JP2019217798A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】ベルトの樹脂層における亀裂の発生を抑制できる空気入りタイヤを提供する。【解決手段】空気入りタイヤ10は、一方のビード部20から他方のビード部20に跨るカーカス16と、カーカス16のタイヤ径方向外側に配置され少なくとも樹脂層を含んで構成されたベルト26と、少なくともベルト26のタイヤ幅方向の端部26Aを覆うレイヤー38と、カーカス16とレイヤー38との間に配置される緩衝層44と、有する。【選択図】図1
Description
本発明は、樹脂層を備えたベルトを有する空気入りタイヤに関する。
自動車に装着する空気入りタイヤとして、カーカスのタイヤ径方向外側に樹脂層を含んで構成されたベルトを備えた空気入りタイヤがある(例えば、特許文献1、2参照)。
ベルトの端部を覆うように、レイヤーと呼ばれる補強層を設ける場合があるが、レイヤーの影響で、レイヤーで覆われたベルトの樹脂層に亀裂が入る場合があった。
本発明は上記事実を考慮し、ベルトの樹脂層における亀裂の発生を抑制できる空気入りタイヤの提供を目的とする。
請求項1に記載の空気入りタイヤは、一方のビード部から他方のビード部に跨るカーカスと、前記カーカスのタイヤ径方向外側に配置され少なくとも樹脂層を含んで構成されたベルトと、少なくとも前記ベルトのタイヤ幅方向の端部を覆うレイヤーと、前記カーカスと前記レイヤーとの間に配置される緩衝層と、を有する。
請求項1に記載の空気入りタイヤでは、レイヤーとベルトとの間に緩衝層が設けられているため、レイヤーからの力を緩衝層で緩衝することができ、ベルトの樹脂層において亀裂の発生を抑制することが出来る。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記緩衝層は、前記樹脂層を構成する樹脂よりも弾性率の低い材料で形成されている。
請求項2に記載の空気入りタイヤでは、緩衝層が樹脂層を構成する樹脂よりも弾性率の低い材料で形成されているため、樹脂層を構成する樹脂と同等以上の弾性率を有する材料で形成される場合に比較して、緩衝効果を高めることが出来る。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、前記弾性率の低い材料は、ゴムである。
請求項3に記載の空気入りタイヤでは、緩衝層を形成する材料をゴムとしているため、レイヤーがゴムで形成されている場合に、レイヤーと緩衝層との接合強度を高めることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記緩衝層の厚みは0.1〜1.0mmの範囲内に設定されている。
請求項4に記載の空気入りタイヤでは、緩衝層の厚みは0.1〜1.0mmの範囲内に設定しているため、重量増加を抑制しつつ、緩衝効果を得ることが出来る。
以上説明したように本発明の空気入りタイヤによれば、ベルトの樹脂層における亀裂の発生を抑制できる、という優れた効果を有する。
図1、及び図2を用いて、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ10について説明する。
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ10は、例えば、乗用車に用いられる所謂ラジアル空気入りタイヤであり、ビードコア12が埋設された一対のビード部20を備え、一方のビード部20と他方のビード部20との間に、1枚のカーカスプライ14からなるカーカス16が跨っている。なお、図1は、標準リム19に取り付けた空気入りタイヤ10の空気充填前(内圧=大気圧)の自然状態の形状を示している。
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ10は、例えば、乗用車に用いられる所謂ラジアル空気入りタイヤであり、ビードコア12が埋設された一対のビード部20を備え、一方のビード部20と他方のビード部20との間に、1枚のカーカスプライ14からなるカーカス16が跨っている。なお、図1は、標準リム19に取り付けた空気入りタイヤ10の空気充填前(内圧=大気圧)の自然状態の形状を示している。
