JP2019178034A - 速硬型半たわみ性舗装用注入材およびそれを用いた注入ミルク - Google Patents

速硬型半たわみ性舗装用注入材およびそれを用いた注入ミルク Download PDF

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Abstract

【課題】短時間で強度を発現することができ、かつ流動性が高く、強度が発現する前に開粒度アスファルト混合物の空隙に注入することができ、さらに開粒度アスファルト混合物の空隙に注入して形成した舗装体は黒斑が発生しにくい速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクの原料として有利に用いることができる速硬型半たわみ性舗装用注入材を提供する。【解決手段】ポルトランドセメント、速硬性混和材、細骨材、フライアッシュ、再乳化粉末樹脂、消泡剤、凝結調整剤を含む速硬型半たわみ性舗装用注入材であって、前記ポルトランドセメントと速硬性混和材の合計量100質量部に対する前記フライアッシュの含有量が5質量部以上70質量部以下の範囲内にあり、前記フライアッシュは、ハンター表色系におけるL値が50.0以上であって、強熱減量が4.0質量%以下であり、メチレンブルー吸着量が0.80mg/g以下である速硬型半たわみ性舗装用注入材。【選択図】なし

Description

本発明は、速硬型半たわみ性舗装用注入材およびそれを用いた注入ミルクに関するものである。
半たわみ性舗装とは、空隙率の大きい開粒度アスファルト混合物の空隙に、セメントを含むスラリー状の半たわみ性舗装用注入ミルクを注入して、硬化させることによって形成される舗装である。半たわみ性舗装用注入ミルクは、セメントを含む半たわみ性舗装用注入材と水とを混合して調製した混合物であり、セメントミルクとも呼ばれている。半たわみ性舗装は、アスファルト舗装が持つたわみ性と、コンクリート舗装が持つ剛性とを併せ持ち耐わだち掘れ性に優れている。また、半たわみ性舗装は、アスファルト舗装と比較して明色性に優れている。このため、半たわみ性舗装は、コンテナヤード、重交通道路、バスレーンやバス停流所、交差点、サービスエリアの駐車エリア等の舗装に利用されている。
社団法人日本道路協会発行の「アスファルト舗装要綱」によれば、半たわみ性舗装用注入材は、材齢7日圧縮強度の標準的な値が9.8〜29.4N/mmとされている。ポルトランドセメントを半たわみ性舗装用注入材として単独で使用すると、材齢7日圧縮強度が前記の上限値29.4N/mmを超えてしまう。このため、半たわみ性舗装用注入材では、材齢7日圧縮強度が標準的な値となるように、混合材を添加している。混合材としては、石灰石微粉末、高炉スラグ微粉末、フライアッシュなどが利用されている。
特許文献1には、セメントと、少なくとも2種類以上の低炭素性材料(シラス、シラスバルーン、ガラスバルーン、バイオマスボイラ灰、フライアッシュ、シリカフューム、硫酸リチウム、ギ酸カルシウム、高性能減水剤、高炉スラグ等)とを含有したセメント系混合材を、半たわみ性舗装用注入材として用いることが開示されている。
特許文献2には、セメント、フライアッシュ、硅砂、再乳化性粉体ポリマーおよび所望により粉体添加剤を含むセメント組成物を、半たわみ性舗装用注入材として用いることが開示されている。この特許文献2には、粉体添加剤として、減水剤、流動化材、消泡剤が記載されている。さらに、この特許文献2には、流動性を改善する目的でフライアッシュをセメントに対して15〜70重量部混和することが記載されている。
特許文献3には、セメントとフライアッシュと珪砂と再乳化性粉体樹脂と粉体添加物が所定の割合で均一に混合して調製された半たわみ性舗装用一粉型ポリマーセメント組成物に、石灰石微粉末、石灰石骨材、収縮低減剤を添加することが開示されている。この特許文献3には、粉体添加物として、減水剤、消泡剤、増粘剤が記載されている。
また、半たわみ性舗装では施工場所によっては、早期に交通を開放することが要求されることがある。このような場合は、短時間で硬化が始まって強度を発現する速硬型の半たわみ性舗装用注入ミルクが用いられる。速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクとしては、半たわみ性舗装用注入ミルクに速硬性混和材を添加したもの、セメントに超速硬セメントを用いたものが知られている。
例えば、特許文献4には、速硬性混和材として、カルシウムアルミネートと無水石膏と凝結調整剤とを含み、前記カルシウムアルミネート100質量部に対して、前記無水石膏を50質量部以上200質量部以下の範囲にて含み、前記凝結調整剤を0.1質量部以上10質量部以下の範囲にて含む組成物が開示されている。
また、特許文献5には、超速硬セメント、20μm以下に分級されたフライアッシュ、高性能減水剤、リグニン系遅延剤およびオキシカルボン酸系遅延剤を所定の割合で配合した開粒度混合物用注入材が開示されている。この特許文献5によれば、フライアッシュは注入材の流動性を向上させ、材料分離による注入後の半たわみ性構造体の沈下を防止する作用を有し、特に20μm以下に分級されたフライアッシュは、既設の開粒度混合物への良好な浸透性を確保するために好適であるとされている。
特開2011−207686号公報 特開平3−295905号公報 特開平10−1347号公報 特許第6206614号公報 特開2006−96627号公報
ところで、速硬型の半たわみ性舗装用注入ミルクでは、強度が発現する前(即ち、硬化が始まる前)に開粒度アスファルト混合物の空隙に注入できるように、流動性が高いことが望まれる。また、半たわみ性舗装用注入ミルクを開粒度アスファルト混合物の空隙に注入して形成した舗装体は、色むらが発生しにくく、見栄えがよいことが好ましい。
