JP2018183952A - ガスバリア性多層フィルム、筒状フィルム成形体、及び筒状包装体 - Google Patents

ガスバリア性多層フィルム、筒状フィルム成形体、及び筒状包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、レトルト処理時に、芳香族系ポリアミド共重合体を含む層と該層に隣接する層との剥離が発生しにくく、長期保存性および見栄えが良く美観に優れ、商品価値を向上させ得る、筒状フィルム成形体およびロケット包装型充填体を提供することにある。【解決手段】本発明のガスバリア性多層フィルムは、第一の表面層、第二の表面層、及びガスバリア層を含む多層フィルムであって、120℃における熱収縮率が15%以上30%以下であり、前記ガスバリア層が芳香族系ポリアミド共重合体を主成分とし、前記ガスバリア層のDSC測定による融解熱量(ΔH)が2J/g以上35J/g以下であり、前記多層フィルムに含まれる各層の融解ピーク温度が125℃以上である、ことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア性の多層フィルム、これを用いた筒状フィルム成形体及び筒状包装体に関する。特にガスバリア層に芳香族系ポリアミド共重合体を使用し、ある一定以上の収縮率を有する、芳香族系ポリアミド共重合体を含む層と隣接する層がレトルト処理によっても剥離しにくい、ガスバリア性多層フィルムに関する。
従来、魚肉、畜肉ハム・ソーセージ、チーズ、羊羹、ういろう等の加工品の包装方法として、これら被包装物を、樹脂フィルムを封筒貼りにシールした筒状フィルム成形体に充填し、その上端及び下端を結紮(封止)する方法が広く利用されている。これらの包装形態は一般的にロケット包装と呼ばれている。この種の包装に使用するフィルムとして、水蒸気、酸素等の気体の遮断性や熱シール性に優れた特性を持つ樹脂の多層フィルムが開発されている。
例えば、特許文献1には、一対の熱可塑性樹脂からなる外層の間に中間層を挟持した少なくとも三層からなる多層フィルムを二軸延伸してなる二軸延伸多層フィルムであって、中間層が芳香族系ジアミン重合体と芳香族系ジアミン重合体と同重量以下の芳香族系ジアミン共重合体との混合物を含むガスバリア性樹脂からなる二軸延伸多層フィルムが開示されている。
さらに、特許文献2には、230℃におけるメルトフローレートが0.5g/10分以上8.0g/10分以下のプロピレン系重合体を含む表層と、プロピレン系重合体を含む接着層と、芳香族ポリアミド系共重合体を含むガスバリア層と、プロピレン系重合体を含む接着層と、230℃におけるメルトフローレートが0.5g/10分以上かつ8.0g/10分以下のプロピレン系重合体を含む表層と、がこの順に積層され、120℃における熱収縮応力が1.0MPa以上かつ3.5MPa以下である、共押出延伸多層フィルムが開示されている。
また、内容物が充填されたロケット包装体では、フィルムの一方の縁部が包装体の外側にはみ出すようにシールされており、はみ出した当該縁部(以下「フィルムフラップ部」という)に特許文献3の様な傷痕加工が施され、消費者がフィルムフラップ部を摘み、フィルムを裂くことで、包装体を円滑に開封することを目的としている。
特許第4397461号公報 特許第5130158号公報 特開昭61−142159号公報
しかしながら、上記特許文献1、2に記載のガスバリア性多層フィルムはポリアミド層と隣接する層が、120℃以上等におけるレトルト処理で熱水によるアタックを受け、ポリアミド層と該層に隣接する層とが剥離しやすい問題があった。この剥離の問題はロケット包装体(筒状包装体)のフィルムフラップ部で発生する事が多い。フィルムフラップ部で剥離が発生した場合は見栄えが悪く、商品価値が損なわれると共に、包装体開封のためにフィルムフラップ部を掴む事が困難で、著しく開封性が低下する問題があった。また、生産性の観点から、筒状フィルム成形体を形成する際のシール条件として、幅広い条件でシールできることが求められてきている。
本発明者らは、レトルト処理時に芳香族系ポリアミド共重合体を含む層と隣接する層とが剥離する問題を解決すべく、フィルムの分子配向状態を低減して、フィルムの熱収縮率を下げる手法について検討をした。この手法により芳香族系ポリアミド共重合体を含む層と隣接する層とは、分子配向が低減された状態で接着しているために接着状態が安定し、120℃以上におけるレトルトにおいても剥離しにくくなることを見出した。しかしながら、120℃における熱収縮率が15%未満になるとレトルト剥離は低減するものの、レトルト時にフィルムの収縮が不十分で、内容物が筒状包装体に密着しにくくなり、筒状包装体と内容物の間に水分が溜まり易くなり、内容物がやせて皺が入り易くなるので、保存期間が短くなる問題があった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ガスバリア層と該層に隣接する層との剥離が発生しにくく、長期保存性および見栄えが良く美観に優れ、商品価値を向上させ得る筒状フィルム成形体および筒状包装体を得ることができ、幅広い条件でシールが可能なガスバリア性多層フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
[1]
第一の表面層、第二の表面層、及びガスバリア層を含む多層フィルムであって、
120℃における熱収縮率が15%以上30%以下であり、
前記ガスバリア層が芳香族系ポリアミド共重合体を主成分とし、
前記ガスバリア層のDSC測定による融解熱量(ΔH)が2J/g以上35J/g以下であり、
前記多層フィルムに含まれる各層の融解ピーク温度が125℃以上である、
ことを特徴とするガスバリア性多層フィルム。
[2]
酸素透過率(OTR)が50〜150ml/m2・day・MPaである、[1]に記載のガスバリア性多層フィルム。
[3]
