JP6939616B2 - 改質アスファルト組成物及び改質アスファルト混合物並びにこれらの製造方法 - Google Patents
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Description
改質アスファルト組成物は、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ゴムラテックス、又は共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とからなるブロック共重合体等を含有することがある。
また、アスファルト組成物に、オイルを添加したり、硫黄や過酸化物等の架橋剤を添加して架橋を行うことがある。
前記成分(B)は、エチレンモノマー単位、不飽和カルボン酸エステルモノマー単位、及び、不飽和ジカルボン酸モノマー単位又はその誘導体モノマー単位を構成モノマーとして含み、
前記成分(B)は、前記エチレンモノマー単位を90.0〜97.4モル%、前記不飽和カルボン酸エステルモノマー単位を2.5〜9.9モル%、及び、前記不飽和ジカルボン酸モノマー単位又はその誘導体モノマー単位を0.1〜3.0モル%の割合で含み、
前記成分(A)100質量部に対して、前記成分(B)を、2質量部を超え15質量部以下で含み、
前記成分(B)の分散粒子の平均長径が3μm以下であることを特徴とする。
前記成分(A)100質量部に対して、前記成分(C)を1〜30質量部含んでいてもよい。
前記成分(A)100質量部に対して、前記成分(B)を、2質量部を超え15質量部以下で混合する工程と、を含み、
前記成分(B)は、エチレンモノマー単位、不飽和カルボン酸エステルモノマー単位、及び、不飽和ジカルボン酸モノマー単位又はその誘導体モノマー単位を構成モノマーとして含み、
前記成分(B)は、前記エチレンモノマー単位を90.0〜97.4モル%、前記不飽和カルボン酸エステルモノマー単位を2.5〜9.9モル%、及び、前記不飽和ジカルボン酸モノマー単位又はその誘導体モノマー単位を0.1〜3.0モル%の割合で含み、
前記成分(B)の分散粒子の平均長径が3μm以下であることを特徴とする。
前記混合工程において、前記成分(A)100質量部に対して、前記成分(B)を、2質量部を超え15質量部以下、前記成分(C)を1〜30質量部混合してもよい。
本発明の改質アスファルト組成物は、アスファルト(成分(A))と、エチレン系三元共重合体(成分(B))とを含み、
前記成分(B)は、エチレンモノマー単位、不飽和カルボン酸エステルモノマー単位、及び、不飽和ジカルボン酸モノマー単位又はその誘導体モノマー単位を構成モノマーとして含み、
前記成分(B)は、前記エチレンモノマー単位を90.0〜97.4モル%、前記不飽和カルボン酸エステルモノマー単位を2.5〜9.9モル%、及び、前記不飽和ジカルボン酸モノマー単位又はその誘導体モノマー単位を0.1〜3.0モル%の割合で含み、
前記成分(A)100質量部に対して、前記成分(B)を、2質量部を超え15質量部以下で含み、
前記成分(B)の分散粒子の平均長径が3μm以下であることを特徴とする。
アスファルトとしては、石油精製の際の副産物(石油アスファルト)、又は天然の産出物(天然アスファルト)として得られるもの、若しくはこれらと石油類を混合したもの等が挙げられる。アスファルトの主成分は瀝青(ビチューメン)と呼ばれるものが一般的である。
アスファルトの具体例としては、例えば、ストレートアスファルト、セミブローンアスファルト、ブローンアスファルト、溶剤脱瀝アスファルト、タール、ピッチ、オイルを添加したカットバックアスファルト、アスファルト乳剤等が挙げられる。入手性の観点から、アスファルトは、ストレートアスファルトであることが好ましい。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。
また、各種アスファルトに石油系溶剤抽出油、アロマ系炭化水素系プロセスオイルあるいはエキストラクト等の芳香族系重質鉱油等を添加してもよい。
成分(B)は、エチレンモノマー単位、不飽和カルボン酸エステルモノマー単位、及び、不飽和ジカルボン酸モノマー単位又はその誘導体モノマー単位を構成モノマーとして含む。
成分(B)は、エチレンモノマー単位を90.0〜97.4モル%、不飽和カルボン酸エステルモノマー単位を2.5〜9.9モル%、不飽和ジカルボン酸モノマー単位又はその誘導体モノマー単位を0.1〜3.0モル%の割合で含む。
成分(B)に含まれる構成モノマーの構成割合が上記の範囲であることにより、耐流動性、相容性、耐骨材剥離性に優れた、改質アスファルト組成物となる。
