JP4591223B2 - 版および版の再生方法 - Google Patents
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Description
なお、本願では、版に供給したインクが版に一部残る状態で被転写材へ移行することを印刷と呼び、被転写材に全量移行することを転写と呼ぶ。
これらの平面ディスプレイの画面サイズは対角40〜50インチが主流となってきているが、平面ディスプレイパネルの製造に使用する基板のサイズは、多面付けして低コスト化を図るために、大サイズになっている。例えば液晶ディスプレイの場合には、1800×1500mmのサイズが最近製造に使用されるようになったが、さらに大きな2200×2400mmを使用する計画が発表されている。プラズマディスプレイパネルにおいても多面付けで低コスト化を図っていて、ガラス基板サイズとしては一辺2000mm以上のものが使用されるようになっている。
そのため、低コスト化を主な目的として印刷法、転写法で大サイズの高精細パターンを高寸法精度で形成することが、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の製造技術として検討されている。
以下では、液晶ディスプレイ等に使用されるカラーフィルタの製造に関する背景技術を述べるが、プラズマディスプレイパネルの製造についても、印刷法、転写法が同様に検討されている。
しかし、電鋳法で得られるメッキ面では転写すべき材料について充分な離型性が得られないことが多い。実際には、例えばコンパクトディスクの製造において電鋳版が使用されているが、インジェクション後の離型性向上について、素材の選定、添加剤や版の表面処理剤の検討が種々行われている。そのため、素材が別の条件で決定されてしまう場合には、電鋳法の版を使用することが難しい場合がある。例えば、カラーフィルタの形成においては、難しい。
さらに、カラーフィルタ等のガラス板に対して転写する場合には、ゴミとして一番問題なのは、ガラスの微粉末(カレット)である。カラーフィルタ用ガラス基板に食い込んだカレットはかなり丁寧にブラシ洗浄しても、除去することは難しい。そして、電鋳した金属凹版の表面にキズをつけてしまう。ガラスより硬度の高い材料を使用することもあり得るが、電鋳金属や、その電鋳金属を表面処理する方法では、ガラスより硬度を高くすることはできない。
しかし、感光性の樹脂の転写耐久性は、硬化可能な樹脂であっても、金属材、セラミック材と比較してかなり低いという問題点がある。例えば、表面の硬度が低いという点がある。そのため接着剤挟み込み工程において、ゴミが混入してしまうと、キズつきやすい。また、材料の対摩耗強度が高くないので、繰り返し転写していると、凸部の角(凹部の角)が徐々に摩滅してしまう。さらに、凹部に充填・硬化されたインクが全部転写されずに、凹部の角(隅)に残ってしまうことがあるが、この場合、凹部が金属材であれば、ブラシ洗浄等の部分的に強い力がかかる手段で、きちんと除去することができる。しかし、凹部が感光性材料の場合では、ブラシ洗浄等の方法は使用することができない場合がある。
なお、以上の議論は転写用凹版に絞って行ったが、凹版に限らず凸版であっても、また平版であっても、事態は同様である。さらに、転写でなく、インクの一部が版に残る印刷においても同様である。
本発明はかかる課題を達成すべくなされたものであり、
請求項1の発明は、印刷用インクの印刷または転写用インクの転写に使用する版であって、少なくとも裏面露光光透過性の支持基板の上に、印刷または転写すべきパターンのポジパターンまたはネガパターンにして裏面露光光遮光性の遮光性膜が設けられ、前記遮光性膜を覆うようにして前記支持基板の上に裏面露光光透過性層が積層され、前記裏面露光光透過性層の上に位置する版面に、前記遮光性膜をフォトマスクとして裏面露光法・現像法によって形成してなる版パターン部が設けられていることを特徴とする版を提供して、上記課題を解消するものである。
(請求項2の発明)
請求項2の発明は、印刷用インクの印刷または転写用インクの転写に使用する版であって、少なくとも裏面露光光透過性の支持基板の上に、印刷または転写すべきパターンのポジパターンまたはネガパターンにして裏面露光光遮光性の遮光性膜が設けられ、前記遮光性膜を覆うようにして前記支持基板の上に裏面露光光透過性層が積層され、前記裏面露光光透過性層の上に位置する版面に、前記遮光性膜をフォトマスクとして裏面露光法・現像法によって形成した感光性材料のパターン層の逆パターンにして、該感光性材料のパターン層を溶解除去するリフトオフ法により形成してなる版パターン部が設けられていることを特徴とする版を提供して、上記課題を解決するものである。
(請求項3の発明)
請求項3の発明は、上記版面が凸版構造であって、転写用インクと接する凸状の版パターン部の表面が、硬化した転写用インクに対して離型性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の版を提供して、上記課題を解決するものである。
(請求項4の発明)
請求項4の発明は、上記版面が平版構造であって、転写用インクと接する実質的に厚さがないと見做し可能な版パターン部の表面が、硬化した転写用インクに対して離型性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の版を提供して、上記課題を解決するものである。
(請求項5の発明)
請求項5の発明は、上記版面が凹版構造であって、転写用インクと接する凹状の版パターン部の内表面が、硬化した転写用インクに対して離型性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の版を提供して、上記課題を解決するものである。
(請求項6の発明)
請求項6の発明は、上記遮光性膜を下位に位置させた上記裏面露光光透過性層の上に、硬化した転写用インクに対して離型性を有する離型性層が位置していることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の版を提供して、上記課題を解決するものである。
(請求項7の発明)
請求項7の発明は、上記遮光性膜の上の上記裏面露光光透過性層は、遮光性膜を保護する保護層であり、該保護層の上に上記離型性層が位置していることを特徴とする請求項6に記載の版を提供して、上記課題を解決するものである。