カーカスプライ14は、空気入りタイヤ10のラジアル方向に延びる複数本のコード(図示せず)をコーティングゴム(図示せず)で被覆して形成されている。即ち、本実施形態の空気入りタイヤ10は、所謂ラジアル空気入りタイヤである。カーカスプライ14のコードの材料は、例えば、PETであるが、従来公知の他の材料であっても良い。
カーカスプライ14は、タイヤ幅方向の端部分がビードコア12をタイヤ径方向外側に折り返されている。カーカスプライ14は、一方のビードコア12から他方のビードコア12に跨る部分が本体部14Aと呼ばれ、ビードコア12から折り返されている部分が折り返し部14Bと呼ばれる。
本実施形態の空気入りタイヤ10におけるカーカスプライ14の本体部14Aの断面形状は、従来一般の空気入りタイヤと同様の断面形状であり、タイヤ赤道面CL付近は半径が略一定で平坦な形状であり、ショルダー付近において半径が漸減している。
カーカスプライ14の本体部14Aと折返し部14Bとの間には、ビードコア12からタイヤ径方向外側に向けて厚さが漸減するビードフィラー18が配置されている。なお、本実施形態の空気入りタイヤ10において、ビードフィラー18のタイヤ径方向外側端18Aからタイヤ径方向内側の部分がビード部20とされている。
カーカス16の空気入りタイヤ内側にはゴムからなるインナーライナー22が配置されている。一方、カーカス16のタイヤ幅方向外側には、タイヤ径方向外側にサイドゴム層24Aが、タイヤ径方向内側にサイドゴム層24Bが配置されている。なお、サイドゴム層24Bは、一部分がビードコア12の径方向内側を折り返してタイヤ内面の一部まで延びている。
本実施形態では、ビードコア12、カーカス16、ビードフィラー18、インナーライナー22、サイドゴム層24A、及びサイドゴム層24Bによってタイヤケース25が構成されている。タイヤケース25は、言い換えれば、空気入りタイヤ10の骨格を成す空気入りタイヤ骨格部材のことである。
(ベルト)
カーカス16のクラウン部の外側、言い換えればカーカス16のタイヤ径方向外側には、カーカス16の外周部を拘束してタガ効果を得るためのベルト26が配置されている。本実施形態のベルト26は、回転軸に沿った断面で見たときに、ほぼ全体が平坦に形成されている、言い換えれば、タイヤ幅方向中央部分がタイヤ回転軸に平行な直線状に形成されているが、タイヤ幅方向両端部分はタイヤ径方向内側へ若干湾曲している。
なお、ベルト26のタイヤ幅方向両端部分の湾曲の程度は、カーカス16の湾曲の程度に比較して小さい。したがって、ベルト26は、タイヤ幅方向中央部側の殆どの部分がカーカス16の外周面に密着しているが、幅方向両側の一部分はカーカス16の外周面から離間している。
カーカス16のクラウン部の外側、言い換えればカーカス16のタイヤ径方向外側には、カーカス16の外周部を拘束してタガ効果を得るためのベルト26が配置されている。本実施形態のベルト26は、回転軸に沿った断面で見たときに、ほぼ全体が平坦に形成されている、言い換えれば、タイヤ幅方向中央部分がタイヤ回転軸に平行な直線状に形成されているが、タイヤ幅方向両端部分はタイヤ径方向内側へ若干湾曲している。
なお、ベルト26のタイヤ幅方向両端部分の湾曲の程度は、カーカス16の湾曲の程度に比較して小さい。したがって、ベルト26は、タイヤ幅方向中央部側の殆どの部分がカーカス16の外周面に密着しているが、幅方向両側の一部分はカーカス16の外周面から離間している。
本実施形態のベルト26は、複数本(本実施形態では2本)の補強コード30を樹脂32で被覆した樹脂被覆コード34に巻回することで形成されている。なお、ベルト26の製法方法は後述する。
ベルト26の補強コード30は、カーカスプライ14のコードよりも太く、かつ、強力(引張強度)が大きいものを用いることが好ましい。ベルト26の補強コード30は、金属繊維や有機繊維等のモノフィラメント(単線)、又はこれらの繊維を撚ったマルチフィラメント(撚り線)で構成することができる。本実施形態の補強コード30は、スチールコードである。補強コード30としては、例えば、直径が0.225mmの“1×5”のスチールコードを用いることができるが、従来公知の他の構造のスチールコードを用いることもできる。
