JP2019209746A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】耐突起貫入性に優れた空気入りタイヤを提供する。【解決手段】本発明の空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に螺旋状に巻回されたコード4bがゴム4aで被覆されたベルト4と、樹脂からなり、ベルト4のタイヤ径方向外側に重なって配置された外側樹脂シート6と、樹脂からなり、ベルト4のタイヤ径方向内側に重なって配置された内側樹脂シート7と、を有することを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、空気入りタイヤに関するものである。
従来、空気入りタイヤにおいては、タイヤ性能の向上を所期して、カーカスのタイヤ径方向外側にベルトが配置されることが、通常行われている(例えば、特許文献1)。
また、当該ベルトを、タイヤ周方向に螺旋状に巻回したコードをゴムで被覆してなるものとするとともに、当該ベルトのタイヤ径方向の一方側に樹脂シートを配置することで、ベルトの曲げ剛性を補強するようにした技術も提案されている(例えば、特許文献2)。
しかし、ベルトのタイヤ径方向の一方側に樹脂シートを配置した構成では、樹脂シートを設けることによる重量増や配置スペース等を考慮すると、樹脂シートを十分な曲げ剛性を得られる程度の厚さとすることは困難である。そのため、石、段差、縁石、道路鋲などの突起等の入力に対して十分な耐性を得ることができないという問題があった。
そこで、本発明は、耐突起貫入性に優れた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に螺旋状に巻回されたコードがゴムで被覆されたベルトと、
樹脂からなり、前記ベルトのタイヤ径方向外側に重なって配置された外側樹脂シートと、
樹脂からなり、前記ベルトのタイヤ径方向内側に重なって配置された内側樹脂シートと、
を有することを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤによれば、外側樹脂シートと内側樹脂シートとはベルトを挟んで互いに間隔を空けて配置されるので、厚さの薄い外側樹脂シートと内側樹脂シートとによって高い曲げ剛性を得ることができる。したがって、外側樹脂シートと内側樹脂シートとにより十分な曲げ剛性を有するようにベルトを補強して、突起の貫入に対する耐性(耐突起貫入性)を向上させることができる。
本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に螺旋状に巻回されたコードがゴムで被覆されたベルトと、
樹脂からなり、前記ベルトのタイヤ径方向外側に重なって配置された外側樹脂シートと、
樹脂からなり、前記ベルトのタイヤ径方向内側に重なって配置された内側樹脂シートと、
を有することを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤによれば、外側樹脂シートと内側樹脂シートとはベルトを挟んで互いに間隔を空けて配置されるので、厚さの薄い外側樹脂シートと内側樹脂シートとによって高い曲げ剛性を得ることができる。したがって、外側樹脂シートと内側樹脂シートとにより十分な曲げ剛性を有するようにベルトを補強して、突起の貫入に対する耐性(耐突起貫入性)を向上させることができる。
本発明の空気入りタイヤでは、前記外側樹脂シート及び前記内側樹脂シートは、それぞれ前記ベルトに固着されているのが好ましい。
この構成によれば、外側樹脂シートと内側樹脂シートとをベルトを挟んで互いに拘束させて曲げ剛性をより高めることができるので、耐突起貫入性をより効果的に向上させることができる。
この構成によれば、外側樹脂シートと内側樹脂シートとをベルトを挟んで互いに拘束させて曲げ剛性をより高めることができるので、耐突起貫入性をより効果的に向上させることができる。
本発明の空気入りタイヤでは、前記外側樹脂シートのタイヤ幅方向の幅は、前記ベルトのタイヤ幅方向の幅の10〜100%であるのが好ましい。
この構成によれば、空気入りタイヤの重量増を抑えつつ、耐突起貫入性を向上させることができる。
この構成によれば、空気入りタイヤの重量増を抑えつつ、耐突起貫入性を向上させることができる。