成分(B)は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等が挙げられる。これらの中では、不飽和カルボン酸エステルを多く含むことが可能なランダム共重合体が好ましい。
本願明細書において、共重合体を構成する構成単位のことを「〜モノマー単位」といい、重合体の材料として記載する場合は「モノマー単位」の記載を省略することがある。
また、エチレンの構成割合は、成分(B)の全質量100質量%に対して好ましくは70.0〜90.0質量%、さらに好ましくは75.0〜89.5質量%、特に好ましくは75.0〜80.0質量%である。構成割合が上記範囲内であると、成形性が良好であり、本発明の目的に合致する改質アスファルト組成物を得ることができる。
具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ベンジル、フマル酸メチル、フマル酸エチル、フマル酸プロピル、フマル酸ブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸エチル、マレイン酸プロピル、マレイン酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル等が挙げられる。
これらの中でも、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、更に好ましくは、アクリル酸メチルが好適なものとして挙げられる。
また、成分(B)を構成する不飽和カルボン酸エステルは、必要に応じて二種類以上使用することもできる。
また、不飽和カルボン酸エステルの構成割合は、成分(B)の全質量に対して好ましくは5〜29質量%、更に好ましくは7〜27質量%、特に好ましくは8.0〜23.0質量%、さらに特に好ましくは16.0〜23.0質量%である。構成割合が上記範囲内であると、成形性が良好であり、本発明の目的に合致する改質アスファルト組成物を得ることができる。
また、不飽和ジカルボン酸又はその誘導体が不飽和ジカルボン酸無水物の場合、不飽和ジカルボン酸無水物の構成割合は、成分(B)の全質量100質量%に対して好ましくは1〜5質量%、更に好ましくは2〜4質量%である。不飽和ジカルボン酸無水物が1〜5質量%の範囲であると、樹脂の架橋密度を上げることができる。また、5質量%以下であると、樹脂組成物の柔軟性、耐吸湿性などの性質が向上する。
この場合、その分散粒子の平均長径は3μm以下、好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下である。
分散粒子の平均長径が上記の範囲であることにより、耐流動性、相容性、耐骨材剥離性に優れた改質アスファルト組成物となる。
例えば、当該粒子径は、スカラ社製デジタルマイクロウォッチャーHDM−2100による透過光を用いて、測定温度25℃、測定倍率400倍、測定モード透過光により測定し、粒子毎に長径を測定し、その平均値を求めることができる。
測定用のサンプルは、撹拌中の改質アスファルト組成物10mgをスライドガラス上に採取し、180℃に熱したホットプレート上で20秒静置させ、溶融させ、その後、溶融した改質アスファルト組成物上にカバーガラスを載せて薄く延ばし、室温で30分間放置した後、デジタルマイクロウォッチャーで分散粒子径を測定する。
(b1)MFR
成分(B)の温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が1〜100g/10分、好ましくは2〜80g/10分、更に好ましくは5〜50g/10分である。
MFRが上記の範囲であることにより、耐流動性、相容性、耐骨材剥離性に優れたものを製造することができる。
ここで、MFRは、JIS K6922−2:2010に準拠して測定される値である。
MFRは、成分(B)の分子量を小さくすることにより、大きくすることができる。
成分(B)の密度が0.920〜0.970g/cm3、好ましくは0.925〜0.960g/cm3、更に好ましくは0.930〜0.950g/cm3である。
密度が上記の範囲であることにより、耐流動性、相容性、耐骨材剥離性に優れたものを製造することができる。
ここで、密度は、JIS K6922−2:2010に準拠して測定される値である。
密度は、成分(B)の構成モノマー量を変化させることにより、調整することができる。
本発明の改質アスファルト組成物は、必要に応じ、ゴム成分(成分(C))を含んでいてもよい。
ゴム成分としては、ビニル芳香族モノマー単位と共役ジエンモノマー単位とを含有するブロック共重合体であってもよい。
