JP4596082B1 - 高台付き陶磁器成型用原型 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の方法での飲食容器類の製作は、価格も高く、取り扱いに気を使う石膏型の原型は敬遠され、平板の土の周縁部を指先で折り曲げたりする、変形容器しか作れず高台が無かった。そのため、初心者はもちろん熟練者でも、原型が無くて作品を作ることは困難であったため、安価で簡単に作れる成型用の原型が待望されていた。
【解決手段】樹脂やセラミックスの硬質材からなる原型の代表図1は、着脱自在な底板20を備えた成型用本体1と高台成型具3で構成し、繰り返しの使用に耐え、共に生乾きの成型土を着脱自在な底板と共に押し出す働きを備えて、成型用本体1は、容器上部の解放側に押し出す働きと下部底板側に押し出す働きの二つの働きを可能にして、一つの原型から大きさの異なる容器を、湿気漏れを無くす高台も付いて、見栄えのする形状に簡単に製作でき、価格も安価な飲食容器類製作の原型を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、陶器や磁器など容器類製作の原型に関するものである。
作陶時、従来では手作りで容器類などを平板の土から製作するとき、初心者、熟練者を問わず民芸調や見慣れた市販品に似た形状にするには、熟練した技術と経験に加え手間を要するため轆轤製作に頼ることが多く、価格も安価で誰でも手作りで簡単につくれる有効な陶磁器の成型用原型が無かった。
従来の方法では、価格が高く取り扱いに気を使う石膏型の原型は敬遠され、平板の土の周縁部を指先で折り曲げたりする、変形容器しか作れずそのうえ高台が無かった。
そのため、高台の無い容器の底には釉薬を付けられず、素焼きの地肌が剥き出しで、水分や食品の湿気が容器の底から漏れテーブル上を汚していた。
そこで、湿気漏れを無くし、個性豊かな民芸調や一般的に見慣れた飲食容器類の製作において、価格が安く簡単に作れる原型を使い、見栄えがし市販品にも見劣りしない、個性豊かな手作り作品を製作できる器具が、初心者だけでなく、陶磁器製作愛好家の中でも強く待望されていた。
特許文献1にある円形皿類の成形に関するもので、成型用型本体を成型機に装着する基礎体と、粘度面と接触する成形面とで構成し、基礎体を通気性を有する多孔質の硬質材で形成すると共に、成形面を石膏で形成したことを特徴とする皿類成型用型の記載があった。
実用新案公開平7−40109号公報
以上に述べた特許文献1の発明では、成型用の原型は石膏で作られており、形抜きされた石膏は皿の大きさにより重量も大きく変化しやすく、その上価格が高く、重いうえに落とすと破損しやすいので取り扱いに慎重さを要求され気を使うのと、柔らかい土を石膏面に沿ってナイフで象りする時、石膏の周縁部を傷つけ易く、また石膏が土の水分を吸い生乾き状態では、石膏の成形面と成形土とが離れにくい欠点を持っている。
本発明は、このような従来の問題点を解決しようとするものであり、原型は、持って軽く、割れにくいので扱い易く、原型の成形面と成形土が離れやすく、初心者はもとより熟練者でも、民芸調から市販品に近い形状の容器類を、手作りで簡単に製作できる飲食容器類製作の原型を提供するものである。
上記課題を解決するため、本発明では、新規な陶磁器成形用の原型を提供する。すなわち合成樹脂及びセラミックスを含む硬質材からなり、上部が開放された有底筒体形状の成型用本体1と当該成型用本体1の底部の形状に合わせた高台成型具3からなる原型であり、当該成型用本体と当該高台成型具の底部は、着脱自在な底板20,31で構成されており、
前記成型用本体1は、壁面部10と前記着脱自在な底板20とからなり、当該底板20は、当該壁面部10の底部に設けた嵌合部11に装着され、前記高台成型具3は、環状に形成されて、底面の少なくとも一部分が開口した断面V字状の高台本体30と当該断面V字形状の底面の開口部に敷かれる前記着脱自在な底板31とからなることを特徴とする陶磁器成型用の原型を提供する。
更に本発明では、前記課題を解決するため歯車付き器具を提供する。すなわち、長尺状の把持部41と該把持部の軸方向一端側に回動自在に、軸着された歯車40とからなり当該歯車の周面に形成された歯部は、先端が鋭角をなすことを特徴とする歯車付き器具であり、この器具における歯車は、望ましくは、合成樹脂で形成される、何故ならば、生乾きの成形土が歯と歯の間に接着しにくいからである。
上述したように本発明の原型は、次のような効果を奏する。
