JP4590561B2 - 傾斜ベッドを用いた養液栽培システム - Google Patents

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Description

本発明は、ゴボウのような根菜類またはエキナセアのような薬用植物の根を収穫するための、傾斜させたベッドを用いた植物の養液栽培用ベッドおよび養液栽培システムに関する。
ゴボウ等の根菜は、たとえば直根が60〜90cm程度までに生長する深根性の作物であり、栽培畑では土壌の強弱や、土壌中の障害物によって直根本来の直線的な生育が阻害されやすく、また収穫するためには畑を深く掘り下げるなどの労力がかかる。収穫時の労力を軽減し、また形状の優れた根菜類を栽培するような技術として、例えば特開2000−106748号公報や特開2001−292632号公報に開示される技術が知られている。
前者の特開2000−106748号公報では、波板状シートを10〜30度程度の傾斜角で斜めに畑土を埋め込み条溝に沿わせてゴボウを生育させ、掘り取りを容易にしている。特開2001−292632号公報では傾斜させた樋状の長尺容器を土中に設置し、容器に沿ってジネンジョを栽培すると同時に収穫を容易にしている。
したがって、上記公報に示された栽培方法は、畑土で栽培される際に、傾斜栽培容器を用いる場合である。養液栽培としての栽培方法はない。
また、根菜類の養液栽培や水耕栽培方法としては、特開2005−91号公報に開示された技術がある。根の先端部分を培養液に浸しつつ、根の先端以外の部分を培養液に浸さずに培養することを特徴とする根菜類の栽培方法である。
上記公報に示された栽培方法は、培養液よりも比重が小さい材料を培養液上に浮かべることで、根の先端部以外の部分を当該材料に固定し、根の先端部分培養液に浸して栽培するものである。長根種の栽培では伸長にあわせて、培養液上に浮かべる材料の嵩上げを必要とする。また、吸収根と貯蔵根を別々に分けて栽培している方法である。
島根大学(発明者、浅尾俊樹)2005.公開特許公報(A).2005−91 政田敏雄 2001.自然薯の栽培方法.公開特許公報(A)・2001−292632 政田敏雄 2001.牛蒡の栽培方法及び牛蒡の栽培器.公開特許公報(A).2000−106748 田中周次 1995.エアバック利用による養液栽培方法及び装置 公開特許公報(A).平7−79651 山本浩平 1994.根菜類の栽培法及び栽培用容器.公開特許公報(A).平6−169645
上記の先行技術の養夜栽培にあっては、カブなどの短根である根菜類は栽培容易であるが、ゴボウのような長根種では貯蔵根部位を長大にするのが困難である。また収穫は吸収細根と貯蔵根が別である。しかるにゴボウのように薬用として根が利用できるものでは、吸収根などの細根も収穫対象にできるが、土栽培では当然収穫できないし、養夜栽培では肥大させる部位での細根の収穫が困難である。また根菜類に限らず養夜栽培においては、根が生育する培地内が停滞水や根の新陳代謝に伴う残渣などで酸素不足に陥りやすいという問題もある。
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するために、傾斜させた基盤上に設置し、該基盤の斜面上部で合わさるように折り曲げた不透水性シートの間に、保水性シートを配置し、必要に応じて、該保水性シート上に、複数の透水性防根シートを積層し、植物の根を、前記保水性シートに沿って生育させるか、又は、前記透水性防根シート同士間で生育させことを特徴とする養液栽培用ベッドを提供するものである。更に本発明は、上記の養液栽培用ベッドを含み、複層をなす前記透水性防根シートの上方に潅水チューブを配置してなる養液栽培システムであって、下層の前記透水性防根シートの上部に種子を置いて発芽させるかまたは苗を設置し、該潅水チューブから点滴で培養液を供給することを特徴とする養液栽培システムも提供するものである。更に本発明は上記の養液栽培システムを用いて植物を養液栽培する方法も提供するものである。
本発明の養液栽培用ベッドによれば、傾斜培地の前記透水性防根シート同士に根菜類の貯蔵根と細根を伸長させることにより、貯蔵根だけでなく細根もあわせた全ての根が収穫できる。また波板または平板の基盤を傾斜したベッドにすれば、個体ごとに容易に全個体を収穫できる。よって本発明により、長根種の根菜類の本格的な養液栽培を可能になる養液栽培システムが提供された。また本発明において、急斜面にした保水性シート上に根を生育させて、培地内の水の交換を早めて根の生育を良好にすることにより、根菜類以外の植物においても良好な生育環境で養液栽培することが可能となった。