(請求項8の発明)
請求項8の発明は、上記保護層が複数層にして存在し、少なくともそのうちの一層の保護層は、張り出しのあるプラスチックフィルムであることを特徴とする請求項7に記載の版を提供して、上記課題を解決するものである。
(請求項9の発明)
請求項9の発明は、上記遮光性膜の材質が金属であることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の版を提供して、上記課題を解決するものである。
(請求項10の発明)
請求項10の発明は、上記遮光性膜の材質が遮光性金属酸化物または金属窒化物であることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の版を提供して、上記課題を解決するものである。
(請求項11の発明)
請求項11の発明は、液晶ディスプレイパネルのカラーフィルタの製造用版であって、少なくとも上記遮光性膜が、前記液晶ディスプレイパネルのTFTアレイ側のパネル製造装置により形成されてなるものであることを特徴とする請求項1から10の何れか一項に記載の版を提供して上記の課題を解決するものである。
(請求項12の発明)
請求項12発明は、上記支持基板が、上記液晶ディスプレイパネルのカラーフィルタ用のガラス基板であることを特徴とする請求項11に記載の版を提供して、上記課題を解決するものである。
(請求項13の発明)
請求項13発明は、請求項1から12の何れか一項における版を再生する方法であって、再生する対象の前記版の版パターン部を除去した後に、版面形成位置に感光性の版材を膜状に形成し、上記裏面露光光透過性層の下位にある上記遮光性膜をフォトマスクとして裏面露光法によって該感光性の版材を露光し、現像して版パターン部を形成することを特徴とする版の再生方法を提供して、上記課題を解決するものである。
(請求項14の発明)
請求項14発明は、請求項1から12の何れか一項における版を再生する方法であって、再生する対象の前記版の版パターン部を除去した後に、版面形成位置に感光性材料を膜状に形成し、上記裏面露光光透過性層の下位にある上記遮光性膜をフォトマスクとして裏面露光法によって該感光性材料を露光し、現像して形成した感光性材料のパターン層の逆パターンにして、前記感光性材料のパターン層を溶解除去するリフトオフ法で版パターン部を形成する版の再生方法を提供して、上記課題を解決するものである。
(請求項15の発明)
請求項15発明は、請求項6から12の何れか一項における版を再生する方法であって、再生する対象の前記版の裏面露光光透過性層の上から版パターン部と離型性層とを除去した後に、前記裏面露光光透過性層の上に、硬化した転写用インクに対して離型性を有する離型性層を設け、この離型性層の上の版面形成位置に感光性の版材を膜状に形成し、前記裏面露光光透過性層の下位にある上記遮光性膜をフォトマスクとして裏面露光法によって該感光性の版材を露光し、現像して版パターン部を形成することを特徴とする版の再生方法を提供して、上記課題を解決するものである。
(請求項16の発明)
請求項16発明は、請求項6から12の何れか一項における版を再生する方法であって、再生する対象の前記版の裏面露光光透過性層の上から版パターン部と離型性層とを除去した後に、前記裏面露光光透過性層の上に、硬化した転写用インクに対して離型性を有する離型性層を設け、この離型性層の上の版面形成位置に感光性材料を膜状に形成し、前記裏面露光光透過性層の下位である上記遮光性膜をフォトマスクとして裏面露光法によって該感光性材料を露光し、現像して形成した感光性材料のパターン層の逆パターンにして、前記感光性材料のパターン層を溶解除去するリフトオフ法で版パターン部を形成する版の再生方法を提供して、上記課題を解決するものである。
(請求項17の発明)
請求項17発明は、請求項7から12の何れか一項における版を再生する方法であって、再生する対象の前記版の版パターン部と離型性層と保護層とを除去した後、上記遮光性膜を覆うようにして保護層を設け、この保護層の上に、硬化した転写用インクに対して離型性を有する離型性層を設け、この離型性層の上の版面形成位置に感光性の版材を膜状に形成し、前記保護層の下位である前記遮光性膜をフォトマスクとして裏面露光法によって前記感光性の版材を露光し、現像して版パターン部を形成することを特徴とする版の再生方法を提供して、上記課題を解決するものである。
(請求項18の発明)
請求項18の発明は、請求項7から12の何れか一項における版を再生する方法であって、再生する対象の前記版の版パターン部と離型性層と保護層とを除去した後、上記遮光性膜を覆うようにして保護層を設け、この保護層の上に、硬化した転写用インクに対して離型性を有する離型性層を設け、この離型性層の上の版面形成位置に感光性材料を膜状に形成し、前記保護層の下位である前記遮光性膜をフォトマスクとして裏面露光法によって前記感光性材料を露光し、現像して形成した感光性材料のパターン層の逆パターンにして、前記感光性材料のパターン層を溶解除去するリフトオフ法で版パターン部を形成する版の再生方法を提供して、上記課題を解決するものである。
(請求項19の発明)
請求項19の発明は、請求項8から12の何れか一項における版を再生する方法であって、再生する対象の前記版の少なくとも一つの保護層とこの保護層から上位の層とを除去した後、上記遮光性膜の上にこの遮光性膜を覆う一層以上の保護層を設け、最上位の保護層の上に、硬化した転写用インクに対して離型性を有する離型性層を設け、この離型性層の上の版面形成位置に感光性の版材を膜状に形成し、前記保護層の下位である前記遮光性膜をフォトマスクとして裏面露光法によって該感光性の版材を露光し、現像して版パターン部を形成することを特徴とする版の再生方法を提供して、上記課題を解決するものである。
(請求項20の発明)
請求項20の発明は、請求項8から12の何れか一項における版を再生する方法であって、再生する対象の前記版の少なくとも一つの保護層とこの保護層から上位の層とを除去した後、上記遮光性膜の上にこの遮光性膜を覆う一層以上の保護層を設け、最上位の保護層の上に、硬化した転写用インクに対して離型性を有する離型性層を設け、この離型性層の上の版面形成位置に感光性材料を膜状に形成し、前記保護層の下位である前記遮光性膜をフォトマスクとして裏面露光法によって前記感光性材料を露光し、現像して形成した感光性材料のパターン層の逆パターンにして、前記感光性材料のパターン層を溶解除去するリフトオフ法で版パターン部を形成する版の再生方法を提供して、上記課題を解決するものである。
