JP4599915B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
そこで、不純物を含む雰囲気中で半導体ウェハを加熱することにより、当該雰囲気から半導体ウェハ表面に不純物を熱拡散させる熱拡散法が用いられる。
ウェハを熱拡散炉に入れ、まず、窒素(N2)と酸素(O2)の混合雰囲気中にて800〜850℃でロードした後に昇温させる。
次に、P形不純物である三臭化ボロン(BBr3)と窒素と酸素の混合雰囲気中にて900〜1150℃で加熱し、その混合雰囲気からウェハ表面にボロンを熱拡散させてボロン拡散層(不純物拡散層)を形成する(ボロンデポジション工程)。
そして、酸素の供給を停止し、窒素雰囲気中で降温させて800〜850℃でアンロードした後に、熱拡散炉からウェハを取り出す。
また、ボロンシリケートガラス層とウェハとの間には、ボロンを高濃度に含むボロンシリサイド層(Six+By)が形成される。
例えば、ゲート絶縁膜として酸化膜を形成する場合には、ウェハ面内でボロンシリケートガラス層およびボロンシリサイド層が部分的に残存していると、ウェハ面内における酸化膜の膜厚バラツキが生じるため、MOS素子の特性にもバラツキが生じることになる。
そのため、ボロンシリケートガラス層およびボロンシリサイド層を除去する工程数が多く、その除去工程全体に長い時間がかかるため、製造コストが増大するという問題があった。
シリコン層の表面に不純物を拡散させて不純物拡散層を形成する第1工程と、
ウェット酸化法を用い、前記不純物拡散層の表面に酸化膜を形成する第2工程と、
前記不純物拡散層の表面の不要物を除去する第3工程と
を備えた半導体装置の製造方法であって、
前記第1工程では、前記不純物拡散層の表面にシリケートガラス層が形成されると共に、前記シリケートガラス層と前記シリコン層との間に、前記不純物を含むシリサイド層が形成され、
前記第2工程では、前記シリサイド層が完全に燃焼され、前記シリケートガラス層と前記不純物拡散層との界面に前記酸化膜が形成され、
前記第3工程では、1回のフッ酸処理により、前記シリケートガラス層および前記酸化膜が前記不要物として除去され、
前記酸化膜を、前記フッ酸処理を行う際に、前記不純物拡散層と前記シリケートガラス層との剥離層として機能させ、
前記第2工程の処理温度を、前記第1工程の処理温度より低い温度に設定することを技術的特徴とする。
請求項1の発明では、第2工程で形成された酸化膜が、第3工程において不純物拡散層からシリケートガラス層を除去する際の剥離層として機能する。そして、酸化膜についても第3工程で容易に除去可能である。そのため、第3工程にてシリコン層全面のシリケートガラス層およ酸化膜を容易かつ完全に除去できることに加え、第3工程の処理時間を短縮化できる。
従って、請求項1の発明によれば、シリコン層に不純物拡散層を形成して当該不純物拡散層を露出させるまでの全工程の処理時間を短縮化できることに加え、第3工程で手間のかかる硝酸ボイル処理を行う必要がないため、製造コストを大幅に削減できる。
さらに、第3工程で硝酸ボイル処理を行わないため、硝酸ボイル処理で使用した硝酸を廃棄する際に環境に悪影響を与えるのを回避できる。
そして、第3工程で露出した不純物拡散層の表面には荒れや欠陥が無く特性が良好であるため、その不純物拡散層を用いて形成された素子の特性をも良好にすることができる。
加えて、第2工程の処理温度を第1工程の処理温度より低い温度に設定することにより、不純物拡散層の表面が荒れるのを抑制できる。
従って、請求項1の発明によれば、良好な特性の不純物拡散層を形成可能な半導体装置の製造方法が得られる。
請求項2の発明によれば、不純物と酸素を含んだ混合雰囲気からシリコン層に当該不純物を熱拡散させるため、特許文献1の技術に比べて、シリコン層面内における不純物拡散層のシート抵抗および拡散深さのバラツキを抑えることが可能になり、請求項1の発明の効果を更に高めることができる。
請求項3の発明では、第1工程において不純物拡散層としてボロン拡散層を形成する際に、ボロン拡散層上にボロンシリケートガラス層が形成される。また、ボロンシリケートガラス層とボロン拡散層との間には、ボロンを高濃度に含むボロンシリサイド層が形成される。
そして、第2工程において、ウェット酸化法によってボロンシリサイド層が燃焼され、ボロンシリケートガラス層とボロン拡散層との界面に二酸化ケイ素の酸化膜が形成される。
この酸化膜は、第3工程においてボロン拡散層とボロンシリケートガラス層との剥離層として機能する。
従って、請求項3の発明によれば、請求項1または請求項2の発明の効果を確実に得ることができる。
請求項4の発明では、ウェット酸化法として酸素雰囲気中に水蒸気を含ませて酸化を行うバーニング酸化法を用いるため、第1工程から第3工程を熱拡散炉内に供給するガスを切り替えるだけで容易に実施することが可能であり、従来の熱拡散装置をそのまま使用すればよく装置に手を加える必要もない。
