JP4597430B2 - 道路舗装用改質アスファルト組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アスファルトと改質材の混合均一性が良好で相分離抑制効果に優れた道路舗装用改質アスファルト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
道路舗装には、所定粒度の砕石等の骨材を混合したアスファルト混合物を使用するアスファルト舗装が多用されている。しかし、アスファルトは、その軟化度合いが温度により大きく変化するため、アスファルトに改質材を混入して、アスファルトの軟化度の温度依存性を小さくしたり、軟化温度を高くしたり、あるいは耐摩耗性および耐流動性を向上させたりして、アスファルトの諸物性の改善を図ることが行われている。改質材としては、例えば、耐摩耗性、耐流動性等を改善するために、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)や、クロロプレンゴム(CR)等のゴム、あるいは、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIS)等の熱可塑性エラストマーが使用されている。
【0003】
しかしながら、アスファルトと改質材(ゴムや熱可塑性エラストマー)は互いの物性が異なるため、改質アスファルトでは、両者の混合均一性及び相分離が問題となる。
【0004】
従来、改質アスファルトの混合均一性を良好にし、保存時の相分離や物性変化を防止する方策として、改質材とアスファルトとの相互の溶解性、親和性の良好な組合せを指標として実験的に探索し、その配合組合せに対して相分離の良否をみて改質材とアスファルトの組み合わせを決定していたが、この方法では、配合設計の自由度が制限され、作業の面でも繁雑である。
【0005】
このような背景から、種々の方策が提案されている。例えば、特許第2968961号公報には、相分離を抑制するために、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを使用した道路舗装用改質アスファルトが開示されている。また、特許第3068079号公報には、特定物性の相溶化剤と相分離抑制剤とを併用することにより、SBSの高混合領域での相分離抑制効果に優れた道路舗装用改質アスファルトが得られることが開示されている。また、特公昭58−13098号公報には、ブローンアスファルトに対しても短時間で容易に均一分散が可能な、特定の鉱油と熱可塑性ゴムとからなるアスファルト改質用ゴム系添加剤が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルは環境や安全面の点で使用を制限される傾向にある。また、相溶化剤と相分離抑制剤の併用では改質材が10重量%以上含有される領域での相分離抑制が十分ではない。鉱油と熱可塑性ゴムを用いる場合も十分な量のゴムを添加できない。従って、上記技術によっても、アスファルトと改質材との相分離の抑制は十分ではなく、特に両者の混合性や保存による改質アスファルトの物性変化の抑制(保存安定性)については、更なる改良が望まれている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)アスファルトと、(B)ゴム及び/又は熱可塑性エラストマーと、(C)多価アルコール型ノニオン界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド及び脂肪酸アミドのアルキレンオキサイド(以下、AOと表記する)付加物から選ばれる一種以上のノニオン界面活性剤とを含有する道路舗装用改質アスファルト組成物に関する。
【0008】
また、本発明は、上記本発明の道路舗装用改質アスファルト組成物と骨材とを含有する道路舗装用改質アスファルト、及び上記本発明の道路舗装用改質アスファルト組成物を用いて舗装した道路に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の道路舗装用の改質アスファルト組成物では、(B)ゴム及び熱可塑性エラストマーの少なくとも一つを改質材として、ストレートアスファルト等の(A)アスファルトと(C)多価アルコール型ノニオン界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド及び脂肪酸アミドのAO付加物から選ばれる一種以上のノニオン界面活性剤〔以下、(C)成分という〕とが混合されており、(C)成分を使用しない場合に比べて、改質材の高配合可能であり、改質材とアスファルトとの混合均一性が良好で、しかも相分離が格段に抑制され、物性変化がなく保存安定性に優れる。
【0010】
(C)成分のうち、多価アルコール型ノニオン界面活性剤としては、下記(1)〜(9)から選ばれる一種以上が挙げられる。
(1)ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル
(2)ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル
(3)ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル
(4)グリセリン脂肪酸エステル
(5)ポリグリセリン脂肪酸エステル
(6)ソルビタン脂肪酸エステル
(7)ソルビット脂肪酸エステル
(8)ペンタエリスリット脂肪酸エステル
(9)ショ糖脂肪酸エステル。
【0011】