[1]または[2]に記載のガスバリア性多層フィルムが筒状に湾曲され、前記第一の表面層と前記第二の表面層とが重ね合わせられた部分が融着されることによりフィルムフラップ部が形成されることを特徴とする筒状フィルム成形体。
[4]
[3]に記載の筒状フィルム成形体に内容物が充填され、両端開口部が封止された、ことを特徴とする筒状包装体。
[5]
レトルト処理された[4]に記載の筒状包装体。
本発明によれば、ガスバリア層と該層に隣接する層との剥離が発生しにくく、長期保存性および見栄えが良く美観に優れ、商品価値を向上させ得る筒状フィルム成形体および筒状包装体を得ることができ、幅広い条件でシールが可能なガスバリア性多層フィルムを提供することができる。
本発明の一実施形態のガスバリア性多層フィルムを模式的に示す図である。 本発明の一実施形態の筒状フィルム成形体を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態の筒状包装体を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態の筒状包装体の製造に用いることができる自動充填包装機を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[ガスバリア性多層フィルム]
本実施形態のガスバリア性多層フィルムは、第一の表面層、第二の表面層、及びガスバリア層を含む多層フィルムであって、120℃における熱収縮率が15%以上30%以下であり、上記ガスバリア層が芳香族系ポリアミド共重合体を主成分とし、上記ガスバリア層のDSC測定による融解熱量(ΔH)が2J/g以上35J/g以下であり、上記多層フィルムに含まれる各層の融解ピーク温度が125℃以上である。
なお、本明細書において、第一の表面層を「表層(A)」、第二の表面層を「表層(E)」と称する場合がある。また、ガスバリア性多層フィルムを「多層フィルム」を称する場合がある。
図1は、本実施形態のガスバリア性多層フィルムの一例を示す断面図である。
本実施形態のガスバリア性多層フィルム1は、ガスバリア層(C)4と表層(A)2と表層(E)6とを含む。ガスバリア層(C)4は、表層(A)2と表層(E)6との間にあることが好ましい。本実施形態のガスバリア性多層フィルムは、ガスバリア層(C)4、表層(A)2、表層(E)6以外に、接着層、強度付与層等が含まれていてもよい。
ガスバリア層(C)、表層(A)、表層(E)の各層は、1層設けられていてもよいし、複数層設けられていてもよい。複数層設けられている場合、各層の組成、物性等は同じであってもよいし異なっていてもよい。
中でも、本実施形態のガスバリア性多層フィルム1は、表層(A)2、接着層(B)3、ガスバリア層(C)4、接着層(D)5及び表層(E)6の少なくとも5層を含むことが好ましく、例えば、表層(A)2/接着層(B)3/ガスバリア層(C)4/接着層(D)5/表層(E)6の順で積層された構造を含んでいてもよく、本実施形態のガスバリア性特性フィルム1は、表層(A)2/接着層(B)3/ガスバリア層(C)4/接着層(D)5/表層(E)6の積層フィルムであってもよい。
(表層(A))
表層(A)は、本実施形態の多層フィルムの片表面を含む層であり、本実施形態の筒状包装体においては外気と接する層としてよく、ヒートシールする際(例えば、筒状フィルム成形体の製造時に他方の表層(E)と重ね合わせてヒートシールする際)のシール層として機能するとともに、水分やガスの透過を阻害して、多層フィルムのガスバリア層(C)の性能低下及びこれによって引き起こされる内容物(被包装物)の酸化劣化を抑制する機能を有する。また、表層(A)は、筒状包装体がレトルト処理される際にフィルムフラップ部が筒状包装体表面に融着すること(特にフィルムフラップ部の表層(E)が筒状包装体表面の表層(A)に融着すること)がないように、融点(融解ピーク温度)が125℃以上の耐熱性を有することが好ましい。表層(A)の融点は、耐熱性と高速シールの観点から、130℃以上であることがより好ましく、更に好ましくは130℃以上150℃以下である。
なお、本明細書において、融点(融解ピーク温度、結晶融解ピーク温度)は、JIS K7121に準拠して測定することができ、より具体的には、後述する実施例で説明する方法により測定することができる。
表層(A)は、シール性の観点から、オレフィン系重合体を含むことが好ましく、オレフィン系重合体のみからなることがより好ましい。上記オレフィン系重合体としては、限定はされないが、エチレン系重合体、プロピレン系重合体等が挙げられる。表層(A)に含まれるオレフィン系重合体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記表層(A)には、オレフィン系重合体以外にも、ブロッキング防止目的で無機滑剤等が含まれていてもよい。
上記エチレン系重合体としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。エチレン−α−オレフィン共重合体としては、エチレンと、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の炭素数が4〜18のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種類の単量体と、の共重合体等が挙げられる。中でも、エチレン系重合体としては、融点の高い(例えば、融点が125℃以上、好ましくは130℃以上)高密度ポリエチレン(HDPE)が好ましい。
上記プロピレン系重合体としては、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンとの共重合体、プロピレンと炭素数4〜18(好ましくは炭素数4〜8)のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとエチレンと炭素数4〜18(好ましくは炭素数4〜8)のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられ、ランダム共重合体またはブロック共重合体のいずれであってもよい。上記炭素数4〜8のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。
