JP4598098B2 - ギヤポンプのシール装置 - Google Patents
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Description
ハウジング10には駆動軸支持孔11およびシリンダ孔12が設けられ、ポンプ組立体100は円筒状のシリンダ孔12に収装される。駆動軸110はブッシュを介して駆動軸支持孔11により回転可能に支持される。
ポンプ組立体100は、シールブロック200、駆動軸110、従動軸120、駆動側および従動側ギヤ130,140(駆動側歯車および従動側歯車)、および第1、第2サイドプレート150,160(一対の側板)を有する。このポンプ組立体100は山型の板ばね300により仮止めされている。また、シールブロック200は第1、第2サイドプレート150,160よりもx軸方向幅を小さく設けられている。
駆動軸および従動軸110,120はそれぞれ駆動側および従動側ギヤ130,140と一体回転可能に設けられており、また駆動軸110はz軸正方向端部において図外のモータと接続する。駆動側および従動側ギヤ130,140は互いに噛合う平歯車であり、この噛合いにより駆動軸110の回転に伴って従動軸120が回転するよう設けられている。なお、図2では従動側ギヤ140のみ図示するが、駆動側ギヤ130も同一形状の平歯車である。
第1、第2サイドプレート150,160は略8の字型の同一形状部材であり、それぞれ駆動軸貫通孔153,163および従動軸貫通孔154,164が設けられている。y軸正方向面150a,160aはx軸方向中央部においてy軸負方向に凹み、凹部150b,160bを形成する。
シールブロック200はy軸正方向においてハウジング10内周の当接面12と当接して位置決めされ、y軸負方向側において第1、第2サイドプレート150,160に当接してシールを行う部材である。y軸負方向側には略8の字型の第1、第2サイドプレート150,160の駆動側シール面158a,168aおよび従動側シール面158b,168bと同じ曲率の円弧面である駆動側、従動側シール面210,220が設けられ、駆動側シール面158a,168aおよび従動側シール面158b,168bと液密に当接する。
ポンプ駆動時には、駆動側および従動側ギヤ130,140の駆動によって吸入通路Dのz軸負方向側から作動油が吸入され、z軸正方向側から吐出される。これによりポンプ組立体100およびシールブロック200の当接面以外の外周側は吐出側となって高圧に、当接面は吸入側となって低圧となるため、ポンプ駆動に伴ってy軸負方向への差圧が発生する。
図7は板ばね300単体の斜視図である。板ばね300はポンプ組立体100の仮止めを行う部材であって、形状および弾性力はx軸方向の中点A'に対し対称である。板ばね300を用いることで、コイルばねと異なり経時劣化による弾性力低下の影響を回避する。
(第1工程:図8)
第1工程においては、駆動軸110、従動軸120,第1、第2サイドプレート150,160をそれぞれ組み付け、第1サブアッセンブリ100aとする。
第2工程では、第1サブアッセンブリ100aにシールブロック200を組み付け、第2サブアッセンブリ100bとする。組み付け時にはシールブロック200を第1、第2サイドプレート150,160の駆動側シール面158a,168aおよび従動側シール面158b,168bに押しつける。
第3工程では、第2サブアッセンブリ100bに板ばね300をy軸正方向側から嵌合させ、ポンプ組立体100を形成する。山型の板ばね300をシールブロック200にまたがらせ、接点Aに当接させたまま第1、第2サイドプレート150,160に対し着脱可能に嵌合させる。
図11はポンプ組立体100の分解斜視図である。また、図12は第1サイドプレート150のz軸正方向正面図、図13はy軸正方向正面図である。図14、図15はシールブロック200、図16、図17は第1シールリング170、図18、図19は第1バックアップリング190aの正面図である。いずれもz軸正方向正面図およびy軸正方向正面図を示す。
図20はハウジング10および板ばね300を省略したポンプ組立体100のz軸正方向正面図である。バックアップリング190aはサイドプレート肩部159およびシールブロック肩部270において係合されるが、係合が甘いと脱落するおそれがある。