改質アスファルト組成物が成分(C)を所定量含むことにより、特に耐流動性が改良される。
上記共役ジエン及びビニル芳香族の他、共役ジエン及びビニル芳香族と共重合可能な他のモノマーを用いることもできる。
合成ゴムとしては、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−ブチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBBS)、エチレンプロピレン共重合体(EPDM)等のオレフィン系エラストマー、クロロプレンゴム等が挙げられる。
ゴム成分としては、改質アスファルト組成物の高い相容性や、耐流動性を改良する点で、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体が好ましく、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体がより好ましい。
また、成分(C)のMFRの上限値は、アスファルトに添加するポリマー添加量が少なくなることや、改質アスファルト組成物の引張後の回復性の点で、50g/10分以下が好ましく、10g/10分以下がさらに好ましい。
本発明の改質アスファルト組成物には、性能を損なわない範囲で、常法に従い、オレフィン系重合体や他の熱可塑性樹脂のほか、粘着付与材、軟化材、剥離防止剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、加工助剤、着色顔料、架橋剤、発泡剤、無機又は有機充填剤、難燃剤等の公知の添加材、補強材を配合することができる。
これらの添加材等の含有量は、アスファルト100質量部に対して通常50質量部以下である。
このような反応促進剤としては、様々なものが挙げられるが、その一例を挙げれば、有機カルボン酸の金属塩がある。
有機カルボン酸の金属塩としては、炭素数1〜30の脂肪酸の金属塩、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸等と周期表の第1族、第2族、第12族、第13族の金属(例えば、Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Al等)との塩が挙げられる。
更に具体例を示せば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、酢酸アルミニウム、酪酸カリウム、酪酸カルシウム、酪酸亜鉛、オクタン酸ナトリウム、オクタン酸カルシウム、デカン酸カリウム、デカン酸マグネシウム、デカン酸亜鉛、ラウリン酸リチウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸アルミニウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸アルミニウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸ナトリウム、ベヘン酸ナトリウムなどが挙げられる。
これらのうち、ラウリン酸リチウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸アルミニウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸アルミニウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸ナトリウムなどが好適である。
また、上記の各種の反応促進剤を必要に応じて2種類以上併用することもできる。
これらの反応促進剤の使用量は、成分(B)100質量部に対して0.001〜20質量部の範囲となることが好ましく、0.01〜15質量部の範囲となることが更に好ましい。
反応促進剤の使用量が上記の範囲内であると、反応が促進されて組成物中に架橋構造を効果的に導入すること可能となる。
本発明の改質アスファルト組成物は、成分(A)100質量部に対して、成分(B)を、2質量部を超え15質量部以下で含む組成物であって、必要に応じ、さらに成分(C)1〜30質量部を含む。
成分(B)の組成割合は、成分(A)100質量部に対して、2質量部を超え15質量部以下、好ましくは3〜14質量部、更に好ましくは4〜13質量部、更により好ましくは4.2〜4.5質量部である。成分(B)の組成割合を上記範囲とすることにより、耐流動性、相容性、耐骨材剥離性に優れたものとなる。
