高分子化
合物としては、特に限定されず、例えば(D1)ポリア
ルキレングリコール鎖を有する(メタ)アクリル酸系共
重合体および(D2)ポリアルキレングリコール鎖を有
するマレイン酸系共重合体(ただし、(D2)の場合、
多価金属塩を除く)等が挙げられ、これらは1種でも2
種以上を混合して用いてもよい。
【0010】これらのうち(D1)としては、基−CO
OM(式中、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土
類金属、アンモニウムまたは有機アミンを示す)および
ポリアルキレングリコール鎖を有する(メタ)アクリル
酸系共重合体が好ましいものとして挙げられる。また
(D2)としては、ポリアルキレングリコールアルケニ
ルエーテル−無水マレイン酸共重合体(ただし、多価金
属塩を除く)等が好ましいものとして挙げられる。
【0011】上記(D1)(メタ)アクリル酸系共重合
体の基−COOM中のMは、水素原子;ナトリウム、カ
リウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等
のアルカリ土類金属;アンモニウムまたは有機アミンが
好ましい。
【0012】上記(D1)および(D2)におけるポリア
ルキレングリコール鎖としては、−O(CH2CH(R
a )O)b−で示されるものが好ましい。ここでRa
水素原子またはメチル基を示し、bは2〜200である
が、5〜109が好ましく、特に20〜109、さらに
30〜109が好ましい。
【0013】さらに(D1)(メタ)アクリル酸系共重
合体の好ましいものとしては、全構成単位中に、下記式
(1)で示される構成単位(1)を40〜80モル%、
下記式(2)で示される構成単位(2)を2〜25モル
%、下記式(3)で示される構成単位(3)を3〜20
モル%および下記式(4)で示される構成単位(4)を
1〜45モル%の割合で有する数平均分子量2000〜
50000の(メタ)アク リル酸系共重合体が挙げら
れる。
【0014】
【化1】
【0015】〔式中、R1 、R2 、R4 およびR5 は同
一または異なって水素原子またはメチル基を示し、R3
およびR6 は炭素数1〜3のアルキル基を示し、M1
水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニ
ウムまたは有機アミンを示し、Xは−SO32または−
O−Ph−SO32(ここで、M2 は水素原子、アルカ
リ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは有機ア
ミンを示し、Phはフェニレン基を示す)を示し、nは
2〜200の整数を示す〕
【0016】上記式(1)〜(4)中、R1 、R2 、R
4 およびR5 は、メチル基が好ましい。またR3 および
6 としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、
i−プロピル基が挙げられ、就中メチル基が好ましい。
また、M1 としては、ナトリウム、カリウム、カルシウ
ム、マグネシウム、アルカノールアミン等が好ましく、
特に、水に対する溶解性の面からナトリウムが好まし
い。また基X中のM2 としては、ナトリウム、カリウム
等のアルカリ金属原子、カルシウム、マグネシウム等の
アルカリ土類金属、アンモニウムおよびエタノールアミ
ン等のアルカノールアミン等の有機アミンが挙げられ
る。これらのうちXとしては、−SO3Naが好まし
い。また、(4)式中のnは2〜200であるが、5〜
109が好ましく、特に20〜109、さらに30〜1
09が好ましい。構成単位(1)は40〜80モル%で
あることが好ましく、特に45〜75モル%であること
が好ましい。構成単位(2)は2〜25モル%であるこ
とが好ましく、特に5〜20モル%であることが好まし
い。構成単位(3)は3〜20モル%であることが好ま
しく、特に5〜15モル%であることが好ましい。ま
た、構成単位(4)は1〜45モル%であることが好ま
しく、特に3〜40モル%であることが好ましい。な
お、構成単位のモル%は、(1)〜(4)の全構成単位
を100モル%とした場合の夫々の構成単位のモル%を
示す。
【0017】また特に(D1)(メタ)アクリル酸系共
重合体の好ましいものとしては、全構成単位中に、下記
式(5)で示される構成単位(5)を40〜70モル
%、下記式(6)で示される構成単位(6)を5〜30
モル%、下記式(7)で示される構成単位(7)を1〜
20モル%、下記式(8)で示される構成単位(8)を
1〜30モル%および下記式(9)で示される構成単位
(9)を1〜30モル%の割合で有する数平均分子量2
000〜50000の(メタ)アクリル酸系共重合体が
挙げられる。
