JPH09291331A - リングプル型キャップ用アルミニウム合金板及びその製造方法 - Google Patents

リングプル型キャップ用アルミニウム合金板及びその製造方法

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JPH09291331A
JPH09291331A JP26486296A JP26486296A JPH09291331A JP H09291331 A JPH09291331 A JP H09291331A JP 26486296 A JP26486296 A JP 26486296A JP 26486296 A JP26486296 A JP 26486296A JP H09291331 A JPH09291331 A JP H09291331A
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aluminum alloy
cap
rolling
ring
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JP26486296A
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Kazuhide Matsumoto
和秀 松元
Takashi Inaba
隆 稲葉
Tetsuya Hattori
哲也 服部
Fumito Okamoto
文人 岡本
Hideaki Usuya
英明 薄谷
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 キャップ材の薄肉化に伴い、開栓性及びシー
ミング特性が優れたリングプル型キャップ用アルミニウ
ム合金板及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 Mg、Mn、Fe、Si、およびAIか
らなり、表面に現れる晶出物のうち、AI−Fe−Mn
系晶出物が平均粒径2.0〜3.5μm、Mg−Si系
晶出物が平均粒径1.0〜2.5μmである。この組成
のアルミニウム合金鋳塊を500〜550℃で均質化処
理した後、熱間圧延及び冷間圧延を施し、その後中間焼
鈍として加熱冷却速度100℃/分以上、板温度400
乃至500℃に10分以内保持する条件で連続焼鈍を施
し、圧延率60%以上で冷間圧延し、必要に応じて、2
50℃以下で仕上げ焼鈍するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キャップ天面又は
側面に楔形に圧入する加工(以下、スコア加工という)
を施されたリングプル型キャップ用の素材であるリング
プル型キャップ用アルミニウム合金板及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、リングプル型キャップ用アル
ミニウム合金板としては、JIS5052又はJIS3
105合金の成分を有する鋳塊を均熱し、熱間圧延後、
比較的高い圧延率で冷間圧延された材料が使用されてい
る。しかし、JIS3105合金は引き裂き性に優れて
いるものの、材料強度が低いために、炭酸飲料用の容器
のキャップのように、強度を必要とするものには不向き
であった。
【0003】これに対し、JIS5052合金はMg添
加量が多いため、高強度材を得ることが可能であるが、
適正強度を得ようとすると、その組成では、絞り成形品
の圧延0−180°方向で2つの耳が発生し、シーミン
グ特性等に悪影響を与えるという問題点があった。この
シーミング特性とは、キャップを容器に巻き締めしたと
きのキャップと容器との密封性及び密着性を指す。圧延
方向及びその逆方向(圧延0−180°方向)に2つの
耳しか生じない場合は、キャップを容器に巻き締めした
場合にキャップと容器との支持点(つめ)が少なく、脱
落しやすい。
【0004】また、近時、キャップのコストを削減する
ため、キャップ材の薄肉化が要望されているが、この場
合、キャップの耐圧強度及び落下衝撃時のスコア割れ等
を防ぐという観点から、スコアの深さを十分に深く成形
できない。このため、引き裂きの進展性が悪いJIS5
052合金では、スコア以外の箇所に亀裂が生じて開栓
不良を起こすという難点がある。
【0005】一方、リングプル型キャップ用材料とし
て、特公昭62−32264号公報に記載された引き裂
き性が優れたアルミニウム合金が提案されている。この
特公昭62−32264号に記載されたアルミニウム合