ベルト26の補強コード30は、カーカスプライ14のコードよりも太く、かつ、強力(引張強度)が大きいものを用いることが好ましい。ベルト26の補強コード30は、金属繊維や有機繊維等のモノフィラメント(単線)、又はこれらの繊維を撚ったマルチフィラメント(撚り線)で構成することができる。本実施形態の補強コード30は、スチールコードである。補強コード30としては、例えば、直径が0.225mmの“1×5”のスチールコードを用いることができるが、従来公知の他の構造のスチールコードを用いることもできる。
補強コード30を被覆する樹脂32には、サイドゴム層24A,24Bを構成するゴム材料、及び後述するトレッド部36を構成するゴム材料よりも引張弾性率の高い樹脂材料が用いられている。補強コード30を被覆する樹脂32としては、弾性を有する熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)、及び熱硬化性樹脂等を用いることができる。走行時の弾性と製造時の成形性を考慮すると、熱可塑性エラストマーを用いることが望ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、動的架橋型熱可塑性エラストマー(TPV)等が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。さらに、熱可塑性樹脂材料としては、例えば、ISO75−2又はASTM D648に規定されている荷重たわみ温度(0.45MPa荷重時)が78°C以上、JIS K7113に規定される引張降伏強さが10MPa以上、同じくJIS K7113に規定される引張破壊伸びが50%以上、JIS K7206に規定されるビカット軟化温度(A法)が130°C以上であるものを用いることができる。
補強コード30を被覆する樹脂32の引張弾性率(JIS K7113:1995に規定される)は、100MPa以上が好ましい。また、補強コード30を被覆する樹脂32の引張弾性率の上限は、1000MPa以下とすることが好ましい。なお、補強コード30を被覆する樹脂32の引張弾性率は、200〜700MPaの範囲内が特に好ましい。
本実施形態のベルト26の厚さt1(図2参照)は、補強コード30の直径寸法よりも大きくすることが好ましい、言い換えれば、補強コード30が完全に樹脂32に埋設されていることが好ましい。ベルト26の厚さt1は、空気入りタイヤ10が乗用車用の場合、具体的には、0.70mm以上とすることが好ましい。
(レイヤー)
ベルト26のタイヤ幅方向の端部26A付近は、帯状のレイヤー38でタイヤ径方向外側から覆われて拘束されている。レイヤー38は、少なくともベルト26におけるタイヤ幅方向最外側の補強コード30をタイヤ径方向外側から覆うことが好ましく、さらには、ベルト26の湾曲している部分を覆うことが好ましい。また、レイヤー38は、ベルト26の端部26Aをタイヤ幅方向外側から覆っている。なお、レイヤー38は、ベルト26の端部26Aよりもタイヤ幅方向外側に延びている。
ベルト26のタイヤ幅方向の端部26A付近は、帯状のレイヤー38でタイヤ径方向外側から覆われて拘束されている。レイヤー38は、少なくともベルト26におけるタイヤ幅方向最外側の補強コード30をタイヤ径方向外側から覆うことが好ましく、さらには、ベルト26の湾曲している部分を覆うことが好ましい。また、レイヤー38は、ベルト26の端部26Aをタイヤ幅方向外側から覆っている。なお、レイヤー38は、ベルト26の端部26Aよりもタイヤ幅方向外側に延びている。
レイヤー38としては、例えば、図2に示すように、複数本のコード40を平行に並べてゴム材料42でコーティングしたものを用いることができる。レイヤー38に用いるコードとしては、例えば、有機繊維コード、スチールコードを挙げることができる。レイヤー38にスチールコードを用いる場合、ベルト26に用いるコードよりも曲げ剛性の低いもの、言い換えれば、ベルト26に用いるコードよりも細いものを用いることができる。
レイヤー38に用いるゴム材料42は、補強コード30を被覆する樹脂32とサイドゴム層24A,24Bを構成するゴム材料及びトレッド部36を構成するゴム材料との中間の引張弾性率を有するものを用いることができる。
剛性分布をタイヤ幅方向に見て、補強コード30が埋設されたベルト26とゴムのみからなるトレッド部36との間では、剛性段差が大きい、言い換えれば、剛性の差が大きい。ベルト26の端部26A付近等、剛性が大きく変化する部位では、応力が集中し易い。本実施形態の空気入りタイヤ10では、ベルト26の端部26Aをレイヤー38で覆うことで、タイヤ幅方向に見て、ベルト26の端部26Aからトレッド部36にかけて剛性を徐々に変化させることができ、端部26A付近の応力の集中を抑制することができる。
