JP3336023B2 - 印画物 - Google Patents

印画物

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JP3336023B2 JP18580091A JP18580091A JP3336023B2 JP 3336023 B2 JP3336023 B2 JP 3336023B2 JP 18580091 A JP18580091 A JP 18580091A JP 18580091 A JP18580091 A JP 18580091A JP 3336023 B2 JP3336023 B2 JP 3336023B2
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剛史 上野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は印画物に関し、更に詳し
くは改ざん防止性及び偽造防止性に優れた印画物の提供
を目的とする。
【0002】
【従来の技術】従来、パスポート、身分証明書、運転免
許証、定期券、会員証等の多くの冊子或はカード(以下
単にカード類という)が使用され、これらのカード類に
は所有者の身分等を明らかにする各種情報が記録されて
いる。特にパスポート等の身分証明書類においては、住
所、氏名、バーコード等の文字記号情報と共に顔写真の
画像が重要である。各種カード類に顔写真を付与する古
典的な方法は、顔写真をカード基材の所定の部分に接着
剤を用いて貼着する方法であるが、この方法はその操作
が非常に煩雑であると共に、カード表面に凹凸が生じて
平滑性が失われ、更に顔写真の貼り替えによって改ざん
及び偽造が容易であるという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとしている問題点】上記の顔写真の
貼着方法の欠点を解決する方法として、昇華転写方法に
よる画像形成方法が開発されている。この昇華転写方法
では、基材フイルムの表面に熱によって昇華転写する染
料を含む層を設けた昇華型転写フイルムとカード基材と
を重ねて、昇華転写フイルムの背面からサーマルヘッド
により加熱してカード基材上で顔写真を再現し、各種文
字等も同時に印字出来、又、これらの文字は熱溶融イン
キ型の熱転写方法でも形成出来、いずれも簡便な熱転写
プリンターで実施出来るという利点がある。しかしなが
ら、上記熱転写方法による各種情報、特にその顔写真が
カード基材中に染料が染着することによって形成される
ことから、優れた平面性、改ざん防止性及び偽造防止性
を有しているが、溶剤、酸、塩基等によって保護層を除
去し、顔写真や他の情報が改ざん又は偽造される恐れが
完全には否定出来ない。従って本発明の目的は、上記従
来技術の問題点を解決し、改ざん防止性及び偽造防止性
に更に優れた印画物を提供することである。
【0004】
【問題点を解決する為の手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、本発明は、文字、模様、記
号等からなる微細な地紋が印刷された基材シートの上記
地紋を有する面に、受容層転写フイルムから透明染料受
容層を転写し、該染料受容層に上記地紋をバックグラウ
ンドとして昇華性染料からなる画像を形成してなること
を特徴とする印画物である。
【0005】
【作用】染料受容層を実質的に透明に形成し、基材シー
トとの間に地紋を形成した熱転写受像シートを使用して
画像を形成すると、上記地紋が画像のバックグラウンド
を形成することになる。従って偽物の顔写真等を貼着し
た場合、貼着顔写真の範囲では地紋が隠蔽されて改ざん
・偽造物であることが明らかとなり、又、特殊薬品で画
像を消去しようとしても画像の下の地紋も同時に消去さ
れ正確な復元が困難である。
【0006】
【好ましい実施態様】図面に示す好ましい実施態様を参
照して本発明の印画物を更に詳しく説明する。本発明で
使用する熱転写受像シートは、その断面を図1に図解的
に示す様に、受容層転写フイルムを用いて透明染料受容
層2を基材シート1上に設けてなり、該染料受容層2と
基材シート1の間に地紋3が形成されていることを特徴
としている。本発明で使用する基材シートとしては、各
種カード基材として使用されている塩化ビニル樹脂、ポ
リエステル樹脂、ABS樹脂等のシート、各種冊子等の
用紙に使用されている様な各種の紙、例えば、PPC用
紙、熱転写紙、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト
コート紙、ケント紙等、いずれの基材シートであっても
よい。これらの基材シートの厚みは任意であるが、一般
的には30〜200μm程度の厚みである。上記の如き
基材シートは、その表面に形成する染料受容層との密着
力が乏しい場合には、その表面にプライマー処理やコロ
ナ放電処理を施すのが好ましい。これらの基材シートに
は、予め小さな文字、模様、記号等からなる地紋がオフ
セット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等の印刷方
法や、熱転写方法、電子写真、インクジェット、ドット
プリント、手書き等の他の印字方式で形成されている。
【0007】上記基材シートの表面に形成する透明染料
受容層は、基材シート面に形成された地紋を実質的に隠
蔽することなく、転写フイルムから移行してくる昇華性
染料を受容し、形成された画像を維持する為のものであ
る。染料受容層を形成する方法は受容層転写方法であ
り、この場合には基材シートの表面が普通紙の様に平滑
性に欠ける場合であっても表面平滑性に優れた染料受容
