JP4590831B2 - 表示装置、および画素回路の駆動方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機EL(Electroluminescence )ディスプレイなどの、電流値によって輝度が制御される電気光学素子を有する画素回路がマトリクス状に配列された画像表示装置のうち、特に各画素回路内部に設けられた絶縁ゲート型電界効果トランジスタによって電気光学素子に流れる電流値が制御される、いわゆるアクティブマトリクス型画像表示装置、並びに画素回路の駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
画像表示装置、たとえば液晶ディスプレイなどでは、多数の画素をマトリクス状に並べ、表示すべき画像情報に応じて画素毎に光強度を制御することによって画像を表示する。
これは有機ELディスプレイなどにおいても同様であるが、有機ELディスプレイは各画素回路に発光素子を有する、いわゆる自発光型のディスプレイであり、液晶ディスプレイに比べて画像の視認性が高い、バックライトが不要、応答速度が速い、等の利点を有する。
また、各発光素子の輝度はそれに流れる電流値によって制御することによって発色の階調を得る、すなわち発光素子が電流制御型であるという点で液晶ディスプレイなどとは大きく異なる。
【0003】
有機ELディスプレイにおいては、液晶ディスプレイと同様、その駆動方式として単純マトリクス方式とアクティブマトリクス方式とが可能であるが、前者は構造が単純であるものの、大型かつ高精細のディスプレイの実現が難しいなどの問題がある。
そのため、各画素回路内部の発光素子に流れる電流を、画素回路内部に設けた能動素子、一般にはTFT(Thin Film Transistor、薄膜トランジスタ)によって制御する、アクティブマトリクス方式の開発が盛んに行われている。
【0004】
図8は、一般的な有機EL表示装置の構成を示すブロック図である。
この表示装置1は、図8に示すように、画素回路(PXLC)2aがm×nのマトリクス状に配列された画素アレイ部2、水平セレクタ(HSEL)3、ライトスキャナ(WSCN)4、水平セレクタ3により選択され輝度情報に応じたデータ信号が供給されるデータ線DTL1〜DTLn、およびライトスキャナ4により選択駆動される走査線WSL1〜WSLmを有する。
【0005】
図9は、図8の画素回路2aの一構成例を示す回路図である(たとえば特許文献1、2参照)。
図9の画素回路は、多数提案されている回路のうちで最も単純な回路構成であり、いわゆる2トランジスタ駆動方式の回路である。
【0006】
図9の画素回路2aは、pチャネル薄膜電界効果トランジスタ(以下、TFTという)11およびTFT12、キャパシタC11、発光素子である有機EL素子(OLED)13を有する。また、図9において、DTLはデータ線を、WSLは走査線をそれぞれ示している。
有機EL素子は多くの場合整流性があるため、OLED(Organic Light Emitting Diode)と呼ばれることがあり、図9その他では発光素子としてダイオードの記号を用いているが、以下の説明においてOLEDには必ずしも整流性を要求するものではない。
図9ではTFT11のソースが電源電位VCCに接続され、発光素子13のカソード(陰極)は接地電位GNDに接続されている。図9の画素回路2aの動作は以下の通りである。
【0007】
ステップST1:
走査線WSLを選択状態(ここでは低レベル)とし、データ線DTLに書き込み電位Vdataを印加すると、TFT12が導通してキャパシタC11が充電または放電され、TFT11のゲート電位はVdataとなる。
【0008】
ステップST2:
走査線WSLを非選択状態(ここでは高レベル)とすると、データ線DTLとTFT11とは電気的に切り離されるが、TFT11のゲート電位はキャパシタC11によって安定に保持される。
【0009】
ステップST3:
TFT11および発光素子13に流れる電流は、TFT11のゲート・ソース間電圧Vgsに応じた値となり、発光素子13はその電流値に応じた輝度で発光し続ける。
上記ステップST1のように、走査線WSLを選択してデータ線に与えられた輝度情報を画素内部に伝える操作を、以下「書き込み」と呼ぶ。
上述のように、図9の画素回路2aでは、一度Vdataの書き込みを行えば、次に書き換えられるまでの間、発光素子13は一定の輝度で発光を継続する。
【0010】
上述したように、画素回路2aでは、駆動(ドライブ)トランジスタであるFET11のゲート印加電圧を変化させることで、EL発光素子13に流れる電流値を制御している。
このとき、pチャネルのドライブトランジスタのソースは電源電位VCCに接続されており、このTFT11は常に飽和領域で動作している。よって、下記の式1に示した値を持つ定電流源となっている。
【0011】
【数1】
Ids=1/2・μ(W/L)Cox(Vgs−|Vth|)2 …(1)
【0012】
ここで、μはキャリアの移動度を、Coxは単位面積当たりのゲート容量を、Wはゲート幅を、Lはゲート長を、VgsはTFT11のゲート・ソース間電圧を、VthはTFT11のしきい値Vthをそれぞれ示している。
【0013】
単純マトリクス型画像表示装置では、各発光素子は、選択された瞬間にのみ発光するのに対し、アクティブマトリクスでは、上述したように、書き込み終了後も発光素子が発光を継続するため、単純マトリクスに比べて発光素子のピーク輝度、ピーク電流を下げられるなどの点で、とりわけ大型・高精細のディスプレイでは有利となる。
【0014】
しかしながら、TFTは一般的にVthや移動度μのバラツキが大きい。そのため、同じ入力電圧が異なるドライブトランジスタのゲートに印加されても、そのオン電流はばらついてしまい、その結果、画質のユニフォーミティが劣化してしまう。
【0015】
この問題を改善するため多数の画素回路が提案されているが、代表例を図10に示す(たとえば特許文献3、または特許文献4参照)。
【0016】
図10の画素回路2bは、pチャネルTFT21〜TFT24、キャパシタC21,C22、発光素子である有機EL発光素子(OLED)25を有する。また、図10において、DTLはデータ線を、WSLは走査線を、AZLはオートゼロ線を、DSLは駆動線をそれぞれ示している。
【0017】
この画素回路2bの動作について、図11(A)〜(G)に示すタイミングチャートを参照しながら以下に説明する。