ここで、ベルトのタイヤ幅方向寸法及び本明細書内のその他の寸法は、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷状態とした状態で測定されるものとする。
ただし、「タイヤ接地幅」は、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、最大負荷荷重を負荷した状態での接地面のタイヤ幅方向最外側位置を接地端とし、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷状態とした状態での接地端間のタイヤ幅方向距離を意味する。また、「タイヤ幅方向中心」は、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷状態とした状態での、両接地端間のタイヤ幅方向の中心(タイヤ赤道面の位置)を意味する。
ただし、「タイヤ接地幅」は、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、最大負荷荷重を負荷した状態での接地面のタイヤ幅方向最外側位置を接地端とし、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷状態とした状態での接地端間のタイヤ幅方向距離を意味する。また、「タイヤ幅方向中心」は、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷状態とした状態での、両接地端間のタイヤ幅方向の中心(タイヤ赤道面の位置)を意味する。
本明細書において、「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会) のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA(The Tire and Rim Association, Inc.)のYEAR BOOK等に記載されている、または将来的に記載される適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指す(すなわち、上記の「リム」には、現行サイズに加えて将来的に上記産業規格に含まれ得るサイズも含む。「将来的に記載されるサイズ」の例としては、ETRTOのSTANDARDS MANUAL 2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズを挙げることができる。)が、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。また、「規定内圧」は、適用サイズのタイヤにおける上記JATMA等の規格のタイヤ最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいう。なお、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、「規定内圧」は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。「最大負荷荷重」は、適用サイズのタイヤにおける上記JATMA等の規格のタイヤ最大負荷能力、又は、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する荷重を意味する。
本発明の空気入りタイヤでは、前記外側樹脂シートの厚さと前記内側樹脂シートの厚さの合計が、1.0〜6.0mmであるのが好ましい。
この構成によれば、空気入りタイヤの重量増を抑えつつ、耐突起貫入性を向上させることができる。
この構成によれば、空気入りタイヤの重量増を抑えつつ、耐突起貫入性を向上させることができる。
本発明の空気入りタイヤでは、前記外側樹脂シートの樹脂の引張弾性率及び前記内側樹脂シートの樹脂の引張弾性率は、それぞれ100〜1000MPaであるのが好ましい。
この構成によれば、耐突起貫入性を十分に向上させつつ空気入りタイヤが装着された車両の乗り心地を維持することができる。
この構成によれば、耐突起貫入性を十分に向上させつつ空気入りタイヤが装着された車両の乗り心地を維持することができる。
本発明の空気入りタイヤでは、前記外側樹脂シート及び前記内側樹脂シートは、それぞれ熱可塑性エラストマーからなるのが好ましい。
