JP4600167B2 - 差動増幅回路 - Google Patents
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この差動増幅回路においては、+入力端子と−入力端子とに、それぞれ等しい電位が入力されたときに、出力端子における出力電圧は中点電位、すなわち1/2Vccとなるべきであるが、実際には素子P100およびP101の製造ばらつき等により出力オフセット電圧が生じる。
この、出力オフセット電圧は、等価的に、入力端子に微少な電圧が入力されているものとみなすことができ、この入力電圧を入力換算オフセット電圧という。
しかし、入力素子である素子P100およびP101や負荷素子である素子N100および素子N101の特性に、これらの素子の製造工程であるフォトリソ工程やイオン注入工程等での製造ばらつきが生じるため、−入力側の電流パスの電流量と、+入力側の電流パスの電流量との間に差が生じることとなり、出力端子に出力オフセット電圧として現れる。
例えば、特許文献1に示すように、入力段としてMOSトランジスタを用いた差動増幅回路において、該MOSトランジスタのバックゲートに電圧を供給して、前記入力換算オフセット電圧をキャンセルする補正技術が考案されている。
また、差動増幅回路の入力換算オフセット電圧は、温度変動に強く依存することが知られている。
従って、電源投入時等に実行した補正動作により入力換算オフセット電圧を補正したとしても、その後に長時間経過した状態では、温度変動により入力換算オフセット電圧が増大してしまうという問題がある。
また、前述のようにMOSトランジスタのバックゲートに与える電圧を制御する補正では、電流特性が制御電圧に対応してそのまま表れないのでリニアリティがなく、補正の分解能も低かった。
即ち、請求項1記載のごとく、2つの入力信号が入力される入力部と、該入力信号によって制御され、差動増幅機能を有する少なくとも2つの差動増幅部と、各差動増幅部に入力される入力信号をそれぞれ選択する入力信号選択スイッチ部と、差動増幅部からの出力信号を出力する出力部と、各差動増幅部におけるオフセット電圧を、前記差動増幅部からの出力信号に基づいて補正する補正部と、前記補正部およびスイッチ部とを制御する制御部とを備え、前記少なくとも2つの差動増幅部は、一方の入力信号が入力される第1の差動増幅段、および他方の入力信号が入力される第2の差動増幅段にて構成される第1の差動増幅部と、第1の差動増幅段および第2の差動増幅段の何れか一方の差動増幅段、および第1の差動増幅段および第2の差動増幅段の何れか他方と冗長な機能を有する冗長差動増幅段にて構成される第2差動増幅部とを備え、前記補正部は、第1の差動増幅部および第2の差動増幅部における冗長側の差動増幅段にそれぞれ接続され、スイッチング手段によりオン・オフが切り換えられる、複数の補正用トランジスタを有する補正用トランジスタ群を備えている。
これにより、差動増幅回路においては、何れか一方の差動増幅部で、常に通常の差動増幅動作を行うとともに、何れか他方の差動増幅部で、常に補正動作を行うことが可能となり、該差動増幅回路は、通常動作を中断することなく入力換算オフセット電圧の補正動作を行うことができて、通常動作が実行できない期間を無くすることができる。
また、リアルタイムに補正動作を実行することができるので、温度変化等の外部環境が変化した場合でも、発生した入力換算オフセット電圧の補正を逐次行うことができ、常に入力換算オフセット電圧をキャンセルすることができる。
また、本差動増幅回路では、第1差動増幅部および第2差動増幅部において、一方の入力信号が流れる側の電流パスに流れる電流量と、他方の入力信号が流れる側の電流パスに流れる電流量とのずれに起因して生じる、入力換算オフセット電圧を、補正用トランジスタを用いて、各差動増幅部におけるトランジスタの実効サイズをそれぞれ調整することで補正している。
一方の入力信号が流れる差動増幅部の電流パス、および他方の入力信号が流れる差動増幅部の電流パスに流れる電流量は、差動増幅部におけるトランジスタのトランジスタサイズに比例するため、リニアリティの高い高精度の補正を行うことが可能となる。
また、入力換算オフセット電圧の補正に不揮発性メモリ等の特殊なプロセスを用いていないため、差動増幅回路を安価に構成することができる。
これにより、差動増幅部からの出力信号と基準電圧とを、高精度に等しくすることができる。
また、差動増幅回路において、通常動作を中断することなく入力換算オフセット電圧の補正動作を行うことができ、温度変化等の外部環境が変化した場合でも、常に入力換算オフセット電圧をキャンセルすることができる。