【0018】
【化2】
【0019】〔式中、R7 、R8 、R10、R11、R13
よびR14は同一または異なって水素原子またはメチル基
を示し、R9 、R12およびR15は炭素数1〜3のアルキ
ル基を示し、M3 は水素原子、アルカリ金属、アルカリ
土類金属、アンモニウムまたは有機アミンを示し、Yは
−SO34または−O−Ph−SO34(ここで、M4
は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモ
ニウムまたは有機アミンを示し、Phはフェニレン基を
示す)を示し、mは2〜200の整数を示し、pは2〜
109の整数を示す。〕
【0020】上記式(5)〜(9)中、R7 、R8 、R
10、R11、R13およびR14はメチル基が好ましい。ま
た、R9 、R12およびR15としては、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、i−プロピル基が挙げられ、就
中、メチル基が好ましい。また、M3 およびM4 として
は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウ
ム、アルカノールアミン等が好ましく、特にナトリウム
が好ましい。また基Yとしては−SO3Naが好まし
い。(8)式中のmは2〜200であるが、5〜109
が好ましく、特に20〜109が好ましく、さらに30
〜109が好ましい。また、(9)式中のpは2〜10
9であるが、5〜50が好ましい。構成単位(5)は4
0〜70モル%であることが好ましく、特に45〜65
モル%であることが好ましい。構成単位(6)は5〜3
0モル%であることが好ましく、特に8〜23モル%で
あることが好ましい。構成単位(7)は1〜20モル%
であることが好ましく、特に1〜15モル%であること
が好ましい。構成単位(8)は1〜30モル%であるこ
とが好ましく、特に5〜25モル%であることが好まし
い。また、構成単位(9)は1〜30モル%であること
が好ましく、特に3〜25モル%であることが好まし
い。なお、構成単位のモル%は(5)〜(9)の全構成
単位の合計を100モル%とした場合の夫々の構成単位
のモル%を示す。
【0021】上記構成単位からなる(メタ)アクリル酸
系共重合体としては、数平均分子量2000〜5000
0(GPC法、ポリエチレングリコール換算)のものが
好ましく、3500〜30000のものがより好まし
い。
【0022】一方、(D2)アルキレングリコール鎖を
有するマレイン酸系共重合体としては、メチルポリエチ
レングリコールビニルエーテル−無水マレイン酸共重合
体、ポリエチレングリコールアリルエーテル−無水マレ
イン酸共重合体、メチルポリエチレングリコールアリル
エーテル−無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸メチ
ルポリエチレングリコール−マレイン酸共重合体等が挙
げられる。当該共重合体(D2)の好ましい数平均分子
量(GPC法、ポリエチレングリコール換算)は、30
00〜200000、特に3000〜80000が好ま
しい。
【0023】還元性無機化合物としては、亜硫酸塩、亜
硝酸塩、チオ硫酸塩等が挙げられる。これらの塩として
はアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が好ましい。当
該還元性無機化合物の添加により乾燥工程の混練攪拌時
のゲル化が防止できる理由は、明らかではないが、当該
還元性無機化合物がポリカルボン酸系共重合体含有液中
に残存するラジカル反応開始剤を失活させるためと考え
られる。従って、還元性無機化合物の添加量は、混合物
中に残存するラジカル反応開始剤の種類や残存量に応じ
て決定すればよく、通常は高分子化合物合成に用いたラ
ジカル反応開始剤の固型分の量(モル%値)以下である
が、残存ラジカル反応開始剤の固型分の量(モル%値)
以下で残存ラジカル反応開始剤の酸化力を失活できる量
以上とするのが望ましい。
【0024】また、還元性有機化合物としては、アミン
系化合物、特にアルカノールアミン類が好ましい。具体
的にはトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モ
ノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、N,N
−ジエチルエタノールアミン等のアルカノールアミン、
sec−ブチルアミン等のアルキルアミン、エチレンジ
アミン等のジアミン類等が挙げられる。当該還元性有機
化合物の添加により、混練攪拌機の負荷が大きく低減さ
れ、乾燥粉末時に排出される留去水のCOD値が低下
(200mg/L以下)する。
【0025】還元性無機化合物および還元性有機化合物
