JP4590068B2 - 隠蔽カード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャッシュカード、クレジットカード、各種IDカード、会員カード等に使用され、隠蔽層を備えた隠蔽カードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の隠蔽カードとして、例えば、クレジットカードとキャッシュカードを一体化したカードのように、カードのおもて面に2本の磁気ストライプ(情報記録部)が施されるカードが提案されている。
この隠蔽カードでは、ISO規格上からエンボス行数、文字数に制約があり、口座番号等、本来エンボスすべき情報を、印字で表示する必要があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した従来の隠蔽カードは、その隠蔽面上に印刷層を形成する工程から、カード表面に剥離層が残ってしまい、印字のためのインクがのりにくく、密着性がなかった。
【0004】
本発明の目的は、カード表面の印字の密着性を向上させることができる隠蔽カードを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、カード基材と、前記カード基材に設けられた磁気情報記録部と、前記磁気情報記録部を隠蔽する磁気隠蔽層と、前記磁気隠蔽層上に転写によって、文字及び/又は絵柄を含む視覚情報が形成され、表面に剥離層が残る印刷層とが、下側から順次積層された隠蔽カードにおいて、前記印刷層の剥離層上の少なくとも印字部分に形成され、この隠蔽カードの表面を法線方向から見たときに前記磁気情報記録部に重ならない領域に設けられ色材を移行させる色材移行領域を有し、印字の密着性を高める受理層と、前記受理層上に印字により形成され、前記色材移行領域に色材を移行させる印字層と、この隠蔽カードの表面を法線方向から見たときに、この隠蔽カードの長辺に平行に帯状に延在する2つの前記磁気情報記録部とを備え、前記色材移行領域は、この隠蔽カードの表面を法線方向から見たときに、2つの前記磁気情報記録部の間の領域であって、前記磁気情報記録部に平行な帯状な領域に設けられていること、を特徴とする隠蔽カードである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の隠蔽カードにおいて、この隠蔽カードの表面を法線方向から見たときに、この隠蔽カードの長辺に平行に文字が配列されたエンボス領域を備え、前記受理層の色材移行領域は、この隠蔽カードの表面を法線方向から見たときに、前記エンボス領域とは異なる領域であって前記エンボス領域に平行な帯状な領域に設けられていること、を特徴とする隠蔽カードである。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の隠蔽カードにおいて、前記印字層は、熱転写シートの色材を熱転写することにより形成されること、を特徴とする隠蔽カードである。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の隠蔽カードにおいて、前記印字層は、口座番号を含む情報が印字されること、を特徴とする隠蔽カードである。
【0007】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の隠蔽カードにおいて、前記印字層は、口座番号を含む情報が印字されること、を特徴とする隠蔽カードである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面などを参照しながら、本発明の実施の形態をあげて、さらに詳しく説明する。
図1,図2は、本発明による隠蔽カードの実施形態を示す図であって、図1は層構成図、図2は表面図である。
この実施形態の隠蔽カード10は、2枚のセンターコア11(11A,11B)と、センターコア11A,11Bの外面に積層される透明なオーバーシート12(12A,12B)と、オーバーシート12A,12B上に形成された磁気ストライプ13(13A−1,13A−2,13B)と、磁気ストライプ13A−1,13A−2,13Bを隠蔽する磁気隠蔽層14と、磁気隠蔽層14上に転写によって、文字・画像情報を形成し、剥離層16が表面に残った絵柄印刷層15等とを備えている。
【0009】
センターコア11は、厚さ約280μmのポリ塩化ビニル,ポリエステル,ポリカーボネート,ABS樹脂等のシートが用いることができる。また、オーバーシート12は、厚さ約100μmの透明なポリ塩化ビニル,ポリエステル,ポリカーボネート,ABS樹脂等のシートを用いることができる。
【0010】
磁気ストライプ13は、磁性インキをストライプ状に印刷して、所定の情報を磁気記録して、機械処理を可能とする層であり、磁性酸化鉄などを顔料として含む磁性インキ等を、活版,オフセット,グラビア,シルクスクリーン法などによって印刷して形成する。
【0011】
磁気隠蔽層14は、磁気ストライプ13を隠蔽するための層であり、例えば、チタン白等を顔料として含む隠蔽インキを、活版,オフセット,グラビア,シルクスクリーン法などによって印刷して形成する。
【0012】
絵柄印刷層15は、文字・画像情報を形成する層であり、転写法によって、形成されている。この転写法は、転写シート(転写PET)上に絵柄を印刷して、被印刷体となる磁気隠蔽層14に貼り付け、その絵柄を磁気隠蔽層14上に形成した後に、転写シートを剥離する。このとき、剥離層16が絵柄印刷層15の表面に残ってしまう。
【0013】
本実施形態では、さらに、剥離層16上に受理層17を形成したものである。
そして、受理層17上にプリンタで印字して、印字層18を形成することができる。
【0014】
受理層17は、絵柄印刷層15の剥離層16上の少なくとも印字部分に形成され、印字の密着性を高める層である。
この受理層17を形成するための材料としては、昇華性染料または熱溶融性インキ等の熱移行性の色材を受容し易い従来公知の樹脂材料を使用することができる。例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンもしくはプロピレン等のオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体系樹脂、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼ等のセルロース系樹脂、ポリカーボネイト等が挙げられ、特に、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂またはポリエステル樹脂が好ましい。
