JP4352536B2 - 画像転写体及び画像転写体の形成方法 - Google Patents

画像転写体及び画像転写体の形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク画像が形成されている画像転写体及び画像転写体の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、熱転写方式による画像形成が盛んであり、その用途は、アミューズメントの分野、メディカル分野、さらにはIDカードやパスポート等の身分証明書等、非常に多岐にわたっている。この熱転写方式は、熱転写シートのインク層を印画紙等の被転写体に重ね合わせ、サーマルヘッド等により画像信号に応じて点状に加熱する。これにより、熱転写シートの染料層の染料が被転写体の染料受容層に移行し、被転写体上に多数の色ドットによるフルカラー画像が現れることになる。特に、昇華性あるいは熱拡散性染料を使用した昇華型熱転写方式により形成された画像に対しては、当該画像に耐可塑剤性、耐摩擦性、耐皮脂性等を付与する目的から、当該画像上に画像保護層をラミネートする方法が従来から採用されている。
【0003】
ところで、IDカードやパスポート等の身分証明書には、顔写真等の所持者を明らかにする情報が記載されている。顔写真と身分証明書の提示者とを目視で比較することにより、身分証明書の提示者が身分証明書の所持者と同一人物であることを、第三者は容易に確認することができる。すなわち、顔写真入りの身分証明書等は、他人によるカードの不正使用を防止している。
【0004】
上述のような昇華性あるいは熱拡散性染料を使用した昇華型熱転写方式により形成された画像を、例えば身分証明書等の顔写真に適用する際には、画像保護層上にさらにラミネートフィルムを熱溶着させる。すなわち、例えば身分証明書に昇華型熱転写方式により画像を形成する際には、基材と受容層からなる印画紙の受容層に、インク画像が形成され、当該インク画像を覆うように画像保護層が形成され、さらに画像保護層上にラミネートフィルムが形成される。
【0005】
なお、銀塩写真上にラミネートフィルムを形成し、ラミネートフィルムを剥離すると、銀塩写真の画像はランダムに破壊されることが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような構成の身分証明書のラミネートフィルムを剥離すると、形成された画像は、印画紙上に完全に残存するか、ラミネートフィルムとともに完全に剥離されるか、どちらか一方の状態となる。前者の状態では、印画紙の受容層と画像保護層との間で剥離されているため、形成された画像が露出し、不正使用を目的として改ざんされ易い状態となっている。また、後者の状態では、印画紙上から画像が完全に除去されるため、不正使用を目的として任意の画像に差し替えることができる。すなわち、どちらの剥離状態とも剥離のパターンが均一であるため、画像の改ざんが容易であり、不正使用されやすいといった問題があった。
【0007】
そこで本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、画像保護層を剥離したときに、画像の改ざんが困難となる画像転写体及び画像転写体の形成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明にかかる画像転写体は、基材と、該基材上に形成され、サーマルヘッドによりインク画像が形成される受容層とを有する印画紙と、上記サーマルヘッドにより上記インク画像が形成された後に上記インク画像が形成されるのに連続して、該サーマルヘッドにより該インク画像を覆うように上記受容層上に形成される画像保護層とを備え、上記受容層と上記画像保護層との境界面には、上記サーマルヘッドの通電を制御して上記サーマルヘッドの上記画像保護層を印加する熱量が部分的に変化されることにより、上記受容層と上記画像保護層との境界面の接着強度が、上記基材と上記受容層との境界面の接着強度より大である接着強度強部と、小である接着強度弱部とが形成され、上記画像保護層が剥離されたときに、上記接着強度強部において、上記受容層が上記画像保護層とともに上記基材から剥離されて、上記インク画像が上記印画紙から剥離されるようにし、上記接着強度弱部において、上記受容層が上記基材上に残存されて、上記インク画像が上記印画紙上に残存されるようにした。
【0009】
以上のように構成された本発明にかかる画像転写体は、画像保護層を剥離したときに、インク画像が不連続に剥離され、インク画像が不連続に破壊される。
【0010】
