JP4595321B2 - ポリエステル積層体およびポリエステル積層体の製造方法 - Google Patents

ポリエステル積層体およびポリエステル積層体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリ乳酸等のポリエステルを用いた積層構成体に関するものであり、優れた易カット性と意匠性、加工適性を兼ね備えるものである。易開封性、ストロー等の易突き刺し性に優れる包装用積層シート、手切れ性粘着テープなどの用途に好適な積層体およびその製造方法に関するものである。
近年の包装材料では、易開封性が着目され様々な提案がなされている。
たとえば特許文献1および特許文献2には、高融点のポリエステルと低融点のポリエステルを製膜工程で積層し、低融点のポリエステルの融点以上で熱処理して得られる易カットポリエステルフィルムについて開示されている。
また、特許文献3には、脂肪族ポリエステルフィルムに紫外線や電子線を照射することにより、化学変性させて得られる易カットポリエステルフィルムの提案がなされている。
特許文献4、5にはポリエステルフィルムに紙やアルミを複合し、さらに接着層を付与した易カット積層体の例が見られる。
特開平5−104618号公報(実施例1) 特開2001−191407号公報(実施例5) 特開2003−261696号公報(実施例1〜5) 特開2002−87459号公報(実施例1〜3) 特開2002−104496号公報(実施例1)
しかしながら、上記従来技術には以下に挙げるように、易カット性と加工適性の両立が極めて困難であるという問題点を有しており、改善が望まれていた。
特許文献1〜3に示されるフィルムは接着層などをラミネートすれば、易カット性の良好な積層体となるが、加工前のフィルムに、易カット性を付与しているため、ラミネート加工時の破断、取り扱い時の傷発生など、加工適性に劣り満足のできるものでない。
また特許文献4、5の例では、使用するフィルム厚みが薄いため、取り扱い時、加工時にシワが発生しやすく満足のできるものでない。またフィルム厚みが薄いと、意匠性に劣り、見た目、手触りで重厚感に欠ける安価な印象となるという欠点も有する。
本発明の課題は上記した従来技術の問題点を解消することにあり、易カット性、加工適性を両立する積層体、特に、開封が容易な食品、医薬品等の包装材料、粘着テープとして好適に用いられるポリエステル積層体およびその製造方法を提供することにある。
また、本発明のポリエステル積層体の製造方法は、以下である。
少なくとも端裂抵抗18〜500Nを有する単層または積層のポリエステルフィルムを、
ポリエステフィルムを構成する最も融点の高い層のポリエステルの融点(Tm1[℃])で軟化しない支持体と積層し、
さらにTm1℃以上の温度で熱処理を施すポリエステル積層体の製造方法。
本発明のポリエステル積層体は、易カット性に優れ、さらに製造の際の加工適性にも優れる。特に内容物を取り出す際の開封が容易な食品、医薬品等の包装材料、ストロー等の易突き刺し性に優れる包装材料、粘着テープ等として好適に用いることができる。また、本発明のポリエステル積層体の製造方法によると、易カット性に優れるポリエステル積層体を得ることができる。
本発明のポリエステル積層体は、ポリエステルからなるA層を少なくとも1層有する。
ここで本発明におけるポリエステルとは、エステル結合により構成される高分子量体の総称であり、例えばポリヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸およびグリコールの重縮合ポリマーが挙げられる。
ポリヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ビドロキシカプロン酸などから得られるポリマーが代表的に挙げられる。これらのポリヒドロキシカルボン酸は単一のヒドロキシカルボン酸からでもよいし、複数のヒドロキシカルボン酸からなる共重合体でもよい。
また、ジカルボン酸とグリコールの重縮合ポリマーは、以下に例示されるようなジカルボン酸成分、グリコール成分の重縮合により得られる高分子量体である。
ジカルボン酸成分の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキシンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等が挙げられる。一方、グリコール成分の例としてはエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。なお、これらのジカルボン酸成分、グリコール成分は2種以上を併用してもよい。
さらに、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、本発明で使用するポリエステルにはトリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロールプロパン等の多官能化合物を共重合させて使用することもできる。また、上記ポリエステルは単独で使用してもよいし、2種以上をブレンドして使用しても構わない。
さらには、本発明で使用するポリエステルフィルムは単層であっても積層されたものであってもよい。ここで、積層ポリエステルフィルムとは、複数の押出機でポリエステルを積層し製膜したフィルムである。