図11(A)は画素配列の第1行目の走査線WSL1に印加される走査信号ws〔1〕を、図11(B)は画素配列の第2行目の走査線WSL2に印加される走査信号ws〔2〕を、図11(C)は画素配列の第1行目のオートゼロ線AZL1に印加されるオートゼロ信号az〔1〕を、図11(D)は画素配列の第2行目のオートゼロ線AZL2に印加されるオートゼロ信号az〔2〕を、図11(E)は画素配列の第1行目の駆動線DSL1に印加される駆動信号ds〔1〕を、図11(F)は画素配列の第2行目の駆動線DSL2に印加される駆動信号ds〔2〕を、図11(G)はTFT21のゲート電位Vgをそれぞれ示している。
なお、以下では、第1行目の画素回路の動作について説明する。
【0018】
図11(C),(E)に示すように、駆動線DSL1への駆動信号ds〔1〕、オートゼロ線AZL1へのオートゼロ信号az〔1〕を低レベルとし、TFT22およびTFT23を導通状態とする。このときTFT21はダイオード接続された状態で発光素子(OLED)25と接続されるため、TFT21に電流が流れる。このとき、TFT21のゲート電位Vgは、図11(G)に示すように、降下する。
【0019】
図11(E)に示すように、駆動線DSL1への駆動信号ds〔1〕を高レベルとし、TFT22を非導通状態とする。このとき走査線WSL1への走査信号ws〔1〕は、図11(A)に示すように、高レベルでTFT24が非導通状態に保持されている。
TFT22が非導通状態となったことに伴い、発光素子25に流れる電流が遮断されるため、図11(G)に示すように、TFT21のゲート電位Vgは上昇するが、その電位がVcc−|Vth| まで上昇した時点でTFT21は非導通状態となって電位が安定する。この動作を「オートゼロ動作」と称する。
【0020】
図11(C)に示すように、オートゼロ線AZL1へのオートゼロ信号az〔1〕を高レベルとしてTFT23を非導通状態としてオートゼロ動作(Vth補正動作)を終了させた後、駆動線DSL1への駆動信号ds〔1〕を低レベルとし、TFT22を導通状態とする。
【0021】
そして、走査線WSL1への走査信号ws〔1〕を、図11(A)に示すように、低レベルとしてTFT24が導通状態として、データ線DTL1に伝搬された所定電位のデータ信号をキャパシタC21に印加させる。これにより、図11(G)に示すように、キャパシタC21を介してTFT21のゲート電位をΔVgだけ低下させる。
図11(A)に示すように、走査線WSL1を高レベルとしてTFT24を非導通状態とする。
これにより、TFT21およびEL発光素子(OLED)25に電流が流れ、EL発光素子25が発光を開始する。
【0022】
【特許文献1】
USP5,684,365
【特許文献2】
特開平8−234683号公報
【特許文献3】
USP6,229,506
【特許文献4】
特表2002−514320号公報のFIG.3
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、図10の画素回路では、EL発光素子25が発光していない期間に、オートゼロスイッチであるTFT23をオンすることで、ドライブトランジスタTFT21をカットオフの状態にする。カットオフ状態ではこのトランジスタTFT21に電流は流れないので、そのゲート・ソース電圧Vgsは各々のトランジスタのしきい値Vthと等しくなっており、画素毎のVthバラツキはキャンセルされている。
次に、TFT23をオフした後、TFT24をオンすることで、データ線電圧を画素内のキャパシタC21を通してドライブトランジスタTFT21のゲートに電圧ΔVがカップリングされる。このカップリング量がV0であるとすると、ドライブトランジスタTFT21はVthによらず、Vgs−Vth=V0に相当したオン電流が流れ、Vthバラツキによるユニフォーミティにむらの無い画質が得られる。
【0024】
ところが、図10の画素回路においては、Vthバラツキを補正することができても、移動度μのバラツキを補正することはできない。
以下、この課題について、図面に関連付けてさらに詳細に説明する。
【0025】
図12は、図10の画素回路での移動度の異なるドライブトランジスタのΔV(=Vgs−Vth)とドレイン・ソース間電流Idsの特性曲線を示す図である。
図12において、横軸が電圧ΔVを、縦軸が電流Idsをそれぞれ表している。また、図12において、実線で示す曲線が画素Aの特性を、破線で示す曲線が画素Bの特性を示している。
【0026】
図12に示すように、実線で示す画素Aの特性と破線で示す画素Bの特性において、移動度が異なっている。
図10の画素回路方式では、オートゼロ点(ΔV=V0)では、移動度が異なる画素トランジスタでも電流値が等しい。
しかしながら、その後電圧が上昇するにつれて、移動度μのバラツキが電流値に現れてしまう。
たとえば、移動度が異なる画素Aと画素Bにおいて、同じ電圧ΔV=V0が印加されているときも、上記式1に従い電流Idsのバラツキが発生し、その画素の輝度が異なってしまう。
つまり、電流値が多く流れ、明るくなるにつれて電流値は移動度のバラツキを受けてしまい、ユニフォーミティはばらつき、画質は劣化してしまう。
【0027】
また、図13は、ドライブトランジスタのしきい値Vthが異なる画素C,Dでのオートゼロ動作時のドライブトランジスタのゲート電圧の変化を示す図である。
図13において、横軸が時間tを、縦軸がゲート電圧vgをそれぞれ表している。また、図13において、実線で示す曲線が画素Cの特性を、破線で示す曲線が画素Dの特性を示している。
【0028】
オートゼロは、ドライブトランジスタのゲートとソースを接続することにより行われるが、カットオフ領域に近づくにつれて、そのオン電流も急速に減少してくる。
そのため、完全にカットオフししきい値のバラツキがキャンセルするまでには、長い時間を必要とする。図13に示したように、オートゼロ時間が不十分だと画素Cは完全にしきい値Vthのバラツキがキャンセルされない。
このように、しきい値Vthのバラツキにより、ゲート電圧の書込み状態もばらつき、これによるユニフォーミティが劣化することも推察される。
【0029】
また、十分にオートゼロの時間をとってしきい値Vthのバラツキをキャンセルしても、カットオフ後にドライブトランジスタにはオフ電流が微量ながら流れてしまう。
そのため、図14に示すように、ゲート電圧は電源電圧Vccに向かって徐々に上昇してしまう。その結果、一度オートゼロにてしきい値Vthのバラツキのキャンセルがなされたにもかかわらず、最終的にしきい値Vthのばらついている画素のゲート電位が電源電圧に向かってそろうために、再度しきい値Vthのバラツキが現れてしまう。
【0030】
以上より、実デバイスではしきい値Vthのバラツキのキャンセルを効果的に行うためには、オートゼロ期間をパネル毎に最適に調整する必要がある。