成分(C)の組成割合は、成分(A)100質量部に対して、1〜30質量部、好ましくは2〜25質量部、更に好ましくは5〜20質量部、更により好ましくは6〜7.9質量部である。成分(C)の組成割合を上記範囲とすることにより、耐流動性、相容性、耐骨材剥離性に優れたものとなる。
本発明の改質アスファルト組成物の製造方法は、アスファルト(成分(A))と、エチレン系三元共重合体(成分(B))とを準備する工程と、
前記成分(A)100質量部に対して、前記成分(B)を、2質量部を超え15質量部以下で混合する工程と、を含み、
前記成分(B)は、エチレンモノマー単位、不飽和カルボン酸エステルモノマー単位、及び、不飽和ジカルボン酸モノマー単位又はその誘導体モノマー単位を構成モノマーとして含み、
前記成分(B)は、前記エチレンモノマー単位を90.0〜97.4モル%、前記不飽和カルボン酸エステルモノマー単位を2.5〜9.9モル%、及び、前記不飽和ジカルボン酸モノマー単位又はその誘導体モノマー単位を0.1〜3.0モル%の割合で含み、
前記成分(B)の分散粒子の平均長径が3μm以下であることを特徴とする。
(1)準備工程
準備工程は、アスファルト(成分(A))と、エチレン系三元共重合体(成分(B))とを準備する工程である。
準備工程は、必要に応じさらにゴム成分(成分(C))を準備してもよい。
成分(A)、成分(B)、及び、成分(C)を準備する順番は特に限定されない。
成分(A)、成分(B)、及び、成分(C)としては、上記1.改質アスファルト組成物に記載したものと同様のものを用いることができるため、ここでの記載は省略する。
混合工程は、前記成分(A)100質量部に対して、前記成分(B)を、2質量部を超え15質量部以下で混合する工程である。
混合工程は、必要に応じ、前記成分(A)100質量部に対して、前記成分(B)を、2質量部を超え15質量部以下、及び、前記成分(C)を1〜30質量部混合してもよい。
成分(B)の混合割合は、成分(A)100質量部に対して、、2質量部を超え15質量部以下、好ましくは3〜14質量部、更に好ましくは4〜13質量部、更により好ましくは4.2〜4.5質量部である。成分(B)の混合割合を上記範囲とすることにより、耐流動性、相容性、耐骨材剥離性に優れた改質アスファルト組成物となる。
成分(C)の混合割合は、成分(A)100質量部に対して、1〜30質量部、好ましくは2〜25質量部、更に好ましくは5〜20質量部、更により好ましくは6〜7.9質量部である。成分(C)の混合割合を上記範囲とすることにより、耐流動性、相容性、耐骨材剥離性に優れた改質アスファルト組成物となる。
混合方法は特に限定されず、例えば、押出機、ニーダー、バンベリーミキサーなどの溶融混練機等で混合することができる。
撹拌方法は、垂直インペラ、サイドアーム型インペラ等の攪拌機、乳化機を含めたホモジナイザー、あるいはポンプによる撹拌が挙げられる。
改質アスファルト組成物の各成分を混合する温度は、改質アスファルト組成物中において成分(B)の分散粒子の平均長径を3μm以下とする観点から、温度160〜200℃、好ましくは170〜190℃、更に好ましくは175〜185℃である。
本発明の改質アスファルト混合物は、少なくとも前記改質アスファルト組成物と骨材とを含有することを特徴とする。
骨材としては特に限定されず、例えば、社団法人日本道路協会発行の「アスファルト舗装要綱」に記載されている舗装用の骨材であればどのようなものでも使用できる。
骨材としては、具体的には、砕石、玉石、砂利、鉄鋼スラグ等である。
また、これらの骨材にアスファルトを被覆したアスファルト被覆骨材および再生骨材なども使用できる。
その他、これに類似する粒状材料、人工焼成骨材、焼成発泡骨材、人工軽量骨材、陶磁器粒、ルクソバイト、アルミニウム粒、プラスチック粒、セラミックス、エメリー、建設廃材、繊維等も使用することができる。
骨材は、一般に、粗骨材、細骨材、及びフィラーに大別される。
本実施形態の改質アスファルト混合物においては、これら種々の粒径範囲の粗骨材の1種または2種以上を混合した骨材、或いは、合成された骨材などを使用することができる。
これらの粗骨材には、骨材に対して0.3〜1質量%程度のストレートアスファルトを被覆しておいても良い。
本発明の改質アスファルト混合物の製造方法は、少なくとも前記改質アスファルト組成物に骨材を混合することを特徴とする。
改質アスファルト組成物と骨材との混合温度は、通常、120℃以上、200℃以下の範囲とすることができる。
改質アスファルト組成物と骨材との混合割合は、適宜設定することができる。
混合方法は、上記2.改質アスファルト組成物の製造方法に記載の方法と同様の方法を用いることができるため、ここでの記載は省略する。