本発明は、扇状ないし並列に配置され傾斜した基盤上に不透水性シートで被った傾斜培地を設置するという構成からなる養液栽培用ベッドを提供するものである。ここでベッドとは、発泡スチレンボードで補強された波板等の基盤からなる培地の支持体を意味する。また不透水性シートで被われる培地は、ジャームガード等の保水シートおよびシート上に載せた2層以上の透水性防根シートからなり、該透水性防根シート同士に根を収穫対象とする根菜類または薬用植物、あるいは他の植物の根を伸長させて栽培することができる。
また上記の養液栽培用ベッドを使用した本発明の養液栽培システムにおいて、透水性防根シートの上方に潅水チューブを配置し、培地の傾斜に治って培養液を流下させ、傾斜培地下部に貯留した液を、勾配のある架台上を一方向に排出させる方式を採用することができる。また本発明の養液栽培システムにおいては、養液の循環ないし排出回路は緩傾斜のままとし、栽培培地を急傾斜にすることで、根の生育環境を良好にすることができる。
本発明に係る波板ないし平板の傾斜培地による養液栽培用ベッドと養液栽培システムについて図面を参照して説明する。図1は本発明のシステムの断面図であり、図2は本発明の養液栽培用ベッドの断面図であり、図3は本発明の養液栽培用ベッドの正面図であり、図4は養液栽培用ベッドを扇状に配置した構成を示す図である。
図1において、水耕養液共給ポンプ(P)が水耕養液の貯留槽(R)の水耕培養液(N)を汲み上げ、汲み上げた培養液をパイプで地上に設置した緩い勾配のある架台(F)上を中央部まで導き、中央部で水耕養液給液パイプを傾斜ベッドの上部まで立ち上げ、傾斜ベッド上部で給液パイプに多孔を有する潅水チューブ(D)を接続して左右方向に配置し、潅水チューブの各孔から培養液を、不透水性シート(A)で包まれた保水シート(B)と透水性防根シート(C)からなる養液栽培用ベッドに滴下する。なお流れる培養液の量は、水量調節バルブ(V)で調節される。滴下された水耕培養液(N)は傾斜した養液栽培用ベッド上の保水性シート(B)と透水性防根シート(C)の中を液交換しながら流下する。斜面培地の下部の不透水性シート(A)内に貯留した培養液は架台上を勾配に応じて地下タンクへ回収される。なお傾斜ベッドは鉄骨パイプで組んだ架台骨組み(S)により支えられており、(G)は栽培の対象であるゴボウなどの根菜類である。
図2は本発明の養液栽培用ベッドを断面から、図3は正面から説明した図である。(A)は不透水性シートであり、封筒状に折り曲げて斜面上部で合わさるようにして、発泡スチレンなどのボード(E)で補強された基盤(W)上に固定されている。なおここで使用する基盤(W)は波板であることが好適であるが、平板であることも可能であり、かかる態様も本発明の範囲内である。また基盤(W)を補強することができる限り、ボード(E)として発泡スチレン以外の素材を使用することもできる。不透水性シート(A)が構成する封筒状シート内に、保水性シート(B)および該シートの上に2層の透水性防根シート(C)を重ね、潅水チューブ(D)を該透水性防根シートの上に設置する。種子ないし苗の置床は下層の該透水性防根シート(C)上に行い、発芽後に根は下方に、茎葉部が上方に伸長する。なお保水性シート(B)と透水性防根シート(C)を一体に成形することも可能である。
本発明の養液栽培用ベッドにおいて透水性防根シート(C)の役割は、根全体(根系)をシート間に閉じこめることであり、該シートは乾燥防止の役割も果たす。透水性防根シートの上に潅水チューブ(D)から養液や水が散水されるので水が拡散し、透水性防根シート(C)から保水性シート(B)へ、更にはベッド内部に水が均一に行き渡る。よって透水性防根シート(C)は、透水性、透湿性および親水性を有するシートである必要がある。
また本発明の養液栽培用ベッドでは不透水性シート(A)が傾斜しているので、傾斜上部から連続して給液ないし潅水しても水を保持する資材がないと、水が流れ落ちて根全体に行き渡らず、傾斜上部ほど乾燥することになる。一方保持水量が多くなりすぎると重量が嵩みベッド構造が重厚になるので、本発明においてはシート様の保水材を使用することが望ましい。保水性シート(B)の素材は下記で詳しく述べるが、ポリエステルパイル生地であるジャームガード(商品名)や、ロックウールを圧縮したシートを使用することができる。このような一定以上の程度の厚みを有する保水資材を使用することにより、培地全面に水の保持をすることができる。防根シートやフィルムなどの薄いシートでは、根と密着して表面張力が働いている層においては水を保持できるが、空間ができると保持される水量は不十分となる。
