JP5130158B2 - 共押出延伸多層フィルム、ならびに、これを用いた筒状フィルム成形体および筒状包装体 - Google Patents

共押出延伸多層フィルム、ならびに、これを用いた筒状フィルム成形体および筒状包装体 Download PDF

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Description

本発明は、共押出延伸多層フィルム、ならびに、これを用いた筒状フィルム成形体および筒状包装体に関し、特に、レトルト用食品包装体やフィルムケーシングとして好適に使用可能な、保存性およびシール性に優れる共押出延伸多層フィルムに関する。
従来、ハムやソーセージ等の加工品、チーズやバター等の乳製品、あるいは、羊羹やゼリー等の菓子類の包装方法として、これらの被包装物を、樹脂フィルム(包装フィルム)を封筒貼りにシールした筒状フィルム成形体に充填し、その上端および下端を結紮(封止)する方法が広く利用されている。
この種の包装に使用する樹脂フィルムとして、ポリ塩化ビニリデン系フィルムが広く採用されていた。しかしながら、近年では、環境負荷を低減する観点から、塩素を含有しない材料が求められる傾向にある。
例えば、特許文献1(特開2000−37828号公報)には、同種のポリオレフィン系樹脂からなる両外層、ポリアミド系樹脂からなるガスバリア性中間層の少なくとも3層からなり、50℃における熱収縮応力が縦方向と横方向においてともに2MPa以下、90℃の熱水収縮率が5〜20%である熱収縮性を有する延伸多層フィルムを、両外層でバックシームしてなる延伸多層フィルムケーシングが記載されている。
また、特許文献2(特許第2711304号)には、少なくとも、その厚さが5〜50μmであるポリアミド樹脂層(A)および120℃の加熱処理において透明性を保持し、その厚さが5〜100μmであるポリプロピレン系樹脂層(B)とからなり、120℃における熱収縮率が5〜30%である熱収縮性多層フィルムが開示されている。
さらに、特許文献3(特開2001−009993号公報)には、ポリオレフィン系樹脂からなる外側層(1)、ポリアミド系樹脂からなる中間層(2)、中間層(2)を介して外側層(1)と対向して配置されたポリオレフィン系樹脂からなるもう一方の外側層(3)の少なくとも3層からなる積層フィルムであって、両外層のいずれかがイージーピール層であり、該積層フィルムを封筒貼り型シールにしたときのシール部のT剥離力(T)が20〜500g/cmの範囲である熱収縮性積層フィルムが開示されている。
さらに、特許文献4(特開2001−030445号公報)には、熱収縮性フィルム層が積層されている積層フィルムであって、包装体としたときに外側になるポリオレフィン層に、アンチロッキング剤微粒子を300〜2000ppm含有させた練製品包装用フィルムが開示されている。
一方、樹脂フィルムのシール方法としては、高周波シールや熱板シールなどが知られている。近年では、非接触でシール可能なシール方法として、熱風シール方式を採用する試みが為されている。例えば、特許文献5には、この種の樹脂フィルムを封筒貼りまたは合掌貼りに重ね合わせてヒートシールする包装方法が記載されている。また、特許文献6には、このような包装方法を実施し得るフィルム溶封装置が記載されている。
特開2000−37828号公報 特許第2711304号 特開2001−009993号公報 特開2001−030445号公報 特開平5−316933号公報 実公昭55−14171号公報
しかしながら、上記従来の包装フィルムを用いた包装体は、数ヶ月程度の長期保存後にフィルム弛みが生じ、これにより、しわが発生する等、商品価値を減退させるものであった。
この問題を解決すべく、高収縮性の包装フィルムを用いて高張力の包装体を作製することが考えられる。しかしながら、高収縮性の包装フィルムをヒートシールすると、シール部の表面粗さが過度に大きくなったり、シール部に過度のしわが発生したり、シール部のシール幅のバラツキが生じたり、シール部あるいはシール部以外にピンホールが発生したり、シール部の溶融過多や溶融不足が生じる等、シール不良が頻発する。しかも、このようなシール不良は、外観不良による商品価値の低下を招くのみならず、シール強度不足および密封性の低下を引き起こし、易剥離やレトルト処理時の破袋(パンク)をも生じさせ得る。
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、筒状包装体として使用した際に数ヶ月程度の長期保存後におけるフィルム弛みに起因するしわの発生を抑制でき、且つ、ヒートシール時のシール特性に優れる、共押出延伸多層フィルム、ならびに、長期保存性およびシール部の信頼性に優れるとともに、見栄えが良く美観に優れ、商品価値を向上させ得る、筒状フィルム成形体および筒状包装体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に対し鋭意検討した結果、特定素材からなる積層構造を有し、且つ、特定の熱収縮応力を有する共押出延伸多層フィルムが、長期保存後におけるフィルム弛みに起因するしわの発生を抑制でき、また、ヒートシール時のシール特性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下<1>〜<8>を提供する。
(1) 230℃におけるメルトフローレートが0.5〜8.0g/10分のプロピレン系重合体を含む表層(A)と、
プロピレン系酸変性物を含む接着層(B)と、
芳香族ポリアミド系共重合体を含むガスバリア層(C)と、
プロピレン系酸変性物を含む接着層(D)と、
230℃におけるメルトフローレートが0.5〜8.0g/10分のプロピレン系重合体を含む表層(E)と、
がこの順に積層され、
120℃における熱収縮応力が1.0〜3.5MPaである、
共押出延伸多層フィルム。
(2) 前記表層(E)のプロピレン系重合体は、前記表層(A)のプロピレン系重合体よりも、230℃におけるメルトフローレートの値が小さい、
上記(1)に記載の共押出延伸多層フィルム。
(3) 前記表層(E)のプロピレン系重合体の230℃におけるメルトフローレートの値が、前記表層(A)のプロピレン系重合体の230℃におけるメルトフローレートの値の0.95倍未満である、
上記(2)に記載の共押出延伸多層フィルム。
(4) 総厚みが30〜50μmであり、
該総厚みに対する各層の厚みの割合が、前記表層(A):20〜40体積%、前記接着層(B):5〜20体積%、前記ガスバリア層(C):5〜40体積%、前記接着層(D):5〜20体積%、前記表層(E):20〜40体積%である、
上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の共押出延伸多層フィルム。
(5) 230℃におけるメルトフローレートが0.5〜8.0g/10分のプロピレン系重合体を含む表層(A)と、プロピレン系酸変性物を含む接着層(B)と、芳香族ポリアミド系共重合体を含むガスバリア層(C)と、プロピレン系酸変性物を含む接着層(D)と、230℃におけるメルトフローレートが0.5〜8.0g/10分のプロピレン系重合体を含む表層(E)と、がこの順に積層された積層体を、100〜130℃で面積延伸倍率20〜50倍に延伸して得られる、
上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の共押出延伸多層フィルム。
(6) 上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の共押出延伸多層フィルムを前記表層(A)が外周面を構成するように筒状に湾曲させ、前記表層(A)上に前記表層(E)を重ね合わせ、その重ね合わせた部分に表層(A)側から熱を印加して得られる、
筒状フィルム成形体。
(7) スリットを有する熱風遮蔽板の該スリットを介して、前記重ね合わせ部に熱風を吹き付けることにより、前記重ね合わせ部を熱融着して得られる、
上記(6)に記載の筒状フィルム成形体。
(8) 上記(6)または(7)に記載の筒状フィルム成形体の両端開口を封止して得られる、
筒状包装体。
また、本発明は、他の態様として、以下(9)〜(11)を包含する。