従って、請求項4の発明によれば、製造コストを確実に削減できる。
尚、上述した[課題を解決するための手段]に記載した構成要素と、後述する[発明を実施するための最良の形態]に記載した構成部材との対応関係は以下のようになっている。
「シリケートガラス層」は、ボロンシリケートガラス層13に該当する。
「シリサイド層」は、ボロンシリサイド層14に該当する。
「第1工程」は、工程1〜工程3に該当する。
「第2工程」は、工程7に該当する。
「第3工程」は、工程9に該当する。
図2は、図1における各工程を説明するための単結晶シリコンウェハの概略断面図である。
工程2:窒素と酸素の混合雰囲気中にて900〜1150℃まで昇温させる。
このとき、酸素とボロンとウェハ11のシリコンとが反応し、ボロン拡散層12上にボロンシリケートガラス層(BSG:Boron Silicate Glass:B2O3+SiO2)13が形成される。
また、ボロンシリケートガラス層13とボロン拡散層12との間には、ボロンを高濃度に含むボロンシリサイド層(Six+By)14が形成される。
工程5:酸素の供給を停止し、窒素雰囲気中で800〜850℃まで降温させる。
工程6:800〜850℃に保持した状態で熱拡散炉内を窒素雰囲気から酸素雰囲気に置換する。
尚、酸素と水素の混合雰囲気中のウェット酸化法とは、酸素雰囲気中に水蒸気を含ませて酸化を行う方法であり、バーニング酸化法とも呼ばれる。
工程9(図2(D)):熱拡散炉から取り出したウェハ11をフッ酸で15〜30秒間処理することにより、ボロンシリケートガラス層13および酸化膜15を除去する。
その結果、ボロン拡散層12が表面に形成された単結晶シリコンウェハ11が得られる。
本実施形態によれば、以下の作用・効果を得ることができる。
工程7(図2(C))において、酸素と水素の混合雰囲気中のウェット酸化により酸化膜15が形成される。
この酸化膜15は、工程9においてフッ酸処理を行う際に、ウェハ11表面のボロン拡散層12とボロンシリケートガラス層13との剥離層として機能する。
そのため、本実施形態によれば、工程9における15〜30秒間の短時間のフッ酸処理により、ウェハ11全面のボロンシリケートガラス層13を完全に除去することができる。
そして、二酸化ケイ素の酸化膜15についても短時間のフッ酸処理により容易に除去可能である。
工程3(ボロンデポジション工程)において、ボロンの熱拡散は、処理温度と処理時間に依存するが、主に処理温度によって制御することが可能である。
すなわち、処理温度を高い温度条件(高温条件)に設定すれば(例えば、1000〜1150℃)、ボロン拡散層12のボロン濃度を高くしてシート抵抗(ρs)を小さくできる。
また、処理温度を低い温度条件(低温条件)に設定すれば(例えば、900〜1000℃)、ボロン拡散層12のボロン濃度を低くしてシート抵抗を大きくできる。
また、工程3が低温条件の場合には、工程7を短時間(例えば、1〜3分間)に設定しても、工程9にてボロンシリケートガラス層13を完全に除去できる。
つまり、工程7におけるウェット酸化の処理時間は、工程9にてボロンシリケートガラス層13を完全に除去できるように、工程3の処理温度に合わせて、カット・アンド・トライで実験的に最適値を見つけて設定すればよい。
図3に示す従来技術に対して、図1に示す本実施形態では、工程6(酸素置換工程)と工程7(ウェット酸化工程)を設けるだけである。
そして、工程6および工程7は、熱拡散炉内に供給するガスを切り替えるだけで容易に実施することが可能であり、従来の熱拡散装置をそのまま使用すればよく装置に手を加える必要もない。
工程6(酸素置換工程)の処理時間は数十秒であり、工程7(ウェット酸化工程)の処理時間は前記[2]のように1〜5分間である。
そのため、図3に示す従来技術に対して、図1に示す本実施形態では全体の処理時間が2〜6分間程度長くなるだけである。
それに対して、本実施形態では、工程9で1回のフッ酸処理を15〜30秒間行うだけでよい。
そして、本実施形態では、工程9において手間のかかる硝酸ボイル処理を行わないため、前記[3]の作用・効果と相まって製造コストを大幅に削減できる。
さらに、本実施形態では、工程9で硝酸ボイル処理を行わないため、硝酸ボイル処理で使用した硝酸を廃棄する際に環境に悪影響を与えるのを回避できる。
ボロンシリケートガラス層13およびボロンシリサイド層14は、ウェハ11(ボロン拡散層12)上に何らかの部材(例えば、MOS素子のゲート絶縁膜、エピタキシャル層、配線層など)を形成する際に邪魔になるため、完全に除去する必要がある。