金は、Mg:0.3〜6重量%、Mn:0.15〜2重
量%を含有し、且つ、Fe:0.5〜1.8重量%、C
r:0.25〜0.8重量%の1種又は2種を含有し、
更に、Si:0.2〜1重量%、Cu:0.1〜1重量
%の1種又は2種を含有し、残部Al及び不可避的不純
物からなる組成を有する。このアルミニウム合金はF
e、Si等の成分を適切なものに調節し、晶出物分布を
適正化することにより、引き裂き性を向上させている。
【0006】また、上記公報にはキャップ用材料の製造
方法として、アルミニウム合金材を510℃に4時間均
質化処理した後、熱間圧延により4mmの板材とし、そ
の後、冷間圧延により0.625mmの厚さにし、連続
焼鈍炉により480℃の温度で中間焼鈍(急速加熱、急
速冷却)を実施した後、再び冷間圧延により0.25m
m厚(冷間加工率60%)とする方法が開示されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近時のキャッ
プ材の薄肉化に伴って、キャップ製品が必要とする耐圧
強度を満たすように、材料強度及び晶出物分布を調整す
ることは勿論のこと、シーミング性についても重要な課
題となっている。このため、容器材の薄肉化に伴い、強
度及びシーミング性が優れたアルミニウム合金の開発が
要望されている。
【0008】しかしながら、前述の如く、特公昭62−
32264号公報に記載されたアルミニウム合金は、引
き裂き性については、改善が図られているものの、前述
のシーミング性については、不十分であった。
【0009】また、前記公報に記載されたアルミニウム
合金は、Fe又はCrの添加量が過剰であるため、製品
表面における晶出物の面積占有率が大きく、亀裂が生じ
やすく、所望の耐圧強度が得られないという難点があ
る。
【0010】一方、前記公報に記載されたアルミニウム
合金の製造方法は、得られる製品の板厚が0.25mm
であるため、通常の板厚に比較してキャップ製品にかか
るコストが高くなるほか、仕上げ焼鈍を施さないと、塗
装時にウィケットマークを生じることがある。
【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、キャップ材の薄肉化に伴い、開栓性及びシ
ーミング特性が優れたリングプル型キャップ用アルミニ
ウム合金板及びその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係るリングプル
型キャップ用アルミニウム合金板は、Mg:2.00乃
至4.00重量%,Mn:0.20〜0.70重量%、
Fe:0.10〜0.50重量%、Si:0.05〜
0.30重量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純
物からなるアルミニウム合金により構成されることを特
徴とする。
【0013】また、このリングプル型キャップ用アルミ
ニウム合金板は、表面に現れる晶出物のうち、Al−F
e−Mn系晶出物が平均粒径:2.0乃至3.5μm、
面積占有率:0.5乃至1.5%であり、Mg−Si系
晶出物が平均粒径:1.0乃至2.5μm、面積占有
率:0.001乃至0.04%であることが好ましい。
【0014】更に、本発明に係るリングプル型キャップ
用アルミニウム合金板の製造方法は、Mg:2.00乃
至4.00重量%,Mn:0.20〜0.70重量%、
Fe:0.10〜0.50重量%、Si:0.05〜
0.30重量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純
物からなるアルミニウム合金の鋳塊を500〜550℃
で均質化処理した後、熱間圧延及び冷間圧延を施し、そ
の後、中間焼鈍として加熱冷却速度100℃/分以上、
板温度400乃至500℃に10分以内保持する条件で
連続焼鈍を施し、圧延率60%以上で冷間圧延し、必要
に応じて、250℃以下で仕上焼鈍することを特徴とす
る。
【0015】なお、面積占有率とは、観察した全面積に
対する晶出物の占める全面積の割合(%)をいい、観察
した視野数が20視野で、1視野当たりの観察面積が
0.1mm2の場合は、観察した全面積は2mm2とな
る。
【0016】
【発明の実施の形態】本願発明者等は、開栓性及びシー
ミング性を向上させるべく、種々実験研究を繰り返した
結果、金属間化合物においては、Al−Fe−Mn系及
びMg−Si系の晶出物が開栓性の向上に大きく寄与
し、その効果は製品板の表面において、平均粒径が2.
