JP4597356B2 - 複合強化ゴム材およびその製造方法ならびに空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ゴムマトリックスを、該ゴムマトリックス中に並置配列した複数本のコードで強化した複合強化ゴム材、とりわけ空気入りタイヤ等のゴム製品に適した複合強化ゴム材、およびこの製造方法、ならびにこの複合強化ゴム材をベルトに適用してなる空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴムマトリックスを所定間隔で並置配列したコードで補強してなるゴム材は、その構造上、コード長手方向における引張剛性は、母材であるゴム単体の場合より飛躍的に高まるが、コードを横切る方向においては、母材自体が有する剛性と差程変わらない。
そこで、コードを横切る方向の引張剛性および面内剪断剛性(ゴム材の面に沿う変形に対する剛性)を高めるために、互いに強化方向の違う3層以上のゴム材を積層して用いる方法が一般的に用いられている。この手法は、例えば空気入りタイヤのベルト部において最も一般的に採用されている。
しかし、この方法は、積層によりゴム製品の重量が増加すること、および多層とするために工程数が増加し生産性が悪いこと等の欠点を有する。
【0003】
さらに、例えば空気入りタイヤにおいては、その圧力容器としての機能を維持するために、突起物の貫入を回避することが非常に重要である。そこで、従来は、ゴム中に等間隔で配列されたスチールコードや有機繊維コードによって形成される網状構造により突起物の貫入を阻止していた。
しかし、先端径がこの網目サイズより小さい突起物(例えば、釘、ネジ等)に対しては、その貫入を防止するのが困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上記各不都合を解消して、コードを横切る方向の引張剛性および面内剪断剛性を高めると共に、突起物の貫入を防止して、これを使用した空気入りタイヤ等のゴム製品の耐久性を向上させ、省資源化に寄与すること、ならびに、軽量化を図ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の空気入りタイヤは以下の構成とする。
(1)1対のビード部間にわたってトロイド状に延びるカーカスを骨格とし、このカーカスの径方向外側に少なくとも1層のベルトを具えてなる空気入りタイヤにおいて、前記ベルトの少なくとも1層に、複合強化ゴム材を、そのコードが前記タイヤの周方向に沿う配置にて適用してなり、前記複合強化ゴム材は、ゴムマトリックス中に、複数本のコードを所定間隔で並置配列し、前記ゴムマトリックス中に、さらに少なくとも1枚の補強シートを有し、該補強シートが前記コードの配列方向に沿って延び、かつ前記コードの前記間隔のうち少なくとも1箇所を通って、前記コードの配列方向を横切る配置になることを特徴とする。
なお、本発明中、「コード」とは、1本または複数本のフィラメントよりなり、撚っていないものをも包含する。
【0006】
(2)前記複合強化ゴム材が補強シートを2枚以上具えてなり、これら補強シートのうち少なくとも1枚が他の補強シートが通らないコード間の間隔を少なくとも1回は通ることを特徴とする。
(3)前記複合強化ゴム材が補強シートを2枚以上具えてなり、これら補強シートのうち少なくとも1枚が他の補強シートと異種であることを特徴とする。
(4)前記補強シートが前記ゴムマトリックスから幅方向にはみ出したはみ出し部を有することを特徴とする。
(5)前記複合強化ゴム材が、隣接する複合強化ゴム材間でその端部を重ね合わせる形態にて、またははみ出し部を有する場合にはそのはみ出し部を隣接する複合強化ゴム材が敷き込む形態にて配置されてなることを特徴とする。
(6)前記ベルトのタイヤ半径方向外側に、タイヤの赤道面に対して傾けて配置した複数本のスチールコードで補強された交差ベルトを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の上記各複合強化ゴム材の製造方法は以下の構成とする。