なかでも、本発明においてA層に用いる好ましいポリエステル樹脂としては、易カット性の面からは脂肪族成分を主体とするポリエステル樹脂が好ましく、さらに耐熱性や経時安定性の面からはポリ乳酸系樹脂が特に好ましく挙げられる。
使用するポリ乳酸系樹脂のL乳酸:D乳酸の好ましい比率は、100:0〜60:40の範囲であり、さらに好ましくは99:1〜75:25の範囲である。前記範囲内で、L乳酸の割合が高くなれば耐熱性が高くなるため好ましい。また、D乳酸の割合が高くなれば加工性が容易となる。そのD乳酸の割合が前記範囲以上となれば耐熱性の低下が顕著であり好ましくない。
ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量としては6万〜50万の範囲のものが好ましく、より好ましくは7万〜30万、特に好ましくは8万〜18万の範囲である。重量平均分子量が上述の範囲未満であれば、経時安定性、耐熱性などの物性面、また製膜安定性などの加工面で劣るものとなるため好ましくない。一方、上述の範囲を超えると、易カット性の悪化につながる他、溶融粘度が高くなり、フィルターでの濾過、ポリマー中の異物除去が困難となり、生産効率も悪化するため好ましくない。
また本発明においては、耐熱性の面、易カット性の面からポリエステルの融点が120〜300℃の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは、130〜230℃であり、特に好ましくは140〜180℃である。上記範囲未満であれば、耐熱性が不足し、ラミネート等の加工面や実使用上の問題を引き起こす場合がある。また上記範囲を超えると易カット性の向上のために熱処理を行う際に、必要な熱量が増大するため生産性が悪化し、さらには他の層(A層以外)にダメージを与える場合があり好ましくない。
ここで、ポリエステルの融点とはDSCにより測定される結晶融解ピーク温度のことである。本発明のポリエステル積層体で用いるA層のポリエステルは耐熱性の面で結晶性ポリエステルであることが特に好ましい。ポリエステルが非晶性である場合、軟化点温度の数値を融点と見なすことも可能である。また、積層体におけるA層の融点の測定を行う場合は、各層を分離した後にDSCにて測定することや、ポリエステル積層体の端面を切り出し、マイクロサーマルアナライザー(μTA)にて測定することが可能である。
本発明で使用するポリエステルおよびポリエステルフィルムには、好ましくは20重量%以下の範囲、特に好ましくは5重量%以下の範囲で、可塑剤、滑剤、無機粒子、有機粒子、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、着色防止剤などの各種添加剤や改質剤、さらには脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリオレフィンなどの公知のポリマーを含有させることができる。
フィルムに易滑性を付与して加工の際の取り扱いを良好とする上で、本発明のポリエステルフィルム中には無機粒子、有機粒子、有機滑剤などを含有させることが好ましい。
無機粒子としては、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク、アルミナ、ジルコニア、スピネル、湿式あるいは乾式シリカなどが挙げられ、有機粒子としてはアクリル酸系ポリマー類、ポリスチレン等を構成成分とする有機粒子が挙げられる。なかでも分散性等の点からシリカ、アルミナ等の無機粒子を好ましく用いることができる。
これら無機粒子、有機粒子の粒子径は特に限定されるものではないが、好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.1〜3μmである。また、無機粒子、有機粒子のフィルムへの添加量は、0.001〜30重量%の範囲であり、より好ましくは0.01〜1重量%の範囲である。
また、好ましい有機滑剤としては、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、N−オレイルパルミトアミド、N−ステアリルエルカアミド、エチレンビスステアリン酸アミド 、エチレンビスオレイン酸アミド 等のアミド系有機滑剤、また、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、べへニン酸メチル、ラウリン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ヤシ脂肪酸オクチルエステル、ステアリン酸オクチル、ラウリン酸ラウリル、長ステアリン酸ステアリル、長鎖脂肪酸高級アルコールエステル、べへニン酸べへニン、ミリスチン酸セチル等のモノエステル系有機滑剤、さらにはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸鉛、オレイン酸ソーダ、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸塩、シリコン系化合物、カルナウバワックス、キャンデリラワックスなどが挙げられる。なかでもアミド系滑剤が優れた滑り性の発現、耐ブリードアウト性などの点から好適に使用することが可能である。
有機滑剤のフィルム中への好ましい添加量としては、0.01〜0.5重量%の範囲であり、さらに好ましくは0.03〜0.5重量%、特に好ましくは0.1〜0.4重量%の範囲である。
