JP4595295B2 - 工程フィルム用コーティング剤、及び工程フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マーキングシートなどのシート状製品をキャスティング法などで製造する際に使用される工程フィルム、およびその製造に用いられる工程フィルム用コーティング剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、マーキングシートなどのシート状製品の製造は、キャスティング法などで行われており、その製造工程では、表面に剥離性を有する工程フィルムが使用されている。従来、この工程フィルムに剥離性を付与する剥離剤としては、ポリプロピレン系、アミノアルキッド系、シリコーン系の樹脂組成物が知られている。
しかし、ポリプロピレン系のものは高温での使用が難しく、アミノアルキッド系のものは剥離性が低いという問題がある。
高温での使用も可能で、また高い剥離性を示すのはシリコーン系のものであり、シリコーン系のものとしては、アルキド樹脂又はアクリル樹脂に水酸基を有するシリコーン樹脂を付加するかたちで変性し、架橋剤を用いて熱硬化させるもの(例えば、特許文献1参照)、アルキド樹脂やアミノ樹脂と、これらの樹脂と反応可能な官能基を有するシリコーン樹脂とを熱硬化させるもの(例えば、特許文献2参照)、紫外線硬化性官能基を有するシリコーン樹脂と紫外線硬化性バインダー樹脂とを紫外線または電子線硬化させるもの(例えば、特許文献3参照)などが知られている。
【0003】
【特許文献1】
特公昭61−13507号公報
【0004】
【特許文献2】
特開2000−95929号公報
【0005】
【特許文献3】
特開平5−169595号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、充分な剥離性を得るためには、かなりのシリコーン含有率が必要であり、また、シリコーン樹脂は他の樹脂や有機化合物との相溶性が低いため、シリコーン樹脂に反応性官能基が付いていても、塗膜中に多量に含まれるシリコーン樹脂を全て固定することは不可能である。そのため、固定されないシリコーン成分が、剥離した被着体に移行し、被着体表面を汚染するという問題があった。また、繰り返し使用すると徐々に剥離性が低下するという問題があった。更に、シリコーン樹脂は基材との密着性も低いため、繰り返しの使用により、最終的には剥離性が喪失するという問題もあった。
【0007】
また、シリコーン樹脂は、概して高価であるため、充分な剥離性を発現させるために多量のシリコーン成分を含有するコーティング剤は高価となり、その結果、使い捨ての工程フィルムを使用する製品のコストを上げてしまうという問題もあった。
そこで、本発明の目的は、優れた剥離性を有し、剥離後、被着体に剥離成分が移行することがないため、被着面を汚染することや、繰り返し使用による剥離性の低下がなく、かつ安価な工程フィルム、及びその製造に用いられる工程フィルム用コーティング剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の工程フィルムは、ポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体と架橋性官能基とを有する単量体とを共重合することにより、ポリシロキサン鎖から離れた位置に架橋点を持たせ、同時にシリコーン樹脂の反応性と他の樹脂との相溶性を上げた重合体および架橋剤を含むコーティング剤を基材上に塗工し、架橋剤で架橋硬化させてシリコーン樹脂を完全に固定することにより、剥離後の被着体へのシリコーン成分の移行を防ぎ、被着面の汚染や、繰り返し使用による剥離性の低下を無くしたものである。
更に、本発明の工程フィルムは、表面エネルギーの低いケイ素原子を含む重合体が気相面に局在化することを利用して、上述のシリコーン樹脂と架橋性官能基を有する重合体とを含むコーティング剤を用い、上述のシリコーン樹脂と架橋性官能基を有する重合体とを架橋剤で架橋させることにより、少ないケイ素含有量で工程フィルム表面に高い剥離機能を付与したものである。
【0009】
すなわち、本発明の塩化ビニルマーキングシート形成用工程フィルム用コーティング剤は、エチレン性不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)0.5〜85重量%、エチレン性不飽和二重結合と架橋性官能基を有する(a)以外の単量体(b)15〜50重量%、およびエチレン性不飽和二重結合を有する(a)と(b)以外の単量体(c)0〜84.5重量%からなる重合体(A)と、エチレン性不飽和二重結合と架橋性官能基を有する(a)以外の単量体(b)15〜50重量%、およびエチレン性不飽和二重結合を有する(a)と(b)以外の単量体(c)50〜85重量%からなる重合体(B)と、重合体(A)及び重合体(B)の架橋性官能基と反応可能な反応性官能基を有する架橋剤(C)とを含む塩化ビニルマーキングシート形成用工程フィルム用コーティング剤である。
【0010】
上記塩化ビニルマーキングシート形成用工程フィルム用コーティング剤において、単量体(b)の架橋性官能基はヒドロキシル基であることが好ましい。
また、上記塩化ビニルマーキングシート形成用工程フィルム用コーティング剤において、単量体(c)の一部はエチレン性不飽和二重結合と酸性官能基を有する単量体であることが好ましく、酸性官能基はカルボキシル基であることが好ましい。