なお本発明において不透水性シート(A)、保水性シート(B)、透水性防根シート(C)として使用可能な素材として以下のようなものを挙げることができるが、それらに限定されるものではない。
1.不透水性シート(A):各種合成樹脂フィルムおよびシート。
2.保水性シート(B):布製パイル地、ロックウールシート、多孔質シート(ウレタン、古タイヤからの再生ゴムシート、各種バイオマス素材の接着シートなど)
3.透水性防根シート(C):親水性および透水性を有する素材で根が通過できないものであって、親水性の高密度布地(実施例においてはポリエステル素材を使用した)、親水性不織布(根の侵入を防げる程度の密度を有するもの)など
図4において、不透水性シート(A)を設置した傾斜ベッド(E+W)の架台を鉄骨パイプの架台骨組み(S)で組み、円弧型に組んだパイプを地中に挿して固定枠としている。架台の上に、傾斜させた栽培培地とベッドを扇状にして左右に3段設置し、架台中央部から立ち上げた水耕養液給液パイプ(T)を配管し、該パイプは各傾斜培地の上部までとし、そこで多孔を有する潅水チューブ(D)に接続される。
更に本システム全体の鳥瞰図を図5に示す。図5において、貯留槽(R)から汲み上げられた水耕培養液(N)が水耕養液給液パイプ(T)を通じて養液栽培用ベッドへ供給され、その養液栽培用ベッドの中で植物(G)が栽培されている様子が示されている。更に図5の右下に、基盤(W)で保持された養液栽培用ベッドを扇状にして左右に3段設置されている様子が示されている。
本発明の養液栽培システムを用いて、種々の長根種の根菜又は根を収穫対象とする薬用植物の養液栽培を行なうことができる。本発明の養液栽培システムで栽培できる植物の例として、ゴボウ、ニンジン、ダイコン、ヤマイモおよびジネンジョなどの長根種の根菜や、エキナセアなどの薬用植物などを挙げることができるが、それらに限定されるものではない。なお根菜類において、養分を吸収するための吸収細根と収穫を目的とする貯蔵根を有する種があるが、本発明においては、この根菜類の吸収細根と貯蔵根を共に、防根透水シートに挟まれた空間において伸長または肥大させることができる。
更に本発明において、傾斜させた基盤上に設置し、該基盤の斜面上部で合わさるように折り曲げた不透水性シート(A)のに保水性シート(B)を配置し、植物の根を保水性シートに沿って生育させることも可能である。そのような態様においては保水性シート(B)を基盤として植物の根が生育し、それによって盤面状あるいは吊り下げ状態での立体栽培が可能となる。なおその際にも、保水性シート(B)の外側に透水性防根シート(C)を配置し、該保水性シート(B)の強度を高めることもできる。ここで述べている態様においては保水性シート(B)に根が定着するので、根菜類の養液栽培を目的するものではない。しかし本発明の栽培ベッドは急傾斜であるので、培地が停滞することがなく、根を収穫することを目的としない根菜類以外の任意の植物において、良好な生育環境で養液栽培することが可能となる。
(1)培地の傾斜角度が根の初期生長に及ぼす影響
傾斜培地で根菜類を栽培することを考え、傾斜角度が根の生育に及ぼす影響について検討した。処理は傾斜角30°、45°、60°、90°の4区とし、1区6〜10個の発芽種子を供試し、水位は播種位置から10cm以下とした。潅水は霧吹きで毎日行なった。培地の傾斜角度が根の生長に及ぼす影響を図6に、培地の傾斜角度が主根の生長に及ぼす影響を図7に、それぞれ示す。その結果、主根長においては、傾斜角30°と45°との間および60°と90°との間には有意差が認められなかったが、45°以下と60°以上との間には有意差が認められ、60°と90°で主根長が大であった。60°では主根の根端から側根発生部位までの長さが長く、側根長が大であった。側根数においては傾斜角度による違いは認められなかった。
(2)傾斜培地への遮光の有無が根の生長へ及ぼす影響