また、本発明にかかる画像転写体の形成方法は、基材と、該基材上に形成され、サーマルヘッドによりインク画像が形成される受容層とを有する印画紙の該受容層上に、該サーマルヘッドにより該インク画像が形成された後に該インク画像が形成されるのに連続して、該サーマルヘッドにより該インク画像を覆うように画像保護層が形成され、上記画像保護層が形成される際には、上記サーマルヘッドの通電を制御して上記サーマルヘッドの上記画像保護層を印加する熱量が部分的に変化されることにより、上記受容層と上記画像保護層との境界面に、上記受容層と上記画像保護層との境界面の接着強度が、上記基材と上記受容層との境界面の接着強度より大である接着強度強部と、小である接着強度弱部とが形成される。
【0011】
以上のように構成された本発明にかかる画像転写体の形成方法は、画像保護層を選択的に加熱することにより、印画紙に対する画像保護層の接着強度を部分的に変化させる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる画像転写体の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
本発明にかかる画像転写体は、図1に示すように、インク画像1が形成されている印画紙2と、画像保護層3とを有している。すなわち、この画像転写体は、印画紙2上にインク画像1が形成され、当該インク画像1を覆うように、印画紙2上に画像保護層3が形成されている。
【0014】
印画紙2は、例えば図2に示すように、基材4とインク画像1が形成される受容層5とから構成される。この印画紙2は、受容層5がインクリボンと対向して重ね合わされ、例えばサーマルプリンタへ供給される。サーマルプリンタでは、印刷情報に基づいて、サーマルヘッドによりインクリボンが選択的に熱量印加される。これにより、インクリボンの染料が受容層5に移行し、受容層5上にインク画像1が形成される。
【0015】
基材4に用いられる材質としては、印画紙2に用いられる従来公知の基材を何れも使用することができる。具体的な基材4としては、合成紙、上質紙、ロート紙、コート紙、キャストロール紙、セルロース繊維紙、或いはポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン等の各種プラスチックフィルム、プラスチックシート等が挙げられる。また基材4としては、白色顔料等を添加した白色不透明フィルムや発泡シート等も用いることができる。さらに、基材4は、これらの材料の積層体によって構成されても良い。
【0016】
受容層5としては、印画紙2に用いられる従来公知の受容層と同様に構成することができる。
【0017】
受容層5は、例えば熱可塑性樹脂等の樹脂から形成される。具体的な熱可塑性樹脂として、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体や塩化ビニル−アクリル共重合体等のポリ塩化ビニル重合体、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリレート樹脂等が挙げられる。更に、アクリロニトリル−スチレン(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、セルロース樹脂、セルロースエステル樹脂、ポリビニルアルコール、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエン−アクリロニトリルゴム(NBR)等のゴム系樹脂、アクリル樹脂等も使用可能である。
【0018】
また、上述の熱可塑性樹脂の他に、熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等も、受容層5に用いることができる。具体的な熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。
【0019】
さらに受容層5には、蛍光増白剤、離形剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の従来公知の添加剤を使用しても良い。
【0020】
インク画像1は、後述するインクリボン等がサーマルヘッドにより加熱され、染料が印画紙2の受容層5に移行することにより形成される。
【0021】
そして、上記インク画像1を覆うようにして、印画紙2上に画像保護層3が形成されている。
【0022】