図1に示すように、本発明にかかる差動増幅回路は、+側および−側の2つの入力信号がそれぞれ入力される入力部である、+入力端子Ti1および−入力端子Ti2と、PMOSトランジスタにて構成される入力トランジスタP0・P1およびNMOSトランジスタにて構成されるカレントミラー負荷トランジスタN0・N1を備え、差動増幅機能を有する差動増幅部1と、該差動増幅部1における+入力差動段の入力トランジスタP1のゲート電極の前段に設けられる入力切換スイッチSW1と、差動増幅部1からの増幅信号を出力する出力部2と、差動増幅部1に生じたオフセット電圧を、前記差動増幅部1からの出力信号に基づいて補正する補正部3と、前記補正部3および入力切換スイッチSW1を制御する制御部5とを備える。
また、カレントミラー負荷トランジスタN0およびカレントミラー負荷トランジスタN1にてカレントミラー回路を構成している。
また、各オン・オフ切換スイッチSW5(n−1)・SW5(n−2)・・・は、カレントミラー回路を構成するカレントミラー負荷トランジスタN0・N1の制御端子に接続されている。
前記制御部5は、前記入力切換スイッチSW1、および切換スイッチ群SW5の各オン・オフ切換スイッチSW5(n−1)・SW5(n−2)・・・の切り換え動作の制御を行うものであり、該各オン・オフ切換スイッチSW5(n−1)・SW5(n−2)・・・のオン・オフ切り換えは、制御部5内に設けられたSAR(Successive Appropriate Register)により制御される。
一方、入力切換スイッチSW1がB側へ切り換えられているときには、入力トランジスタP1へ−入力端子Ti1からの入力信号が入力されるとともに、入力トランジスタP0へ−入力端子Ti2からの入力信号が入力されて、入力トランジスタP0および入力トランジスタP1の入力信号の電位を同電位として、差動増幅部1にて発生する入力換算オフセット電圧の補正動作が行われるように構成している。
すなわち、カレントミラー負荷トランジスタN1の実行サイズを調整するために、該カレントミラー負荷トランジスタN1のソース電位およびドレイン電位と、補正用トランジスタ群N5の各補正用トランジスタN5(n−1)・N5(n−2)・・・のソース電位およびドレイン電位とをそれぞれ共通にするとともに、該補正用トランジスタN5(n−1)・N5(n−2)・・・のゲートに、切換スイッチ群SW5の各オン・オフ切換スイッチSW5(n−1)・SW5(n−2)・・・をそれぞれ接続して、該オン・オフ切換スイッチSW5(n−1)・SW5(n−2)・・・により、補正用トランジスタN5(n−1)・N5(n−2)・・・のゲートの接続先を、カレントミラー負荷トランジスタN1のゲート側とグランド電位側とに切り換えることができるように構成している。
さらに、補正用トランジスタN5(n−1)のトランジスタサイズは2n-1・(W0/L0)となり、補正用トランジスタN5(n−2)のトランジスタサイズは2n-2・(W0/L0)となる。
まず、前提として、補正用トランジスタN5(n−1)・N5(n−2)・・・のうち、MSB(Most Significant Bit)側の補正用トランジスタN5(n−1)のみオン・オフ切換スイッチSW5(n−1)をオンして、他の補正用トランジスタN5(n−2)・N5(n−3)・・・はオン・オフ切換スイッチSW5(n−2)・SW5(n−3)・・・をオフした状態のときに、−入力側のカレントミラー負荷トランジスタN0と+入力側のカレントミラー負荷トランジスタN1とのトランジスタサイズの実効値が等しくなるように設計しておく。
なお、実際に差動増幅回路を構成する際には、−入力側のカレントミラー負荷トランジスタN0のトランジスタサイズと、+入力側のカレントミラー負荷トランジスタN1のトランジスタサイズとを同一に構成しておき、−入力側のカレントミラー負荷トランジスタN0に、2n-1×(Wd/Ld)のサイズに相当するトランジスタを並列接続するのが好ましい。
まず、補正動作が開始されると、入力切換スイッチSW1がB側へ切り換えられ、+入力差動段の入力トランジスタP1のゲート電極に、−入力差動段の入力トランジスタP0のゲート電極と同電位が印加される。
補正動作が開始されたときのSARの初期値は2n-1に設定されている(例えば、8ビットのときは128に設定されている)。
また、他の各補正用トランジスタN5(n−2)・・・N5(0)は、各オン・オフ切換スイッチSW5(n−2)・・・SW5(0)により、グランド電位に接続される。
この判定の結果、出力信号が"1"であった場合は、差動増幅部1からの出力信号が1/2Vccよりも高いことを示している。