(9)上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の共押出延伸多層フィルムを準備する工程と、前記共押出延伸多層フィルムを前記表層(A)が外周面を構成するように筒状に湾曲させ、前記表層(A)上に前記表層(E)を重ね合わせ、その重ね合わせた部分に表層(A)側から熱を印加してヒートシールする工程と、
を有する筒状フィルム成形体の製造方法。
(10) 帯状の合成樹脂フィルムを筒状に湾曲させて該合成樹脂フィルムのフィルム両側縁が重ね合わせられた筒状体を形成する製筒手段と、前記筒状体の重ね合わせ部にノズル開口から熱風を吹き付け、該重ね合わせ部を熱融着させて筒状フィルム成形体を成形する熱風シール手段とを備え、前記熱風シール手段と前記筒状体の重ね合わせ部との間に、スリットを有する熱風遮蔽板が設けられ、前記ノズル開口および前記筒状体の重ね合わせ部を結ぶ直線上に、前記スリットが配置されている筒状フィルム成形体の製造装置により製造され、前記合成樹脂フィルムが、上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の共押出延伸多層フィルムである、筒状包装体。
(11)前記共押出延伸多層フィルムを前記表層(A)が外周面を構成するように筒状に湾曲させ、前記表層(A)上に前記表層(E)を重ね合わせ、その重ね合わせた部分に表層(A)側から熱を印加して得られる、上記(10)に記載の筒状包装体。
本発明によれば、筒状包装体として使用した際に数ヶ月程度の長期保存後におけるフィルム弛みに起因するしわの発生を抑制でき、また、ヒートシール時のシール特性に優れる共押出延伸多層フィルムを実現できる。そのため、この共押出延伸多層フィルムを用いることにより、筒状フィルム成形体および筒状包装体の長期保存性およびシール部の信頼性を高めることができる。また、見栄えが良く美観に優れる筒状フィルム成形体および筒状包装体が実現されるので、商品価値を向上させることができる。さらには、そのような筒状フィルム成形体および筒状包装体を、簡易且つ低コストで作製可能となるので、その結果、歩留まりが向上し、汎用性、生産性および経済性の向上が図られる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとし、さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
(共押出延伸多層フィルム)
本実施形態の共押出延伸多層フィルムは、表層(A)、接着層(B)、ガスバリア層(C)、接着層(D)および表層(E)が少なくともこの順に積層された積層構造を有し、且つ、120℃における熱収縮応力が1.0〜3.5MPaであることを特徴とする。
表層(A)は、本実施形態の共押出延伸多層フィルムの最外層に位置し、ヒートシールする際のシール層として機能するとともに、水分やガスの透過を阻害してガスバリア層(C)の性能低下およびこれによって引き起こされる内容物(被包装物)の酸化劣化を抑制する機能を有する。このような機能を発現させるために、表層(A)は、230℃、荷重2.16kgfにおけるメルトフローレート(以下、「MFR230℃」ともいう)が0.5〜8.0g/10分であるプロピレン系重合体を含むように構成されている。ここで、MFR230℃は、溶融時の流動性を示す指標であり、本明細書においては、ASTM D 1238に準拠して測定(温度230℃、荷重2.16kgf)して得られる値を意味する。なお、2種以上のプロピレン系重合体を使用する場合には、プロピレン系重合体のMFR230℃は、その混合物を測定して得られる値とする。このような特定のプロピレン系重合体を採用すると、シール温度を過度に高めることなく十分なシール強度を得ることができ、その上さらに、延伸性に優れるので製膜を安定して行うことができ、生産性および経済性が高められる。
ここで、プロピレン系重合体とは、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンとの共重合体、プロピレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体を意味し、ランダム共重合体またはブロック共重合体のいずれであってもよい。炭素数4〜8のα−オレフィンの具体例としては、例えば、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの共重合成分は、各々を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体が好ましい。なお、これらのプロピレン系重合体は、各々を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
表層(A)のプロピレン系重合体は、MFR230℃が0.5〜8.0g/10分であることが必要とされる。表層(A)のプロピレン系重合体のMFR230℃が上記の範囲外であると、ヒートシールした際に、シール部に流動斑やピンホールが発生したり、シール部の表面粗さが過度に大きくなったり、シール部のシール幅のバラツキが生じたりする等して、シール強度の不足やシール不良が発生し易くなる傾向にある。また、表層(A)のプロピレン系重合体は、延伸性の観点から、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で表される値が、1.5〜3.5であることが好ましく、より好ましくは1.5〜3.0である。
表層(A)はプロピレン単独重合体を含んでいてもよい。表層(A)にプロピレン単独重合体を含ませると、水バリア性が高められ、長期保存性をより一層高めることができる。この場合、プロピレン単独重合体は5〜40wt%とすることが好ましい。
接着層(B)は、表層(A)とガスバリア層(C)とを接着する機能を有するとともに、水分やガスの透過を抑制する機能を有する。このような機能を発現させるために、接着層(B)は、プロピレン系酸変性物を含むように構成されている。
ここで、プロピレン系酸変性物とは、プロピレン系重合体をマレイン酸やフマル酸等の不飽和カルボン酸または酸無水物により酸変性したものを意味する。このようなプロピレン系酸変性物を用いると、その酸変性割合を調節することで、表層(A)やガスバリア層(C)との接着性、水分やガスの透過抑制の調整が容易となる。酸変性割合が高いプロピレン系酸変性物を用いることにより、表層(A)やガスバリア層(C)との接着強度が高められる傾向にある。
接着層(B)のプロピレン系酸変性物の具体例としては、例えば、上記したプロピレン系重合体に、マレイン酸やフマル酸等の不飽和カルボン酸または酸無水物をグラフト共重合した変性重合体が挙げられるが、これらに特に限定されない。表層(A)やガスバリア層(C)との接着性、水分やガスの透過抑制の観点から、表層(A)で例示したプロピレン−エチレン共重合体やプロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体等のプロピレン系共重合体に無水マレイン酸をグラフト共重合した酸変性物が好ましく、より好ましくはプロピレン−エチレン共重合体に無水マレイン酸をグラフト共重合した酸変性物である。かかるプロピレン系重合体は、表層(A)で例示したプロピレン系重合体と同一であっても異なっていても構わないが、表層(A)と接着層(B)との接着性の観点から、同一であることが好ましい。なお、これらのプロピレン系酸変性物は、各々を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
接着層(B)は、上記のプロピレン系酸変性物のみから構成することができ、この場合は構成が簡易となり、生産性および経済性が高められる。なお、接着層(B)は、上記のプロピレン系酸変性物の他に、他の成分を含んでいてもよく、例えば、プロピレン系重合体を含んでいてもよい。このようにプロピレン系重合体をブレンドすると、水バリア性が高められ長期保存時のしわの発生がより一層効果的に抑制されるとともに、表層(A)やガスバリア層(C)との接着強度の調整が容易となる。この場合、各々の使用割合は、プロピレン系重合体を20〜50wt%、プロピレン系酸変性物を50〜80wt%とすることが好ましい。ここで、プロピレン系酸変性物の割合を高めると、接着性が高められる傾向にある。
ガスバリア層(C)は、酸素等のガスの透過を阻害して、内容物(被包装物)の酸化劣化を防ぐ機能を有する。このような機能を発現させるために、ガスバリア層(C)は、芳香族ポリアミド系共重合体を含むように構成されている。