しかしながら、このパネル毎の最適なオートゼロ期間の調整には、膨大な調整時間がかかり、パネルのコストを上げてしまう。
【0031】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、画素内部の能動素子のしきい値のバラツキはもとより、移動度のバラツキによらず、安定かつ正確に各画素の発光素子に所望の値の電流を供給でき、その結果として高品位な画像を表示することが可能な表示装置、および画素回路の駆動方法を提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点は、マトリクス状に複数配列された、流れる電流によって輝度が変化する電気光学素子および当該電気光学素子を駆動するための駆動トランジスタを含む画素回路と、上記画素回路のマトリクス配列に対して列毎に配線され、輝度情報に応じたデータ信号が供給されるデータ線と、第1および第2の基準電位と、上記画素回路のマトリクス配列に対して列毎に設けられ、電圧検出モード時には基準電流を、また、通常モード時には上記電圧検出モード時に上記基準電流を流したときの上記駆動トランジスタのゲート電圧に相当する電圧を、各列毎の画素回路に供給する複数の供給手段と、を有し、上記画素回路は、第1、第2、および第3のノードと、上記第1のノードに接続された第1端子と第2端子間で電流供給ラインを形成し、上記第2のノードに接続された制御端子の電位に応じて上記電流供給ラインを流れる電流を制御する上記駆動トランジスタと、上記第1のノードに接続された第1のスイッチと、上記第1のノードと上記第2のノードとの間に接続された第2のスイッチと、上記データ線と上記第3のノードとの間に接続された第3のスイッチと、上記第1のノードと上記供給手段との間に接続された第4のスイッチと、上記第2のノードと上記第3のノードとの間に接続された結合キャパシタと、を有し、上記第1の基準電位と第2の基準電位との間に、上記駆動トランジスタの電流供給ライン、上記第1のノード、上記第1のスイッチ、および上記電気光学素子が直列に接続され、上記各供給手段は、電圧検出モード時において、上記第2および第4のスイッチが導通状態にある時に、上記第1のノードに対して上記基準電流を流したときの上記駆動トランジスタのゲートの電圧値を記憶しておき、通常モード時において、上記第2および第4のスイッチが導通状態にある時に、上記記憶した値に相当する電圧を上記第1のノードに供給する。
【0034】
好適には、上記供給手段は、基準電流源と、基準電流または電圧が供給される電流電圧供給線と、上記第2および第4のスイッチが導通状態にある時に、上記第1のノードに対して上記基準電流を流したときの上記駆動トランジスタのゲート電圧値を書き込み可能な記憶回路と、上記記憶回路に記憶された値の電圧を上記電流電圧供給線に出力する電圧出力回路と、電圧検出モード時には、上記基準電流源と上記電流電圧供給線とを接続して、上記第2および第4のスイッチが導通状態にある時に、上記第1のノードに対して上記基準電流を流したときの上記駆動トランジスタのゲート電圧値を上記電流電圧供給線を通して上記記憶回路に伝達させて記憶させ、通常モード時には、上記電圧出力回路と上記電流電圧供給線とを接続して、上記記憶回路に記憶された値の電圧を上記電流電圧供給線に出力させるスイッチ回路と、を含む。
【0035】
好適には、通常モード時には、第1ステージとして、上記第2のスイッチ、および上記第4のスイッチが所定時間導通させられ上記第1のノードと上記第2のノードとを電気的に接続し、かつ第1のノードに記憶した値に相当する電圧を供給させ、第2ステージとして、上記第2のスイッチおよび上記第4のスイッチが非導通状態に保持され、第3ステージとして、上記第3のスイッチが導通させられ、上記第1のスイッチが導通させられて、上記データ線を伝播されるデータが上記第3のノードに書き込まれた後、上記第3のスイッチが非導通状態に保持され、上記電気光学素子に上記データ信号に応じた電流を供給する。
【0036】
好適には、上記電圧検出モード時の動作周波数は、上記通常モード時の動作周波数より低く設定される。
【0037】
好適には、上記基準電流の値は、上記電気光学素子の発光の中間色に相当する値に設定されている。
【0038】
本発明の第3の観点は、流れる電流によって輝度が変化する電気光学素子と、輝度情報に応じたデータ信号が供給されるデータ線と、第1、第2、および第3のノードと、上記第1のノードに接続された第1端子と第2端子間で電流供給ラインを形成し、上記第2のノードに接続された制御端子の電位に応じて上記電流供給ラインを流れる電流を制御する駆動トランジスタと、上記第1のノードに接続された第1のスイッチと、上記第1のノードと上記第2のノードとの間に接続された第2のスイッチと、上記データ線と上記第3のノードとの間に接続された第3のスイッチと、上記第2のノードと上記第3のノードとの間に接続された結合キャパシタと、を有し、第1の基準電位と第2の基準電位との間に、上記駆動トランジスタの電流供給ライン、上記第1のノード、上記第1のスイッチ、および上記電気光学素子が直列に接続されている画素回路を有する表示装置における画素回路の駆動方法であって、上記表示装置は、電圧検出モード時に、上記第2のスイッチを所定時間導通させて上記第1のノードと上記第2のノードとを電気的に接続し、かつ上記第1のノードに所定の基準電流を供給し、上記第1のノードに対して上記基準電流を流したときの上記駆動トランジスタのゲートの電圧値を記憶しておき、通常モード時に、上記第2のスイッチを所定時間導通させて上記第1のノードと上記第2のノードとを電気的に接続し、かつ上記第1のノードに記憶した値に相当する電圧を供給し、所定時間経過後に上記第2のスイッチを非導通状態に保持し、上記電圧の供給を停止し、上記第3のスイッチを導通させ、上記第1のスイッチを導通させて、上記データ線を伝播されるデータを上記第3のノードに書き込んだ後、上記第3のスイッチを非導通状態に保持して、上記電気光学素子に上記データ信号に応じた電流を供給する。
【0039】
本発明によれば、たとえば電圧検出モード時において、電流電圧供給線に電流源により基準電流が流される。
そして、第2のスイッチ、および第4のスイッチを導通状態に保持する。このとき、第2のスイッチおよび第4のスイッチがオンし、第1のノード、第2のノードは、電流電圧供給線を通して基準電流源に接続され、基準電流を引いているために、画素のオン電流が基準電流に一致するように、ドライブトランジスタのゲート電圧値が設定される。
これにより、しきい値や移動度μがばらついている全ての画素に対しての補正(オートゼロ動作)が実行される。