この構成によれば、外側樹脂シート及び内側樹脂シートをベルトに対応した形状に容易に成形することができる。
この構成によれば、外側樹脂シート及び内側樹脂シートをベルトに対応した形状に容易に成形することができる。
本発明によれば、耐突起貫入性に優れた空気入りタイヤを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に例示説明する。
図1に示す本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ1(以下、単に「タイヤ1」とも称する)は、例えば乗用車用のホイールのリムに装着され、空気、窒素等の気体を規定内圧で充填して使用されるゴム製のラジアルタイヤであり、一対のビード部2に埋設されたビードコア2aにトロイダル状に跨るカーカス3を備えている。このタイヤ1は、カーカス3のクラウン部のタイヤ径方向外側に、ベルト4と、トレッド5とを順に備えている。なお、ベルト4とトレッド5との間にベルト4をその全幅に亘って補強するベルト補強層を配置するようにしてもよい。また、ベルト4とトレッド5の間に、ベルト4のタイヤ幅方向の端部を覆うベルト補強層を設けるようにしてもよい。図1に示すように、本実施形態のタイヤ1は、タイヤ赤道面CLを境界とするタイヤ幅方向半部間で同様の構成を有しているが、非対称な構成とすることもできる。
本実施形態のタイヤ1は、スチールコードを束ねたビードコア2aを有している。ビードコア2aの材質や形状は特に限定されず、あるいは、ビードコア2aを備えない構造とすることもできる。また、本実施形態では、有機繊維からなる1枚のカーカスプライでカーカス3を構成しているが、カーカスプライの材料や枚数も特に限定されない。
本実施形態では、ベルト4は、ゴム4aで被覆されたコード4bすなわちゴム被覆コードがタイヤ周方向(タイヤ軸周り)に螺旋状に巻回された状態のスパイラルベルトである。コード4bゴム4aこのベルト4は、ゴム4aコード4bコード4bゴム4aゴム4aゴム被覆コードをタイヤ幅方向に密着するように巻き回した後、隣接するゴム4aを加硫により一体化させて形成することができる。なお、ゴム被覆コードは、複数本のコード4bを含むものとしてもよい。上記構成のベルト4は、スパイラルベルトに構成されることで径成長を殆ど生じないため、タイヤ1の高速走行性を向上させることができる。
本発明では、ベルト4は1層とすることが好ましい。軽量化の観点から好ましいからである。ベルト4のタイヤ幅方向の幅は、例えば、タイヤ接地幅の90〜120%とすることができるが、ベルト4のタイヤ幅方向の幅をタイヤ接地幅の100%よりも大きくして、ベルト4のタイヤ幅方向の両端がそれぞれタイヤ接地端よりもタイヤ幅方向外側に位置してタイヤ接地幅の全範囲に亘って設けられるようにするのが好ましい。なお、コード4bのタイヤ周方向へ巻き回す回数は、タイヤ幅寸法等に応じて適宜変更可能である。
コード4bとしては、任意の既知の材質のものを用いることができ、例えばスチールコードを用いることができる。スチールコードは、例えば、スチールのモノフィラメント又は撚り線からなるものとすることができる。また、コード4bとしては、有機繊維やカーボン繊維等で構成されたものを用いることもできる。
ゴム4aとしては、任意のゴム(常温でゴム弾性を示す有機高分子物質)を用いることができ、例えばタイヤの材料として用いられるものを用いることができる。
図1、図2に示すように、本実施形態のタイヤ1は、外側樹脂シート6を備えている。外側樹脂シート6はシート状(プレート状)の樹脂からなり、ベルト4のタイヤ径方向外側に重ねて配置されている。また、本実施形態のタイヤ1は、内側樹脂シート7を備えている。内側樹脂シート7はシート状(プレート状)の樹脂からなり、ベルト4のタイヤ径方向内側に重ねて配置されている。外側樹脂シート6と内側樹脂シート7とはベルト4を挟んで互いにタイヤ径方向に間隔を空けて配置されるので、厚さの薄い外側樹脂シート6と内側樹脂シート7とによって、突起の貫入に対する高い曲げ剛性を得ることができる。すなわち、本実施形態では、外側樹脂シート6と内側樹脂シート7とはベルト4を挟んで互いにタイヤ径方向に間隔を空けて配置されるので、外側樹脂シート6の厚さと内側樹脂シート7の厚さとを合計した厚さを有する樹脂シートをベルト4のタイヤ径方向の一方側のみに重ねて配置した構成と比べて、突起の貫入に対する曲げ剛性をより高くすることができる。