0μm以上のAl−Fe−Mn系晶出物が面積占有率で
0.5%以上であり、かつ平均粒径が1.0μm以上の
Mg−Si系晶出物が面積占有率で0.001%以上で
あるときに顕著に現れることを見出した。
【0017】しかし、晶出物を過剰に増大させると、耐
圧強度に悪影響を及ぼす。このため、Al−Fe−Mn
系晶出物は、その平均粒径が3.5μm以下、面積占有
率が1.5%以下であることが好ましく、かつMg−S
i系晶出物はその平均粒径が2.5μm以下、面積占有
率が0.04%以下であることが好ましい。
【0018】シーミング性については、材料強度とスプ
リングバックとの関係の他に、キャップ成形時に発生す
る耳が重要である。つまり、シーミング性を向上させる
ためには、スプリングバック量を少なくさせることと、
従来キャップ成形品で発生していた圧延0−180°の
2つの耳ではなく、圧延45°に4つの耳を発生させる
必要がある。即ち、圧延方向に対し、45°、−45
°、135°及び−135°傾斜した方向に4つの耳が
発生する場合(圧延45°)は、キャップを容器に巻き
締めしたときに、4つの山(巻き締め時のつめ)で容器
とキャップとを密着させるので、キャップと容器との支
持点が2点から4点に増え、落下衝撃等を受けても脱落
しにくく、シーミング性が優れたものとなる。
【0019】以下、上述の本願発明の課題を解決するた
めのアルミニウム合金の成分組成及びその限定理由並び
に製造工程の各種条件及びその限定理由について説明す
る。
【0020】先ず、本発明において使用するアルミニウ
ム合金の成分添加理由及びその組成限定理由について説
明する。
【0021】Mg:2.00乃至4.00重量% Mgは強度を付与するために重要な元素であので、本発
明では必須成分として添加する。リングプル型キャップ
用素材としては、Mgを、少なくとも、2.00重量%
以上添加しないと十分な強度を得ることができない。し
かし、Mgを過剰に添加すると、強度が高すぎることに
よってキャップを容器にシーミングする際に、スプリン
グバックによって十分な密封性が得られず、また、成形
性の低下を招く。このため、Mgの添加量は4.00重
量%以下にする。従って、Mgの添加量は2.00乃至
4.00重量%とする。
【0022】Mn:0.20乃至0.70重量% Mnは、引き裂き性を向上させるAl−Fe−Mn系晶
出物を生成させるために必要な元素であると共に、製品
板を絞り成形した場合に圧延45°に4つの耳を発生さ
せるために有効な元素である。この効果を得るために
は、Mnを0.20重量%以上添加することが必要であ
る。また、Mnを0.70重量%を超えて過剰に添加す
ると、巨大な晶出物の生成数が多くなるため、耐圧強度
の低下を招く。従って、Mnの添加量は0.20乃至
0.70重量%とする。
【0023】Fe:0.10乃至0.50重量% Feの添加は開栓性を向上させるAl−Fe−Mn系晶
出物の生成に有効であると共に、成形性を向上させる結
晶粒微細化に大きな効果を示し、その添加量が多い程結
晶粒が微細化される。しかし、Feの含有量が0.10
重量%以下ではその効果が十分発現されず、逆に0.5
0重量%を超える添加では、巨大な晶出物が生成し、ま
たその生成数が多くなり、アルミニウム合金板の耐圧強
度が低下してします。従って、Feの添加量は0.10
乃至0.50重量%とする。
【0024】Si:0.05乃至0.30重量% Siの添加は引き裂き性を向上させるMg−Si系晶出
物の生成に有効である。この引き裂き性向上の効果を得
るためには、Siを0.05重量%以上添加することが