請求項1および請求項2の発明によって、版に内蔵された印刷または転写すべきパターンの母型となる遮光性膜を使用して、感光性材料の裏面露光法・現像法で形成した版を提供することができるので、高価な露光装置や厳密な温度条件下での作業が不要となり、低コストでありながら仕様を満足する版を提供することができるようになった。
また、請求項2の発明によって、版パターン部の材料として感光性のない材料を使用することができるようになったので、材料の選定範囲が広がり、例えば感光性材料より耐摩擦性や耐溶剤性のつよい無機物を使用することができるようになった。
(請求項3の発明の効果)
請求項3の発明によって、凸版構造の請求項1,2に記載の版で、完全転写が可能なものを提供することができるようになった。
(請求項4の発明の効果)
請求項4の発明によって、平版構造の実質的に厚さがない版材であっても請求項1,2に記載の版で、完全転写が可能なものを提供することができるようになった。
(請求項5の発明の効果)
請求項5の発明によって、転写形状と定量性にすぐれた転写用凹版構造であって、完全転写が可能なものを提供することができるようになった。
(請求項6の発明の効果)
請求項6の発明によって、後に示すように再生工程を少なくすることができる構造となったので、より低コストで再生することができるようになった。
(請求項7の発明の効果)
請求項7の発明によって、版に内蔵されている遮光性膜が損傷してしまうことが低下した。
(請求項8の発明の効果)
請求項8の発明によって、版の取り扱いが容易になった。
(請求項9の発明の効果)
請求項9の発明によって、遮光性膜が薄くても遮光性が高い金属性遮光性パターンであるので、解像度の高い版を得ることが容易になった。
(請求項10の発明の効果)
請求項10の発明によって、損傷しにくい遮光性膜を得ることが容易になった。
(請求項11の発明の効果)
請求項11の発明によって、液晶ディスプレイパネルのカラーフィルタ側パネル上のカラーフィルタの製造に使用する版を作成する際に使用する装置の内、もっとも高価である遮光性膜(印刷または転写すべきパターンの母型となる遮光性膜)の形成工程に使用する装置が、TFT側パネルの作成に使用する装置を用いて行うことができるようになった。そのため、専用の装置や技術が不要となり、低コストの版を作成することが可能になった。
(請求項12の発明の効果)
請求項12の発明によって、版とのカラーフィルタ用のガラス基板との両者の温度変形の差が無くなり、カラーフィルタの製造工程の温度管理が容易になった。
(請求項13の発明の効果)
請求項13の発明によって、版に内蔵する遮光性膜をフォトマスクとして使用でき、安価な散乱光の露光装置で露光して版を再生するので、低コスト再生が可能となった。
(請求項14の発明の効果)
請求項14の発明によって、感光性材料以外であっても版パターン部の再生が可能になり、低コスト再生が可能となった。
(請求項15、16の発明の効果)
請求項15、16の発明によって、離型性層が損傷した場合にも版の再生を行うことにより、新規の版を作成しなくてもよくなった。
(請求項17、18の発明の効果)
請求項17、18の発明によって、保護層が損傷した場合にも版の再生を行うことにより、新規の版を作成しなくてもよくなった。
(請求項19、20の発明の効果)
請求項19、20の発明によって、離型性層が損傷した場合にも版の再生を行うことにより、新規の版を作成しなくてもよくなった。
図1(a)(b)は本発明の版1を転写用版であって凸版構造とした場合の形態の例を示している。この図1(a)で示されている形態により本発明の版1の基本的な構成を説明すると、版1は、裏面露光光透過性の支持基板2の上に、この版1から被転写材に対して転写すべきパターンを得る上で、また後述するように再生版パターン部を得る上で母型となるパターンとした薄い遮光性膜3が設けられている。図1(a)では前記遮光性膜3が転写すべきパターンのネガパターンとしている。さらに前記遮光性膜3を覆うようにして裏面露光光透過性層4を前記支持基板2の上に積層している。前記裏面露光光透過性層4は、この層の下に位置して版1に内蔵される前記遮光性膜3を保護する役割をするとともに、版面5の下地の役割もなす部分であって、複数層で構成されている。図1(a)で示す例では裏面露光光透過性層4での最下層として、遮光膜層3を覆うように支持基板2の上に積層されて前記遮光膜層3を保護する第一の保護層6があり、この第一の保護層6の上に接着剤層7を介してプラスチックフィルムからなる第二の保護層8が接着されて積層されている。
この裏面露光光透過性層4を構成する各層は後述する裏面露光光を透過させる部材である。また、図1(a)で示す例において、裏面露光光透過性層4中の上記第二の保護層8にあっては支持基板2の辺位置から外方に張り出た張り出し部9を有している。この張り出し部9が版1と取り扱う際の保持部位としたり、版固定枠などへの取付部位として利用されるものである。
図1(a)では凸状の版パターン部10それぞれの表面に転写用インク12が乗っている状態を示している。後述するように上記遮光性膜3のパターンを利用した裏面露光法・現像法により、図示のごとく版パターン部10に転写用インク12が盛られた版1を用いて図示しない被転写基板に対して転写を行ない、転写すべきパターンを転写用インク12にて被転写基板に形成するものである。
本発明において、版1に使用する支持基板2としては、裏面露光光を透過することが、必須である。ここで裏面露光とは、支持基板2側からの露光をいう。露光光は支持基板2の層を通過した後に、遮光性膜3が位置しないパターンに対応した層部分を通過する。裏面露光光として使用可能な光としては、可視光、近赤外光、紫外光、がある。中でも、紫外光が解像度の点で好ましい。特に、いわゆるフォリソグラフィと呼ばれる工法に使用されるキセノンランプ、水銀ランプ、ハロゲンランプが放出する光を透過するものが好ましい。
実際に使用することができる支持基板2としては、プラスチックフィルム、セラミック板、ガラス板がある。また、それらの組み合わせ(積層、または貼り合わせ)であってもよい。
