JP4591356B2 - 粒子線照射装置及び粒子線治療装置 - Google Patents
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Description
また、治療中に厚さを変更する必要のあるレンジシフターを患者の近傍に配置したため、レンジシフターを高速に駆動するときは特に、移動音等により患者に威圧感を与えるという問題があった。
また、被照射体におけるビーム径は、レンジシフターと被照射体内での散乱の寄与でほぼ決まるため、レンジシフターのビーム進行方向上流に配置した4極電磁石やビームコリメーターではビーム径を小さくすることはできず、従来の装置ではビーム径を大きくする方向に制御することのみが可能であった。
以下、この発明の実施の形態1の粒子線照射装置及びこの粒子線照射装置と粒子加速器及びビーム輸送系とで構成される粒子線治療装置を図1に基づいて説明する。
図1において、粒子加速器1で発生した荷電粒子線は、ビーム輸送系2により、粒子線照射装置3に導かれ、まず、アクリル板を通過させることで荷電粒子線のエネルギーを低下させる可変レンジシフター4を通過する。この可変レンジシフター4と被照射体5との間に、可変レンジシフター4での散乱による荷電粒子線のビーム径の増加を低減させる4極電磁石6を配置している。そして、可変レンジシフター4と4極電磁石6の間には、荷電粒子線の発散角の増加を制限する固定開口径の固定ビームスリット7を配置し、4極電磁石6と被照射体5との間には、ビーム軌道を変更させるスキャニング電磁石8、ビーム線量モニター9、及びビーム位置モニター10を配置している。
また、可変レンジシフター4のアクリル板の厚さ、並びに4極電磁石6及びスキャニング電磁石8の磁場強度は、照射制御装置11で制御する。
ビーム輸送系2により粒子加速器1から可変レンジシフター4に導かれた荷電粒子線は、可変レンジシフター4でアクリル板を通過して、エネルギーを低下させられる。可変レンジシフター4は、例えば、厚さの異なる複数枚のアクリル板で構成して、これらのアクリル板の組合せを変えたり、くさび形のアクリル板で構成して荷電粒子線が通過する位置を変更したりすることで、荷電粒子線が通過するアクリル板の厚さを変更できるようになっており、これにより粒子線のエネルギーをどの程度低下させるかを調整できる。
前述のように可変レンジシフター4を通過するときに荷電粒子線のビーム径が増加する。被照射体5を通過するときにも同様にビーム径の増加があるが、可変レンジシフター4と被照射体5が無い場合のビーム径をσ0、可変レンジシフター4によるビーム径の増加をσRS、被照射体によるビーム径の増加をστとすると、被照射体5におけるビーム径σは次の式で与えられる。
なお、4極電磁石6の励磁量は、粒子加速器から供給される荷電粒子線のエネルギーと可変レンジシフター4の厚さにより決まる値に照射制御装置11を用いて設定する。
本発明によれば、可変レンジシフター4と被照射体5の間に配置した4極電磁石6を用いて、可変レンジシフター4での散乱による荷電粒子線の発散を収束させることにより、図2のように、リッジフィルター12をスキャニング電磁石8のビーム進行方向上流に配置することができる。
リッジフィルター12をスキャニング電磁石8のビーム進行方向上流に配置することで、荷電粒子線がリッジフィルターの決まった領域を通過するようにできるので、リッジ構造によるブラッグピークの一様性低下を避けることができる。
可変レンジシフター4にアクリル板が挿入されていないときは、可変レンジシフター4での発散がなくなるが、このように可変レンジシフター4での発散角の変化が大きいとビーム径の制御が複雑になる。
この実施の形態2の粒子線照射装置及び粒子線治療装置は、図3に示すように、可変レンジシフター4のビーム進行方向上流に、例えばタングステンや鉛の薄膜からなる薄いビーム散乱体13を設けて、可変レンジシフター4にアクリル板が挿入されていない場合にも、4極電磁石6に入射する荷電粒子線の発散角が大きくなるようにして、可変レンジシフター4のアクリル板の厚さの変化による発散角の変化の割合が相対的に小さくなるようにしたものである。
ビーム散乱体13を設けたことにより、4極電磁石の励磁量が可変レンジシフター4の厚さに依存して大きく変化することが無くなり、照射制御を容易にすることができる。
実施の形態1では、荷電粒子線のエネルギーを低下させるために、ビーム進行方向上流の被照射体5から離れた位置に設けた可変レンジシフター4のみを用いる場合について述べたが、図4に示すように、被照射体5の近傍に固定レンジシフター14を設けて、被照射体5に入射する荷電粒子線のエネルギーを4極電磁石6のビーム進行方向下流においても低下させるようにすることもできる。