これらプロピレン系重合体を構成する単量体成分のうちプロピレン以外のものは、単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。これらのプロピレン系重合体は、単独で使用しても、2種類以上を併用しても良い。
(表層(E))
表層(E)は、本実施形態の多層フィルムにおいて表層(A)と逆側の片表面を含む層であって、ヒートシールする際のシール層として機能するとともに、水分やガスの透過を阻害して、多層フィルムのガスバリア層(C)の性能低下及びこれによって引き起こされる内容物(被包装物)の酸化劣化を抑制する機能を有する。また、表層(E)は、筒状包装体がレトルト処理される際にフィルムフラップ部が筒状包装体表面に融着すること(特にフィルムフラップ部の表層(E)が筒状包装体表面の表層(A)に融着すること)がないように、融点が125℃以上の耐熱性も有することが好ましい。
表層(E)の融点は、130℃以上であることがより好ましく、更に好ましくは130℃以上150℃以下である。
表層(E)は、シール性の観点から、オレフィン系重合体を含むことが好ましく、オレフィン系重合体のみからなることがより好ましい。表層(E)の上記オレフィン系重合体の具体例及び好適例としては、表層(A)と同様のものが挙げられる。
なお、これらのオレフィン系重合体は、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、表層(E)のオレフィン系重合体は、表層(A)のオレフィン系重合体と同一であっても異なっていても構わないが、ヒートシール強度を確保する観点から、同一であることが好ましい。
(ガスバリア層(C))
本実施形態の多層フィルムのガスバリア層(C)は、芳香族系ポリアミド共重合体を主成分とし、芳香族系ポリアミド共重合体を主成分とする結晶性ポリアミドであることが好ましい。ガスバリア層(C)には、添加剤等の他の成分が含まれていてもよい。
なお、「主成分とする」とは、ガスバリア層(C)100質量%に対して50質量%以上であることをいい、好ましくは70質量%以上である。
上記芳香族系ポリアミド共重合体とは、芳香族系ジアミンと、芳香族または脂肪族ジカルボン酸との共重合体をさす。その具体例としては、例えば、メタキシレンジアミンとアジピン酸とを重縮合して得られるポリメタキシレンアジパミド(ナイロンMXD6)、メタキシレンジアミンとアジピン酸とイソフタル酸との重縮合物等が挙げられる。
芳香族系ポリアミド共重合体は、ナイロン6、ナイロン6/66等の脂肪族系ポリアミド共重合体に比べて、ガスバリア性に優れ、吸水度合いが低く、吸水時のガスバリア性の低下が少なく、その上更に、耐ピンホール性等の強度や延伸性、成形加工性等も良好であるので、本実施形態のガスバリア層(C)を構成する素材として好適である。
ガスバリア層(C)は、レトルト処理に耐えうる耐熱性の観点から、融点(結晶融解ピーク温度)が125℃以上であることが好ましい。また、ガスバリア層(C)の融解熱量(ΔH)が2J/g以上35J/g以下である。融点と融解熱量は、JIS K7121に準拠して測定することができ、より具体的には、後述する実施例で説明する方法により測定することができる。
ガスバリア層(C)の融点は、125℃以上であることがより好ましく、更に好ましくは130℃以上280℃以下である。
ガスバリア層(C)の融解熱量は、2J/g以上25J/g以下であることが好ましい。
融解熱量が2J/g以上であれば、酸素バリア性能が好ましく、内容物を十分保護する事ができる。また、融解熱量が35J/g以下であれば、ガスバリア性多層フィルムの製膜時の加工性が好ましく、多層フィルムで食品を包装してレトルト処理した場合に、ガスバリア層(C)と、該層に隣接する層との層間剥離が発生しにくい。更に融解熱量が25J/g以下であれば、レトルト処理した場合にガスバリア層(C)と隣接する層の層間剥離が更に発生しにくいので好ましい。ガスバリア層(C)の融解熱量が小さい程、レトルト時に隣接する層との間で剥離が発生しにくい理由は定かではないが、延伸時にガスバリア層(C)と隣接する層間での歪みが小さくなる事が一因と推定される。ガスバリア層(C)の融解熱量を小さくする方法としては、特に限定はされず、ガスバリア層(C)に含まれる芳香族ポリアミド共重合体に、可塑剤や非晶質ポリアミドを添加する事等ができるが非晶質ポリアミドを添加する事が好ましい。非晶質ポリアミドは、主鎖及び/または側鎖のジカルボンサンに芳香族環を有し、結晶性がないポリアミドである。具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸と、ヘキサメチレンジアミン等のジアミンとの重縮合物、またはこれらの共重合体を挙げることができる。例えば、テレフタル酸10〜50重量%とイソフタル酸90〜50重量%とかからなるジカルボン酸と、ヘキサメチレンジアミンとを重縮合して得られるポリアミド(ナイロン6I/6T)が挙げられる。
(接着層(B))
本実施形態の多層フィルムは、表層(A)とガスバリア層(C)との間に接着層(B)を有していてもよく、表層(A)、接着層(B)、ガスバリア層(C)がこの順に積層された構造を含むことが好ましい。表層(A)、接着層(B)、ガスバリア層(C)の積層構造を有する場合、接着層(B)は、表層(A)とガスバリア層(C)とを接着する機能を有する。また、接着層(B)は、水分やガスの透過を一層抑制する機能を有する。
接着層(B)には、樹脂が含まれることが好ましく、樹脂のみからなることがより好ましい。