このように、通常の画出しをして使用する前に、基準電流を画素回路に入力し、しきい値Vtの補正を行うときには、Vth補正の時間を通常の100,000倍程度の数十秒程度行うことで、いかに大画面パネルにてデータ線の配線容量が大きく(重く)ても、基準電流をしきい値Vthのバラツキの影響を受けることなく書き込むことができる。
このバラツキのない駆動トランジスタのゲート電圧値が記憶回路に書き込まれる。
この電圧値を、各画素回路毎に記憶回路に記憶する。この動作を一画面にて行い、全ての画素の基準電圧に対するゲート電圧値を抽出し、記憶する。
【0040】
次に、通常の画出しをして使用する通常モード時には、記憶回路に記憶した値の電圧が電流電圧供給線に供給される。
そして、第2のスイッチ、および第4のスイッチを導通状態に保持する。このとき、第2のスイッチおよび第4のスイッチがオンし、第1のノード、第2のノードに記憶した値の電圧が供給され、駆動トランジスタのゲート電圧値が設定される。
これにより、しきい値や移動度μがばらついている全ての画素に対しての補正(オートゼロ動作)が実行される。
次に、第2および第4のスイッチを非導通状態としてオートゼロ動作(Vth補正動作)を終了させた後、たとえば第1のスイッチを導通状態とする。
また、第1の制御線により第3のスイッチを導通状態として、データ線に伝搬された所定電位のデータ信号を結合キャパシタに印加させる。これにより、結合キャパシタを介して入力データ信号がドライブトランジスタのゲート電圧にカップリングされ、カップリング電圧ΔVに相当する値の電流が電気光学素子に流れ、発光する。
そして、第3のスイッチを非導通状態とする。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に関連付けて説明する。
【0042】
図1は、本実施形態に係る画素回路を採用した有機EL表示装置の構成を示すブロック図である。
図2は、図1の有機EL表示装置において本実施形態に係る画素回路の具体的な構成を示す回路図である。
【0043】
この表示装置100は、図1および図2に示すように、画素回路(PXLC)101がm×nのマトリクス状に配列された画素アレイ部102、水平セレクタ(HSEL)103、ライトスキャナ(WSCN)104、ドライブスキャナ(DSCN)105、オートゼロ回路(AZRD)106、基準電流・電圧供給回路(RIS/VOC)107−1〜107−n、水平セレクタ103により選択され輝度情報に応じたデータ信号が供給されるデータ線DTL101〜DTL10n、ライトスキャナ104により選択駆動される走査線WSL101〜WS10m、ドライブスキャナ105により選択駆動される駆動線DSL101〜DSL10m、オートゼロ回路106により選択駆動されるオートゼロ線AZL101〜AZL10m、および基準電流・電圧供給回路107−1〜107−nによる基準電流および所定の電圧が選択的に供給される電流電圧供給線IVSL101〜IVSL10nを有する。
【0044】
なお、画素アレイ部102において、画素回路101はm×nのマトリクス状に配列されるが、図1においては図面の簡単化のために2(=m)×3(=n)のマトリクス状に配列した例を示している。
また、図2においても、図面の簡単化のために一つの画素回路101および基準電流・電圧供給回路107−1の具体的な構成を示している。
【0045】
本実施形態に係る画素回路101は、図2に示すように、pチャネルTFT111〜TFT115、キャパシタC111,C112、有機EL素子(OLED:電気光学素子)からなる発光素子116、第1のノードND111、第2のノードND112、および第3のノードND113を有する。
また、図2において、DTL101はデータ線を、WSL101は走査線を、DSL101は駆動線、AZL101はオートゼロ線をそれぞれ示している。
これらの構成要素のうち、TFT111が本発明に係るドライブ(駆動)トランジスタを構成し、TFT112が第1のスイッチを構成し、TFT113が第2のスイッチを構成し、TFT114が第3のスイッチを構成し、TFT115が第4のスイッチを構成し、キャパシタC111が本発明に係る結合キャパシタを構成している。
【0046】
また、基準電流・電圧供給回路107−1〜107−nにより供給手段が構成されている。
たとえば、通常の画出しをして使用する前に、電流電圧供給線IVSL101には基準電流Iref(たとえば2μA)が流される。基準電流Irefは、移動度のバラツキも補正できるように、発光素子116の発光の中間色に相当する電流値に設定される。
この電流電圧供給線IVSL101に基準電流Irefを流してしきい値Vthおよび移動度のバラツキを補正したときの、ドライブトランジスタとしてのTFT111のゲート電圧(第1および第2のノードの電位)を電流電圧供給線IVSL101の端子電圧として検出してメモリに書き込んでおく。
そして、通常の画出しをする場合には、メモリに書き込んでおいた値の電圧を電流電圧供給線IVSL101に出力する。
【0047】
また、電源電圧VCCの供給ライン(電源電位)が第1の基準電位に相当し、接地電位GNDが第2の基準電位に相当している。
【0048】
画素回路101において、電源電位VCCと接地電位GNDとの間にTFT111、第1のノードND111、TFT112、および発光素子116が直列に接続されている。
具体的には、ドライブトランジスタとしてのTFT111のソースが電源電圧VCCの供給ラインに接続され、ドレインが第1のノードND111に接続されている。第1のスイッチとしてのTFT112のソースが第1のノードND111に接続され、ドレインが発光素子116のアノードに接続され、発光素子116のカソードが接地電位GNDに接続されている。そして、TFT111のゲートが第2のノードND112に接続され、TFT112のゲートが駆動線DSL101に接続されている。
第1のノードND111と第2のノードND112とに、第2のスイッチとしてのTFT113のソース・ドレインが接続され、TFT113のゲートがオートゼロ線AZL101に接続されている。
キャパシタC111の第1電極が第2のノードND112に接続され、第2電極が第3のノードND113に接続されている。また、キャパシタC112の第1電極が第3のノードND113に接続され、第2電極が電源電位VCCに接続されている。
データ線DTL101と第3のノードND113とに第3のスイッチとしてのTFT114のソース・ドレインが接続され、TFT114のゲートが走査線WSL101に接続されている。
さらに、第1のノードND111と電流電圧供給線IVSL101との間に第4のスイッチとしてのTFT115のソース・ドレインが接続され、TFT115のゲートがオートゼロ線AZL101に接続されている。