また、上記塩化ビニルマーキングシート形成用工程フィルム用コーティング剤において、重合体(A)を構成する単量体(a)の量は、重合体(A)と重合体(B)の合計重量を基準として、0.05〜15重量%であることが好ましい。
さらに、上記塩化ビニルマーキングシート形成用工程フィルム用コーティング剤において、架橋剤 (C)は、多価イソシアネートであることが好ましい。
また、本発明の工程フィルムは、基材上に、上記塩化ビニルマーキングシート形成用工程フィルム用コーティング剤を用いて形成される剥離層を積層してなる塩化ビニルマーキングシート形成用工程フィルムである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の工程フィルム用コーティング剤は、重合体(A)、重合体(B)および架橋剤(C)を含む。
まず、コーティング剤に含まれる重合体(A)および重合体(B)について説明する。
重合体(A)を構成するエチレン性不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)は、剥離性を得るために不可欠のものであり、下記一般式アで表される化合物を用いることができる。
R1:CH2=CHCOO−(CH2)m−、CH2=C(CH3)COO−(CH2)m−、
CH2=CH−(CH2)m−、またはCH2=C(CH3)−(CH2)m−
(mは0〜10の整数)
R2: 水素、メチル基、またはR1と同じ官能基
R3、R4、R5、R6、R7、R8:アルキル基、フェニル基、水酸基、またはカルボキシル基
n:正の整数、好ましくは10〜300の整数
【0012】
単量体(a)として具体的には、東芝シリコーン(株)製のTSL9705などの片末端ビニル基含有ポリオルガノシロキサン化合物、チッソ(株)製のサイラプレーンFM−0711、FM−0721、FM−0725などの片末端(メタ)アクリロキシ基含有ポリオルガノシロキサン化合物等が挙げられ、要求性能に応じてこれらの内から1種類、あるいは2種類以上を混合して使用できる。
単量体(a)は、重合体(A)を構成する単量体の全量を基準として0.5〜85重量%の共重合比率で用いられるが、十分な剥離性を得るためには5重量%以上の共重合比率にすることが望ましく、さらに基材への密着性、強靭性等の塗膜性能、溶剤への溶解性を十分得るため、また、剥離後、被着体に剥離成分が移行するのを防ぐためには60重量%以下の共重合比率にすることが望ましい。
【0013】
重合体(A)および重合体(B)を構成するエチレン性不飽和二重結合と架橋性官能基を有する(a)以外の単量体(b)は、工程フィルム用コーティング剤を基材に塗工後、重合体(A)及び重合体(B)を架橋、硬化させ、基材と密着した剥離層を形成するために用いられる。
架橋性官能基としては、ヒドロキシル基、イソシアノ基、エポキシ基などが挙げられるが、コーティング剤の硬化性、剥離層の基材への密着性、重合体(A)および重合体(B)の生産のしやすさなどの点から、ヒドロキシル基が最も好適である。
【0014】
ヒドロキシル基を有する単量体(b)の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシスチレン等が挙げられる。
【0015】
また、イソシアノ基を有する単量体(b)の例としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネートなどの他、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ(メタ)アクリレートを、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのポリイシアネートと反応させて得られるものが挙げられる。
また、エポキシ基を有する単量体(b)の例としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルシンナメート、グリシジルアリルエーテル、グリシジルビニルエーテル、ビニルシクロヘキサンモノエポキサイド、1、3−ブタジエンモノエポキサイドなどが挙げられる。
【0016】
単量体(b)は、要求性能に応じてこれらの内から1種、または2種以上を混合して用いることができ、また、重合体(A)中で用いるものと、重合体(B)中で用いるものとは、必ずしも、同一である必要はない。
単量体(b)は、重合体(A)中では重合体(A)を構成する単量体の全量を基準として15〜50重量%、好ましくは30〜40重量%の共重合比率で用いられ、重合体(B)中では重合体(B)を構成する単量体の全量を基準として15〜50重量%、好ましくは30〜40重量%の共重合比率で用いられる。共重合比率が15重量%より小さい場合は、充分な基材との密着性が得られない場合が有る。また、低温、短時間の硬化で、充分な剥離性を発現させることができない場合や、剥離成分を充分に固定することができず、繰り返し使用により工程フィルムの剥離性が低下する場合がある。50重量%より大きい場合は、重合体の安定生産が困難となる場合がある。
【0017】
重合体(A)および重合体(B)を構成するエチレン性不飽和二重結合を有する(a)と(b)以外の単量体(c)の一部は、エチレン性不飽和二重結合と酸性官能基を有する単量体であることが望ましい。エチレン性不飽和二重結合と酸性官能基を有する単量体は、重合体(A)および重合体(B)中で、重合体(A)および重合体(B)と架橋剤(C)との架橋反応を促進する内部触媒として作用し、低温、短時間で、架橋密度が高く、強靭で、高耐久性を有する剥離層を形成することが可能となる。また、短時間で剥離性を発現させることができる。