層を形成することが出来る。
【0008】上記受容層転写方式で使用する受容層転写
フイルムは、図2にその断面を図解的に示す様に、ポリ
エステルフイルム、ポリイミドフイルム等の基材フイル
ム21の一方の面に、ポリエステル樹脂、エポキシ樹
脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体、スチレン樹脂等の如く昇華性染料染
着性の樹脂からなる透明な染料受容層2を形成し、その
上に必要に応じて密着性等を付与させる目的で、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリアミド
樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の接着剤
からなる透明な接着層23を形成し、更にこの接着層2
3には、クッション性等を付与させる目的で透明性を損
なわない範囲で顔料、フィラー、発泡剤等を包含させて
もよい。又、反対面に必要に応じて耐熱滑性層24を形
成することが出来る。これを図5に示す様に、予め地紋
55が形成されている基材シート51の面に重ね、背面
からサーマルヘッド等で加熱印圧することによって、基
材シート51の必要領域にのみ染料受容層52を転写さ
せることが出来る。かかる受容層転写フイルム及びその
転写方式自体は、本願出願人の先行出願明細書に詳細に
説明されている。以上の如く形成される染料受容層は任
意の厚さでよいが、一般的には1〜50μmの厚さであ
る。
【0009】本発明の画像形成方法は、上記の熱転写受
像シートに、熱転写方法で染料画像を形成する方法であ
り、ここで使用する昇華染料転写フイルムは、図3の如
く、基材フイルム31の一方の面にイエロー32、マゼ
ンタ33及びシアン34、更に必要に応じてブラック
(不図示)の昇華性染料をバインダーで担持させ、必要
に応じて背面に耐熱滑性層35を設けたもので、プリン
タのサーマルヘッドで印字することによって、図5に示
す様に濃淡自在で任意の階調性フルカラー画像53が受
容層52中に形成される。かかる昇華転写フイルム及び
転写方式自体は従来公知のものであり、いずれも本発明
で使用することが出来る。
【0010】又、本発明において必要に応じて使用する
保護層転写フイルムは、図4にその断面を図解的に示す
様に、ポリエステルフイルム、ポリイミドフイルム等の
基材フイルム41の一方の面に、ポリエステル樹脂、エ
ポキシ樹脂、アクリル樹脂、に塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体等の透明性、耐久性に優れた保護層42を形成
し、その上に必要に応じて塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体、アクリル樹脂、ポリアミド等の接着剤からなる透
明な接着層43を形成し、反対面に必要に応じて耐熱滑
性層44を形成したものである。図5に示す様に、これ
を基材シート51に形成された画像53面に重ね、背面
からサーマルヘッド、ホットスタンパー、熱ロール等で
加熱押圧することによって画像の必要領域のみに保護層
54を転写させることが出来る。かかる保護層転写フイ
ルム及び転写方式自体は、本願出願人の先行出願明細書
に詳細に説明されている。又、上記の保護層に代えて、
ポリエステルフイルム、塩化ビニル樹脂フイルム、ポリ
カーボネートフイルム、ポリプロピレンフイルム等の保
護ラミネートシート(フイルム)を画像面に必要に応じ
て接着層を介して熱ロールや熱プレス等で貼り付けても
よい。この際上記の保護層及びラミネートシートは紫外
線遮断効果を有するものであってもよい。更に本発明で
は、図6に図解的に示す様に、基材フイルム61の面に
前記の染料受容層62、各色の染料層Y、M、C及び保
護層63のうち少なくとも2種の層を面順次に設けた複
合転写フイルムを用いて上記の如く画像形成を行っても
よい。
【0011】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説
明する。尚、文中、部又は%とあるのは特に断りのない
限り重量基準である。 実施例1 背面に耐熱滑性層が形成されているポリエチレンテレフ
タレートフイルム(#25、東レ製)の表面に、下記の
組成の受容層形成用塗工液をバーコーターにより乾燥時
5.0g/m2になる割合で塗布し、更にその上に下記
の接着層形成用塗工液を乾燥時2.0g/m2の割合で
同様に塗布し乾燥させて染料受容層転写フイルムとし
た。受容層用塗工液組成 ; 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(電気化学工業製、1000A) 100部 エポキシ変性シリコーン(KF−393、信越化学工業製) 5部 アミノ変性シリコーン(KS−343、信越化学工業製) 5部 メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 500部接着剤層用塗工液組成 ; エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系ヒートシール剤(東洋モートン製、AD-3 7P295) 100部 純水 100部
【0012】次に前記と同様のポリエステルフイルムに
乾燥時塗布量が夫々約3g/m2になる様に、下記のイ
エロー、マゼンタ及びシアンのインキを面順次に幅30
mmに繰り返し塗布及び乾燥して3色の昇華性染料層を