上記において、脂肪酸としては、炭素数8〜22、更に12〜18のものが好ましい。また、(1)〜(3)において、付加されるAOはエチレンオキサイド(以下、EOと表記する)が好ましい。AOの平均付加モル数は5〜90が好ましい。また、(5)において、ポリグリセリンの縮合度は2〜10が好ましい。
【0012】
これらのうち、(4)、(6)、(7)、(8)が、改質材とアスファルトの混合均一性と相分離の抑制効果の点で、好ましく、なかでも(4)、(6)が特に好ましい。
【0013】
(4)のグリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素数8〜22の脂肪酸とグリセリンのモノ、ジ、トリエステル及びこれらの混合物が挙げられ、好ましくはラウリン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライドである。
【0014】
また、(6)のソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンと炭素数8〜22の脂肪酸のモノ、ジ、トリエステル及びこれらの混合物が挙げられ、好ましくはモノエステルであり、特に好ましくはソルビタンモノラウレートである。
【0015】
また、(7)のソルビット脂肪酸エステルとしては、ソルビットと炭素数8〜22の脂肪酸のモノ、ジ、トリエステル及びこれらの混合物が挙げられ、好ましくはモノエステルであり、特に好ましくはソルビットモノパルミテートである。
【0016】
また、(8)ペンタエリスリット脂肪酸エステルとしては、ペンタエリスリットと炭素数8〜22の脂肪酸のモノ、ジ、トリエステル及びこれらの混合物が挙げられ、好ましくはモノエステルであり、特に好ましくはペンタエリスリットモノパルミテートである。
【0017】
また、(C)成分のうち、脂肪酸アルカノールアミドは、脂肪酸モノアルカノールアミド、脂肪酸ジアルカノールアミドが使用できる。なかでも、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノイソプロパノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミドが好ましく、特に脂肪酸ジエタノールアミドが好ましい。脂肪酸は、炭素数8〜22、更に10〜18のものが好ましく、ラノリン脂肪酸のような混合脂肪酸を用いることもできる。
【0018】
また、(C)成分のうち、脂肪酸アミドのAO付加物における脂肪酸も炭素数8〜22、更に10〜18のものが好ましく、混合脂肪酸であってもよい。また、AOの平均付加モル数は5〜90が好ましい。AOはEOが好ましい。
【0019】
本発明において、(C)成分は、アスファルト100重量部に対して、0.01〜10、更に0.1〜7重量部、特に0.5〜5重量部の比率で用いられることが、相分離抑制の点で、好ましい。効果の発現の点から0.01重量部以上が好ましく、最終アスファルトの物性の点から10重量部以下が好ましい。
【0020】
本発明において使用されるアスファルトは、石油ストレートアスファルト、セミブローンアスファルト、カットバックアスファルト、天然アスファルト、石油タール、ピッチあるいは溶剤脱瀝から生成した瀝青質を舗装用アスファルトの規格に適するように軟化剤を入れて製造したアスファルト等が挙げられる。本発明の道路舗装用改質アスファルト組成物中のアスファルト含有量は70重量%以上が好ましく、85重量%以上が特に好ましい。
【0021】
また、本発明において使用されるゴムとしては、天然ゴムやスチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム等の合成ゴムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴムが耐摩耗性や耐熱性の点で好ましい。
【0022】
また、本発明において使用される熱可塑性エラストマーは、スチレン−ブタジエンブロック共重合物、スチレン−イソプレンブロック共重合物、エチレン−酢酸ビニル共重合物、エチレン−エチルアクリレートの共重合物、あるいは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンの単独重合物あるいはこれらを組み合わせた共重合物等が挙げられる。特に、スチレン−ブタジエンブロック共重合物、スチレン−イソプレンブロック共重合物が、耐摩耗性や耐熱性の点で好ましい。
【0023】
ゴム及び熱可塑性エラストマーは、合計で、アスファルト100重量部に対して、1〜25重量部、更に3〜20重量部、特に10〜20重量部の比率で用いられることが、耐摩耗性及び耐流動性を向上させる点で、好ましい。
【0024】
本発明の組成物は、原料油、プロセス油、工業潤滑油、ベースオイル等の鉱油を含有することもできる。鉱油は、アスファルト100重量部に対して、0.1〜10重量部、更に0.5〜7重量部、特に1〜5重量部の比率で用いられることが、相溶性を向上させる点で、好ましい。
【0025】
本発明の効果を妨げない限り、更に種々の添加剤を配合することができる。配合する添加剤は特に限定はなく、一般に使用されている添加剤の中から適宣選択される。添加剤の具体例としては、石粉、タルク、炭酸カルシウム等のフィラー、消石灰、アミン類、アミド類、リン酸類等の剥離防止剤、メチルセルロース、ポリビニルアルコール等の繊維質補強材、粘度低下剤、粘度向上剤、軟化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。
【0026】
本発明の道路舗装用改質アスファルト組成物は、例えばアスファルトを加熱溶融(好ましくは160〜200℃)し、(C)成分、ゴム及び/又は熱可塑性エラストマーを添加し、通常用いられている混合機で、各成分が均一に分散するまで攪拌混合する事により得られる。通常用いられている混合機としてホモミキサー、ディゾルバー、パドルミキサー、リボンミキサー、スクリューミキサー、プラネタリーミキサー、真空逆流ミキサー等が挙げられる。