ここで、芳香族ポリアミド系共重合体とは、主鎖中に芳香族環を有する結晶性ナイロン(ポリアミド)を意味し、その具体例としては、例えば、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とを重縮合して得られるポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)や、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とイソフタル酸との重縮合物等が挙げられる。芳香族ポリアミド系共重合体は、ナイロン6、ナイロン6/66等の脂肪族ナイロンに比べて、ガスバリア性に優れ、吸水度合いが低く、吸水時のガスバリア性の低下が少なく、その上さらに、耐ピンホール性等の強度や延伸性、成形加工性等も良好であるので、本実施形態のガスバリア層(C)を構成する素材として好適に用いられる。ガスバリア層(C)は、芳香族ポリアミド系共重合体のみから構成することができ、この場合は構成が簡易となり、生産性および経済性が高められる。なお、ガスバリア層(C)は、上記の芳香族ポリアミド系共重合体の他に、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
接着層(D)は、上述した表層(B)と同様に、ガスバリア層(C)と表層(E)とを接着する機能を有するとともに、水分やガスの透過を抑制する機能を有する。このような機能を発現させるために、接着層(D)は、プロピレン系酸変性物を含むように構成されている。
接着層(D)のプロピレン系酸変性物の具体例としては、例えば、接着層(B)で例示したプロピレン系酸変性物が挙げられる。ここで、接着層(D)のプロピレン系酸変性物は、接着層(B)のプロピレン系酸変性物と同一であっても異なっていても構わないが、剥離強度の調整の観点から、同一であることが好ましい。なお、これらのプロピレン系酸変性物は、各々を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
接着層(D)は、上記のプロピレン系酸変性物のみから構成することができ、この場合は構成が簡易となり、生産性および経済性が高められる。なお、接着層(B)は、上記のプロピレン系酸変性物の他に、他の成分を含んでいてもよく、例えば、プロピレン系重合体を含んでいてもよい。このようにプロピレン系重合体をブレンドすると、水バリア性が高められ長期保存時のしわの発生がより一層効果的に抑制されるとともに、ガスバリア層(C)や表層(E)との接着強度の調整が容易となる。この場合、各々の使用割合は、プロピレン系重合体を20〜50wt%、プロピレン系酸変性物を50〜80wt%とすることが好ましい。ここで、プロピレン系酸変性物の割合を高めると、接着性が高められる傾向にある。
表層(E)は、上述した表層(A)と同様に、本実施形態の共押出延伸多層フィルムの最外層に位置し、ヒートシールする際のシール層として機能するとともに、水分やガスの透過を阻害してガスバリア層(C)の性能低下およびこれによって引き起こされる内容物(被包装物)の酸化劣化を抑制する機能を有する。このような機能を発現させるために、表層(E)は、MFR230℃が0.5〜8.0g/10分であるプロピレン系重合体を含むように構成されている。また、このような特定のプロピレン系重合体を採用すると、シール温度を過度に高めることなく十分なシール強度を得ることができ、その上さらに、延伸性に優れるので製膜を安定して行うことができ、生産性および経済性が高められる。
表層(E)のプロピレン系重合体の具体例としては、例えば、表層(A)で例示したプロピレン系重合体が挙げられる。なお、これらのプロピレン系重合体は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。また、表層(E)のプロピレン系重合体は、表層(A)のプロピレン系重合体と同一であっても異なっていても構わないが、ヒートシール強度を確保する観点から、同一であることが好ましい。
表層(E)は、表層(A)で例示したプロピレン単独重合体を含んでいてもよい。表層(E)にプロピレン単独重合体を含ませて、表層(E)が内周面を構成する筒状包装容器として使用すると、外気に比べて水分が多く湿度も高い内容物(被包装物)に接する表層(E)の水バリア性を、外気に接する表層(A)よりも高くすることができ、内容物(被包装物)の水分蒸発を表層(E)にて防ぐフィルム設計を実現できる。そのため、内容物(被包装物)の水分減少による筒状フィルム成形体のしわ発生を数ヶ月後に亘り効果的に抑制することができ、また、ガスバリア層(C)への水分進入によるガスバリア層(C)の性能低下およびこれによって引き起こされる内容物(被包装物)の酸化劣化を抑制して長期保存性をよりいっそう高めることができる。この場合、プロピレン単独重合体は10〜50wt%とすることが好ましい。なお、表層(E)のプロピレン単独重合体は、表層(A)のプロピレン単独重合体と同一であっても異なっていても構わないが、ヒートシール強度を確保する観点から、同一であることが好ましい。
表層(E)のプロピレン系重合体は、MFR230℃が0.5〜8.0g/10分であることが必要とされる。表層(E)のプロピレン系重合体のMFR230℃が上記の範囲外であると、ヒートシールした際に、シール部に流動斑やピンホールが発生したり、シール部の表面粗さが過度に大きくなったり、シール部のシール幅のバラツキが生じたりする等して、シール強度の不足やシール不良が発生し易くなる傾向にある。また、表層(E)のプロピレン系重合体は、延伸性の観点から、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で表される値が、1.5〜3.5であることが好ましく、より好ましくは1.5〜3.0である。
表層(E)のプロピレン系重合体は、表層(A)のプロピレン系重合体よりも、MFR230℃の値が小さいものであることが好ましい。より具体的には、表層(E)のプロピレン系重合体のMFR230℃の値は、表層(A)のプロピレン系重合体のMFR230℃の値の0.95倍未満であることが好ましい。このように構成すると、表層(A)上に表層(E)を封筒貼りに重ね合わせ、その重ね合わせた部分に表層(A)側から熱を印加してヒートシールを行なう際に、表層(A)および表層(E)の流動性を均一化することができ、シール部の流動斑およびピンホールの発生、シール部の表面粗さの増大、ならびにシール部のシール幅のバラツキが抑制され、その結果、シール強度不足やシール不良の発生を抑制することができる。
上述した(A)〜(E)の各層は、可塑剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑剤(ワックス等含む)、無機フィラー、結晶核剤(タルク等)等の各種添加剤を含んでいてもよい。例えば、内容物(被包装物)と接触し得る表層(E)は、内容物との剥離性を高めるために、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の界面活性剤を含んでいてもよい。
共押出延伸多層フィルムの厚みは、特に限定されるものではなく、任意に設定することができるが、レトルト用途への使用を考慮すると、共押出延伸多層フィルムの全体の厚み(総厚み)は30〜50μmであることが好ましい。一般に、レトルト処理時の破袋の発生頻度と開封時の開封性とは、トレードオフの関係にあり、厚みを厚くすると、レトルト処理時の破袋の発生頻度が減少する傾向にあり、厚みを薄くすると、開封時に適度な力で開封し易くなる傾向にある。したがって、これら双方の特性をバランス良く維持するために、全体の厚みが30〜50μmであることが好ましい。
また、共押出延伸多層フィルムの各層の厚みは、特に限定されるものではなく、任意に設定することができるが、シール強度や数ヶ月程度の保存性の観点から、各層の厚みは、共押出延伸多層フィルムの総厚みに対して、表層(A):20〜40体積%、接着層(B):5〜20体積%、ガスバリア層(C):5〜40体積%、接着層(D):5〜20体積%、表層(E):20〜40体積%であることが好ましい。