本発明の改質アスファルト組成物および改質アスファルト混合物は、様々な用途に使用でき、道路舗装や他の用途に使用できる。
他の用途としては、防水シート、屋根のコーティング、防水シート用のプライマー接着剤、舗装用封止結合剤、再利用アスファルト舗装における接着剤、低温調製アスファルトコンクリート用の結合剤、ファイバーグラスマット結合剤、コンクリート用のスリップコート、コンクリート用の保護コート、パイプラインおよび鉄製部品のクラックの封着等が挙げられる。
JIS K6922−2:2010に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)を測定した。
JIS K6922−2:2010に準拠して測定した。
改質アスファルト組成物中の分散粒子の平均粒子径を測定することにより、相容性を評価した。
平均粒子径は、デジタルマイクロウォッチャーによる透過光を用いて、以下のように観察した。なお、測定装置、測定条件は以下の通りとした。
・サンプル調整方法:
撹拌中の改質アスファルト組成物10mgをスライドガラス上に採取し、180℃に熱したホットプレート上で20秒静置させ、溶融させた。
その後、溶融した改質アスファルト組成物上にカバーガラスを載せて薄く延ばした。
室温で30分間放置した後、デジタルマイクロウォッチャーで分散粒子径を観察し、粒子毎に長径を測定し、その平均値を求めた。平均長径が3μm以下のものを相容性良好「○」、3μmを超えるものを相容性不良「×」とした。
・測定装置:スカラ社製デジタルマイクロウォッチャーHDM−2100
・測定条件
測定温度:25℃
倍率:400倍
測定モード:透過光
改質アスファルト組成物の25℃における針入度を、JIS K2207:2006に準拠して測定した。
改質アスファルト組成物の軟化点は、JIS K2207:2006に準拠して測定した。軟化点が55℃以上のものを耐熱性良好「○」、55℃未満ものを耐熱性不良「×」とした。
耐流動性をホイールトラッキング試験による動的安定度に準拠して評価した。
また、耐骨材剥離性を試験後の断面を目視及び重量保持率により評価した。
ホイールトラッキング試験は、社団法人日本道路協会「舗装試験法便覧」の3−7−3「ホイールトラッキング試験方法」に準拠して行なった。以下に試験法の概略を記す。
アスファルトと骨材を加熱混合したアスファルト混合物を所定の型枠(200×300×50mm)に入れ整形した供試体を60℃の恒温室で規定荷重(686±10N)の小型車輪を10.5回/分往復させ、60分における変形量(わだち掘れ量)を測定し、動的安定度(回/mm)を求め、混合物のわだち掘れに対する抵抗性を評価した。
動的安定度(DS:Dynamic Stability)の値は大きいほど、高温時における加熱アスファルト混合物の耐流動性の良いことを示す。
動的安定度が1,000回/mm以上のものを耐流動性良好「○」とし、1,000回/mm未満のものを耐流動性不良「×」とした。
ホイールトラッキング試験結果後のアスファルト混合物の断面より、骨材の剥離状態及びアスファルトの付着状況を評価した。
試験後の重量保持率が90%以上のものを「◎」、80%以上90%未満のものを「○」、70%以上80%未満のものを「△」、70%未満のものを「×」とした。
[改質アスファルト組成物の製造]
成分(A)としてJIS K2207:2006に準拠して測定される針入度が60〜80であるストレートアスファルト(A−1)400gを750mlの金属性容器に入れ、当該容器を180℃のオイルバスに浸漬し、アスファルトを完全に溶融させた。
SILVERSON社製ホモジナイザー(LART)により回転速度1500rpmで撹拌しながら、成分(B)として、エチレンモノマー単位が89.5質量%(96.42モル%)、アクリル酸メチルモノマー単位が8.0質量%(2.81モル%)、無水マレイン酸モノマー単位が2.5質量%(0.77モル%)であるエチレン系三元共重合体(B−1)(MFRが8.5g/10分、密度が0.937g/cm3である日本ポリエチレン社製レクスパールET220X)16.8g(成分(A)100質量部に対して4.2質量部)を添加した。
添加が終了したら、攪拌速度を4000rpmに上げ、1時間混練して改質アスファルト組成物を得た。
得られた改質アスファルト組成物の評価結果を表1に示した。
次に、加熱装置を備える容量27リットルの混合機に、以下の粒度分布を有する石粉及び砂粉である骨材94.5質量部を投入し、25秒間空練りを行った。
粒度分布:
ふるい目19.0mmのとき透過重量百分率が100%、