(緩衝層)
本実施形態の空気入りタイヤ10では、レイヤー38とベルト26との間に緩衝層44が設けられている。
緩衝層44は、ベルト26が、タイヤ径方向外側に配置されたレイヤー38から受ける力を緩衝する役目をするものであり、ベルト26の樹脂32よりも引張弾性率の低い材料で形成することが好ましい。緩衝層44を形成する材料は、弾性を有している材料であればよく、ゴム材料であってもよく、樹脂材料であってもよい。本実施形態の緩衝層44は、ゴム材料で形成されている。
本実施形態のレイヤー38では、コード40がゴム材料42で被覆されており、緩衝層44がゴム材料で形成されているため、レイヤー38と緩衝層44とはゴム同士の接合となり、両者の接合強度を高める事が出来る。
なお、緩衝層44の厚みt2は、0.1〜1.0mmの範囲内に設定することが好ましい。
本実施形態の空気入りタイヤ10では、レイヤー38とベルト26との間に緩衝層44が設けられている。
緩衝層44は、ベルト26が、タイヤ径方向外側に配置されたレイヤー38から受ける力を緩衝する役目をするものであり、ベルト26の樹脂32よりも引張弾性率の低い材料で形成することが好ましい。緩衝層44を形成する材料は、弾性を有している材料であればよく、ゴム材料であってもよく、樹脂材料であってもよい。本実施形態の緩衝層44は、ゴム材料で形成されている。
本実施形態のレイヤー38では、コード40がゴム材料42で被覆されており、緩衝層44がゴム材料で形成されているため、レイヤー38と緩衝層44とはゴム同士の接合となり、両者の接合強度を高める事が出来る。
なお、緩衝層44の厚みt2は、0.1〜1.0mmの範囲内に設定することが好ましい。
(トレッド)
ベルト26のタイヤ径方向外側には、第2のゴム材料からなるトレッド部36が配置されている。トレッド部36に用いる第2のゴム材料は、従来一般公知のものが用いられる。トレッド部36には、排水用の溝37が形成されている。また、トレッド部36のパターンも従来一般公知のものが用いられる。
ベルト26のタイヤ径方向外側には、第2のゴム材料からなるトレッド部36が配置されている。トレッド部36に用いる第2のゴム材料は、従来一般公知のものが用いられる。トレッド部36には、排水用の溝37が形成されている。また、トレッド部36のパターンも従来一般公知のものが用いられる。
タイヤ軸方向に沿って計測するベルト26の幅BWは、タイヤ軸方向に沿って計測するトレッド部36の接地幅TWに対して75%以上とすることが好ましい。なお、ベルト26の幅BWの上限は、接地幅TWに対して110%とすることが好ましい。
ここで、トレッド部36の接地幅TWとは、空気入りタイヤ10をJATMA YEAR BOOK(2018年度版、日本自動車空気入りタイヤ協会規格)に規定されている標準リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%の内圧を充填し、静止した状態で水平な平板に対して回転軸が平行となるように配置し、最大の負荷能力に対応する質量を加えたときのものである。なお、使用地又は製造地において、TRA規格、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。
なお、ベルト26の面内剪断剛性は、コードをゴムで被覆した従来構造のベルト以上であることが好ましい。
(空気入りタイヤの製造方法)
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の製造方法の一例を説明する。
公知のタイヤ成形ドラム(不図示)の外周に、ゴム材料(未加硫)からなるインナーライナー22、ビードコア12、コードをゴム材料(未加硫)で被覆したカーカスプライ14、ゴム材料(未加硫)からなるビードフィラー18、サイドゴム層(未加硫)24A、サイドゴム層(未加硫)24Bを貼り付けて未加硫のタイヤケース25を形成する。
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の製造方法の一例を説明する。
