JP4599057B2 - 冷間圧延性および異方性に優れた缶エンド用アルミニウム合金硬質板およびその製造方法 - Google Patents

冷間圧延性および異方性に優れた缶エンド用アルミニウム合金硬質板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、飲料缶および食缶用エンド、とくに負圧缶用エンドとして好適に用いられる冷間圧延性および異方性に優れた缶エンド用アルミニウム合金硬質板に関する。
飲料缶のうち、ビール缶、炭酸を含む清涼飲料缶のように、内部から圧力を加えて充填する陽圧缶は、缶ボディ(缶胴)材としてA3004合金、A3104合金、缶エンド(缶蓋)材としてMg4〜5%を含有するA5182合金が使用されている。一方、果汁やコーヒーなど炭酸を含まない飲料缶のように、充填後内部が負の圧力を受ける負圧缶は、缶ボディにはスチールが適用され、缶エンド材は陽圧缶ほどの強度が要求されないため、3%以下のMgを含有するA5052合金、AA5021合金が使用されている。
上記のA5052合金、AA5021合金をエンド材として使用する場合、熱間圧延で典型的な再結晶集合組織であるCube方位が強く発達し過ぎるため、硬質板とするために高い冷間圧延加工を加えても、最終製品板において0−180°耳が45°耳より高くなり、そのため、缶エンド成形後のスタッキング性がわるい、缶ボディに巻締める際に均一な巻締めが困難であるなどの問題が生じ、量産時に支障となることが経験されている。
一方、生産性向上の観点からは、熱間圧延後に中間焼鈍を行わずに冷間圧延のみで最終製品板厚まで仕上げることが望まれるが、従来のA5052合金、AA5021合金では冷間圧延性が十分でないため、中間焼鈍なしに冷間圧延を続行すると耳割れが発生し易く、中間焼鈍を行わないと、0−180°耳を小さくすることがさらに困難となるという問題がある。このような問題点を解決して、熱間圧延後に中間焼鈍を行わずに冷間圧延のみで最終製品板厚まで仕上げることを目的とする負圧缶エンド用アルミニウム材料が種々提案されている。
例えば、板表面におけるAl−Fe−Mn系晶出物の面積占有率を0.5〜1.5%、Mg−Si系晶出物の面積占有率を0.1〜1.0%とした負圧缶のエンド用Al−Mg−Mn系合金板が提案されている(特許文献1参照)が、熱間圧延でCube方位の発達を必ずしも十分に抑制することができず、冷間圧延時に耳割れを生じる場合がある。
Mn:0.10%以上0.30%未満、Fe:0.10%以上0.40%未満を含有する負圧缶エンド用Al−Mg−Mn系合金板も提案されている(特許文献2参照)が、Mnの含有量が少ないため熱間圧延でのCube方位の発達を抑制することができない。
また、発明者らは上記提案のものを改善する負圧缶エンド用アルミニウム合金板として、Mg:2.0%を越え3.4%以下、Mn:0.20%以上0.60%未満、Fe:0.28%以上0.60%未満、Si:0.04〜0.20%を含有し、且つFeとMnの合計含有量が0.6〜1.0%であり、残部Alおよび不純物からなるアルミニウム合金硬質板であって、板表面におけるAl−Fe−Mn系晶出物の面積占有率が1.5%を越え3.0%未満、Mg−Si系晶出物の面積占有率が0.2%未満の負圧缶エンド用アルミニウム合金板を提案した(特許文献3参照)。この材料は異方性においてかなり優れた特性をそなえているが、冷間圧延時に耳割れを生じることがあり、缶エンド成形後の開口安定性が低下し易いという問題があることがわかった。
特開2000−273593号公報 特開2000−160273号公報 特願2003−121099号
発明者らは、上記提案の材料の問題点を解消するために、とくに、MnとFeの含有量とその関係、Al−Fe−Mn系晶出物、Mg−Si系晶出物の分布密度を見直した結果、冷間圧延性を高めるためにAl−Fe−Mn系晶出物の面積占有率を小さくしても、特定されたMnとFeの含有量の関係において、冷間圧延時に耳割れを生じることなく、且つ熱間圧延でのCube方位の発達が抑制されて冷間圧延後の0−180°耳を45°耳より小さく抑制できることを見出した。