のそれぞれの添加量は、前記ポリカルボン酸系高分子化
合物の固型分含有量の0.01〜2.5重量%、特に
0.5〜1.5重量%が好ましい。尚、このような還元
性有機化合物添加により、乾燥粉末化工程に於ける混合
攪拌機の負荷が低減され、また乾燥時に留去される水の
COD値が低下する理由は、これが解砕助剤として作用
すると共に、アミン効果によって室温付近の低温下で重
合反応が進行し、未反応モノマーが消費されるためと推
測される。
【0026】本発明に用いる(D)粉末状セメント分散
剤では、その吸湿性やブロッキング性等を改善したり、
計量誤差を少なくするために乾燥後、上記必須成分の
他、さらにポリアルキレングリコール、炭素数8〜22
の脂肪酸またはその塩、無機粉体を配合してもよい。
【0027】ポリアルキレングリコールとしては、分子
量1000〜20000のポリエチレングリコール、分
子量2000〜6000のポリプロピレングリコールが
好ましいものとして挙げられる。このうちポリエチレン
グリコールが特に好ましく、さらに平均分子量2000
〜4000のポリエチレングリコールが好ましい。
【0028】また、炭素数8〜22の脂肪酸またはその
塩は、飽和でも不飽和でもよく、また直鎖でも分岐を有
するものであってもよい。具体的には、カプリル酸、ペ
ラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、
トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミ
チン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン
酸、アラキン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン
酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジ
ン酸およびそれらの塩が挙げられる。上記脂肪酸の塩と
しては、ナトリウム、カリウム、バリウム、カルシウ
ム、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム等の金属塩が好
ましい。就中、ステアリン酸またはその塩が好ましく、
特に好ましいものとしては、ステアリン酸カルシウムが
挙げられる。これらのポリアルキレングリコールおよび
炭素数8〜22の脂肪酸またはその塩の配合量は、前記
ポリアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸系
高分子化合物の固型分含有量の0.2〜30重量%、特
に0.5〜20重量%が好ましい。
【0029】無機粉体としては、炭酸カルシウムや珪酸
カルシウム等の無機塩類の粉末やカオリナイト、ベント
ナイト等の粘土鉱物粉末、または高炉スラグやフライア
ッシュなどの微粉末が使用できる。このような機粉体
は、ポリカルボン酸系高分子化合物の固型含有量に対
し、最大3倍程度まで使用してもよい。
【0030】上記ポリカルボン酸系高分子化合物を主成
分とする液には、水または有機溶媒の溶液または分散液
が含まれていてもよい。
【0031】また、上記ポリカルボン酸系高分子化合物
含有液は、通常酸性液となっているので、還元性無機化
合物および還元性有機化合物を添加後、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ
金属またはアルカリ土類金属の水溶液を加えてpH7〜9
に調整するのが好ましい。pHが未調整の場合、加温乾燥
処理時に混合物中の高分子化合物が加水分解を起こし易
くなったり、乾燥時に留去される水分のCOD値が高く
なる。尚、ポリカルボン酸系高分子化合物含有液が当初
よりpH7〜9である場合はpH調整剤を添加して調整する
必要はない。
【0032】乾燥は熱風式などの対流型の乾燥装置また
は熱伝導型の乾燥装置であれば特に限定されないが、処
理物が5〜40%の溶液の場合は前者の乾燥装置である
スプレードライヤー、フラッシュジェトドライヤーなど
が適している。処理物が40%を超える高濃度溶液や粘
弾性の高いものの場合は、後者の混練攪拌乾燥機、バン
ド型連続真空乾燥機等の乾燥機を用いるのがよい。しか
しながら、ポリアルキレングリコール鎖を有するポリカ
ルボン酸系高分子化合物は、濃縮過程で粘性を帯びるこ
とがあるため粉末化の効率等の点から、混練攪拌を行う
ことにより乾燥粉末化する手段が特に好ましい。混練・
攪拌の温度は、40〜120℃程度が好ましく、より好
ましくは60〜110℃程度とする。混練・攪拌は大気
中でも行うことができるが、変質防止の観点から減圧ま
たは窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気で行うこと