形成して昇華染料転写フイルムとした。イエローインキ 分散染料(Macrolex Yellow 6G、バイエル社製、C.I.Disperse Yellow 201) 5.5部 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBX−1、 積水化学製) 4.5部 メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 89.0部マゼンタインキ 染料としてマゼンタ分散染料(C.I.Disperse Red 60)
を使用した他はイエローインキと同様。シアンインキ 染料としてシアン分散染料(C.I.Solvent Blue 63)を使
用した他はイエローインキと同様。
【0013】次に同様のポリエステルフイルム面に下記
の組成の保護層形成用インキを固形分基準で5g/m2
の割合でグラビアコート方法により塗布及び乾燥して保
護層を形成して保護層転写フイルムとした。保護層用塗工液組成 ; アクリル樹脂(BR−83、三菱レイヨン製) 20部 ポリエチレンワックス 1部 メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 80部
【0014】実施例2 ビデオプリンタ(VY−200、日立製作所製)に、予
め表面に微細文字からなる地紋が印刷されているケント
紙を装着し、最初に前記の染料受容層転写フイルムで所
定位置に受容層を転写させ、次いで染料転写フイルムで
フルカラーの顔写真を形成した。この画像は微細な地紋
をバックグラウンドとして鮮明且つ高解像性であって、
画像の修正や改ざんは困難であり、又、画像面に別の顔
写真を貼着すると、その部分は地紋が隠蔽されるので非
常に不自然であった。更に保護層転写フイルムを使用し
て画像面に保護層を転写したところ、画像は耐指紋性、
耐可塑剤性、耐擦傷性等に優れたものであった。
【0015】実施例3 背面に耐熱滑性層が形成されているポリエチレンテレフ
タレートフイルム(#25、東レ製)の表面に、前記の
受容層形成用塗工液を最初にバーコーターにより乾燥時
5.0g/m2になる割合で幅30cmに、120cm
の間隔を置いて塗布し、更にその上に前記の接着剤層形
成用塗工液を乾燥時2.0g/m2の割合で同様に塗布
し乾燥させて染料受容層を形成した。次に前記ポリエス
テルフイルムの非塗工領域に乾燥時塗布量が夫々約3g
/m2になる様に、前記のイエロー、マゼンタ及びシア
ンのインキを面順次に幅30cmに、30cmの間隔を
おいて繰り返し塗布及び乾燥して3色の昇華性染料層を
形成した。次に同一のポリエステルフイルムの非塗工面
に幅30cmに、120cmの間隔を置いて前記の組成
の保護層形成用インキを固形分基準で5g/m2の割合
でグラビアコート方法により塗布及び乾燥して、更に前
記の接着層用インキをその上に固形分基準で1g/m2
の割合で塗布し、乾燥して保護層を形成し、受容層、染
料層及び保護層を面順次に形成した複合転写フイルムを
作成した。上記の複合転写フイルムを用いて、基材シー
トである基材シートとしてカード用ABS樹脂シートに
実施例1と同様に画像形成したところ同様の優れた効果
が得られた。
【0016】
【効果】以上の如き本発明によれば、染料受容層を実質
的に透明に形成し、基材シートとの間に地紋を形成した
熱転写受像シートを使用して画像を形成すると、上記地
紋が画像のバックグラウンドを形成することになる。従
って偽物の顔写真等を貼着した場合、貼着顔写真の範囲
では地紋が隠蔽されて改ざん・偽造物であることが明ら
かとなり、又、特殊薬品で画像を消去しようとしても画
像の下の地紋も同時に消去され復元が困難である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 熱転写受像シートの断面を図解的に説明する
図。
【図2】 受容層転写フイルムの断面を図解的に説明す
る図。
【図3】 染料転写フイルムの断面を図解的に説明する
図。
【図4】 保護層転写フイルムの断面を図解的に説明す
る図。
【図5】 画像形成方法及び印画物を図解的に説明する
図。
【図6】 複合転写フイルムを図解的に説明する図。
【符号の説明】
1,21,31,41:基材フイルム 2,22,52,62:染料受容層 3,55:地紋 23,43:接着層 24,35,44,64:耐熱滑性層 32,Y:イエロー染料層 33,M:マゼンタ染料層 34,C:シアン染料層 42,54,63:保護層 51:基材シート 53:画像
フロントページの続き (72)発明者 高原 英武 東京都新宿区市谷加賀町1丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 安藤 実彦 東京都新宿区市谷加賀町1丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−203375(JP,A) 特開 平2−238994(JP,A) 特開 平3−45389(JP,A) 実開 平2−124166(JP,U) 実開 昭61−71428(JP,U)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 文字、模様、記号等からなる微細な地紋
    が印刷された基材シートの上記地紋を有する面に、受容
    層転写フイルムから透明染料受容層を転写し、該染料受
    容層に上記地紋をバックグラウンドとして昇華性染料か
    らなる画像を形成してなることを特徴とする印画物。
  2. 【請求項2】 画像面に保護層又は保護フイルムが積層
    されている請求項1に記載の印画物。
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