必要であるが、0.30重量%を超えて過剰に添加する
と、巨大な晶出物が生成し、またその生成数が多く成り
すぎて、アルミニウム合金板の耐圧強度及び成形性の低
下を招く。このため、Si量の添加量の上限は0.30
重量%とする。従って、Siの添加量は0.05乃至
0.30重量%とする。
【0025】他の成分 なお、上記含有成分以外に、Ti,Cu,Znの添加
は、夫々0.20重量%以下であれば、開栓性等の本発
明の効果を損なうことがないので許容される。また、C
rについても含有量が0.40重量%であれば、同様の
理由により許容される。
【0026】晶出物 本発明においては、Si,Fe,Mn,Mgの添加によ
り、Al6(Fe,Mn)又はMg2Si等の晶出物が生
成されるが、開栓性の向上に寄与するのは、製品板表面
において、平均粒径2.0μm以上のAl−Fe−Mn
系晶出物が面積占有率で0.5%以上であると共に、平
均粒径が1.0μm以上のMg‐Si系晶出物が面積占
有率で0.001%以上の場合である。しかし、Al−
Fe−Mn系晶出物の平均粒径が3.5μmより大き
く、面積占有率が1.5%より大きい場合、又はMg−
Si系晶出物の平均粒径が2.5μmより大きく、面積
占有率が0.04%より大きい場合は、耐圧強度の低下
を招く。従って、本願発明においては、平均粒径2.0
乃至3.5μmのAl−Fe−Mn系晶出物が面積占有
率で0.5乃至1.5%であると共に、平均粒径が1.
0乃至2.5μmのMg‐Si系晶出物が面積占有率で
0.001乃至0.04%とする。
【0027】製造工程の条件 本発明は上記化学成分を有するアルミニウム合金鋳塊
を、本発明にて規定する条件で製造することにより、晶
出物の分布を上記範囲に規定するものである。
【0028】均質化温度 均質化処理温度が500℃未満では、晶出物が微細とな
り、開栓性の向上が認められない。また、均質化温度が
550℃を超えると、バーニングを生じる可能性がある
と共に、巨大な金属間化合物が生成し、その生成数が多
くなりすぎるため、耐圧強度の低下を招く。このため、
均質化処理温度は500乃至550℃とする。
【0029】冷間圧延及び中間焼鈍 均質化処理後、熱間圧延を施した後、中間焼鈍を含んだ
冷間圧延にてリングプル型キャップに適した強度に調整
する。
【0030】中間焼鈍前の冷間圧延率は30%未満では
中間焼鈍後の結晶粒が大きくなり、キャップの必要特性
である成形性に影響を及ぼすため、冷間圧延率は30%
以上とする。
【0031】冷間圧延に次いで、中間焼鈍を行うが、こ
の中間焼鈍は400〜500℃の温度に加熱することに
より行う。中間処理温度が400℃未満では、Mg及び
Cuが十分に固溶せず、キャップの必要強度が得られ
ず、逆に中間処理温度が500℃を超えると、結晶粒が
粗大化して製品厚に圧延した後の成形性に影響を及ぼ
す。このため、中間焼鈍温度は400乃至500℃にす
る。
【0032】また、この中間焼鈍処理における加熱冷却
速度を100℃/分以上とする。これは、強度に寄与す
るMg及びCuを固溶状態にするためであり、加熱冷却
速度が100℃未満では十分な強度が得られない。
【0033】この中間焼鈍時の保持時間は10分以内で
ある。保持時間が10分を超えると、結晶粒が大きくな
り、成形性の低下及び外観上の問題が生じ、キャップ成
形後の肌荒れ発生の原因となる。
【0034】その後、再度冷間圧延することによって製
品厚さに減厚するが、中間焼鈍後の冷間圧延は強度と製
品板の耳率に大きく影響する条件であり、この中間処理
