JP2010196751A - 密封装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】取付溝31内でバックアップリング12によってシール本体が支承された構造の密封装置において、コストの上昇や誤組付けを生じることなく、高圧時のシール本体のはみ出しによる破損を確実に防止する。
【解決手段】互いに同心的に配置された二部材2,3のうち一方の部材3に形成された環状の取付溝31内に装着され他方の部材2と摺動可能に密接されるシール本体と、前記取付溝31内に前記シール本体の反密封空間側に配置されるバックアップリング12とを備え、前記取付溝31の底面31aと他方の部材2との互いの対向方向に対する前記バックアップリング12の高さh1±Δh1が、取付溝31の底面31aと他方の部材2との互いの対向距離L±ΔLよりも高く、前記バックアップリング12が、その厚さ方向に対して対称の断面形状であって、前記高さh1±Δh1と前記対向距離L±ΔLとの差xだけ圧縮可能な易圧縮部12aが形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、本発明は、互いに同心的に配置されて相対移動する二部材間を密封する密封装置に関し、特に、シール本体が一方の部材の取付溝内にバックアップリングと共に装着され、このバックアップリングによって前記シール本体が支承されるものに関する。
従来、例えば油圧シリンダやショックアブソーバ、プランジャ式ポンプ等のような、密封対象流体に高圧を発生する機器に用いられる密封装置として、図5に示されるようなものが知られている。
すなわち図5に示される密封装置100は、外周部材110(例えば油圧装置のシリンダ)とその内周に軸方向往復動自在に配置された内周部材120(例えば油圧装置のピストン)の外周面との間で密封空間S1内の作動油を密封するもので、ゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)で成形されたシール本体101と、このシール本体101の反密封空間S2(シール本体101からみて密封空間S1と反対側の空間)側に配置されるバックアップリング102とからなり、内周部材120の外周面に形成された取付溝121に収容状態に装着される。シール本体101は、断面が円形のいわゆるOリングであって、取付溝121の底面121aと外周部材110の内周面との間に、適宜圧縮された状態で介在される。
ここで、バックアップリング102はシール本体101よりも硬質の合成樹脂材料で成形されており、密封空間S1が高圧になったときに、この圧力を受けるシール本体101が、取付溝121における反密封空間S2側の溝肩と外周部材110の内周面との間の隙間G1へはみ出して破損してしまうのを防止するために、シール本体101を取付溝121内で反密封空間S2側から支承するものである。
しかしながら、上述の構成を備える密封装置100によれば、取付溝121やバックアップリング102の寸法公差によっては、バックアップリング102と外周部材110との間の隙間G2が大きくなって、本来、外周部材110と内周部材120との隙間G1を埋めるためにバックアップリング102を設けているにも拘らず、図6に示されるように、シール本体101がバックアップリング102と外周部材110との隙間G2へはみ出して破損してしまうおそれがある。
そこでこのようなバックアップリング102と外周部材110との隙間G2を発生させないための技術として、例えば下記の先行技術文献に開示されたものが知られている。
特開平3−113179号公報 特開2009−8238号公報
しかしながらこれらの先行技術のうち、特許文献1に開示されたものは、取付溝を特殊な断面形状に加工する必要があるため、加工コストが高くなる問題が指摘され、特許文献2に開示されたものは、バックアップリングが表裏のある形状であるため、取付溝への組み込みの際に誤組付けを生じるおそれが指摘される。
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、取付溝内でバックアップリングによってシール本体が支承された構造の密封装置において、コストの上昇や誤組付けを生じることなく、高圧時のシール本体のはみ出しによる破損を確実に防止することにある。
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る密封装置は、互いに同心的に配置された二部材のうち一方の部材に形成された環状の取付溝内に装着され他方の部材と摺動可能に密接されるシール本体と、前記取付溝内に前記シール本体の反密封空間側に配置されるバックアップリングとを備え、前記取付溝の底面と他方の部材との互いの対向方向に対する前記バックアップリングの高さが、前記取付溝の底面と他方の部材との互いの対向距離よりも高く、前記バックアップリングが、その厚さ方向に対して対称の断面形状であって、前記高さと前記対向距離との差だけ圧縮可能な易圧縮部が形成されたものである。
また請求項2の発明に係る密封装置は、請求項1に記載の構成において、取付溝内に、バックアップリングよりも反密封空間側に位置して、前記バックアップリングよりも硬質の材料からなる第二のバックアップリングが配置され、前記取付溝の底面と他方の部材との互いの対向方向に対する前記第二のバックアップリングの高さが、前記取付溝の深さより高く、かつ前記取付溝の底面と他方の部材との互いの対向距離以下となっているものである。