特許文献2、5に記載されているように、フライアッシュは、半たわみ性舗装用注入ミルクの流動性を向上させる作用がある。しかしながら、フライアッシュは、石炭火力発電所のボイラ内での石炭の燃焼によって生じたものであり、石炭由来の未燃カーボンが残留していることが多い。このため、フライアッシュを含む半たわみ性舗装用注入ミルクを、開粒度アスファルト混合物の空隙に注入して形成した舗装体は、未燃カーボンの浮き上がりによる黒斑が発生しやすいという問題がある。コンクリート用フライアッシュの品質は、JIS A 6201で規定されおり、例えば、フライアッシュII種では、未燃カーボン量の指標となる強熱減量が5.0%以下とされている。しかしながら、本発明者の検討によると、このII種のフライアッシュを用いた半たわみ性舗装用注入ミルクを開粒度アスファルト混合物の空隙に注入した舗装体においても、未燃カーボンに起因する黒斑が発生しやすい傾向があった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、短時間で強度を発現することができ、かつ流動性が高く、強度が発現する前に開粒度アスファルト混合物の空隙に注入することができ、さらに開粒度アスファルト混合物の空隙に注入して形成した舗装体は黒斑が発生しにくい速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクおよびその速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクの原料として有利に用いることができる速硬型半たわみ性舗装用注入材を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の速硬型半たわみ性舗装用注入材は、ポルトランドセメント、速硬性混和材、細骨材、フライアッシュ、再乳化粉末樹脂、消泡剤、凝結調整剤を含む速硬型半たわみ性舗装用注入材であって、前記ポルトランドセメントと速硬性混和材の合計量100質量部に対する前記フライアッシュの含有量が5質量部以上70質量部以下の範囲内にあり、前記フライアッシュは、ハンター表色系におけるL値が50.0以上であって、強熱減量が4.0質量%以下であり、メチレンブルー吸着量が0.80mg/g以下であることを特徴としている。
本発明の速硬型半たわみ性舗装用注入材によれば、速硬性混和材を含むので、短時間で強度を発現することができ、比較的短時間で交通開放が可能な注入ミルクを調製することができる。また、ポルトランドセメントと速硬性混和材の合計量100質量部に対するフライアッシュの含有量が5質量部以上70質量部以下の範囲内にあるので、流動性が高く、硬化が始まる前に開粒度アスファルト混合物の空隙に注入しやすい注入ミルクを調製することができる。さらに、フライアッシュは、ハンター表色系におけるL値が50.0以上、強熱減量が4.0質量%以下、メチレンブルー吸着量が0.80mg/g以下の3つの要件を満足しているので、未燃カーボンが浮き上がりにくい。このため、この速硬型半たわみ性舗装用注入材を用いて調製した注入ミルクを使用した舗装体は、未燃カーボンの浮き上がりによる黒斑が発生しにくくなる。
ここで、本発明の速硬型半たわみ性舗装用注入材において、前記フライアッシュは、45μmふるい残分が1質量%以上10質量%以下の範囲内にあって、分級精度指数к(D25/D75)が0.6以上0.7以下の範囲内にあり、ブレーン比表面積が3500cm/g以上であることが好ましい。
この場合、フライアッシュは微細で、粒度分布が狭いので、流動性がより高く、開粒度アスファルト混合物の空隙により注入しやすい注入ミルクを調製することができる。
また、本発明の速硬型半たわみ性舗装用注入材において、前記速硬性混和材は、カルシウムアルミネートと無水石膏とを含む組成物であることが好ましい。
この場合、速硬性混和材は上記の成分を含むので、短時間で強度を発現する注入ミルクを調製することができる。
また、本発明の速硬型半たわみ性舗装用注入材においては、前記ポルトランドセメントと速硬性混和材の合計量100質量部に対して、前記細骨材の含有量が5質量部以上50質量部以下の範囲内、前記再乳化粉末樹脂の含有量が1.0質量部以上20.0質量部以下の範囲内、前記消泡剤の含有量が0.05質量部以上3.0質量部以下の範囲内、前記凝結調整剤の含有量が0.1質量部以上10質量部以下の範囲内にあることが好ましい。
この場合、細骨材、再乳化粉末樹脂、消泡剤、凝結調整剤の含有量が上記の範囲にあることによって、これら添加物の各作用が有効に作用するので、流動性がさらに高く、開粒度アスファルト混合物の空隙にさらに注入しやすい注入ミルクを調製することができる。
本発明の速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクは、上述の速硬型半たわみ性舗装用注入材と水とを含み、前記速硬型半たわみ性舗装用注入材100質量部に対する前記水の含有量が38質量部以上60質量部以下の範囲内にあることを特徴としている。
本発明の速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクによれば、上述の速硬型半たわみ性舗装用注入材と水とを上記の範囲で含むので、短時間で強度を発現することができる。また、流動性が高く、強度が発現する前に開粒度アスファルト混合物の空隙に注入することができる。さらに、未燃カーボンが浮き上がりにくいので、この半たわみ性舗装用注入ミルクを使用した舗装体は、未燃カーボンの浮き上がりによる黒斑が発生しにくくなる。
ここで、本発明の速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクにおいては、粘度が150mPa・s以上600mPa・s以下の範囲内にあることが好ましい。
この場合、開粒度アスファルト混合物の空隙にさらに注入しやすく、ブリーディングが発生しにくくなるので、舗装体の滑り抵抗性が高くなる。