後の冷間圧延の圧延率が60%未満では必要な強度が得
られない。また、絞り成形品において、圧延0−180
°に2つの耳が発生し、シーミング性に悪影響を与え
る。従って、中間焼鈍後の冷間圧延率は60%以上とす
る。
【0035】冷間圧延後、必要に応じて、仕上焼鈍を施
す。この仕上げ焼鈍は製品板の強度を調整したり、冷間
圧延によって結晶粒界に絡まっていた転位を整理し、転
位密度を減少させることにより、塗装焼付時に発生する
ウィケットマークを防止するために行う。この仕上げ焼
鈍の処理温度が250℃を超えると、アルミニウム合金
板の強度が低下すると共に、ウイケットマークの防止効
果が飽和する。このため、仕上げ焼鈍の温度は250℃
以下とする。
【0036】
【実施例】実施例1 下記第1表に示す化学成分を有するアルミニウム合金鋳
塊を均質化処理して520℃の温度に4時間保持し、厚
さ3.0mmに熱間圧延し、次いで厚さ0.7mmまで
冷間圧延し、これを連続焼鈍炉において加熱冷却速度1
000℃/分で到達温度420℃、保持時間10秒間の
熱処理を施した。更に、冷間圧延により板厚0.21m
mとし、次いで、190℃で2時間焼鈍し、製品板とし
た。これを通常のキャップの塗装焼付条件に相当する1
90℃の温度で10分間加熱した後、晶出物の平均粒径
及び面積占有率、材料特性(抗張力、耐力、伸び、
耳)、キャップ特性(開栓性、耐圧強度、落下衝撃強
度)を調査した。
【0037】次に、各特性の測定方法について説明す
る。晶出物の平均粒径及び面積占有率は、供試材を研磨
した後、500倍で20視野(全視野=2.0平方m
m)観察したときの晶出物を画像処理によって平均粒径
及び面積占有率を算出した。
【0038】引張試験については、供試材をJIS5号
引張試験片に加工した後、インストロン型試験機を使用
して測定した。耳については、供試材から直径が77m
mのブランクを採取し、直径が40mmのポンチを使用
し、しわ押さえ力300kgfで潤滑油を塗布して円筒
絞りカップを作製し、カップ円周部に発生した耳の位置
と山の数を測定した。
【0039】開栓性の評価については、図1に示すよう
な2本の平行なスコア1を加工し、引張試験機にて引き
裂き荷重を測定した。耐圧強度については、図2に示す
ように、側面部にスコア2をを入れた円筒の中に内圧を
かけ、スコア2が破断するときの内圧値から測定した。
落下強度試験については、供試材から直径が50mmの
ブランク材を採取し、直径が38mmのポンチを使用
し、円筒絞りカップを30個作製した後、各カップをガ
ラス瓶に巻き締め加工して装着し、これを一定の高さ
(300mm)からキャップ部を下方にして落下させ、
キャップが外れた個数を測定した。
【0040】下記表2、3、4は供試材の材料特性(抗
張力、耐力、伸び、耳)と、供試材のキャップ特性(開
栓性、耐圧強度、落下強度)を示す。この表2、3、4
に示すように、本発明の実施例材である実施例No.1
〜9はいずれも引き裂き荷重が低く、開栓性が優れてい
る。また、耐圧強度は従来材と同等のレベルにある。更
に、落下衝撃によるキャップの脱落もなくシーミング性
が優れていることがわかる。
【0041】一方、比較例のNo.10、12、16、
18、19は、開栓性を向上させるための晶出物面積占
有率が本発明の範囲から外れているために、引き裂き荷
重が増加している。また、比較例No.12、18につ
いては、Mnの添加量が少ないために、製品板を絞った
ときに圧延0−180°耳の発生により落下衝撃試験に
おいてキャップの脱落が生じた。更に、比較例のNo.