【0049】
本実施形態に係る基準電流・電圧供給回路107−1(〜107−n)は、図2に示すように、基準電流源I107、nチャネルTFT1071,1072、pチャネルTFT1073、記憶回路(MEM)1074、および電圧出力回路としてのボルテージフォロワ回路1075を有している。
nチャネルTFT1071,1072、およびpチャネルTFT1073により本発明に係るスイッチ回路が構成される。
【0050】
電流電圧供給線IVSL101の一端部T107と基準電流源I107との間にTFT1071とTFT1072が直列に接続され、電流電圧供給線IVSL101の一端部T107とボルテージフォロワ回路1075の出力との間にTFT1073が接続されている。
そして、TFT1071〜1073のゲートが図示しない制御系によるセレクタパルスPSEL の供給ラインに接続されている。
また、TFT1071とTFT1072の接続点(ソース・ドレインの接続点)ND107が記憶回路の電圧入出力ラインに接続されている。
【0051】
記憶回路1074は、図示しない制御系によるライトコマンドWRを受けて、クロック信号CLKに同期して、電流電圧供給線IVSL101に基準電流Irefを流してしきい値Vthおよび移動度のバラツキを補正したときの、ドライブトランジスタとしてのTFT111のゲート電圧(第1および第2のノードの電位)を電流電圧供給線IVSL101の端子電圧として検出してその値を書き込んでおく。
記憶回路1074は、図示しない制御系によるリードコマンドRDを受けて、記憶した電圧値に相当する電圧信号をボルテージフォロワ回路1075の非反転入力(+)に出力する。
【0052】
ボルテージフォロワ回路1075は、反転入力(−)に出力が帰還されている回路で、記憶回路1074による電圧信号に応じた値の電圧をTFT1073を介して電流電圧供給線IVSL101に出力する。
【0053】
なお、図示しない制御系により供給されるセレクタパルスPSEL は、制御系がライトコマンドWRを発しているときはハイレベルに設定され、リードコマンドRDを発しているときはローレベルに設定される。
また、パネルのマスタクロック信号は、その周波数が図示しない制御系がライトコマンドWRを発しているとき、換言すれば、通常の画出しをして使用する前のゲート電圧検出モード時に、たとえば通常の画出しを行う場合のフィールド周波数60Hzより十分に低い周波数に設定される。
一方、パネルのマスタクロック信号は、その周波数が図示しない制御系がリードコマンドWRを発しているとき、換言すれば、通常の画出しを行う通常ノード時には、通常の画出しをする場合のフィールド周波数60Hzに設定される。
【0054】
次に、上記構成の動作を、基準電流・電圧供給回路および画素回路の動作を中心に、図3、図4、および図5(A)〜(G)に関連付けて説明する。
図5(A)は画素配列の第1行目の走査線WSL101に印加される走査信号ws〔1〕を、図5(B)は画素配列の第2行目の走査線WSL102に印加される走査信号ws〔2〕を、図5(C)は画素配列の第1行目のオートゼロ線AZL101に印加されるオートゼロ信号az〔1〕を、図5(D)は画素配列の第2行目のオートゼロ線AZL102に印加されるオートゼロ信号az〔2〕を、図5(E)は画素配列の第1行目の駆動線DSL101に印加される駆動信号ds〔1〕を、図5(F)は画素配列の第2行目の駆動線DSL102に印加される駆動信号ds〔2〕を、図5(G)はTFT111のゲート電位Vgをそれぞれ示している。また、Voは基準電流Irefを流すドライブトランジスタTFT111のゲート電圧値を示している。
なお、以下では、第1行目の画素回路の動作について説明する。
【0055】
まず、通常の画出しをして使用する前のゲート電圧検出モード時に、図示しない制御系によりセレクタパルスPSEL がハイレベルに設定されて基準電流・電圧供給回路107−1(〜−n)に供給される。これと並行して、図示しない制御系からはライトコマンドWRが基準電流・電圧供給回路107−1(〜−n)の記憶回路1074に発せられる。
このとき、基準電流・電圧供給回路107−1(〜−n)では、TFT1071,1072が導通状態となり、TFT1073が非導通状態となる。したがって、基準電流・電圧供給回路107−1(〜−n)は図3の等価回路に示すように、電流電圧供給線IVSL101に対して基準電流源I107が接続され、かつ、ノードND107が記憶回路1074の電圧入出力ラインに接続された構成となる。
そして、このとき画素アレイ部102を含むパネル部は、通常の画出しをする場合に後記するようにしきい値Vthの補正を行う場合の100,000倍程度の数十秒程度をかけて行うにようにマスタクロック信号の周波数が設定される。
【0056】
この状態で、電流電圧供給線IVSL101には定電流源107により基準電流Iref(たとえば2μA)が流される。
駆動線DSL101への駆動信号ds〔1〕が高レベルの状態(TFT112が非導通状態)で、オートゼロ線AZL101へのオートゼロ信号az〔1〕を低レベルとし、TFT113とTFT115を導通状態とする。
【0057】
このとき、TFT115がオンし、第1のノードND111、第2のノードND112は、電流電圧供給線IVSL101を通して基準電流源I107に接続され、基準電流Irefを引いているために、画素のオン電流が基準電流Irefに一致するように、ドライブトランジスタTFT111のゲート電圧値Voが設定される。
これにより、しきい値や移動度μがばらついている全ての画素に対しての補正(オートゼロ動作)が実行される。
【0058】
オートゼロ線AZL101へのオートゼロ信号az〔1〕を高レベルとしてTFT113、TFT115を非導通状態としてオートゼロ動作(Vth補正動作)を終了させる。
【0059】
このように、通常の画出しをして使用する前に、基準電流Irefを画素アレイ部102に入力し、しきい値Vtの補正を行うときには、上述したように、Vth補正の時間を通常の100,000倍程度の数十秒程度行うことで、いかに大画面パネルにてデータ線の配線容量が大きく(重く)ても、基準電流Irefをしきい値Vthのバラツキの影響を受けることなく書き込むことができる。
このバラツキのないTFT111のゲート電位が、TFT113,114、電流電圧供給線IVSL101を介してノードND107に伝搬され、その電圧値が記憶回路1074に書き込まれる。
この電圧値を、各画素回路毎に記憶回路1074に記憶する。この動作を一画面にて行い、全ての画素の基準電圧Irefに対するゲート電圧値を抽出し、記憶する。
【0060】
