JP5644422B2 - 改質アスファルト組成物、アスファルト混合物およびアスファルト舗装材 - Google Patents
改質アスファルト組成物、アスファルト混合物およびアスファルト舗装材 Download PDFInfo
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Description
これらアスファルト舗装の不具合点を改良する方法として、従来より、締結材であるアスファルトを改質し、これにより、アスファルト混合物の耐流動性、耐摩耗性、耐クラック性、防音・吸音性および透水・排水性を高めるようにしてきた。
また、高温でのアスファルト舗装作業は夏場等の作業環境に著しい不具合を生じさせるともに、アスファルト舗装用材料の製造時や舗装時に高温に加熱する工程そのものが多量の燃料消費を伴い、環境負荷を増大させている。
以上の状況より、高温では粘度が低く骨材との混合性に優れ、低温では粘度が高く耐轍掘れに優れ、骨材との締結性にも優れ、長期保存性及び均一性に優れ、耐水性に優れたアスファルトが求められてきた。
ゴム系改質剤としては、SBR(スチレン・ブタジエン・ラバー)、NR(天然ゴム)、SIR(スチレン・イソプレン・ラバー)などゴムラテックスまたは粉末などが知られているが、これらの方法ではアスファルトとの相溶性が優れず、また骨材の保持性にも劣るので轍掘れや骨材飛散の問題を有している。
また、熱可塑性樹脂としては、EVA(エチレン・ビニルアセテート共重合体)、EEA(エチレン・エチルアクリレート共重合体)、ポリプロピレン、ポリエチレン等が用いられる。
[1] アスファルト(A)100重量部と、ポリエチレンに一般式RSi(R’) 3 (ここでRはエチレン性不飽和炭化水素基、R’は互いに独立に炭化水素基またはアルコキ
シ基であり、R’のうち少なくとも1つはアルコキシ基である)で表される不飽和シラン化合物が0.1〜5重量%グラフトされた変性ポリエチレン(B)1〜20重量部とを含有し、該変性ポリエチレン(B)が、JIS−K7210(1999)に準拠して190℃、21.16N荷重にて測定したメルトフローレートが2〜100g/10分、且つ示差走査熱量計による融解ピーク温度が100〜140℃であることを特徴とする改質アスファルト組成物。
[2] [1]において、一般舗装または排水性舗装に使用されることを特徴とする改質アスファルト組成物。
[3] [1]の改質アスファルト組成物と骨材とを含有するアスファルト混合物。
[4] [1]の改質アスファルト組成物と骨材とを150℃以下の温度で混合することを特徴とするアスファルト混合物の製造方法。
[5] [3] において、一般舗装または排水性舗装に使用されることを特徴とするアスファルト混合物。
[6] [3] に記載のアスファルト混合物を表層とするアスファルト舗装材。
本発明によれば、高温における改質アスファルト組成物の流動性が高いため、より低温でアスファルト混合物を製造することが可能となる。このため、作業環境負荷の低減及び二酸化炭素放出量の低減が可能となる。
本発明によれば、アスファルト舗装使用時の温度域における改質アスファルト組成物の流動性が低く、しかも骨材との締結性が高いため、アスファルト舗装として耐轍掘れ性、耐クラック性、耐水性、骨材の飛散防止性等に優れる。このため、アスファルト舗装の耐久性が向上し、道路舗装材の寿命を長くすることが出来る。
本発明によれば、アスファルトと改質材との親和性が高いため、改質アスファルト組成物の長期保存安定性及び均一性に優れる。
本発明によれば、改質アスファルト組成物と骨材との親和性が高いため、アスファルト混合物の長期保存安定性及び均一性に優れる。
本発明において、アスファルト舗装とは、舗装用アスファルト混合物を舗装施工されたものを意味し、舗装用アスファルト混合物とは、少なくともアスファルトまたは改質アスファルト組成物と骨材とを混合したものを意味する。
本発明の改質アスファルト組成物は、アスファルト(A)、ポリエチレンに不飽和シラン化合物がグラフトされた変性ポリエチレン(B)、及び必要によりその他の成分を含有する組成物である。
