JP2006044487A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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尚樹 兼平
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Abstract

【課題】 操縦安定性を一層増大した空気入りラジアルタイヤを提供する。
【解決手段】 トレッド部1におけるカーカス層2の外周にベルト層3を配置した空気入りラジアルタイヤにおいて、熱可塑性樹脂シート4を少なくともベルト層3とカーカス層2とに挟まれた領域から該カーカス層2に沿ってベルト層3外側のショルダー部6へ延長すると共に、タイヤ周方向に巻回するように配置したことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は空気入りラジアルタイヤに関し、さらに詳しくは、操縦安定性を向上するようにした空気入りラジアルタイヤに関する。
従来、高速耐久性の向上を目的として、ベルト層の少なくとも両端部を合成樹脂フィルムによって覆うようにした空気入りラジアルタイヤが提案されている(特許文献1)。
しかし、この空気入りラジアルタイヤは、合成樹脂フィルムがベルト層の少なくとも両端部を覆っていることによって、高速走行時におけるベルト層端部のせり上がりを抑制するようにしたものであるため、ベルト層端部がゴム層から剥離することを防止する効果は優れているが、操縦安定性(特にコーナリング特性)については必ずしも十分であるとはいえなかった。
特開平6−255314号公報
本発明の目的は、操縦安定性を一層向上可能にした空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
上記目的を達成する本発明の空気入りラジアルタイヤは、トレッド部におけるカーカス層の外周にベルト層を配置した空気入りラジアルタイヤにおいて、熱可塑性樹脂シートを少なくとも前記ベルト層と前記カーカス層とに挟まれた領域から該カーカス層に沿って前記ベルト層外側のショルダー部へ延長すると共に、タイヤ周方向に巻回するように配置したことを特徴とするものである。
本発明によれば、補強手段としての熱可塑性樹脂シートを、ベルト層とカーカス層の間に挿入しただけでなく、ベルト層の外側へショルダー部まで延長するようにしているため、ベルト層の端部からショルダー部までの領域における剛性を増大させ、コーナリング特性(操縦安定性)を一層向上するようにすることができる。
以下、本発明を図に示す実施形態により具体的に説明する。
図1は、本発明の空気入りラジアルタイヤの実施形態の要部を示す。
図1において、1はトレッド部、2はカーカス層である。カーカス層2は少なくとも1層からなり、ポリエステル、ナイロンなどの有機繊維コードからなるカーカスコードをタイヤ周方向に対して90°±10°のコード角度にしている。カーカス層2の外周側には2層のベルト層3が配置され、ベルト層3は高弾性率のスチールコードからなり、タイヤ周方向に対するコード角度を10°〜40°にすると共に、層間で互いに交差するようにしている。
さらに、上記ベルト層3とカーカス層2との間に熱可塑性樹脂シート4が一部を挿入すると共に、カーカス層2に沿ってベルト層3の外側のショウルダー部5まで延長している。このように熱可塑性樹脂シート4を配置したことにより、ベルト層3の端部からショルダー部5までの領域の剛性が増大し、この剛性の増大によりタイヤがコーナリグする際のコーナリグフォースを増大させ、操縦安定性を一層向上するようになっている。
上記のようにベルト層3の端部からショルダー部5までの剛性をアップさせるため、熱可塑性樹脂シート4は、その内端を少なくともベルト層3の最外層端縁と最内層端縁との間まで挿入させればよい。勿論、熱可塑性樹脂シート4は、ベルト層3の最内層の全幅に渡るように挿入されるようになっていてもよい。
熱可塑性樹脂シート4を上記のように配置することにより、タイヤの操縦安定性向上と共に、高速耐久性も向上することができるが、このような高速耐久性の一層の向上のために、図2に示すような実施形態にしてもよい。図2の実施形態では、ベルト層3端部の外周側に、補強コードをタイヤ周方向に螺旋状に巻回したベルト補強層6が配置されるようになっている。このベルト補強層6としては、ベルト層3の端部だけに限らず、ベルト層3の全幅に渡って配置するようにしてもよい。
本発明において、熱可塑性樹脂シートを構成する樹脂としては、シート状に成形可能な材料であれば特に限定されない。例えば、ナイロン66、ナイロン6、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレイソフタレート(PEI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリケトン(POK)などを例示することができる。