次に、通常の画出しをして使用する通常モード時には、図示しない制御系によりセレクタパルスPSEL がローレベルに設定されて基準電流・電圧供給回路107−1(〜−n)に供給される。これと並行して、図示しない制御系からはリードコマンドRDが基準電流・電圧供給回路107−1(〜−n)の記憶回路1074に発せらる。
このとき、基準電流・電圧供給回路107−1(〜−n)では、TFT1071,1072が非導通状態となり、TFT1073が導通状態となる。したがって、基準電流・電圧供給回路107−1(〜−n)は図4の等価回路に示すように、電流電圧供給線IVSL101に対してボルテージフォロワ回路1075の出力が接続され、かつ、記憶回路1074の電圧入出力ラインがボルテージフォロワ回路1075の非反転入力(+)に接続された構成となる。
そして、このとき画素アレイ部102を含むパネル部は、たとえば通常の画出しをする場合のフィールド周波数60Hzによりしきい値Vthの補正を行うようにマスタクロック信号の周波数が設定される。
【0061】
この場合、電流電圧供給線IVSL101には定電流源107による基準電流Iref(たとえば2μA)の代わりに、記憶回路1074に記憶された値の電圧値に相当する電圧が、ボルテージフォロワ回路1075により電流電圧供給線IVSL101に出力される。この電圧値は、各画素回路毎のTFT111のしきい値Vthのバラツキを反映した値となっている。
【0062】
図5(C),(E)に示すように、駆動線DSL101への駆動信号ds〔1〕が高レベルの状態(TFT112が非導通状態)で、オートゼロ線AZL101へのオートゼロ信号az〔1〕を低レベルとし、TFT113とTFT115を導通状態とする。
【0063】
このとき、TFT115がオンし、第1のノードND111、第2のノードND112には、電流電圧供給線IVSL101を通して各画素毎のTFT111のしきい値Vthのバラツキを反映した値の電圧が供給される。
これにより、図5(G)に示すように、ドライブトランジスタTFT111のゲート電圧値Voが設定される。この電圧の各画素回路101への書き込みは、たとえば水平ブランキング期間内に行われる。
これにより、しきい値や移動度μがばらついている全ての画素に対しての補正(オートゼロ動作)が実行される。
【0064】
この場合、電圧入力であるので、大画面パネルにてデータ線の配線容量が大きくても、水平ブランキン期間程度の短時間にて十分に充電される。これにより、基準電流Irefを基準としたしきい値Vthの補正を行うことと同等になる。また、このしきい値Vthの補正は、各画素回路101のTFT111のしきい値Vthのバラツキの影響を全く受けないので、しきい値Vthのバラツキと移動度μのバラツキを完全にキャンセルした高ユニフォーミティの画質を得ることができる。
【0065】
図5(C)に示すように、オートゼロ線AZL1へのオートゼロ信号az〔1〕を高レベルとしてTFT113、TFT115を非導通状態としてオートゼロ動作(Vth補正動作)を終了させた後、図5(E)に示すように、駆動線DSL1への駆動信号ds〔1〕を低レベルとし、TFT112を導通状態とする。
【0066】
そして、走査線WSL1への走査信号ws〔1〕を、図5(A)に示すように、低レベルとしてTFT114を導通状態として、データ線DTL101に伝搬された所定電位のデータ信号をキャパシタC111に印加させる。これにより、図5(G)に示すように、キャパシタC111を介して入力データ信号がTFT111のゲート電圧にカップリングされ、カップリング電圧ΔVに相当する値の電流IdsがEL発光素子116に流れ、発光する。
そして、図5(A)に示すように、走査線WSL101を高レベルとしてTFT114を非導通状態とする。
【0067】
図6は、図2の画素回路での移動度の異なるドライブトランジスタのΔV(=Vgs−Vth)とドレイン・ソース間電流Idsの特性曲線を示す図である。
図6において、横軸が電圧ΔVを、縦軸が電流Idsをそれぞれ表している。また、図6において、実線で示す曲線が画素Aの特性を、破線で示す曲線が画素Bの特性を示している。
【0068】
図6に示すように、本画素回路では、上述した通りにバラツキ補正時(ΔV=0)には、しきい値Vthや移動度μの異なる画素においても、ドライブトランジスタTFT111には基準電流Irefに相当する電流が流れる。その後、カップリング電圧ΔVに相当するオン電流が流れる。
本画素回路は、従来方式での移動度が異なるグラフ(図12)を平行移動させ、電流値Irefにて交わらせたものと同等である。
つまり、基準電流Irefをセンタに移動度μのバラツキが発生するので、図6に示したように、白表示時の移動度バラツキによるオン電流のバラツキは抑制される。これにより、よりユニフォーミティの良い有機ELパネルが得られるようになる。
【0069】
また、図7は、ドライブトランジスタのしきい値Vthが異なる画素C,Dでのオートゼロ動作時のドライブトランジスタのゲート電圧の変化を示す図である。
図7において、横軸が時間tを、縦軸がゲート電圧Vgをそれぞれ表している。また、図7において、実線で示す曲線が画素Cの特性を、破線で示す曲線が画素Dの特性を示している。
【0070】
上述したように、本画素回路では、基準電流Irefに相当する電流が流れるようにTFT111のゲート電位Vgが決定され、しきい値Vthのバラツキがキャンセルされる。
このように、基準電流Irefに相当する電流が流れたまましきい値Vthのバラツキがキャンセルされるので、Vthバラツキのキャンセルまでの時間は従来方式に比べて短くてすみ、しきい値Vthのバラツキのキャンセルが不完全になることがなく、ユニフォーミティのバラツキは発生しない。
また、しきい値Vthのバラツキをキャンセルした後も、TFT115を導通状態に保持している限り、記憶された値の電圧が供給されて基準電流Irefは流れ続け、図7に示すように、ゲート電圧は保持され続ける。
つまり、本画素回路では、ゲート電圧は保持され続けるので、しきい値Vthのバラツキに対して補正されたままゲート電圧は保持されている。
これにより、しきい値Vthが異なるパネルにおいても、オートゼロの設定時間に無関係にしきい値Vthの補正が行われる。その結果、ユニフォーミティが改善する。
【0071】
以上説明したように、本実施形態によれば、スイッチを通して、画素のドライブトランジスタに基準電流ラインを接続し、しきい値Vthのバラツキの補正を行うので、いわゆる白表示時での移動度によるオン電流のバラツキを抑制することができ、従来方式に比べて移動度バラツキに対するユニフォーミティを大幅に改善することができる。