本発明によれば、短時間で強度を発現することができ、かつ流動性が高く、強度が発現する前に開粒度アスファルト混合物の空隙に注入することができ、さらに開粒度アスファルト混合物の空隙に注入して形成した舗装体は黒斑が発生しにくい速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクおよびその速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクの原料として有利に用いることができる速硬型半たわみ性舗装用注入材を提供することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態である速硬型半たわみ性舗装用注入材、および速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクについて説明する。
[速硬型半たわみ性舗装用注入材]
本実施形態の速硬型半たわみ性舗装用注入材は、ポルトランドセメント、速硬性混和材、細骨材、フライアッシュ、再乳化粉末樹脂、消泡剤、凝結調整剤を含む粉末状の組成物である。速硬型半たわみ性舗装用注入材は、水と混練してスラリー状の速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクを調製するための原料として用いられる。
(ポルトランドセメント)
ポルトランドセメントには特に制限はなく、半たわみ性舗装用注入材のセメント源として利用されている公知のポルトランドセメントを用いることができる。ポルトランドセメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメントを用いることができる。
(速硬性混和材)
速硬性混和材は、速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクの凝結始発時間および凝結終結時間を短くするための混和材である。速硬性混和材は、カルシウムアルミネートと石膏とを含む組成物であることが好ましい。カルシウムアルミネートは、12CaO・7Al、11CaO・7Al・CaFおよびCaO・Alのうちの1つ以上の化合物を含み、ガラス化率が80%以上であるものが好ましい。速硬性混和材は、カルシウムアルミネート100質量部に対して、無水石膏を50質量部以上200質量部以下の範囲内で含むことが好ましい。
ポルトランドセメントと速硬性混和材の含有量比は、目的とする速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクの凝結時間によって変動するが、一般に、質量比で30:70〜70:30の範囲にある。
(フライアッシュ)
フライアッシュは、石炭火力発電所のボイラ内での石炭の燃焼によって生じた石炭灰の粒子が相互に凝集して生成した粒状物である。フライアッシュは、一般に粒子形状が球状で、その球状粒子によるボールベアリング効果により速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクの流動性を向上させる作用がある。速硬型半たわみ性舗装用注入材のフライアッシュの含有量は、ポルトランドセメントと速硬性混和材の合計量100質量部に対して5質量部以上70質量部以下の範囲内であり、さらに好ましくは、10質量部以上50質量部以下の範囲内にある。フライアッシュの含有量が5質量部未満の速硬型半たわみ性舗装用注入材を用いて調製した注入ミルクは、上記の流動性の向上効果が発揮されにくく、ブリーディングが発生しやすくなり、開粒度アスファルト混合物への注入率が低下するおそれがある。一方、フライアッシュの含有量が70質量部を超える速硬型半たわみ性舗装用注入材を用いて調製した注入ミルクは、粘度が高くなり、開粒度アスファルト混合物への注入率が低下するおそれがある。
フライアッシュは、ハンター表色系におけるL値、強熱減量、メチレンブルー吸着量、45μmふるい残分、分級精度指数k(D25/D75)、ブレーン比表面積が所定の値とされている。
ハンター表色系におけるL値は、一般に明度を表す。未燃カーボンを含まないフライアッシュは固有のL値を持つが、黒色の未燃カーボンのL値はほぼ0であるため、未燃カーボンを含むフライアッシュのL値は、フライアッシュの未燃カーボンの含有量と相関すると考えられる。すなわち、L値が低い(明度が低い=黒色に近い)ことは、フライアッシュの未燃カーボンの含有量が多いことの指標になると考えられる。このため、本実施形態では、L値は50.0以上とされている。L値は、54.0以上であることがさらに好ましい。
強熱減量は、フライアッシュを975±25℃に調節した電気炉で強熱したときの減量であり、JIS A 6201(コンクリート用フライアッシュ)に準拠した方法により測定した値である。未燃カーボンは通常975℃までの温度で燃焼するので、強熱減量は、フライアッシュの未燃カーボンの含有量と相関すると考えられる。すなわち、強熱減量が多いことは、フライアッシュの未燃カーボンの含有量が多いことの指標になると考えられる。このため、本実施形態では、強熱減量は4.0質量%以下とされている。強熱減量は、3.0質量%以下であることが好ましい。
メチレンブルー吸着量(MB吸着量)は、セメント協会標準試験方法JCAS I−61:2008(フライアッシュのメチレンブルー吸着量 試験方法)に準拠した方法により測定した値である。メチレンブルーは炭素に吸着しやすいため、MB吸着量は、フライアッシュの未燃カーボンの含有量と相関すると考えられる。すなわち、MB吸着量が多いことは、フライアッシュの未燃カーボンの含有量が多いことの指標になると考えられる。このため、本実施形態では、MB吸着量は0.8mg/g以下とされている。MB吸着量は、0.75mg/g以下であることが好ましい。