例えば、ゲート絶縁膜として酸化膜を形成する場合には、ウェハ11面内で各層13,14が部分的に残存していると、ウェハ11面内における当該酸化膜の膜厚バラツキが生じるため、MOS素子の特性にもバラツキが生じることになる。
本実施形態では、各層13,14を完全に除去してウェハ11全面のボロン拡散層12を確実に露出させることが可能であるため、ウェハ11(ボロン拡散層12)上に何らかの部材を形成するのに障害とならない。
従って、本実施形態によれば、良好な特性のボロン拡散層12を備えた単結晶シリコンウェハ11が得られ、その良好な特性のボロン拡散層12を形成可能な製造方法をも得られる。
工程7(ウェット酸化工程)の処理温度は、800〜850℃に設定することにより、ボロンシリサイド層14を完全に燃焼させ、工程9における前記剥離層として機能するのに十分な膜厚の酸化膜15を形成することができる。
尚、工程7の処理温度を前記温度範囲より高く設定するとボロン拡散層12の表面を荒らすおそれがあり、逆に低く設定すると十分な膜厚の酸化膜15を形成できなくなって工程9の処理時間を増大させるおそれがある。
第1〜第4工程で雰囲気に窒素を供給するのは、ウェハ11表面が荒れるのを防止するためである。
また、第6工程で酸素雰囲気に置換するのは、熱拡散炉内で爆発が起こるのを防止するためである。
特許文献1には、不純物拡散層形成工程直後に酸化層(酸化膜)を湿式酸化により形成する酸化層形成工程を設けることが記載されている。
しかし、特許文献1の酸化膜は、半導体ウェハ上に形成したガラス層から半導体ウェハ表層へ不純物を拡散させる際の拡散ストッパーとして機能するものである。そして、特許文献1には、本実施形態の前記[1]のように、酸化膜15をボロンシリケートガラス層13をフッ酸処理で除去する際の剥離層として機能させることについて、一切記載されておらず示唆すらもされていない。
従って、特許文献1に基づいて本実施形態を想到することは、例え当業者といえども困難であり、本実施形態の作用・効果(前記[1]〜[7])を予測し得るものではない。
ところで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記実施形態と同等もしくはそれ以上の作用・効果を得ることができる。
しかし、本発明は、単結晶シリコンウェハに限らず、どのような半導体層(例えば、エピタキシャル法によって形成された単結晶,多結晶,非晶質のシリコン層、ガリウムヒ素などの適宜な半導体基板など)に不純物拡散層を形成する技術に適用してもよい。
しかし、本発明は、半導体層上に不純物を含んだガラス層を形成し、そのガラス層から半導体層表面に不純物を熱拡散させて不純物拡散層を形成する技術に適用してもよく、その場合にも上記実施形態と同様に、不純物拡散層の形成後にウェット酸化法を用いて不純物拡散層表面に酸化膜を形成すればよい。
12…ボロン拡散層
13…ボロンシリケートガラス層
14…ボロンシリサイド層
15…酸化膜
Claims (4)
- シリコン層の表面に不純物を拡散させて不純物拡散層を形成する第1工程と、
ウェット酸化法を用い、前記不純物拡散層の表面に酸化膜を形成する第2工程と、
前記不純物拡散層の表面の不要物を除去する第3工程と
を備えた半導体装置の製造方法であって、
前記第1工程では、前記不純物拡散層の表面にシリケートガラス層が形成されると共に、前記シリケートガラス層と前記不純物拡散層との間に、前記不純物を含むシリサイド層が形成され、
前記第2工程では、前記シリサイド層が完全に燃焼され、前記シリケートガラス層と前記不純物拡散層との界面に前記酸化膜が形成され、
前記第3工程では、1回のフッ酸処理により、前記シリケートガラス層および前記酸化膜が前記不要物として除去され、
前記酸化膜を、前記フッ酸処理を行う際に、前記不純物拡散層と前記シリケートガラス層との剥離層として機能させ、
前記第2工程の処理温度を、前記第1工程の処理温度より低い温度に設定することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1工程では、不純物と酸素を含んだ混合雰囲気から前記シリコン層に当該不純物を熱拡散させることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記不純物はボロンであり、前記シリケートガラス層はボロンシリケートガラス層であり、前記シリサイド層はボロンシリサイド層であることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ウェット酸化法は、酸素雰囲気中に水蒸気を含ませて酸化を行うバーニング酸化法であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
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