酸性官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられるが、硬化速度と可使時間のバランス、重合体の生産性、溶剤への溶解性、コストの点から、カルボキシル基が最も好適である。
【0018】
カルボキシル基を有する単量体(c)の例としては、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
また、スルホン酸基を有する単量体(c)の例としては、スチレンスルホン酸などが挙げられる。
また、リン酸基を有する単量体(c)の例としては、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートなどが挙げられる。
【0019】
エチレン性不飽和二重結合と酸性官能基を有する単量体は、要求性能に応じてこれらの内から1種、または2種以上を混合して用いることができ、また、重合体(A)中で用いるものと、重合体(B)中で用いるものとは、必ずしも、同一である必要はない。
エチレン性不飽和二重結合と酸性官能基を有する単量体は、重合体(A)中では重合体(A)を構成する単量体の全量を基準として好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.5〜3重量%の共重合比率で用いられる。また、重合体(B)中では重合体(B)を構成する単量体の全量を基準として好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.5〜3重量%の共重合比率で用いられる。共重合比率が0.1重量%より小さい場合は、硬化に時間がかかり、5重量%より大きい場合は、コーティング剤の可使時間が短くなり、工業的に使用することが困難となる場合がある。
【0020】
エチレン性不飽和二重結合と酸性官能基を有する単量体以外の単量体(c)は、硬度、強靭性、耐擦傷性、柔軟性、光沢等の様々な塗膜物性を剥離層に付与するために用いられる。
単量体(c)としては、(i)(メタ)アクリル酸誘導体、(ii)芳香族ビニル単量体、(iii)オレフィン系炭化水素単量体、(iv)ビニルエステル単量体、(v)ビニルハライド単量体、(vi)ビニルエーテル単量体等を用いることができる。
(i)(メタ)アクリル酸誘導体の例としては、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸塩、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0021】
(ii)芳香族ビニル単量体の例としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン等が挙げられる。
(iii)オレフィン系炭化水素単量体の例としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、イソプレン、1、4−ペンタジエン等が挙げられる。
(iv)ビニルエステル単量体の例としては、酢酸ビニル等が挙げられる。
(v)ビニルハライド単量体の例としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、モノフルオロエチレン、ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン等が挙げられる。
(vi)ビニルエーテル単量体の例としては、ビニルメチルエーテル等が挙げられる。
これらは、2種以上用いても良い。
【0022】
単量体(c)は、要求性能に応じてこれらの内から1種、または2種以上を混合して用いることができ、また、重合体(A)中で用いるものと、重合体(B)中で用いるものとは、必ずしも、同一である必要はない。
単量体(c)は、重合体(A)中では重合体(A)を構成する単量体の全量を基準として0〜84.5重量%、好ましくは0.1〜65重量%の共重合比率で用いられ、重合体(B)中では重合体(B)を構成する単量体の全量を基準として50〜85重量%、好ましくは60〜70重量%の共重合比率で用いられる。共重合比率が上限を超えた場合は、充分な剥離性、基材との密着性、硬化性が得られない。
【0023】
重合体(A)および重合体(B)は、公知の方法、例えば、溶液重合で得られる。溶媒としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ダイアセトンアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などの使用が可能である。溶媒は2種以上の混合物でもよい。合成時の単量体の仕込み濃度は、0〜80重量%が好ましい。
【0024】
重合開始剤としては、通常の過酸化物またはアゾ化合物、例えば、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルオクトエート、クメンヒドロキシペルオキシド、アゾイソブチルバレノニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどが用いられ、重合温度は、50〜140℃、好ましくは70〜140℃である。
得られる重合体(A)の重量平均分子量は、好まくは10,000〜50,000、より好ましくは20,000〜40,000である。重量平均分子量が10,000より小さい場合、塗工性や耐久性が低下することがある。また、50,000より大きい場合、充分な可使時間が得られないことがある。