ただし、L値は未燃カーボン以外の着色成分の混入によって変動する。強熱減量は未燃カーボン以外の可燃物の燃焼や水和物の脱水や炭酸塩の脱炭酸などによって変動する。MB吸着量は、未燃カーボン以外のメチレンブルーを吸着する多孔質物質の混入によって変動する。よって、L値、強熱減量およびMB吸着量の各測定値からでは、フライアッシュの未燃カーボンの量を単純に推定することはできない。このため、本実施形態では、L値、強熱減量およびMB吸着量の各測定値の全てが上記の数値を満足するフライアッシュを用いている。
45μmふるい残分は、JIS A 6201(コンクリート用フライアッシュ)に準拠した方法により測定した値である。
45μmふるい残分が10質量%を超える、すなわち粗いフライアッシュ粒子が多くなりすぎるとフライアッシュの球状粒子によるボールベアリング効果が低下し、速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクの流動性が低下するとともにブリーディング率が高くなるおそれがある。一方、45μmふるい残分が1質量%未満になる、すなわち45μm以下の微細なフライアッシュ粒子が多くなりすぎると凝集粒子を形成しやすくなり、速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクの流動性が低下するおそれがある。また、石炭火力発電所のボイラ内で生成するフライアッシュは一般に粒度分布が広いため、45μmふるい残分が1質量%未満となるように分級条件を設定すると、分級効率が低下し、フライアッシュの生産性が低くなる場合がある。
このため、本実施形態では、45μmふるい残分を1質量%以上10質量%以下の範囲内とされている。
分級精度指数к(D25/D75)は、フライアッシュの部分分級効率曲線において、部分分級効率が25%となるときの粒径(D25、単位:μm)と部分分級効率が75%となるときの粒径(D75、単位:μm)との比であり、下記の式により求められる値である。
к=D25/D75
分級精度指数κは1に近いほど、粒度分布が狭く、粒径が揃っていることを意味する。
フライアッシュは、ある程度粒度分布が狭く、粒径が揃っている方が、球状粒子によるボールベアリング効果による流動性改善効果が高くなるので好ましい。分級精度指数кが0.6未満になると、ボールベアリング効果が低下して、速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクの流動性が低下するおそれがある。一方、分級精度指数кが0.7を超えると粒度分布が狭くなりすぎるため、微細なフライアッシュ粒子が極端に減少し、速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクの開粒度アスファルト混合物への注入率が低下するおそれがある。また、石炭火力発電所のボイラ内で生成するフライアッシュは一般に粒度分布が広いため、分級精度指数κが0.7を超えるように分級条件を設定すると、分級効率が低下し、フライアッシュの生産性が低くなる場合がある。
このため、本実施形態では、分級精度指数к(D25/D75)は0.6以上0.7以下の範囲内とされている。
ブレーン比表面積は、ブレーン法により測定された比表面積であり、JIS A 6201(コンクリート用フライアッシュ)に準拠した方法により測定した値である。
ブレーン比表面積が小さくなりすぎるとフライアッシュ粒子が粗くなるため、フライアッシュの球状粒子によるボールベアリング効果が低下し、速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクの流動性が低下するとともにブリーディング率が高くなるおそれがある。このため、本実施形態では、ブレーン比表面積は3500cm/g以上とされている。一方、ブレーン比表面積が大きくなりすぎる、すなわちフライアッシュ粒子が細かくなりすぎると、凝集粒子を形成しやすくなり、速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクの流動性が低下するおそれがある。このため、ブレーン比表面積は、7000cm/g以下であることが好ましい。
以上のようなフライアッシュは、例えば、石炭火力発電所にて回収されたフライアッシュから未燃カーボンを除去し、分級して粒径を調整することによって製造することができる。未燃カーボンを除去する方法としては、特に制限はないが、浮選法、静電選別法、加熱法、分級法を用いることができる。浮選法とは、フライアッシュと水とを含むスラリーを調製し、疎水性の未燃カーボンをスラリー中に浮上させて浮上物として除去する方法である。静電選別法とは、フライアッシュと未燃カーボンとを互いに逆の電荷に帯電させ、電荷の極性を利用して未燃カーボンを除去する方法である。加熱法とは、未燃カーボンを加熱分解して除去する方法である。分級法は、分級によって粗大な未燃カーボンの粒子を除去する方法である。
(細骨材)
細骨材には特に制限はなく、半たわみ性舗装用注入材の細骨材として利用されている公知の細骨材を用いることができる。細骨材としては、例えば、山砂、川砂、陸砂、砕砂、海砂、珪砂4〜9号を用いることができる。
細骨材の含有量は、ポルトランドセメントと速硬性混和材の合計量100質量部に対して5質量部以上50質量部以下の範囲内にあることが好ましく、10質量部以上30質量部以下の範囲内にあることがさらに好ましい。細骨材の含有量が5質量部未満では、速硬型半たわみ性舗装用注入材に水を加えて練り混ぜるときの分散媒体となる細骨材が少なくなりすぎて、良好な練り混ぜができなくなるおそれがある。一方、細骨材の含有量が70質量部を超えると、細骨材が速硬型半たわみ性舗装用注入ミルク内で沈降、分離するおそれがある。
(再乳化粉末樹脂)
再乳化粉末樹脂は、速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクの流動性および保水性を向上させる作用がある。また、注入ミルクを注入した舗装体のひび割れを防止する作用もある。再乳化粉末樹脂(樹脂エマルジョン)としては、例えば、アクリル系、アクリル−ベオバ系、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)系、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)系など半たわみ性舗装用注入材の再乳化粉末樹脂として利用されている公知の材料を用いることができる。