接着層(B)の樹脂としては、例えば、オレフィン系共重合体の酸変性物等が挙げられ、レトルト処理に耐えうる観点から、融点が125℃以上あるプロピレン系重合体の酸変性物が好ましい。接着層(B)におけるプロピレン系重合体の酸変性物の含有量は、接着層(B)100質量%に対して、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
ここで、プロピレン系重合体の酸変性物等のオレフィン系共重合体の酸変性物としては、プロピレン系重合体等のオレフィン系重合体を、マレイン酸やフマル酸等の不飽和カルボン酸または酸無水物により酸変性したものが挙げられる。このようなプロピレン系重合体の酸変性物等のオレフィン系共重合体の酸変性物は、その酸変性割合を調整することで、表層(A)やガスバリア層(C)との接着性、水分やガスの透過抑制の調整が容易となる。酸変性割合が高いプロピレン系酸変性物を用いることにより、表層(A)やガスバリア層(C)との接着強度が高められる傾向にある。
接着層(B)における上記プロピレン系重合体の酸変性物の具体例としては、例えば、上記プロピレン系重合体に、マレイン酸やフマル酸等の不飽和カルボン酸または酸無水物をグラフト共重合した変性重合体が挙げられるが、これらに特に限定されない。また、このプロピレン系重合体は、表層(A)に含まれるプロピレン系重合体と同一であっても異なっても構わないが、表層(A)と接着層(B)との接着性の観点から、同一であることが好ましい。プロピレン系重合体の酸変性物中の酸変性割合(例えば、不飽和カルボン酸及び酸無水物の含有量)は、特に限定されないが、0.25質量%以上であることが好ましく、0.50質量%以上であることがより好ましく、また、2質量%以下であることが好ましい。
なお、接着層(B)に含まれる樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
(接着層(D))
本実施形態の多層フィルムは、表層(E)とガスバリア層(C)との間に接着層(D)を有していてもよく、表層(E)、接着層(D)、ガスバリア層(C)がこの順に積層された構造を含むことが好ましい。表層(E)、接着層(D)、ガスバリア層(C)の積層構造を有する場合、接着層(D)は、ガスバリア層(C)と表層(E)とを接着する機能を有する。また、接着層(D)は、水分やガスの透過を一層抑制する機能を有する。このような機能を発現させるために、接着層(D)は、プロピレン系重合体の酸変性物を含むことが好ましい。
接着層(D)には、樹脂が含まれることが好ましく、樹脂のみからなることがより好ましい。
接着層(D)の樹脂としては、例えば、接着層(B)で挙げたオレフィン系共重合体の酸変性物等が挙げられ、中でも接借層(B)で挙げたプロピレン系重合体の酸変性物が好ましい。ここで、接着層(D)の樹脂は、接着層(B)の樹脂と同一であっても異なっていても構わないが、層間の剥離強度の観点から、同一であることが好ましい。
なお、接着層(D)に含まれる樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
−添加剤−
上述した表層(A)、表層(E)、ガスバリア層(C)、接着層(B)、接着層(D)等の各層は、多層フィルムの物性を損なわない範囲で、可塑剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、他の樹脂等の各種添加剤を含んでいても良い。
(多層フィルムの物性)
以下、本実施形態の多層フィルムの物性について記載する。
−厚み−
多層フィルムの厚みは、特に限定されるものではなく、任意に設定することができるが、レトルト用途への使用を考慮すると、多層フィルムの全体の厚み(総厚み)は30μm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは35μm以上45μm以下である。一般に、レトルト処理時の破袋の発生頻度と開封時の開封性とは、トレードオフの関係にあり、厚みを厚くすると、レトルト処理時の破袋の発生頻度が減少する傾向にあり、厚みを薄くすると、開封時に適度な力で開封し易くなる傾向にある。したがって、これら双方の特性をバランス良く維持するために、全体の厚みが30〜50μmであることが好ましい。
また、多層フィルムの層数は特に限定されるものではないが、ガスバリア層(C)を中心とした5層構成が好ましい。また、各層の厚みは、特に限定されるものではなく、任意に設定することができるが、シール強度や保存性の観点から、ガスバリア性多層フィルムの総厚みを100%として、例えば、表層(A):20〜40%、接着層(B):5〜20%、ガスバリア層(C):5〜40%、接着層(D):5〜20%、表層(E):20〜40%であることが好ましい。
−酸素透過率(OTR)−
本実施形態の多層フィルムは、酸素透過率(OTR)が50ml/m2・day・MPa以上150ml/m2・day・MPa以下である。酸素透過率が50ml/m2・day・MPa以上であれば、ガスバリア性多層フィルムの製膜時の加工性が好ましく、150ml/m2・day・MPa以下であれば、酸素バリア性能が好ましく、内容物を十分保護することが出来る。
なお、酸素透過率は、ASTM D−3985に準拠して測定することができる。
−熱収縮率−
本実施形態の多層フィルムは、120℃における熱収縮率が15%以上30%以下であり、15%以上25%以下であることが好ましい。
熱収縮率が15%以上であれば、ガスバリア性多層フィルムを用いて被包装物を包装した包装体を120℃で20分間のレトルト処理をした際に、ガスバリア性多層フィルムが被包装物にフィットし、長期保存時の被包装物に目減りが生じた際であっても、ガスバリア性多層フィルムの弛み由来のしわの発生を効果的に抑制することができる。熱収縮率が30%以下であれば、ガスバリア性多層フィルムをヒートシールする際に過度の収縮が抑制され、シール幅のバラつきによるシール不良が抑制される。