13、15、17においては、晶出物が過剰に存在する
ため、引き裂き荷重が低くなる一方、耐圧強度が低下す
る。更にまた、比較例No.11については、Mgの添
加量が多いため元板強度が高く、キャップを巻き締めた
ときのスプリングバック量が多く、落下衝撃によるキャ
ップの脱落が生じた。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】〔実施例2〕表1のNo.2(実施例)と
同じ組成のAl合金鋳塊から、下記表5に示すような製
造方法で板を製造し、キャップの塗装焼付相当の加熱処
理(190℃で10分間)を行った後、材料特性(抗張
力、耐力、晶出物分布)、キャップ特性(開栓性、耐圧
強度)及び絞り成形後の肌あれについて調査した。な
お、材料特性及びキャップ特性の評価方法については実
施例1と同様な方法で行った。また、肌荒れについて
は、供試材から直径が77mmのブランクを採取し、直
径が40mmのポンチを使用し、しわ押させ力300k
gfで潤滑油を塗布して円筒絞りカップを作製した後、
側面を観察して評価した。
【0047】下記表6、7はその調査結果を示す。表
6、7から明らかなように、本発明の製造条件により得
られたAl合金板A〜Dは良好な引き裂き性、耐圧強度
及び成形性を示す。これに対し、比較例E〜Lは、本発
明条件を外れているため、晶出物の面積占有率の低下に
よる引き裂き荷重の増加、強度不足による耐圧強度の低
下、結晶粒の粗大化による成形後の肌荒れを生じた。
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】
【表7】
【0051】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
開栓性及びシーミング性が優れたリングプル型キャップ
用アルミニウム合金板を得ることができ、本願発明はリ
ングプル型キャップ材の高強度化及び薄肉化を可能にす
る等、この種の技術の進歩に多大の貢献をなす。
【図面の簡単な説明】
【図1】引き裂き性の評価方法を示す図である。
【図2】耐圧強度評価方法を示す図である。
【符号の説明】
1、2:スコア
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡本 文人 栃木県真岡市鬼怒ケ丘15番地 株式会社神 戸製鋼所真岡製造所内 (72)発明者 薄谷 英明 栃木県真岡市鬼怒ケ丘15番地 株式会社神 戸製鋼所真岡製造所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg:2.00乃至4.00重量%,M
    n:0.20〜0.70重量%、Fe:0.10〜0.
    50重量%、Si:0.05〜0.30重量%を含有
    し、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウ
    ム合金により構成されることを特徴とするリンプル型キ
    ャップ用アルミニウム合金板。
  2. 【請求項2】 表面に現れる晶出物のうち、Al−Fe
    −Mn系晶出物が平均粒径:2.0乃至3.5μm、面
    積占有率:0.5乃至1.5%であり、Mg−Si系晶
    出物が平均粒径:1.0乃至2.5μm、面積占有率:
    0.001乃至0.04%であることを特徴とする請求
    項1に記載のリングプル型キャップ用アルミニウム合金
    板。
  3. 【請求項3】 Mg:2.00乃至4.00重量%,M
    n:0.20〜0.70重量%、Fe:0.10〜0.
    50重量%、Si:0.05〜0.30重量%を含有
    し、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウ
    ム合金の鋳塊を500〜550℃で均質化処理した後、
    熱間圧延及び冷間圧延を施し、その後、中間焼鈍として
    加熱冷却速度100℃/分以上、板温度400乃至50
    0℃に10分以内保持する条件で連続焼鈍を施し、圧延
    率60%以上で冷間圧延することを特徴とするリングプ
    ル型キャップ用アルミニウム合金板の製造方法。
  4. 【請求項4】 Mg:2.00乃至4.00重量%,M
    n:0.20〜0.70重量%、Fe:0.10〜0.
    50重量%、Si:0.05〜0.30重量%を含有
    し、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウ
    ム合金の鋳塊を500〜550℃で均質化処理した後、
    熱間圧延及び冷間圧延を施し、その後、中間焼鈍として
    加熱冷却速度100℃/分以上、板温度400乃至50
    0℃に10分以内保持する条件で連続焼鈍を施し、圧延
    率60%以上で冷間圧延し、250℃以下で仕上げ焼鈍
    することを特徴とするリングプル型キャップ用アルミニ
    ウム合金板の製造方法。
JP26486296A 1996-02-27 1996-10-04 リングプル型キャップ用アルミニウム合金板及びその製造方法 Pending JPH09291331A (ja)

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