再乳化粉末樹脂の含有量は、ポルトランドセメントと速硬性混和材の合計量100質量部に対して1.0質量部以上20.0質量部以下の範囲内にあることが好ましく、2.0質量部以上10.0質量部以下の範囲内にあることがさらに好ましい。再乳化粉末樹脂の含有量が1.0質量部未満では、再乳化粉末樹脂による上記の効果が十分に発揮されないおそれがある。一方、再乳化粉末樹脂の含有量が20質量部を超えると、注入ミルクの粘度が高くなりすぎて、アスファルト混合物の空隙への注入性が低下するおそれがある。
(消泡剤)
消泡剤は、速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクの泡の発生を抑えて、流動性を向上させる作用がある。消泡剤としては、例えば、エーテル類、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、高級アルコール、高重合グリコール、シリコーン類等など半たわみ性舗装用注入材の消泡剤として利用されている公知の材料を用いることができる。
消泡剤の含有量は、ポルトランドセメントと速硬性混和材の合計量100質量部に対して0.05質量部以上3.0質量部以下の範囲内にあることが好ましく、0.10質量部以上2.0質量部以下の範囲内にあることがさらに好ましい。消泡剤の含有量が0.05質量部未満では、消泡剤による上記の効果が十分に発揮されないおそれがある。一方、消泡剤の含有量が3.0質量部を超えても、消泡効果の増大が期待できないばかりか、注入ミルクの硬化遅延や強度発現性が悪くなるという弊害が生じるおそれがある。
(凝結調整剤)
凝結調整剤は、速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクの凝結時間を調整する作用がある。凝結調整剤は、無機炭酸塩、オキシカルボン酸、アルミン酸ナトリウムおよび硫酸ナトリウムのうちの1つ以上を含む組成物であることが好ましく、全部を含む組成物であることが特に好ましい。無機炭酸塩は、アルカリ金属の炭酸塩あるいは炭酸水素塩であることが好ましい。無機炭酸塩の例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸アンモニウムが挙げられる。これらの無機炭酸塩は、1つを単独で使用してもよいし、2つ以上を組合せて使用してもよい。オキシカルボン酸の例としては酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、マレイン酸を挙げられる。これらのオキシカルボン酸は、1つを単独で使用してもよいし、2つ以上を組合せて使用してもよい。
凝結調整剤の含有量は、ポルトランドセメントと速硬性混和材の合計量100質量部に対して0.2質量部以上10.0質量部以下の範囲内にあることが好ましく、0.4質量部以上6.0質量部以下の範囲内にあることがさらに好ましい。凝結調整剤の含有量が0.2質量部未満では、凝結調整剤による上記の効果が十分に発揮されないおそれがある。一方、凝結調整剤の含有量が10.0質量部を超えると、注入ミルクの凝結時間が遅くなりすぎるおそれがある。
(その他の成分)
速硬型半たわみ性舗装用注入材は、さらに他の混和材を含んでいてもよい。他の混和材の例としては、減水剤、増粘剤、空気連行剤、防錆剤を挙げることができる。
(速硬型半たわみ性舗装用注入材の製造方法)
本実施形態の速硬型半たわみ性舗装用注入材は、上述の材料を混合することによって製造することができる。混合装置としては、ロッキングミキサ、V型ミキサ、縦型ミキサ、万能混合機等の通常の粉体混合装置を用いることができる。
[速硬型半たわみ性舗装用注入ミルク]
本実施形態の速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクは、上述の速硬型半たわみ性舗装用注入材と水とを含む。速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクは、水の含有量が、速硬型半たわみ性舗装用注入材100質量部に対する量として38質量部以上60質量部以下の範囲内とされている。水の含有量が少なくなりすぎると速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクの粘度が高くなりすぎて、開粒度アスファルト混合物への注入率が低下するおそれがある。一方、水の含有量が多くなりすぎると速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクのブリーディング率が高くなりすぎるおそれがある。また、水の含有量が多い速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクを使用した舗装体は、滑り抵抗値が低下するおそれがある。
速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクは、粘度が150mPa・s以上600mPa・s以下の範囲内にあることが好ましく、200mPa・s以上、400mPa・s以下の範囲内にあることがさらに好ましい。粘度が150mPa・s未満となると、注入ミルクの流動性が高くなりすぎて、ブリーディング率が高くなり、その結果、その注入ミルクを使用した舗装体は、滑り抵抗値が低下するおそれがある。一方、粘度が600mPa・s以下となると、開粒度アスファルト混合物への注入性が低下するおそれがある。
(速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクの調製方法)