【0027】
また、上記道路舗装用改質アスファルト組成物に砕石、砂利、砂、スラグ等の骨材をパグミルミキサー、スパイラルフローミキサー、スクリューミキサー等で混合する事により、道路舗装用改質アスファルトが得られ、これを舗装する事により、耐摩耗性や耐流動性に優れた道路を作ることができる。
【0028】
【実施例】
実施例1
アスファルト(ニチレキ株式会社製 60−80) 100重量部
SBS* 10重量部
ソルビタンモノラウレート** 3重量部
*SBS:スチレン−ブタジエンブロック共重合体、旭化成社製タフプレン315
**ソルビタンモノラウレート:花王(株)、SP−L10
上記成分を、ホモミキサー(特殊機化工業製 T.K.オートホモミキサーM型)に入れ、2500rpmで5分間混合後、1万rpmで2時間混合し、改質アスファルト組成物1を得た。但し、アスファルトはマントルヒーターで予め180℃で加熱溶融したものを用いた。
【0029】
実施例2
ソルビタンモノラウレートに代えて、ステアリン酸モノグリセライド(花王(株)、T−95)を用いた以外は、実施例1と同様にして、改質アスファルト組成物2を得た。
【0030】
実施例3
ソルビタンモノラウレートに代えて、ラウリン酸モノグリセライドを用いた以外は、実施例1と同様にして、改質アスファルト組成物3を得た。
【0031】
実施例4
ソルビタンモノラウレートに代えて、ペンタエリスリットモノパルミテートを用いた以外は、実施例1と同様にして、改質アスファルト組成物4を得た。
【0032】
実施例5
ソルビタンモノラウレートに代えて、ラウリン酸ジエタノールアミドを用いた以外は、実施例1と同様にして、改質アスファルト組成物5を得た。
【0033】
実施例6
ソルビタンモノラウレートに代えて、ラウリン酸モノイソプロパノールアミドを用いた以外は、実施例1と同様にして、改質アスファルト組成物6を得た。
【0034】
実施例7
ソルビタンモノラウレートに代えて、ラノリン脂肪酸ジエタノールアミド(日本精蝋 WFAソフト)を用いた以外は、実施例1と同様にして、改質アスファルト組成物7を得た。
【0035】
実施例8
ソルビタンモノラウレートに代えて、ラウリン酸アミドのEO付加物(平均付加モル数5)を用いた以外は、実施例1と同様にして、改質アスファルト組成物8を得た。
【0036】
比較例1
ソルビタンモノラウレートを使用しない以外は、実施例1と同様にして、改質アスファルト組成物9を得た。
【0037】
比較例2
ソルビタンモノラウレートに代えて、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO平均付加モル数5)を用いた以外は、実施例1と同様にして、改質アスファルト組成物10を得た。
【0038】
<性能評価>
(1)混合性
上記で調製された改質アスファルト組成物を、光学顕微鏡で400倍に拡大し、アスファルトとゴム/熱可塑性エラストマーの混合度合いを、アスファルトとゴム/熱可塑性エラストマーの混合粒子の大きさで、以下の基準に従って評価した。結果を表1に示す。
【0039】
〔評価基準〕
◎:粒径が0.5μm未満であり、光学顕微鏡で400倍に拡大したところでは均一な混合性を示す。
○:粒径が0.5μm以上3μm未満であり、ほぼ均一であるが、粒状物が見られる。
△:粒径が3μm以上10μm未満であり、混合性はやや不足している。
×:粒径が10μm以上であり、混合性は不充分である。
【0040】
(2)保存性
直径5cm×高さ11cmの缶に、上記で調製された改質アスファルト組成物を充填し、160℃で5日間放置した後、上下に切断し、それぞれの針入度をJIS K 2207に準拠した方法で測定し、保存性を以下の基準に従って評価した。結果を表1に示す。
【0041】
〔評価基準〕
◎:上下の針入度の差が±1以内であり、良好な保存性を有する。
○:上下の針入度の差が±1超、±5未満であり、保存上、問題はない。
△:上下の針入度の差が±5超、±10未満であり、1週間以上の保存はできない。
×:上下の針入度の差が±10以上であり、保存上、問題が生じる。
【0042】
【表1】
【0043】
以上の結果より、実施例1〜8で得られた改質アスファルト組成物1〜8は、良好な混合性を有し、優れた保存性を有していることがわかる。これに対し、比較例2で得られた改質アスファルト組成物10は、混合性は良いが保存性に劣り、更に比較例1で得られた改質アスファルト組成物9は混合性にも保存性にも劣ることがわかる。
【0044】
【発明の効果】
本発明では、アスファルトと改質材であるゴムや熱可塑性エラストマーの混合性が良く、しかも保存によるアスファルト物性の変化が無く保存性も良好となる。
Claims (4)
- (A)アスファルトと、(B)ゴム及び/又は熱可塑性エラストマーと、(C)脂肪酸ジエタノールアミドから選ばれる一種以上のノニオン界面活性剤とを含有する道路舗装用改質アスファルト組成物。
- (B)が、スチレン−ブタジエンブロック共重合物及びスチレン−イソプレンブロック共重合物から選ばれる熱可塑性エラストマーである、請求項1記載の道路舗装用改質アスファルト組成物。
- 請求項1又は2記載の道路舗装用改質アスファルト組成物と骨材とを含有する道路舗装用改質アスファルト。
- 請求項1又は2記載の道路舗装用改質アスファルト組成物を用いて舗装した道路。
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