JP7169855B2 - 包材用シート、容器用蓋材および包装体 - Google Patents

包材用シート、容器用蓋材および包装体 Download PDF

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Description

この発明は、包材用シートに関し、より詳細には、包装機械内において過酸化水素水への浸漬による滅菌処理が行われる包材用シートに関する。また、この発明は、上記包材用シートよりなる容器用蓋材、および、同蓋材を使用して食品、飲料等の内容物を包装してなる包装体に関する。
例えばプリンやゼリー等の流動性食品は、無菌包装システム、すなわち、内容物である食品の滅菌と包装材の滅菌とを別々に行い、無菌環境下で包装材に食品を充填包装することによって製品となされるものであり、アセプティック(無菌包装)製品と呼ばれている。
このようなアセプティック製品の充填包装に用いられる容器用蓋材の材料として、金属箔層と、金属箔層の一方の面に積層されているシーラントフィルム層と、金属箔層の他方の面に積層されている保護フィルム層とを備えてなるウェブ状のシートが一般に知られている(例えば下記の特許文献1参照)。
上記シートは、ロール形態から繰り出して搬送しながら滅菌槽内の65℃程度に加温された過酸化水素水に所定時間浸漬することにより滅菌処理された後、容器のフランジ部との熱封緘が行われる無菌室に供給される。
特開2004-168348号公報
しかしながら、従来の蓋材用シートの場合、滅菌槽内の過酸化水素水から出てきた時点で、シワの発生が確認されることがあった。
この発明は、上記の課題に鑑みて考案されたものであって、過酸化水素水への浸漬による滅菌処理に起因してシワが発生するのが抑制される包材用シート、容器用蓋材および包装体を提供することを目的とする。
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
1)ロール形態から繰り出して搬送しながら滅菌槽内の加温された過酸化水素水に浸漬することにより滅菌処理されるウェブ状の包材用シートであって、
金属箔層と、前記金属箔層の一方の面に積層されているシーラントフィルム層と、前記金属箔層の他方の面に積層されている保護フィルム層とを備えており、
前記保護フィルム層の厚みが前記金属箔層の厚みよりも大きくなされており、
前記金属箔層の縦方向(MD)および横方向(TD)における0.2%耐力が、いずれも20~100MPaであり、
前記金属箔層の縦方向(MD)および横方向(TD)における引張伸びの比(MD/TD)が1以上であり、
前記保護フィルム層の縦方向(MD)および横方向(TD)における熱収縮率が、いずれも0.01~2%である、包材用シート。
2)前記保護フィルム層の縦方向(MD)および横方向(TD)における引張破断伸度が、いずれも115~145%である、前記1)の包材用シート。
3)前記保護フィルム層の縦方向(MD)および横方向(TD)における引張破断強度が、いずれも150MPa以上である、前記1)または2)の包材用シート。
4)前記保護フィルム層および前記シーラントフィルム層の吸水率が、いずれも0.5%以下である、前記1)~3)のいずれか1つの包材用シート。
5)前記1)~4)のいずれか1つの包材用シートよりなる、容器用蓋材。
6)開口周縁にフランジ部を有している容器と、内容物が充填された前記容器の開口を覆うように前記フランジ部に熱融着されている前記5)の容器用蓋材とを備えている、包装体。
ここで、金属箔層の「0.2%耐力」および「引張伸びの比」は、JIS Z2241(2011)に規定された引張試験方法に準拠して測定したものをいう。
保護フィルム層の「引張破断伸度」および「引張破断強度」は、JIS K7127(1999)に規定された引張特性の試験方法に準拠して測定したものをいう。
また、保護フィルム層の「熱収縮率」は、JIS K7133(1999)に規定された加熱寸法変化測定方法に準拠して、乾燥温度150℃、乾燥時間30分間の条件で測定したものをいう。
さらに、保護フィルム層およびシーラントフィルム層の「吸水率」は、JIS K7209(2000)に規定されたB法に準拠し、10cm×10cmにカットしたフィルムを用いて測定したものをいう。
包材用シートが滅菌槽内の加温された過酸化水素水に浸漬されると、同シートの保護フィルム層やシーラントフィルム層は、常温より柔らかくなって収縮する。また、ロール形態から繰り出されて搬送される包材用シートには、縦方向(MD)にテンションがかかるが、保護フィルム層やシーラントフィルム層は、テンションがかかる縦方向(MD)に伸びようとし、テンションのかからない横方向(TD)には収縮しやすくなる。