速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクは、速硬型半たわみ性舗装用注入材と水とを混合することによって調製することができる。速硬型半たわみ性舗装用注入材と水との混合は、半たわみ性舗装用注入材に水を加えて混合してもよいし、水に半たわみ性舗装用注入材を加えて混合してもよい。
以上のような構成とされた本実施形態の速硬型半たわみ性舗装用注入材によれば、速硬性混和材を含むので、短時間で強度を発現することができ、比較的短時間で交通開放が可能な注入ミルクを調製することができる。また、ポルトランドセメントと速硬性混和材の合計量100質量部に対するフライアッシュの含有量が5質量部以上70質量部以下の範囲内にあるので、流動性が高く、硬化が始まる前に開粒度アスファルト混合物の空隙に注入しやすい注入ミルクを調製することができる。さらに、フライアッシュは、ハンター表色系におけるL値が50.0以上、強熱減量が4.0質量%以下、メチレンブルー吸着量が0.80mg/g以下の3つの要件を満足しているので、未燃カーボンが浮き上がりにくい。このため、この速硬型半たわみ性舗装用注入材を用いて調製した注入ミルクを使用した舗装体は、未燃カーボンの浮き上がりによる黒斑が発生しにくくなる。
また、本実施形態の速硬型半たわみ性舗装用注入材において、フライアッシュが、45μmふるい残分が1質量%以上10質量%以下の範囲内にあって、分級精度指数к(D25/D75)が0.6以上0.7以下の範囲内にあり、ブレーン比表面積が3500cm/g以上である場合は、流動性がより高く、開粒度アスファルト混合物の空隙により注入しやすい注入ミルクを調製することができる。
また、本実施形態の速硬型半たわみ性舗装用注入材において、ポルトランドセメント100質量部に対して、細骨材の含有量が5質量部以上50質量部以下の範囲内、再乳化粉末樹脂の含有量が1.0質量部以上20.0質量部以下の範囲内、消泡剤の含有量が0.05質量部以上3.0質量部以下の範囲内、凝結調整剤の含有量が0.1質量部以上10質量部以下の範囲内にある場合は、これら添加物の各作用が有効に作用するので、流動性がさらに高く、開粒度アスファルト混合物の空隙にさらに注入しやすい注入ミルクを調製することができる。
本実施形態の速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクによれば、上述の速硬型半たわみ性舗装用注入材と水とを含み、速硬型半たわみ性舗装用注入材100質量部に対する水の含有量が38質量部以上60質量部以下の範囲内にあるので、短時間で強度を発現することができる。また、流動性が高く、強度が発現する前に開粒度アスファルト混合物の空隙に注入することができる。さらに、未燃カーボンが浮き上がりにくいので、この半たわみ性舗装用注入ミルクを使用した舗装体は、未燃カーボンの浮き上がりによる黒斑が発生しにくくなる。
また、本実施形態の速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクにおいて、粘度が150mPa・s以上600mPa・s以下の範囲内にある場合、開粒度アスファルト混合物の空隙にさらに注入しやすく、ブリーディングが発生しにくくなるので、舗装体の滑り抵抗性が高くなる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
次に、本発明の作用効果を実施例により説明する。
<使用材料>
本実施例では、下記の表1に示す材料と、下記の表2に示すフライアッシュA〜Iとを使用した。なお、フライアッシュA〜Iは、異なる石炭火力発電所にて回収されたフライアッシュを、強制渦流式分級装置(日新エンジニアリング社製、ターボクラシファイア、型式TCF−2000)を用いて、回転翼の回転数1000rpmの条件で分級して得た細粉側のフライアッシュである。
Figure 2019178034
Figure 2019178034
[本発明例1〜5、比較例1〜7]
(速硬型半たわみ性舗装用注入材の調製)
上記の表1に示す材料と表2に示すフライアッシュ(FA)とを、下記の表3に示す配合割合で、かつ合計量6000gとなるように計り取った。次いで、計り取った各材料とフライアッシュとを、ロッキングミキサで20分間乾式混合して、速硬型半たわみ性舗装用注入材(注入材A1〜A9)を調製した。また、下記の表3に示すように、フライアッシュの代わりに石灰石微粉末を用い、さらに増粘剤を加えたこと以外は同様にして、速硬型半たわみ性舗装用注入材(注入材B1〜B3)を調製した。
Figure 2019178034
(速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクの調製)
プラスチック製容器に水道水を2700g投入した。次いで、この水道水を、ラボスターラー(ヘイドン社製、型式HE−1200)を用いて、回転数400rpmの撹拌羽根で撹拌しながら、上記水道水に上記で調製した速硬型半たわみ性舗装用注入材6000g(注入材100質量部に対する水の含有量:45質量部)を約30秒間で投入した。速硬型半たわみ性舗装用注入材の投入後、撹拌羽根の回転数を800rpmにして2分間練り混ぜて注入ミルクを調製した。なお、注入ミルクの調製は温度20℃の環境下で行った。
上記のようにして調製した注入ミルクを用いて、下記の評価を実施した。その結果を、下記の表4に示す。
(1)注入ミルク温度
調製直後の注入ミルクの温度を測定した。
(2)Pロート流下時間
土木学会規準「プレパックドコンクリートの注入モルタルの流動性試験方法(Pロートによる方法)(JSCE−F521)」に準拠した方法により測定した。
(3)粘度
ブルックフィールド型回転粘度計(B型)を用いて測定した。
(4)凝結時間
JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に準拠した方法により、注入ミルク調製直後からの凝結始発時間および凝結終結時間を測定した。