ガスバリア性多層フィルムの120℃における熱収縮率は、製造時における延伸倍率、延伸温度及び、延伸中や延伸後の熱処理温度等によって制御可能である。具体的には延伸倍率を高めたり、延伸温度や熱処理温度を低めると120℃における熱収縮率が大きくなり、延伸倍率を低めたり、延伸温度や熱処理温度を高めると120℃における熱収縮率が小さくなる傾向にある。
なお、熱収縮率は、フィルムの縦方向及び横方向についての熱収縮率を平均した値をいい、後述する実施例で説明する方法により評価することができる。
−融点−
本実施形態の多層フィルムは、レトルト処理の耐熱性の観点から、多層フィルムに含まれる全ての層の融点が125℃以上であることが好ましく、より好ましくは130℃以上280℃以下である。
本発明者らは、多層フィルムの120℃における熱収縮率、多層フィルムを構成する各層の融点(融解ピーク温度)を特定の範囲に制御し、カスバリア層に芳香族系ポリアミド共重合体を用い、ガスバリア層の融解熱量を特定の範囲とすることで、幅広いシール条件でシールをした時でも、ガスバリア層と該層に隣接する層との剥離が発生しにくくなり、長期保存性および見栄えが良い多層フィルムが得られることを見出した。
本実施形態の多層フィルムは、レトルト処理後の外観、レトルト処理後のフィルムフラップ部の剥離強度、内容物(充填物)の保存性等に優れるため、特に食品等の内容物を充填した筒状包装体(例えば、ロケット包装型充填体)の用途に適している。
(多層フィルムの製造方法)
本実施形態の多層フィルムは、例えば、共押出法で得た積層物を延伸することにより、作製することが好ましい。以下、代表例として、インフレーション法により表層(A)、接着層(B)、ガスバリア層(C)、接着層(D)、表層(E)がこの順で積層してなるガスバリア性多層フィルムを作製する方法につき詳述する。
まず、表層(A)、接着層(B)、ガスバリア層(C)、接着層(D)、表層(E)を構成する各成分をそれぞれの押出機で溶融し、多層サーキュラダイを用いて表層(A)/接着層(B)/ガスバリア層(C)/接着層(D)/表層(E)の層構成となるように共押出しして、水または温水をかけて固化させた後、多層環状押出物(パリソン)を得る。
次に、上記で得られたパリソンを加熱し、配向を付与するのに適当な温度条件下(例えば、20℃以上100℃以下等)で空気を圧入し、バブルを形成しながら延伸を行うことにより、多層フィルムを作製する。120℃における熱収縮率が15%以上30%以下のガスバリア性多層フィルムを得るためには、延伸温度を好ましくは110℃〜130℃、延伸倍率を面積倍率で好ましくは25倍〜45倍に設定することが好ましい。本実施形態の多層フィルムは延伸フィルム(特に二軸延伸フィルム)であることが好ましい。また、延伸中または延伸後に、熱風吹き付け式、熱ロール式、赤外ヒーター等による間接加熱式等のヒートセット処理を、単独でまたは併用して行ってもよい。
[筒状フィルム成形体]
図2は、本実施形態の筒状フィルム成形体の一例を示す断面図である。
本実施形態の筒状フィルム成形体7は、本実施形態の多層フィルム1を含み、フィルムフラップ部14を有する。本実施形態の筒状フィルム成形体7は、本実施形態のガスバリア性多層フィルムが筒状に湾曲され、上記第一の表面層2と上記第二の表面層6とが重ね合わせられた部分が融着されることによりフィルムフラップ部14が形成されている。
より具体的には、本実施形態の筒状フィルム成形体7は、本実施形態の多層フィルム1が筒状に湾曲してなり、当該ガスバリア性多層フィルム1の両端部11、12が互いに重なり合うと共に、一方の端部11における表層(A)と、該一方の端部と向かい合う他方の端部12における表層(E)とが接合し、フィルムフラップ部14を形成している。本実施形態の筒状フィルム成形体は、一方の端部11と他方の端部12とを重ね合わせた部分の少なくとも一部(シール部13)で接合することが好ましい。
また、本実施形態の筒状フィルム成形体7は、軸方向の両端部に開口を有しており、開口した該両端部に挟まれた筒内に内容物(被包装物)を包装し得る包装材として使用することができる。
(筒状フィルム成形体の製造方法)
本実施形態の筒状フィルム成形体7の製造方法は、特に限定されないが、例えば、本実施形態の多層フィルム1を筒状に湾曲させて、一方の端部11の表層(A)2と、該一方の端部と向かい合う他方の端部12の表層(E)6とを重ね合わせ、その重ね合わせた部分に熱を印加して熱溶着(ヒートシール)を行うことにより、シール部13で熱溶着させ、フィルムフラップ部14を有する筒状フィルム成形体7を得てもよい。
熱溶着の方法としては、例えば、熱板を接触させてシールする熱板シール方式、熱風を吹き付けてシールする熱風シール方式、超音波シール方式等の公知の手法を採用することができるが、生産性を高める観点から、熱風シール方式が好ましい。熱風シール方式における熱風の温度及び吹き付け圧力は、所望のヒートシールが実行されるべく、多層フィルム1の厚み、剛性、融点等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが生産性を高める観点から、熱風温度は280〜430℃程度であることが好ましく、吹き付け圧力は0.2〜0.6MPa程度であることが好ましい。
本実施形態の筒状フィルム成形体7のシール部13におけるシール強度は、ボイル、レトルト処理中のシール部の剥離を抑制して信頼性を高める観点から、6N/15mm幅以上である事が好ましい。なお、シール強度は後述する実施例で説明する方法で測定することができる。
[筒状包装体]
図3は、本発明の一実施形態の筒状フィルム成形体を用いて製造された本発明の一実施形態の筒状包装体を模式的に示す図である。