基本的には、支持基板2の材質として被印刷基板、被転写基板の材質と同じものを使用することが、大サイズの場合、作業環境温度の変化による寸法精度の低下を防止するために有効である。また、入手も容易である。
本発明の版1では上記支持基板2の裏面露光光を照射する側でない側に裏面露光光に対して遮光性のあるパターンを形成している。即ち、上記遮光性膜3である。そのパターン、あるいはその逆パターンが印刷または転写を行ないたい所望のパターンである。遮光性膜3の材料としては、以下のものがある。第一に金属膜である。たとえば、通常のフォトマスクに使用されるクロムがガラス基板に対しては密着強度が高く、また自体の膜強度も高く、パターンニングの手法も確立していて、好ましい。
また、これらの材料は金属クロム膜と共に膜の硬度が高く丈夫なので、以下に述べる第一の保護層を設けなくても、実用上問題ない場合がある。その場合には低コスト化のため第一の保護層の無い構造とする。
さらに、いわゆる黒色インキも使用することができる。高精細のパターンを形成する場合には、感光性のものを使用してフォトリソ法で所望のパターンを形成する。
図1(a)で図示されているように上記遮光性膜3を覆うようにして支持基板2の上に一様にして形成される保護層(図1(a)で図示の第一の保護層6)としては、遮光性であって物理的・化学的に安定であり、下層との接着性が高く機械的強度があるものならよい。先に述べたシリカ膜以外に、マグネシア膜、チタニア膜、アルミナ膜が好ましい。プラズマディスプレイパネルの前面板に使用されるマグネシアをその成膜装置(通常は電子ビーム蒸着装置)を使用して成膜することができれば、版をプラズマディスプレイパネルの製造工程で使用する場合には装置を共用することができて、低コスト化に好ましい。
第一の保護層の上に、接着剤を介して第二の保護層を設ける目的は保護作用の増加のため、および版の再生を容易にするためである。
従って、第一の保護層と同じく省略してもよい。第二の保護層としては、多少の弾力性があって、遮光膜の損傷を防止する効果があるものが好ましい。また、再生時に除去することが容易で安価な材料が好ましい。実際には、プラスチックフィルムに適したものがある。透明で化学的に安定で機械強度が高く好ましいものとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリシクロオレフィンなどのフィルムが第二の保護層の材料として好ましいが、コストを勘案して選定する。
上記版1を転写用の版とするには、転写用のインクが硬化した後に、版1の表面が離型性となることが必要である。ここで、離型性であるとは、硬化したインクが他の表面へ接着剤等を介して、転写する際に凝集破壊せず、版とインクの界面から剥離することを言う。
版材11として使用することができる感光性樹脂としては、第一にアクリル系の樹脂がある。またノボラック樹脂も使用することができる。離型性を向上させるために、シリコーン樹脂やフッ素樹脂を添加することも、転写時に被転写基板へ移行しなければ、または、移行しても問題無い場合には好ましい。
版1の版面の構造が凸版である場合の図1(a)に示す構成において、上述した素材などに基づきながら版1の製造を説明する。この場合、凸状としている版パターン部10の側面もインクが接触するので、離型性である必要がある。
図1(a)で示す構成の版1を得るには、例えばプラズマディスプレイパネル用ガラス基板のようなガラス製の支持基板2の上に、転写すべきパターンを得るための母型となる遮光性膜3のパターンを、例えばクロムのような金属膜で形成し、その上全面に第一の保護膜6として、例えばスパッター法で酸化マグネシューム膜を形成し、さらに第二の保護膜8として、例えばポリエステルフィルムを熱可塑性のアクリル系接着剤(接着剤層7)で貼り合わせている。そして、第一の保護層6、接着剤層7、第二の保護層8からなる裏面露光光透過性層4の上で版面形成位置に凸状の版パターン部10を得るための版材11はネガ型の感光性のアクリル系樹脂であり、この版材11を裏面露光光透過性層4の上に一様に塗布形成した後で、前記裏面露光光透過性層4の下にある遮光性膜3をフォトマスクとして裏面露光法で形成し、耐薬品性、耐摩耗性を向上するために230℃で20分間加熱処理して版パターン部10を形成している。
まず、凸状の版パターン部10まで上述したように形成する。次にポリビニルアルコール−重クロム酸系のネガ型の感光剤を全面に塗布、乾燥して膜を形成する。次に、裏面露光して、凸状の版パターン部10上のポリビニルアルコール−重クロム酸系の感光剤の膜を硬化する。次に水で、版パターン部10の側面と版1の底面上のポリビニルアルコール−重クロム酸系の感光剤の膜を除去する。次に、撥インク剤として、例えばフッ素樹脂系のEGC−1720(住友3M社製)を塗布し、所定の熱処理を行なう。次に、所定の洗浄剤で余分のEGC−1720を洗浄除去し、単分子層とする。その後、アルカリ系の剥離液で凸状の版パターン部10上のポリビニルアルコール−重クロム酸系の感光剤の膜を、その上のEGC−1720の単分子膜と一緒に剥離除去する。
図1(b)は、プラスチックフィルム製の支持基板2、例えばポリカーボネートの薄い板の上に、転写すべきパターンを得るための母型となる遮光性膜3として、例えばニッケルの遮光パターンを形成し、その上に保護層13として、例えばポリカーボネートフィルムを熱可塑性の接着剤(接着剤層7)、例えばEVA接着剤で貼り合わせ、凸状の版パターン部10をポジ型の感光性の樹脂、例えばノボッラック樹脂で、遮光性膜3をフォトマスクとして裏面露光法・現像法で形成したものである。
この版1の用途は、例えばプラズマディスプレイパネルの前面に取り付ける電磁波シールドフィルムの銀ペーストのパターン形成である。
この図1(b)の版1でも、凸状の版パターン部10の側面と版1の底面(版パターン部10の間のパターン部分)は、転写用インクが載らないようにするために撥インク性であることが好ましい。凸状の版パターン部10の側面と版1の底面を撥インキ性のある部分とするには、例えば感光硬化性のシリコーン樹脂を全面に薄く塗布した後、裏面露光し、未硬化の凸状のパターン部10上のシリコーン樹脂膜を溶剤で洗浄除去する方法がある。
版1の版面の構造が平版である場合を図2(a)、(b)に示した。