アスファルト(A)100重量部に対する変性ポリエチレン(B)の配合量は、1重量部以上、好ましくは2重量部以上であり、20重量部以下、好ましくは10重量部以下、より好ましくは7重量部以下である。変性ポリエチレン(B)の配合量が前記下限値未満の場合は改質アスファルト組成物の粘度が低下しすぎたり、骨材の保持性に劣るため好ましくなく、前記上限値より高い場合は改質アスファルト組成物の粘度が高くなりすぎ、作業性が悪化するので好ましくない。
本発明においてアスファルトとは、瀝青質すなわちビチューメンを意味し、天然アスファルト及び石油アスファルトを包含するものである。
本発明で用いられるアスファルト(A)としては、特に限定されず、例えばレイクアスファルト、ギルソナイト等の天然アスファルト、ストレートアスファルト、セミブローンアスファルト、ブローンアスファルト等のなどの石油アスファルトなどを挙げることができる。これらは複数種を併用してもよい。これらのいずれのアスファルトを用いても、本発明の効果が発揮される。
本発明において変性ポリエチレン(B)とは、ポリエチレンに不飽和シラン化合物がグラフトされたものを意味する。
本発明における変性ポリエチレン(B)は、不飽和シラン化合物のグラフト量が、0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上であり、5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下である。不飽和シラン化合物のグラフト量が前記下限値未満の場合は、改質アスファルトの貯蔵安定性や耐水性に劣るほか、骨材の飛散が生じやすくなるので好ましくない。また、不飽和シラン化合物のグラフト量が前記上限値より高い場合は粘度が上昇しやすく、混合性に劣るので好ましくない。
なお、不飽和シラン化合物のグラフト量は、サンプルを加熱燃焼させて灰化し、灰分をアルカリ融解して純水に溶解後定溶し、高周波プラズマ発光分析装置を用いてICI発光分析法により確認することができる。
変性ポリエチレン(B)に使用するポリエチレンとしては、原料モノマーとしてエチレンを含むものであれば限定されず、公知のポリエチレン樹脂が適宜用いられる。原料モノマー中のエチレン含量は限定されないが、通常60モル%以上、好ましくは80モル%以上であり、上限は100モル%である。
ポリエチレンの具体例としては、例えば、低・中・高密度ポリエチレン等の(分岐状又は直鎖状)エチレン単独重合体;エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等のエチレン−αオレフィン共重合ポリエチレン;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン系共重合樹脂などが挙げられる。更に上記重合体を単独で用いるのみならず、2種類以上重合体をブレンドして用いることも可能である。
中でも本発明においては、耐熱性と強度のバランスに優れた高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合ポリエチレンが好ましい。
また、使用されるポリエチレンの密度については特に制限は無いが、通常0.80〜0.98g/cm3、好ましくは0.90〜0.96g/cm3の範囲である。
グラフト変性に用いられる不飽和シラン化合物は限定されないが、一般式RSi(R’)3(ここでRはエチレン性不飽和炭化水素基、R’は互いに独立に炭化水素基またはアルコキシ基であり、R’のうち少なくとも1つはアルコキシ基である)で表される不飽和シラン化合物が好適に用いられる。
Rとしては、炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜6のエチレン性不飽和炭化水素基が望ましい。具体的には、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。
R’が炭化水素基の場合、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、フェニル基、シクロヘキシル基などに代表されるアルキル基又はアルケニル基;ヒドロキシエチル基、β−メトキシエチル基、γ−(メタ)アクリロキシプロピル基などのアルコキシアルキル基;β−アミノエチル基、γ−アミノプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基等の含酸素および/または含窒素炭化水素基;クロロメチル基、β−クロロエチル基、γ−クロロプロピル基などの含ハロゲン基などが挙げられる。