本実施形態の共押出延伸多層フィルムは、上述した特定成分を各々含む表層(A)/接着層(B)/ガスバリア層(C)/接着層(D)/表層(E)の層構成が採用されていることに加えて、120℃における熱収縮応力(以下、「ORS120℃」ともいう)が1.0〜3.5MPaである、言い換えれば、従来に比して、被包装物を包装した際における被包装物への締め付け力が高められていることに特徴がある。このように構成すると、この共押出延伸多層フィルムを用いて被包装物を包装した包装体を120℃で20分間のレトルト処理をした際に、共押出延伸多層フィルムが被包装物にフィットし、長期保存時の被包装物に目減りが生じた際であっても、共押出延伸多層フィルムの弛み由来のしわの発生を効果的に抑制することができる。本実施形態の共押出延伸多層フィルムは、耐熱性、フィルム強度およびシール強度に優れ、長期保存時のしわの発生が低減されたものなので、とりわけ、レトルト処理等の加圧熱水殺菌を要する用途において優れた性能を有する。かかる長期保存性時のしわの発生の抑制およびシール特性のバランスを考慮すると、共押出延伸多層フィルムのORS120℃は、1.5〜3.0MPaであることがより好ましい。共押出延伸多層フィルムのORS120℃は、製造時における延伸倍率、延伸温度および延伸中や延伸後の熱処理温度によって制御可能であり、具体的には、延伸倍率を高めたり、延伸温度や熱処理温度を低めるとORS120℃が大きくなり、延伸倍率を低めたり、延伸温度や熱処理温度を高めるとORS120℃が小さくなる傾向にある。なお、本明細書においては、共押出延伸多層フィルムのORS120℃は、ASTM D 1504に準拠して測定される値を意味する。
一方、上述した特定の層構成を有さない共押出延伸多層フィルムは、そのORS120℃が1.0〜3.5MPaであっても、ヒートシールする際に、シール部にしわが発生したり、シール部あるいはシール部以外にピンホールが発生したり、シール部の溶融過多や溶融不足が生じる等、シール不良が頻発する傾向にある。したがって、長期保存時のしわの発生を抑制可能であり且つシール特性に優れる包装フィルムを実現するためには、上述した特定の層構成とORS120℃との双方の構成を採用することが必要となる。特に、ORS120℃が1.0〜3.5MPaの共押出延伸多層フィルムにおけるシール特性の向上を図るためには、ヒートシール時に表層(A)および表層(E)のMFR230℃による影響が支配的になるので、表層(A)および表層(E)においてMFR230℃が0.5〜8.0g/10分のプロピレン系重合体を採用することが、格別重要である。この意味においても、表層(E)のプロピレン系重合体として、表層(A)のプロピレン系重合体よりも、MFR230℃の値が小さいものを採用することが好ましい。
本実施形態の共押出延伸多層フィルムは、表層(A)/接着層(B)/ガスバリア層(C)/接着層(D)/表層(E)の少なくとも5層を、この順で含む形態のものであれば、その使用態様は特に制限されるものではない(ここで、層構成における記号「/」は、その両側の層が互いに積層されることを意味する)。例えば、ガスバリア性の信頼性を向上させる、あるいは、印刷を施して意匠性を高めるために、2以上の共押出延伸多層フィルムを貼り合わせた構成、または、ガスバリア層(C)を2層以上積層させた構成にしてもよい。2枚の共押出延伸多層フィルムを貼り合わせた構成としては、例えば、A/B/C/D/E/A/B/C/D/E、またはA/B/C/D/E/印刷層/A/B/C/D/E等の層構成が例示される。このような層構成を採用することにより、耐衝撃性やタフネスがより一層高められる。また、ガスバリア層(C)を2層以上積層させた構成としては、例えば、A/B/C/C/D/EやA/B/C/C/C/D/E等の層構成が例示される。このような層構成を採用することにより、いずれかのガスバリア層(C)に欠陥が生じた場合であっても、他のガスバリア層(C)の存在によりガスバリア性を確保できるので信頼性が高められる。なお、共押出延伸多層フィルムの貼り合わせは、表層の自己粘着を利用して行っても、公知の接着剤を用いて行ってもよく、また、熱処理により貼り合わせてもよい。
共押出延伸多層フィルムに印刷(例えば、表面印刷やサンドイッチ印刷等)を施す方法は、特に限定されず、公知の手法を適宜採用することができる。例えば、A/B/C/D/E/A/B/C/D/Eとなるように2枚のフィルムを加熱して密着させた状態とし、表層(A)および表層(E)のいずれかの面上に印刷を施し、さらに同じ面にウレタン系、アクリル系、エポキシ系の接着剤等を塗工した後、2枚のまま巻き取り、次いで、巻き取ったあと2枚を剥がしながら外側の表層(A)と表層(E)とが接触するようにして再度巻き返すことにより、印刷を施すことができる。
(共押出延伸多層フィルムの製造方法)
上述した共押出延伸多層フィルムは、例えば、共押出法より好ましくは溶融押出法で得た積層物を延伸することにより、作製することができる。以下、代表例として、インフレーション法により共押出延伸多層フィルムを作製する方法につき詳述する。
まず、表層(A)、接着層(B)、ガスバリア層(C)、接着層(D)、表層(E)を構成する各成分をそれぞれの押出機で溶融し、多層サーキュラダイを用いて共押出しして、水または温水をかけて固化させた後、多層環状押出物(パリソン/積層体)を得る。ここでは、パリソンの安定化のために、多層サーキュラダイの下部にパリソン内径と同一か1〜2mm小さい径の円筒状の冷却筒を設けることが好ましい。ここで用いる冷却筒は、その表面を、鏡面、梨地、テフロン(登録商標)またはセラミックコート加工したものが好ましい。
次に、上記で得られたパリソンを加熱し、配向を付与するのに適当な温度条件下で空気を圧入し、バブルを形成しながら延伸を行うことにより、共押出延伸多層フィルムを作製する。ORS120℃が1.0〜3.5MPaの共押出延伸多層フィルムを得るためには、延伸温度を100〜130℃、より好ましくは110〜130℃、延伸倍率を面積倍率で20〜50倍、より好ましくは25〜40倍、さらに好ましくは30〜40倍に設定することが好ましい。なお、延伸性および耐熱性を向上させるために、延伸前のパリソンに、電子線(加速電圧150〜250kV、照射線量50〜120kGy)等を照射して架橋処理を行なってもよい。また、延伸中または延伸後に、熱風吹き付け式、熱ローラ式、カーボンヒーター等による間接加熱式等のヒートセット処理を、単独でまたは併用して行ってもよい。さらに、印刷適性を向上させるために、あるいは、内容物(被包装物)にハムやソーセージ等を封入する場合にフィルムへの肉付き性を向上させるために、延伸後に、コロナ処理やプラズマ処理等の表面処理を行ってもよい。
(筒状フィルム成形体)
共押出延伸多層フィルムを、表層(A)が外周面を構成するように筒状に湾曲させ、筒状に湾曲させて表層(A)上に前記表層(E)を封筒張りに重ね合わせ、その重ね合わせた部分に表層(A)側から熱を印加してヒートシールを行なうことにより、筒状フィルム成形体を得ることができる。この筒状フィルム成形体は、表層(A)が外周面を構成し表層(E)が内周面を構成した筒状成形体であり、その筒内に内容物(被包装物)を包装し得る包装部材として、使用することができる。ここで、封筒貼りにヒートシールするとは、図1に示すように、共押出延伸多層フィルムにて内容物(被包装物)を筒状に一周を少し超えて包んだ際の、その超えた端部を筒状の側面に沿ってもう一方の端部と重ね合わせ、その重ね合わせた部分の上側フィルムの下面と下側フィルムの上面とを熱融着することを意味する。なお、共押出延伸多層フィルムを、表層(A)が外周面を構成するように筒状に湾曲させて表層(E)と表層(E)とを合掌貼りに重ね合わせて、その重ね合わせた部分に表層(A)側から熱を印加してヒートシールを行なっても、筒状フィルム成形体を得ることができる。
ヒートシールの方法としては、例えば、熱板を接触させてシールする熱板シール方式や、熱風を吹きつけてシールする熱風シール方式等の公知の手法を採用することができるが、生産性を高める観点から、熱風シール方式が好ましい。熱風シール方式における熱風の温度および吹き付け圧力は、所望のヒートシールが実行されるべく、共押出延伸多層フィルムの厚さ、剛性、融点などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、生産性を高める観点から、温度は280〜430℃程度であることが好ましく、吹き付け圧力は0.2〜0.6MPa程度であることが好ましい。