ふるい目13.2mmのとき透過重量百分率が99.6%、
ふるい目4.75mmのとき透過重量百分率が64.2%、
ふるい目2.36mmのとき透過重量百分率が43.1%、
ふるい目0.6mmのとき透過重量百分率が27%、
ふるい目0.3mmのとき透過重量百分率が19.7%、
ふるい目0.15mmのとき透過重量百分率が9.9%、
ふるい目0.075mmのとき透過重量百分率が6.1%。
次いで、上記の改質アスファルト組成物5.5質量部を上記混合機に投入し、50秒間本練りを行い、改質アスファルト混合物を得た。
得られたアスファルト混合物は、密粒度型のアスファルト混合物であった。
なお、アスファルト混合物の総量は10kgとなるようにし、空練り、本練りとも混合温度は180℃に調整した。
得られた改質アスファルト混合物の評価結果を表1に示した。
成分(B)として、(B−1)の代わりに、エチレンモノマー単位が75.0質量%(90.32モル%)、アクリル酸メチルモノマー単位が23.0質量%(9.00モル%)、無水マレイン酸モノマー単位が2.0質量%(0.68モル%)であるエチレン系三元共重合体(B−2)(MFRが12g/10分である日本ポリエチレン社製レクスパールET350X)を使用した以外は実施例1と同様に行なった。
得られた改質アスファルト組成物及び改質アスファルト混合物の評価結果を表1に示した。
成分(B)として、(B−1)の代わりに、エチレンモノマー単位が80.0質量%(92.65モル%)、アクリル酸メチルモノマー単位が16.0質量%(6.03モル%)、無水マレイン酸モノマー単位が4.0質量%(1.32モル%)であるエチレン系三元共重合体(B−3)(MFRが30g/10分、密度が0.940g/cm3である日本ポリエチレン社製レクスパールET530H)を使用した以外は実施例1と同様に行なった。
得られた改質アスファルト組成物及び改質アスファルト混合物の評価結果を表1に示した。
成分(B)として、(B−1)16.8gの代わりに(B−2)を18.0g(成分(A)100質量部に対して4.5質量部)使用し、更に成分(C)としてJSR社製スチレン系熱可塑性エラストマーTR2601(C−1)(200℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが1g/10分)31.6g(成分(A)100質量部に対して7.9質量部)を使用した以外は実施例1と同様に行なった。
得られた改質アスファルト組成物及び改質アスファルト混合物の評価結果を表1に示した。
成分(B)として、何も使用しない以外は実施例1と同様に行なった。
得られた改質アスファルト組成物及び改質アスファルト混合物の評価結果を表1に示した。
成分(B)として、(B−1)を8.0g(成分(A)100質量部に対して2質量部)使用した以外は実施例1と同様に行なった。
得られた改質アスファルト組成物及び改質アスファルト混合物の評価結果を表1に示した。
成分(B)として、(B−2)を8.0g(成分(A)100質量部に対して2質量部)使用した以外は実施例1と同様に行なった。
得られた改質アスファルト組成物及び改質アスファルト混合物の評価結果を表1に示した。
成分(B)として、エチレンモノマー単位が91.5質量%(96.5モル%)、アクリル酸モノマー単位が8.5質量%(3.5モル%)であるエチレン系二元共重合体(B−4)(MFRが25g/10分、日本ポリエチレン社製レクスパールEAA A211S)を16.8g(成分(A)100質量部に対して4質量部)使用した以外は実施例1と同様に行なった。
得られた改質アスファルト組成物及び改質アスファルト混合物の評価結果を表1に示した。
成分(B)として、何も使用せず、更に成分(C)としてJSR社製スチレン系熱可塑性エラストマーTR2601(C−1)(200℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが1g/10分)30.0g(成分(A)100質量部に対して7.5質量部)を使用した以外は実施例1と同様に行なった。
得られた改質アスファルト組成物及び改質アスファルト混合物の評価結果を表1に示した。
図1の左から1番目の画像は、エチレン系三元共重合体の分散粒子径が100μm以上の場合の改質アスファルト組成物の画像であり、分散粒子径が100μm以上では、分散状態を保持できず、アスファルトとエチレン系三元共重合体が沈殿分離していることがわかる。
図1の左から2番目の画像は、エチレン系三元共重合体の分散粒子径が10μm以下の場合の改質アスファルト組成物の画像であり、分散粒子径が10μm以下では、アスファルトとエチレン系三元共重合体の分散状態を保持できていることがわかる。