本発明でのポリエステルフィルムは、透明性が高いことが好ましく、ヘイズが10%以下であることことが好ましい。特に好ましくは3%以下である。透明性が良好であると、フィルム裏面から印刷を行った際に、図柄が鮮明であり、また内容物確認のために透明性の必要な用途において好ましく用いることが可能となる。ヘイズを上記範囲に設定するためには、フィルムに用いる0.1μm以上の大きさまたは分散径を有する添加剤、改質剤、また非相溶な異種ポリマーの添加量を抑制することが好ましい。またその添加量はポリ乳酸系樹脂に対して1重量%以下とすることが好ましい。なお、下限値は特に限定されないが、0.001重量%程度である。
本発明のA層の厚みは6.5〜100μmであることが必要である。また、A層およびポリエステルフィルムの厚みは、さらに好ましくは10〜50μm、特に好ましくは12〜25μmである。上述の範囲未満の厚みであれば、薄膜のために加工時にシワが発生しやすくなる他、ラミネート品の美麗性、意匠性に劣り、見た目、手触りで重厚感に欠ける安価な印象となるため好ましくない。一方、上述の範囲を超える厚みとなれば、本発明の目的である易カット性の点で劣るものとなり、さらには本発明のポリエステル積層体のコストアップにもつながるため好ましくない。
本発明の積層体を製造する際に使用するポリエステルフィルムの端裂抵抗は18〜500Nであることが好ましい。より好ましくは25〜300Nの範囲であり、特に好ましくは100〜200Nの範囲である。なお、端裂抵抗はJIS C2151に準じて試料幅20mm、試験金具Bを用いて測定されるものである。また、本発明で使用するポリエステルフィルムの破断強度は、好ましくは25〜250MPaの範囲であり、特に好ましくは50〜200MPaの範囲である。端裂抵抗、破断強度共に上記範囲未満であれば、加工の際に破れの発生の原因になるなど加工適性の悪化が顕著であり、上記範囲を超えると易カット性の低下につながるため好ましくない。
また、本発明で使用するポリエステルフィルムの破断伸度は、好ましくは50〜300%の範囲であり、より好ましくは80〜200%、特に好ましくは100〜150%の範囲である。破断伸度が上記範囲より小さいと、特に包装材料として用いた際に内容物保護の点で問題となったり、蒸着層、アルミニウム箔層を配置した素材として用いる場合は、ガスバリア性の低下の原因となる場合があるので好ましくない。また、この上記範囲を超える場合は、易開封特性を悪化させる原因となることがあるため好ましくない。
ここで、上述のポリエステルフィルムの端裂抵抗、破断強度、破断伸度の物性値はいずれもフィルムの長手方向(MD)および幅方向(TD)それぞれに対して適用されるものである。MD、TDが不明瞭なフィルムに対しては、フィルム面上の任意の一方向とそれに垂直な方向の2方向に対して適用されるものである。
ポリエステルフィルムの端裂抵抗、破断強度、破断伸度をこの範囲内とする手段については特に限定されるものでないが、たとえばポリ乳酸系樹脂に添加する滑剤等の添加剤、改質剤、異種ポリマーの含有量を極力少なくすることや延伸による極度な配向を抑制すること、具体的には製膜の際の延伸温度を(Tg(ガラス転移温度[℃])+5)〜(Tg+30)℃の範囲とし、また延伸倍率を面倍率(縦倍率×横倍率)として4〜16倍の範囲とすることなどが挙げられる。
また、本発明のポリエステルフィルムの120℃×30分加熱時の熱収縮率はフィルムの長手方向(MD)、および幅方向(TD)ともに、−5〜5%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは−1〜3%の範囲である。熱収縮率が大きいとフィルム加工時に大きく収縮し、印刷のひずみ、しわの発生などの原因となり好ましくない。またこの範囲より小さいと加熱加工時にフィルムが伸びるということであり、巻き取り張力で容易に変形してしまい、巻き取りが困難となる。
ポリエステルフィルムの熱収縮率を上記範囲とする方法については、特に限定されるものでないが、たとえばフィルム製造工程においてあらかじめフィルムを0.5〜10%程度弛緩させながらたとえば120〜160℃程度の比較的高い温度で加熱処理(熱固定)する方法や一度巻き取ったフィルムを加熱オーブン中で弛緩させながら120〜160℃程度の温度で熱処理をする方法などが挙げられる。
本発明で使用するポリエステルフィルムは、膜厚を均一とし、加工性、耐衝撃性を良好とする上で、1軸配向フィルムまたは2軸配向フィルムであることが好ましい。これらの配向フィルムを製造方法は特に限定されるものではないが、ポリ乳酸系樹脂を使用した例で以下に示す。
ポリ乳酸系樹脂と滑剤マスターペレット(あらかじめ酸化珪素などの滑剤を2軸押出機などで高濃度(2〜50重量%程度)含有させたポリ乳酸系樹脂)を滑剤の添加濃度が0.01〜0.5重量%程度となるように希釈混合させ、適度な温度(たとえば60〜140℃程度の温度)で乾燥し十分に水分を除去(300ppm以下、好ましくは100ppm以下の水分率)後、押出機内で180〜250℃程度の好適な条件で溶融し、ポリマー流を形成させる。かかる溶融ポリマーは5〜50μm程度の濾過精度を有するフィルターを通過させポリマーを濾過し粗大異物を除去する。濾過後のポリマーは、スリット状の口金からシート状に押し出し、静電印加法などの手法で10〜50℃程度に温度制御したキャスティングドラムに密着させて冷却固化させ未延伸フィルムを作成する。このフィルムを連続して縦方向に2〜5倍程度加熱延伸し、しかる後にテンター内に導入してクリップで把持しながら横方向に2〜6倍加熱延伸して、適宜80〜150℃程度の温度で熱処理を行い配向フィルムを得る。