図21〜図24は組み付け時における点d(図20参照)付近のz軸方向断面図である。図21は組み付け前、図22は吐出圧低圧時、図23は吐出圧中圧時、図24は吐出圧高圧時である。なお、点e,f付近の断面図も同様である。
ポンプ組立体100をハウジング10に対し組み付ける前のシールリング170のz軸方向幅はh1である。なお、シールリング170およびバックアップリング190aを係合するサイドプレート150の肩部159においては、z軸方向幅はh2である。すなわち、肩部159の先端部159aと付け根部159b間の距離はh2である。
組み付け後はシールリング170がz軸方向に縮み、縮み代はh3である。したがって、組み付け後におけるシールリング170のz軸方向幅はh1−h3、肩部159とシールリング170のz軸方向高さの差はh4となる。
h1>h2であるため、シールリング170およびバックアップリング190aのz軸正方向側の一部が肩部159から突出する。突出量はh1−h2(=h3+h4:図22参照)である。
なお、ポンプPが作動する前における肩部159とバックアップリング190aとのx軸方向におけるクリアランスはh5、肩部159の付け根部159bとシールリング170とのx軸方向におけるクリアランスはh6であり、ともに肩部159には当接していない。h5<h6であるため、当接の際はバックアップリング190aが先に肩部159に当接することとなる(図23参照)。
なお、クリアランスh6を設けることで、後述するシールリング170の弾性変形時にシールリング170の一部を収容する収容部(隙間)が形成される。クリアランスh6が収容部(隙間)となる。
組み付けによってシールリング170がサイドプレート150およびハウジング10に挟持されて押圧され、縮み代h3分だけシールリング170のz軸方向高さが減少する。シールリング170と肩部159との高さの差であるh4は、肩部159−ハウジング10間のクリアランスとして保持される。
なお、
吐出領域Doutからシールリング170に作用する力=Fx
シールリング170およびバックアップリング190aと、ハウジング10およびサイドプレート150との接触摩擦力の合力=N
とすると、この時点ではFx<Nであるためシールリング170は内径側(図21ではx軸負方向側)に変形せず、x軸方向位置は変化しない。
吐出圧が上昇して中圧となると、吐出領域からシールリング170に作用する力Fxが大きくなり、摩擦力の合力Nを上回ってシールリング170が内径方向(x軸負方向側)に変形・移動する。
これに伴いバックアップリング190aも内径側に変形・移動し、クリアランスh5=0となってバックアップリング190aと肩部159が当接する。なお、シールリング170のz軸負方向側部176はまだ肩部159に当接していない(h6>0)。
吐出圧が高圧となると、シールリング170のz軸負方向側部176も肩部159に当接する(h6=0)。バックアップリング190aは中圧時において既に肩部159に当接しているため(h5=0)、バックアップリング190aと肩部159との間にシールリングz軸負方向側部176の一部が噛み込むことはない。
図25は比較例における吐出圧高圧時のz軸方向断面図である。比較例(組み付け前)における肩部159−バックアップリング190a間のクリアランスh5と、肩部159−シールリング170間クリアランスh6の関係は、h5>h6である。
したがって吐出圧が上昇するとバックアップリング190aよりもシールリングz軸負方向側部176のほうが先に肩部159に当接する(h5>0、h6=0)。このためシールリングz軸負方向側部176の肉が圧縮されてバックアップリング190a−肩部159間クリアランスh5に噛み込んでしまう。本願では、比較例とは逆にh5<h6に設定しているため噛み込みは発生しない。
図26〜図29はサイドプレート150に対するシールリング170の押し付け力Fzを示す図である。図26は比較例、図27〜図29は本願である。図27は吐出圧低圧時、図28は中圧時、図29は高圧時を示す。