上記1)の包材用シートにあっては、保護フィルム層の厚みが金属箔層の厚みよりも大きくなされていて、熱伝導度の低いフィルムリッチの積層体となるため、シワ(歪)の発生原因の一つである熱の影響が小さくなる。また、一般的に包材用シートは食品等の内容物に接する面を中心に滅菌処理を行うため、滅菌槽内の過酸化水素水への浸漬及びその直後の乾燥の工程ではラインのガイドロールに接する面は保護フィルム層となるため、保護フィルム層の厚みを金属箔層の厚みよりも大きくすることに比べれば効果は小さいが、シーラントフィルム層の厚みについても金属箔層の厚みに対して大きくなされていると、より効果的に熱影響を低減することができる。
また、上記1)のシートの場合、金属箔層の縦方向(MD)および横方向(TD)における0.2%耐力が、いずれも20~100MPaであることから、繰り出し搬送中のテンションによって金属箔層に切れ目や割れ目が発生し難いので、シワが入りにくい上、シートが硬くなりすぎて開封性等に悪影響を及ぼすのが回避される。しかも、金属箔層は、縦方向(MD)および横方向(TD)における引張伸びの比(MD/TD)が1以上であって、縦方向(MD)に伸びやすくなっているため、軟化して伸びやすくなった保護フィルム層やシーラントフィルム層に追随しやすく、従って、繰り出し搬送中に金属箔層と保護フィルム層およびシーラントフィルム層とに負荷されるテンションの差が小さくなる、言い換えれば、これらの層の間にズレが生じにくくなるため、シワが発生し難い。
さらに、上記1)のシートでは、保護フィルム層の縦方向(MD)および横方向(TD)における熱収縮率がいずれも0.01~2%であり、熱による保護フィルム層の収縮量が小さいため、金属箔層への負荷の影響が少なく、シワが発生し難くなる。
従って、上記1)の包材用シートによれば、ロール形態から繰り出して搬送しながら滅菌槽内の加温された過酸化水素水に浸漬する滅菌処理に起因してシワが発生するのが効果的に抑制される。
上記2)の包材用シートによれば、繰り出し搬送中に負荷されるテンションに応じて保護フィルム層が適度の範囲で伸びるため、シワの発生がより効果的に抑制される。
上記3)の包材用シートによれば、繰り出し搬送中に負荷されるテンションを保護フィルム層内全体に破断することなく分散することができるため、一方向に集中して負荷がかかるのが回避され、シワの発生がより効果的に抑制される。
上記4)の包材用シートによれば、滅菌槽内の過酸化水素水に浸漬された際に保護フィルム層やシーラントフィルム層が膨張し難くなるため、歪の発生が抑えられ、熱以外による軟化も防止することができ、また、シート加工時のデラミネーションの発生も抑制することができる。
上記5)の容器用蓋材によれば、過酸化水素水に浸漬する滅菌処理に起因して発生するシワがないので、製造不良が抑制され、シール性や外観に優れたものとすることができる。
上記6)の包装体によれば、容器用蓋材に過酸化水素水に浸漬する滅菌処理に起因して発生するシワがないので、製造不良が抑制され、シール性や外観に優れたものとすることができる。
この発明の実施形態に係る蓋材用シートの層構造を示す部分拡大断面図である。 同シートの滅菌処理工程を示す垂直断面図である。 同シートよりなる容器用蓋材を使用した包装体を示す垂直断面図である。
以下、この発明の実施形態を、図1~図3を参照して説明する。
図1は、蓋材(3)として用いられるシート(30)の層構造を示すものである。
図示の蓋材用シート(30)は、金属箔層(31)と、金属箔層(31)の一方の面に積層されているシーラントフィルム層(32)と、金属箔層(31)の他方の面に積層されている保護フィルム層(33)とを備えている。
図2は、上記シート(30)の滅菌処理工程の概要を示したものである。
図示の通り、シート(30)は、包装機械の内部において、ロール形態から繰り出し機構により繰り出されて、滅菌槽(5)が設置された滅菌処理ゾーンに搬送され、滅菌槽(5)内の所定温度(60~70℃)に加温された過酸化水素水(6)(濃度20~40%)に所定時間(5~30秒)浸漬される。そして、過酸化水素水(6)から出てきたところで、シート(30)にエアが吹き付けられ、付着していた水分が除去されるようになっている。
図示は省略したが、滅菌処理ゾーンを出たシート(30)は、次いで無菌室に搬送され、ここで所定形状にカットされて蓋材となされるとともに、容器と共に内容物を密封包装して包装体を形成するようになっている。
図3に示すように、包装体(1)は、開口周縁にフランジ部(21)を有する容器(2)と、内容物(4)が充填された容器(2)の開口を覆うようにフランジ部(21)上面に熱封緘されている蓋材(3)とよりなる。
容器(2)は、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)等を材料とするカップ状の射出成形品によって構成されている。この容器(2)には、内容物(4)として例えばプリン、ゼリー等の流動性食品や飲料が、無菌室において充填装置により充填される。
次に、蓋材用シート(30)の構成の詳細について説明する。
蓋材用シート(30)において、金属箔層(31)は、蓋材(3)にガス、水分、光等に対するバリア性を付与するバリア層として機能するものである。