R’がアルコキシ基の場合、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、β―メトキシエトキシ基、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ基などが挙げられる。
不飽和シラン化合物としては、中でもビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、プロペニルトリメトキシシランなどに代表されるビニルトリアルコキシシランが
望ましい。これはビニル基によってポリエチレンへの変性を可能とし、アルコキシ基によってアスファルトへの相溶性、更に骨材との高い親和性、場合によっては反応性が期待できるからである。
これらの不飽和シラン化合物は、1種類を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
なお、本発明における変性ポリエチレン(B)には、本発明の効果を損なわない範囲で不飽和シラン化合物以外の化合物を併用してグラフト変性してもよい。不飽和シラン化合物以外の化合物としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸等の不飽和カルボン酸、及び、これらの酸無水物等が例示される。
上記ポリエチレンへ上記不飽和シラン化合物を変性することで変性ポリエチレン(B)を得ることができる。グラフト変性の方法には特に制限が無く、公知の手法に従って溶液変性、溶融変性、電子線や電離放射線の照射による固相変性、超臨界流体中での変性などが好適に用いられる。中でも設備やコスト競争力に優れた溶融変性が好ましく、連続生産性に優れた押出機を用いた溶融混練変性が更に好ましい。この時用いられる装置としては、例えば単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサーなどが挙げられる。中でも連続生産性に優れた単軸押出機、二軸押出機が好ましい。
具体的には、例えば、ハイドロパーオキサイド群にはキュメンハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド等が含まれ、ジアルキルパーオキサイド群にはジクミルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジターシャリーブチルパーオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジターシャリーブチルパーオキシヘキシン−3、などがあり、ジアシルパーオキサイド群にはラウリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等が含まれる。同様にパーオキシエステル群にはターシャリーパーオキシアセテート、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエイト、ターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等が、さらにケトンパーオキサイド群にはシクロヘキサノンパーオキサイド等があり、アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル、メチルアゾイソブチレートなどが含まれる。
これらで例示されているラジカル発生剤のうち1種あるいは数種を併用してもよい。
ポリエチレンと不飽和シラン化合物との配合の比率としては特に制限は無いが、好ましい配合の範囲としては、ポリエチレン100重量部に対し、不飽和シラン化合物が1〜1
0重量部である。ポリエチレンに対して不飽和シラン化合物が少なすぎると、本発明の効果を奏するために必要な所定の変性量が得られない場合があり、また多すぎると未反応の不飽和シラン化合物が多量に残留し、性能に悪影響を及ぼす可能性を生じる。
また溶融押出変性条件としては、例えば単軸、二軸押出機においては150〜300℃程度の温度にて押出すことが好ましい。