本発明の積層体には目的に応じてさらに別の層を設けることができる。たとえば、接着層、金属箔層、蒸着膜層、印刷インク層、易接着コート層、帯電防止コート層、また層間の密着を向上させるためのアンカーコート層、紙からなる層などが挙げられる。
これらの層を配置する方法は、フィルム状の接着層を接着剤等を用いてドライラミネーションにより積層する方法、接着樹脂をシートに直接溶融押し出ししラミネートする押し出しラミネーションによる方法、液状の熱接着性塗剤や粘着剤を塗布(コーティング)する方法が好ましく挙げられるが、本発明の目的を阻害しない範囲であれば特に限定されるものではない。また、蒸着膜層、印刷インク層については、蒸着機や印刷機を用いて直接配置することが可能である。
また、本発明の課題である易カット性を向上させるためには、積層体各層界面の密着性を向上させることが有効であり、各層を上記ラミネート等の手法により積層体を作成する際には、接合される表面にあらかじめコロナ処理、アンカーコート、易接着コートを行うことが好ましい。これらの表面処理は複数組み合わせて行うことが可能である。
接着層(B層)としては、熱接着性樹脂、粘着剤などを用いることが可能である。熱接着性樹脂としては、各種シーラント樹脂、たとえば低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、メタロセンポリエチレン、アイオノマ系ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体などを挙げることができる。なかでも、熱的にも安定していて添加剤が少ない低密度ポリエチレンや、柔軟性を有する直鎖状低密度ポリエチレン等を好ましく使用できる。
また、粘着剤としては、シリコン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、塩ビ系粘着剤などが挙げられるが特に限定されるものではない。
また、B層にはベース樹脂として、生分解性を有する樹脂を用いることが可能であり、たとえばポリブチレンサクシネート、ポロブチレンサクシネート・アジペート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ乳酸、又は澱粉由来の変性重合樹脂、シェラック樹脂、またこれらの樹脂の誘導体を挙げることができる。
また、B層の厚みは易カット性と用途によって要求される接着性との兼ね合いで任意とすることができるが、通常0.001〜50μmの範囲である。
たとえば高度なガスバリア性の特性が必要な用途では金属箔層(C層)や蒸着膜層(D層)を配置することが好ましい。特に金属箔はデッドホールド性の必要とされる場合に好ましく使用することが可能である。金属箔および/または蒸着膜を構成する素材としては、アルミニウム、銅、銀、金、錫、コバルト、ニッケル、クロムなどが挙げられ、蒸着膜には酸化アルミニウム、酸化珪素などの酸化化合物などを用いることも可能である。
またクラフト紙、上質紙、純白、奉書紙、グラシン、レーヨン紙、化繊紙などの紙からなる層(E層)を配置するとデッドホールド性、軽量性などを付与でき、手切れ性も特に良好であるので易開封性包装材料としてこのましく使用することができる。
好ましい構成例を以下に挙げる。ガスバリア性に加えて開封口を折り曲げて使用するデッドホールド性を有する、A/C/Bの構成、A/E/C/Bの構成、A/C/E/Bの構成、A/D/E/Bの構成、またデッドホールド性を有する、A/E/Bなどの構成が好ましく挙げられる。ここでそれぞれの層は、上述の通りA:ポリエステル層、B:接着層、C:金属箔層、D:蒸着膜層、E:紙からなる層である。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、各層間に別の層を有していても良い。
上記各層の厚みは本発明の目的を阻害しない範囲であれば任意にとることができるが、たとえばアルミニウム箔層の厚みは3〜200μm程度、紙からなる層の厚みは5〜1000μm程度である。
本発明のポリエステル積層体はA層を構成するポリエステルの融点における3g/cm(幅1cm当たり3g)の荷重下での伸び率が5%以下であることが必要である。ここで、加熱伸び率は1cm幅の短冊状に切り出したフィルムに3gの重りを吊し、所定の温度に加熱した熱風オーブン中にて5〜30分程度加熱した際の寸法変化のことである。また熱機械分析装置(TMA)などの一定荷重モードで測定される温度に対する寸法変化から求めることも可能である。加熱伸び率はさらに好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下である。測定方向は積層体の長手方向(MD)に対するものである。加熱伸び率はさらに好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下であり、加熱伸び率が0%に近い程、積層体の加熱処理に対する加工安定性に優れるので好ましく、この数値が大きいと加熱時に積層体が伸びやすいため好ましくない。
本発明のポリエステル積層体は、本発明の目的である易カット性を達成する上で下記(式1)で表されるKが1〜3000の範囲であることが必要である。
K=破断伸度[%]×破断点荷重[N/10mm幅] ・・・ (式1)
易カット性と加工適性の両立の上で、より好ましくは50〜2500の範囲であり、特に好ましくは100〜2000の範囲である。