比較例ではバックアップリング190aは設けられておらず、またシールリング170は組み付け前において肩部159にあらかじめ当接しているものとする。したがって吐出領域Doutから受ける油圧によりシールリング170'は弾性変形するが、あらかじめ肩部159に当接しているため肉の逃げ場が存在しない。
本願ではバックアップリング190aを設け、さらに組み付け前においてバックアップリング190a−肩部159間にクリアランスh5を設ける。また、シールリング170のz軸負方向側部176−肩部159間にクリアランスh6を設けている。
図30、図31は本願と比較例の対比である。図30は吐出圧−押し付け力Fz、図31は吐出圧−フリクショントルクTおよびリーク量Qを示す。
(1)(21)ハウジング10とサイドプレート150,160との間に配置され、ハウジング10またはサイドプレート150,160に形成された肩部159,169に設けられ、駆動側、従動側ギヤ130,140のラジアル方向に形成される吐出領域Dout(高圧部)と吸入領域Din(低圧部)とを区画するシールリング170,180(シール部材)と、
シールリング170,180を補強するバックアップリング190a,190b(バックアップ部材)と
を備え、
肩部159,169は、吸入領域Dinに設けられ、
シールリング170,180は、少なくとも吐出領域Doutに面し、
バックアップリング190a,190bは、吸入領域Dinに面するとともに肩部159,169の先端部159a,169aに面し、
肩部159,169の付け根部159bとシールリング170,180との間に、少なくともシールリング170,180が弾性変形した際にシールリング170,180の一部を収容可能なクリアランスh6(収容部)を設けた。
バックアップリング190a,190bは、シールリング170,180とほぼ同一形状であって、シールリング170,180の断面略L字型を形成する溝171の内部に位置することとした。
吐出領域Doutが吸入領域Dinよりも相対的に高圧となった際、シールリング170,180およびバックアップリング190a,190bは肩部159,169に対し近接する方向(吸入領域Din側:内径方向:x軸負方向側)に移動し、
バックアップリング190a,190bは、シールリング170,180よりも先に肩部159,169に当接することとした。
[実施例1−1]
(10)図32はシールリング170の断面を変更し、矩形の頂点の1つを面取りした面取り部177を有する形状に形成した例である。バックアップリング190aは断面略三角形であって、シールリング170の面取り部177に設けられることとする。
図33は実施例1のシールリング170とバックアップリング190aのz軸方向位置を変更した例である。
図34はシールリング170を断面略円形とした例である。
図35はシールリング170のx軸正方向側面に凹部178を設け、吐出圧を受けやすくした例である。
L字型のシールリング170のx軸方向両側に肩部159が設けられ、さらにポンプ逆回転等によって吸入領域Dinと吐出領域Doutとが反転した場合、吐出圧によってシールリング170がx軸負方向側から押圧され、吸入領域Dinに噛み込んでしまう。
本願ではシールリング170を逆T字型とし、シールリング170のx軸方向両側にバックアップリング190aを設ける。これによりx軸方向両側に肩部159が設けられ、さらにポンプ逆回転等によって吸入領域Dinと吐出領域Doutとが反転した場合であっても、シールリング170の噛み込みを防止することができる。
図44は本発明のポンプPが適用される油圧ユニットHUの油圧回路構成である。油圧ユニットHUは、ホイルシリンダW/CとマスタシリンダM/Cとに接続されている。
上記構成の油圧ユニットHUは、通常ブレーキ時において下記倍力制御を実行可能であるほか、車両挙動制御等の自動ブレーキ制御やアンチスキッド制御を実行可能である。
(13)(20)(23)ギヤポンプPは車両用ブレーキ装置に適用され、制動時等の回転要求時(車両挙動制御でホイルシリンダW/Cの増圧が必要な場合やアンチスキッド制御でリザーバ16,26の残留液をブレーキ回路10k、20kに戻す場合)に回転され、非制動時等の非回転要求時(ホイルシリンダW/Cの増圧が不要な場合)には停止されることとした。
図45は、実施例7におけるブレーキ装置の油圧回路構成を示す。
実施例7にあっても、実施例6と同様の作用効果を得る。
