JP2003277613A - アスファルト改質剤の製造方法 - Google Patents

アスファルト改質剤の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定性のよい改質アスファルトを効率良く製
造できるアスファルト改質剤の製造方法を提供する。 【解決手段】 ゴム及び/又は熱可塑性エラストマーと
鉱油とを、スクリュー式混練押出機で、剪断速度30〜
50(sec-1)で混練してアスファルト改質剤を製造
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アスファルト改質
剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】道路舗装には、所定粒度の砕石等の骨材
を混合したアスファルト混合物を使用するアスファルト
舗装が多用されている。しかし、アスファルトは、その
軟化度合いが温度により大きく変化するため、アスファ
ルトに改質剤(材)を混入して、アスファルトの軟化度
の温度依存性を小さくしたり、軟化温度を高くしたり、
あるいは耐摩耗性および耐流動性を向上させたりして、
アスファルトの諸物性の改善を図ることが行われてい
る。改質剤(材)としては、例えば、耐摩耗性、耐流動
性等を改善するために、スチレン−ブタジエンゴム(S
BR)や、クロロプレンゴム(CR)等のゴム、あるい
は、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SB
S)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SI
S)等の熱可塑性エラストマーが使用されている。
【0003】このような改質アスファルトは、従来、溶
剤等の揮発物質を脱揮除去し、物性を安定化した後、造
粒して得られたゴムや熱可塑性エラストマーのペレット
を、ストレートアスファルトとともに加熱釜で加熱さ
れ、溶融混合することで製造されている。
【0004】しかし、ゴムや熱可塑性エラストマーは、
アスファルトとの混合性に劣るため、製造に8時間以上
の混合時間がかかると共に、高温下での貯蔵時に層分離
する傾向がある。貯蔵時の安定性を向上させるために、
例えば特開平2001−40099号には、熱可塑性エ
ラストマー、カーボンブラック及びオイルを、特定条件
下で混練することでアスファルト改質剤を製造する方法
が開示されているが、カーボンブラックを分散させるた
めに大きな剪断エネルギー(剪断速度)と混練時間を必
要とし、改質アスファルトの製造の時間もある程度必要
とする。
【0005】このように、アスファルト改質剤を用いて
改質アスファルトを製造する際の、時間短縮や混練負荷
の低減による作業効率の向上程度は未だ十分とは言え
ず、更なる向上が望まれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、安定
性のよい改質アスファルトが得られ、且つ製造時の作業
効率と安定性に優れたアスファルト改質剤の製造方法を
提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ゴム及び/又
は熱可塑性エラストマーと鉱油とを、スクリュー式混練
押出機で、剪断速度30〜50(sec-1)で混練する
工程を有するアスファルト改質剤の製造方法に関する。
【0008】また、本発明は、(1)ゴム及び/又は熱
可塑性エラストマーと、(2)分散剤と、(3)鉱油
と、(4)シリカ及び/又はカーボンブラックとを、ス
クリュー式混練押出機で、剪断速度30〜50(sec
-1)で混練する工程を有するアスファルト改質剤の製造
方法に関する。
【0009】また、本発明は、上記本発明の方法により
得られたアスファルト改質剤とアスファルトとを含有す
る道路舗装用改質アスファルト組成物に関する。
【0010】更に、本発明は、上記本発明の道路舗装用
改質アスファルト組成物を用いて舗装した道路に関す
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において使用されるゴムと
しては、天然ゴムやスチレン−ブタジエンゴム、クロロ
プレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチ
レン−イソプレンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエ
ンゴム、ブタジエンゴム等の合成ゴムが挙げられるが、
これらに限定されるものではない。特に、スチレン−ブ
タジエンゴム、スチレン−イソプレンゴムが耐摩耗性や
耐熱性の点で好ましい。
【0012】また、本発明において使用される熱可塑性
エラストマーは、スチレン−ブタジエンブロック共重合