公知のタイヤ成形ドラム(不図示)の外周に、ゴム材料(未加硫)からなるインナーライナー22、ビードコア12、コードをゴム材料(未加硫)で被覆したカーカスプライ14、ゴム材料(未加硫)からなるビードフィラー18、サイドゴム層(未加硫)24A、サイドゴム層(未加硫)24Bを貼り付けて未加硫のタイヤケース25を形成する。
ベルト26は、2本の補強コード30を被覆用の樹脂32で被覆した樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム(不図示)に螺旋状に巻回して形成する。その際、樹脂被覆コード34は隣接する同士で溶着させる。本実施形態の樹脂被覆コード34の断面形状は矩形(横幅の長方形)であるが、樹脂被覆コード34は隣接する同士で接合される断面形状であればよく、例えば、平行四辺形等の他の形状であってもよい。
このように、樹脂被覆コード34は隣接する同士で溶着させることで、補強コード30が埋設された本発明の一例としての樹脂層が形成される。
このように、樹脂被覆コード34は隣接する同士で溶着させることで、補強コード30が埋設された本発明の一例としての樹脂層が形成される。
次に、樹脂32が冷却されて固化したベルト26をベルト成形ドラムから取り外してタイヤ成形ドラムのタイヤケース25の径方向外側に配置し、内側から圧力を掛けて未加硫のタイヤケース25を拡張する。これにより、タイヤケース25の外周面、言い換えればカーカス16の外周面をベルト26の内周面に圧着する。
その後、ベルト26の両端部を覆う様に緩衝層44、及びレイヤー38を貼り付ける。最後に、ベルト26の外周面に、一般の空気入りタイヤの製造と同様に、未加硫のトレッド部36を貼り付け、生タイヤが完成する。
このようにして製造された生タイヤは、一般の空気入りタイヤと同様に加硫成形モールドで加硫成形され、空気入りタイヤ10が完成する。
(作用、効果)
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の作用、効果を説明する。
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の作用、効果を説明する。
本実施形態の空気入りタイヤ10では、ベルト26の端部26A付近のタイヤ径方向外側にコード40を含むレイヤー38が配置されており、ベルト26の端部26A付近がレイヤー38で拘束されている。厳密には、ベルト26は、レイヤー38のコード40によって拘束されている。
図2(B)に示すように、ベルト26の外周面に、レイヤー38が直接貼り付けられている場合、ベルト26の樹脂32は、レイヤー38のコード40からタイヤ径方向内側へ向かう力Fを受けるため(なお、回転の上昇に伴い力Fは増大する)、樹脂32は、力Fを受けた部位(一例として、コード40の直下)に亀裂Cを生じる場合がある。
一方、本実施形態の空気入りタイヤ10では、図2(C)に示すように、レイヤー38とベルト26との間に緩衝層44が設けられているため、レイヤー38のコード40からの力Fが緩衝層44で緩衝され、言い換えれば分散されてベルト26に作用することで応力の集中が抑制され、ベルト26の樹脂32において亀裂の発生を抑制することが出来る。
なお、緩衝層44の厚みt2が薄すぎると、力Fを緩衝する効果が不足して亀裂の発生を抑制することが困難となる。緩衝層44の厚みt2は、ある程度あれば亀裂の発生を抑制することができ、必要以上に厚くすると、緩衝層44の材料使用量が増え、重量が無駄に増加する。このため、緩衝層44の厚みt2は、0.1〜1.0mmの範囲に設定することが好ましい。
本実施形態の空気入りタイヤ10では、カーカス16のクラウン部が、螺旋状に巻回された補強コード30が樹脂32で被覆されたベルト26で補強されているため、従来空気入りタイヤの2枚以上のベルトプライから構成された複数層からなるベルトに比較して軽量となり、製造も簡単になっている。
本実施形態のベルト26は、補強コード30を被覆している樹脂32の引張弾性率が100MPa以上とされ、厚みも0.7mm以上確保されているので、ベルト26のタイヤ幅方向の面内剪断剛性を十分に確保することができる。
ベルト26の面内剪断剛性が確保されることで、空気入りタイヤ10にスリップ角を付与した場合の横力を十分に発生させることができ、操縦安定性を確保することができ、また、応答性も向上させることができる。