また、各画素回路毎の駆動トランジスタのしきい値のバラツキを反映した値の電圧を入力してしきい値Vthのバラツキのキャンセルを行うので、従来に比べてしきい値Vthのバラツキのキャンセルにかかる時間が短縮され、しきい値Vthのバラツキによるユニフォーミティの劣化を防止できる。
さらに、一度、しきい値のバラツキがキャンセルされたら、その後ゲート電位は変動しないため、オートゼロの時間はしきい値Vthの絶対値に依存せず、オートゼロ時間の設定による工数の増加を抑制することができる。
また、本実施形態では、電圧入力であるので、大画面パネルにてデータ線の配線容量が大きくても、水平ブランキン期間程度の短時間にて十分に充電させることが可能となる。これにより、基準電流Irefを基準としたしきい値Vthの補正を行うことと同等になり、このしきい値Vthの補正は、各画素回路101のTFT111のしきい値Vthのバラツキの影響を全く受けないので、しきい値Vthのバラツキと移動度μのバラツキを、短時間にて完全にキャンセルでき、高ユニフォーミティの画質を得ることができる。
また、電流電圧供給線は、画素列毎に一本で良いことから画素レイアウトも容易となるという利点がある。
【0072】
なお、本実施形態では、基準電流源としていわゆる表示パネル内で生成する構成として説明したが、基準電流Irefをパネル外部から供給するように構成することも可能である。この場合、たとえば外部のMOSIC等にて基準電流Irefを生成し、パネルに入力するので、各々の電流電圧供給線毎の電流値のバラツキは少ない。
【0073】
また、本実施形態では、第2のスイッチとしてのTFT113のゲートと第4のスイッチとしてのTFT115のゲートを第3の制御線としてのオートゼロ線AZL101に接続した構成としたが、第2のスイッチとしてのTFT113のゲートを第1のオートゼロ線AZL101−1に接続し、第4のスイッチとしてのTFT115のゲートを第2のオートゼロ線AZL101−2に接続するように構成することも可能である。
このように、TFT113とTFT115を異なる制御線によりオンさせる場合、オンさせるタイミングはいずれが先(後)でもオートゼロ動作に影響はない。
ただし、ドライブパルスを減少させることができることから、本実施形態にように、共用の制御線により同一タイミングでオンする方が好ましい。
【0074】
また、本実施形態においては、ドライブスキャンとオートゼロとをオーバーラップしないように駆動制御しているが、オーバーラップさせることも可能である。オーバーラップさせた方が、ドライブトランジスタTFT111のカットオフを防止できる。
また、本実施形態においては、ライトスキャンの前にドライブスキャンをオンするように駆動制御しているが、これは同時であって、ドライブスキャンが後であっても構わない。
ライトスキャンの前にドライブスキャンをオンさせた方が、信号電圧書き込み時に、ドライブトランジスタTFT111が飽和駆動になっており、ゲート容量が小さくなることから、ライトスキャンの前にドライブスキャンをオンさせた方が好ましい。
【0075】
なお、上述した実施形態においては、オートゼロ回路(AZRD)106、ライトスキャナ(WSCN)104およびドライブスキャナ(DSCN)105のレイアウトとして、画素アレイ部102の図面において左側にオートゼロ回路(AZRD)106を配置し、右側にライトスキャナ(WSCN)104およびドライブスキャナ(DSCN)105を配置した場合を例に説明したが、すべて左側、あるいは右側に配置する、あるいは右側にオートゼロ回路(AZRD)106を配置し、左側にライトスキャナ(WSCN)104およびドライブスキャナ(DSCN)105を配置する、あるいは、オートゼロ回路(AZRD)106とライトスキャナ(WSCN)104またはドライブスキャナ(DSCN)105を組み合わせて左側あるいは右側に配置する等、種々の態様が可能である。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、白表示時での移動度によるオン電流のバラツキを抑制することができ、従来方式に比べて移動度のバラツキに対するユニフォーミティを大幅に改善することができる。
また、各画素回路毎の駆動トランジスタのしきい値のバラツキを反映した値の電圧を入力してしきい値のバラツキのキャンセルを行うので、しきい値のバラツキのキャンセルにかかる時間が短縮され、しきい値のバラツキによるユニフォーミティの劣化を防止できる。
さらに、一度しきい値のバラツキがキャンセルされたら、その後駆動トランジスタのゲート電位は変動しないため、いわゆるオートゼロの時間はしきい値の絶対値に依存せず、オートゼロ時間の設定による工数の増加を抑制することができる。
【0077】
以上のように、本発明によれば、画素内部の能動素子のしきい値のバラツキはもとより、移動度のバラツキによらず、安定かつ正確に各画素の発光素子に所望の値の電流を供給でき、その結果として高品位な画像を表示することが可能なとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る画素回路を採用した有機EL表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の有機EL表示装置において本実施形態に係る画素回路の具体的な構成を示す回路図である。
【図3】ゲート電圧検出モード時の動作を説明するための回路図である。
【図4】通常モード時の動作を説明するための回路図である。
【図5】本実施形態の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】図2の画素回路での移動度の異なるドライブトランジスタのΔV(=Vgs−Vth)とドレイン・ソース間電流Idsの特性曲線を示す図である。
【図7】図2の画素回路でのドライブトランジスタのしきい値Vthが異なる画素でのオートゼロ動作時のドライブトランジスタのゲート電圧の変化を示す図である。
【図8】一般的な有機EL表示装置の構成を示すブロック図である。
【図9】図8の画素回路の一構成例を示す回路図である。
【図10】オートゼロ機能を有する画素回路の構成例を示す回路図である。
【図11】図10の回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図12】図10の画素回路での移動度の異なるドライブトランジスタのΔV(=Vgs−Vth)とドレイン・ソース間電流Idsの特性曲線を示す図である。
【図13】ドライブトランジスタのしきい値Vthが異なる画素でのオートゼロ動作時のドライブトランジスタのゲート電圧の変化を示す図である。
【図14】図10の回路の課題を説明するための図である。
【符号の説明】