請求項1の発明に係る密封装置によれば、バックアップリングが、一方の部材に形成された取付溝の底面と他方の部材の互いの対向距離の公差やバックアップリングの高さの公差を、易圧縮部の圧縮変形によって吸収し、前記他方の部材との間に、シール本体がはみ出す隙間を生じさせないため、シール本体のはみ出しによる破損を確実に防止して耐圧性を向上することができ、しかもバックアップリングがその厚さ方向に対して対称の断面形状であるため誤組付けを生じることがなく、部品点数や加工コストの上昇を来たさないため低コストで提供することができる。
請求項1の発明に係る密封装置によれば、バックアップリング自体のはみ出しが防止されるので、耐圧性を一層向上することができる。
本発明に係る密封装置の第一の形態を、軸心Oを通る平面で切断して示す装着状態の半断面図である。 第一の形態の密封装置を構成するバックアップリングと取付溝との関係を、軸心Oを通る平面で切断して示す断面図である。 本発明に係る密封装置の第二の形態を、軸心Oを通る平面で切断して示す装着状態の半断面図である。 本発明に係る密封装置の他の形態におけるバックアップリングの形状例を、軸心Oを通る平面で切断して示す半断面図である。 従来の技術による密封装置の一例を、軸心Oを通る平面で切断して示す半断面図である。 従来の技術において、シール本体のはみ出しを生じた状態を、軸心Oを通る平面で切断して示す半断面図である。
以下、本発明に係る密封装置の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。まず図1に示される第一の実施の形態において、参照符号2は外周部材(例えば油圧装置のシリンダ)、参照符号3は外周部材2の内周に同心的にかつ軸方向往復動自在に配置された内周部材(例えば油圧装置のピストン)である。なお、内周部材3は請求項1に記載された一方の部材、外周部材2は請求項1に記載された他方の部材に相当する。
密封装置1は、外周部材2と内周部材3との間で密封空間S1内の作動油を密封するもので、ゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)で成形されたOリング11と、このOリング11の反密封空間S2(Oリング11からみて密封空間S1と反対側の空間)側に配置されるバックアップリング12とからなり、内周部材3の外周面にその軸心Oを中心とする環状に形成された取付溝31に収容状態に装着される。
Oリング11は、軸心Oを通る平面で切断した断面形状(図示の断面形状)が円形のパッキンであって、請求項1に記載のシール本体に相当し、取付溝31の底面31aと外周部材2の内周面2aとの間に、適宜圧縮された状態で介在され、外周部材2の内周面2aに摺動可能に密接することによって、密封空間S1と、反密封空間S2とを分離するものである。
バックアップリング12は、Oリング11よりも硬質の、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を基材とする合成樹脂材料によって扁平な環状に成形されたものであって、Oリング11と、取付溝31における反密封空間S2側の内側面との間に介在される。そして図2に示されるように、取付溝31の底面31aと外周部材2の内周面2aとの互いの対向方向(径方向)に対するバックアップリング12の高さh1±Δh1(Δh1は寸法公差)は、取付溝31の底面31aと外周部材2の内周面2aとの互いの対向距離L±ΔL(ΔLは寸法公差)以上の大きさとなっている。
また、このバックアップリング12は、その厚さ方向に対して対称の断面形状であって、そのつぶし代xすなわち(h1±Δh1)−(L±ΔL)に相当する外径部は、軸心Oを通る平面で切断した断面形状が円弧をなす膨出形状に形成された易圧縮部12aとなっている。すなわちこの易圧縮部12aは、その断面積をS、バックアップリング12の軸方向の肉厚をtとすると、S<t・xであることによって他の部分よりも容易に圧縮され、図1に示される装着状態においてつぶし代xだけ圧縮されるものである。
上述の構成を備える密封装置1は、図1に示される装着状態において密封空間S1内の作動油に作動圧力が与えられる(密封空間S1が高圧になる)と、その圧力を受けることによって取付溝31内を相対的に低圧の反密封空間S2側へ向けて変位しようとするOリング11は、バックアップリング12によって支承される。
そしてバックアップリング12は、外径部である易圧縮部12aが圧縮された状態で外周部材2の内周面2aに密接すると共に、内周面12bが前記易圧縮部12aの圧縮反力によって適当な面圧で取付溝31の底面31aに密接し、言い換えれば取付溝31の底面31aと外周部材2の内周面2aとの互いの対向距離の寸法公差ΔL及びバックアップリング12の高さの寸法公差Δh1を、易圧縮部12aの圧縮変形によって吸収し、バックアップリング12の内外周にOリング11がはみ出す隙間を生じさせないか、隙間の発生を小さく抑えることができる。このため、Oリング11のはみ出しによる破損を確実に防止することができる。
しかもバックアップリング12は、PTFEを基材とする合成樹脂材料からなるものであって低摩擦であるため、外周部材2の内周面2aとの摺動による摩擦抵抗の増大が小さく抑えられる。
また、バックアップリング12は、易圧縮部12aの断面形状が円弧状の膨出形状をなすものであって、全体として厚さ方向に対称の断面形状で表裏のない形状であるため、誤組付けを生じることがなく、取付溝31を特殊な形状にする必要がないので加工コストの上昇も来たさない。