また、ベルト26の面外曲げ剛性が確保されることで、空気入りタイヤ10に大きな横力が入力した際、トレッド部36のバックリング(トレッド部36の表面が波打って、一部が路面から離間する現象)を抑制することができる。
さらに、本実施形態の空気入りタイヤ10では、面内剪断剛性が高いベルト26を用いており、ベルト26の幅BWをトレッド部36の接地幅TWの75%以上としているので、ショルダー39付近の剛性を高めることができる。
本実施形態の空気入りタイヤ10では、ベルト26が1層構造であるため、従来の2枚以上のベルトプライで構成した場合に比較して、ベルト26の厚みを薄くでき、その分トレッド部36の厚みを厚くすることができ、かつ溝37の深さを深くすることができる。これにより、空気入りタイヤ10の寿命を延ばすことも可能となる。
空気入りタイヤ10におけるベルト26は、補強コード30が螺旋状に巻回され、周上で補強コード30がタイヤ径方向に重なる部分が無く、タイヤ周方向に厚さt1が均一となっているので、空気入りタイヤ10はユニフォミティーに優れたものとなる。
ベルト26の厚みt1、言い換えれば樹脂32の厚みが0.7mm未満になると、樹脂32中に埋設する補強コード30を太くしてタガ効果を得ることができなくなる虞がある。
また、ベルト26の幅BWがトレッド部36の接地幅TWに対して75%未満となると、ベルト26のタガ効果が不十分となったり、ショルダー39付近の騒音の発生を抑制することが困難になる虞がある。一方、ベルト26の幅BWがトレッド部36の接地幅TWに対して110%を超えると、タガ効果としては頭打ち状態となり、ベルト26が必要以上となり、空気入りタイヤ10の重量増加を招く。
[その他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
上記実施形態では、ベルト26を製造する際に用いた樹脂被覆コード34が、2本の補強コード30を樹脂32で被覆したものであったが、樹脂被覆コード34は1本の補強コード30を樹脂32で被覆したものであってもよく、3本以上の補強コード30を樹脂32で被覆したものであってもよい。
なお、ベルト26は、少なくとも幅方向の一端側から他端側まで連続した樹脂層を備えていればよく、コードの配置、層の厚み等は上記実施形態のものに限定されない。
また、ベルト26は、強度が確保されれば補強コード30が含まれていなくてもよい(即ち樹脂層のみ)。
また、ベルト26は、強度が確保されれば補強コード30が含まれていなくてもよい(即ち樹脂層のみ)。
上記実施形態では、レイヤー38でベルト26の端部26A付近のみを覆ったが、必要に応じて、幅広に形成した少なくとも1枚のレイヤー38でベルト26の全体をタイヤ径方向外側から覆うようにしてもよく、端部26A付近のみを覆うレイヤー38とベルト26の全体を覆う幅広のレイヤー38とを組み合わせて用いてもよい。
ベルト26の全体をレイヤー38で覆う場合、緩衝層44は、レイヤー38の下方全体に設けてもよく、亀裂の発生し易い箇所に対応した部分のみに配置してもよい。
ベルト26の全体をレイヤー38で覆う場合、緩衝層44は、レイヤー38の下方全体に設けてもよく、亀裂の発生し易い箇所に対応した部分のみに配置してもよい。
10…空気入りタイヤ、16…カーカス、20…ビード部、26…ベルト、端部…26A,32…樹脂(樹脂層)、44…緩衝層
Claims (4)
- 一方のビード部から他方のビード部に跨るカーカスと、
前記カーカスのタイヤ径方向外側に配置され少なくとも樹脂層を含んで構成されたベルトと、
少なくとも前記ベルトのタイヤ幅方向の端部を覆うレイヤーと、
前記カーカスと前記レイヤーとの間に配置される緩衝層と、
を有する空気入りタイヤ。 - 前記緩衝層は、前記樹脂層を構成する樹脂よりも弾性率の低い材料で形成されている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記弾性率の低い材料は、ゴムである、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記緩衝層の厚みは0.1〜1.0mmの範囲内に設定されている、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
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