物、スチレン−イソプレンブロック共重合物、エチレン
−酢酸ビニル共重合物、エチレン−エチルアクリレート
の共重合物、あるいは、アクリル酸エステル、メタクリ
ル酸エステル、スチレンの単独重合物あるいはこれらを
組み合わせた共重合物等が挙げられる。特に、スチレン
−ブタジエンブロック共重合物、スチレン−イソプレン
ブロック共重合物が、耐摩耗性や耐熱性の点で好まし
い。
【0013】また、本発明に用いられる鉱油としては、
原料油、プロセス油、工業潤滑油、ベースオイル等が挙
げられ、アロマ系オイルやナフテン系オイルやパラフィ
ン系オイルがあるが、アロマ系オイルが好ましい。鉱油
を併用することでアスファルト改質剤とアスファルトの
混合性が向上する。
【0014】また、本発明に用いられる分散剤として
は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオ
ン界面活性剤、両性界面活性剤等の各種界面活性剤を用
いることができる。
【0015】上記アニオン界面活性剤としては、アルキ
ルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン
酸塩、アルカン又はオレフィンスルホン酸塩、アルキル
硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル又はアル
キルエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、アル
キルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、エーテルカル
ボキシレート、アルキルスルホコハク酸塩、α−スルホ
脂肪酸エステル、及び脂肪酸塩からなる群から選ばれる
界面活性剤や、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、ナフテ
ン酸塩等を用いることができる。これらは単独で又は二
種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】上記ノニオン界面活性剤としては、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンア
ルキルアリールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオ
キシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン
脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、
脂肪酸アルカノールアミド、及びアルキル(ポリ)グリ
コシドからなる群から選ばれる界面活性剤等を用いるこ
とができる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせ
て用いることができる。
【0017】また、上記両性界面活性剤としては、ベタ
イン型化合物等を用いることができる。
【0018】分散剤としてはノニオン界面活性剤が好ま
しく、なかでも、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数
8〜22)エーテル〔エチレンオキサイド平均付加モル
数(以下、EOpと表記する)1.5〜200〕、ポリ
オキシエチレンアルキル(炭素数8〜22)アリールエ
ーテル(EOp1.5〜200)、ソルビタン脂肪酸
(炭素数12〜20)エステル、脂肪酸(炭素数8〜2
0)アルカノールアミドが好ましい。
【0019】また、本発明に用いられるシリカとして
は、合成シリカ、天然シリカが挙げられ、特に合成シリ
カが好ましく、中でも超微粒子状シリカが好ましい。
【0020】また、本発明ではカーボンブラックとし
て、塩基性カーボン、中性カーボン、酸性カーボンの何
れを用いることもでき、特に中性カーボン、酸性カーボ
ンが好ましい。
【0021】本発明のアスファルト改質剤の組成は、ゴ
ム及び/又は熱可塑性エラストマー100重量部に対し
て、鉱油は20〜200重量部、更に25〜150重量
部、特に30〜100重量部が好ましく、分散剤は1〜
50重量部、更に5〜40重量部、特に10〜30重量
部が好ましく、シリカは1〜50重量部、更に5〜40
重量部、特に10〜30重量部が好ましく、カーボンブ
ラックは1〜50重量部、更に5〜40重量部、特に1
0〜30重量部が好ましい。
【0022】本発明のアスファルト改質剤は、アスファ
ルト100重量部に対して、ゴム及び熱可塑性エラスト
マーの比率が1〜25重量部、更に3〜20重量部、特
に10〜20重量部となるように用いられることが、混
合性及び保存性を向上させる点で好ましい。また、本発