共押出延伸多層フィルムを熱風シール方式にてヒートシールする場合は、熱風を吹きつける領域を制限しながら、具体的には、上述した重ね合わせた部分に局所的に熱風を吹きつけて、ヒートシールすることが好ましい。例えば、図1に示すように、スリットSを有する熱風遮蔽板61を用い、熱風印加ノズル42のノズル開口42aから、熱風遮蔽板61のスリットSを介して、筒状体2の重ね合わせ部2a(共押出延伸多層フィルム1の両端縁1a,1bが封筒貼りに重ね合わされた部分)に熱風を吹き付けてヒートシールすることにより、筒状フィルム成形体を作製することが好ましい。このようにすると、熱風遮蔽板61により、重ね合わせ部2a周辺への熱風の吹き付けが遮蔽され、言い換えれば、熱風の吹き付けが重ね合わせ部2aに局所的に収束されるので、重ね合わせ部2a周辺への過度の熱印加が緩和される。そのため、本実施形態の如く、高熱収縮応力を有する共押出延伸多層フィルムを用いた場合であっても、シール部にしわが発生したり、シール部以外にピンホールが発生したり、シール部の溶融過多や溶融不足が生じる等のシール不良を発生させることなく、美観に優れ、寸法精度、シール強度およびフィルム強度に優れる筒状フィルム成形体が容易に作製できる。
上記のように熱風遮蔽板61を用いる場合、熱風遮蔽板61は、筒状体2の重ね合わせ部2aの接線に対して(筒状体2の重ね合わせ部2aの断面における接線の接点に対して)、略平行にまたは±20°の傾きをもって配置することが好ましい。ここで、±20°の傾きをもって配置するとは、前述した重ね合わせ部2aの接線と熱風遮蔽板61がなす角度θが、0°<θ≦20°または−20°≦θ<0°の関係を満たすことを意味する。筒状体2の重ね合わせ部2aに吹き付けられた熱風は重ね合わせ部2aの周辺に滞留し得るが、このように熱風遮蔽板61を配置すると、熱風が熱風遮蔽板61の面に沿って重ね合わせ部2から離間する方向(図3においてベクトルA方向)へと排出され易くなり、また、熱風遮蔽板61を±20°の傾きをもって配置した場合には熱風の排出作用がより効果的に発揮されるので、筒状体2の重ね合わせ部2a周辺への過度の熱印加がより効果的に緩和される。
筒状フィルム成形体のシール強度は、レトルト処理中の剥離を抑制して信頼性を高める観点から、6N以上/15mm幅であることが好ましい。また、接着層(B)とガスバリア層(C)の層間剥離強度(X)は0.5〜1.0N/15mm幅であることが好ましく、ガスバリア層(C)と接着層(D)の層間剥離強度(Y)は0.7〜1.5N/15mm幅であることが好ましく、さらに、層間剥離強度(X)<層間剥離強度(Y)であることが好ましい。このように構成すると、開封時に接着層(B)とガスバリア層(C)との間で剥離が生じ易くなるので、開封性が向上する。
(包装装置)
筒状フィルム成形体およびこれに内容物(被包装物)を封入した包装体は、公知の自動充填包装機、例えば、旭化成ケミカルズ(株)社製「ADP(登録商標)」)を用いることにより、容易に得ることができる。以下、好適に使用可能な自動充填包装機につき、詳述する。
図2は、自動充填包装機100の要部構造を模式的に示す縦断面図である。自動充填包装機100は、フィルム供給手段11、充填手段21、製筒手段31、熱風シール手段41、および封止手段51を備える。この自動充填包装機100には、上述した熱風遮蔽板61がさらに付設されている。そして、この自動充填包装機100では、フィルム供給手段11および製筒手段31により、帯状の共押出延伸多層フィルム1から筒状体2が形成され、その後、熱風シール手段41および熱風遮蔽板61により熱風シールされて筒状フィルム成形体3が成形される。
フィルム供給手段11は、複数のローラ対11a,11b、送りローラ12a,12bおよび駆動機構(図示せず)を有し、図示しない駆動機構および送りローラ12a,12bの駆動に応じて、原反ロールから帯状の共押出延伸多層フィルム1を連続的に供給する。共押出延伸多層フィルム1の供給速度は、通常、10〜60m/min程度であり、共押出延伸多層フィルムの厚さ、剛性、融点や、充填される被包装物の素材や粘度などに応じて適宜設定される。
充填手段21は、中空円筒状の充填ノズル22を有し、その上端に、被包装物を充填ノズル22内に供給するフィードポンプ23が接続されている。充填手段21は、フィードポンプ23の駆動に応じて、被包装物を充填ノズル22内へ供給する。ここで適用される被包装物は、例えば、ハム、ソーセージ、魚肉、畜肉、液卵、ゼリー、蒟蒻、漬物といった液状あるいは練り状の食品や物品が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。
製筒手段31は、所定形状の金属片を略螺線状に巻いて形成された製筒フォルダ32を有する。製筒フォルダ32は、その内周径が充填ノズル22の外周径よりも大きく形成され、充填ノズル22と略同心円上に配置されている。そのため、充填ノズル22の外周壁と製筒フォルダ32の内周壁とは、所定距離、離間して配置された状態となっている。そして、原反ロールから供給される帯状の共押出延伸多層フィルム1は、製筒フォルダ32の上面開口から下面開口へと導かれ、製筒フォルダ32内を通過する際に、その螺線構造に追従して筒状に湾曲され、その両端縁1a,1bが重ね合わされた筒状体2となって、製筒フォルダ32の下面開口から図示下方へと移送される。
熱風シール手段41は、熱風印加ノズル42と、図示しない加圧調整機構および温度調整機構とを有し、製筒フォルダ32の下方において、充填ノズル22の外周壁から所定距離、離間した位置に配置されている。熱風印加ノズル42と充填ノズル22の外周壁との間には、上述した熱風遮蔽板61が配置されている。そして、熱風印加ノズル42のノズル開口42aから、熱風遮蔽板61のスリットSを介して、製筒フォルダ32を通過した筒状体2の重ね合わせ部2a(共押出延伸多層フィルム1の両端縁1a,1bが重ね合わされた部分)に熱風が吹き付けられ、重ね合わせ部2aが融着することにより熱風シールが実施される。なお、熱風の吹き付け圧力は、上述した図示しない加圧調整機構に設置された圧力センサにて計測され、その加圧調整機構により増減調整されるように構成されている。また、熱風の温度は、上述した図示しない温度調整機構に設置された温度センサにて計測され、その温度調整機構により増減調整されるように構成されている。
熱風印加ノズル42は、シール性を向上させる観点から、筒状体2の重ね合わせ部2aに対して(重ね合わせ部2aの断面における接線の接点に対して)、垂直方向から熱風を吹き付ける位置、換言すれば、筒状体2の断面における重ね合わせ部2aの接線に対して略垂直方向から熱風を吹き付け可能な位置に配置されていることが好ましい。
図3は、熱風遮蔽板61の構造を概略的に示す斜視図である。熱風遮蔽板61は、略矩形状の板状体からなり、その平面略中央に長さLおよび幅WのスリットSを有する。
熱風遮蔽板61を構成する材料は、特に限定されるものではなく、金属や合金、無機材料、有機材料およびこれらを複合化した複合体などの公知の材料から任意に選択することができる。自動充填包装機100の稼動時および非稼動時に数百℃程度の温度変化が生じ得ることを考慮すると、熱風遮蔽板61を構成する材料は、耐熱性に優れ線熱膨張係数の小さなものが好ましい。耐熱性に優れ線熱膨張係数の小さな素材としては、例えば、各種セラミックやマイカなどの鉱物類などが挙げられる。
熱風遮蔽板61の外形寸法は、特に限定されるものではなく、所望のサイズに設定できる。熱風遮蔽効果を増大させる観点から、熱風遮蔽板61の幅61Wは、筒状体2の幅(直径)と略同一または筒状体2の幅(直径)よりも大きいことが好ましい。同様の理由により、熱風遮蔽板61の長さ61Lは、熱風印加ノズル42のノズル開口42aの長さよりも大きいことが好ましい。熱風遮蔽板61の厚さ61Tは、強度やクリアランスを考慮して適宜設定すればよいが、0.1〜3mm程度の範囲であることが好ましい。
熱風遮蔽板61の形状は、特に限定されるものではなく、矩形状、円形状、楕円状、3角形や5角形などの多角形状、不定形状などを任意に採用することができる。なお、熱風遮蔽板61を、シール部以外のところに熱風が吹きつけられない構造・配置とすることが好ましい。