したがって、ベルト4、外側樹脂シート6及び内側樹脂シート7の全体の厚さを増加させることなく、外側樹脂シート6と内側樹脂シート7とにより十分な曲げ剛性を有するようにベルト4を補強して、石、段差、縁石、道路鋲等の突起の貫入に対する耐性(耐突起貫入性)を向上させることができる。また、ベルト剛性を外側樹脂シート6と内側樹脂シート7とにより補強して高めることで、このタイヤ1が装着された車両の操縦安定性を高めることができる。さらに、ベルト4は、外側樹脂シート6と内側樹脂シート7との間に挟み込まれた構成となるので、ベルト4を構成するゴム4aが突起の貫入時にタイヤ径方向に向けたせん断力を受けて隣り合うコード4bの間において裂けてしまうことを防止することができる。
上記のように、本実施形態では、外側樹脂シート6の厚さと内側樹脂シート7の厚さとを合計した厚さを有する樹脂シートをベルト4のタイヤ径方向の一方側のみに重ねて配置した構成と比べて、突起の貫入に対する曲げ剛性をより高くすることができるので、所望の曲げ剛性を得るために必要な樹脂シートの厚さをより薄くすることができる。したがって、軽量化をしつつ所望の曲げ剛性を有するようにベルト4を補強することを可能として、タイヤ1の転がり抵抗を低減させることができる。また、外側樹脂シート6ないし内側樹脂シート7を薄くすることで、これらの曲げ剛性を小さくすることができるので、このタイヤ1が用いられる車両の乗り心地性を高めることができる。
外側樹脂シート6と内側樹脂シート7は、それぞれベルト4の表面に接着ないし溶着により固着された構成とされるのが好ましい。外側樹脂シート6と内側樹脂シート7とをベルト4の表面に固着した構成とすることにより、外側樹脂シート6と内側樹脂シート7とをベルト4を挟んで一体化して互いに拘束された状態として、曲げ剛性をより高めることができる。これにより、耐突起貫入性をより効果的に向上させることができる。
外側樹脂シート6のタイヤ幅方向の幅は、特に限定されないが、ベルト4のタイヤ幅方向の幅と同一またはそれ以下(図1に示す本実施の形態では、同一)とするのが好ましい。より具体的には、外側樹脂シート6のタイヤ幅方向の幅は、ベルト4のタイヤ幅方向の幅の10〜100%とするのが好ましい。外側樹脂シート6のタイヤ幅方向の幅をベルト4のタイヤ幅方向の幅の10〜100%とすることにより、このタイヤ1の重量増を抑えつつ、耐突起貫入性を向上させることができる。
外側樹脂シート6は、タイヤ幅方向中心位置をベルト4のタイヤ幅方向中心位置に一致させて配置されるのが好ましいが、少なくともタイヤ幅方向中心において、ベルト4に重ねて配置されていれば、タイヤ幅方向中心位置がベルト4のタイヤ幅方向中心位置からずれて配置されていてもよい。
内側樹脂シート7のタイヤ幅方向の幅は、特に限定されないが、図1に示す本実施の形態のように、ベルト4のタイヤ幅方向の幅と同一とするのが好ましい。突起が貫入時に加わるタイヤ幅方向への引張力がより大きくなるベルト4のタイヤ径方向内側におけるタイヤ幅方向の全範囲体に内側樹脂シート7を重ねて配置する構成とすることにより、当該引張り力を内側樹脂シート7に確実に支持させて、耐突起貫入性をより効果的に向上させることができる。なお、内側樹脂シート7のタイヤ幅方向の幅をベルト4のタイヤ幅方向の幅よりも大きくして、内側樹脂シート7のタイヤ幅方向の両端部がベルト4のタイヤ幅方向の両端部よりもタイヤ幅方向外側に位置する構成とすることもできる。また、内側樹脂シート7のタイヤ幅方向の幅を外側樹脂シート6のタイヤ幅方向の幅よりも大きくすることもできる。
外側樹脂シート6の厚さ(最大厚さ)と内側樹脂シート7の厚さ(最大厚さ)は、特に限定しないが、例えば、それぞれ0.5mm以上とすることができる。また、外側樹脂シート6の厚さと内側樹脂シート7の厚さの合計の厚さは1.0〜6.0mmとするのが好ましく、1.0〜4.0mmとするのがより好ましく、1.0〜3.0mmとするのがより好ましい。これにより、空気入りタイヤ1の重量増を抑えつつ、耐突起貫入性を向上させることができる。何れの場合においても、外側樹脂シート6の厚さと内側樹脂シート7の厚さとを同一の厚さとすることができるが、外側樹脂シート6の厚さよりも内側樹脂シート7の厚さを厚くするのが好ましい。突起が貫入時に加わるタイヤ幅方向への引張力はベルト4のタイヤ径方向外側よりもタイヤ径方向内側で大きくなるので、外側樹脂シート6の厚さと内側樹脂シート7の厚さの合計の厚さが同一であれば、外側樹脂シート6の厚さよりも内側樹脂シート7の厚さを厚くした方が、突起が貫入時に加わるタイヤ幅方向への引張力をより効果的に支持することができるからである。なお、外側樹脂シート6の厚さよりも内側樹脂シート7の厚さを薄くしてもよい。