(7)ゴムマトリックス中に、複数本のコードを所定間隔で並置配列し、前記ゴムマトリックス中に、さらに少なくとも1枚の補強シートを有し、該補強シートが前記コードの配列方向に沿って延び、かつ前記コードの前記間隔のうち少なくとも1箇所を通って、前記コードの配列方向を横切る配置になる複合強化ゴム材の製造方法において、
少なくとも1枚の補強シートにより複数段に仕切られた各段に複数本のコードを振り分けて配置して積層体とし、この積層体を1対のゴムで挟み、これらを一体的に押圧成形することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明を詳細に説明する。
上記目的を達成するため、本発明の複合強化ゴム材は以下の構成とする。
上記(1)記載の複合強化ゴム材の構成を、補強シートが1枚であり、かつ、コードの配列方向を横切る回数が1回の場合について具体的に例示すると、図1(a)のようになる。すなわち、ゴム1よりなるマトリックス中に、所定間隔で並置配列された8本のコード2を埋設し、さらに1枚の補強シート3が前記コード配列に沿って延びると共に、前記コード間の1つの間隔4(図で中央の間隔)を通って前記コード配列を横切って配置される。
また、コード配列を横切る回数が3回の場合を例示すると、図1(b)のようになる。すなわち、ゴム1中で、補強シート3がコード2間の3箇所の間隔4を通ってコード配列を横切って配置される。
さらに、補強シートが全てのコード間隔4を通って実質的にコード配列方向に沿って延びる場合を、図1(c)に示す。
これらのような構成では、補強シートにより、複合強化ゴム材の面内剪断剛性が高められるので、従来の構成では弱かったコード長手方向を横切る方向における引張剛性および面内剪断剛性を高めることができ、複合材を積層して強化する必要がなくなり、製品の軽量化も図れる。さらに、複合強化ゴム材の全面にわたって補強シートが延在するので、突起物の貫入に対する抵抗性をも高められる。
【0011】
複合強化ゴム材の構成は、図2に示すように、前記複合強化ゴム材が補強シートを2枚以上具えてなり、これら補強シートが同じコード間の間隔を通るようにしてもよい。この構成によると、コード長手方向を横切る方向における引張剛性および面内剪断剛性を高めることができ、かつこれらと突起物貫入防止効果を両立させることができる。また、製造時の簡便化が図れる。
上記(2)記載の複合強化ゴム材の構成を、補強シートが2枚の場合について例示すると、図3(a)および図3(b)のようになる。すなわち、(a)の方は、全く同じコード間の間隔4を横切ることがない場合であり、(b)の方は、2枚の補強シートが同じコード間の間隔4を横切ることも、また、1枚だけで横切ることもある場合である。
このような構成によると、補強シートの曲げ剛性がそれぞれ異なる場合に、曲がり易い方を数多くコード間を通すようにし、曲がりにくい方はコード間の通過回数を少なくして、加工性を向上させることができる。また、補強シートの厚さが厚い場合、同じコード間を通すことが困難な場合もあり、このような場合には、一つのコード間には補強シートを例えば1枚通すという具合に、コード間を通過する補強シートの枚数を調節することで、補強シートの選択性が向上し、同時に加工性も増す。
複合強化ゴム材の構成は、図3(a)に示すように、前記複合強化ゴム材が補強シートを2枚以上具えてなり、これら補強シートが同種であるようにしてもよい。この構成(図3(a)参照)によると、コード長手方向を横切る方向の引張剛性および面内剪断剛性をさらに高める場合や、突起物の貫入防止効果を特に高める場合に、このような要求レベルに応じて補強シートの枚数を調節することで容易に対応できる。