また、得られる重合体(B)の重量平均分子量は、好まくは20,000〜150,000、より好ましくは30,000〜100,000である。重量平均分子量が20,000より小さい場合、塗工性や耐久性が低下することがある。また、150,000より大きい場合、充分な可使時間が得られないことがある。
【0025】
次に、工程フィルム用コーティング剤に含まれる架橋剤(C)について説明する。
架橋剤(C)は、重合体(A)および重合体(B)中の架橋性官能基と反応して、コーティング剤を架橋硬化させ、基材と密着した剥離層を得るために用いられる。
代表的な架橋剤(C)としては、メラミン、ベンゾグアナミン、アミノ樹脂、ヒドラジン系化合物、直鎖状または環状ポリアミン、多価イソシアネート、ジカルボン酸およびその酸無水物、ジアルデヒド、アミノ酸およびそのラクタム、ヒドロキシカルボン酸およびそのラクトン、多価アルコール、多価フェノール、ビスエポキシ化合物、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0026】
アミノ樹脂として具体的には、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられ、ヒドラジン系化合物として具体的には、ヒドラジン、アジピン酸ジヒドラジド等が挙げられる。
直鎖状ポリアミンとして具体的には、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ペンタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ジアミノオクタン、ジアミノデカン、ジアミノドデカン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等が挙げられる。
【0027】
環状ポリアミンとして具体的には、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、m−キシレンジアミン、ポリシクロヘキシルポリアミン、ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、メチレンビス(フランメタンアミン)等が挙げられる。
【0028】
多価イソシアネートとして具体的には、トルイレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネートなどのジイソシアネート、あるいはこれらとグリコール類またはジアミン類との両末端イソシアネートアダクト体、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等が挙げられる。
【0029】
ジカルボン酸として具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ヘキサン二酸、クエン酸、マレイン酸、メチルナディク酸、ドデセニルコハク酸、セバシン酸、ピロメリット酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸等が挙げられる。
ジアルデヒドとして具体的には、グリオキザル、テレフタルアルデヒド等が挙げられる。
アミノ酸として具体的には、グリシン、アラニン等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸として具体的には、クエン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、6−ヒドロキシペンタン酸等が挙げられる。
【0030】
多価アルコールとして具体的には、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、などのジオール、1,1,1−トリメチロールプロパンエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、エリスリトール、アラビニトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール、マンニトール等、及びこれらのアルコキシ変性物が挙げられる、
多価フェノールとして具体的には、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、グアヤコール、ヘキシルレゾルシン、ピロガロール、トリヒドロキシベンゼン、フロログルシン、ジメチロールフェノール等、及びこれらのアルコキシ変性物が挙げられる。
【0031】
ビスエポキシ化合物として具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1、6ーヘキサンジオールジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
【0032】
エポキシ樹脂として具体的には、油化シェルエポキシ社製、商品名エピコート801、802,807,815,827,828,834,815X,815XA1、828EL,828XA、1001、1002、1003、1055、1004、1004AF、1007、1009、1010、1003F、1004F,1005F,1100L,834X90,1001B80,1001X70,1001X75,1001T75,5045B80,5046B80,5048B70,5049B70、5050T60、5050、5051、152、154、180S65、180H65、1031S、1032H60、604、157S70等が挙げられる。