本発明にかかる、陶磁器成形用の原型によれば、一つの成形用本体から、二つの大きさの違う容器類を製作することが出きる。
一つめは、成型用本体壁面部の上部が解放された側から、平板の土を挿入して成形し、そして、生乾きの成形土を底板と共に上部の解放側へ押し出し製作する方法である。
二つめは、大きい容器類製作で、成型用本体底板の下部外側から、平板の土を、被せるようにして成形する、そして、生乾きの成形土を前記成型用本体底板と共に、底部外側に押し出し制作する方法であり、今まで不可能であった、平板の土から手つくりで簡単に、容器類を製作出きるのである。
また、いままで手作りでは、見栄えのする高台製作は不可能であった。しかし、高台成型具の使用により、市販品に負けない実用的な高台製作が可能になり、容器類の底部に釉薬を付けることが出来て、湿気漏れを無くしテーブル上を汚す事が無くなった。
また、いままでは、製作する容器の成形面と生乾きの成形土を剥がしやすくするため、薄い紙や布などを間に入れる工夫をしていたが、紙などは、土の水分を吸い、縮んで成形土の表面に皺が入って困っていた。しかし、この原型の使用で、間に何も入れる必要がなく底板を生乾きの成形土と共に、押し出す成形方法で、生乾きの成形土が剥がしやすくなり表面が奇麗な見栄えのする容器類が製作できるようになったのである。
飲食容器類の原型代表図 容器底部平面図 図1の底板及び壁面底部と嵌合部の拡大断面図 底板平面図 底板側面図 紐状に伸ばした陶磁器土と高台成型具の一部断面斜視図 高台成型具平面図 高台成型具断面V字形状の拡大断面図 断面V字形状の底部の開口部の底板平面図 断面V字形状底部の開口部の底板側面図 歯車付き器具側面図 歯車付き器具正面図 歯車部の正面拡大図
以下、本発明の実施の形態を図1〜図14に基づいて説明する。
この図1に示す原型は、皿類や鉢物、飲み物の容器類を製作する原型の代表である。
原型を構成している、容器類の成型用本体1は、壁面部10と該壁面部の下端に嵌合する底板20とからなる成型用本体1を形成し、また、高台成型具3は、この当該底板20よりも小さい径で形成されている。
そして、容器類の製作方法は、陶磁器土を、作業板の上で成型用本体1より少し大きめの平板の土にして、前記成型用本体1を平板の土に乗せて当該作業板と共に持ち上げ反転させ、当該作業板を取り除くと、当該成型用本体1の上に平板の土が乗るので、軟らかいスポンジや乾燥した柔らかい砂袋等を利用して、当該成型用本体1の形状に成形する。
そして、当該成型用本体1の周縁部に沿って、成形土の余分な部分を切り取り、当該周縁部をなめし皮で仕上げると、当該成型用本体側の成形土が製作できるのである。
なお、図1に示した成形用本体1は、逆向き円錐台形状であるが、その他にも円筒形状、三角柱形状、四角柱形状等各種形状に形成できる。
次に、前記原型の容器類製作方法を基にして、一つの前記成型用本体1から、二つの大きさの違う容器類を制作する成形方法を紹介する。
一つめは、前記作業板の上で平板にした陶磁器土の中心部の上に、当該成型用本体1の壁面部10の上部開放側を接着させて、当該作業板と共に持ち上げて反転させ、当該作業板を取り除くと、当該成型用本体1の上に平板にした陶磁器土が乗るので、その後は、前記の容器類製作方法にそって成形する。そして、当該壁面部10の内側の面に出来た生乾きの成形土2を、当該壁面部10の上部開放部側へ、前記底板20と共に押し出し製作する成形方法である。
二つめは、大きめの容器類を製作する方法で、平板の陶磁器土を、前記成型用本体1の当該底板20の底部外側から中心部を合わせて被せる。その後は、前記の容器類製作方法にそって成形する。そして、生乾きの成形土2を、底部の外側へ当該底板20と共に押し出し製作する成形方法である。
図1に示す原型の高台成形具3は、前記成型用本体1の底部に接着して、容器の安定と本焼き中に高温で溶けた容器底部の釉薬が、窯の中で容器類を乗せた棚板と接着するのを防ぎ、湿気漏れも防ぐ釉薬を底部に付けることが出来、実用的で見栄えのする容器類が製作できるのである。
成形方法は、前記高台成型具3の断面V字形状の上部開放部より、紐状に伸ばした陶磁器土を押し込み成形する(後述の図6参照)。そして、成形土が形崩れをしない生乾き状態で、当該断面V字形状の底部の開口部32に敷かれた、前記底板31と共に当該開口部32より押し出し形抜きして、前記成型用本体1底部に接着剤で接着するのである。