上記(3)記載の構成(図3(b)参照)によると、少なくとも1枚の補強シートを、コード長手方向を横切る方向の引張剛性および面内剪断剛性を高めるために使用し、別の少なくとも1枚を、突起物貫入防止のために使用する等、各方向の応力に対する負担をバランスよくコントロールできる。組み合わせは、製品毎の要求特性に応じて設定され、例えばナイロンコードの簾織と飽和ポリエステルのフィルム等である。
【0012】
複合強化ゴム材の構成は、図4(a)、(b)および(c)に示すように(図中、最上層のゴムは図示せず)、前記補強シートが前記コードの長手方向および/または前記長手方向を横切る方向に分割されてなるようにしてもよい。すなわち、図4(a)は、並置配列されたコード2の間隔4を横切って延在される補強シート3がコード長手方向に分割された形態の場合である。図4(b)は補強シート3がコード長手方向を横切る方向に分割された形態の場合である。また、図4(c)は補強シート3が織布等である場合に、その繊維5の方向に沿って、斜めに分割された形態の場合である。なお、簾織にしたナイロンコードをゴム引きしたシートを補強シートとして使用した場合には、ナイロンコードの配向方向を前記繊維5の方向とすることにより、複合強化ゴム材の面内剪断剛性を効果的に高めることができる。このような構成は、製造上の都合により適宜採用できる。
上記(4)記載の構成を、具体的に例示すると、図5のようになる(図中、最上層のゴムは図示せず)。すなわち、補強シート3の幅が、ゴムマトリックスの幅より広く、ゴムマトリックスの幅方向にはみ出した、はみ出し部6を有する。このような構成によると、この複合強化ゴム材を並置配列してゴム製品に適用する場合に、はみ出し部6を隣の複合強化ゴム材で敷き込みつつ並置すると、はみ出し部6を複合強化ゴム材同士の隣接界面をわたって隣接するゴム材側まで延在させることができるので、界面の隙間を塞ぐと共に、配列方向における複合強化ゴム材間の結合を強化できる(後述する図14(c)参照)。
【0013】
補強シートを構成するものは織布、不織布、フィルム、または薄板であるが、織布としては、二軸織物、三軸織物等を使用でき、簾織、キャンバス等を例示できる。不織布としては、短繊維、フィラメント等からなるものを使用できる。フィルムとしては、高分子材料を押出成形したもの等を使用できる。薄板は、圧延した合金板等を例示できる。
複合強化ゴム材の構成は、前記補強シートが織布の場合に、前記補強シートは、前記織布を構成する繊維の方向が前記コードの長手方向に対して傾斜していてもよい。この構成を、補強シートの繊維がコード長手方向に対して45度の傾斜角度(図示θ)を有する場合について例示すると、図6のようになる(図中、最上層のゴムは図示せず)。
このような構成によると、この補強シートにより、複合強化ゴム材の面内剪断剛性が高まり、この結果コード長手方向以外の方向においても、剛性を高めることができる。また、この傾斜角度は複合強化ゴム材の面内剪断剛性を重視する場合には45°付近が好ましく、コード長手方向に対して直交方向の応力に対する剛性を重視する場合には90°付近が好ましい。
【0014】
補強シートは、有機材料、無機材料、または金属材料からなるようにすることができる。有機材料としては、織布、不織布に適するものとして、綿、セルロース等の天然高分子、芳香族ポリアミド(ケブラー等)、脂肪族ポリアミド(ナイロン等)、ポリビニルアルコール、レーヨン、ポリオレフィンケトン、ポリベンゾオキサドール、飽和ポリエステル、ポリエステル、ポリエチレン等の合成高分子、また、フィルムに適するものとして、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ナイロン、アラミド等を例示できる。金属材料としては、鋼(ステンレス鋼)、銅合金(真鍮)等を例示できる。しかし、これらに限定されない。このような材料による補強シートを具えたゴム材を隙間なく配列することにより、小径を有する突起物貫入に対する抵抗性を高めることができる。