スリットSの外形寸法は、特に限定されるものではなく、所望のシール幅およびシール長さに応じて適宜設定される。熱風がスリットSを通過する際の圧力損失を考慮すると、スリットSの開口面積が大きいことが好ましく、一方、得られるシール部の外形寸法を小さくし美観を向上させる観点からは、ノズル開口42aの開口面積が小さいことが好ましい。本実施形態では、スリットSの幅Wは、0.3〜3mmの範囲で設定することが好ましく、スリットSの長さLは、5〜100mmの範囲で設定することが好ましい。
上述した熱風遮蔽板61は、熱風印加ノズル42のノズル開口42aと筒状体2の重ね合わせ部2との間、より具体的には、ノズル開口42aと筒状体2の重ね合わせ部2aを結ぶ直線上にスリットSが配置されるように、図示しない冶具により固定されている。換言すれば、熱風遮蔽板61は、ノズル開口42aと筒状体2の重ね合わせ部2とがスリットSを介して対面する対向位置に配置され、熱風印加ノズル42から吹き出される熱風が、スリットSを介して(通過して)筒状体2の重ね合わせ部2aに直接吹き付けられるように構成されている。
上記の筒状体2、熱風印加ノズル42および熱風遮蔽板61の位置関係は、筒状体2の重ね合わせ部2a周辺への過度の熱印加を緩和して所望のシール性能を得るべく、熱風の圧力および温度、ノズル開口42aの大きさ、スリットSの開口面積などに応じて適宜調整されるが、ここでは、例えば、筒状体2と熱風印加ノズル42との距離を0.5〜4mm程度、筒状体2の重ね合わせ部42aと熱風遮蔽板61のスリットSとの距離Dを0.05〜3mm程度にすることが好ましい。また、筒状体2(共押出延伸多層フィルム1)の流れ方向に長尺の重ね合わせ部2aを1回の熱風シール処理にて均一にシールし生産性を高める観点から、熱風遮蔽板61は、筒状体2の軸方向に対して、略平行に配置されていることが好ましい。
重ね合わせ部2aが熱風シールされることにより、略円筒状の筒状フィルム成形体3が成形される。この筒状フィルム成形体3内には、上述した充填ノズル22から被包装物が充填され、かくして被包装物が充填された筒状フィルム成形体3は、送りローラ12a,12bに挟持されて図示下方へと移送される。
封止手段51は、絞りローラ52a,52bおよび封止機構53を有する。封止手段51は、被包装物が充填された筒状フィルム成形体3を絞りローラ52a,52bにて所定の間隔で外部から押圧し、その押圧部分の被包装物を押しのけた後、封止機構53にてその押圧された領域の共押出延伸多層フィルム1を集束して封止する。すなわち、封止手段51は、筒状フィルム成形体3の上底と下底に相当する両端開口を封止する。封止機構53における封止処理は、共押出延伸多層フィルム1の集束部に超音波、高周波または熱を印加して融着させる手法、共押出延伸多層フィルム1の集束部に合成樹脂製または金属製の線材等をかしめて結紮する手法、およびこれらを併用する手法など、公知の手法が採用される。
上記の封止処理により、筒状フィルム成形体3の両端部が封止され、これにより、筒状包装体4が製造される。なお、両端部が封止された筒状包装体4を、封止処理と同時にまたは後続する切断工程において、個々の筒状包装体4へと分割してもよい。
なお、ヒートシールする前もしくはヒートシールした後に、開封時の開封場所の目印となるIノッチ、Vノッチや傷痕等の開封手段をフィルム端部に形成することにより、開封性を向上させた包装体を作製することができる。例えば、ノッチ幅が10〜20mm程度の一対のノッチを形成し、シール部のノッチから円周方向にフィルムを引き裂くことにより、開封時に過度の力を要せずに開封可能となり、内容物(被包装物)を極めて容易に取り出せるようになる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでない。
各種性能の測定方法および評価方法を、以下に記す。
(1)ORS120℃
共押出延伸多層フィルムの120℃における熱収縮応力を、ASTM D 1504に準拠して測定した。このORS120℃の測定においては、共押出延伸多層フィルムを裁断して得た短冊試験片(長さ:150mm、幅:5mm、共押出延伸多層フィルムのTD方向が短冊試験片の長さ方向に対応する。)を、Uゲージに接続された一対のクリップ間に短冊試験片を把持し、浴温120℃のシリコーンオイル中に5分間浸漬し、このときの最大熱収縮応力(n=5の平均値)をUゲージにて測定することによって行った。
(2)レトルト適性
300本の包装体について、加熱缶内ゲージ圧が0.25MPaの条件下で、120℃20分のレトルト処理を行い、その際に破袋(パンク)が発生した本数を数えて、以下の基準にしたがって評価した。
○:破袋(パンク)本数が0本
×:破袋(パンク)本数が1本以上
(3)ピンホール発生率
レトルト処理後の100本(層間剥離又は破袋が発生しなかったものからサンプリング)の包装体について、絶縁抵抗を測定した。絶縁抵抗の測定は、メガテスター(商品名:絶縁抵抗計 BN−500UB (松下電器産業社製)、電圧:500V)および飽和食塩水を用いて、以下の手順で行った。まず、レトルト処理後の包装体の胴体中央部のシール線に触れないように、メガテスターのマイナス電極を包装体胴体中央部のシール線の対面側に差し込むとともに、プラス電極を飽和食塩水に漬けた。次に、マイナス電極を差した包装体を、クリップ部から胴体中央部まで浸漬させた。その後、包装体を反転させて、反対側のクリップ部から胴体中央部まで浸漬させ、このときのメガテスターの抵抗値を測定し、以下の基準にしたがって評価した(シール部にピンホールが存在すれば、絶縁抵抗が500KΩ未満となる)。
○:すべての包装体が500KΩ以上
×:1以上の包装体が500KΩ未満
(4)シール強度
レトルト処理後の10本(層間剥離又は破袋が発生しなかったものからサンプリング)の包装体から、幅15mm、長さ60mmの短冊状の試験片(長手方向の略中央部に、その長手方向に直交してシール線が存在する短冊)を作製した。そして、テンシロン万能試験機(商品名:RTC−1210、オリエンテック社製)を用い、得られた試験片の長手方向の両端部をフィルムチャック部に固定し、チャック間距離10mm、180°剥離、引張速度500mm/minの条件下で、シール強度を測定した。シール強度は、試験片10本の平均値とし、以下の基準にしたがって評価した。
○:6N/15mm幅以上
×:6N/15mm幅未満
(5)保存性
レトルト処理後の20本(層間剥離又は破袋が発生しなかったものからサンプリング)の包装体を、28℃の温度条件下で3ケ月保存し、包装体のしわの発生の有無を、目視により、以下の基準にしたがって評価した。
○:しわの発生なし
×:しわが発生
(6)シール幅のばらつき
レトルト処理後の10本(層間剥離又は破袋が発生しなかったものからサンプリング)の包装体の長手方向の中央部(結紮部間の中間位置)のシール線の幅を、ノギスで測定(単位:mm、小数点第2位を四捨五入)した。測定した包装体10本(測定1回/1本)の最大幅と最小幅との差を、シール線の幅のばらつき(mm)とし、以下の基準にしたがって評価した。
◎:シール線の幅のばらつきが1.0mm未満
○:シール線の幅のばらつきが1.0mm以上2.0mm未満
×:シール線の幅のばらつきが2.0mm以上
(7)シール部の平均表面粗さ(中心面平均値=Sa)
レトルト処理後の10本(層間剥離又は破袋が発生しなかったものからサンプリング)の包装体のシール部の平均表面粗さ(中心面平均値=Sa)を、表面粗さ測定機(商品名:サーフテストSV3000S4・3D、ミツトヨ社製)を使用して測定した。測定箇所は、包装体の長手方向の中央部(結紮部間の中間位置)とし、包装体の長手方向(シール線方向)に触針を走査して測定した。この測定においては、先端半径2μmのダイヤモンド製触針を用い、測定速度(触針の移動速度)は1mm/s、圧力は0.75mN、サンプリングピッチ(X方向)は10μm、プロファイルピッチ(Y方向)は10μm、測定面積(X方向×Y方向)は10mm×0.1mmとして、画像解析(評価曲面の設定は「粗さ曲線群」、フィルタの種類は「GAUSSIAN」、X方向低域カットオフ値は「4,000μm」とした)により、包装体10本(測定1回/1本)のシール部の平均表面粗さ(μm:中心面平均値=Sa)を求め、以下の基準にしたがって評価した。
○:シール線の平均表面粗さが50μm未満
×:シール線の平均表面粗さが50μm以上
実施例および比較例において使用した樹脂の略号と商品名等を、表1に記す。