本発明における変性ポリエチレン(B)は、JIS−K7210(1999)に準拠して190℃、21.16N荷重にて測定したメルトフローレート(MFR)が、2g/10分以上、好ましくは5g/10分以上、より好ましくは10g/10分以上であり、100g/10分以下、好ましくは70g/10分以下、より好ましくは50g/10分以下である。MFRが前記下限値より低いと、アスファルト改質時の粘度が高くなり、分散性に劣るほか、骨材への浸透性も悪いため、骨材保持性に劣る。またMFRが前記上限値より高いとポリエチレンとしての材料強度が低くなるため、舗装アスファルトとしての耐久性や骨材保持性が劣る。
なお、前記変性ポリエチレン(B)は市販品を用いることもでき、例えば、三菱化学株式会社製、商品名「リンクロン」を好適に用いることができる。
本発明の改質アスファルト組成物には、前記のアスファルト(A)及び変性ポリエチレ
ン(B)以外に、その他の成分として添加剤や変性ポリエチレン(B)以外の樹脂などを、本発明の効果を損なわない範囲で含有させることができる。
そのような例としては、接着性、相溶性を改善するために、粘着付与剤として熱可塑性固形樹脂や固形状ゴム、液状樹脂、軟化剤、可塑剤などを添加することも行われる。たとえば、ロジンとその誘導体、テルペン樹脂や石油樹脂とその誘導体、アルキッド樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、クマロンインデン樹脂、合成テルペン樹脂、アルキレン樹脂、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリブテン、イソブチレンとブタジエンの共重合物、鉱油、プロセスオイル、パイン油、アントラセン油、松根油、可塑剤、動植物油、重合油等である。
上記以外にも、前記した変性ポリエチレン(B)に含有することのできる配合剤をその他の成分として含有させることができる。
改質アスファルト組成物を製造する方法は特に限定されるものではなく、単純にアスファルト(A)、変性ポリエチレン(B)、及び必要によりその他の成分を混合することによって得ることが出来る。また、後述する骨材と同時にこれら成分を混合することも可能であるし、骨材とアスファルトの混合の際に変性ポリエチレン(B)を添加することも可能である。
本発明のアスファルト混合物とは、前記した本発明の改質アスファルト組成物と骨材とを少なくとも含有する。このように、本発明の改質アスファルト組成物と骨材とを配合することで、高性能の舗装用アスファルト混合物を得ることが出来る。
アスファルト混合物を構成する骨材としては特に限定はなく、通常用いられる骨材である砕石、砂利、砂、スラグなどが挙げられる。
アスファルト混合物に本発明の改質アスファルト組成物を用いることで、改質アスファルト組成物と骨材の混合温度を従来よりも低い温度で行うことが出来る。例えば150℃以下の温度においても作業性の良い流動性を示す。これは本発明のアスファルト改質材である変性ポリエチレン(B)の流動性が低温でも良好であるためであり、また、混合温度を下げることで混合に用いるエネルギーを低減することを可能としている。
なお、本発明の改質アスファルト組成物と骨材との混合方法も制限は無く、通常、アスファルト舗装の施工時に行われる方法を適用することができる。
本発明の改質アスファルト組成物及びアスファルト混合物の用途は特に限定するものではないが、一般舗装や排水性舗装などの道路舗装に好適に用いられるほか、鉄道等の軌道敷、屋外競技場や公園、駐車場、サーキットコースなどに好適に用いることができる。ま
た、屋外の地表面の舗装用に限らず、例えば、屋上、屋根などの舗装にも好適に用いることが出来る。
本発明のアスファルト混合物を道路舗装に用いる場合、アスファルト舗装の構成に制限はないが、通常、表層から順に、アスファルト表層、アスファルト基層、上層路盤、下層路盤等から構成される。本発明のアスファルト混合物は、通常、アスファルト表層に用いるが、アスファルト基層に用いてもよい。アスファルト舗装の施工方法にも制限は無く、通常のアスファルト舗装の施工時に行われる方法を適用することができる。