図2(a)に図示の版1にあっては、ガラス板からなる裏面露光光透過性の支持基板2の上に、この版1から被転写材に対して転写すべきパターンを得る上で、また版パターン部10を得る上で母型となるパターンとした薄い遮光性膜3が設けられている。図2(a)では図1(b)の例と同様に前記遮光性膜3が転写すべきパターンのポジパターンとしている。前記遮光性膜3を覆うようにして裏面露光光透過性層4を支持基板2の上に積層している。前記裏面露光光透過性層4は、図1(a)で示す裏面露光光透過性層4と同じく複数層で構成されていて、裏面露光光透過性層4での最下層として、遮光膜層3を覆うように支持基板2の上に積層されて遮光膜層3を保護する第一の保護層6があり、この第一の保護層6の上に接着剤層7を介してプラスチックフィルムからなる第二の保護層8が接着されて積層されている。
この裏面露光光透過性層4を構成する各層は裏面露光光を透過させる部材である。また、図1(a)で示す例と同じように、上記第二の保護層8に、支持基板2の辺位置から外方に張り出た張り出し部9を有していて、版1を取り扱う際の保持部位としたり、版固定枠などへの取付部位として利用できる。
図2(b)に図示の版1にあっては、ガラス板からなる裏面露光光透過性の支持基板2の上に、この版1から被転写材に対して転写すべきパターンを得る上で、また版パターン部10を得る上で母型となるパターンとした薄い遮光性膜3が設けられている。図2(b)では図1(a)の例と同様に前記遮光性膜3が転写すべきパターンのネガパターンとしている。前記遮光性膜3を覆うようにして裏面露光光透過性層4を支持基板2の上に積層している。前記裏面露光光透過性層4での最下層として、遮光膜層3を覆うように支持基板2の上に積層されて遮光膜層3を保護する第一の保護層6があり、この第一の保護層6の上に接着剤層7を介してプラスチックフィルムからなる第二の保護層8が接着されて積層されている。
撥インキ性を付与する材料としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フッ素樹脂+光触媒がある。
版パターン部10の逆パターンである撥インク部14の形成方法としては、例えば感光性のある撥インク剤、例えば感光性のシリコーン樹脂を、離型性のある上記第二の保護層8の上面全面に塗布して、上記遮光性膜3をフォトマスクとして裏面露光によって硬化し、未硬化のパターン上の部分のシリコーン樹脂を溶剤で洗浄除去する方法がある。また、得るべき正パターンの逆パターンでパターニングされたフォトレジスト膜の除去によって前記正パターンを形成する従来法のリフトオフ法を使用することもできる(図3参照)。
図2(b)の構造では、版面5において遮光性膜3のパターンに対応する部分が撥インキ部14になり、インクが載る部分(版パターン部10のパターン部分)は裏面露光光が透過する構造である。従って、全面に塗布した光硬化性インクを裏面露光光によって硬化し、硬化してないインクを現像除去することができる。これによって所要のインクパターンを形成することができる。
図3(a)で示すように、裏面露光光透過性層4の上面全面にインク剥離性剤を施して離型性層15が形成され、その上全面にポジ型感光性樹脂を施し、裏面露光して現像する方法により正パターン(得るべき撥インキ部のパターンを正パターンとする)の逆パターンで、ポジ型感光性樹脂膜16をパターン形成する。
次に、図3(b)に示すように、撥インク性のフッ素樹脂またはシリコーン樹脂を全面塗布し、硬化させてフッ素樹脂またはシリコーン樹脂の膜17を形成する。
次に、図3(c)に示すように、逆パターンである上記ポジ型感光性樹脂またはシリコーン樹脂の膜16を溶解除去する。ポジ型感光性樹脂膜16の上にあったフッ素樹脂膜17は共に除去される。これによって版パターン部10が形成され、版パターン部10以外の部分は上記撥インキ性剤が表出する撥インキ部14となる。
ここでフッ素樹脂またはシリコーン樹脂の膜17の厚さが厚ければ凹版とみなすこともできるが、厚いフッ素樹脂またはシリコーン樹脂の膜により凸状とされた部分の表面が撥インク性の場合はインキングの方法として、いわゆるオフセット印刷法に使用されるインキング法を用いることができる。その意味でこの版1を平版(オフセット版)とみなすことができる。
版1の版面5の構造が凹版である場合を図4(a)(b)に示した。図4(a)で示す版1では、ガラス製の裏面露光光透過性の支持基板2の上に、この版1から被転写材に対して転写すべきパターンを得る上で、また再生の版パターン部を得る上で母型となるパターンとした薄い遮光性膜3が設けられていて、この遮光性膜3は転写すべきパターンのポジパターンとしている。また、前記遮光性膜3を覆うようにして裏面露光光透過性層4を前記支持基板2の上に積層している。前記裏面露光光透過性層4は、図1(a)で示す例と同じように最下層から、前記遮光膜層3を覆うように支持基板2の上に積層されて前記遮光膜層3を保護する第一の保護層6と、接着剤層7と、プラスチックフィルムからなる第二の保護層8が接着されて積層されている。
また、上記第二の保護膜8の上の版面形成位置には、上記遮光性膜3をフォトマスクとして裏面露光法・現像法によって形成した版パターン部10が、遮光性膜3のパターンに対してネガパターン(即ち、転写すべきパターン)として設けられていて、これによって版面5が形成されている。凹状の版パターン部10を得るための版材11は凸状である。
図4(b)では凹状の版パターン部10それぞれに転写用インク12が載っている状態を示している。転写用インク12の上面が凸状の版材11の上面と同じ高さになっているが、この必要はなく、転写用インク12の上面が凸状の版材11の上面より低くても、逆に高くても構わない。
上述した凸版構造、平版構造、凹版構造のそれぞれの版1の再生としては、第一に、パターン形成されている版材11を除去する方法がある。版材11として感光硬化性のアクリル系樹脂、ノボラック樹脂を使用した場合は、例えば60℃の水酸化ナトリウムの10wt%の水溶液中に20分間浸漬したのち、水中でブラシ洗浄して、アクリル系樹脂を剥がし落とす。感光性樹脂の種類によっては有機溶剤によって膨潤させ剥がし落とす方法も有効な場合がある。
一方、リフトオフ法で印刷、転写パターンが形成されている場合については、同様のアルカリ処理をしたり、酸処理したりする。
第一の方法と第二の方法の中間の方法がある。例えば版パターン部10と離型性層を除去し再生する方法がある。