ここで式1で示されるKは、易カット性を示すパラメータであり、引っ張り試験機により測定される破断伸度と破断点荷重の積に算出される値であり、破断に必要なエネルギー的な数値である。発明者は、切り込み(ノッチ)のない積層体の端部をカットすることは、引っ張り試験での破断の現象に対応し、式1で表されるKと官能試験における易カット性がよく対応することを見いだした。ここで、官能試験における易カット性とは、積層体サンプルの切断辺に対して直角方向に、指で引きちぎることが可能かどうかを30回以上試験し、切断可能な率(%)により判定されるものである。
破断伸度、破断点荷重は測定のばらつきを抑制するために好ましくは測定サンプルの初期長(チャック間距離):5mm、幅:10mm、引っ張り速度:5〜100mm/分の範囲の条件で23℃にて測定される数値である。なお、破断伸度、破断点荷重は積層体の長手方向(MD)および幅方向(TD)それぞれに対して適用されるものである。MD、TDが不明瞭な積層体に対しては、積層体面上の任意の一方向とそれに垂直な方向の2方向に対して適用されるものである。
さらに本発明のポリエステル積層体の破断伸度は100%以下であることが好ましく、さらに好ましくは、1〜80%、特に好ましくは5〜50%の範囲である。この範囲を超えると、易カット性の点で好ましくない。また、この範囲未満であれば積層体の強度が不十分となることがあり好ましくない。
式1で示されるKおよび破断伸度を上述の範囲とするための方法としては特に限定されるものではないが、A層を破断強度、破断伸度の比較的低いポリエステルフィルムにより構成するという手法や、機械特性等を加工しやすい物性に整えたポリエステルフィルムをポリエステルフィルムを構成する最も融点の高い層のポリエステルの融点(Tm1[℃])で軟化しない支持体と積層した後に、さらに(Tm1−15)℃以上の温度で熱処理を行うなどの手法が挙げられる。特に、後者の積層後に熱処理を施す方法が加工適性、取り扱い等の面で好ましい。
また、このときのより好ましい熱処理温度は(Tm1−5)℃以上であり、特に好ましくは(Tm1)℃以上であり、さらに加工品の平面性を良好とする上では、(Tm1+5)℃以上である。熱処理温度の上限は加工安定性に差し支えのない範囲で任意に設定することができるが、通常600℃程度が上限である。
この時、熱処理の手法としては、特に限定されるものではないが、ポリエステル積層シートを加熱オーブン中を通過させ熱風等により加熱する方法、ポリエステル層の反対面を冷却ドラムに密着させ搬送させながらポリエステル層をラジエーションヒーター等により加熱する方法、搬送ロールの途中でラジエーションヒーターにより加熱する方法、熱板等で直接シートを加熱する方法、加熱浴槽中を通過させ加熱する方法、蒸気を直接または間接的に吹き付け加熱する方法などが挙げられる。特に加熱オーブンによる方法、ラジエーションヒーターによる方法が比較的効率的に優れた易カット性を発現させることが可能であるので好ましい。
このときの熱処理時間としては、使用するポリエステルの熱的特性、および加熱温度、熱処理方法により適宜調整し所望の易カット性を達成させることが可能であるが、1分以下であると比較的短時間であるので生産効率の面から好ましく、さらに好ましくは30秒以下、特に好ましくは15秒以下である。下限は十分な易カット性を達成する上では0.01秒以上の熱処理時間が好ましい。
これらの熱処理は、ポリエステルフィルムとポリエステルの融点で軟化しない支持体をラミネート(積層)した後に実施することが好ましいが、ラミネートに引き続き一連の工程で熱処理を行ってもよく、ラミネート後に一旦ロール状に巻き取り、その後再度巻き出して熱処理を行ってもよい。
また、2種類以上の層を積層する場合にはすべての層を積層した後に熱処理を行ってもよいし、支持体となる層を積層した後に熱処理を行い、さらに別の層を積層してもよい。さらには、たとえば包装材料では袋状など、最終の加工品の形状で熱処理を施すことも可能である。特に接着層や熱的に不安定な層を積層する場合には、支持体となる層を積層した後に熱処理を施し、その後に接着層や熱的に不安定な層を積層することが好ましい。
ポリエステルの融点で軟化しない支持体としては、金属箔、紙、熱可塑性樹脂が挙げられ、金属箔としてはC層として上述のものが挙げられ、紙としてはE層として上述のものが挙げられる。さらに、熱可塑性樹脂としては、A層のポリエステルより融点の30℃以上高い樹脂が好ましく、より好ましくは40℃以上、特に好ましくは50℃以上である。熱可塑性樹脂の融点の上限は易カット性、加工適性、見た目の美麗性などに差し支えのない範囲であれば特に限定されるものでないが、通常300℃以下のものを好ましく使用することができる。支持体に用いる熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエステル系樹脂を好ましく挙げることができ、特にポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、およびこれらの共重合体を挙げることができる。共重合成分としては、前述のA層に用いるポリエステル系樹脂に用いるジカルボン酸成分、グリコール成分が挙げられ、特に直鎖脂肪族系の共重合成分を主体に用いると易カット性向上の上で好ましい。これらの熱可塑性樹脂はあらかじめ1軸延伸、2軸延伸により配向させておくことが好ましい。