画像保護層3としては、従来公知の画像保護材を用いることができる。例えば、画像保護層3として、ポリエステル系、セルロースエステル系等の熱可塑性樹脂から形成されるものを挙げることができる。特に、画像を形成しているインクがしみ出さない材料を用いることが好ましい。さらに、画像保護層3には、画像の保存性を高めるために、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等を添加しても良い。この画像保護層3は、例えば図3に示すような、基材フィルム6と画像保護層3とからなる転写型画像保護フィルム7を熱転写することにより形成される。転写型画像保護フィルム7は、基材フィルム6から画像保護層3が剥離して、印画紙2に形成されたインク画像1上に画像保護層3を形成する。印画紙2上に画像保護層3を転写させることによって、インク画像1上には透明な画像保護層3が形成されることとなり、インク画像1を保護することができる。これにより、インク画像1に耐可塑剤性、耐摩擦性、耐皮脂性等が付与される。
【0023】
上記転写型画像保護フィルム7を、インクリボンの一部として形成すれば、インク画像1の形成と画像保護層3の形成とをサーマルプリンタ内で連続して行うことができる。インクリボンは、昇華型熱転写記録用或いは熱溶融型熱転写記録用の何れであっても良く、それぞれ従来公知のインクリボンと同様に構成することができる。このインクリボンは、例えば図4及び図5に示すように、シート状基材8と、このシート状基材8の一主面の所定の領域に形成されたイエロー層9Y、マゼンタ層9M及びシアン層9Cとからなるインク層領域9と、転写型画像保護フィルム7として形成された画像保護層領域10と、イエロー層9Y、マゼンタ層9M、シアン層9C及び画像保護層領域10の間に配設されたセンサーマーク11とを有している。
【0024】
インク層領域9は、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン等のビニル系樹脂、その他各種ウレタン樹脂等に昇華性又は熱拡散性染料を分散させたものから構成される。
【0025】
なお、インクリボンのインク層領域9は、図4に示すようにイエロー層9Y、マゼンタ層9M及びシアン層9Cの各種のインク層がそれぞれ面順次に形成されていても良く、任意の単一色から形成されていても良い。
【0026】
また、インクリボンには、インク層領域9を有する主面上に、さらに熱転写性のインク受容層が形成されていても良い。このようなインク受容層は、ポリエステル系樹脂、セルロースエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等、染着性の良い熱可塑性樹脂から形成されることが好ましい。インクリボンにインク受容層を形成することにより、昇華型熱転写方式で画像を形成するとき、受容層5が形成されていない印画紙2上に良好に画像を形成することができる。
【0027】
インクリボンは、サーマルプリンタにおいて、インク層領域9のイエロー層9Y、マゼンタ層9M及びシアン層9Cをサーマルヘッドにより印刷情報に基づいて順次加熱される。これにより、インク層領域9の各色染料が所定の濃度をもって溶融あるいは昇華し、印画紙2の受容層5に連続的な階調のインク画像1を形成する。
【0028】
そして、インク画像1の形成に引き続いて、サーマルヘッドはインクリボンの画像保護層領域10を加熱することにより、当該インク画像1上に画像保護層3を形成する。
【0029】
従来の画像転写体では、画像保護層3を故意に剥離すると、図6に示すように、印画紙2の基材4と受容層5との境界面(以下、境界面Aと称する。)又は印画紙2の受容層5と画像保護層3との境界面(以下、境界面Bと称する。)のうち、接着強度の弱いどちらか一方で均一に剥離する。このため、インク画像1全体が受容層5とともに完全に印画紙2上から剥離するか、又はインク画像1全体が完全に印画紙2上に保存された状態で露出するため、不正使用を目的とした画像の改ざんが容易であった。
【0030】
しかしながら、本発明の画像転写体では、一画面内において、境界面Aで剥離する部分と境界面Bで剥離する部分とが混在することになる。すなわち、境界面Aで剥離する部分においては、インク画像1が形成される受容層5が画像保護層3とともに基材4から剥離するため、インク画像1は印画紙2上から剥離する。また、境界面Bで剥離する部分においては、インク画像1が形成される受容層5は基材4とともに残るため、インク画像1は印画紙2上に残存する。
【0031】
このように、画像保護層3を剥離したとき、インク画像1は不連続に剥離された状態となる。したがって、本来のインク画像1は完全に破壊され、不正使用を目的とした改ざんを防止することが可能になる。
【0032】
上述のような、インク画像1の不連続な剥離状態を生み出す手段としては、例えば印画紙2に対する画像保護層3の接着強度を不均一にする方法が挙げられる。
【0033】