金属箔層(31)としては、例えば、アルミニウム箔(合金箔を含む。以下同様。)、銅箔、ステンレス箔が用いられる。但し、加工性や汎用性を考えると、JIS H4160(2006)に規定されたA8021、A8079、A1N30等よりなるアルミニウム箔の軟質材(O材)が好適に用いられる。
金属箔層(31)の厚みは、成形性やピンホール発生率、さらに熱やロール張力による歪の発生しやすさ等を考慮すると、5~15μmとなされるのが好ましい。
この発明の蓋材用シート(30)において、金属箔層(31)は、縦方向(圧延方向に対して0°の方向)(MD)および横方向(圧延方向に対して90°の方向)(TD)における0.2%耐力が、いずれも20~100MPaとなされている。MDおよびTDの0.2%耐力が20MPa未満であると、繰り出し搬送中のテンションによって、金属箔層(31)に切れ目や割れ目が発生して、シート(30)にシワが入り易くなるおそれがあり、また、MDおよびTDの0.2%耐力が100MPaを超えると、シート(30)が硬くなりすぎて、同シート(30)よりなる蓋材(3)を使用した包装体(1)の開封性等に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。
また、同シート(30)の金属箔層(31)は、縦方向(MD)および横方向(TD)における引張伸びの比(MD/TD)が1以上となされている。これにより、金属箔層(31)が縦方向(MD)に伸びやすくなっており、シート(30)の繰り出し搬送中に金属箔層(31)と保護フィルム層(33)およびシーラントフィルム層(32)とに負荷されるテンションの差が小さくなって、これらの層(31):(32)(33)の間にズレが生じ難くなるため、シート(30)にシワが発生し難い。
金属箔層(31)の両面には、化成処理皮膜よりなる下地層(図示略)が形成されているのが好ましい。このような下地層があれば、金属箔層(31)とシーラントフィルム層(32)および保護フィルム層(33)との接着性が向上するので、シート(30)の繰り出し搬送中に負荷されるテンションによっても、これらの層(31)(32)(33)間にズレが生じ難くなり、シワの発生が抑制されると考えられる。
具体的には、例えば、脱脂処理を行った金属箔層(31)の表面に、
1)リン酸と、
クロム酸と、
フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
2)リン酸と、
アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂およびフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、
クロム酸およびクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
3)リン酸と、
アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂およびフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、
クロム酸およびクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、
フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
上記1)~3)のうちのいずれかの水溶液を塗工した後、乾燥することにより、化成処理を施して、皮膜を形成する。
前記化成処理により金属箔層(31)表面に形成される皮膜(下地層)は、クロム付着量(片面当たり)を0.1mg/m~50mg/mとするのが好ましく、特に、2mg/m~20mg/mとするのが好ましい。
シーラントフィルム層(32)は、蓋材(3)の内面を構成するとともに、容器(2)のフランジ部(21)との熱封緘層として機能するものである。
このシーラントフィルム層(32)は、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、またはこれらの樹脂を主体とした樹脂混合物よりなる単層または多層の熱可塑性樹脂フィルム(シーラントフィルム)によって構成されている。上記の熱可塑性樹脂フィルムとしては、0.5%以下の吸水率を有するものが好ましい。これにより、シート(30)が滅菌槽(5)内の過酸化水素水(6)に浸漬された際に、シーラントフィルム層(32)が膨張し難くなって、歪の発生が抑えられるとともに、熱以外による軟化が防止され、また、シート加工時のデラミネーションの発生も抑制される。
シーラントフィルム層(32)の厚みは、10~50μmとなされているのが好ましい。上記厚みが10μm未満であると、シーラントフィルム層(32)と金属箔層(31)との間に設けられる接着剤層が過酸化水素水(6)の影響を受け易くなる。一方、上記厚みが50μmを超えると、繰り出し搬送中に縦方向(MD)に負荷されるテンションによってシーラントフィルム層(32)と金属箔層(31)との間のズレ幅が大きくなり、シワが発生し易くなってしまう。