明のアスファルト改質剤は、アスファルト100重量部
に対して、鉱油の比率が2〜20重量部、更に5〜18
重量部、特に7〜15重量部となるように用いられるこ
とが、混合性及び保存性を向上させる点で好ましい。
【0023】本発明では、ゴム及び/又は熱可塑性エラ
ストマーと鉱油等を、スクリュー式混練押出機で混練す
る。スクリュー式混練押出機としては、コニーダー(ブ
ス社)、TEM(東芝機械)、KEXエクストルーダー
(栗本鐵工所)等が挙げられる。本発明では、混練時の
剪断速度は30〜50(sec-1)であり、この範囲に
おいて、安定性のよい改質アスファルトが得られ、且つ
製造時の作業効率と安定性にも優れる。この範囲の剪断
速度は、スクリューの回転数を調整することで達成され
る。
【0024】本発明のアスファルト改質剤は、例えば、
ゴム及び/又は熱可塑性エラストマー並びに鉱油、必要
に応じて分散剤、シリカ、カーボンブラックを、好まし
くは二軸スクリュー式混練押出機により、各成分が均一
に分散するまで攪拌混合する事により得られる。その
際、混練時間は、1〜10分、更に2〜5分とすること
ができる。滞留温度は80〜150℃、更に100〜1
20℃とすることができる。
【0025】本発明において使用されるアスファルト
は、石油ストレートアスファルト、セミブローンアスフ
ァルト、カットバックアスファルト、天然アスファル
ト、石油タール、ピッチあるいは溶剤脱瀝から生成した
瀝青質を舗装用アスファルトの規格に適するように軟化
剤を入れて製造したアスファルト等が挙げられる。
【0026】本発明の道路舗装用改質アスファルト組成
物は、例えばアスファルトを加熱溶融(好ましくは16
0〜200℃)し、アスファルト改質剤を添加し、通常
用いられている混合機で、各成分が均一に分散するまで
攪拌混合する事により得られる。通常用いられている混
合機としてホモミキサー、ディゾルバー、パドルミキサ
ー、リボンミキサー、スクリューミキサー、プラネタリ
ーミキサー、真空逆流ミキサー等が挙げられる。
【0027】また、上記道路舗装用改質アスファルト組
成物に砕石、砂利、砂、スラグ等の骨材をパグミルミキ
サー、スパイラルフローミキサー、スクリューミキサー
等で混合する事により、道路舗装用改質アスファルトが
得られ、これを舗装する事により、耐摩耗性や耐流動性
に優れた道路を作ることができる。
【0028】本発明の効果を妨げない限り、アスファル
ト改質剤及び/又は改質アスファルト組成物に、更に種
々の添加剤を配合することができる。配合する添加剤は
特に限定はなく、一般に使用されている添加剤の中から
適宣選択される。添加剤の具体例としては、石粉、タル
ク、炭酸カルシウム等のフィラー、消石灰、アミン類、
アミド類、リン酸類等の剥離防止剤、メチルセルロー
ス、ポリビニルアルコール等の繊維質補強材、粘度低下
剤、粘度向上剤、軟化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、
光安定剤等が挙げられる。
【0029】
【実施例】<アスファルト改質剤の調製>表1に示す成
分を、ブス−コニーダー(ブス社製)にて設定温度12
0℃、滞留時間3分で混練し、アスファルト改質剤を得
た。なお、混練時の剪断速度が表1の通りとなるよう
に、スクリュの回転数を調整した。
【0030】(1)アスファルト改質剤製造時の混合性 上記で調製されたアスファルト改質剤を、光学顕微鏡で
400倍に拡大し、鉱油とゴム/熱可塑性エラストマー
の混合度合いを、鉱油とゴム/熱可塑性エラストマーの
混合粒子の粒径が0.5μm未満になるまでの混合時間
(分)で評価した。結果を表1に示す。
【0031】(2)アスファルト改質剤の保存性 直径5cm×高さ11cmの缶に、上記で調製されたア
スファルト改質剤を充填し、160℃で5日間放置した
後、高さ方向の中心(高さ5.5cm)で上下に切断
し、それぞれを試料容器に入れて針入度をJIS K
2207による方法で測定し、保存性を上下の針入度差
により評価した。結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】(注)表1中の成分は以下のものである。 ・SBS:スチレン−ブタジエンブロック共重合体、旭
化成株式会社製、タフプレン315 ・鉱油(1):東燃ゼネラル石油株式会社製、PRO−
22、アロマ系オイル ・鉱油(2):日石三菱株式会社製、スーパーオイルM
32、パラフィン系オイル ・分散剤(1):ジスチレン化フェノールポリエチレン
オキシド(EOp15) ・分散剤(2):花王株式会社製、エマルゲンB−6
6、ポリオキシエチレン誘導体 ・分散剤(3):花王株式会社製、SP−L10、ソル
ビタンモノラウレート ・分散剤(4):ラウリン酸ジエタノールアミド ・分散剤(5):花王株式会社製、エマルゲン−70