本発明のポリエステル積層体はピロー、サイドシール、3方、4方シール包装などに代表される固体、液体、粘性体などの物品や食品、医薬品の包装材料として好適であり、包装材料に切り込み(ノッチ)がなくても、任意の場所から手で容易に引き裂くことができることから、特に内容物を取り出す際の開封が容易な包装材料として好適である。
以下、実施例により本発明をさらに説明する。
[特性の測定方法]
(1)融点
5mgの測定試料(積層体に加工前のポリエステルフィルム)を採取し、示差走査熱量計(パーキン・エルマー社製DSC2型)により、10℃/分の昇温速度で測定し融解のピーク温度を融点とした。
(2)破断強度・破断伸度
幅10mm、長さ150mmに試料を切り出し、初期長(チャック間距離)50mm、引張速度300mm/分、23℃の条件で引張試験を行い、破断強度(MPa)および破断伸度(%)を測定した。
なお、これらの測定値はフィルムの長手方向5点、幅方向5点について行った平均値による。
(3)端裂抵抗
JISC2151に準じて試料幅20mm、試験金具B(V字切り込みタイプ)、引っ張り速度200mm/分、23℃の条件で測定を行った。
(4)加熱伸び率
積層体を長手方向に20cm、幅方向に1cm幅の短冊状に切り出したサンプルを5点作成し、中央部分に10cmの間隔の基準線を引いた。切り出したサンプル下部に3gの重りを両面テープで貼り合わせて荷重をかけた。A層を構成するポリエステルの融点に加熱した熱風オーブン中にてサンプルを10分間加熱処理し、その前後での基準線の間隔の寸法変化を測定し、5点の平均値により加熱伸び率(%)とした。
(5)K値(易カットパラメータ)、積層体の伸度
幅10mm、長さ150mmに積層体試料を切り出し、初期長(チャック間距離)5mm、引張速度50mm/分、23℃の条件で引張試験を行い、破断伸度(%)および破断点荷重(N)を記録した。なお、測定値は積層体の長手方向(MD)10点、幅方向(MD)10点のそれぞれの平均値である。さらに下記(式1)によりK値を算出した。
K=破断伸度[%]×破断点荷重[N/10mm幅] ・・・ (式1)
また、上記測定により得られた破断伸度を積層体の伸度(%)とした。
(6)加工適性
積層体の加工工程での破れ、シワ発生の状態を監視し、その状態により以下の基準にて判定した。
○:破れ、シワの発生はなく、加工状態は良好である(合格)。
△:破れ、シワの発生が見られるが、加工可能である(合格)。
×:加工が非常に困難である(不合格)。
(7)易カット性
積層体を長手方向(MD):5cm×幅方向(TD):30cmの大きさに切り出したMD試料(図1)と、積層体をTD:5cm×MD:30cmの大きさに切りだしたTD試料(図2)を各5枚準備した。それぞれについて長辺の端から垂直方向に指で切断した。切断の際には両手の第1指、第2指で試料を保持し、両手の指が接触する位置で厚み方向に対してほぼ直角に引きちぎった。切断開始点が1cm以上の間隔となるよう保ちながら、20回/枚×5枚:合計100回切断可能か否かを試験した。MD試料、TD試料に対して切断可能な割合(%)記録し、さらに以下の基準にて判定した。
○:90%以上(合格)。
△:60〜90%(合格)。
×:60%未満(不合格)。
なお、参考例で示される、セロファン/ポリエチレン/アルミ/ポリエチレンの構成体の易カット性はMD:△(76%)、TD:△(74%)の判定である。
[A層に使用するポリエステルフィルムの作成]
(フィルム名称:PLA−A、厚み:15μm) ポリ乳酸A(重量平均分子量約15万、L−乳酸成分量98.5%、D−乳酸成分量1.5%、融点169℃)、およびポリ乳酸B(ポリ乳酸Aに対し、平均粒径1.6μmのシリカ粒子〈水澤化学工業(株)製ミズカシルP−527〉を210℃で二軸押出機を用いて、シリカ濃度5重量%混合)をポリ乳酸A:ポリ乳酸B=99:1の重量比率で混合し、120℃、2KPa以下の真空条件下で5時間乾燥した。
乾燥後の樹脂をスクリュー径50mmの単軸押出機に供給し、押出機シリンダ温度230℃で溶融させた。溶融ポリマーは20μmの濾過精度を有する焼結ディスクフィルターを通過せしめ、引き続き口金温度220℃でフィルム状に押し出し、30℃に冷却した鏡面ドラム上に静電印加キャストして未延伸フィルムを作製した。引き続き連続して85℃の加熱ロール間で長手方向に3倍延伸した後、フィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、75℃の温度で加熱しつつ横方向に3.3倍延伸し、幅方向に2%弛緩させながら140℃、12秒間の熱処理を行い、厚み15μmのポリ乳酸系フィルムを得た。得られたポリ乳酸系フィルムには、片面にコロナ処理を施した。表1に得られたフィルムの特性を示す。強度、伸度、端裂抵抗ともに十分高く、取り扱い性に優れるフィルムである。
(フィルム名称:PLA−B、厚み:25μm) 実施例1と同様の手法にて、厚み25μmのポリ乳酸系フィルムを得た。得られたフィルムは、実施例1同様、強度、伸度、端裂抵抗ともに十分高く、取り扱い性に優れるフィルムである。
(フィルム名称:PLA−C、厚み:10μm) 実施例1と同様の手法にて、厚み10μmのポリ乳酸系フィルムを得た。得られたフィルムは、実施例1と比較して、若干端裂抵抗に劣るものの、強度、伸度ともに高く、取り扱い性良好なフィルムである。
(フィルム名称:PLA−D、厚み:5.5μm) 実施例1と同様の手法にて、厚み5.5μmのポリ乳酸系フィルムを得た。得られたフィルムは、端裂抵抗の低いフィルムである。
