JP5211927B2 - 密封装置 - Google Patents
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Description
図5(C)には、片側圧用リップパッキンとして、2個のUパッキン201A,201Bを用いた例が示されている。Uパッキン201A、201Bはゴム状弾性体単体の成形体で、ヒール部から軸方向に二股に分かれて延びる一対のリップ部を備えた断面U字形状のパッキンである。
ピストン210の外周には、軸方向に離間して二箇所の溝211A、211Bが設けられ、各溝211A,211Bに、2個のUパッキン201A、201Bが、それぞれのリップ部を軸方向互いに反対側に向けた状態で装着されている。ピストン210に対して軸方向一方側の密封対象流体F1を一方のUパッキン201Aでシールし、他方側の密封対象流体F2を他方のUパッキン201Bにてシールするようになっている。
2Bが撓むので、偏心追随性に優れている。しかし、2つのUパッキン201A、201Bが必要となり、その溝211A、211Bのスペースの分だけピストン210が大型化してしまう。
図5(D)には、両圧用リップパッキン301が示されている。
この両圧用リップパッキン301もゴム状弾性体単体で構成されるもので、その断面形状は概略X字形状で、ピストン310の溝311の両隅角部に延びる一対の内側リップ301a、301bと、軸方向一方の密封対象流体F1側と、他方の密封対象流体F2に延びて相手摺動面であるシリンダチューブ320内周に摺動自在に接触する一対の外側リップ302a、302bとを備えた構成となっている。一方の密封対象流体F1を一方の外側リップ302aにてシールし、他方の密封対象流体F2を他方の外側リップ302bにてシールするようになっている。
この両圧用リップパッキン301によれば、一つのパッキンで軸方向両側の密封対象流体F1、F2に対応できるので、上記したUパッキン等の片側圧用リップパッキンに比べてスペース効率がよい。
そこで、この両圧用リップパッキン301の材料を架橋ゴム材料から、機械的強度の高いウレタンゴム等の熱可塑性エラストマーに変更することが考えられる。しかし、熱可塑性エラストマーは通常の架橋ゴム材料よりも弾性に乏しいので、偏心追随性が通常の架橋ゴム材料よりも低くなってしまう。
なお、類似の技術としては、たとえば、特許文献1に記載されたようなものがある。
図5(E)は、摺動リングを、樹脂材から熱可塑性エラストマーに変更した形態の組合せシールの一例を示している。この組合せシールは、ピストン410外周の溝411の溝開放端側に配設された熱可塑性エラストマー製の摺動リング401と、溝底側に圧縮状態で装着される架橋ゴム材料により成形されたゴム状弾性体リング402とを組合せた構成となっている。
このように摺動リング401として熱可塑性エラストマーを使用すれば、図5(A)に示したような樹脂製摺動リングを用いた組合せシールよりも偏心追随性が向上する。しかし、ii)で説明したような、架橋ゴム材料を用いた両圧用リップパッキン301に比べて偏心追随性が低い。
前記摺動リングは、前記溝内に収納されるリング本体部と、該リング本体部の溝開放端側の端部から軸方向両側に向かって延びる一対のリップ部と、を有する構成で、該リップ部は、摺動相手となる他方の部材の相手摺動面に摺動自在に接触すると共に、リップ先端部が溝内側面に軸方向に対向する構成となっており、
前記ゴム状弾性体リングは2つ設けられ、各ゴム状弾性体リングはリング本体部の軸方向互いに反対側の側面と軸方向に対向する溝内側面との間の2つの空間に装着される構成で、各ゴム状弾性体リングは、リップ部と溝底面との間で径方向に圧縮された状態で装着される構成となっていることを特徴とする。
また、リップ部の背面に密封対象流体の圧力が作用し、相手摺動面に対してリップ部が押し付けられるので、シール面圧が増大して高いシール性が確保される。二部材が相対的に偏心した場合にも、リップ部が偏心に対して追随して撓み、さらに偏心によるリップ部のシール面圧の低下は、ゴム状弾性体リングの弾性復元力によって補うことができるので、偏心追随性も確保することができる。
また、摺動リングを熱可塑性エラストマー製とすれば、架橋ゴム材料を用いた場合に比べて耐摩耗性に優れ、長寿命化を図ることができる。一方、この熱可塑性エラストマーは樹脂材に比べて弾力性があるので、従来の樹脂製摺動リングに比較してシール性に優れる。
でき、しかも偏心追随性に優れた密封装置を実現できる。
この密封装置1は、たとえば、図1(A)に示すように、油圧シリンダのピストンシールとして用いられるもので、互いに往復移動自在に組み付けられる二部材としてのシリンダチューブ50と、ピストン60間の環状隙間70をシールする。なお、図中、80はピストン60外周に装着されたウェアリングである。
密封装置1の構成は、図1(B)、図2(A)、(B)に詳細に示すように、摺動リング2と、ゴム状弾性体リング3とを組合せた構成で、摺動リング2とゴム状弾性体リング3が組み合わさった状態で、一方の部材としてのピストン60の外周に設けられた環状の溝61に装着される。
溝61は断面矩形状で、ピストン60の中心軸に対して直交する一対の溝内側面61a、61bと、ピストン60の中心軸と平行に延びる溝底面61cとを備えている。
には、軸方向に突出する側面突出部28が設けられている。この側面突出部28は側面よりも径方向幅が若干狭い円環形状で、内径側と外径側を連通するスリット26が円周方向に複数設けられ、側面突出部28が複数の円弧状部分に分断されている。