(5)ブリーディング率
注入ミルク1000mLを、プラスチック製容器に投入して3時間静置した。静置後、注入ミルクの表面に浮上した水の量A(mL)を測定し、下記の式よりブリーディング率を算出した。
ブリーディング率(%)=A/1000×100
(6)圧縮強度
注入ミルクを、4cm×4cm×16cmの鋼製型枠に流し込んで硬化させた。材齢3時間の圧縮強度は、注入ミルクを鋼製型枠に流し込んでから3時間後に硬化体を型枠から脱枠して、直ちに測定した。材齢7日の圧縮強度試験は、注入ミルクを鋼製型枠に流し込んでから1日後に硬化体を型枠から脱枠し、得られた硬化体を、水を含んだ濡れウエスに包んだ状態で袋に入れ、材齢7日まで養生した後に測定した。圧縮強度の測定は、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に準拠した方法により測定した。
(7)開粒度アスファルト混合物への注入率
空隙率が22.5%で、寸法が30cm×30cm×厚さ5cmである開粒度アスファルト混合物を用意した。なお、この開粒度アスファルト混合物の空隙量は、1012.5cmである。
上記の開粒度アスファルト混合物の底面と側面をガムテープで封止した後、開粒度アスファルト混合物の上面から注入ミルクを自然注入により流し込んだ。目視により注入ミルクの上面と開粒度アスファルト混合物の上面の位置とが同位置になったときを注入終了と判断し、注入された注入ミルクの体積B(cm)を測定して、下記の式より開粒度アスファルト混合物への注入率を算出した。
開粒度アスファルト混合物への注入率(%)=B/1012.5×100
(8)舗装体の未燃カーボンの浮き上がり
上記(7)と同様に、開粒度アスファルト混合物に注入ミルクを流し込んで、舗装体を作製した。注入ミルクを注入してから3時間後、舗装体の表面を目視観察し、舗装体表面への未燃カーボンの浮き上がり状況を確認した。舗装体の表面(面積:900cm)に対して、未燃カーボンの浮き上がりによる黒斑が全く認められない場合を「◎」、黒斑の個数が5個以下であった場合を「○」、黒斑の個数が6個以上であった場合を「×」として評価した。
(9)舗装体の滑り抵抗値
上記(7)と同様に、開粒度アスファルト混合物に注入ミルクを流し込んで、舗装体を作製した。注入ミルクを注入してから24時間後、舗装体の滑り抵抗値を、スキットレジスタンス式滑り抵抗試験装置を用いて、舗装試験法便覧(日本道路協会編)に準拠した方法により測定した。なお、滑り抵抗値は、舗装体の滑りやすさを指標する値であり、65BPN以上が良好とされている。
Figure 2019178034
L値と強熱減量とMB吸着量が本発明の範囲から外れるフライアッシュFを含む注入材A6を用いた比較例1の注入ミルクを使用して作製した舗装体は、未燃カーボンの浮き上がりによる黒斑が多く発生した。フライアッシュG〜Iを含む注入材A7〜A9を用いた比較例2〜4の注入ミルクを使用して作製した舗装体についても未燃カーボンの浮き上がりが若干認められた。これは、フライアッシュG〜Iは、L値、強熱減量、MB吸着量のうち、いずれか1つが本発明の範囲を満足していないためと考えられる。
混合材として石灰石微粉末を含む注入材B1〜B3を用いた比較例2〜4の注入ミルクは、粘度が低く、所要の粘度とするためには増粘剤の添加が必要となった。特に、増粘剤の添加量が少ない注入材B1〜B2を用いた比較例2〜3の注入ミルクは、粘度が低く、本発明例1〜5に比べてブリーディング率が顕著に高くなり、開粒度アスファルト混合物への注入率が低くなった。さらに、これらを使用して作製した舗装体は、滑り抵抗値が低下した。
これに対して、L値と強熱減量とMB吸着量が本発明の範囲にあるフライアッシュA〜Eを含む注入材A1〜A5を用いた本発明例1〜5の注入ミルクは、増粘剤を添加しなくてもブリーディング率が低く、開粒度アスファルト混合物への注入率および舗装体の滑り抵抗値が高くなった。また、これらを使用して作製した舗装体は、未燃カーボンの浮き上がりよる黒斑の個数が少なくなった。特に、45μmふるい残分が1質量%以上10質量%以下の範囲内にあって、分級精度指数к(D25/D75)が0.6以上0.7以下の範囲内にあり、ブレーン比表面積が3500cm/g以上であるフライアッシュA〜C含む注入材A1〜A3を用いた本発明例1〜3の注入ミルクは、ブリーディング率が低く、開粒度アスファルト混合物への注入率が高くなった。また、これらの注入ミルクを使用して作製した舗装体は、未燃カーボンの浮きが発生せず、滑り抵抗値が65BPN以上と良好であった。なお、本発明例5の注入ミルクは、舗装体の未燃カーボンの浮き上がりによる黒斑が若干認められたが(評価○)、他の評価項目は概ね良好な結果が得られた。
[本発明例1、本発明例6〜7、比較例6、比較例8〜9]
本発明例6は、注入ミルクの調製と評価を5℃の環境下で行ったこと以外は本発明例1と同様に行い、比較例8は、注入ミルクの調製と評価を5℃の環境下で行ったこと以外は比較例6と同様に行った。
本発明例7は、注入ミルクの調製と評価を35℃の環境下で行ったこと以外は本発明例1と同様に行い、比較例9は、注入ミルクの調製と評価を35℃の環境下で行ったこと以外は比較例6と同様に行った。
その結果を、本発明例1(環境温度:20℃)と比較例6(環境温度:20℃)と共に、下記の表5に示す。
Figure 2019178034
石灰石微粉末を含む注入材B2を用いた比較例8(環境温度:5℃)の注入ミルクは、比較例6(環境温度:20℃)の注入ミルクと比較して粘度が急激に上昇し、開粒度アスファルト混合物への注入率が低くなった。混合材として石灰石微粉末を含む注入材B3を用いた比較例9(環境温度:35℃)の注入ミルクは、比較例6(環境温度:20℃)の注入ミルクと比較してブリーディング率が急激に上昇した。
これに対して、フライアッシュAを含む注入材A1を用いた本発明例6(環境温度:5℃)および本発明例7(環境温度:35℃)の注入ミルクは、粘度、ブリーディング率、開粒度アスファルト混合物への注入率の変動が小さく、またこれらを使用して作製した舗装体の滑り抵抗値も変動が小さくなった。