(フィルム名称:PLA−Z、厚み:25μm) 以下の手順にて、高融点層/低融点層/高融点層(積層比:1:4:1)の2種3層の共押し出しポリ乳酸系フィルム(PLA−Z)を作製した。
まず、高融点層を構成するポリ乳酸系樹脂として、実施例1で使用したポリ乳酸A:ポリ乳酸B=99:1の重量比率で混合し、120℃、2KPa以下の真空条件下で5時間乾燥した。また低融点層を構成するポリ乳酸系樹脂として、ポリ乳酸C(重量平均分子量約15万、L−乳酸成分量85%、D−乳酸成分量15%)、融点149℃)、およびポリ乳酸D(ポリ乳酸Cに対し、平均粒径1.6μmのシリカ粒子〈水澤化学工業(株)製ミズカシルP−527〉を210℃で二軸押出機を用いて、シリカ濃度5重量%混合)をポリ乳酸C:ポリ乳酸D=99:1の重量比率で混合し、100℃、2KPa以下の真空条件下で7時間乾燥した。
乾燥後の前記低融点層を構成する樹脂を、スクリュー径40mmの単軸押出機に供給し、押出機シリンダ温度200℃で溶融させた。また前記高融点層を構成する樹脂を別途スクリュー系50mmの単軸押出機に供給し、押出機シリンダ温度230℃で溶融させた。
溶融ポリマーは各々20μmの濾過精度を有する焼結ディスクフィルターを通過せしめ、引き続き210℃で3層のマルチマニホールド式の口金より前記高融点層を構成する樹脂を第1層、第3層(表裏層)として押し出し、前記低融点層を構成する樹脂を第2層(中間層)として合流させて、口金温度210℃でフィルム状に押し出し、30℃に冷却したドラム上に静電印加キャストして未延伸フィルムを作製した。引き続き連続して75℃の加熱ロール間で長手方向に2.6倍延伸した後、フィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、73℃の温度で加熱しつつ横方向に3.6倍延伸し、テンター内で150℃、12秒間の熱処理を行い、厚み25μm、高融点層/低融点層/高融点層(積層比:1:4:1)の2種3層の共押し出しポリ乳酸系フィルムを得た。得られたポリ乳酸系フィルムには、片面にコロナ処理を施した。得られたフィルムは、それぞれの層の融点を有し、特に破断伸度の平均値が79%とPLA−A〜Dのフィルムと比較して低いフィルムである。
(フィルム名称:PLA−UV、厚み:25μm) 上記の方法で作成したPLA−Bについて、殺菌灯(東芝製殺菌ランプGL20−A)を露光器(JEA2SS:日本電子精機製)に装着した紫外線照射処理器で、3分間紫外線照射処理をした。紫外線処理後のフィルムの特性は、特に低い端裂抵抗、低い破断強度、低い破断伸度を有するフィルムである。
(フィルム名称:PET、厚み7.5μm) エチレングリコールとテレフタル酸の重縮合反応の際に、湿式シリカ(0.08重量%)添加してポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65dl/g、融点256℃)重合した。得られたポリエステルを180℃、2KPa以下の真空条件下で4時間真空乾燥後、溶融押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加により25℃の鏡面ドラムに密着、冷却固化して未延伸シートを作製した。この未延伸シートをまず温度120℃に加熱したロールにて長手方向に3.6倍の延伸を行い、さらに延伸温度127℃で幅方向に3.5倍延伸した後、220℃にて、幅方向に5%の弛緩、8秒間の熱処理を行い、厚さ7.5μm、二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの片面にコロナ放電処理を施した。得られたフィルムは特に非常に高い破断強度を有する。
以下、表1に実施例に使用するポリエステルフィルムの特性を示す。
Figure 0004595321
[ポリエステル積層体の作成]
(実施例1)
ポリ乳酸系フィルム(PLA−A、15μm)のコロナ処理面にポリエチレンイミン系アンカーコート(日本触媒(株)製エポミンP−1000)を施し、低密度ポリエチレン(東ソー(株)、ペトロセン213、融点105℃)を溶融押出し、PLA−A/ポリエチレン/アルミの構成で押し出しラミネートした。引き続きアルミ側に、低密度ポリエチレン(東ソー(株)、ペトロセン213、融点105℃)を押し出しラミネートし、表2に示されるPLA−A/ポリエチレン/アルミ/ポリエチレンのポリエステル積層体を作成した。さらに得られたポリエステル積層体は、180℃に加熱した熱風オーブン中を10秒間通過させ、熱処理を施した。これらの加工中シワの発生、破れなどなく、優れた加工適性であった。得られたポリエステル積層体の構成を表2に、特性を表3に示す。易カット性に優れ、本発明のポリエステル積層体として特に良好なものであった。
(実施例2)
PLA−Aの代わりに、ポリ乳酸系フィルム(PLA−B、25μm)とした以外は実施例1と同様にして、PLA−B/ポリエチレン/アルミ/ポリエチレンの構成で押し出しラミネートし、実施例1と同じ手法にて180℃、10秒の熱処理を施したポリエステル積層体を作成した。これらの加工中シワの発生、破れなどなく、優れた加工適性であった。また、易カット性についても優れたものであった。
(実施例3)