上記(7)記載の構成を図7に具体的に示す。例えば、上流の給源(図示せず)から1対の圧延ロール7のロール隙間に向かって、1枚の補強シート3と、該補強シート3に仕切られてできた2段に所定間隔で配列された8本のコード2を4本ずつそれぞれ配置して積層体とし、この積層体を1対のリボン状のゴム1で挟み、これらを前記1対の圧延ロール7にて一体的に押圧成形する。これにより、前記補強シート3が曲がって前記コード1の配列方向を横切ると同時に、前記ゴム1が前記コード2および前記補強シート3をコーティングし、帯状に一体化されて、図8に示す状態に至る。これは、既出の図1(a)に記載の複合強化ゴム材となる。
別の態様として、図9に示すように、それぞれ異種の補強シート3、2枚により3段に仕切り、各段に3つのグループに分けたコードを所定の間隔で配置し、1対のゴムで挟んで矢印の方向に圧延すると、既出の図3(b)に記載の複合強化ゴム材となる。
【0015】
さらに、図10に示すように、この場合は、それぞれ材質の異なる2枚の補強シート3で2段に仕切り、各段に2つのグループに分けたコードを所定の間隔で配置し、1対のゴム1で挟んで矢印の方向に圧延すると、既出の図2に記載の複合強化ゴム材になる。
コードのグループ分けの仕方は、規則的でも、ランダムでもよく、種々のパターンを採用できる。また、コード配列の仕方は、コードが1段に配列された状態の複合強化ゴム材を形成する場合は、段に垂直方向、つまり複合強化ゴム材となったとき、複合強化ゴム材の厚さ方向において、コードが1本となるように配列する。同様に、コードが2段に配列された状態の複合強化ゴム材を形成する場合は、前記厚さ方向において、コードが2本となるように配列する。
さらに別の態様として、2段のグループに分ける場合を図11(a)〜(e)、また、3段のグループに分ける場合を図12(a)〜(c)に例示する(ゴムは図示せず)。これらの態様においても、補強シート3は同種での異種でも差し支えない。
上記(1)記載の構成を、低偏平比で2層のベルトを具えるラジアルタイヤについて具体的に例示すると、図13のようになる。すなわち、1対のビード部11間にわたって、ラジアル方向に延びる有機繊維コードのプライよりなるトロイド状のカーカス12を骨格とし、このカーカス12のクラウン部の半径方向外側に2層のベルト13を具えてなる空気入りタイヤの前記ベルトの2層に、本発明の上記構成の複合強化ゴム材を、そのコードが前記タイヤの周方向に沿う配置にて適用して構成される(図14(a)、図14(b)および図14(c)参照)。なお、ベルトは1層でもよいが、2層以上が剛性の点から好ましい。具体的には、図14(a)は隣接する複合強化ゴム材同士の境界を2層間でずらせて配置してなり、また、図14(b)は複合強化ゴム材の端部を隣接複合強化ゴム材間で相互に重ね合わせながら螺旋巻きして配置してなる。この場合複合強化ゴム材幅の半分を重ねているので、ベルトとしては実質的に2層となる。また、図14(c)は複合強化ゴム材のはみ出し部6を隣の複合強化ゴム材で敷き込みながら螺旋巻きして配置してなる。巻き順は、先ず、図で下の層を左(右)から右(左)に向かって巻き進み、次に、上の層を右(左)から左(右)に向かって巻く。
このようなタイヤに、上記各複合強化ゴム材を適用すると、上記の作用効果をタイヤにおいて得ることができる。
【0016】
さらに、一般に、コードを周方向に配設してなるベルトは、交差ベルト、すなわちタイヤ赤道に対して大きな傾斜角度をなすコードが複数のベルト層の積層間で相互に交差するベルトに比べて、ベルトの面に沿う変形に対する剛性、いわゆる面内剪断剛性、特にタイヤ幅方向における面内剪断剛性が劣り、コーナリングパワーや車両の操縦安定性が低下するという不都合があるが、上記構成のタイヤはベルトに適用した複合強化ゴム材の面内剪断剛性が高められているので、このような不都合を解消できる。また、少ない層数のベルトで、強度の向上が図れるので、タイヤの軽量化が図れる。
上記(5)記載の構成については、上記の通りである(図14(a)および図14(b)参照)。