このスリット26によって、側面突出部28が溝内側面61a、61bに当接した状態でも、密封対象流体の流体圧を導入可能としている。このスリット26については、リップ部22,23の側面突出部28に限らず、溝内側面61a、61b側に設けてもよい。
本実施例ではウレタン系(PU)のエラストマーを使用している。もっとも、これに限定されるものではなく、スチレン系(SBC)、オレフィン系(TPO)、塩ビ系(TPVC)、エステル系(TPEE)、アミド系(TPAE)等種々の材料が適用可能である。
リット25の先端位置は角部のアール部3eの端部位置までとなっている。
なお、圧力導入用のスリット25については、摺動リング2のリップ部22、23の反摺動面側に圧力を導入できればよいので、摺動リング2のリップ部22,23側に設けてもよいし、摺動リング2のリップ部22,23とゴム状弾性体リング3の両方に設けてもよい。
すなわち、ピストン60の溝61の溝幅をA、溝底面61cから相手摺動面となるシリンダチューブ50内周面までの径方向寸法をD、各ゴム状弾性体リング3の軸方向厚さをB、摺動リング2のリング本体部21の軸方向厚さをC、摺動リング2の各リップ部22、23のシール凸部22b、23bの頂部からリング本体部21の内径端までの径方向幅をEとすると、A<(B×2+C)で、かつ、D<Eを満足するように設定される。
図3(C)は、密封装置に対して溝を破線にして重ねた状態を示している。
図示するように、この密封装置1を、ピストン60の溝61に装着し、シリンダチューブ50に組み付けると、まず、溝61の溝内側面61a、61bと摺動リング2のリング本体部21の側面21a、21b間で、各ゴム状弾性体リング3,3が、軸方向に圧縮され、その分径方向に延びる。一方、各リップ部22、23のシール凸部22b、23bがチューブ内周面51によって径方向に圧縮されると共にリップ部22,23自体もいく分内径側に撓み、ゴム状弾性体リング3についても、径方向に圧縮され、これらの弾性復元力によってシール凸部22b、23bの摺動部の初期のシール面圧が設定される。
次に本実施例の密封装置の作用について、図4を参照して説明する。
すなわち、シリンダチューブ50に対してピストン60が往復移動すると、シリンダチューブ50のチューブ内周面51に密封接触する2つのリップ部22、23によって、ピストン60の軸方向両側に存在する密封対象流体F1、F2がシールされる。密封対象流体F1、F2としては、ピストン60を挟んで一方が圧油、他方が大気の場合、両方に油圧が導入される場合等、特に限定されない。
2、23が偏心に対して追随して撓み、さらに偏心によるリップ部の局部的なシール面圧の低下は、ゴム状弾性体リング3、3の弾性復元力によって補うことができるので、偏心追随性も確保することができる。
また、本実施例では、摺動リング2がウレタンゴムによって構成されているので、ニトリルゴム等の通常の架橋ゴム材料を用いた場合に比べて耐摩耗性に優れ、長寿命化を図ることができる。一方、樹脂材に比べて弾力性があるので、従来の樹脂製摺動リングに比較してシール性に優れる。
また、本発明は油空圧機器のシールに限定されるものではなく、その他往運動する摺動部のシールとして広く適用可能である。また、往復運動する場合ではなく、回転運動する部分のシールとしても適用可能であるし、回転と往復の複合運動する部分のシールとしても適用可能である。
2 摺動リング
21 リング本体部
21a 側面、21c 内周面
22,23 リップ部
22b,23b シール凸部
24 凹部
25 スリット
26 スリット
27 アール部
28 側面突出部
3 ゴム状弾性体リング
3a,3b 側面
3c 内周面
3d 外周面
3e アール部
50 シリンダチューブ
51 チューブ内周面
60 ピストン
61 溝
61a 溝内側面
61c 溝底面
70 環状隙間
80 ウェアリング
F1,F2 密封対象流体
Claims (4)
- 互いに移動自在に組み付けられる二部材間の環状隙間をシールするもので、摺動リングとゴム状弾性体リングとを組合せた構成で、
前記摺動リングは、前記対ゴム状弾性体リング対比で耐圧性,耐摩耗性に優れた材料により構成し、
摺動リングとゴム状弾性体リングが組み合わさった状態で一方の部材に設けられた環状の溝に装着される密封装置であって、
前記摺動リングは、前記溝内に収納されるリング本体部と、該リング本体部の溝開放端側の端部から軸方向両側に向かって延びる一対のリップ部と、を有する構成で、該リップ部は、摺動相手となる他方の部材の相手摺動面に摺動自在に接触すると共に、リップ先端部が溝内側面に軸方向に対向する構成となっており、
前記ゴム状弾性体リングは2つ設けられ、各ゴム状弾性体リングはリング本体部の軸方向互いに反対側の側面と軸方向に対向する溝内側面との間の2つの空間に、ゴム状弾性体リングリップ部と溝底面との間で径方向に圧縮された状態で装着される構成となっていることを特徴とする密封装置。 - 摺動リングのリップ部とゴム状弾性体リングの接触部に、リップ部の相手摺動面とは反対側の面に密封対象流体の圧力を導入する圧力導入路が設けられている請求項1に記載の密封装置。
- 摺動リングの各リップ部のリップ先端部と溝内側面間には、リップ先端部が溝内側面に当接した際に、溝内に密封対象流体の圧力を導入するための圧力導入路が設けられている請求項1または2に記載の密封装置。
- 摺動リングが熱可塑性エラストマー製である請求項1乃至3のいずれかの項に記載の密封装置。
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