Figure 0005130158
[実施例1]
まず、環状5層ダイを用いて溶融共押出した後に約15℃の冷水で固化させることにより、層構成がPP1/ad1/Ny1/ad1/PP2の5層構成のパリソン(総厚み約1100μm、折幅約150mm、各層の厚みの体積%=30/10/20/10/30)を作製した。次いで、このパリソンを、インフレーション法により、縦方向(MD方向)に約7.0倍および横方向(TD方向)に約7.0倍とした約49倍の延伸倍率および約120℃の延伸温度で、同時二軸延伸した後、120℃で熱処理することにより、フィルム幅約1m、最終厚み約30μmのシングルプライの共押出延伸多層フィルム(各層の厚みの体積%=30/10/20/10/30、ORS120℃=1.6MPa)を得た。得られた幅約1mの共押出延伸多層フィルムを巻き取り、そのフィルムを捲きほどきながら幅90mmに裁断し、再度巻き取ることで、実施例1の共押出延伸多層フィルム(原反ロール)を作製した。
次に、熱風シール方式の自動充填包装機(旭化成ケミカルズ(株)社製「ADP(登録商標)」)を用いて、実施例1の共押出延伸多層フィルム(原反ロール)を、表層(A)が外周面を構成するように製筒フォルダを介して筒状に湾曲させ、表層(A)上に表層(E)を重ね合わせた後、その重ね合わせた部分に表層(A)側から熱風を吹きつけて、封筒貼りにヒートシールすることにより、折幅38mmの筒状フィルム成形体を成形した。引き続き、筒状フィルム成形体内に充填ノズルから魚肉ソーセージ原料すり身を充填し、その後、両端をアルミワイヤーにて結紮密封することにより、長さ200mmの筒状包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。各種性能評価の評価結果を、表2に示す。
以下に、自動充填包装機の各種設定を示す。
フィルム速度 : 41m/min
ショット数 : 180本/分
ノズル開口42a : 長さ55mm、幅0.3mm
熱風温度 : 380℃ (ノズル内部)
熱風圧力 : 0.45MPa(ノズル内部)
[実施例2]
パリソンの層構成をPP8/ad1/Ny1/ad1/PP1(各層の厚みの体積%=20/20/25/5/30)とし、延伸倍率を約33倍(MD/TD=約6.0倍/約5.5倍)とし、延伸温度を110℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを約35μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例2の共押出延伸多層フィルム(各層の厚みの体積%=20/20/25/5/30、ORS120℃=3.0)、筒状フィルム成形体および筒状包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。各種性能評価の評価結果を、表2に示す。
[実施例3]
パリソンの層構成をPP1/ad1/Ny1/ad1/PP1(各層の厚みの体積%=15/5/40/20/20)とし、延伸倍率を約32倍(MD/TD=約6.0倍/約5.3倍)とし、延伸温度を130℃とし、熱処理温度を110℃とし、最終厚みを約40μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例3の共押出延伸多層フィルム(各層の厚みの体積%=15/5/40/20/20、ORS120℃=1.2)、筒状フィルム成形体および筒状包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。各種性能評価の評価結果を、表2に示す。
[実施例4]
パリソンの層構成をPP1/ad1/Ny2/ad1/PP6(各層の厚みの体積%=30/10/20/10/30)とし、延伸倍率を約26倍(MD/TD=約6.0倍/約4.3倍)とし、延伸温度を110℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを約45μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例4の共押出延伸多層フィルム(各層の厚みの体積%=30/10/20/10/30、ORS120℃=2.5)、筒状フィルム成形体および筒状包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。各種性能評価の評価結果を、表2に示す。
[実施例5]
パリソンの層構成をPP1/ad1/Ny3/ad1/PP7(各層の厚みの体積%=40/7/6/7/40)とし、延伸倍率を約23倍(MD/TD=約3.8倍/約6.0倍)とし、延伸温度を100℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを約50μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例5の共押出延伸多層フィルム(各層の厚みの体積%=40/7/6/7/40、ORS120℃=3.4)、筒状フィルム成形体および筒状包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。各種性能評価の評価結果を、表2に示す。
[実施例6]
パリソンの層構成をPP7/ad1/Ny3/ad1/PP7(各層の厚みの体積%=30/10/20/10/30)とし、延伸倍率を約30倍(MD/TD=約5.0倍/約6.0倍)とし、延伸温度を120℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを約40μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例6の共押出延伸多層フィルム(各層の厚みの体積%=30/10/20/10/30、ORS120℃=2.2)、筒状フィルム成形体および筒状包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。各種性能評価の評価結果を、表2に示す。
[実施例7]
パリソンの層構成をPP2/ad1/Ny2/ad1/PP2(各層の厚みの体積%=30/10/20/10/30)とし、延伸倍率を約28倍(MD/TD=約6.0倍/約4.7倍)とし、延伸温度を110℃とし、熱処理温度を110℃とし、最終厚みを約45μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例7の共押出延伸多層フィルム(各層の厚みの体積%=30/10/20/10/30、ORS120℃=2.5)、筒状フィルム成形体および筒状包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。各種性能評価の評価結果を、表2に示す。
[実施例8]
図1に示すように、自動充填包装機(旭化成ケミカルズ(株)社製「ADP(登録商標)」)に、直方体状のスリットSが平面中央部に設けられたセラミックス製の熱風遮蔽板61(サイズ:長さ140mm、幅40mm、厚さ1mm、スリットサイズ:長さ120mm、幅1mm)を以下の条件で設置し、この熱風遮蔽板61のスリットSを介して熱風を吹きつけてヒートシールすること以外は、実施例4と同様に処理して、実施例8の筒状フィルム成形体および筒状包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。各種性能評価の評価結果を、表2に示す。
筒状態と熱風印加ノズルの距離 : 1.6mm
筒状体と遮蔽板の隙間 : 0.5mm
熱風遮蔽版の傾きθ : 10°
[比較例1]
パリソンの層構成をPP4/ad1/Ny1/ad1/PP4(各層の厚みの体積%=26/2/44/2/26)とし、延伸倍率を約30倍(MD/TD=約5.0倍/約6.0倍)とし、延伸温度を110℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを約40μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、比較例1の共押出延伸多層フィルム(各層の厚みの体積%=26/2/44/2/26、ORS120℃=2.5)、筒状フィルム成形体および筒状包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。各種性能評価の評価結果を、表3に示す。