外側樹脂シート6及び内側樹脂シート7の樹脂としては、例えば、熱可塑性エラストマーや熱可塑性樹脂を用いることができ、また、熱や電子線によって架橋が生じる樹脂、熱転位によって硬化する樹脂を用いることもできる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、動的架橋型熱可塑性エラストマー(TPV)等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。さらに、熱可塑性樹脂としては、例えば、ISO75−2又はASTM D648に規定されている荷重たわみ温度(0.45MPa荷重時)が78°C以上、かつ、JIS K7113に規定される引張降伏強さが10MPa以上、かつ、同じくJIS K7113に規定される引張破壊伸びが50%以上、かつ、JIS K7206に規定されるビカット軟化温度(A法)が130°C以上であるものを用いることができる。
外側樹脂シート6及び内側樹脂シート7の樹脂の引張弾性率(JIS K7113:1995に規定される)は、それぞれ100MPa以上とするのが好ましい。外側樹脂シート6ないし内側樹脂シート7を軽量化しつつ剛性を高めることができるからである。また、外側樹脂シート6及び内側樹脂シート7の樹脂の引張弾性率は、それぞれ1000MPa以下とするのが好ましい。乗り心地性を良好に維持することができるからである。なお、ここでいう樹脂には、ゴム(常温でゴム弾性を示す有機高分子物質)は含まれないものとする。
本実施形態では、外側樹脂シート6及び内側樹脂シート7の樹脂として熱可塑性エラストマーを用いている。外側樹脂シート6及び内側樹脂シート7の樹脂として熱可塑性エラストマーを用いることで、外側樹脂シート6及び内側樹脂シート7をベルト4に対応した形状に容易に成形することができる。なお、外側樹脂シート6の樹脂と内側樹脂シート7の樹脂とは、互いに同一であるのが好ましいが、互いに異なる樹脂とすることもできる。
外側樹脂シート6及び内側樹脂シート7の樹脂として熱可塑性樹脂を用いた場合には、熱可塑性樹脂は、ゴム等と比較して一般的に重量に比して剛性が高いため、外側樹脂シート6及び内側樹脂シート7を軽量化しつつ、そのタイヤ幅方向に対する剛性を確保することができる。
図1に示すように、タイヤ1は、トレッド5に、タイヤ周方向に直線状に連続して延びる、2本以上の周方向主溝8が設けられた構成とすることができる。本実施形態では、トレッド5には、タイヤ赤道面CLを境界とするタイヤ幅方向半部に2本ずつの計4本の周方向主溝8が設けられている。なお、周方向主溝8の本数や配置は任意のものとすることができ、トレッド5に周方向主溝8が設けられない構成とすることもできる。
ここで、「周方向主溝」とは、溝幅(開口幅)が、2mm以上のものをいうものとする。また、「溝幅」は、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷状態とした状態で測定されるものとする。「周方向主溝」は、直線状に延びていても、湾曲状又はジグザグ状に延びていてもよい。
上記のように、トレッド5に2本以上の周方向主溝8が設けられている場合には、外側樹脂シート6は、そのタイヤ幅方向の両端が、それぞれトレッド5のタイヤ幅方向中心(タイヤ赤道面CL)を挟んで隣接する2本の周方向主溝8よりもタイヤ幅方向外側に位置する構成とされるのが好ましい。この場合、外側樹脂シート6は、トレッド5のタイヤ幅方向中心を挟んで隣接する2本の周方向主溝8のタイヤ幅方向外側の縁部の間隔よりも広いタイヤ幅方向の幅を有し、当該2本の周方向主溝8のタイヤ径方向内側部分を含む領域に配置された構成とされるのが好ましい。これにより、トレッド5に2本以上の周方向主溝8が設けられた場合において、最も耐突起貫入性が弱くなるタイヤ幅方向中心を挟んで隣接する2本の周方向主溝8が設けられた部分におけるタイヤ1の剛性を外側樹脂シート6及び内側樹脂シート7により補強して、耐突起貫入性をより効果的に向上させることができる。