さらには、本発明の改質アスファルト組成物は、道路舗装における乳剤(タックコート、プライムコート、シールコート)、鋼管・鉄筋などの防錆材、自動車のアンダーコート用塗料の原料、電気製品の制振シートの原料、電池などの絶縁材料や接着剤、粘着剤、撥水剤、防水剤、防湿剤、シーリング剤、顔料などにも用いることができる。
本発明の実施例及び比較例では、以下の原料を用いた。
・PE−1: ノバテックLL UJ790(日本ポリエチレン製、線状低密度ポリエチレン、MFR=50g/10分(190℃、21.16N荷重)、密度=0.928g/cm3、融解ピーク温度=122℃)
・PE−2: ノバテックLD LJ903(日本ポリエチレン製;高圧法低密度ポリエチレン、MFR=50g/10分(190℃、21.16N荷重)、密度=0.917g/cm3、融解ピーク温度=102℃)
・PE−3: ノバテックHD HJ490(日本ポリエチレン製;高密度ポリエチレン、MFR=20g/10分(190℃、21.16N荷重)、密度=0.958g/cm3、融解ピーク温度=133℃)
・PE−4: カーネル KJ640T(日本ポリエチレン製;メタロセン線状低密度ポリエチレン、MFR=30g/10分(190℃、21.16N荷重)、密度=0.880g/cm3、融解ピーク温度=60℃)
・PE−5: ノバテックLL UF240(日本ポリエチレン製;線状低密度ポリエチレン、MFR=2.1g/10分(190℃、21.16N荷重)、密度=0.920g/cm3、融解ピーク温度=123℃)
・メルトフローレート(MFR): JIS−K7210(1999)に準拠して、190℃、21.16N荷重にて測定した。
・融解ピーク温度(Tm): SIIナノテクノロジー製、DSC6220(示差走査熱量計)にて秤量5mg、昇温、降温速度ともに10℃/分にてのセカンドスキャンにて測定を行い、融解の最大ピーク温度をTmとした。なお、ファーストスキャン時の昇温到達温度は200℃とした。
・シラン変性量: シラン変性したポリエチレンを加熱燃焼させ灰化し、灰分をアルカリ融解して純水に溶解後定溶し、高周波プラズマ発光分析装置(島津製作所製ICPS7510)を用いてICI発光分析法によりグラフトシラン量の定量を行った。
[150℃粘度]
毛細管粘度計を用いて150℃での粘度を測定した。150℃での粘度は150〜200mPa・sの範囲であることが混合作業及び性能上好ましい。
[60℃粘度]
60℃粘度は減圧毛管式粘度計を用いて測定した。60℃での粘度は高いほうが望ましい。
[針入度]
JIS K2207に従い、25℃、100g荷重、5秒間での標準針の貫入量にて求めた。なお、針入度は改質アスファルト組成物の持っている硬さの基準であり、適宜設定されるべきものであるが、均一であることが好ましい。
[軟化点]
JIS K2207に従い、水またはグリセリン中で改質アスファルト組成物を5℃/分の速度で加熱しながら、直径9.53mm、重量3.5gの鋼球が改質アスファルト組成物を抜けて25.4mm落ちる時の温度で評価した。なお、軟化点は舗装の耐流動性の指標となり、80℃〜110℃の範囲であることが好ましい。
改質アスファルト組成物をアルミニウム製のパイプ(高さ50cm、直径5cm)に入れ、150℃で3日間静置した。次いで、室温で管を改質アスファルト組成物ごと切断し、頂部と底部のアスファルトを取り出し、各部分のアスファルトの150℃粘度、60℃粘度、針入度、軟化点を測定した。頂部と底部の数値の差が小さいほど良好である。
下記3試験を舗装試験法便覧(社団法人日本道路協会発行)の記載に準拠して測定した。
[マーシャル安定度試験]
マーシャル突き固め試験機を用いて、直径約10.2cm、高さ約6.3cmの円筒供試体を作成した。これを60℃に設置した水槽に30分投入した後に取り出してマーシャル安定度試験載荷装置(曲率半径5.08cm)へ円筒を寝かせた状態で設置し、50mm/分の速度で荷重をかけ、供試体が破壊するまでに示した最大荷重(標準安定度)と、そのときの変形量(フロー値)を求めた。
また、水槽投入時間を48時間とした後の破壊最大荷重測定値を水浸安定度とし、下記式にて残留安定度を求めた。なお、マーシャル安定度試験は、アスファルト混合物の強さと耐水性の指標である。
残留安定度(%)=(水浸安定度/標準安定度)×100