上記(6)記載の構成によると、図15に示すとおり、ベルト13のタイヤ半径方向外側にさらに、タイヤの赤道に対して傾けて配置した複数本のスチールコードで補強された、いわゆる角度付き交差ベルト14を配置してなる。なお、15はトレッド部である。
【0017】
また、各複合強化ゴム材は加硫により層間で結合される。さらに、補強シートと母材のゴムとの接合は、補強シートが金属の場合は、その金属表面にブラス等のメッキを施すことにより、また、補強シートがフィルム等高分子材料の場合は、その高分子材料表面を市販の接着剤(例えば、トルエン等で希釈された有機化合物と鉱物質充填剤との混合物からなる接着剤)で処理することにより、さらに、有機繊維の織布、不織布の場合は予めゴムと接着させた補強シートとして使用することにより、それぞれ良好に接着することができる。
【0018】
【実施例】
以下に本発明の実施例について説明する。
下記の構成を有するベルトを、低偏平比のトラック・バス用のラジアルタイヤ(サイズ435/45R22.5)に適用した。得られた各タイヤについて、耐突起物貫入性とコーナリングパワーを調査した。表1に結果を示す。なお、表1中には、下記のべルトの形成方法、つまり複合強化ゴム材の巻き方、および複合強化ゴム材が補強シートを有する複合強化ゴム材の場合は補強シートが連続した形態か、分割された形態かの別、ならびに、補強シートがコード配列を横切る横切り方、つまり補強シートの挿入方法を合わせて記載する。
ベルトA:
幅20mmの帯状ゴム中に波形(振幅2mmおよび波長35mm)のスチールコード(3+9+15×0.19mm)を27.5本/50mmで打ち込んで構成されるゴム材をタイヤ周方向に沿って螺旋巻きにした層(幅330mm)からなる2層構造とした(周方向ベルト)。いずれの構成ゴム材にも補助シートはない。
ベルトB:
上記2層のベルトAを有し、さらにその半径方向外側に、幅230mmの1層のベルト(コード構造1+6×0.34、打ち込み密度24本/50mm)を、そのコードが赤道に対して右周りに52度の傾斜角度になるように適用した。いずれの構成ゴム材にも補助シートはない。
【0019】
ベルトC:
上記ベルトBの3層構造を有し、さらにその半径方向外側に、幅210mmの1層のベルト(コード構造1+6×0.34、打ち込み密度24本/50mm)を、そのコードが赤道に対して左周りに52度の傾斜角度になるように適用した。つまり、外側の2層は交差ベルトである。いずれの構成ゴム材にも補助シートはない。
ベルトD:
ベルトAを構成するゴム材に、さらにナイロンコードを簾織した織布を1枚、コードの長手方向に対してコードが45度の傾斜角度になるように挿入した複合強化ゴム材を使用した他は、ベルトAの構成と同じである。なお、挿入した補強シート(織布)はいずれの方向にも分割されておらず、連続している。
ベルトE:
ベルトAを構成するゴム材に、さらにナイロンコードを簾織した織布を2枚、コードの長手方向に対してコードが左右それぞれ45度の傾斜角度になるように挿入した複合強化ゴム材を使用した他は、ベルトAの構成と同じである。
【0020】
ベルトF:
ベルトAを構成するゴム材に、さらにポリエチレンナフタレートフィルム(厚さ200μm)を1枚挿入した複合強化ゴム材を使用した他は、ベルトAの構成と同じである。
ベルトG:
ベルトAを構成するゴム材に、さらにポリエチレンナフタレートフィルム(厚さ200μm)を2枚挿入した複合強化ゴム材を使用した他は、ベルトAの構成と同じである。
ベルトH:
ベルトAを構成するゴム材に、さらに鉄板(厚さ150μm)を1枚(ただし、図4(b)に示すようにコード長手方向を横切る方向に分割されている。)挿入した複合強化ゴム材を使用した他は、ベルトAの構成と同じである。
ベルトI:
ベルトAを構成するゴム材に、さらにゴムコーティングした不織布(厚さ0.6mm)を1枚挿入した複合強化ゴム材を使用した他は、ベルトAの構成と同じである。
【0021】
ベルトJ:
ベルトAを構成するゴム材に、さらにナイロンコードを簾織した織布1枚とポリエチレンナフタレートフィルム(厚さ200μm)1枚を挿入した複合強化ゴム材を使用した他は、ベルトAの構成と同じである。