図3に変形例として示すように、本発明は、ランフラットタイヤに構成されたタイヤ1に適用することもできる。図3に示すタイヤ1は、タイヤ幅方向の両側のサイドウォール部9のそれぞれに補強ゴム層10を備えてランフラットタイヤに構成されている。補強ゴム層10は、断面三日月状となっており、カーカス3のタイヤ幅方向内側に配置され、タイヤ内面に露出しないようにサイドウォール部9に埋設されている。それぞれのサイドウォール部9に補強ゴム層10が設けられることにより、タイヤ1は、リムに装着された状態でパンク等によって空気が抜けて内圧が規定内圧以下(例えば大気圧)となった場合であっても、補強ゴム層10が設けられたサイドウォール部9によって車両の荷重を支えて、所定のスピードで一定距離を安全に走行することができる。
ランフラットタイヤは、空気が抜けて内圧が規定内圧以下となっても走行が可能であるが、内圧によるタイヤ径方向外側に向けた力がベルト4に加わらなくなることから、バックリングが生じ易くなる。これに対し、図3に示す本実施形態の変形例に係るタイヤ1では、上記の通り、ベルト4のタイヤ径方向外側に外側樹脂シート6を重ねて配置するとともにベルト4のタイヤ径方向内側に内側樹脂シート7を重ねて配置して、ベルト4の曲げ剛性を補強するようにしたので、耐突起貫入性を向上できるとともに、ランフラットタイヤに構成されたタイヤ1がランフラット走行時(中)にバックリングが生じることを防止して、内圧が規定内圧以下となったランフラット走行時におけるタイヤ1の走行性能を確保することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には何ら限定されるものではない。例えば、上記の実施形態では、タイヤ1は、乗用車用のものとしたが、乗用車以外の車両に用いられるものとしてもよい。また、タイヤ1は、冬季以外の季節に使用するノーマルタイヤ(夏タイヤ)であってよく、積雪路や凍結路に適したスタッドレスタイヤ(冬タイヤ)であってもよい。
1:空気入りタイヤ、 2:ビード部、 2a:ビードコア、 3:カーカス、
4:ベルト、 4a:ゴム、 4b:コード、 5:トレッド、
6:外側樹脂シート、 7:内側樹脂シート、 8:周方向主溝、
9:サイドウォール部、 10:補強ゴム層、 CL:タイヤ赤道面
4:ベルト、 4a:ゴム、 4b:コード、 5:トレッド、
6:外側樹脂シート、 7:内側樹脂シート、 8:周方向主溝、
9:サイドウォール部、 10:補強ゴム層、 CL:タイヤ赤道面
Claims (6)
- タイヤ周方向に螺旋状に巻回されたコードがゴムで被覆されたベルトと、
樹脂からなり、前記ベルトのタイヤ径方向外側に重なって配置された外側樹脂シートと、
樹脂からなり、前記ベルトのタイヤ径方向内側に重なって配置された内側樹脂シートと、
を有することを特徴とする、空気入りタイヤ。 - 前記外側樹脂シート及び前記内側樹脂シートは、それぞれ前記ベルトに固着されている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記外側樹脂シートのタイヤ幅方向の幅は、前記ベルトのタイヤ幅方向の幅の10〜100%である、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記外側樹脂シートの厚さと前記内側樹脂シートの厚さの合計が、1.0〜6.0mmである、請求項1〜3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記外側樹脂シートの樹脂の引張弾性率及び前記内側樹脂シートの樹脂の引張弾性率は、それぞれ100〜1000MPaである、請求項1〜4の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記外側樹脂シート及び前記内側樹脂シートは、それぞれ熱可塑性エラストマーからなる、請求項1〜5の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
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