また、別の方法としては、版パターン部を除去した後の再生に際して、同様に、版面形成位置に感光性材料を膜状に形成し、上記遮光性膜3をフォトマスクとして裏面露光法によって該感光性材料を露光し、現像して形成した感光性材料のパターン層の逆パターンにして、前記感光性材料のパターン層を溶解除去するリフトオフ法で版パターン部を形成する方法がある。
さらに、別の方法として、再生する対象の版1の裏面露光光透過性層4の上から版パターン部10と離型性層15とを除去したものにあっては、前記裏面露光光透過性層4の上に、硬化した転写用インクに対して離型性を有する離型性層15を設け、この離型性層15の上の版面形成位置に感光性材料を膜状に形成し、遮光性膜3をフォトマスクとして裏面露光法によって該感光性材料を露光し、現像して形成した感光性材料のパターン層の逆パターンにして、前記感光性材料のパターン層を溶解除去するリフトオフ法で版パターン部10を形成する方法がある。
さらに、別の方法として、再生する対象の前記版の版パターン部10と離型性層15と保護層8とを除去したものにあっては、上記遮光性膜3を覆うようにして保護層8を設け、この保護層8の上に、硬化した転写用インクに対して離型性を有する離型性層15を設け、この離型性層15の上の版面形成位置に感光性材料を膜状に形成し、遮光性膜3をフォトマスクとして裏面露光法によって前記感光性材料を露光し、現像して形成した感光性材料のパターン層の逆パターンにして、前記感光性材料のパターン層を溶解除去するリフトオフ法で版パターン部10を形成する方法がある。
このように第二の保護層8およびこの第二の保護層8から上位である部分を分離しても、支持基材2側に遮光性膜3が存在しているため、新規なプラスチックフィルムを接着して再び第二の保護層8を形成した後、遮光性膜3を母型として版パターン部10を形成できる。なお、裏面露光光透過性層4中、第二の保護層8を除去する例を示したが、裏面露光光透過性層4が多層である場合、この裏面露光光透過性層4中の最上位層のみの除去に限定されるものではない。
本発明の方法は、印刷または転写するパターンをフォトマスクとして内蔵する版を用いることに第一の特徴があり、裏面露光の方法によって、内蔵しているフォトマスクのパターンを版材のパターンとして形成することに第二の特徴がある。そして、摩滅や損傷によって使用できなくなった場合、傷んだ部分を除去して、再生することに第三の特徴がある。
本発明の版1において、カラーフィルタを転写法で作成するための転写用凹版として作成した工程を、図5に基づいて以下に述べる。
図5(a)
支持基板2にはカラーフィルタ用のガラス基板a(コーニング社製イーグル2000、サイズ1500×1800mm、厚さ0.7mm)を用いた。薄くて取り扱いに工夫が必要であるが、熱膨張率が被転写基板が同じカラーフィルタ用のガラス基板であり熱膨張率が同一なので、作業環境温度が変化しても寸法精度を維持することが比較的容易である。
このガラス基板aの一面全面にアルミを1μm厚さで蒸着してアルミ膜bを形成した。蒸着装置は液晶表示装置のカラーフィルタ側基板の対向基板であるTFTマトリクスアレー側の基板にアルミ電極部を形成する際に使用する装置を使用した。
図5(b)
次に、上記アルミ膜bをフォトリソ法でパターンニングするために、その上にアルミエッチング用のポジ型フォトレジストcとしてPMER−P(東京応化製)を乾燥厚さ2μm塗布し、乾燥した。塗布装置は同じくTFTアレー側を形成する際に使用する装置を使用した。
図5(c)
次に、被転写基材に転写すべきパターン、即ち、カラーフィルタのR、G、B三色のパターンを透過部d、そのネガパターンを遮光部eとしたフォトマスクfを用いてUV光gにより上記ポジ型フォトレジストcを露光した。
図5(d)
次に、現像液hにて上記ポジ型フォトレジストcを現像し、転写すべきパターンに対応する部分のアルミ膜bを表出させ、その他の部分にポジ型フォトレジストcを残した。
図5(e)
次に、表出していたアルミ膜bをエッチング液iを用いてエッチングした。
図5(f)
次に、転写すべきパターンのネガパターンで残っていた上記ポジ型フォトレジストcを剥離除去した。これによりアルミ膜bの遮光性膜3を得た。
遮光性膜3を覆うようにしてガラス基板aの上に、第一の保護層6として厚さ2000Åの窒化珪素および1000Åの酸化珪素jをスパッター装置を使用して積層した。いずれも同様にTFTアレーを形成するための装置を使用した。
図5(h)
さらにその上に20μmのポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)フィルムkを熱可塑性ポリエステル系接着剤l(東洋紡製 バイロン300)を使用して貼り付けた。接着剤の厚さは15μmとした。
図5(i)
さらに離型性膜15としてフォトリソ法用のカラーフィルタレジストのUV硬化性のアクリル系ビヒクル成分mを全面に乾燥厚さ10μmに塗布し、UV硬化した。
図5(j)
さらにその上に、ノボラック系ポジ型の遮光性塗料nを乾燥厚さ2μmになるようにスリットコータで塗布し、乾燥した。この遮光性塗料nは加熱処理するとUV硬化した感光性アクリル樹脂系のカラーフィルタ用BM材に対して、離型性を発現する。
図5(k)
裏面(支持基板側の面)から低圧水銀灯を使用して全面に、3000ミリジュール/cm2での裏面露光光oにより露光した。ここで、アルミ膜b(遮光性膜3)がフォトマスクの役割をする。
図5(l)
所定の現像液を使用しスプレー現像・水洗・乾燥して遮光性塗料nのパターンを得た。この部分が凹版での版材11である。
以上のようにして、凹版転写法によってカラーフィルタの色材部分を形成するための、再生が容易な版1を形成した。
なお、この版を用いて版のR、G、Bに対応する各部分をにインクジェット法でR、G、Bの色材インクを充填し、固化した後、接着剤を介してカラーフィルタ用ガラス基板に転写してカラーフィルタを形成する。
図5(c)に示す工程において、内蔵する遮光性膜3を形成するためのフォトマスクfとして、カラーフィルタの遮光部に対応する部分が光透過パターン(透過部d)であるものを使用すれば、できあがる版1は、その版面においてカラーフィルタの遮光部に相当する部分が凹部であり、裏面露光光が透過する部分となる。この版1を使用して、カラーフィルタの遮光部を図6のようにして形成することができる。即ち、遮光部用のBMインクを全面に塗布し、裏面露光によって、凹部のインクを硬化し、次に凸部上のインクを現像除去し、接着剤を使用してカラーフィルタ用ガラス基板へ転写する方法である。