100…表示装置、101…画素回路(PXLC)、102…画素アレイ部、103…水平セレクタ(HSEL)、104…ライトスキャナ(WSCN)、105…ドライブスキャナ(DSCN)、106…オートゼロ回路(AZRD)、107…基準電流・電圧供給回路(RIS/VOC)、1071〜1073…TFT、1074…記憶回路、1075…ボルテージフォロワ回路、111…駆動トランジスタとしてのTFT、112…第1のスイッチとしてのTFT、113…第2のスイッチとしてのTFT、114…第3のスイッチとしてTFT、115…第4のスイッチとしてのTFT、DTL101〜DTL10n…データ線、WSL101〜WSL10m…走査線、DSL101〜DSL10m…駆動線、AZL101〜AZL10m…オートゼロ線、IVSL101〜IVSL10n…電流電圧供給線。
Claims (7)
- マトリクス状に複数配列された、流れる電流によって輝度が変化する電気光学素子および当該電気光学素子を駆動するための駆動トランジスタを含む画素回路と、
上記画素回路のマトリクス配列に対して列毎に配線され、輝度情報に応じたデータ信号が供給されるデータ線と、
第1および第2の基準電位と、
上記画素回路のマトリクス配列に対して列毎に設けられ、電圧検出モード時には基準電流を、また、通常モード時には上記電圧検出モード時に上記基準電流を流したときの上記駆動トランジスタのゲート電圧に相当する電圧を、各列毎の画素回路に供給する複数の供給手段と、を有し、
上記画素回路は、
第1、第2、および第3のノードと、
上記第1のノードに接続された第1端子と第2端子間で電流供給ラインを形成し、上記第2のノードに接続された制御端子の電位に応じて上記電流供給ラインを流れる電流を制御する上記駆動トランジスタと、
上記第1のノードに接続された第1のスイッチと、
上記第1のノードと上記第2のノードとの間に接続された第2のスイッチと、
上記データ線と上記第3のノードとの間に接続された第3のスイッチと、
上記第1のノードと上記供給手段との間に接続された第4のスイッチと、
上記第2のノードと上記第3のノードとの間に接続された結合キャパシタと、を有し、
上記第1の基準電位と第2の基準電位との間に、上記駆動トランジスタの電流供給ライン、上記第1のノード、上記第1のスイッチ、および上記電気光学素子が直列に接続され、
上記各供給手段は、電圧検出モード時において、上記第2および第4のスイッチが導通状態にある時に、上記第1のノードに対して上記基準電流を流したときの上記駆動トランジスタのゲートの電圧値を記憶しておき、通常モード時において、上記第2および第4のスイッチが導通状態にある時に、上記記憶した値に相当する電圧を上記第1のノードに供給する
表示装置。 - 上記供給手段は、基準電流源と、
上記画素回路のマトリクス配列に対して列毎に設けられ、基準電流または電圧が供給される電流電圧供給線と、
上記第2および第4のスイッチが導通状態にある時に、上記第1のノードに対して上記基準電流を流したときの上記駆動トランジスタのゲート電圧値を書き込み可能な記憶回路と、
上記記憶回路に記憶された値の電圧を上記電流電圧供給線に出力する電圧出力回路と、
電圧検出モード時には、上記基準電流源と上記電流電圧供給線とを接続して、上記第2および第4のスイッチが導通状態にある時に、上記第1のノードに対して上記基準電流を流したときの上記駆動トランジスタのゲート電圧値を上記電流電圧供給線を通して上記記憶回路に伝達させて記憶させ、通常モード時には、上記電圧出力回路と上記電流電圧供給線とを接続して、上記記憶回路に記憶された値の電圧を上記電流電圧供給線に出力させるスイッチ回路と、を含む
請求項1記載の表示装置。 - 通常モード時には、
第1ステージとして、上記第2のスイッチ、および上記第4のスイッチが所定時間導通させられ上記第1のノードと上記第2のノードとを電気的に接続し、かつ第1のノードに記憶した値に相当する電圧を供給させ、
第2ステージとして、上記第2のスイッチおよび上記第4のスイッチが非導通状態に保持され、
第3ステージとして、上記第3のスイッチが導通させられ、上記第1のスイッチが導通させられて、上記データ線を伝播されるデータが上記第3のノードに書き込まれた後、上記第3のスイッチが非導通状態に保持され、上記電気光学素子に上記データ信号に応じた電流を供給する
請求項1記載の表示装置。 - 上記電圧検出モード時の動作周波数は、上記通常モード時の動作周波数より低く設定される
請求項1記載の表示装置。 - 上記基準電流の値は、上記電気光学素子の発光の中間色に相当する値に設定されている
請求項1記載の表示装置。 - 流れる電流によって輝度が変化する電気光学素子と、
輝度情報に応じたデータ信号が供給されるデータ線と、
第1、第2、および第3のノードと、
上記第1のノードに接続された第1端子と第2端子間で電流供給ラインを形成し、上記第2のノードに接続された制御端子の電位に応じて上記電流供給ラインを流れる電流を制御する駆動トランジスタと、
上記第1のノードに接続された第1のスイッチと、
上記第1のノードと上記第2のノードとの間に接続された第2のスイッチと、
上記データ線と上記第3のノードとの間に接続された第3のスイッチと、
上記第2のノードと上記第3のノードとの間に接続された結合キャパシタと、を有し、
第1の基準電位と第2の基準電位との間に、上記駆動トランジスタの電流供給ライン、上記第1のノード、上記第1のスイッチ、および上記電気光学素子が直列に接続されている画素回路を有する表示装置における画素回路の駆動方法であって、
上記表示装置は、
電圧検出モード時に、
上記第2のスイッチを所定時間導通させて上記第1のノードと上記第2のノードとを電気的に接続し、かつ上記第1のノードに所定の基準電流を供給し、上記第1のノードに対して上記基準電流を流したときの上記駆動トランジスタのゲートの電圧値を記憶しておき、
通常モード時に、
上記第2のスイッチを所定時間導通させて上記第1のノードと上記第2のノードとを電気的に接続し、かつ上記第1のノードに記憶した値に相当する電圧を供給し、
所定時間経過後に上記第2のスイッチを非導通状態に保持し、上記電圧の供給を停止し、
上記第3のスイッチを導通させ、上記第1のスイッチを導通させて、上記データ線を伝播されるデータを上記第3のノードに書き込んだ後、上記第3のスイッチを非導通状態に保持して、上記電気光学素子に上記データ信号に応じた電流を供給する
画素回路の駆動方法。 - 上記電圧検出モード時の動作周波数は、上記通常モード時の動作周波数より低く設定される
請求項6記載の画素回路の駆動方法。
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