本発明は、上記の知見に基づいてさらに試験、検討を行った結果としてなされたものであり、その目的は、絞り成形時における0−180°耳が小さく、熱間圧延後に中間焼鈍など何らの熱処理を行うことなしに最終製品まで冷間圧延して製造することも可能な冷間圧延性および異方性に優れた缶エンド用アルミニウム合金硬質板およびその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の請求項1による冷間圧延性および異方性に優れた缶エンド用アルミニウム合金硬質板は、Mg:1.5〜2.8%、Mn:0.55〜1.0%、Fe:0.05〜0.35%、Si:0.04〜0.2%、Cu:0.2%以下、Cr:0.3%以下を含有し、Mn含有量とFe含有量との比、Mn%/Fe%を1.8以上とし、残部Alおよび不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金硬質板であって、45°耳率が5%以下、0−180°耳率が3%以下で且つ45°耳率≧0−180°耳率の関係にあり、板表面におけるAl−Fe−Mn系晶出物の面積占有率が1.5%以下、Mg−Si系晶出物の面積占有率が0.1%未満であることを特徴とする。但し、45°耳率および0−180°耳率は絞り比1.67で成形したカップの耳率であり、45°耳率(%)=〔(45°山高さの平均−0°、90°谷高さの平均)/{(45°山高さの平均+0°、90°谷高さの平均)/2}〕×100、0−180°耳率(%)=〔(0°、180°山高さの平均−全体の高さの平均)/(全体の高さの平均)〕×100(0°、45°、90°、180°は圧延方向に対する角度)
請求項2による冷間圧延性および異方性に優れた缶エンド用アルミニウム合金硬質板は、請求項1において、前記アルミニウム合金硬質板が、Mg:2.10〜2.6%、Mn:0.55〜0.9%、Fe:0.05〜0.28%、Si:0.04〜0.2%、Cu:0.2%以下、Cr:0.3%以下を含有し、Mn含有量とFe含有量との比、Mn%/Fe%を2.6以上とし、残部Alおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする。
請求項による冷間圧延性および異方性に優れた缶エンド用アルミニウム合金硬質板の製造方法は、請求項1または2に記載の組成を有するアルミニウム合金を均質化処理後、熱間圧延終了時の材料温度が300℃以上となるよう熱間圧延し、熱間圧延後、中間焼鈍を行うことなく冷間圧延し、冷間圧延の途中で中間焼鈍を行うことなしに圧延加工度85〜95%の冷間加工を施すことを特徴とする。
本発明によれば、絞り成形時に0−180°耳が小さく異方性に優れることから、缶エンド成形品を積み重ね搬送時のスタッキング性が良く、且つ缶ボディに巻き締める際に巻き締めが均一となって内容物の漏洩のおそれがなく、熱間圧延後に中間焼鈍など何らの熱処理を行うことなしに最終製品まで冷間圧延することが可能で、冷間圧延時に耳割れや板切れを生じることがない、冷間圧延性および異方性に優れた缶エンド用アルミニウム合金硬質板およびその製造方法が提供される。
本発明の缶エンド用アルミニウム合金板における合金成分の意義および限定理由は以下のとおりである。
Mg:缶エンドとして必要な強度を得るために基本的な合金成分であり、用途に応じて含有量が調製される。Mgの好ましい含有量は1.5%以上2.8%以下の範囲であり、この範囲において、Mg含有量が多いほど、熱間圧延時に転位網が形成され、これを核として種々の方位の再結晶粒が形成されるため、熱間圧延終了時点でCube方位への集中が抑制され、結果として冷間圧延後の0−180°耳を抑制することができる。Mg含有量が1.5%未満では十分な強度が得難く、2.8%を越えると、Mg−Si系晶出物が多くなり、また、冷間圧延で板耳部に割れが生じ易く生産性を低下させる。Mgのより好ましい含有量は1.8〜2.6%、さらに好ましい含有量は2.10〜2.6%である。
Mn:強度を高めるよう機能する。Mnの好ましい含有量は0.4〜1.0%の範囲であり、この範囲において、Mnの含有量が多いほど、Mn固溶量の増加、あるいはAl−Mn系微細析出物の増加により、熱間圧延時の粒界移動が妨げられるため、熱間圧延終了時点で、Cube方位への集中を抑制することができ、結果として冷間圧延後の0−180°耳を45°耳より小さく制御することができる。Mn含有量が0.4%未満では上記の効果が十分でなく、1.0%を越えると、Al−Fe−Mn系晶出物が増え過ぎて冷間圧延時の耳割れが生じ易くなり、また缶蓋の開口の安定性が低下し易い。Mnのより好ましい含有範囲は0.55〜1.0%、さらに好ましい含有範囲は0.55〜0.9%である。