が望ましい。また、硬度が30°以上になるまで濃縮し
た後に、0.5kg/m3/rpm 以上の馬力で混練攪拌しな
がら、乾燥粉末化するのが好ましい。このような乾燥操
作を行うことにより、粉末状の分散剤を得ることができ
る。尚、乾燥後の粉末は小塊状に凝集している場合もあ
るが、この塊状物は脆弱であるため僅かな解砕力で容易
に単粒子化できる。
【0033】(D)粉末化した分散剤は使用上の利便性
から任意の粉砕・分級方法により平均粒径5〜2000
μm、より好ましくは10〜500μmに調整すること
が望ましい。しかし、製造された(D)粉末状分散剤は
熱に比較的弱いため蓄熱性が低い粉砕機が好ましく、具
体的にはピン型ミルが好ましい。また、粒度調整用にス
クリーンと一体型の粉砕機もあるが、未粉砕物が滞留す
ると粉砕熱が増大するので粉砕と分級を別々に行う方が
好ましい。
【0034】かくして得られる(D)粉末状セメント分
散剤の本発明セメント系セルフレベリング性組成物への
添加量は少なすぎると効果がなく、多すぎると凝結遅延
や強度低下の原因となるので、結合材100重量部に対
して0.005〜5重量部、特に0.01〜3重量部が
好ましい。
【0035】本発明で用いる(A)結合材としては、速
硬セメント以外のセメント、すなわち、ポルトランドセ
メント(普通セメント、早強セメント、超早強セメン
ト、中庸熱セメント、耐硫酸塩セメント等)や、混合セ
メント(高炉セメント、フライアッシュセメント、シリ
カセメント等)が好ましい。
【0036】本発明で用いる(B)細骨材としては川
砂、海砂、陸砂、砕砂、珪砂等が使用でき、これらの砂
は乾燥砂が好ましい。また、フライアッシュ、高炉スラ
グ、炭酸カルシウム、シリカフューム等を上記の砂と併
用することもできる。配合する細骨材の粒度は5mm以下
で、FMが1.5〜3.0程度のものが好ましい。細骨
材の使用量は流動性および強度の点から結合材100重
量部に対して30〜300重量部が好ましく、60〜1
50重量部が特に好ましい。
【0037】本発明で用いる(C)消泡剤は気泡による
床面のふくれ、ヘコミ等を防止するためのものである。
(C)消泡剤としてはシリコーン系または非イオン系界
面活性剤等の一般に公知の消泡剤が使用できる。使用量
は結合材100重量部に対して0.01〜0.6重量
部、特に0.05〜0.4重量部が好ましい。
【0038】本発明のセメント系セルフレベリング性組
成物には、さらに(E)増粘剤を配合することもでき
る。(E)増粘剤は、材料分離の防止、乾燥収縮防止等
の目的で使用される。具体的には、例えば、メチルセル
ロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロース等が挙げられる。(E)増粘剤の配合量
は、流動性およびセルフレベリング性の点から、結合材
100重量部に対して0.005〜0.6重量部、特に
0.01〜0.4重量部が好ましい。
【0039】本発明のセメント系セルフレベリング性組
成物には上記材料以外に、収縮ひびわれ防止の目的で膨
張材、収縮低減剤などを必要に応じて配合することがで
きる。また、物性に悪影響を及ぼすものでない限り、増
量材や各種混和剤を使用することもできる。
【0040】本発明のセメント系セルフレベリング性組
成物は通常上記材料を調合した状態で提供され、建築現
場でミキサーを用いて水と混練した後打設される。ここ
で使用されるミキサーは特に限定されるものではなく、
水の添加量は通常結合材100重量部に対して30〜1
00重量部である。
【0041】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。なお、実施例に使用した材料は以下の通りである。
【0042】〔使用材料〕 (1)結合材 普通ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製) (2)細骨材 珪砂(山形産)F.M=2.3 (3)粉末状セメント分散剤 本発明に係る粉末状セメント分散剤 本発明に用いた粉末状セメント分散剤の製造に使用した
ポリカルボン酸系高分子化合物を以下に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】〔本発明に係る粉末状セメント分散剤の製
造方法〕表1および表2に記載した高分子化合物を主成
分とする固形分濃度45%の液状混合物各800gに、
pH調整のために10重量%の水酸化ナトリウム水溶液7
5.2gを加えて常温で約3分間攪拌を行った。次い
で、還元剤として亜硫酸ソーダおよびトリエタノールア
ミンを固形分濃度に対して0.5〜2重量%添加し3分
間攪拌し、これを処理容積が1Lのニーダー型混練攪拌