画像保護層3の接着強度を不均一にするためには、例えば、詳細は後述するが、画像保護層3を形成するとき、インクリボンの画像保護層3領域を選択的に加熱する方法が挙げられる。特に、サーマルヘッドの通電を制御することにより画像保護層3を選択的に加熱する方法は、既存のシステムを利用できるため簡便である。
【0034】
なお、上述の構成の画像転写体は、図7に示すように、画像保護層3上にさらにラミネートフィルム12が形成されていても良い。このラミネートフィルム12を剥離した場合も、上述の説明と同様に、画像保護層3の不連続な剥離を生じさせ、インク画像1の破壊を引き起こすことができる。
【0035】
上述したように、この画像転写体では、画像保護層3の接着強度を適宜調節することにより、画像保護層3を剥離したときインク画像1の剥離の状態が不連続になり、インク画像1は完全に破壊される。したがって、この画像転写体は、不正使用を目的としたインク画像1の改ざんを困難とするため、信頼性の高い画像転写体として身分証明書等に適用されることが可能となる。
【0036】
また、本発明にかかる画像転写体の形成方法では、先ず、印画紙2上にインク画像1を形成する。
【0037】
この手法においてインク画像1は、印刷情報に基づいてサーマルプリンタ内でインクリボンのインク層領域9のイエロー層9Y、マゼンタ層9M及びシアン層9Cがサーマルヘッドにて面順次に加熱されることにより、各色染料が受容層5に移行し、印画紙2の受容層5上に形成される。
【0038】
次に、インクリボンの画像保護層領域10を選択的に加熱して熱転写し、インク画像1を覆って画像保護層3を形成する。
【0039】
従来の手法では、インクリボン上の画像保護層領域10が略均一に加熱されるため、印画紙2に対する画像保護層3の接着強度は、一画面内において略均一であった。
【0040】
しかしながら、この手法においては、インクリボン上の画像保護層領域10をサーマルヘッドにより選択的に加熱し、印加する熱量を部分的に任意に変化させる。特に、画像保護層領域10を選択的に加熱する具体的な手段としては、サーマルヘッドの通電を制御する方法が挙げられる。サーマルヘッドの通電を制御することにより、加熱パターン及び印可する熱量を任意に設定することが可能となる。
【0041】
このように、画像保護層領域10を選択的に加熱することにより、印画紙2に対する画像保護層3の接着強度を任意のパターンに形成することができる。具体的には、サーマルヘッドの通電を制御することにより、受容層5と画像保護層3との境界面Bの接着強度を部分ごとに変化させる。すなわち、図8に示すように、境界面Bの接着強度が境界面Aの接着強度より大である接着強度強部13と、境界面Bの接着強度が境界面Aの接着強度より小である接着強度弱部14とを一画面内に混在させる。接着強度強部13は、サーマルヘッドの通電を制御することにより、画像保護層領域10を強く加熱して得られる。また、接着強度弱部14は、サーマルヘッドの通電を制御することにより、画像保護層領域10を弱く加熱して得られる。
【0042】
そして、図9に示すように、画像保護層3を剥離したとき、接着強度強部13においては境界面Aで剥離するため、インク画像1が形成されている受容層5は、画像保護層3とともに印画紙2の基材4から剥離する。すなわち、接着強度強部13においては、インク画像1は印画紙2上から剥離される。
【0043】
一方、接着強度弱部14においては境界面Bで剥離するため、インク画像1が形成されている受容層5は、印画紙2の基材4とともに残存する。すなわち、接着強度弱部14においては、インク画像1は印画紙2上に残存する。
【0044】
このように、画像保護層3を剥離したとき、一画面内において、インク画像1は接着強度強部13とされた部分のみが剥離され、インク画像1は完全に破壊される。したがって、本手法によれば、既存のサーマルプリンタを用いて、画像の改ざんが困難な画像転写体を容易に且つ低コストで形成することができる。
【0045】
【実施例】
本発明を適用した具体的な実施例について述べる。
【0046】
先ず、インクリボンのインク層領域をサーマルプリンタのサーマルヘッドにて熱転写することにより、印画紙上にインク画像を形成した。引き続いて、サーマルヘッドにてインクリボンの画像保護層領域を熱転写することにより、当該インク画像を覆うようにして、印画紙上に画像保護層を形成した。なお、画像保護層を形成する際、サーマルヘッドにてインクリボンを段階的に加熱し、印画紙に対する画像保護層の接着強度に強弱をつけた。
【0047】
サーマルプリンタ:ソニー製 UP−8800
インクリボン:ソニー製 UPC−8840A(画像保護層の材質:セルロースアセテートブチレートとPMMA樹脂の2層構造)
次に、画像保護層上にさらにラミネートフィルムをラミネータにて熱溶着させ、画像転写体を作製した。