本実施形態の筒状包装体8(ロケット包装型充填体)は、上記筒状フィルム成形体7と、筒状フィルム成形体7の内部に充填された被包装物(内容物)とを備え、筒状フィルム成形体7の軸方向の両端開口部が封止されている。筒状フィルム成形体7の軸方向の両端開口部は、超音波、高周波又は熱等を印加して融着してもよく、封止部材を用いて封止してもよい。封止部材は、特に限定されず、合成樹脂製又は金属製の線材等、公知のものを使用することができる。ここで、筒状包装体8のシール部13から、包装体の外側にはみ出したフィルムの縁の部分がフィルムフラップ部14に該当している。
本実施形態の筒状フィルム成形体7、及びこれに内容物(被包装体)を封入した筒状包装体8は、例えば、公知の自動充填包装機(例えば、旭化成株式会社製「ADP(登録商標)」)を用いることにより、容易に得ることができる。以下、好適に使用可能な自動充填包装機100について図面を用いて詳述する。
図4は、本発明の一実施形態の筒状包装体の製造に用いることができる自動充填包装機を模式的に示す図である。
自動充填包装機100は、フィルム供給手段111、充填手段121、製筒手段131、熱風シール手段141及び封止手段151を備える。本実施形態においては、フィルム供給手段111、製筒手段131及び熱風シール手段141により、帯状のガスバリア性多層フィルム1から筒状体が形成され、筒状フィルム成形体7が成形される。
フィルム供給手段111は、送りローラ111a、111b、送りローラ112a、112b及び駆動機構(図示せず)を有し、図示しない駆動機構及び送りローラ112a、112bの駆動に応じて、原反ロールから帯状のガスバリア性多層フィルム1を連続的に供給する。ガスバリア性多層フィルム1の供給速度は、通常、10〜60m/min程度であり、使用するガスバリア性多層フィルム1の種類、厚さ、剛性、融点や、充填される被包装物の素材や粘度などに応じて適宜設定される。
充填手段121は、中空円筒状の充填ノズル122を有し、その上端に、被包装物を充填ノズル122内に供給するフィードポンプ123が接続されている。充填手段121は、フィードポンプ123の駆動に応じて、被包装物を充填ノズル122内へ供給する。
製筒手段131は、所定形状の金属片を略螺線状に巻いて形成された製筒フォルダ132を有する。製筒フォルダ132は、その内周径が充填ノズル122の外周径よりも大きく形成され、充填ノズル122と略同心円上に配置されている。そのため、充填ノズル122の外周壁と製筒フォルダ132の内周壁とは、所定距離、離間して配置された状態となっている。そして、原反ロールから供給される帯状のガスバリア性多層フィルム1は、製筒フォルダ132の上面開口から下面開口へと導かれ、製筒フォルダ132内を通過する際に、その螺線構造に追従して筒状に湾曲され、その両端部11、12が重ね合わされた筒状体となって、製筒フォルダ132の下面開口から図4の下方へと移送される。
熱風シール手段141は、熱風印加ノズル142と、図示しない加圧調整機構及び温度調整機構とを有し、製筒フォルダ132の下方において、充填ノズル122の外周壁から所定距離、離間した位置に配置されている。熱風印加ノズル142のノズル開口142aから、製筒フォルダ132を通過した筒状体の重ね合わせ部(ガスバリア性多層フィルム1の両端部11、12が重ね合わされた、シール部13を含む部分)に熱風が吹き付けられ、重ね合わせ部の一部が融着することにより熱風シールが実施される。なお、熱風の吹き付け圧力は、上述した図示しない加圧調整機構に設置された圧力センサにて計測され、その加圧調整機構により増減調整される。また、熱風の温度は、上述した図示しない温度調整機構に設置された温度センサにて計測され、その温度調整機構により増減調整される。
熱風印加ノズル142は、シール性を向上させる観点から、筒状体の重ね合わせ部に対して(重ね合わせ部の断面における接線の接点に対して)、垂直方向から熱風を吹き付ける位置、換言すれば、筒状体の断面における重ね合わせ部の接線に対して略垂直方向から熱風を吹き付け可能な位置に配置されていることが好ましい。
重ね合わせ部が熱風シールされることにより、略円筒状の筒状フィルム成形体7が成形される。この筒状フィルム成形体7内には、上述した充填ノズル122から被包装物が充填され、かくして被包装物が充填された筒状フィルム成形体7は、送りローラ112a、112bに挟持されて図4の下方へと移送される。
封止手段151は、絞りローラ152a、152b及び封止機構153を有する。封止手段151は、被包装物が充填された筒状フィルム成形体7を絞りローラ152a、152bにて所定の間隔で外部から押圧し、その押圧部分の被包装物を押しのけた後、封止機構153にてその押圧された領域の多層フィルム1を集束して封止する。すなわち、封止手段151は、筒状フィルム成形体7の上底と下底に相当する両端開口部を封止する。封止機構153における封止処理は、ガスバリア性多層フィルム1の集束部に超音波、高周波又は熱を印加して融着させる手法、ガスバリア性多層フィルム1の集束部に合成樹脂製又は金属製の線材等をかしめて結紮する手法、及びこれらを併用する手法など、公知の手法が採用される。
上記の封止処理により、筒状フィルム成形体7の両端部が封止され、これにより、筒状包装体8が製造される。なお、両端部が封止された筒状包装体8を、封止処理と同時にまたは後続する切断工程において、個々の筒状包装体8へと分割してもよい。また、筒状フィルム成形体7の両端部を封止した後に加熱減菌処理(ボイル、レトルト処理)(例えば、温度110〜130℃、圧力0.2〜0.4MPa、時間20〜40分のレトルト処理等)して、筒状包装体8を得てもよい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
各種性能の測定方法及び評価方法を以下に記す。
<(1)融解ピーク温度及び融解熱量>
Perkin Elmer社製 Pyris Diamond DSCを用いて、融解ピーク温度及び融解熱量の測定を行った。