荷電粒子線のエネルギーを、被照射体5の表面近傍で停止するような値まで可変レンジシフター4で低下させた場合、可変レンジシフター4を通過した荷電粒子線の運動量幅が非常に大きくなるため、色収差の影響で4極電磁石6のビーム収束力が弱まり、被照射体5における荷電粒子線のビーム径を小さくすることができない。
実施の形態3のように、4極電磁石6のビーム進行方向下流に固定レンジシフター14を設ける代わりに、荷電粒子線のエミッタンスを小さくするビームスリットを設けて4極電磁石6の色収差による荷電粒子線のビーム径の増加の問題を解決することもできる。
図5は、この実施の形態4の粒子線照射装置及び粒子線治療装置の構成を示す図であって、図1の構成に対して、開口径が可変の可変ビームスリット15を4極電磁石6のビーム進行方向上流に追加して、可変レンジシフター4での散乱による荷電粒子線の発散角の増加を制御するようにしたものである。可変ビームスリット15の開口径は、可変レンジシフター4の厚さに依存して、照射制御装置11により制御する。
2 ビーム輸送系
3 放射線照射装置
4 可変レンジシフター
5 被照射体
6 4極電磁石
7 固定ビームスリット
8 スキャニング電磁石
9 ビーム線量モニター
10 ビーム位置モニター
11 照射制御装置
12 リッジフィルター
13 ビーム散乱体
14 固定レンジシフター
15 可変ビームスリット
Claims (6)
- 荷電粒子線の照射中に前記荷電粒子線のエネルギーを低下させることで、被照射体における荷電粒子線の飛程を所望の値とする可変レンジシフターと被照射体との間に配置されて、
前記可変レンジシフターで低下した前記荷電粒子線のエネルギーに応じて励磁量が制御されて、前記可変レンジシフターでの散乱による被照射体における前記荷電粒子線のビーム径の増加を低減する4極電磁石と、
前記4極電磁石と前記被照射体との間に配置され、前記被照射体における前記荷電粒子線のビーム進行方向に直交する方向の位置を変化させるために前記荷電粒子線を偏向するスキャニング電磁石と、
前記4極電磁石と前記スキャニング電磁石との間に配置され、ブラッグピークを広げるリッジフィルターとを備えた
粒子線照射装置。 - 荷電粒子線の照射中に前記荷電粒子線のエネルギーを低下させることで、被照射体における荷電粒子線の飛程を所望の値とする可変レンジシフターと被照射体との間に配置されて、
前記可変レンジシフターで低下した前記荷電粒子線のエネルギーに応じて励磁量が制御されて、前記可変レンジシフターでの散乱による被照射体における前記荷電粒子線のビーム径の増加を低減する4極電磁石と、
前記4極電磁石のビーム進行方向上流に配置され、前記荷電粒子線の発散角を増加させるビーム散乱体とを備えた
粒子線照射装置。 - 荷電粒子線の照射中に前記荷電粒子線のエネルギーを低下させることで、被照射体における荷電粒子線の飛程を所望の値とする可変レンジシフターと被照射体との間に配置されて、
前記可変レンジシフターで低下した前記荷電粒子線のエネルギーに応じて励磁量が制御されて、前記可変レンジシフターでの散乱による被照射体における前記荷電粒子線のビーム径の増加を低減する4極電磁石と、
前記4極電磁石と前記被照射体の間に配置され、前記荷電粒子線のエネルギーを低下させる固定レンジシフターとを備えた
粒子線照射装置。 - 荷電粒子線の照射中に前記荷電粒子線のエネルギーを低下させることで、被照射体における荷電粒子線の飛程を所望の値とする可変レンジシフターと被照射体との間に配置されて、
前記可変レンジシフターで低下した前記荷電粒子線のエネルギーに応じて励磁量が制御されて、前記可変レンジシフターでの散乱による被照射体における前記荷電粒子線のビーム径の増加を低減する4極電磁石と、
前記可変レンジシフターと前記4極電磁石との間に配置され、前記可変レンジシフターで変化した前記荷電粒子線のエネルギーに応じて開口幅が変化して、前記荷電粒子線のビーム幅を制限する可変ビームスリットとを備えた
粒子線照射装置。 - 被照射体における荷電粒子線のビーム進行方向に直交する方向の位置を変化させるために前記荷電粒子線を偏向するスキャニング電磁石を、4極電磁石と被照射体との間に配置したことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の粒子線照射装置。
- 荷電粒子線を発生させる粒子加速器と、前記荷電粒子線を照射室まで輸送するビーム輸送系と、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の粒子線照射装置を備えた粒子線治療装置。
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