上述した転写用凹版とした版1を使用して、図6に示す工程でインクジェット法用カラーフィルタの遮光部を形成した。
図6(a)
版面5においてカラーフィルタの遮光部に対応する部分が凹状の版パターン部10として形成された版1を用意した。
図6(b)
上記版1の版面5に光硬化撥インク性剤pを塗布して薄膜に形成し、裏面露光した。
図6(c)
次に、親インク性BM剤(ブラックマトリックス剤)qを全面に塗布した後、UV光gにより裏面露光した。露光量は、親インク性BM剤qが版パターン部10の内部の底面側のみで硬化するように調整した。
ここで撥インク性とはカラーフィルタのインクジェット用色材インクに対して、撥インク性であることを意味する。また親インク性についても同様である。
図6(d)
親インク性BM剤用の現像液で現像して、未硬化の親インク性BM剤を除去し、さらに同様して未硬化の撥インク性剤pを除去した。
図6(e)
次に、カラーフィルタ用基板rと版1との間に接着剤sを挟み込み、この状態でUV光gにて上面から露光して接着剤sを硬化させた。
図6(f)
カラーフィルタ用基板rと版1とを引き離した。これにより版パターン部10で硬化していた親インク性BM剤qと光硬化撥インク剤pをカラーフィルタ用基板rに同時転写した。
図5で示す転写用凹版(版1)を用いて図6で示す工程によりカラーフィルタの遮光部を形成を繰り返した。そして、転写用凹版の凸状の版材11が摩滅してきたので、以下の工程(1)〜(3)で凸状の版材11を再生した。
(1)凸状の版材を剥離するために、水酸化ナトリウムの10%水溶液を60℃とし、その中へ再生したい転写用凹版(版1)を20分間浸漬した。
(2)その後、転写用凹版を取り出して、水を用いてブラシ洗浄して、凸状の版材を剥離し、乾燥した。
(3)次に、図5(j)から(l)の工程を順次行い、再生を完了した。
図5で示す転写用凹版(版1)を用いて図6で示す工程によりカラーフィルタの遮光部を形成を繰り返した。そして、凹部底部の離型性層が傷つき、離型できなくなったので、以下の工程(1)〜(3)でこの転写用凹版を以下の工程(1)〜(3)で再生した。
(1)酸化珪素とポリエステルフィルムを接着している熱可塑性接着剤を、該転写用凹版を130℃に加熱して柔軟な状態とし、ポリエステルフィルムを引き剥がした。
(2)新たにポリエステルフィルムを用意し、図5(h)と同様にして貼り付けた。熱可塑性の接着剤を使用しているので、ガラス板側に残存していた接着剤もラミネートによって、新規に追加した接着剤と一体になり、均一な厚さの接着剤層となった。
(3)次に、図5(i)から(l)の工程を順次行い、再生を完了した。
また、再生に使用する装置は、TFTアレー側を形成するのに使用する装置以外は、浸漬装置(浴槽)、加熱装置程度であり、単純な安価な装置である。 従って、液晶表示パネルを製造する工場において、TFTアレイ側を製造する装置や技術を使用することによって、低コストで転写用凹版を作成し、また再生することができる。さらには、再生は、簡単な装置と容易な技術を有すれば可能であるので、最初の転写用凹版を入手することができれば、TFTアレイ側を製造する工場でなくても可能である。このようにして再生することができる版の寿命は、通常の取り扱いにおいて転写回数が1000回を越えるので、TFTアレイ側を製造する工程を使用する場合、その負荷は非常に小さく、TFTアレイ側基板の生産の妨げとならない。従って、転写用凹版を製造するための専用の真空成膜装置、高精細露光装置を必要としない。そのため低コスト化に非常に有効である。
印刷版の形式としては、凸版、平版(平凸版、平凹版)、凹版のいずれであってもよい。
また、形状としては、透明セラミック支持基板の場合、平板状、円筒状、半月状がある。一方、プラスチックフィルム支持基板の場合には、シート状、ベルト状があり、多くの場合、使用時には何らかの背圧印加治具を使用する必要がある。
転写の場合についての説明が主であったが、インクが版上に残る印刷においても、版の摩耗やキズの発生が多い場合には、本発明の版は有用な版である。
2…支持基板
3…遮光性膜
4…裏面露光光透過性層
5…版面
6…第一の保護層
7…接着剤層
8…第二の保護層
10…版パターン部
11…版材
12…転写用インク
13…保護層
14…撥インキ部
15…離型性層
16…ポジ型感光性樹脂膜
17…フッ素樹脂膜
Claims (20)
- 印刷用インクの印刷または転写用インクの転写に使用する版であって、
少なくとも裏面露光光透過性の支持基板の上に、印刷または転写すべきパターンのポジパターンまたはネガパターンにして裏面露光光遮光性の遮光性膜が設けられ、
前記遮光性膜を覆うようにして前記支持基板の上に裏面露光光透過性層が積層され、
前記裏面露光光透過性層の上に位置する版面に、前記遮光性膜をフォトマスクとして裏面露光法・現像法によって形成してなる版パターン部が設けられていることを特徴とする版。 - 印刷用インクの印刷または転写用インクの転写に使用する版であって、
少なくとも裏面露光光透過性の支持基板の上に、印刷または転写すべきパターンのポジパターンまたはネガパターンにして裏面露光光遮光性の遮光性膜が設けられ、
前記遮光性膜を覆うようにして前記支持基板の上に裏面露光光透過性層が積層され、
前記裏面露光光透過性層の上に位置する版面に、前記遮光性膜をフォトマスクとして裏面露光法・現像法によって形成した感光性材料のパターン層の逆パターンにして、該感光性材料のパターン層を溶解除去するリフトオフ法により形成してなる版パターン部が設けられていることを特徴とする版。 - 上記版面が凸版構造であって、転写用インクと接する凸状の版パターン部の表面が、硬化した転写用インクに対して離型性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の版。
- 上記版面が平版構造であって、転写用インクと接する実質的に厚さがないと見做し可能な版パターン部の表面が、硬化した転写用インクに対して離型性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の版。