シーラントフィルム層(32)は、金属箔層(31)の一方の面、より具体的には、蓋材(3)の内面側となる面に、接着剤層を介して積層(ドライラミネート)されている。上記接着剤層は、例えばウレタン樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、ポリオレフィン樹脂系接着剤等の接着剤によって構成されている。上記接着剤層の厚みは、接着不良や接着剤の歪を考慮すると1~5μmとなされているのが好ましい。但し、シーラントフィルム層(32)は、押出ラミネーションによって形成されていてもよい。
また、金属箔層(31)とシーラントフィルム層(32)との間に強化層(図示略)を介在させるようにしてもよく、それによって歪によるシワの発生を抑えるだけでなく、蓋材(3)として開封する時の破れ防止にも効果がある。強化層は、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(PET)、ポリエチレンナフタレート樹脂フィルム(PEN)、ポリブチレンテレフタレート樹脂フィルム(PBT)、無延伸または延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(CPP,OPP)等の熱可塑性樹脂フィルムによって構成され、特に保護フィルム層(33)と同じ材質であることが好ましい。強化層の厚みは、通常10~30μmとなされる。
保護フィルム層(33)は、加飾層や保護層として機能するものであり、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(PET)、ポリエチレンナフタレート樹脂フィルム(PEN)、ポリブチレンテレフタレート樹脂フィルム(PBT)、無延伸または延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(CPP,OPP)等の熱可塑性樹脂フィルムによって構成される。上記の熱可塑性樹脂フィルムとしては、0.5%以下の吸水率を有するものが好ましい。これにより、シート(30)が滅菌槽(5)内の過酸化水素水(6)に浸漬された際に、保護フィルム層(33)が膨張し難くなって、歪の発生が抑えられるとともに、熱以外による軟化が防止され、また、シート加工時のデラミネーションの発生も抑制される。
この発明の蓋材用シート(30)において、保護フィルム層(33)を構成する熱可塑性樹脂フィルムは、縦方向(フィルム流れ方向に対して0°の方向)(MD)および横方向(フィルム流れ方向に対して90°の方向)(TD)における熱収縮率が、いずれも0.01~2%となされている。このような熱収縮率の小さい熱可塑性樹脂フィルムによって構成された保護フィルム層(33)は、収縮し難くなるので、横方向(TD)の体積変化によるシワの発生が低減される。
また、保護フィルム層(33)は、縦方向(MD)および横方向(TD)における引張破断伸度が、いずれも115~145%であるのが好ましい。これにより、繰り出し搬送中に負荷されるテンションに応じて、保護フィルム層(33)が適度の範囲で伸びるため、シワの発生が効果的に抑制される。
さらに、保護フィルム層(33)は、縦方向(MD)および横方向(TD)における引張破断強度が、いずれも150MPa以上であるのが好ましい。これにより、繰り出し搬送中に負荷されるテンションが、保護フィルム層(33)内全体に破断することなく分散されるため、一方向に集中して負荷がかかるのが回避され、シワの発生が効果的に抑制される。
保護フィルム層(33)の厚みは、金属箔層(31)の厚みよりも大きくなされている。これにより、シート(30)が熱伝導度の低いフィルムリッチの積層体となるため、シワ(歪)の発生原因の一つである熱の影響が小さくなる。さらに、シーラントフィルム層(32)の厚みについても金属箔層の厚みに対して大きくなされていると、より効果的に熱影響を低減することができる。具体的には、保護フィルム層(33)の厚みは、10~50μmとなされるのが好ましい。上記厚みが10μm未満であると、保護フィルム層(33)と金属箔層(31)との間に設けられる接着剤層が過酸化水素水(6)の影響を受け易くなる。一方、上記厚みが50μmを超えると、繰り出し搬送中に縦方向(MD)に負荷されるテンションによって保護フィルム層(33)と金属箔層(31)との間のズレ幅が大きくなり、シワが発生し易くなってしまう。
保護フィルム層(33)は、金属箔層(31)の他方の面、より具体的には、蓋材(3)の外面側となる面に、接着剤層を介して積層(ドライラミネート)されている。上記接着剤層は、例えばウレタン樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、ポリオレフィン樹脂系接着剤等の接着剤により構成されている。
なお、図示は省略したが、保護フィルム層(33)と金属箔層(31)との間に印刷層を形成してもよい。
