JP4589520B2 - 内視鏡の先端部の製造方法及び内視鏡の先端部 - Google Patents

内視鏡の先端部の製造方法及び内視鏡の先端部 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、挿入部先端から外方に突出される処置具類の突出方向を変えるための処置具起上台を有する内視鏡の先端部の製造方法およびこの製造方法を用いて製造された内視鏡の先端部に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡の処置具起上台は一般に、軸中心に揺動自在に挿入部先端に配置されていて、遠隔操作される操作ワイヤによって揺動操作される。
【0003】
図14は、そのような従来の内視鏡の先端部を示しており、挿入部先端の先端部本体91に形成された溝92内に処置具起上台93が揺動自在に配置されると共に、溝92を挟む一方の側壁の裏側に形成された駆動レバー収容室94内に、処置具起上台93と共動する駆動レバー95が揺動自在に配置されている。
【0004】
そして、駆動レバー収容室94に向けて後方から開口するガイド孔96内に挿通された操作ワイヤ97の端部が駆動レバー95に連結されていて、操作ワイヤ97を遠隔的に進退操作することによって、駆動レバー95を介して処置具起上台93を揺動させることができる(特開平8−56900号)。
【0005】
また、図15は、上述の従来装置の操作ワイヤ97が通された断面における断面図であり、処置具100を最大限に起上させるためには、駆動レバー95は一点鎖線で示されるように駆動レバー収容室94の後端壁に当接する位置まで揺動しなければならない。
【0006】
しかし、操作ワイヤ97の端部にははんだ付け或いはトーチろう付け等によって連結部材98が固着されているので、操作ワイヤ97の端部近傍ははんだやろうの付着等により硬直化して柔軟性を失っている。
【0007】
その結果、操作ワイヤ97の硬直部分Aがガイド孔96内に入れないため、駆動レバー95が実線で示されるように完全に後端まで揺動しきれず、処置具100の最大起上角度が不足してしまうケースがあった。
【0008】
また、はんだ付けは固着強度が4kgf/mm程度であり、接合部が解離するおそれがあった。さらに、はんだ付け前のフラックスによる母材洗浄およびはんだ付け後のフラックス除去を行わなければならなかった。また、はんだ付けではフラックスによる洗浄が不十分な場合、腐食が起こりやすいという問題があった。さらにはんだ付けの場合、フラックスがはんだ内に閉じ込められ、前記フラックスがはんだの腐食の原因となるという問題があった。また、はんだ付けははんだごてを操作ワイヤ97に接触することによって行われるので、位置ずれを起こしやすいという問題があった。
【0009】
また、トーチろう付けの場合は固着強度が12kgf/mm程度であり、はんだ付けの場合と同様に接合部が解離するおそれがあった。また、トーチろう付けははんだ付けよりも高温雰囲気で作業が行われるため、ろう付けする周囲が必要以上に加熱されて焼きなましされ、強度が落ちるという問題があった。さらに、ろうが非加熱部に流れる場合があり、均一な仕上がりになりにくいという問題があった。また、トーチの燃焼ガスに溶融したろうが吹き飛ばされ、接合部に充分な量のろうが行き渡らない場合があるという問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、駆動レバーを確実に最大限まで揺動させて処置具を所定の最大角度まで起上させることができる内視鏡の先端部を、平易に製造可能な内視鏡の先端部の製造方法および、この方法を用いて製造された内視鏡の先端部を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の内視鏡の先端部の製造方法は、前記操作ワイヤの先端に、前記操作ワイヤと係合する係合孔が穿孔されたストッパー部材を取り付け、
前記操作ワイヤの先端と前記ストッパー部材を、前記ストッパー部材の係合孔の位置で瞬間的に加熱溶融して接合することによって、前記操作ワイヤの端部を形成することを特徴とする。
【0012】
すなわち、請求項1に記載の内視鏡の先端部の製造方法においては、操作ワイヤの先端とストッパー部材を、ストッパー部材の係合孔の位置で接合するので、接合による硬直部分はストッパー部材の係合孔の位置のみに限定されるので、硬直部分がガイド孔内に入れないということはない。
【0013】
また、はんだ付けを用いる場合と異なり、フラックスによる洗浄作業が不要であるので、フラックスによる腐食のおそれがなく、また作業工数も低減できる。
【0014】