通常根系は暗黒下にあるため、遮光区と無遮光区において根の生長へ及ぼす影響について検討した。傾斜培地として塩化ビニール板(100×200×50mm)の上の濾紙(100×200mm)を置き、水槽(200×250×180mm)に板を傾斜させ固定した。一日吸水させた種子を25℃暗黒下で発芽させ、段ボール切断面(100×10×30mm)の波板間(50mm)に着床し、傾斜培地の上端に輪ゴムで固定し、その上から濾紙を重ね更に食品包装用のラップフィルムで覆った。根部の遮光が根の生長に及ぼす影響を図8に、根部の遮光が主根の生長に及ぼす影響を図9に、それぞれ示す。その結果、遮光区と無遮光区の間には主根長では差が認められないが、30°遮光区と90°無遮光区では主根の根端から側根発生部位までの長さで有意な差が見られ、いずれも90°で長くなった。側根長は90°無遮光区で大で、側根数も多くなった。
上記の実験結果に基づいて、実用規模のシステムを以下のようにして構築した。地上20cmに勾配1/80で設置したNFT水耕ベッド(亜鉛引き鋼板で巾600mm、深さ30mm、長さ1800mm)を土台として利用し、この上に口径19.1mmの鋼管パイプを骨組みとした傾斜ベッドを構築した。発泡スチロール板(182×100×40mm)をベッドにし、3段の傾斜面が東西に取れるように培地を設置した。
培地は白黒ポリフィルムを2つ折にし、その間に防根シート付きジャームガード、防根シートの順に乗せた構造とした。種子は木工用ボンドで濾紙に固定し、防根シート付きジャームガードの防根シート側の上端50mmの位置に置き、その上から防根シートを乗せた。種子の上に給液チューブを固定した。
培地構造は東側の西向き斜面に4傾斜(90°、60°、45°、30°)、若しくは東側の西向きと西側の東向き傾斜に3傾斜(60°、45°、30°)設置した。培地面の構造は平板と波板を用い、平板は発泡スチロール上に直接培地を乗せ、波板は波板(ピッチ10×5cm、板長120×60cm)を発泡スチロールの上に乗せ、波板上に培地をピッチに合わせて乗せた。培地の長さは、発泡スチロール60cmと90cmを用いた。
給液チューブには、エバーフローA、硬質給液チューブ(2cm間隔)、エバーフローWタイプの3種類を用いた。
培養液は連続供給で与え、流下した液は地中埋設のタンク(500L)に回収し、水中ポンプで再び給液した。基本的な培養液処方は、子葉が展開するまでは水道水を使い、その後は園試処方1/4単位の完全培養液で栽培し、第一葉が展開した後は3/4単位の培養液で管理した。培養液組成は大塚ハウスA処方で行なった。
次に以下の検討を試みた。
実験1 ベッド構造が培地温度に及ぼす影響
1)培地被覆 2)養液タンク内の井水循環チューブ 3)給液チューブの種類
実験2 培地ベッドの傾斜角度がゴボウの生育に及ぼす影響
1)品種 2)傾斜断面構造 3)傾斜面方位
実験3 ゴボウの品質
1)しおれ
以上の方法で実験を行なった結果、以下の結果が得られた。結果を表1〜表5に示す。なお表1は水耕における生育の品種間差異を、表2は傾斜角度が生育に及ぼす影響を、表3は傾斜板の種類および傾斜角度が根の形態に及ぼす影響を、表4は培地傾斜角度と傾斜面方位の組み合わせが根の生育に及ぼす影響を、表5は不織布遮光資材のベッド被覆による培地昇温抑制効果を、それぞれ示す。
なお表1〜表5において各数字にa,b,c,dなどのアルファベットが付されている。これらのアルファベットは、同一の列内で同じ文字を付した数字の間では有意差(P<0.05)がなく、異なった文字を付した数字の間では有意差があることを示している。なお多重比較を行なっているので、ab,bcあるいはabcなど複数のアルファベットが付されている数字もあるが、その場合でも同様に、同じ文字を付した数字の間では有意差がない。すなわち、abcを付した数字とab、aあるいはbを付した数字の間には有意差がない。一方、bcを付した数字とaを付した数字の間には有意差がある。
Figure 0004590561
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1.縮小模型型培地では傾斜角度90°、60°での根の生長が良好であったが、実用規模システムでは傾斜角度60°、45°で良好であった。
2.傾斜培地は栽培面積が小さく、根が地上部にあるため、土耕栽培と比べて培地温度が気温に影響されやすい。培地が傾斜しているので日射の入射角が大となり、最上段の60°傾斜区で培地温度が高くなる問題があった。斜面方位では東向き傾斜が高い傾向があった。