ガスバリア性多層フィルムを構成する各層の融解ピーク温度を求めるために、多層フィルムのままを測定試料とした。まず試料を0℃から200℃まで10℃/分で昇温し、200℃で1分間保持した。次に、試料を10℃/分で0℃まで降温し、0℃で1分間保持した。更に、試料を再度10℃/分で昇温した時の、結晶融解カーブのそれぞれの層のピーク値に対応する温度を各層の融解ピーク温度(℃)とした。
次に、ガスバリア層(C)の熱融解量を求めるために、多層フィルムから外層を剥いだ、ガスバリア層のみの単層フィルムを測定試料とした。まず、試料を10℃から200℃まで10℃/分で昇温し、200℃で1分間保持した。次に、試料を10℃/分で0℃まで降温し、0℃で1分間保持した。さらに、試料を再度10℃/分で昇温した時の、結晶融解カーブのピーク値に対応する温度を、結晶融解カーブの積分値を融解熱量(ΔH)(J/g)とした。
<(2)酸素透過率>
MOCON社製OX−TRAN 2/21を用いて、測定法はASTM D−3985に準拠して、酸素透過率(ml/m2・day・MPa)を測定した。ガスバリア性多層フィルムを装置にセットして6時間後の値を採用した。測定は23℃、65%RHの条件下で行った。酸素透過度が小さいほど酸素バリア性が高い。
<(3)120℃における熱収縮率>
多層フィルムを150mm×150mmに切断し、温度23℃、相対湿度50%の条件下で24時間調湿した後、多層フィルムの表面に各辺が縦方向(MD方向)と横方向(TD方向)に平行になるように1辺の長さが100mmの正方形の枠線をつけた。その試験片を、120℃の加圧熱水中で20分間熱処理した後、試験片の表面に付着した水分を濾紙で除去し、温度23℃、相対湿度50%の条件下で24時間放置した試験片の縦方向と横方向の寸法L(mm)をそれぞれ測定した。縦方向の熱収縮率は縦方向L1(mm)を用いて次式から算出した。
縦方向の熱収縮率(%)=100×(100−L1)/100
横方向の寸法L2を用いて、縦方向の熱収縮率と同様にして横方向の熱収縮率(%)を算出し、縦方向の熱収縮率と横方向の熱収縮率との平均値を、120℃における熱収縮率(%)とした。
<(4)高速シール性>
以下に、自動充填包装機の各種設定条件を示す。
フィルム速度:41m/分
ショット数:180本/分
ノズル開口142a:長さ55mm、幅0.3mm
熱風温度:280℃〜430℃(ノズル内部)
熱風圧力:0.43MPa(ノズル内部)
充填を行う際に、安定したシールを行うことができるシール温度(熱風温度)のレンジから、高速シール性を以下の基準に従って評価した。
〇(良好):シール温度レンジが15℃以上
△(普通):シール温度レンジが5℃以上15℃未満
×(劣る):シール温度レンジが5℃未満
ここで、安定したシールとは、以下のシール強度の基準とシール性の基準とを共に満たすシールのことを言う。
(シール強度)
筒状フィルム成形体20本から、幅15mm、長さ60mmの短冊状の試験片を作製する。そして、テンシロン万能試験機(商品名:RTC−1210、オリエンテック社製)を用い、得られた試験片の長手方向の両端部をフィルムチャック部に固定し、チャック間距離10mm、180°剥離、引張速度500mm/minの条件下で、シール強度を測定する。シール強度は、試験片20本の平均とし、平均が6N/15mm幅以上であれば、当該成形体にシール強度の基準を満たすシールがなされたものとする。
(シール性)
筒状フィルム成形体20本のシール部を目視し、シール部に飛び(シール部が熱溶着していない所)やシール部にピンホール(溶融過多によるシール部の穴あき)が1ヶ所も存在しなければ、当該成形体にシール性の基準を満たすシールがなされたものとする。
<(5)フィルムフラップ部でのガスバリア層と隣接する接着層との剥離>
20本の筒状包装体(魚肉ソーセージ)について、加熱缶内ゲージ圧が0.25MPaの条件下で、125℃、20分のレトルト処理を行い、レトルト処理後の筒状包装体のフィルムフラップ部でガスバリア層と隣接する接着層とが剥離している筒状包装体の本数を数えて、以下の基準で評価した。
〇(優れる):フィルムフラップ部で層間剥離が発生している本数が0本
△(良好):フィルムフラップ部で層間剥離が発生している本数が1本または2本
×(劣る):フィルムフラップ部で層間剥離が発生している本数が3本以上
<(6)長期保存性>
レトルト処理後(125℃、0.25MPa、20分)の20本(層間剥離又は破袋が発生しなかったものからサンプリング)の筒状包装体を3か月間、温度25℃、湿度50%、の遮光条件下で保存し、筒状包装体のしわの発生の有無を目視により、以下の基準に従って評価した。
○(良好):しわの発生なし
×(不良):しわが発生
実施例及び比較例で使用した樹脂及び商品名等を表1に記す。
Figure 2018183952
[実施例1]
表1、2に示す樹脂組成で延伸フィルムを製膜した。ガスバリア層はNy2(S7008 三菱ガス化学社製 MXD6ナイロン:メタキシレンジアミン/アジピン酸重縮合物)とNy3(Novamid X21−F07 DSMジャパン社製 非晶ナイロン:ポリアミド6I/6T)を90/10の質量割合でドライブレンドした樹脂から製造した。また、表層(A)、表層(E)は、アンチブロッキング剤としてのアルミノケイ酸塩(シルトンJC50:水澤化学工業社製)を表層100質量%に対して1.5質量%の割合となるように添加したPP1から製造した。また、接着層(B)(E)は、表1の組成とした。
環状5層ダイを用いて溶融共押出した後、15℃の冷水で固化させて、総厚み1100μmのチューブ状の無延伸原反を作製した。次いで、この無延伸原反を延伸温度110℃で、インフレーション法により縦方向(MD方向)に5.0倍、横方向(TD方向)に6.0倍とした30倍の延伸倍率で二軸延伸した後、90℃の加熱ロールにより熱処理することにより、最終厚み40μmの多層フィルムを得た。そして、得られた多層フィルムを巻き取った後、巻ほどきながら幅100mmに裁断した。さらに、多層フィルムを再度巻き取ることで、実施例1の多層フィルムを作製した。