【0033】
これらの架橋剤の中で ヒドロキシル基を有する単量体(b)を用いた場合は、アミノ樹脂、多価イソシアネート、エポキシ樹脂などの使用が好ましく、特に、硬化速度、硬化温度、基材との密着性などの点で多価イソシアネートが好適である。
また、イソシアノ基を有する単量体(b)を用いた場合は、ヒドラジン系化合物、ポリアミン、ジカルボン酸、多価アルコール、多価フェノール、ビスエポキシ化合物、エポキシ樹脂などの使用が好ましい。
【0034】
また、エポキシ基を有する単量体(b)を用いた場合は、ジカルボン酸およびその無水物、多価アルコール、多価フェノール、アミノ樹脂、多価イソシアネート、アミノ酸およびそのラクタム、ヒドロキシカルボン酸およびそのラクトン、ポリアミンなどの使用が好ましい。
これらの架橋剤(C)は、要求性能に応じて、重合体(A)および重合体(B)中の架橋性官能基の総数に対して、重合体(A)および重合体(B)の架橋性官能基と反応可能な架橋剤(C)中の反応性官能基の総数が、好ましくは0.5倍〜5.0倍、更に好ましくは1.0倍〜3.0倍となるような比率で、1種、または2種以上を混合して用いることができる。
【0035】
また、本発明においては、コーティング剤中の架橋性官能基同士の架橋反応、もしくは架橋性官能基と架橋剤との架橋反応を促進させるために、それぞれの官能基に応じて、種々の架橋触媒を用いることができる。
代表的な架橋触媒としては、酸及びそれらのアンモニウム塩、低級アミン塩、アミン類、有機金属化合物等が挙げられる。
【0036】
酸として具体的には、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、無水フタル酸、シュウ酸、マレイン酸、安息香酸、イタコン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリクロロ酢酸、リン酸、モノアルキルリン酸、ジアルキルリン酸、モノアルキル亜リン酸、ジアルキル亜リン酸等が挙げられる。
アミン類としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン等が挙げられる。
有機金属化合物としては、オクチル酸錫、オクチル酸鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレートジブチル錫ジ(2−エチルヘキソエート)、ジエチル亜鉛等が挙げられる。
【0037】
これらの架橋触媒の中で、ヒドロキシル基を有する単量体(b)を用いた場合は、酸及びそれらのアンモニウム塩、低級アミン塩、アミン類、有機金属化合物などの使用が好ましい。
また、イソシアノ基を有する単量体(b)を用いた場合は、酸及びそれらのアンモニウム塩、低級アミン塩、アミン類、有機金属化合物などの使用が好ましい。
また、エポキシ基を有する単量体(b)を用いた場合は、アミン類、有機金属化合物などの使用が好ましい。
これらの架橋触媒は2種類以上使用してもよく、その総使用量は樹脂組成物100重量%に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。
【0038】
コーティング剤には、必要に応じ本発明による効果を妨げない範囲で、シランカップリング剤、充填剤、チクソトロピー付与剤、着色顔料、体質顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、熱伝導性改良剤、可塑剤、ダレ防止剤、防汚剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、レベリング剤、硬化剤等の各種の添加剤を添加してもよい。
【0039】
コーティング剤は、重合体(A)、重合体(B)、架橋剤(C)、必要に応じて架橋触媒、及び添加剤を溶媒に混合溶解して得られる。
溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ダイアセトンアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などの内からコーティング剤の組成に応じ適当なものを使用する。溶媒は2種以上用いてもよい。
【0040】
混合方法に特に限定はないが、通常は、重合時に使用した重合体溶液をそのまま混合し、攪拌羽根、振とう攪拌機、回転攪拌機などで攪拌すればよい。塗工性などの向上のために、さらに溶媒を追加したり、濃縮してもよい。
また、重合体(A)と重合体(B)の混合比率は、重合体(A)を構成する単量体(a)の量が、重合体(A)と重合体(B)の合計重量を基準として、0.05〜15重量%となるようにすることが好ましく、0.1〜5重量%となるようにすることがより好ましい。単量体(a)の量が0.05重量%より小さい場合は、充分な剥離性が得られず、15重量%より大きい場合は、充分な塗膜硬度が得られず、また、コストが高くなる。
【0041】
こうして得られたコーティング剤を、基材となるプラスティックフィルムや紙の片面、もしくは両面に塗工し、加熱架橋させて、基材上に剥離層を積層することにより、本発明の工程フィルムを得ることができる。
基材は、特に限定されることはなく、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのプラスチックフィルム等のプラスチック基材や、ダンボール原紙、黄板紙、白板紙等の板紙、種々の原紙、用紙、アート紙、印刷用紙、グラシン紙、クラフト紙、合成紙、合成繊維紙、コーティング紙等の紙基材などを使用することができる。