ポリ乳酸系フィルム(PLA−A、15μm)のコロナ処理面に、接着剤(大日本インキ化学工業(株)製、ディックドライLX−75A/KW−40)を塗布し、50μmの紙とドライラミネートし、PLA−A/紙の積層体を作成した。続いて、実施例1同様の手法にて180℃、10秒の熱処理を行った。さらに直鎖低密度ポリエチレンフィルム(東レ合成フィルム製、タイプ4801、30μm)のコロナ処理面側に接着剤((大日本インキ化学工業(株)製、ディックドライLX−75A/KW−40)を塗布し、前記PLA−A/紙の積層体の紙側とドライラミネートし、PLA−A/紙/ポリエチレンの構成に積層したポリエステル積層体を得た。積層体は易カット性に優れ、本発明のポリエステル積層体として特に良好なものであった。
比較例14
PLA−Aの代わりに、ポリ乳酸系フィルム(PLA−C、10μm)とした以外は実施例1と同様にして、PLA−C/ポリエチレン/アルミ/ポリエチレンの構成で押し出しラミネートし、ポリエステル積層体を得た。なお、ラミネート後の積層体への熱処理は実施しなかった。押し出しラミ加工時に、わずかなシワの発生がみられるものの、破れなどはなく、良好なラミ加工適性であった。また、積層体は易カット性についても良好であった。
(実施例5)
実施例4で作成した積層体に実施例1と同様の手法にて180℃×10秒間の熱処理を施した。得られた積層体は熱処理前の積層体(実施例4)と比較して易カット性に優れるものであった。
比較例16
PLA−Aの代わりに、ポリ乳酸系フィルム(PLA−Z、25μm)とした以外は実施例1と同様にして、PLA−Z/ポリエチレン/アルミ/ポリエチレンの構成で押し出しラミネートし、ポリエステル積層体を作成した。ラミネート後の熱処理は実施しなかった。ラミネート加工中、破れの発生がわずかながら見られたものの、良好なラミ加工適性であった。また、積層体は易カット性の良好なものであった。
比較例17
実施例6で作成した積層体に実施例1と同様の手法にて180℃×10秒間の熱処理を実施した。得られた積層体は熱処理前の積層体(実施例6)と比較して易カット性が向上した。
(比較例1)
PLA−Aの代わりに、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、7.5μm)とした以外は実施例1と同様にして、PET/ポリエチレン/アルミ/ポリエチレンの構成で押し出しラミネートした。ラミネート後の熱処理は実施しなかった。ラミネート加工中シワの発生、破れなどなく、良好なラミ加工適性であったものの、易カット性に劣るものであった。
(比較例2)
実施例1と同様に押し出しラミネートにより、PLA−A/ポリエチレン/アルミ/ポリエチレンの構成の積層体を作成した。その後の熱処理を行わず、比較例2のポリエステル積層体とした。破断エネルギーの高い積層体であり、易カット性の劣るものであった。
(比較例3)
PLA−Aの代わりに、ポリ乳酸系フィルム(PLA−D、5.5μm)とした以外は実施例1と同様にして、PLA−D/ポリエチレン/アルミ/ポリエチレンの構成で押し出しラミネート加工を実施したが、フィルムの破断により工程が不安定である上、シワの発生が顕著であるため評価可能な積層体の採取ができなかった。
(比較例4)
PLA−Aの代わりに、ポリ乳酸系フィルム(PLA−UV、25μm)とした以外は実施例1と同様にして、PLA−UV/ポリエチレン/アルミ/ポリエチレンの構成で押し出しラミネート加工を実施したが、フィルムの破断により工程が非常に不安定であるため評価可能な積層体の採取ができなかった。
(比較例5)
ポリ乳酸系フィルム(PLA−A、15μm)のコロナ処理面にポリエチレンイミン系アンカーコート(日本触媒(株)製エポミンP−1000)を施し、低密度ポリエチレン(東ソー(株)、ペトロセン213、融点105℃)を溶融押出し、PLA−A/ポリエチレンの構成で押し出しラミネートした。得られたポリエステル積層体を180℃に加熱した熱風オーブン中通過させようとしたところ、フィルムが破断し、熱処理を得ることはできなかった。未熱処理のポリエステル積層体について特性を評価したところは、易カット性に非常に劣るものであった。
(参考例)
使用するフィルムをポリ乳酸系フィルムからセロファン(二村化学工業(株)製、太閤普通セロファン、銘柄PL#300)に変更した以外は、実施例4と同様にして表2の構成の積層体を作成した。ラミ加工適性は良好であり、易カット性も良好なものであった。
実施例1〜5および比較例1〜5で得られたポリエステル積層体の構成を表2に示す。
Figure 0004595321
実施例および比較例で得られたポリエステル積層体の特性を表3に示す。
Figure 0004595321
本発明のポリエステル積層体は、易開封性包装材料や粘着テープなどに代表される、容易に手で切ることのできるいわゆる「易カット性」を必要とする用途に幅広く適用することが可能である。
また、本発明のポリエステル積層体の製造方法によれば、加工の際に破れやシワの発生を抑制することが可能であり、優れた易カット性を有するポリエステル積層体を得ることが可能である。
易カット性試験に用いるMD試料の概略図 易カット性試験に用いるTD試料の概略図
符号の説明
1 切断方向
2 MD方向
3 TD方向

Claims (1)

  1. 少なくとも端裂抵抗18〜500Nを有する単層または積層のポリエステルフィルムを、
    ポリエステフィルムを構成する最も融点の高い層のポリエステルの融点(Tm1[℃])で軟化しない支持体と積層し、
    さらにTm1℃以上の温度で熱処理を施すポリエステル積層体の製造方法。
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