さらに、極めて短時間で操作ワイヤの先端とストッパー部材が接合されるので、トーチろう付けのようにろう付けする周囲が必要以上に加熱されて焼きなましされるおそれがない。
【0015】
なお、前記操作ワイヤの先端と前記ストッパー部材を、前記ストッパー部材の係合孔の位置で瞬間的に加熱溶融する手段としては、前記ストッパー部材の係合孔の位置にレーザーを照射する(請求項2)、前記ストッパー部材の係合孔の位置で前記操作ワイヤの先端と前記ストッパー部材をアーク柱に曝す(請求項3)といったものがある。
【0016】
また、操作ワイヤの先端に前記操作ワイヤと係合する係合孔が穿孔されたストッパー部材を取り付け、前記操作ワイヤの先端と前記ストッパー部材を前記ストッパー部材の係合孔の位置で瞬間的に加熱溶融して接合する代りに、操作ワイヤの先端をアーク柱に曝して加熱溶融し、前記操作ワイヤの先端を球状に膨らんだ形状の操作ワイヤの端部として形成しても同様の効果が得られる(請求項7)。
【0017】
或いは、前記操作ワイヤの先端に前記操作ワイヤと係合する操作ワイヤ係合孔が穿孔されたストッパー部材を取り付け、前記ストッパー部材をアーク柱に曝して加熱溶融して球状に膨らんだ形状の操作ワイヤの端部として形成しても同様の効果が得られる(請求項8)。
【0018】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図3は内視鏡を示しており、可撓性のある挿入部1内には、例えば四フッ化エチレン樹脂チューブからなる処置具挿通チャンネル2が全長にわたって挿通されている。
【0019】
挿入部1の基端側には操作部3が連結されており、挿入部1と操作部3との連結部付近に突設された処置具挿入口4に処置具挿通チャンネル2の基端が接続されている。処置具挿通チャンネル2の先端は、挿入部1の先端部1aに接続されている。
【0020】
処置具挿通チャンネル2内には各種の処置具100が挿通されるが、ここでは処置具100として、造影剤等を送るための送液チューブを用いた状態が示されている。
【0021】
処置具100の先端100aは、挿入部1の先端部1aから側方に突出するが、その突出方向を変化させるための処置具起上台5が、挿入部1の先端部1aに内蔵されている。処置具起上台5は、操作部3に設けられた操作ノブ6で進退駆動される操作ワイヤによって揺動操作される。
【0022】
図4は挿入部1の先端部1aの平面図であり、この内視鏡は側方視型内視鏡なので、先端部1aの側面に観察窓8と照明窓9が側方に向けて前後に並んで配置され、それと並んで形成された溝14内に、処置具起上台5が前後方向に揺動自在に配置されている。
【0023】
挿入部1の先端部1aは、ステンレス鋼製の先端部本体12に各部品が取り付けられて構成されており、その外周面の観察窓8、照明窓9及び処置具100の突出部以外の部分は、電気絶縁性のプラスチックカバー11によって外装されている。
【0024】
図5は、先端部本体12からプラスチックカバー11が取り外された状態を示し、図6は、さらに先端部本体12から後述する蓋30を取り外した状態を示している。また、図7は、図4におけるI−I断面を示し、図8は、図4におけるII−II断面を示している。
【0025】
図8に示されるように、観察窓8部分にはカバーレンズ17が取り付けられ、その内側には直角ダハプリズム18が配置されている。19は、射出端面が照明窓9の内側に配置されたライトガイドファイババンドルである。
【0026】
処置具起上台5は、観察窓8及び照明窓9と並んで先端部本体12に形成された一定幅の溝14内に配置されており、起上台駆動軸13を中心に回動することによって前後に揺動する。
【0027】
溝14を挟む先端部本体12の側壁のうち外側の壁の外面側には、起上台駆動室20が窪んで形成されている。起上台駆動室20内には、起上台駆動軸13に一体的に直角に連結された起上台駆動レバー21が収容されている。
【0028】
操作ワイヤ22は、先端部本体12の外側の壁に形成されて後方から起上台駆動室20に向けて開口するガイド孔32内を通って、起上台駆動室20内において先端が起上台駆動レバー21の上端部に連結されている。
【0029】
図9はその連結部を示しており、操作ワイヤ22の先端には円柱形状のピン24がT字状に固着されている。
【0030】
起上台駆動レバー21には、ピン24が通される孔25が穿設されており、起上台駆動レバー21の上端中央部には、操作ワイヤ22と干渉しないように溝26が形成されていて、操作ワイヤ22をどの方向にも引き出すことができる。27は、ピン24を孔25内に側方から差し込めるように、操作ワイヤ22を通すためのスリットである。
【0031】