【0042】
コーティング剤の塗工方法には、特に限定はなく、ナイフコート、グラビアコート、ディップコート、スプレーコート、リップコート、刷毛塗りなど、各種の方法を用いることができる。
塗工されたコーティング剤は、風乾または30〜300℃で数秒〜数週間加熱し、重合体と架橋剤間の架橋反応を促進することにより、基材と密着し、繰り返し使用しても剥離性が低下することのない、強靱な剥離層を有する工程フィルムを得ることができる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明する。
(合成例A1)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物(チッソ(株)製「サイラプレーンFM−0721」)45g、4−ヒドロキシブチルアクリレート35g、ノルマルブチルメタクリレート20g、メチルエチルケトン(MEK)200gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル2.0gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.5gを加えて2時間重合を行い重量平均分子量約28,000の重合体(A1)溶液を得た。
【0044】
(合成例A2)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物(チッソ(株)製「サイラプレーンFM−0721」)50g、4−ヒドロキシブチルアクリレート31g、アクリル酸2g、ノルマルブチルメタクリレート17g、メチルエチルケトン(MEK)200gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル2.0gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.5gを加えて2時間重合を行い重量平均分子量約23,000の重合体(A2)溶液を得た。
【0045】
(合成例A3)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物(チッソ(株)製「サイラプレーンFM−0711」)65g、4−ヒドロキシブチルアクリレート20g、アクリル酸2g、ノルマルブチルメタクリレート13g、メチルエチルケトン(MEK)200gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル2.0gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.5gを加えて2時間重合を行い重量平均分子量約29,000の重合体(A3)溶液を得た。
【0046】
(合成例A4)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物(チッソ(株)製「サイラプレーンFM−0721」)35g、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート15g、ノルマルブチルメタクリレート50g、メチルエチルケトン(MEK)200gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル2.0gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.5gを加えて2時間重合を行い重量平均分子量約21,000の重合体(A4)溶液を得た。
【0047】
(合成例A5)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物(チッソ(株)製「サイラプレーンFM−0725」)5g、グリシジルメタクリレート20g、ノルマルブチルメタクリレート75g、メチルエチルケトン(MEK)200gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル2.0gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.5gを加えて2時間重合を行い重量平均分子量約21,000の重合体(A5)溶液を得た。
【0048】
(合成例A6)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物(チッソ(株)製「サイラプレーンFM−0721」)90g、4−ヒドロキシブチルアクリレート10g、メチルエチルケトン(MEK)200gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル2.0gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.5gを加えて2時間重合を行い重量平均分子量約28,000の重合体(A6)溶液を得た。
【0049】
(合成例A7)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物(チッソ(株)製「サイラプレーンFM−0721」)0.1g、4−ヒドロキシブチルアクリレート35g 、アクリル酸2g、ノルマルブチルメタクリレート62.9g、メチルエチルケトン(MEK)200gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル2.0gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.5gを加えて2時間重合を行い重量平均分子量約23,000の重合体(A7)溶液を得た。