ベルトK:
上記ベルトCのうち周方向ベルトを構成するゴム材に、さらにポリエチレンナフタレートフィルム(厚さ200μm)1枚を挿入した複合強化ゴム材を使用した他は、ベルトCの構成と同じである。
ベルトL:
表1記載のように、補強シートの挿入方法と複合強化ゴム材の巻き方が異なる他は、ベルトFの構成と同じである。はみ出し部の幅(図5の両矢で示す幅)は10mmである。
【0022】
耐突起物貫入性
鋭利な突起物(先端部曲率半径:0.5mm以下)をタイヤのトレッド部からタイヤ回転軸中心に向かって押し込んだときの、タイヤのインナーライナーを貫通するに至るまでに要したエネルギーにて評価した。そして、比較例1のタイヤの結果を100としたときの指数にて表示した。この数値が大きい程、耐突起物貫通性に優れることを示す。
【0023】
コーナリングパワー
各供試タイヤを標準リムに装着し、内圧を900kPaに調整した後、タイヤに荷重49.03kNを負荷した状態にて回転ドラム上を30km/hで走行させた際の、コーナリングフォースFとスリップアングルθとの関係を調査し、その調査結果を図16に示すように、グラフ上に表してから、該グラフにおける初期角度θ1におけるコーナリングフォースFの傾きを求めた。なお、初期角度θ1とは、θ=0°付近において、Fの傾きがほぼ一定と見做せる角度範囲(2°以下)を意味する。このFの傾きが大きい程、コーナリングパワーが大きいことを示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】
本発明によると、複合強化ゴム材の面内剪断剛性を高めると共に、突起物の貫入を防止して、これを使用した空気入りタイヤ等のゴム製品の耐久性を向上させ、省資源化に寄与することができる。併せて、複合強化ゴム材の面内剪断剛性が等方的に高められることにより、この複合強化ゴム材をタイヤ等の製品に適用した場合に、従来より少ない数の層で同等のコーナリングパワーを得ることができるので、多層にする必要がなく、よって製品の軽量化を図ると共に、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1記載の構成の複合強化ゴム材の一例を示す断面図である。
【図2】 請求項2記載の構成の複合強化ゴム材の一例を示す断面図である。
【図3】 請求項3記載の構成の複合強化ゴム材の一例を示す断面図である。
【図4】 請求項6記載の構成の複合強化ゴム材の一例を示す平面図である。
【図5】 請求項7記載の構成の複合強化ゴム材の一例を示す平面図である。
【図6】 請求項9記載の構成の複合強化ゴム材の一例を示す平面図である。
【図7】 請求項11記載の構成の一例を示す斜視図である。
【図8】 請求項11記載の構成の一例を示す斜視図である。
【図9】 請求項11記載の構成の製法の一例を示す模式図である。
【図10】 請求項11記載の構成の製法の一例を示す模式図である。
【図11】 補強シート(1枚)の種々の介挿の仕方を示す模式図である。
【図12】 補強シート(2枚)の種々の介挿の仕方を示す模式図である。
【図13】 本発明の空気入りタイヤの断面図である。
【図14】 空気入りタイヤのカーカスの半径方向外側にゴム材巻回して構成したベルトを示す断面図である。
【図15】 請求項14記載の構成の空気入りタイヤのクラウン部を示す断面図である。
【図16】 コーナリングパワーの定義を示す図である。
【符号の説明】
1 ゴム
2 コード
3 補強シート
4 間隔
6 はみ出し部
11 カーカス
12 ベルト
Claims (7)
少なくとも1枚の補強シートにより複数段に仕切られた各段に複数本のコードを振り分けて配置して積層体とし、この積層体を1対のゴムで挟み、これらを一体的に押圧成形することを特徴とする複合強化ゴム材の製造方法。
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