従って、出力信号が"1"であった場合は、MSBにあたる補正用トランジスタN5(n−1)をオンしたまま、MSB−1に相当する補正用トランジスタN5(n−2)を、オン・オフ切換スイッチSW5(n−2)によりオンする。
従って、出力信号が"0"であった場合は、MSBにあたる補正用トランジスタN5(n−1)をオフするとともに、MSB−1に相当する補正用トランジスタN5(n−2)を、オン・オフ切換スイッチSW5(n−2)によりオンする。
次に、この状態で、再度差動増幅部1からの出力信号の判定を制御部5にて行い、MSB−1に相当する補正用トランジスタN5(n−2)およびMSB−2に相当する補正用トランジスタN5(n−3)をオン・オフさせて、補正用トランジスタN5(n−2)のオン・オフを確定する。
この補正用トランジスタN5(n−1)・N5(n−2)・・・のオン・オフの確定は、MSB側からLSB(Least Significant Bit)側へ向って順次行っていき、補正用トランジスタN5(0)のオン・オフが確定されるまで継続される。
そして、全ての補正用トランジスタN5(n−1)・N5(n−2)・・・のオン・オフが確定された後は、入力切換スイッチSW1がA側へ切り換えられて補正処理が終了し、差動増幅回路は通常動作に戻る。
従って、補正動作を行った後に温度等の外部環境が変化した場合は、入力換算オフセット電圧が再度生じてしまうこととなってしまう。
図2に示す差動増幅回路は、2つの入力信号がそれぞれ入力される入力部である、+入力端子Ti1および−入力端子Ti2と、PMOSトランジスタにて構成される入力トランジスタP0・P1およびNMOSトランジスタにて構成されるカレントミラー負荷トランジスタN0・N1を備え、差動増幅機能を有する第1差動増幅部11と、PMOSトランジスタにて構成される入力トランジスタP0・P2およびNMOSトランジスタにて構成されるカレントミラー負荷トランジスタN0・N2を備え、差動増幅機能を有する第2差動増幅部12と、該第1差動増幅部11および第2差動増幅部12における+入力差動段の入力トランジスタP1・P2のゲート電極の前段にそれぞれ設けられる入力切換スイッチSW1・SW2と、第1差動増幅部11および第2差動増幅部12からの増幅信号を出力する出力部2と、該出力部2に備えられる出力切換スイッチSW3・SW4と、第1差動増幅部11および第2差動増幅部12に生じたオフセット電圧を、前記増幅出力信号に基づいて補正する補正部3と、前記補正部3、入力切換スイッチSW1・SW2および出力切換スイッチSW3・SW4を制御する制御部5とを備える。
+入力第1差動段と+入力第2差動段とは同じ機能を有した差動段であり、+入力第2差動段は+入力第1差動段に対して冗長な機能を有する冗長差動増幅段となっている。
そして、+入力第1差動段および+入力第2差動段は、それぞれ第1差動増幅部11および第2差動増幅部12における冗長側の差動増幅段となっている。
また、カレントミラー負荷トランジスタN0とカレントミラー負荷トランジスタN1とで、および、カレントミラー負荷トランジスタN1とカレントミラー負荷トランジスタN2とで、カレントミラー回路を構成している。
該入力切換スイッチSW1・SW2がA側へ切り換えられると、入力トランジスタP1・P2へは+入力端子Ti1からの入力信号が入力され、入力切換スイッチSW1・SW2がB側へ切り換えられると、入力トランジスタP1・P2へは−入力端子Ti2からの入力信号が入力されるように構成されている。
また、各オン・オフ切換スイッチSW5(n−1)・SW5(n−2)・・・、および各オン・オフ切換スイッチSW6(n−1)・SW6(n−2)・・・は、カレントミラー回路を構成するカレントミラー負荷トランジスタN0・N1・N2の制御端子に接続されている。
逆に、入力切換スイッチSW1がB側へ切り換えられるとともに、入力切換スイッチSW2がA側へ切り換えられているときには、入力トランジスタP0・P1へ−入力端子Ti2からの入力信号が入力されるとともに、入力トランジスタP2へ+入力端子Ti1からの入力信号が入力されて、+入力第1差動段にて入力オフセット電圧の補正動作が行われ、+入力第2差動段にて通常の差動増幅動作が行われる。
そして、出力切換スイッチSW3がA側に切り換えられるときには出力切換スイッチSW4はB側に切り換えられ、出力切換スイッチSW3がB側に切り換えられるときには出力切換スイッチSW4はA側に切り換えられるように、制御部5により制御されている。