3.培地温度降下法として、養液温度の低下には井水循環チューブの設置が有効であった。培地温度の直接的低下には不織布遮光材による被覆が有効であった。
4.給液チューブは給液量の多いエバーフローMおよび硬質チューブで培地温度の上昇を抑制した。
5.水耕栽培用の品種として、‘柳川理想’、‘山田早生’、‘渡辺早生’を選定した。
6.培地の断面構造は波型が平板より、隣接株との根の絡みが少なく、根の生長が良好であった。
7.東向き傾斜面を遮光材で培地被覆して、培地温度の上昇を抑えると、根の生長は西向き傾斜面より良好になった。
8.収穫した貯蔵根の室温下での1日目の蒸散量は、水耕ゴボウでは32%を占めたのに対し、土耕ゴボウでは16%であった。水耕ゴボウの貯蔵では、収穫直後からの蒸散抑制法を考える必要がある。
以上の結果から、扇状に配置した傾斜培地の本システムにより、ゴボウ等の根菜の水耕栽培が可能になったと考えられる。
本発明の養液栽培用ベッドによれば、根菜類の貯蔵根だけでなく細根もあわせたすべての根を、個体ごとに容易に収穫できる。よって本発明により、これまで困難であった長根種の根菜類の本格的な養液栽培を可能とする養液栽培システムが提供され、根菜類の養液栽培を実現するための新たな途が開かれた。更に根菜類以外の植物においても、急斜面にした保水性シート上に根を生育させて培地内の水の交換を早めることにより、根菜類以外の植物においても養液栽培の環境を改善することが可能となった。
図1は、本実施例のシステム全体の断面図(側面)である。 図2は、本実施例のベッドと栽培培地の構成を示す断面説明図である。 図3は、本実施例のベッド及び培地の構成と根菜類栽培状態を示す側面説明図である。 図4は、本実施例の傾斜ベッドを扇状に配した構成を説明する断面図〈正面〉である。 図5は、本システム全体の鳥瞰図である。 図6は、培地の傾斜角度が根の生長に及ぼす影響を示すグラフである。 図7は、培地の傾斜角度が主根の生長に及ぼす影響を示すグラフである。 図8は、根部の遮光が根の生長に及ぼす影響を示すグラフである。 図9は、根部の遮光が主根の生長に及ぼす影響を示すグラフである。
符号の説明
A 不透水性シート
B 保水性シート
C 透水性防根シート
D 潅水チューブ
E ボード
F 架台
G 根菜類の植物
N 水耕培養液
P 水耕養液供給ポンプ
R 水耕養液の貯留槽
S 架台骨組み
T 水耕養液給液パイプ
V 水量調節バルブ
W 基盤

Claims (10)

  1. 傾斜させた基盤上に設置し、該基盤の斜面上部で合わさるように折り曲げた不透水性シートの間に、保水性シートを配置し、必要に応じて、該保水性シート上に複数の透水性防根シートを積層し、
    植物の根を、前記保水性シートに沿って生育させるか、又は、前記透水性防根シート同士間で生育させことを特徴とする養液栽培用ベッド。
  2. 前記植物が根菜類である、請求項1記載の養液栽培用ベッド。
  3. 前記根菜類が長根種の根菜または根を収穫対象とする薬用植物である、請求項2記載の養液栽培用ベッド。
  4. 前記長根種の根菜がゴボウ、ニンジン、ダイコン、ヤマイモおよびジネンジョからなる群から選択される、請求項3記載の養液栽培用ベッド。
  5. 前記薬用植物がエキナセアである、請求項3記載の養液栽培用ベッド。
  6. 前記根菜類の吸収細根と貯蔵根を共に、前記透水性防根シートに挟まれた隙間において伸長または肥大させる、請求項2記載の養液栽培用ベッド。
  7. 植物の根を前記保水性シートに沿って生育させることにより、壁面状のまたは吊り下げ状態での立体栽培を可能とする、請求項1記載の養液栽培用ベッド。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1つの請求項記載の養液栽培用ベッドを含み、複層をなす前記透水性防根シートの上方に潅水チューブを配置してなる養液栽培システムであって、下層の前記透水性防根シートの上部に種子を置いて発芽させるかまたは苗を設置し、該潅水チューブから点滴で培養液を供給することを特徴とする養液栽培システム。
  9. 前記ベッドを流下した前記培養液が、前記不透水性シートの下部に貯溜し、架台底部を勾配に沿って地下タンクに回収することを特徴とする、請求項8記載の養液栽培システム。
  10. 請求項8又は請求項9記載の養液栽培システムを用いて植物を養液栽培する方法。
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