図8に示されるように、起上台駆動軸13は、側方から先端部本体12と処置具起上台5とに真っ直ぐに穿設された孔に外側から差し込まれて嵌入されており、起上台駆動軸13と処置具起上台5とは、相対的に回転しないように角軸と角孔の嵌め合いによってしっかりと固定されている。29はシール用のOリング、30は蓋である。
【0032】
したがって、操作ワイヤ22の進退運動によって起上台駆動レバー21が起上台駆動軸13を中心に揺動すると、その運動が起上台駆動軸13を介してそのまま処置具起上台5に伝達されて、処置具起上台5が前後に揺動する。
【0033】
ピン24および操作ワイヤ22の端部の断面図を図2に示す。ピン24には操作ワイヤ係合孔24aが穿孔されており、操作ワイヤ22の先端は操作ワイヤ係合孔24aに嵌入されている。さらに、操作ワイヤ係合孔24aの先端側で操作ワイヤ係合孔24aと操作ワイヤ22の先端が接合されている。
【0034】
図1に操作ワイヤ係合孔24aと操作ワイヤ22の先端との接合方法を示す。
先端にピン24が取り付けられた操作ワイヤ22は第1の電極201に接続され、また操作ワイヤ係合孔24aの先端側の近傍には第2の電極202が設置されている。さらに、接合部の酸化を防止するため、ピン24および第2の電極202の周囲はアルゴンガスで満たされている。
【0035】
ここで、第1の電極201と第2の電極202の間に所定の電力を供給することにより、操作ワイヤ係合孔24aの先端側と第2の電極202の間にアーク柱203が発生する。アーク柱の温度は5000K以上と非常に高温であるため、操作ワイヤ係合孔24aの先端側付近のピン24および操作ワイヤ22は溶融する。
【0036】
次いで、第1の電極201と第2の電極202の間の電力の供給を停止して、アーク柱203を消滅させることにより、操作ワイヤ係合孔24aの先端側付近のピン24および操作ワイヤ22はその凝固点まで冷却され、ピン24と操作ワイヤ22は強固に接合される。
【0037】
ここで、アーク柱203は操作ワイヤ係合孔24aの先端側と第2の電極202の間に発生するので、アーク柱203によって加熱される領域は操作ワイヤ係合孔24aの先端側付近のみに限定される。従って、操作ワイヤ22の硬直部分A’は操作ワイヤ係合孔24aの先端側付近のみに限定されるので、操作ワイヤ22の端部近傍は柔軟性を保っている。
【0038】
よって、駆動レバー21は完全に後端まで揺動でき、処置具100の最大起上角度を充分に確保することができる。
【0039】
なお、操作ワイヤ係合孔24aと操作ワイヤ22の先端との接合方法は、上記の方法のみに制限されるものではなく、操作ワイヤ係合孔24aの先端側付近のみを選択的に加熱可能な方法であればよい。たとえば、操作ワイヤ係合孔24aの先端側付近にレーザーを照射して操作ワイヤ係合孔24aの先端側付近のピン24および操作ワイヤ22を加熱溶融して両者を接合してもよい。
【0040】
また、操作ワイヤ22と接合されるピンの形状は上記の形態に制限されるものではなく、起上台駆動レバー21の孔25内でスムーズに回動可能な形状であればよい。例えば、図10のようにピン24’’が球状であってもよい。
【0041】
また、球状のピン24’’を操作ワイヤ22の端末とする代りに、操作ワイヤ22の先端を加熱溶融して、溶融した金属の表面張力によって操作ワイヤ22の先端を球状に膨らんだ形状に形成して端末としてもよい。
【0042】
すなわち、図11に示すように操作ワイヤ22を第1の電極201に接続し、また操作ワイヤ22の先端の近傍に第2の電極202を設置する。
【0043】
ここで、第1の電極201と第2の電極202の間に所定の電力を供給することにより、操作ワイヤ22の先端22aと第2の電極202の間にアーク柱203が発生する。アーク柱の温度は5000K以上と非常に高温であるため、操作ワイヤ22の先端22aは溶融し、その表面張力によって操作ワイヤー22よりも太径の球状になる。ここで、第1の電極201と第2の電極202の間の電力の供給を停止して、アーク柱203を消滅させることにより、第1の操作ワイヤ22の先端22aはその凝固点まで冷却されるので、結果としてその形状を操作ワイヤー22よりも太径の球状としたまま硬化される。
【0044】
また、図12のように、スラスト方向に操作ワイヤ係合孔124aが穿孔された円柱形状のピン124を操作ワイヤ22の先端に取り付け、さらに図13に示すようにピン124をアーク柱に曝して加熱溶融して、ピン124を球状に加工してもよい。
【0045】
すなわち、図13に示すように操作ワイヤ22を第1の電極201に接続し、またピン124の近傍に第2の電極202を設置する。
【0046】