以上、本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
150,160 サイドプレート150,160
130,140 駆動側、従動側ギヤ
159,169 肩部
159a,169a 先端部
170,180 シールリング(シール部材)
171 溝
175a,176a 係合部
176b 移動量規制部
179 変形許容凹部(収容部)
190a,190b バックアップリング(バックアップ部材)
193a,194a 係合部
Dout 吐出領域(高圧部)
Din 吸入領域(低圧部)
h6 クリアランス(収容部)
a,b,c 点(複数箇所)
P ギヤポンプ
Claims (11)
- 少なくとも一対の噛み合うギヤと、
前記ギヤに隣接して配置されたサイドプレートと、
前記サイドプレートを挟み、前記ギヤと対向した位置に配置されたハウジングと、
前記ハウジングと前記サイドプレートとの間に配置され、前記ハウジングまたは前記サイドプレートに形成された肩部に設けられ、前記ギヤのラジアル方向に形成される高圧部と低圧部とを区画するシール部材と、
前記シール部材を補強するバックアップ部材と
を備え、
前記肩部は、前記低圧部に設けられ、
前記シール部材は、少なくとも前記高圧部に面し、略環状であって、内外を前記低圧部と高圧部に区画し、かつ断面は略L字型に形成され、
前記バックアップ部材は、前記肩部の先端部に面し、前記シール部材とほぼ同一の環状であって、前記シール部材の断面略L字型を形成する溝の内部に位置し、
前記肩部の付け根部と前記シール部材との間に、少なくとも前記シール部材が弾性変形した際に前記シール部材を収容可能な収容部を設けたこと
を特徴とするギヤポンプのシール装置。 - 請求項1に記載のギヤポンプのシール装置において、
前記シール部材と前記バックアップ部材は、別部材で形成されること
を特徴とするギヤポンプのシール装置。 - 請求項2に記載のギヤポンプのシール装置において、
前記シール部材と前記バックアップ部材は、互いに一体的に組みつけられること
を特徴とするギヤポンプのシール装置。 - 請求項3に記載のギヤポンプのシール装置において、
前記シール部材と前記バックアップ部材は、それぞれに互いに係合する係合部を有し、この係合部によって一体とされること
を特徴とするギヤポンプのシール装置。 - 請求項1に記載のギヤポンプのシール装置において、
前記収容部は、前記シール部材と前記肩部との間に形成されたクリアランスであること
を特徴とするギヤポンプのシール装置。 - 請求項5に記載のギヤポンプのシール装置において、
前記高圧部と前記低圧部が少なくとも等圧である場合、前記シール部材および前記バックアップ部材と前記肩部との間にはクリアランスが設けられ、
前記高圧部が前記低圧部よりも相対的に高圧となった際、前記シール部材および前記バックアップ部材は前記肩部に対し近接する方向に移動し、
前記バックアップ部材は、前記シール部材よりも先に前記肩部に当接すること
を特徴とするギヤポンプのシール装置。 - 請求項5に記載のギヤポンプのシール装置において、
前記シール部材は、このシール部材の前記肩部方向への移動量を規制する移動量規制部を有すること
を特徴とするギヤポンプのシール装置。 - 請求項1に記載のギヤポンプのシール装置において、
前記シール部材は、環状の円周方向で、前記肩部に対し環状の円周方向所定の複数箇所で所定の締め代をもって当接すること
を特徴とするギヤポンプのシール装置。 - 請求項1に記載のギヤポンプのシール装置において、
前記収容部は前記シール部材に形成され、前記高圧部に臨んで設けられた変形許容凹部であること
を特徴とするギヤポンプのシール装置。 - 請求項1に記載のギヤポンプのシール装置において、
前記シール部材は、少なくとも前記バックアップリングに対し弾性力を付与すること
を特徴とするギヤポンプのシール装置。 - 請求項1に記載のギヤポンプのシール装置において、
前記ギヤポンプは車両用ブレーキ装置に適用され、回転要求時に回転され、非回転要求時には停止されること
を特徴とするギヤポンプのシール装置。
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