次に図3に示される第二の実施の形態について説明する。この形態において、先に説明した第一の実施の形態と異なるところは、取付溝31内におけるバックアップリング12よりさらに反密封空間S2側に、第二のバックアップリング13を有する点にある。すなわち第二のバックアップリング13は、バックアップリング12と、取付溝31における反密封空間S2側の内側面との間に介在される。
詳しくは、バックアップリング12は、先に説明した図2と同様、例えばPTFEを基材とする合成樹脂材料からなるものであって、バックアップリング12の高さh1±Δh1が、取付溝31の底面31aと外周部材2の内周面2aとの互いの対向距離L±ΔL以上の高さとなっており、外径部に先に説明したS<t・xの関係を満足する易圧縮部12aが形成されたものである。
一方、第二のバックアップリング13は、バックアップリング12よりも硬質の合成樹脂材料、例えばナイロン,PPS(ポリフェニレンサルファイド),POM(ポリアセタール),PA(ポリアミド),PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等からなるものであって、その径方向高さh2±Δh2(Δh2は寸法公差)は、取付溝31の溝深さdよりも高く、かつ取付溝31の底面31aと外周部材2の内周面2aとの互いの対向距離L±ΔL以下となっている。
以上のように構成された第二の実施の形態によれば、密封空間S1が著しく高圧になったときに、Oリング11を支承するバックアップリング12自体が、Oリング11に押されて変形することによって取付溝31の反密封空間S2側の隙間へはみ出してしまうのを、第二のバックアップリング13によって防止することができる。すなわち、バックアップリング12は、Oリング11よりも硬質ではあるが、低摩擦摺動性を考慮したPTFEなどの比較的軟質の合成樹脂材料からなるものであるのに対し、このバックアップリング12を、それよりも硬質の材料からなる第二のバックアップリング13が支承するため、一層優れた耐圧性が実現される。
なお、上述の各実施の形態において、易圧縮部12aとしては、図4に示されるバックアップリング12の形状例のように、種々の形状とすることができる。
このうち図4の(A)に示される例は、易圧縮部12aが断面V字形の凹面形状に形成されたものであり、(B)に示される例は、易圧縮部12aが断面山形の凸面形状に形成されたものであり、(C)に示される例は、易圧縮部12aが断面山形の複数の凸面を有する形状に形成されたものであり、(D)及び(E)に示される例は、易圧縮部12aが曲面状の複数の凸面を有する形状に形成されたものであり、いずれの例も、先に説明したS<t・xの関係を満足するものである。
とくに、図4(A)に示される易圧縮部12aは、軸方向両端で外径が大きくなる形状であるため、寸法公差によってつぶし代xが比較的小さい場合でも、Oリング11がはみ出す隙間の発生を確実に防止することができる。
なお、上述の各形態では、易圧縮部12aをバックアップリング12の外径部に形成して、外周部材2の内周面2aに密接されるものとしたが、逆にこの易圧縮部12aをバックアップリング12の内径部に形成して、取付溝31の底面31aに圧縮状態で密接されるようにしても良い。
また、図1ではシール本体としてOリング11を用いた場合を示したが、本発明は、シール本体として例えばXリング(軸心Oを通る平面で切断した断面形状が略X字形をなすパッキン)など他のパッキンを用いた場合にも同様に適用することができる。
さらに、図1及び図2では取付溝31を内周部材3に形成した場合について示したが、本発明は、取付溝を外周部材2の内周面2aに形成してこの取付溝にシール本体及びバックアップリングを装着する場合についても、同様に適用することができる。
また、本発明の密封装置は、油圧機器に限らず、流体に高圧を発生する種々の機器の密封手段として適用することができる。
1 密封装置
11 Oリング(シール本体)
12 バックアップリング
13 第二のバックアップリング
12a 易圧縮部
2 外周部材(他方の部材)
3 内周部材(一方の部材)
31 取付溝
S1 密封空間
S2 反密封空間

Claims (2)

  1. 互いに同心的に配置された二部材のうち一方の部材に形成された環状の取付溝内に装着され他方の部材と摺動可能に密接されるシール本体と、前記取付溝内に前記シール本体の反密封空間側に配置されるバックアップリングとを備え、前記取付溝の底面と他方の部材との互いの対向方向に対する前記バックアップリングの高さが、前記取付溝の底面と他方の部材との互いの対向距離よりも高く、前記バックアップリングが、その厚さ方向に対して対称の断面形状であって、前記高さと前記対向距離との差だけ圧縮可能な易圧縮部が形成されたことを特徴とする密封装置。
  2. 取付溝内に、バックアップリングよりも反密封空間側に位置して、前記バックアップリングよりも硬質の材料からなる第二のバックアップリングが配置され、前記取付溝の底面と他方の部材との互いの対向方向に対する前記第二のバックアップリングの高さが、前記取付溝の深さより高く、かつ前記取付溝の底面と他方の部材との互いの対向距離以下となっていることを特徴とする請求項1に記載の密封装置。
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