得られた多層フィルムから、ガスバリア層を取り出してDSC測定を実施したところ、融解熱量(ΔH)は32J/gであった。また本多層フィルムの酸素透過率は110ml/m2・day・MPa(23℃65%RH)であり、長期保存のために十分なバリア性能を示した。
次に、熱風シール方式の自動充填包装機(旭化成株式会社製「ADP(登録商標)」)を用いて、実施例1の多層フィルムを、表層(A)が外周面を構成するように製筒フォルダを介して筒状に湾曲させ、一方の端部の表層(A)上に該一方の端部と向かい合う他方の端部の表層(E)を重ね合わせた。次に、その重ね合わせた部分に表層(A)側から熱風を吹きつけて、封筒貼りにヒートシールすることにより、折幅40mmの筒状フィルム成形体を作製した。引き続き、筒状フィルム成形体に充填ノズルから魚肉ソーセージ原料すり身を充填し、その後両端をアルミワイヤーにて結紮密封することにより、長さ200mmの筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。また、自動充填包装機の各種設定は上に記載した通りである。
[実施例2]
表1、2に示す樹脂組成と延伸温度を115℃にした以外は、実施例1と同様に処理して、実施例2の多層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
[実施例3]
表1、2に示す樹脂組成と延伸温度を117℃にした以外は、実施例1と同様に処理して、実施例3の多層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
[実施例4]
表1、2に示す樹脂組成にした以外は、実施例1と同様に処理して、実施例4の多層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
[比較例1]
表1、2に示す樹脂組成と延伸温度を115℃にした以外は実施例1と同様に処理して、比較例1の多層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
[比較例2]
表1、2に示す樹脂組成と延伸温度を115℃にした以外は実施例1と同様に処理して、比較例2の多層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
[比較例3]
表1、2に示す樹脂組成と延伸温度を132℃にした以外は実施例1と同様に処理して、比較例3の多層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
[比較例4]
表1、2に示す樹脂組成と延伸温度を105℃にした以外は実施例1と同様に処理して、比較例4の多層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
[比較例5]
表1、2に示す樹脂組成と延伸温度を117℃にした以外は実施例1と同様に処理して、比較例5の多層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表1に示す。
Figure 2018183952
表2から分かるように、本実施形態の多層フィルムは、高速のシール溶着にも対応でき、レトルト処理時にも包装体のフィルムフラップ部の層間剥離が抑制でき、内容物の保存性にも優れていた。
本実施形態の多層フィルム、並びに、これを用いた筒状フィルム成形体及び筒状包装体は、ヒートシール時の高速のシール溶着にも対応でき、レトルト処理時にも包装体のフィルムフラップ部が層間剥離することがないため開封性が高く、ならびに、長期保存性および見栄えが良く美観に優れ、商品価値を向上させることができるので、レトルト処理等の高温加圧殺菌処理が必要とされる用途において、殊に有効に利用可能である。
1 ガスバリア性多層フィルム(多層フィルム)
11 ガスバリア性多層フィルムの一方の端部
12 ガスバリア性多層フィルムの他方の端部
13 シール部
14 フィルムフラップ部
2 表層(A)(第一の表面層)
3 接着層(B)
4 ガスバリア層(C)
5 接着層(D)
6 表層(E)(第二の表面層)
7 筒状フィルム成形体
8 筒状包装体
100 自動充填包装機
111 フィルム供給手段
111a 送りローラ
111b 送りローラ
112a 送りローラ
112b 送りローラ
121 充填手段
122 充填ノズル
123 フィードポンプ
131 製筒手段
132 製筒フォルダ
141 熱風シール手段
142 熱風印加ノズル
142a ノズル開口
151 封止手段
152a 絞りローラ
152b 絞りローラ
153 封止機構

Claims (5)

  1. 第一の表面層、第二の表面層、及びガスバリア層を含む多層フィルムであって、
    120℃における熱収縮率が15%以上30%以下であり、
    前記ガスバリア層が芳香族系ポリアミド共重合体を主成分とし、
    前記ガスバリア層のDSC測定による融解熱量(ΔH)が2J/g以上35J/g以下であり、
    前記多層フィルムに含まれる各層の融解ピーク温度が125℃以上である、
    ことを特徴とするガスバリア性多層フィルム。
  2. 酸素透過率(OTR)が50〜150ml/m2・day・MPaである、請求項1に記載のガスバリア性多層フィルム。
  3. 請求項1または2に記載のガスバリア性多層フィルムが筒状に湾曲され、前記第一の表面層と前記第二の表面層とが重ね合わせられた部分が融着されることによりフィルムフラップ部が形成されることを特徴とする筒状フィルム成形体。
  4. 請求項3に記載の筒状フィルム成形体に内容物が充填され、両端開口部が封止された、ことを特徴とする筒状包装体。
  5. レトルト処理された請求項4に記載の筒状包装体。
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