- 上記版面が凹版構造であって、転写用インクと接する凹状の版パターン部の内表面が、硬化した転写用インクに対して離型性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の版。
- 上記遮光性膜を下位に位置させた上記裏面露光光透過性層の上に、硬化した転写用インクに対して離型性を有する離型性層が位置していることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の版。
- 上記遮光性膜の上の上記裏面露光光透過性層は、遮光性膜を保護する保護層であり、該保護層の上に上記離型性層が位置していることを特徴とする請求項6に記載の版。
- 上記保護層が複数層にして存在し、少なくともそのうちの一層の保護層は、張り出しのあるプラスチックフィルムであることを特徴とする請求項7に記載の版。
- 上記遮光性膜の材質が金属であることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の版。
- 上記遮光性膜の材質が遮光性金属酸化物または金属窒化物であることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の版。
- 液晶ディスプレイパネルのカラーフィルタの製造用版であって、少なくとも上記遮光性膜が、前記液晶ディスプレイパネルのTFTアレイ側のパネル製造装置により形成されてなるものであることを特徴とする請求項1から10の何れか一項に記載の版。
- 上記支持基板が、上記液晶ディスプレイパネルのカラーフィルタ用のガラス基板であることを特徴とする請求項11に記載の版。
- 請求項1から12の何れか一項における版を再生する方法であって、
再生する対象の前記版の版パターン部を除去した後に、版面形成位置に感光性の版材を膜状に形成し、上記裏面露光光透過性層の下位にある上記遮光性膜をフォトマスクとして裏面露光法によって該感光性の版材を露光し、現像して版パターン部を形成することを特徴とする版の再生方法。 - 請求項1から12の何れか一項における版を再生する方法であって、
再生する対象の前記版の版パターン部を除去した後に、版面形成位置に感光性材料を膜状に形成し、上記裏面露光光透過性層の下位にある上記遮光性膜をフォトマスクとして裏面露光法によって該感光性材料を露光し、現像して形成した感光性材料のパターン層の逆パターンにして、前記感光性材料のパターン層を溶解除去するリフトオフ法で版パターン部を形成する版の再生方法。 - 請求項6から12の何れか一項における版を再生する方法であって、
再生する対象の前記版の裏面露光光透過性層の上から版パターン部と離型性層とを除去した後に、前記裏面露光光透過性層の上に、硬化した転写用インクに対して離型性を有する離型性層を設け、この離型性層の上の版面形成位置に感光性の版材を膜状に形成し、前記裏面露光光透過性層の下位にある上記遮光性膜をフォトマスクとして裏面露光法によって該感光性の版材を露光し、現像して版パターン部を形成することを特徴とする版の再生方法。 - 請求項6から12の何れか一項における版を再生する方法であって、
再生する対象の前記版の裏面露光光透過性層の上から版パターン部と離型性層とを除去した後に、前記裏面露光光透過性層の上に、硬化した転写用インクに対して離型性を有する離型性層を設け、この離型性層の上の版面形成位置に感光性材料を膜状に形成し、前記裏面露光光透過性層の下位である上記遮光性膜をフォトマスクとして裏面露光法によって該感光性材料を露光し、現像して形成した感光性材料のパターン層の逆パターンにして、前記感光性材料のパターン層を溶解除去するリフトオフ法で版パターン部を形成する版の再生方法。 - 請求項7から12の何れか一項における版を再生する方法であって、
再生する対象の前記版の版パターン部と離型性層と保護層とを除去した後、上記遮光性膜を覆うようにして保護層を設け、この保護層の上に、硬化した転写用インクに対して離型性を有する離型性層を設け、この離型性層の上の版面形成位置に感光性の版材を膜状に形成し、前記保護層の下位である前記遮光性膜をフォトマスクとして裏面露光法によって前記感光性の版材を露光し、現像して版パターン部を形成することを特徴とする版の再生方法。 - 請求項7から12の何れか一項における版を再生する方法であって、
再生する対象の前記版の版パターン部と離型性層と保護層とを除去した後、上記遮光性膜を覆うようにして保護層を設け、この保護層の上に、硬化した転写用インクに対して離型性を有する離型性層を設け、この離型性層の上の版面形成位置に感光性材料を膜状に形成し、前記保護層の下位である前記遮光性膜をフォトマスクとして裏面露光法によって前記感光性材料を露光し、現像して形成した感光性材料のパターン層の逆パターンにして、前記感光性材料のパターン層を溶解除去するリフトオフ法で版パターン部を形成する版の再生方法。 - 請求項8から12の何れか一項における版を再生する方法であって、
再生する対象の前記版の少なくとも一つの保護層とこの保護層から上位の層とを除去した後、上記遮光性膜の上にこの遮光性膜を覆う一層以上の保護層を設け、最上位の保護層の上に、硬化した転写用インクに対して離型性を有する離型性層を設け、この離型性層の上の版面形成位置に感光性の版材を膜状に形成し、前記保護層の下位である前記遮光性膜をフォトマスクとして裏面露光法によって該感光性の版材を露光し、現像して版パターン部を形成することを特徴とする版の再生方法。 - 請求項8から12の何れか一項における版を再生する方法であって、
再生する対象の前記版の少なくとも一つの保護層とこの保護層から上位の層とを除去した後、上記遮光性膜の上にこの遮光性膜を覆う一層以上の保護層を設け、最上位の保護層の上に、硬化した転写用インクに対して離型性を有する離型性層を設け、この離型性層の上の版面形成位置に感光性材料を膜状に形成し、前記保護層の下位である前記遮光性膜をフォトマスクとして裏面露光法によって前記感光性材料を露光し、現像して形成した感光性材料のパターン層の逆パターンにして、前記感光性材料のパターン層を溶解除去するリフトオフ法で版パターン部を形成する版の再生方法。
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JP2006343601A (ja) | 2006-12-21 |
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