Fe:Mnとともに数μm程度までの大きさのAl−Fe−Mn系晶出物を形成し、これが熱間圧延時の再結晶核となって種々の方位の結晶粒を形成し、このため熱間圧延終了時点で、結晶粒の方位がCube方位へ集中するのを抑制することができ、結果として冷間圧延後の0−180°耳を45°耳より小さく制御することができる。Feの好ましい含有量の上限は0.35%以下、さらに好ましくは0.28%以下の範囲であり、Feの含有量が0.35%を越えると前記の金属間化合物が増え過ぎて冷間圧延時に耳割れが生じ易く、缶蓋の開口の安定性が低下し易くなる。Feの含有量が0.05%未満ではAl−Fe−Mn系晶出物の量が少なくなり上記の効果が得られないばかりか、鋳造時の地金純度と関係し、0.05%未満では高純度の地金を使用しなければならずコスト高となるため、Fe含有量は0.05%以上とするのが好ましい。
Mn含有量%/Fe含有量%:Mn含有量とFe含有量との比、Mn%/Fe%を1.8以上、好ましくは2.6以上とすることにより、本発明のMn含有量、Fe含有量の範囲において、Al−Fe−Mn系晶出物の面積占有率が小さくなるために、冷間圧延時の耳割れを防止することができる。さらに、Mn固溶量の増加、あるいはAl−Mn系微細析出物の増加により、熱間圧延でのCube方位の発達が抑制されて冷間圧延後の0−180°耳を45°耳より小さく抑制できる。
Si:MgとともにMg−Si系晶出物(Mg2 Si)を形成する。またMn、FeとともにAl−Fe−Mn−Si系晶出物(Al−Fe−Mn系晶出物に包含される)を形成する。好ましいSiの含有範囲は0.04〜0.2%であり、0.2%を越えるとMg−Si系晶出物が多くなり、冷間圧延時に耳割れが生じ易く、缶蓋の開口の安定性が低下し易くなる。Siの含有量が0.04%未満では、Al−Fe−Mn−Si系晶出物の量が少なくなり前記の効果が得られない。また、Siの含有量の下限は鋳造時の地金純度と関係し、0.04%未満では高純度の地金を使用しなければならずコスト高となるため、Si含有量は0.04%以上とするのが好ましい。
Cu:強度を増大させるために選択的に添加する。好ましい含有量は0.2%以下の範囲であり、0.2%を越えると熱間圧延時に割れが生じ易くなる。強度の観点からは0.01%以上が好ましい。
Cr:強度を増大させるために選択的に添加する。好ましい含有量は0.3%以下の範囲であり、0.3%を越えると粗大な金属間化合物が生成し易くなる。強度の観点からは0.01%以上が好ましい。
不純物:不純物として、0.3%以下のZn、鋳塊の結晶粒微細化材として通常添加されるTi:0.2%以下、B:0.1%以下が含有されていても、本発明の効果に影響することはない。
Al−Fe−Mn系晶出物の面積占有率:Al−Fe−Mn系晶出物は熱間圧延終了時点で結晶粒の方位がCube方位へ集中するのを抑制し、結果として冷間圧延後の0−180°耳を45°耳より小さく抑制するよう機能する。板表面におけるAl−Fe−Mn系晶出物の好ましい面積占有率は1.5%以下、さらに好ましくは1.2%以下の範囲であり、本発明におけるMnおよびFe含有量の範囲でAl−Fe−Mn系晶出物の面積占有率が1.5%を越えると、冷間圧延時に耳割れが生じ易くなり、缶エンド成形後の缶蓋の開口安定性が低下し易くなる。前記面積占有率の下限は鋳造時の地金純度と関係し、Fe含有量が0.05%未満では高純度の地金を使用しなければならずコスト高となるため、Fe含有量は0.05%以上とするのが好ましいので、Al−Fe−Mn系晶出物の面積占有率の下限は0.05%程度である。
Mg−Si系晶出物の面積占有率:Mg−Si系晶出物、Mg2 Siの形成は缶蓋の開口性を向上させるが、Mg固溶量を低下させるため強度を低下させ、また、Mgによる結晶粒の方位のCube方位への集中を抑制する効果を低下させるさらに、冷間圧延時の耳割れにも影響を与えるので、板表面におけるMg−Si系晶出物の面積占有率は0.1%未満とするのが好ましい。前記面積占有率の下限は鋳造時の地金純度と関係し、Si含有量が0.04%未満では高純度の地金を使用しなければならずコスト高となるため、Si含有量は0.04%以上とするのが好ましいので、Mg−Si系晶出物の面積占有率の下限は0.02%程度である。