[本発明例8〜11、比較例10〜11]
(速硬型半たわみ性舗装用注入材の調製)
上記の表1に示す材料と表2に示すフライアッシュAとを、下記の表6に示す配合割合で、かつ合計量6000gとなるように計り取ったこと以外は、本発明例1と同様にして、速硬型半たわみ性舗装用注入材(注入材A10〜A15)を調製した。
Figure 2019178034
(半たわみ性舗装用注入ミルクの調製)
上記のようにして調製した速硬型半たわみ性舗装用注入材を用いたこと以外は、本発明例1と同様にして水道水と速硬型半たわみ性舗装用注入材を練り混ぜて、注入ミルクを調製した。
得られた注入ミルクについて、本発明例1と同様の評価を実施した。その結果を、下記の表7に示す。
Figure 2019178034
フライアッシュの含有量が本発明の範囲より少ない注入材A10を用いた比較例10の注入ミルクは、ブリーディング率が高くなり、その結果、舗装体の滑り抵抗値が低下した。フライアッシュの含有量が本発明の範囲よりも多い注入材A15を用いた比較例11の注入ミルクは、圧縮強度と、開粒度アスファルト混合物への注入率が低くなった。
これに対してフライアッシュの含有量が本発明の範囲にある注入材A11〜A14を用いた本発明例8〜11の注入ミルクでは、フライアッシュの含有量が多くなるに伴って、圧縮強度および開粒度アスファルト混合物への注入率が低くなる傾向が見られたが、実用上問題ない範囲であった。
[本発明例1、12〜14、比較例12〜13]
(速硬型半たわみ性舗装用注入材の調製)
上記の表1に示す材料と表2に示すフライアッシュAとを、下記の表8に示す配合割合で、かつ合計量6000gとなるように計り取ったこと以外は、本発明例1と同様にして、速硬型半たわみ性舗装用注入材(注入材A16〜A17)を調製した。
Figure 2019178034
(速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクの調製)
下記の表9に示す速硬型半たわみ性舗装用注入材を用い、注入材100質量部に対する水の含有量を下記の表9に示す量としたこと以外は、本発明例1と同様にして水道水と速硬型半たわみ性舗装用注入材を練り混ぜて、注入ミルクを調製した。
得られた注入ミルクについて、本発明例1と同様の評価を実施した。その結果を、本発明例1の結果と共に下記の表9に示す。
Figure 2019178034
水の含有量が本発明の範囲よりも少ない比較例12の注入ミルクは、Pロート流下時間が長く、粘度が高くなり、開粒度アスファルト混合物への注入率が大きく低下した。また、水の含有量が本発明の範囲よりも多い比較例13の注入ミルクは、ブリーディング率が大きくなり、舗装体の滑り抵抗値が大きく低下した。
これに対して、水の含有量が本発明の範囲にある本発明例1、12〜14の注入ミルクは、ブリーディング率、開粒度アスファルト混合物への注入率、舗装体の滑り抵抗値のいずれも良好であった。
以上の結果から、本発明例によれば、短時間で強度を発現することができ、かつ流動性が高く、強度が発現する前に開粒度アスファルト混合物の空隙に注入することができ、さらに開粒度アスファルト混合物の空隙に注入して形成した舗装体は黒斑が発生しにくい速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクおよびその速硬型半たわみ性舗装用注入ミルクの原料として有利に用いることができる速硬型半たわみ性舗装用注入材を提供することが可能となることが確認された。

Claims (6)

  1. ポルトランドセメント、速硬性混和材、細骨材、フライアッシュ、再乳化粉末樹脂、消泡剤、凝結調整剤を含む速硬型半たわみ性舗装用注入材であって、
    前記ポルトランドセメントと速硬性混和材の合計量100質量部に対する前記フライアッシュの含有量が5質量部以上70質量部以下の範囲内にあり、
    前記フライアッシュは、ハンター表色系におけるL値が50.0以上であって、強熱減量が4.0質量%以下であり、メチレンブルー吸着量が0.80mg/g以下であることを特徴とする速硬型半たわみ性舗装用注入材。
  2. 前記フライアッシュは、45μmふるい残分が1質量%以上10質量%以下の範囲内にあって、分級精度指数к(D25/D75)が0.6以上0.7以下の範囲内にあり、ブレーン比表面積が3500cm/g以上であることを特徴とする請求項1に記載の速硬型半たわみ性舗装用注入材。
  3. 前記速硬性混和材は、カルシウムアルミネートと無水石膏とを含む組成物であることを特徴とする請求項1または2に記載の速硬型半たわみ性舗装用注入材。
  4. 前記ポルトランドセメントと速硬性混和材の合計量100質量部に対して、前記細骨材の含有量が5質量部以上50質量部以下の範囲内、前記再乳化粉末樹脂の含有量が1.0質量部以上20.0質量部以下の範囲内、前記消泡剤の含有量が0.05質量部以上3.0質量部以下の範囲内、前記凝結調整剤の含有量が0.1質量部以上10質量部以下の範囲内にあることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の速硬型半たわみ性舗装用注入材。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の速硬型半たわみ性舗装用注入材と水とを含み、前記速硬型半たわみ性舗装用注入材100質量部に対する前記水の含有量が38質量部以上60質量部以下の範囲内にあることを特徴とする速硬型半たわみ性舗装用注入ミルク。
  6. 粘度が150mPa・s以上600mPa・s以下の範囲内にあることを特徴とする請求項5に記載の速硬型半たわみ性舗装用注入ミルク。
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