すなわち、カレントミラー負荷トランジスタN1の実行サイズを調整するために、該カレントミラー負荷トランジスタN1のソース電位およびドレイン電位と、補正用トランジスタ群N5の各補正用トランジスタN5(n−1)・N5(n−2)・・・のソース電位およびドレイン電位とをそれぞれ共通にするとともに、該補正用トランジスタN5(n−1)・N5(n−2)・・・のゲートに、切換スイッチ群SW5の各オン・オフ切換スイッチSW5(n−1)・SW5(n−2)・・・をそれぞれ接続して、該オン・オフ切換スイッチSW5(n−1)・SW5(n−2)・・・により、補正用トランジスタN5(n−1)・N5(n−2)・・・のゲートの接続先を、カレントミラー負荷トランジスタN1のゲート側とグランド電位側とに切り換えることができるように構成している。
チSW6(n−1)・SW6(n−2)・・・をそれぞれ接続して、該オン・オフ切換スイッチSW6(n−1)・SW6(n−2)・・・により、補正用トランジスタN6(n−1)・N6(n−2)・・・のゲートの接続先を、カレントミラー負荷トランジスタN6のゲート側とグランド電位側とに切り換えることができるように構成している。
まず、例えば、入力切換スイッチSW1および出力切換スイッチSW3がA側に切り換えられるとともに、入力切換スイッチSW2および出力切換スイッチSW4がB側に切り換えられ、+入力第1差動段にて通常の差動増幅動作が行われ、+入力第2差動段にて補正動作が行われる。
この場合、出力切換スイッチSW3・SW4により、+入力第2差動段からの出力信号が制御部5へ入力され、該制御部5にて、入力された+入力第2差動段からの出力信号が1/2Vccよりも高いか低いかの判断がなされる。
一方、通常の差動増幅動作が行われている+入力第1差動段からの出力信号は、出力切換スイッチSW3・SW4により、出力端子Toへ出力される。
この場合、出力切換スイッチSW3・SW4により、+入力第1差動段からの出力信号が制御部5へ入力され、該制御部5にて、入力された+入力第1差動段からの出力信号が1/2Vccよりも高いか低いかの判断がなされる。
一方、通常の差動増幅動作が行われている+入力第2差動段からの出力信号は、出力切換スイッチSW3・SW4により、出力端子Toへ出力される。
5およびオン・オフ切換スイッチ群SW6・SW5では、前回の補正動作結果が保持されている。
すなわち、差動増幅回路においては、+入力第1差動段および+入力第2差動段の何れか一方で、常に通常の差動増幅動作が行われているとともに、
+入力第1差動段および+入力第2差動段の何れか他方で常に補正動作が行われていることになる。
また、リアルタイムに補正動作を実行することができるので、温度変化等の外部環境が変化した場合でも、発生した入力換算オフセット電圧の補正を逐次行うことができ、常に入力オフセット電圧をキャンセルすることができる。
さらに、入力換算オフセット電圧の補正に不揮発性メモリ等の特殊なプロセスを用いていないため、差動増幅回路を安価に構成することができる。
3 補正部
5 制御部
11 第1差動増幅部
12 第2差動増幅部
N5・N6 補正用トランジスタ
SW5・SW6 切換スイッチ群
Claims (2)
- 2つの入力信号が入力される入力部と、
該入力信号によって制御され、差動増幅機能を有する少なくとも2つの差動増幅部と、
各差動増幅部に入力される入力信号をそれぞれ選択する入力信号選択スイッチ部と、
差動増幅部からの出力信号を出力する出力部と、
各差動増幅部におけるオフセット電圧を、前記差動増幅部からの出力信号に基づいて補正する補正部と、
前記補正部およびスイッチ部とを制御する制御部とを備え、
前記少なくとも2つの差動増幅部は、
一方の入力信号が入力される第1の差動増幅段、および他方の入力信号が入力される第2の差動増幅段にて構成される第1の差動増幅部と、
第1の差動増幅段および第2の差動増幅段の何れか一方の差動増幅段、および第1の差動増幅段および第2の差動増幅段の何れか他方と冗長な機能を有する冗長差動増幅段にて構成される第2差動増幅部とを備え、
前記補正部は、
第1の差動増幅部および第2の差動増幅部における冗長側の差動増幅段にそれぞれ接続され、スイッチング手段によりオン・オフが切り換えられる、複数の補正用トランジスタを有する補正用トランジスタ群を備えている、
ことを特徴とする差動増幅回路。 - 前記制御部は、
前記一方の差動増幅部からの出力信号と、予め設定される基準電圧とを逐次比較し、
逐次比較結果に基づいて、前記一方の差動増幅部に接続される補正用トランジスタ群が有する各補正用トランジスタのスイッチング手段のオン・オフ切換制御を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の差動増幅回路。
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