本発明の缶エンド用アルミニウム合金板においては、缶エンド成形後のスタッキング性、缶ボディに巻き締める際の巻き締めの均一性を得るために、絞り成形時の45°耳率が5%以下、0−180°耳率が3%以下で且つ45°耳率≧0−180°耳率の関係にあることが望ましい。上記の条件を満たさない場合は、缶エンド成形品を積み重ね搬送時のスタッキング性がわるく、作業性が著しく阻害されるとともに、缶ボディに巻き締める際に巻き締めが不均一となり、内容物が漏洩するおそれがある。但し、45°耳率および0−180°耳率は絞り比1.67で成形したカップの耳率であり、45°耳率(%)=〔(45°山高さの平均−0°、90°谷高さの平均)/{(45°山高さの平均+0°、90°谷高さの平均)/2}〕×100、0−180°耳率(%)=〔(0°、180°山高さの平均−全体の高さの平均)/(全体の高さの平均)〕×100(0°、45°、90°、180°は圧延方向に対する角度)である。
本発明による缶エンド用アルミニウム合金板は、前記の組成を有するアルミニウム合金をDC鋳造し、得られた鋳塊を常法に従って均質化処理後、熱間圧延、冷間圧延を経て製造されるが、熱間圧延はタンデム圧延機により行うことが望ましい。タンデム圧延機で熱間圧延することにより、熱間圧延での加工度を大きくとることができ、再結晶時の駆動力となる加工歪みが蓄積し易く、また、加工熱により熱間圧延時の温度低下を抑制することができる。
熱間圧延終了時の材料温度は300℃以上とするのが好ましく、300℃未満では十分な再結晶組織が得られず、製品の45°耳が高くなり、缶胴との巻き締め不良が生じ易くなる。また、強度が高くなり過ぎて成形性が低下する。
熱間圧延板の90°耳率は6%以下とするのが好ましい。6%を越えると、最終冷間圧延板の耳率において、0−180°耳率を45°耳率より小さくし難い。但し、90°耳率は絞り比1.67で成形したカップの耳率であり、90°耳率(%)=〔(0°、90°山高さの平均−45°谷高さの平均)/{(0°、90°山高さの平均+45°谷高さの平均)/2}〕×100(0°、45°、90°は圧延方向に対する角度)である。
熱間圧延後の工程としては、熱間圧延後あるいは冷間圧延の途中で中間焼鈍を行ってもよいが、中間焼鈍を行うことなしに85%以上95%の冷間圧延を行うことが好ましい。すなわち、焼鈍時に使用するエネルギーを削減して製造コストの低減を図るためにも中間焼鈍はない方が望ましい。中間焼鈍なしに冷間圧延を行った場合、85%未満の加工度では0−180°耳より45°耳を高くすることが困難になる。一方、95%越えの加工度では、冷間圧延パス数が増加し、板端部に耳割れが生じてトリミング工程が必要となるため製造上好ましくない。
得られたアルミニウム合金硬質圧延板は、缶エンドに絞り成形するが、絞り成形時、上記の圧延工程によって圧延集合組織が発達して、45°耳が成長することにより相対的に0−180°耳が小さくなる。冷間圧延加工度が85%未満では、絞り成形時、45°耳が小さく、45°耳率<0−180°耳率の条件を満たし難くなる。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明し、その効果を立証する。なお、これらの本実施例は本発明の一実施態様を示すものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
表1に示す組成のアルミニウム合金を半連続鋳造により造塊し、得られた鋳塊を表面切削後、500℃で8時間の均質化処理を施し、タンデム圧延機で所定の板厚まで熱間圧延した。熱間圧延終了時の材料温度を表2に示す。