[比較例2]
パリソンの層構成をPP1/ad1/Ny1/ad1/PP4(各層の厚みの体積%=45/3/4/3/45)とし、延伸倍率を約39倍(MD/TD=約6.0倍/約6.5倍)とし、延伸温度を120℃とし、熱処理温度を130℃とし、最終厚みを約40μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、比較例2の共押出延伸多層フィルム(各層の厚みの体積%=45/3/4/3/45、ORS120℃=0.7)、筒状フィルム成形体および筒状包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。各種性能評価の評価結果を、表3に示す。
[比較例3]
パリソンの層構成をPP3/ad1/Ny1/ad1/PP8(各層の厚みの体積%=20/5/50/5/20)とし、延伸倍率を約23倍(MD/TD=約6.0倍/約3.9倍)とし、延伸温度を120℃とし、熱処理温度を110℃とし、最終厚みを約55μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、比較例3の共押出延伸多層フィルム(各層の厚みの体積%=20/5/50/5/20、ORS120℃=1.4)、筒状フィルム成形体および筒状包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。各種性能評価の評価結果を、表3に示す。
[比較例4]
パリソンの層構成をPP3/ad1/Ny1/ad1/PP2(各層の厚みの体積%=15/25/20/25/15)とし、延伸倍率を約49倍(MD/TD=約7.0倍/約7.0倍)とし、延伸温度を110℃とし、熱処理温度を115℃とし、最終厚みを約25μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、比較例4の共押出延伸多層フィルム(各層の厚みの体積%=15/25/20/25/15、ORS120℃=3.0)、筒状フィルム成形体および筒状包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。各種性能評価の評価結果を、表3に示す。
[比較例5]
パリソンの層構成をPP4/ad1/Ny1/ad1/PP7(各層の厚みの体積%=45/3/4/3/45)とし、延伸倍率を約39倍(MD/TD=約6.0倍/約6.5倍)とし、延伸温度を130℃とし、熱処理温度を130℃とし、最終厚みを約40μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、比較例5の共押出延伸多層フィルム(各層の厚みの体積%=45/3/4/3/45、ORS120℃=0.4)、筒状フィルム成形体および筒状包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。各種性能評価の評価結果を、表3に示す。
[比較例6]
パリソンの層構成をPP1/ad1/Ny1/ad1/PP1(各層の厚みの体積%=30/10/20/10/30)とし、延伸倍率を約28倍(MD/TD=約6.0倍/約4.7倍)とし、延伸温度を100℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを約45μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、比較例6の共押出延伸多層フィルム(各層の厚みの体積%=30/10/20/10/30、ORS120℃=3.8)、筒状フィルム成形体および筒状包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。各種性能評価の評価結果を、表3に示す。
Figure 0005130158
Figure 0005130158
本発明の共押出延伸多層フィルム、筒状フィルム成形体および筒状包装体は、数ヶ月程度の長期保存後におけるフィルム弛みに起因するしわの発生を抑制でき、また、ヒートシール時のシール特性に優れ、長期保存性およびシール部の信頼性を高めることができ、その上さらに、見栄えが良く商品価値を向上させることができるので、食品その他の各種包装用途において、広く且つ有効に利用可能であり、レトルト処理等の高温加圧殺菌処理が必要とされる用途において、殊に有効に利用可能である。
熱風遮蔽板61を用いたヒートシールを模式的に示す横断面図である。 自動充填包装機100の要部構造を模式的に示す縦断面図である。 熱風遮蔽板61を概略的に示す斜視図である。
符号の説明
1…共押出延伸多層フィルム、1a,1b…両端縁、2…筒状体、2a…重ね合わせ部、3…筒状フィルム成形体、4…筒状包装体、11…フィルム供給手段、11a,11b…ローラ、12a,12b…送りローラ、21…充填手段、22…充填ノズル、23…フィードポンプ、31…製筒手段、32…製筒フォルダ、41…熱風シール手段、42…熱風印加ノズル、42a…ノズル開口、51…封止手段、52a,52b…絞りローラ、53…封止機構、61…熱風遮蔽板、61L…長さ、61W…幅、61T…厚さ、S…スリット、L…長さ、W…幅、θ…傾き、100…自動充填包装機。

Claims (8)

  1. 230℃におけるメルトフローレートが0.5〜8.0g/10分のプロピレン系重合体を含む表層(A)と、
    プロピレン系酸変性物を含む接着層(B)と、
    芳香族ポリアミド系共重合体を含むガスバリア層(C)と、
    プロピレン系酸変性物を含む接着層(D)と、
    230℃におけるメルトフローレートが0.5〜8.0g/10分のプロピレン系重合体を含む表層(E)と、
    がこの順に積層され、
    120℃における熱収縮応力が1.0〜3.5MPaである、
    共押出延伸多層フィルム。
  2. 前記表層(E)のプロピレン系重合体は、前記表層(A)のプロピレン系重合体よりも、230℃におけるメルトフローレートの値が小さい、
    請求項1に記載の共押出延伸多層フィルム。
  3. 前記表層(E)のプロピレン系重合体の230℃におけるメルトフローレートの値が、前記表層(A)のプロピレン系重合体の230℃におけるメルトフローレートの値の0.95倍未満である、
    請求項2に記載の共押出延伸多層フィルム。
  4. 総厚みが30〜50μmであり、
    該総厚みに対する各層の厚みの割合が、前記表層(A):20〜40体積%、前記接着層(B):5〜20体積%、前記ガスバリア層(C):5〜40体積%、前記接着層(D):5〜20体積%、前記表層(E):20〜40体積%である、
    請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の共押出延伸多層フィルム。
  5. 230℃におけるメルトフローレートが0.5〜8.0g/10分のプロピレン系重合体を含む表層(A)と、プロピレン系酸変性物を含む接着層(B)と、芳香族ポリアミド系共重合体を含むガスバリア層(C)と、プロピレン系酸変性物を含む接着層(D)と、230℃におけるメルトフローレートが0.5〜8.0g/10分のプロピレン系重合体を含む表層(E)と、がこの順に積層された積層体を、100〜130℃で面積延伸倍率20〜50倍に延伸して得られる、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の共押出延伸多層フィルム。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の共押出延伸多層フィルムを前記表層(A)が外周面を構成するように筒状に湾曲させ、前記表層(A)上に前記表層(E)を重ね合わせ、その重ね合わせた部分に表層(A)側から熱を印加して得られる、
    筒状フィルム成形体。
  7. スリットを有する熱風遮蔽板の該スリットを介して、前記重ね合わせ部に熱風を吹き付けることにより、前記重ね合わせ部を熱融着して得られる、
    請求項6に記載の筒状フィルム成形体。
  8. 請求項6または請求項7に記載の筒状フィルム成形体の両端開口を封止して得られる、
    筒状包装体。
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