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、この発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[包材用シートの作製]
以下の表1に示す金属箔(金属箔層)の片面に、同じく表1に示す保護フィルム(保護フィルム層)を、二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂接着剤を用いてドライラミネートするとともに、金属箔の他面に、ポリエチレン樹脂を主体とした樹脂混合物の単層フィルムよりなる厚さ30μm、吸水率0.01%のシーラントフィルム(シーラントフィルム層)を、二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂接着剤を用いてドライラミネートしてなる長さ400mのウェブ状シートを、ロール状に巻回して、40℃の環境下で10日間養生することにより、実施例1~5および比較例1~5の包材用シートを作製した。
ここで、表1の「AL」はアルミニウム箔を指し、「PET」はポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを指し、「Ny」はナイロン樹脂フィルムを指し、「OPP」は延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを指し、「MD」は縦方向(長手方向)、「TD」は横方向(横断方向)を指している。
[滅菌処理によるシワの発生の検証]
実施例1~5および比較例1~5の包材用シート各5本を、包装機械に順次セットして、繰り出し機構により速度:20m/分、テンション:10kgfの条件で繰り出し搬送しながら滅菌層に供給し、滅菌槽内の65℃に加温された濃度35%の過酸化水素水に15秒間浸漬した。
そして、過酸化水素水から出てきた各シートを目視で観察し、シワの発生の有無を検証した。結果を表1に示す。ここで、検証結果は、5本のうちシワの発生が全くなかったものを「◎」、シワの発生が2本以下のものを「○」、シワの発生が3本以上のものを「×」とした。
Figure 0007169855000001
表1に示す通り、実施例1~3の包材用シートでは、滅菌処理によるシワの発生は全く見られなかった。また、実施例4,5の包材用シートの場合、滅菌処理によるシワの発生が低頻度で見られた。これに対して、比較例1~5の包材用シートは、高頻度で滅菌処理によるシワが発生していた。
この発明は、無菌包装システムによってプリン、ゼリー等の流動性食品や飲料を包装する際の包材、具体的には容器用蓋材やパウチ材として用いられるシート、さらには、同シートよりなる包材を用いて流動性食品や飲料を包装してなる包装体として好適に使用することができる。
(1):包装体
(2):容器
(21):フランジ部
(3):蓋材
(30):蓋材用シート(包材用シート)
(31):金属箔層
(32):シーラントフィルム層
(33):保護フィルム層
(4):内容物
(5):滅菌槽
(6):過酸化水素水

Claims (6)

  1. ロール形態から繰り出して搬送しながら滅菌槽内の加温された過酸化水素水に浸漬することにより滅菌処理されるウェブ状の包材用シートであって、
    金属箔層と、前記金属箔層の一方の面に積層されているシーラントフィルム層と、前記金属箔層の他方の面に積層されている保護フィルム層とを備えており、
    前記保護フィルム層の厚みが前記金属箔層の厚みよりも大きくなされており、
    前記金属箔層の縦方向(MD)および横方向(TD)における0.2%耐力が、いずれも20~100MPaであり、
    前記金属箔層の縦方向(MD)および横方向(TD)における引張伸びの比(MD/TD)が1以上であり、
    JIS K7133(1999)に準拠して150℃、30分の条件で加熱したときの前記保護フィルム層の縦方向(MD)および横方向(TD)における熱収縮率が、いずれも0.01~2%である、包材用シート。
  2. 前記保護フィルム層の縦方向(MD)および横方向(TD)における引張破断伸度が、いずれも115~145%である、請求項1記載の包材用シート。
  3. 前記保護フィルム層の縦方向(MD)および横方向(TD)における引張破断強度が、いずれも150MPa以上である、請求項1または2記載の包材用シート。
  4. 前記保護フィルム層および前記シーラントフィルム層の吸水率が、いずれも0.5%以下である、請求項1~3のいずれか1つに記載の包材用シート。
  5. 請求項1~4のいずれか1つに記載の包材用シートよりなる、容器用蓋材。
  6. 開口周縁にフランジ部を有している容器と、内容物が充填された前記容器の開口を覆うように前記フランジ部に熱封緘されている請求項5記載の容器用蓋材とを備えている、包装体。
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