ついで、表2に示す冷間圧延加工度で冷間圧延を行い、板厚0.25mmの冷間圧延板を得た。但し、製造No.mについては板厚0.3mmまで冷間圧延した。得られた冷間圧延板に、缶蓋内面に相当する面に7μm厚さの塗装を施し、所定の温度で焼付けを行い、得られた塗装板を試験材として、板表面におけるAl−Fe−Mn系晶出物の面積占有率、Mg−Si系晶出物の面積占有率を、板表面をバフ研磨した後、1%フッ酸溶液で10秒間、晶出物が脱落しない程度にエッチングして、画像解析装置(NIRECO製LuzexIIIU)で200倍で25視野観察し、灰色をAl−Fe−Mn系晶出物(予めSEM−EDSで確認)、黒色をMg−Si系晶出物(予めSEM−EDSで確認)として、1mm2 当たりの量を測定した。また、絞り成形時の45°耳率、0−180°耳率を測定し、評価を行った。結果を表3に示す。なお、表1〜3において、本発明の条件を外れたものには下線を付した。
Figure 0004599057
Figure 0004599057
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表3に示すように、本発明に従う試験材No.1〜5はいずれも、Al−Mn−Fe系晶出物およびMg−Si系晶出物の面積占有率が適正で、冷間圧延時の耳割れによるトリミングを必要とせず、45°耳率は5%未満、0−180°耳率は3%未満であった。
これに対して、試験材No.6はMn量が少ないため、また試験材No.10はMg量が少ないため、いずれも熱間圧延終了時点で、結晶粒の方位がCube方向へ集中するのを抑制する効果が小さく、0−180°耳率も高くなっている。試験材No.7はFe量が多いため、また試験材No.11はMn量が多いため、いずれもAl−Fe−Mn系晶出物が多く、冷間圧延時に耳割れが生じ易く冷間圧延途中でトリミングが必要となり、従って、省エネルギー、製造コスト低減効果が期待できないものとなる。
試験材No.8はMg量が多いため、また試験材No.9はSi量が多いため、Mg−Si系晶出物が多く、冷間圧延時に耳割れが生じ易く冷間圧延途中でトリミングが必要となった。試験材No.12は熱間圧延終了時の材料温度が低く十分に再結晶しないため45°耳が高くなっている。試験材No.13は冷間圧延加工度が85%未満のため0−180°耳が高くなっている。また、試験材No.14は冷間圧延加工度が95%を越えているため、板端部に耳割れが生じトリミングが必要となった。

Claims (3)

  1. Mg:1.5〜2.8%(質量%、以下同じ)、Mn:0.55〜1.0%、Fe:0.05〜0.35%、Si:0.04〜0.2%、Cu:0.2%以下、Cr:0.3%以下を含有し、Mn含有量とFe含有量との比、Mn%/Fe%を1.8以上とし、残部Alおよび不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金硬質板であって、45°耳率が5%以下、0−180°耳率が3%以下で且つ45°耳率≧0−180°耳率の関係にあり、板表面におけるAl−Fe−Mn系晶出物の面積占有率が1.5%以下、Mg−Si系晶出物の面積占有率が0.1%未満であることを特徴とする冷間圧延性および異方性に優れた缶エンド用アルミニウム合金硬質板。但し、45°耳率および0−180°耳率は絞り比1.67で成形したカップの耳率であり、45°耳率(%)=〔(45°山高さの平均−0°、90°谷高さの平均)/{(45°山高さの平均+0°、90°谷高さの平均)/2}〕×100、0−180°耳率(%)=〔(0°、180°山高さの平均−全体の高さの平均)/(全体の高さの平均)〕×100(0°、45°、90°、180°は圧延方向に対する角度)
  2. 前記アルミニウム合金硬質板が、Mg:2.10〜2.6%、Mn:0.55〜0.9%、Fe:0.05〜0.28%、Si:0.04〜0.2%、Cu:0.2%以下、Cr:0.3%以下を含有し、Mn含有量とFe含有量との比、Mn%/Fe%を2.6以上とし、残部Alおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項1記載の冷間圧延性および異方性に優れた缶エンド用アルミニウム合金硬質板。
  3. 請求項1または2に記載の組成を有するアルミニウム合金を均質化処理後、熱間圧延終了時の材料温度が300℃以上となるよう熱間圧延し、熱間圧延後、中間焼鈍を行うことなく冷間圧延し、冷間圧延の途中で中間焼鈍を行うことなしに圧延加工度85〜95%の冷間加工を施すことを特徴とする冷間圧延性および異方性に優れた缶エンド用アルミニウム合金硬質板の製造方法。
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