ここで、第1の電極201と第2の電極202の間に所定の電力を供給することにより、ピン124と第2の電極202の間にアーク柱203が発生する。アーク柱の温度は5000K以上と非常に高温であるため、ピン124は溶融し、その表面張力によって操作ワイヤー22よりも太径の球状になる。ここで、第1の電極201と第2の電極202の間の電力の供給を停止して、アーク柱203を消滅させることによりピン124はその凝固点まで冷却されるので、ピン124と操作ワイヤ22は強固に接合され、さらに結果としてその形状を操作ワイヤー22よりも太径の球状としたまま硬化される。
【0047】
上記の方法によれば、操作ワイヤー22の端部の形状を操作ワイヤー22の太さに関わらず任意の大きさの球状とすることができる。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本発明の内視鏡先端部の製造方法によれば、駆動レバーを確実に最大限まで揺動させて処置具を所定の最大角度まで起上させることができる内視鏡の先端部を、平易に製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の内視鏡の先端部において、処置具を起上させる駆動レバーを操作する操作ワイヤの端部を形成している状態を示したものである。
【図2】本発明の実施の形態の内視鏡の先端部において、処置具を起上させる駆動レバーを操作する操作ワイヤの端部の断面図を示したものである。
【図3】本発明の実施の形態の内視鏡の全体図である。
【図4】本発明の実施の形態の内視鏡先端部の平面図である。
【図5】本発明の実施の形態の内視鏡の先端部のプラスチックカバーを取り外した状態を示した斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態の内視鏡の先端部の一部を分解した状態の斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態の内視鏡の先端部の図4におけるI−I断面による側面断面図である。
【図8】本発明の実施の形態の内視鏡の先端部の図4におけるII−II断面による正面断面図である。
【図9】本発明の実施の形態の内視鏡の先端部の操作ワイヤ連結部の拡大斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態の別例における、内視鏡の先端部の操作ワイヤ連結部の拡大斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態の内視鏡の先端部の別例において、処置具を起上させる駆動レバーを操作する操作ワイヤの端部を形成している状態を示したものである。
【図12】本発明の実施の形態の内視鏡の先端部の別例において、処置具を起上させる駆動レバーを操作する操作ワイヤの端部の断面図を示したものである。
【図13】図12記載の操作ワイヤの端部を形成している状態を示したものである。
【図14】従来の内視鏡の先端部の一部を分解した状態の斜視図である。
【図15】従来の内視鏡の先端部の側面断面図である。
【符号の説明】
1 挿入部
1a 挿入部先端部
5 処置具起上台
12 先端部本体
13 起上台駆動軸
21 起上台駆動レバー
22 操作ワイヤ
24 ピン
24a 操作ワイヤ係合孔
25 孔
26 溝
27 スリット
100 処置具
201 第1の電極
202 第2の電極
203 アーク柱

Claims (3)

  1. 挿入部先端の先端部本体に形成された溝内に処置具起上台が揺動自在に配置されると共に、上記溝を挟む一方の側壁の裏側に形成された駆動レバー収容室内に上記処置具起上台と共動する駆動レバーが揺動自在に配置され、上記駆動レバー収容室に向けて開口するガイド孔内に挿通された操作ワイヤの端部が上記駆動レバーに連結された内視鏡の先端部の製造方法であって、
    前記操作ワイヤの先端に、前記操作ワイヤと係合する操作ワイヤ係合孔が穿孔されたストッパー部材を取り付け、前記ストッパー部材をアーク柱に曝して加熱溶融して球状に膨らんだ形状の操作ワイヤの端部として形成することを特徴とする、内視鏡の先端部の製造方法。
  2. 前記ストッパー部材が、スラスト方向に前記操作ワイヤ係合孔が穿孔された円柱形状の部材であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡の先端部の製造方法。
  3. 請求項または請求項に記載の内視鏡の先端部の製造方法を用いて製造された内視鏡の先端部。
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