【0048】
ラミネータ:MS商会製 MSパウチ H−320 Z
ラミネートフィルム:MS商会製 MSパウチフィルム MP10−100146
以上のように作製した画像転写体について、ラミネートフィルムを剥離し、インク画像の破壊状態を目視にて比較した
画像保護層の接着強度が弱い部分では、印画紙受容層と画像保護層との間で剥離され、インク画像は印画紙上に残存した。
【0049】
一方、接着強度が強い部分では、印画紙基材と印画紙受容層との間で剥離され、インク画像は印画紙上から剥離された。
【0050】
このように、サーマルヘッドにより画像保護層領域に対する加熱を調節することによって、画像保護層が剥離されたときに、この画像転写体のインク画像は2つの剥離状態を生じて破壊された。
【0051】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明にかかる画像転写体は、画像保護層が剥離されたとき、インク画像が不連続に破壊されることにより、改ざん防止能を付与されることになる。したがって、改ざん防止対策が不可欠な身分証明書等に適用可能な画像転写体を提供することができる。
【0052】
また、以上の説明からも明らかなように、本発明にかかる画像転写体の形成方法は、画像保護層を選択的に加熱することにより、印画紙に対する画像保護層の接着強度を部分的に変化させる。したがって、本手法によれば、改ざん防止能を付与された画像転写体を、既存のサーマルプリンタ等を用いて、容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる画像転写体の要部概略断面図である。
【図2】画像転写体を構成する印画紙の断面図である。
【図3】転写型画像保護フィルムの断面図である。
【図4】インクリボンの断面図である。
【図5】インクリボンの平面図である。
【図6】本発明にかかる画像転写体の要部概略断面図である。
【図7】ラミネートフィルムを有する画像転写体の断面図である。
【図8】本発明にかかる画像転写体の、画像保護層の接着強度を示す平面図である。
【図9】図8に示されている画像転写体の、画像保護層を剥離した状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 インク画像、2 印画紙、3 画像保護層

Claims (5)

  1. 基材と、該基材上に形成され、サーマルヘッドによりインク画像が形成される受容層とを有する印画紙と、
    上記サーマルヘッドにより上記インク画像が形成された後に上記インク画像が形成されるのに連続して、該サーマルヘッドにより該インク画像を覆うように上記受容層上に形成される画像保護層とを備え、
    上記受容層と上記画像保護層との境界面には、上記サーマルヘッドの通電を制御して上記サーマルヘッドの上記画像保護層を印加する熱量が部分的に変化されることにより、上記受容層と上記画像保護層との境界面の接着強度が、上記基材と上記受容層との境界面の接着強度より大である接着強度強部と、小である接着強度弱部とが形成され、
    上記画像保護層が剥離されたときに、上記接着強度強部において、上記受容層が上記画像保護層とともに上記基材から剥離されて、上記インク画像が上記印画紙から剥離されるようにし、上記接着強度弱部において、上記受容層が上記基材上に残存されて、上記インク画像が上記印画紙上に残存されるようにした画像転写体。
  2. 上記画像保護層上に、さらにラミネートフィルムが貼り合わされている請求項1記載の画像転写体。
  3. 上記ラミネートフィルムを剥離したときに、上記印画紙上の上記インク画像が不連続に剥離される請求項2記載の画像転写体。
  4. 基材と、該基材上に形成され、サーマルヘッドによりインク画像が形成される受容層とを有する印画紙の該受容層上に、該サーマルヘッドにより該インク画像が形成された後に該インク画像が形成されるのに連続して、該サーマルヘッドにより該インク画像を覆うように画像保護層が形成され、
    上記画像保護層が形成される際には、上記サーマルヘッドの通電を制御して上記サーマルヘッドの上記画像保護層を印加する熱量が部分的に変化されることにより、上記受容層と上記画像保護層との境界面に、上記受容層と上記画像保護層との境界面の接着強度が、上記基材と上記受容層との境界面の接着強度より大である接着強度強部と、小である接着強度弱部とが形成される画像転写体の形成方法。
  5. 上記画像保護層上に、さらにラミネートフィルムが貼り合わされる請求項4記載の画像転写体の形成方法。
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