【0050】
(合成例A8)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物(チッソ(株)製「サイラプレーンFM−0721」)35g、4−ヒドロキシブチルアクリレート60g、アクリル酸1g、ノルマルブチルメタクリレート4g、メチルエチルケトン(MEK)200gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル2.0gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.5gを加えて2時間重合を行い重量平均分子量約26,000の重合体(A8)溶液を得た。
【0051】
(合成例A9)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物(チッソ(株)製「サイラプレーンFM−0721」)55g、4−ヒドロキシブチルアクリレート10g、アクリル酸3g、ノルマルブチルメタクリレート32g、メチルエチルケトン(MEK)200gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル2.0gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.5gを加えて2時間重合を行い重量平均分子量約26,000の重合体(A9)溶液を得た。
【0052】
(合成例B1)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート35g、メチルメタクリレート25g、ノルマルブチルメタクリレート40g、メチルエチルケトン(MEK)100gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル0.4gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.1部を加えて2時間重合を行い重量平均分子量約52,000の重合体(B1)溶液を得た。
【0053】
(合成例B2)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート30g、アクリル酸2g、メチルメタクリレート28g、ノルマルブチルメタクリレート40g、メチルエチルケトン(MEK)100gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル0.4gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.1部を加えて2時間重合を行い重量平均分子量約56,000の重合体(B2)溶液を得た。
【0054】
(合成例B3)
メタクリロイルオキシエチルイソシアネート20g、メチルメタクリレート40g、ノルマルブチルメタクリレート40g、メチルエチルケトン(MEK)100gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル0.4gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.1部を加えて2時間重合を行い重量平均分子量約53,000の重合体(B3)溶液を得た。
【0055】
(合成例B4)
グリシジルメタクリレート15g、メチルメタクリレート40g、ノルマルブチルメタクリレート45g、メチルエチルケトン(MEK)100gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル0.4gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.1部を加えて2時間重合を行い重量平均分子量約51,000の重合体(B4)溶液を得た。
【0056】
(合成例B5)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート10g、アクリル酸2g、メチルメタクリレート48g、ノルマルブチルメタクリレート40g、メチルエチルケトン(MEK)100gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル0.4gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.1部を加えて2時間重合を行い重量平均分子量約60,000、の重合体(B5)溶液を得た。
【0057】
(合成例B6)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート60g、メチルメタクリレート10g、ノルマルブチルメタクリレート30g、メチルエチルケトン(MEK)100gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル0.4gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.1部を加えて2時間重合を行い重量平均分子量約75,000の重合体(B6)溶液を得た。
【0058】
(実施例1〜6、比較例1〜6)