マーシャル安定度試験用の供試体をロサンゼルス試験機(粗骨材のすり減り試験法に規定する機械)に入れ、鋼球を使用せずにドラムを300回転させ、試験後の損失量を下記式にて測定した。なお、カンタブロ試験は、骨材の飛散のし難さの指標であり、数値が小さい方がよい。
損失量(%)=〔(試験前の供試体質量−試験後の供試体質量)/試験前の供試体質量〕×100
締固め装置を用いて、アスファルト混合物を30cm×30cm×5cmの大きさの板とし、60℃の恒温室中でホイールトラッキング試験機に設置し、直径200mm×巾50mm、硬度JIS78、タイヤ厚20mm、自重50kg、接地圧5kg/cm2のタイヤで30回/分、往復距離200mmの条件にて供試体上を往復させ、轍掘れの深さが1mmに達するときの往復数で評価した。なお、ホイールトラッキング試験は、轍掘れのし難さの指標であり、数値が大きい方がよい。
ポリエチレンとしてPE−1の100重量部に対し、不飽和シラン化合物としてビニル
トリメトキシシラン(VTMOS)0.5重量部、ジクミルパーオキサイド0.2重量部をブレンダーにて攪拌後、温度220℃に設定された二軸造粒機(池貝社製、PCM45)に投入し、ノズルより出てきたストランドを水槽にて冷却固化した後にペレット状にカッティングして変性ポリエチレン−Aを得た。得られたシラン変性ポリエチレン−Aの物性を表−1に示す。
アスファルトとして、東新エナジー社製60/80ストレートアスファルトの100重量部に対し、上記で得られたシラン変性ポリエチレン5重量部を加えて、4枚羽根攪拌翼を備えた攪拌機により、155℃、回転速度400rpmの条件下で混練して改質アスファルト組成物を製造した。得られた改質アスファルト組成物の物性を表−2に示す。
次に、6号砕石84重量%、粗目砂11重量%、石粉5重量%からなる骨材100重量部と前記操作にて得られた改質アスファルト組成物10重量部を150℃にて混合し、アスファルト混合物を得た。得られたアスファルト混合物を前記の評価法に基づいて、マーシャル安定度試験、カンタブロ試験、ホイールトラック試験を行った。結果を表−2に示す。
ポリエチレンの100重量部に対し、VTMOS及びジクミルパーオキサイドの配合量を表−1の通りとした以外は実施例1と同様にして変性ポリエチレン−B及びCを得た。得られた変性ポリエチレン−B及びCの物性を実施例1と同様にして測定した結果を表−1に示す。
次に変性ポリエチレン−BまたはCを用い、実施例1と同様にして改質アスファルト組成物及びアスファルト混合物を製造し、その物性を実施例1と同様にして測定した結果を表−2に示す。
[実施例4]
ストレートアスファルトの100重量部に対し、変性ポリエチレン−Aを2重量部加えて改質アスファルト組成物を得る以外は実施例1と同様にして改質アスファルト組成物及びアスファルト混合物を製造し、その物性を実施例1と同様にして測定した結果を表−2に示す。
ポリエチレンとしてPE−2を用い、VTMOSの代わりにビニルトリエトキシシラン(VTEOS)を用いた以外は実施例2と同様にして変性ポリエチレン−Dを得た。得られた変性ポリエチレン−Dの物性を実施例1と同様にして測定した結果を表−1に示す。
次に変性ポリエチレン−Dを用い、実施例1と同様にして改質アスファルト組成物及びアスファルト混合物を製造し、その物性を実施例1と同様にして測定した結果を表−2に示す。
[実施例6]
ポリエチレンとしてPE−3を用いる以外は実施例2と同様にして変性ポリエチレン−Eを得た。得られた変性ポリエチレン−Eの物性を実施例1と同様にして測定した結果を表−1に示す。
次に変性ポリエチレン−Eを用い、実施例1と同様にして改質アスファルト組成物及びアスファルト混合物を製造し、その物性を実施例1と同様にして測定した結果を表−2に示す。
ストレートアスファルトの100重量部に対し、変性ポリエチレン−Bを25重量部を加えて改質アスファルト組成物を得る以外は実施例2と同様にして改質アスファルト組成物及びアスファルト混合物を製造し、その物性を実施例1と同様にして測定した結果を表−3に示す。
[比較例2]
変性ポリエチレン−Aを用いる代わりにPE−1を用いた以外は実施例1と同様にして改質アスファルト組成物及びアスファルト混合物を得た。得られた改質アスファルト組成物及びアスファルト混合物の物性を実施例1と同様にして測定した結果を表−3に示す。