機に入れて温度90℃、30torrの減圧下で混練しなが
ら濃縮・乾燥を行った。得られた粉粒体を粉砕機(マツ
バラ社製MCG180)で粉砕して、粒径50〜500
μmとし、表3に示す粉末状セメント分散剤(1)およ
び(2)を得た。
【0046】
【表3】
【0047】従来の粉末状セメント分散剤 メルメントF10(SKW イーストアジア(株)製メ
ラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物) (4)増粘剤 メトローズ(信越化学(株)製セルロース系増粘剤) (5)消泡剤 SN−ディフォーマー14HP(サンノプコ(株)製)
【0048】表4に本発明のセメント系セルフレベリン
グ性組成物の配合例を示す。
【0049】
【表4】
【0050】本発明のセメント系セルフレベリング性組
成物の性能試験を以下のように行った。 〔試験例〕表4に示す配合に従い調合した材料100重
量部に対し、水21重量部を加え、ホバートミキサーを
用いて3分間混合した後、得られたスラリーに対して流
動性の評価としてフロー値を、分離抵抗性の評価として
コンシステンシー(Jロート流下時間)を混練直後から
5時間まで1時間毎に測定した。また硬化速度の評価と
して凝結時間を測定した。試験結果を表5〜表7に示
す。
【0051】〔フロー値測定方法〕(社)日本建築学会
JASS15M−103(セルフレベリング材の品質基
準)に準じて以下のように測定した。厚さ5mmのみがき
板ガラスの上に内径50mm、高さ51mmの塩化ビニール
製パイプ(内容積100mL)を置き、調整したセメント
系セルフレベリング性組成物を充填した後、パイプを引
き上げる。広がりが静止した後、直角2方向の直径を測
定しその平均値をフロー値とした。
【0052】〔Jロート流下時間測定方法〕土木学会
「工業材料規格便覧(日本材料学会編)」コンシステン
シー試験方法(案)17に準じて測定した。Jロートは
落ち口の内径が10mmのものを使用した。
【0053】〔凝結時間測定方法〕JIS R−520
1「セメントの物理試験方法」に準じて測定した。
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】
【表7】
【0057】表5〜表7より、本発明のセメント系セル
フレベリング性組成物は、従来の粉末状分散剤を使用し
たものに比べて、高い流動性を長時間保持でき、分離抵
抗性の低下や硬化遅延がないことが分かる。
【0058】
【発明の効果】本発明のセメント系セルフレベリング性
組成物は、従来用いられてきた既調合のセメント系セル
フレベリング性組成物に比べ、高い流動性を長時間保持
することができ、しかも硬化時間が速い。これにより、
打設量が多い場合でも水平面の精度を悪化させることな
く、効率の良い施工を行うことが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 24:26 24:12 22:14) 103:40 103:44 103:50 111:62 (72)発明者 磯村 弘隆 千葉県佐倉市大作二丁目4番2号 太平洋 セメント株式会社佐倉研究所内 (72)発明者 副田 孝一 千葉県佐倉市大作二丁目4番2号 太平洋 セメント株式会社佐倉研究所内 Fターム(参考) 4G012 PA04 PB10 PB20 PB32 PC01 PC08 PC11

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)結合材、(B)細骨材、(C)消
    泡剤、並びに(D)ポリアルキレングリコール鎖を有す
    るポリカルボン酸系高分子化合物を主成分とする液に、
    還元性無機化合物および還元性有機化合物を添加し、次
    いで乾燥粉末化することにより得られる粉末状セメント
    分散剤を含有するセメント系セルフレベリング性組成
    物。
  2. 【請求項2】 さらに(E)増粘剤を含有するものであ
    る請求項1記載のセメント系セルフレベリング性組成
    物。
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KR1020007007720A KR20010034109A (ko) 1998-11-30 1999-11-29 분말상 수경성 조성물용 분산제의 제조방법
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003002712A (ja) * 2001-06-15 2003-01-08 Taiheiyo Cement Corp 粉末状セメント分散剤の製造方法

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