また、熱可塑性樹脂シートのタイヤに対する巻付け方法は特に限定されない。例えば、細幅の熱可塑性樹脂テープをタイヤ周方向に螺旋状に複数回にわたり巻回する形成方法、所定幅の熱可塑性樹脂シート(フィルム)を略タイヤ周長に裁断し、これを巻き付けて両端部をスプライスする形成方法、或いは筒状に成形した熱可塑性樹脂シート(フィルム)をタイヤ外周に被覆する形成方法などを挙げることができる。これらのうちでも、特に、第一番目に挙げた細幅熱可塑性樹脂テープを螺旋状に巻き付ける方法が最も好ましい。
熱可塑性樹脂シートの厚さとしては、好ましくは10〜500μmにし、さらに好ましくは10〜200μmにするのがよい。10μmよりも薄いと、前述したベルト層端部からショウルダー部までの領域の剛性増大効果を得ることが難しくなる。また、500μmよりも厚いと、成形作業性の悪化やシート(フィルム)端部からのセパレーションが発生することなどがあり、好ましくない。
実施例1〜3、比較例1,2
タイヤサイズが195/65R15、それぞれコード構造2+2×0.25、エンド数40本/5cm 、コード角度27°である2層のスチールコードベルト層を使用することを共通の条件とし、図2の構造におけるベルト補強層と熱可塑性樹脂シートを表1のように異ならせた空気入りラジアルタイヤ(実施例1〜3、比較例1,2)を製作した。
これら5種類の空気入りラジアルタイヤについて、下記の試験法によりコーナリングパワーをそれぞれ測定し、その結果を、比較例1のタイヤの測定値を100とする指数で表1に記載した。指数値が大きいほどコーナリングパワーが大きいこと、すなわち、操縦安定性が優れていることを示す。
〔コーナリングパワーの測定法〕
試験タイヤを空気圧210kPaで15×16JJのリムにリム組し、直径1707.6mmのドラムに接圧し、4.5kNの荷重を負荷して10km/hrの速度で走行し、スリップ角右1°のときの横力とスリップ角左1°のときの横力との絶対値の平均をそれぞれ測定した。
Figure 2006044487
実施例4、比較例3
タイヤサイズが215/55R16 91V、それぞれ繊度1670dtex/2、エンド数55本/5cm 、コード角度22°であるポリケトン繊維からなる内層と、コード構造2+2×0.25、エンド数40本/5cm 、コード角度27°であるスチールコードからなる外層とでベルト層を構成することを共通の条件とし、図2の構造におけるベルト補強層と熱可塑性樹脂シートを表2のように異ならせた空気入りラジアルタイヤ(実施例4、比較例3)を製作した。
これら2種類の空気入りラジアルタイヤについて、上記の試験法によりコーナリングパワーを測定し、その結果を、比較例3のタイヤの測定値を100とする指数で表2に記載した。指数値が大きいほどコーナリングパワーが大きいこと、すなわち、操縦安定性が優れていることを示す。
Figure 2006044487
本発明の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤの要部を示す子午線断面図である。 本発明の他の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤの要部を示す子午線断面図である。
符号の説明
1 トレッド部
2 カーカス層
3 ベルト層
4 熱可塑性樹脂シート
5 ショルダー部
6 ベルト補強層

Claims (5)

  1. トレッド部におけるカーカス層の外周にベルト層を配置した空気入りラジアルタイヤにおいて、熱可塑性樹脂シートを少なくとも前記ベルト層と前記カーカス層とに挟まれた領域から該カーカス層に沿って前記ベルト層外側のショルダー部へ延長すると共に、タイヤ周方向に巻回するように配置した空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記熱可塑性樹脂シートを前記ベルト層の最内層の端縁と最外層の端縁との間の領域から該ベルト層の外側へ延長するように配置した請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記熱可塑性樹脂シートを細幅の熱可塑性樹脂テープをタイヤ周方向に螺旋状に複数回巻回するように配置した請求項1又は2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 前記熱可塑性樹脂シートの厚さが10〜500μmである請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
  5. 前記ベルト層の外側の少なくとも端部域に、補強コードがタイヤ周方向に延長するベルト補強層を配置した請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
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