こうして得られた重合体(A)溶液、重合体(B)溶液、架橋剤(C)および架橋触媒を、固形分換算で表1に示す重量となるよう混合し、更に、メチルエチルケトンを加えて固形分濃度35重量%の工程フィルム用コーティング剤を得た。各実施例および比較例で用いた重合体(A)、重合体(B)、架橋剤(C)および架橋触媒は、それぞれ表1に示す。
これらのコーティング剤を、膜厚0.1mmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、バーコーター(R.D.specialties,U.S.A.製、R.D.S.ラボラトリー・コーティング・ロッド No.5)を用いて塗工し、100℃の電気オーブン中で3分間加熱硬化させた後、40℃の恒温室で3日間養生させ、工程フィルムを得た。
【0059】
【0060】
このように作製された工程フィルムについて、各種の試験を行った。試験方法は以下の通りである。また、各試験結果を表2に示す。
剥離性:工程フィルム上に、マーキングフィルム(東洋インキ製造(株)製「ダイナカル」)用の塩化ビニルゾルを、ドライでの厚さが50μmとなるように塗布し、200℃2分間加熱して成膜した後、室温に冷却した。この成膜した塩化ビニル塗膜を工程フィルムから剥離した時の、剥がれ易さを官能評価した。
移行性:剥離後の被着体にシリコーン成分が移行しているか否かを確認するために、剥離性試験で剥離した塩化ビニル塗膜の工程フィルム接触面側に、油性マジック(寺西化学工業(株)製「Magic ink NO.700 黒」)で長さ20mmの直線を5本ひき、塗膜表面へのマジックインキの付着度合いから、シリコーン成分の移行度合いを目視にて評価した。尚、シリコーン成分が移行している場合には、はじきが出てマジックインキが付着しない。
繰り返し耐性:剥離試験を5回繰り返し、何回目で容易に剥離できなくなるかを確認した。
【0061】
(比較例7)
ヤシ油変性アルキッド樹脂(日立化成ポリマー(株)製「テスラック2052−60」)60部、水酸基含有メチルフェニルシリコーン(信越化学(株)製「KNS902」)5部、メチル化メラミン樹脂(三井サイテック(株)製「サイメル350」、メチロール基量:1.1個/トリアジン核)35部、50重量%パラトルエンスルホン酸メタノール溶液5部を添加して、これをトルエンで固形分が40重量%になるように希釈し、工程フィルム用コーティング剤を得た。この溶液を膜厚0.1mmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、バーコーター(R.D.specialties,U.S.A.製、R.D.S.ラボラトリー・コーティング・ロッド No.5)を用いて塗工し、130℃の電気オーブン中で1分間加熱硬化させて工程フィルムを作製した。得られた工程フィルムについて、実施例1と同様の試験を行った。試験結果を表2に示す。
【0062】
【0063】
【発明の効果】
本発明により、剥離後の被着体へのシリコーン成分の移行を防ぎ、被着面の汚染や、繰り返し使用による剥離性の低下を無い工程フィルムを得ることができた。また、表面エネルギーの低いケイ素原子を含む重合体が気相面に局在化することを利用して、少ないケイ素含有量で工程フィルム表面に高い剥離機能を付与することができた。
Claims (7)
- エチレン性不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)0.5〜85重量%、エチレン性不飽和二重結合と架橋性官能基を有する(a)以外の単量体(b)15〜50重量%、およびエチレン性不飽和二重結合を有する(a)と(b)以外の単量体(c)0〜84.5重量%からなる重合体(A)と、エチレン性不飽和二重結合と架橋性官能基を有する(a)以外の単量体(b)15〜50重量%、およびエ チレン性不飽和二重結合を有する(a)と(b)以外の単量体(c)50〜85重量%からなる重合体(B)と、重合体(A)及び重合体(B)の架橋性官能基 と反応可能な反応性官能基を有する架橋剤(C)とを含む塩化ビニルマーキングシート形成用工程フィルム用コーティング剤。
- 単量体(b)の架橋性官能基がヒドロキシル基であることを特徴とする請求項1記載の塩化ビニルマーキングシート形成用工程フィルム用コーティング剤。
- 単量体(c)の一部がエチレン性不飽和二重結合と酸性官能基を有する単量体であることを特徴とする請求項1または2記載の塩化ビニルマーキングシート形成用工程フィルム用コーティング剤。
- 酸性官能基がカルボキシル基であることを特徴とする請求項3記載の塩化ビニルマーキングシート形成用工程フィルム用コーティング剤。
- 重合体(A)を構成する単量体(a)の量が、重合体(A)と重合体(B)の合計重量を基準として、0.05〜15重量%であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の塩化ビニルマーキングシート形成用工程フィルム用コーティング剤。
- 架橋剤(C)が、多価イソシアネートであることを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の塩化ビニルマーキングシート形成用工程フィルム用コーティング剤。
- 基材上に、請求項1ないし6いずれか記載の塩化ビニルマーキングシート形成用工程フィルム用コーティング剤を用いて形成される剥離層を積層してなる塩化ビニルマーキングシート形成用工程フィルム。
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