【0015】
受理層17は、上述の材料の中から選択された単独または複数の材料および必要に応じて各種添加剤等を加え、水または有機溶剤等の適当な溶剤に溶解または分散させて受理層用塗工液を調製し、これをグラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により、剥離層16上に塗布、乾燥して形成することができる。その厚さは、乾燥状態で1〜10μm程度、好ましくは、1〜5μm程度である。
【0016】
印刷層18は、いわゆるウルトラグラフィックプリント(UGプリント)と呼ばれる、超高精細な転写印刷であって、色材転写部が設けられた熱転写シートを用いて、サーマルヘッド等の加熱デバイスとプラテンロールとの間に圧接し、画像情報に応じて加熱デバイスの発熱部分を選択的に発熱させ、熱転写シート上の色材転写部の色材を受理層17に移行させることによって画像を形成する。
【0017】
熱転写シートは、従来公知のものを使用することができる。熱転写シートに設けられる色材転写部には、熱溶融性インキや昇華型染料によって色材層が形成されている。色材転写部に設けられる色材層は、それぞれ目的とする印画物に応じて、熱溶融性インキと昇華型染料とから適宜選択されて面順次に設けられる。
階調性に優れた印画物を得るために用いられる昇華型染料からなる色材転写部は、通常使用されているイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の各昇華性染料を、適宜必要に応じて、面順次に設けて構成される。
この印字層18は、銀行番号,店番号,科目番号,口座番号を含む重要情報が印字される。
【0018】
また、この隠蔽カード10は、表面から見ると、図2に示すように、会員番号と会員名を表示するエンボス領域10Aと、口座番号等を印字したUGプリント領域10Bと、BINナンバー印字領域10Cと、ホログラムを形成した偽造防止領域10D,10Eなどを備えている。
【0019】
次に、本実施形態による隠蔽カード10の製造方法を説明する。
(#1) 2枚のセンターコア11A,11Bを重ね合わせ、その両側に、オーバーシート12A,12B、さらに、磁気ストライプ13A−1,13A−2,13Bを貼付する。
【0020】
(#2) #1で作製したシートを加熱加圧して一体化する。
(#3) 透明の転写PETへ逆像で絵柄を印刷し、#2で作製したカード基材へ絵柄を転写して、透明PETを剥離することにより、絵柄印刷層14を形成する。この転写時に、剥離層15が絵柄印刷層14側に残ってしまう。
【0021】
(#4) 次に、剥離層(剥離した隠蔽面)15上の印字する面へ受理層17を印刷する。
(#5) 受理層17の上に、口座番号10Bを印字で表現して、印字層18を形成する。
【0022】
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
例えば、磁気ストライプカードを例に説明したが、ICカード,光カード等の1種以上の組み合せたカードであってもよい。ICカードの場合には、ICが情報記録部と考えてよい。
【0023】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、転写により形成された印刷層上に残る剥離層に、受理層を設けたので、重要情報などの印字層の密着性が高まり、カード再発行に関わる時間と費用が減少すると共に、印字の耐久性が上がり、カードのセキュリティーが高まる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による隠蔽カードの実施形態を示す層構成図である。
【図2】本発明による隠蔽カードの実施形態を示す表面図である。
【符号の説明】
10 隠蔽カード
11A,11B センターコア
12A,12B オーバーシート
13A−1,13A−2,13B 磁気ストライプ
14 磁気隠蔽層
15 絵柄印刷層
16 剥離層
17 受理層
18 印字層
Claims (4)
- カード基材と、前記カード基材に設けられた磁気情報記録部と、前記磁気情報記録部を隠蔽する磁気隠蔽層と、前記磁気隠蔽層上に転写によって、文字及び/又は絵柄を含む視覚情報が形成され、表面に剥離層が残る印刷層とが、下側から順次積層された隠蔽カードにおいて、
前記印刷層の剥離層上の少なくとも印字部分に形成され、この隠蔽カードの表面を法線方向から見たときに前記磁気情報記録部に重ならない領域に設けられ色材を移行させる色材移行領域を有し、印字の密着性を高める受理層と、
前記受理層上に印字により形成され、前記色材移行領域に色材を移行させる印字層と、
この隠蔽カードの表面を法線方向から見たときに、この隠蔽カードの長辺に平行に帯状に延在する2つの前記磁気情報記録部とを備え、
前記色材移行領域は、この隠蔽カードの表面を法線方向から見たときに、2つの前記磁気情報記録部の間の領域であって、前記磁気情報記録部に平行な帯状な領域に設けられていること、
を特徴とする隠蔽カード。 - 請求項1に記載の隠蔽カードにおいて、
この隠蔽カードの表面を法線方向から見たときに、この隠蔽カードの長辺に平行に文字が配列されたエンボス領域を備え、
前記受理層の色材移行領域は、この隠蔽カードの表面を法線方向から見たときに、前記エンボス領域とは異なる領域であって前記エンボス領域に平行な帯状な領域に設けられていること、
を特徴とする隠蔽カード。 - 請求項1又は請求項2に記載の隠蔽カードにおいて、
前記印字層は、熱転写シートの色材を熱転写することにより形成されること、
を特徴とする隠蔽カード。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の隠蔽カードにおいて、
前記印字層は、口座番号を含む情報が印字されること、
を特徴とする隠蔽カード。
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