9、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル ・カーボンブラック:三菱化学株式会社製、MA100 ・シリカ:日本シリカ社製、AQ。
【0034】<改質アスファルト組成物の調製>表1の
アスファルト改質剤又は表2の改質剤と、アスファルト
とを、ホモミキサー(特殊機化工業社製 T.K.オー
トホモミキサーM型)に入れ、5000rpmで30分
混合し、改質アスファルト組成物を得た。但し、アスフ
ァルトはマントルヒーターで予め180℃で加熱溶融し
たものを用いた。また、SBS、鉱油(1)、カーボン
ブラックは表1と同じものである。比較例2−1、2−
2、2−3は、各成分を一括して混合した例である。
【0035】<性能評価> (1)改質アスファルト組成物製造時の混合性 上記で調製された改質アスファルト組成物を、光学顕微
鏡で400倍に拡大し、アスファルトとゴム/熱可塑性
エラストマーの混合度合いを、アスファルトとゴム/熱
可塑性エラストマーの混合粒子の粒径が0.5μm未満
になるまでの混合時間(分)で評価した。結果を表2に
示す。
【0036】(2)改質アスファルト組成物の保存性 直径5cm×高さ11cmの缶に、上記で調製された改
質アスファルト組成物を充填し、160℃で5日間放置
した後、高さ方向の中心(高さ5.5cm)で上下に切
断し、それぞれを試料容器に入れて針入度をJIS K
2207による方法で測定し、保存性を上下の針入度
差が±1以内になるまでの混合時間(分)で評価した。
結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】表2の結果より、実施例1−1〜1−8で
得られたアスファルト改質剤を用いた改質アスファルト
組成物は、混練時間が短くても優れた混合性及び保存性
を示していることがわかる。これに対し、比較例2−1
〜2−3では、改質アスファルト製造の際の混練時間の
短縮化が達成できず、また安定性にも劣らないことがわ
かる。同様に、比較例2−4〜2−7のように、アスフ
ァルト改質剤製造の際の混練時の剪断速度が本発明の範
囲でないと、改質アスファルト製造の際の混練時間の短
縮化や安定性の向上が達成できない。
【0039】
【発明の効果】本発明では、アスファルトと改質剤であ
るゴムや熱可塑性エラストマーの混合性が良く、しかも
保存によるアスファルト物性の変化が無く保存性も良好
となる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10C 3/00 C10C 3/00 E01C 7/26 E01C 7/26 Fターム(参考) 2D051 AF09 AF10 AG01 AG03 AG04 AH02 AH07 EA06 EB06 4F070 AA04 AA05 AA06 AA07 AA08 AA09 AA13 AA18 AA28 AA30 AA63 AB08 AB09 AB11 AB16 AC04 AC23 AE01 FA03 FA17 FB06 FC06 4H058 DA14 DA25 DA30 DA45 EA32 GA17 GA25 HA25 4J002 AC00X AC01X AC02W AC07W AC08W AC09W AE05Y AG00W BB06W BB07W BP01W DA036 DJ016 FD016 GL00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム及び/又は熱可塑性エラストマーと
    鉱油とを、スクリュー式混練押出機で、剪断速度30〜
    50(sec-1)で混練する工程を有するアスファルト
    改質剤の製造方法。
  2. 【請求項2】 (1)ゴム及び/又は熱可塑性エラスト
    マーと、(2)分散剤と、(3)鉱油と、(4)シリカ
    及び/又はカーボンブラックとを、スクリュー式混練押
    出機で、剪断速度30〜50(sec-1)で混練する工
    程を有するアスファルト改質剤の製造方法。
  3. 【請求項3】 スクリュー式混練押出機が、二軸スクリ
    ュー式の押出機構を備えた請求項1又は2記載のアスフ
    ァルト改質剤の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れか1項記載の方法に
    より得られたアスファルト改質剤とアスファルトとを含
    有する道路舗装用改質アスファルト組成物。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の道路舗装用改質アスファ
    ルト組成物を用いて舗装した道路。
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