変性ポリエチレン−Aを用いる代わりにスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体水添物(SEBS)(旭化成社製、タフテックH1052X;スチレン含量=20重量%、MFR=3g/10分)を用いた以外は実施例1と同様にして改質アスファルト組成物及びアスファルト混合物を得た。得られた改質アスファルト組成物及びアスファルト混合物の物性を実施例1と同様にして測定した結果を表−3に示す。
[比較例4]
変性ポリエチレン−Aを用いる代わりに、エチレン−ビニルトリメトキシシラン共重合体(三菱化学製リンクロンX;MFR=1g/10分、Tm=111℃、シラン変性量2重量%)を用いた以外は実施例1と同様にして改質アスファルト組成物及びアスファルト混合物を得た。得られた改質アスファルト組成物及びアスファルト混合物の物性を実施例1と同様にして測定した結果を表−3に示す。
VTMOSの代わりに無水マレイン酸(MAH)を用いる以外は実施例2と同様にして酸変性ポリエチレン−Fを得た。得られた変性ポリエチレン−Fの物性を実施例1と同様にして測定した結果を表−1に示す。
次に変性ポリエチレン−Fを用い、実施例1と同様にして改質アスファルト組成物及びアスファルト混合物を製造し、その物性を実施例1と同様にして測定した結果を表−3に示す。
[比較例6]
PE−1の代わりにポリエチレンワックス(三洋化成工業社製サンワックス151−P;分子量=2000(蒸気浸透圧法)、軟化点=107℃、密度=0.92g/10分、MFR>200g/10分)を用いた以外は実施例2と同様にして変性ポリエチレン−Gを得た。得られた変性ポリエチレン−Gの物性を実施例1と同様にして測定した結果を表−1に示す。なお、変性ポリエチレン−GのMFRは200g/10分を超え、測定が困難であった。
次に変性ポリエチレン−Gを用い、実施例1と同様にして改質アスファルト組成物及びアスファルト混合物を製造し、その物性を実施例1と同様にして測定した結果を表−3に示す。
ポリエチレンの100重量部に対しVTMOS及びジクミルパーオキサイドの配合量を表−1の通りとした以外は実施例1と同様にして変性ポリエチレン−Hを得た。得られた変性ポリエチレン−Hの物性を実施例1と同様にして測定した結果を表−1に示す。
次に変性ポリエチレン−Hを用い、実施例1と同様にして改質アスファルト組成物及びアスファルト混合物を製造し、その物性を実施例1と同様にして測定した結果を表−3に示す。
[比較例8、9]
ポリエチレンとしてPE−4またはPE−5を用いる以外は実施例2と同様にして変性ポリエチレン−I及びJを得た。得られた変性ポリエチレン−I及びJの物性を実施例1と同様にして測定した結果を表−1に示す。
次に変性ポリエチレン−IまたはJを用い、実施例1と同様にして改質アスファルト組成物及びアスファルト混合物を製造し、その物性を実施例1と同様にして測定した結果を表−3に示す。
Claims (6)
- アスファルト(A)100重量部と、ポリエチレンに一般式RSi(R’) 3 (ここでRはエチレン性不飽和炭化水素基、R’は互いに独立に炭化水素基またはアルコキシ基であり、R’のうち少なくとも1つはアルコキシ基である)で表される不飽和シラン化合物が0.1〜5重量%グラフトされた変性ポリエチレン(B)1〜20重量部とを含有し、該変性ポリエチレン(B)が、JIS−K7210(1999)に準拠して190℃、21.16N荷重にて測定したメルトフローレートが2〜100g/10分、且つ示差走査熱量計による融解ピーク温度が100〜140℃であることを特徴とする改質アスファルト組成物。
- 一般舗装または排水性舗装に使用されることを特徴とする請求項1に記載の改質アスファルト組成物。
- 請求項1に記載の改質アスファルト組成物と骨材とを含有することを特徴とするアスファルト混合物。
- 請求項1に記載の改質アスファルト組成物と骨材とを150℃以下の温度で混合することを特徴とするアスファルト混合物の製造方法。
- 一般舗装または排水性舗装に使用されることを特徴とする請求項3に記載のアスファルト混合物。
- 請求項3に記載のアスファルト混合物を表層とするアスファルト舗装材。
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