図2に示す環状の前記高台成型具3の四箇所に設けた33は、当該高台成型具の断面V字形状の枠(内壁面と外壁面)を繋ぐ連結具であり、前記底部の開口部32に敷かれた、前記底板31の落下防止の受け具でもある。
図3、4、5に示す様に、前記成型用本体の底板20は、断面における周縁部を丸い円形状にしているのは、前記壁面部10の底部に設けた嵌合部11に装着し易く、生乾き状態の成形土を、押し出す時に当該成型用本体側の成形土底部に、押し傷を入れないためである。
図6は、前記高台成型具3において、前記紐状に伸ばした陶磁器土を断面V字形状の上部開放部より押し込み製作する方法を示している。そして、前記着脱自在な底板31が敷かれている状態の図である。
図7に示す前記高台成型具3では、前記断面V字形状底部の開口部に、前記着脱自在な底板31が敷かれており、前記連結具33は、隠れた状態になっている。
図8は、前記高台成型具の拡大断面図である。この図に示す様に、前記底板31は、高台本体30の底面をふさいでいる。
図9、10に示す前記底板31は、前記高台成型具の断面V字形状の底部の、前記開口部の32に敷かれる、前記着脱自在な底板31であり、当該断面V字形状の上部開放部より押し込まれた、前記紐状に伸ばした陶磁器土の食み出し防止と生乾き状態の成形土を、当該底板31と共に、当該断面V字形状の底部の開口部32から上部の開放部側へ押し出すはたらきを持つのである。
図11,12,13に示す歯車付き器具の4は、型崩れしない、生乾きの成形土の表面部に押し傷を入れ、接着力を高めることが出来る器具である。
そして、前記高台成型具の断面V字形状の生乾きの成形土の上部面や、前記成形用本体の生乾きの成形土の底部面に、回転する歯車40の歯先で押し傷を入れ、接着剤を塗布すると、傷跡に接着剤が浸入しやすくなり、接着力効果を高めることができるのである。
また、この発明では、土資源の有効活用ができる。それは、轆轤成形では、轆轤を回転させ、手に何度も水を付けて土の芯だし作業、馴らし作業、成形の各作業などで、土の大事な粘性の成分が流れ落ちる。
また、成形土の乾燥過程で生じる作業に、高台を削りだす大事な作業があり、それは、生乾き状態での容器底部の成形土を、轆轤を回転させながら、成形用カンナで削る、高台の削り出し作業であり、高台を削りだす時に発生する、薄く削り取られた残土は、乾燥が急速に進むため、この工程でも、土の粘性成分が失われる。
そのため、粘性成分再生の練り直し作業に必要な時間と労力を要するが、この原型の使用では、練った土を平板にしてそのまま使い、原型の周縁部に沿って、切り取り製作するので、粘性成分は失われることなく、手間をかけずにそのまま練り込むだけで、使用可能な陶磁器土になるのである。
日本国内の、陶磁器愛好家は、公民館のサークルや市民クラブ、陶芸教室等で製作活動中を含めて、約500万人規模の記載がある。
旧来の石膏型では、価格が高く石膏材は可溶性で廃棄処分が困難な固形物であり、公害問題となっているのに比べ、この問題を解消する樹脂製やセラミックスからなる原型は、製造変更でも、用途に的確に素早く対応出きる特徴を持っており量産も可能であり、コストも安価で、環境に優しい製造方法である。
また各容器のデザインは、旧来よりそれほど大きな変化はしていないのと再利用資源材としても活用できる。
1 成型用本体
2 成形土
3 高台成型具
4 歯車付き器具
10壁面部
11壁面部底の底板嵌合部
20成型用本体底板
30高台本体
30a紐状に伸ばした陶磁器土
31高台成型具の断面V字形状開口部の底板
32高台成型具の断面V字形状底部の開口部
33高台成型具の断面V字形状の枠(内壁面と外壁面)を繋ぐ連結具
40歯車
41取っ手部
42歯車連結軸

Claims (1)

  1. 合成樹脂及びセラミックスを含む硬質材からなり、上部が開放された有底筒体形状の成型用本体1と当該成型用本体1の底部の形状に合わせた高台成型具3からなる原型であり当該成型用本体と当該高台成型具の底部は、着脱自在な底板20,31で構成されており、
    前記成型用本体1は、壁面部10と前記着脱自在な底板20とからなり、当該底板20は、当該壁面部10の底部に設けた嵌合部11に装着され、前記高台成型具3は、環状に形成されて、底面の少なくとも一部分が開口した断面V字状の高台本体30と当該断面V字形状の底面の開口部に敷かれる前記着脱自在な底板31とからなることを特徴とする陶磁器成型用の原型。
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