図1の左から3番目の画像は、エチレン系三元共重合体の分散粒子径が1μm以下の場合の改質アスファルト組成物の画像であり、分散粒子径が1μm以下では、アスファルトとエチレン系三元共重合体の分散状態をさらに良好に保持できていることがわかる。
図2の左から1番目の図は、比較例1のトラッキング方向における改質アスファルト混合物の断面を示す図である。
図2の左から2番目の図は、比較例1のトラバース方向における改質アスファルト混合物の断面を示す図である。
図2の左から3番目の図は、実施例3のトラッキング方向における改質アスファルト混合物の断面を示す図である。
図2の左から4番目の図は、実施例3のトラバース方向における改質アスファルト混合物の断面を示す図である。
図2に示すように比較例1は、骨材がほとんど剥離してしまっていることがわかる。
一方、実施例3は、骨材がほとんど剥離せず、残存していることがわかる。
したがって、図2に示すように実施例3は比較例1と比較して、骨材が残存している割合が高く、耐骨材剥離性が高いことがわかる。
これに対して、比較例1及び比較例4、5は、成分(B)としてエチレン系三元共重合体を含まないため、耐骨材剥離性等が劣っていた。
また、比較例2及び比較例3は、成分(B)の添加量が少ないため、相容性、耐熱性等が劣っていた。
Claims (9)
- アスファルト(成分(A))と、エチレン系三元共重合体(成分(B))とを含み、
前記成分(B)は、エチレンモノマー単位、不飽和カルボン酸エステルモノマー単位、及び、不飽和ジカルボン酸モノマー単位又はその誘導体モノマー単位を構成モノマーとして含み、
前記成分(B)は、前記エチレンモノマー単位を90.0〜97.4モル%、前記不飽和カルボン酸エステルモノマー単位を2.5〜9.9モル%、及び、前記不飽和ジカルボン酸モノマー単位又はその誘導体モノマー単位を0.1〜3.0モル%の割合で含み、
前記成分(A)100質量部に対して、前記成分(B)を、2質量部を超え15質量部以下で含み、
前記成分(B)の分散粒子の平均長径が3μm以下であることを特徴とする、改質アスファルト組成物。 - さらに、ゴム成分(成分(C))を含み、
前記成分(A)100質量部に対して、前記成分(C)を1〜30質量部含む、請求項1に記載の改質アスファルト組成物。 - 前記成分(B)の温度190℃、荷重2.16kgにて測定されるメルトフローレート(MFR)が1〜100g/10分である、請求項1又は2に記載の改質アスファルト組成物。
- 前記成分(B)の前記不飽和カルボン酸エステルモノマー単位が、アクリル酸メチルモノマー単位である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の改質アスファルト組成物。
- 前記成分(C)が、ビニル芳香族モノマー単位と共役ジエンモノマー単位とを含有するブロック共重合体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の改質アスファルト組成物。
- 少なくとも請求項1〜5のいずれか1項に記載の改質アスファルト組成物と骨材とを含有することを特徴とする改質アスファルト混合物。
- アスファルト(成分(A))と、エチレン系三元共重合体(成分(B))とを準備する工程と、
前記成分(A)100質量部に対して、前記成分(B)を、2質量部を超え15質量部以下で混合する工程と、を含み、
前記成分(B)は、エチレンモノマー単位、不飽和カルボン酸エステルモノマー単位、及び、不飽和ジカルボン酸モノマー単位又はその誘導体モノマー単位を構成モノマーとして含み、
前記成分(B)は、前記エチレンモノマー単位を90.0〜97.4モル%、前記不飽和カルボン酸エステルモノマー単位を2.5〜9.9モル%、及び、前記不飽和ジカルボン酸モノマー単位又はその誘導体モノマー単位を0.1〜3.0モル%の割合で含み、
前記成分(B)の分散粒子の平均長径が3μm以下であることを特徴とする、改質アスファルト組成物の製造方法。 - 前記準備工程において、さらに、ゴム成分(成分(C))を準備し、
前記混合工程において、前記成分(A)100質量部に対して、前記成分(B)を2質量部を超え15質量部以下、前記成分(C)を1〜30質量部混合する、請求項7に記載の改質アスファルト組成物の製造方法。 - 少なくとも請求項1〜5のいずれか1項に記載の改質アスファルト組成物に骨材を混合することを特徴とする改質アスファルト混合物の製造方法。
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