JP4589131B2 - 画像センサおよびその画像読み出し方法 - Google Patents

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Description

本発明は画像センサおよびその画像読み出し方法に係り、特に、画素単位にランダムアクセス可能な画像センサおよびその画像読み出し方法に関する。
今日、画像センサを用いた撮像装置やカメラは、民生用、産業用を問わず多種多様な形態でその応用分野を広めつつある。
固体画像センサには、画像センサに用いられている固体撮像素子としてCCDを用いたCCD画像センサとCMOSを用いたCMOS画像センサがある。
CCD画像センサは、フォトダイオード等の受光素子に蓄積された電荷をバケツリレーのように順次読み出していく構成であり、雑音の発生が少なく高画質が得られるといった観点から今日でもデジタルカメラ等に広く用いられている。
一方、CMOS画像センサは、当初CCD画像センサに比べて雑音の発生が多く、画質の点でCCD画像センサに比べてやや劣るとされていた。このため、一般的な応用分野においてはCCD画像センサに比べて普及が遅れていた。
しかしながら、CMOS画像センサの低雑音化技術の進捗に伴って、CCD画像センサの画質と同等或いはCCD画像センサを凌駕するものも出現するに至ってきている。このため、CMOS画像センサが有する画質以外の種々の利点が注目されてきている。
第1の利点は、CMOS画像センサはCCD画像センサに比べて消費電力が少ない点にある。このため、バッテリを用いた携帯用の機器に応用する場合に有利となる。
第2の利点は、CMOS画像センサの製造に係るプロセス技術が、CMOSメモリ等の需要の大きな素子のプロセス技術と共通しており汎用性の高い技術である点にある。このため、開発・設計の共通化や製造設備の共用化が可能であり、低コスト化が期待できる。
第3の利点は、全画素領域の内、特定の部分画素領域や特定の画素単体をランダムアクセス可能な点である。CCD画像センサの場合は受光素子に蓄積した電荷を順次バケツリレーのように読み出す方式であるため、特定の部分画素領域や特定の画素単体に対してランダムアクセスすることは原理的に困難である。これに対して、CMOS画像センサは、二次元配列のX座標とY座標をそれぞれ独立に指定し、指定された座標に相当する画素単体の受光量を読み出す方式である。このため、全画素領域の内、特定の部分画素領域や特定の画素単体を読み出すことが原理的に可能である。
民生用のデジタルカメラ等の応用分野においては、予め表示画面の大きさは定型化されており所定の同一の画素領域を順次読み出して画像を生成する方式であるため、各画素に対してランダムアクセスが必要となる場合はほとんどない。
一方、産業用の撮像装置等においては、例えば超高速・高解像度を実現するためや、特殊な画像処理のために画素に対するランダムアクセス機能が必要となってくる場合がしばしばある。
例えば、特許文献1は、画像の特徴量を表示する撮像カメラ装置において、高空間解像度と高速リアルタイム性を両立させる技術について開示しており、この中では画像のフレーム毎にランダムアクセス可能なCMOS画像センサを用いている(特許文献1の段落[0021]等参照)。
また、特許文献2には、撮像素子の各画素に1対1に対応したメモリ回路を備え、このメモリ回路に記憶された2値データに基づいて撮像素子の画素データの読み出しを制御する技術が開示されている。メモリ回路のデータが例えば「1」の時には画素データを読み出し「0」の時には画素データを読み出さないようにすることによって全体として読み出し時間を短縮できるとしている。また、メモリ回路に記憶される2値データ(「1」又は「0」)を任意の2次元面で予め書き込んでおくことによって、「1」に対応する画素データにランダムアクセスして読み出すことが可能としている。
特開2003−319262号公報 特開平11−275468号公報
ところで、CMOS画像センサは上述したように原理的にはランダムアクセスが可能なデバイスであるが、X方向(横方向)に列を更新する更新時間とY方向(縦方向)に行を更新する更新時間とでは大きく異なることが一般に知られている。
このため、全画素領域(例えば、1024素子×1024素子の約100万画素数を備えた正方形領域)の中からランダムアクセス機能によって所定の部分画素領域(例えば、合計1024素子の長方形部分画素領域)の画素データを読み出そうとした場合に、横長の長方形領域(X方向:64素子、Y方向:16素子)の画像データと、縦長の長方形領域(X方向:16素子、Y方向:64素子)の画像データとでは同一画素数であっても読み出し時間に大きな差異を生じることになる。
この理由を図8を用いて説明する。図8は、従来のCMOS画像センサ4(N行M列)の構成を模式的に示したものである。
CMOS画像センサ4の各画素は、光を電荷(画素信号)に変換する受光素子41、受光素子41に蓄積された電荷をリセットするためのスイッチ用トランジスタ42、受光素子41に生じた画素信号を増幅する増幅用トランジスタ43、および増幅された画素信号を選択するためのセルスイッチ44を備えて構成される。
CMOS画像センサ4の特定の画素、例えば画素Pn,mの画素信号を読み出す場合には、まずY座標を指定する行選択信号Sr,nに所定の電圧を印可する。この結果、第n行にある画素Pn,m(m=1〜M)の総てのセルスイッチ44がオンとなり、各画素信号は列読み出し線Lm(m=1〜M)に出力される。
次に、X座標を指定する列選択信号Sc,mに所定の電圧を印可する。この結果、第m列の列スイッチ46のみがオンとなり、特定の単独画素Pn,mの画素信号が出力線Loutに出力されることになる。
CMOS画像センサ4の所定の部分領域の画素信号を読み出す場合には、列選択信号および行選択信号に順次所定の電圧を印加していくことで所定の形状をなす部分領域の画素信号を連続的に読み出すことができる。
例えばY座標として第n1行から第n2行まで、X座標として第m1列から第m2列までの矩形状部分領域の画素信号を読み出す場合には、行選択信号Sr,n1に電圧を印加した状態で、列選択信号Sc,m1から列選択信号Sc,m2まで順次切り換えて電圧を印可していく。この結果、第n1行の画素信号が第m1列から第m2列まで行方向に読み出される。第n1行の画素信号の読み出しが終了すると第n1+1行方向の画素信号を読み出していく。以下同様にして第n2行まで順次画素信号を読み出すことで所定の部分領域の画素信号を読み出すことができる。
ところで、CMOS画像センサ4内に設けられる列読み出し線Lm(m=1〜M)や出力線Loutは一定の伝送抵抗や伝送容量を有している。このため、これらの伝送線を介して信号を伝達する際には、抵抗成分や容量成分に起因する遅延時間を考慮する必要がある。
特に、列読み出し線Lm(m=1〜M)は、セルスイッチ44を介して各画素に直接接続されており、これらの伝送線を駆動する駆動電流が小さいため、画素信号を正確に伝達させるためには遅延時間を十分考慮してセルスイッチ44の切換時間を設定する必要がある。このため、行選択信号を用いてセルスイッチ44を切り換え、画素を列方向(Y方向)に切り換える更新時間(アクセススピード)は比較的長く設定せざるをえない。
例えば、画素数が1024×1024のCMOS画像センサ4の従来例では、Y方向の更新時間(アクセススピード)は、約400nsec程度となる。
一方、図8に示したようにCMOS画像センサ4は、列読み出し線Lm(m=1〜M)と出力線Loutとの間に、列スイッチ46と共に高速駆動用増幅器45を設けた構成となっている。このため、高速駆動用増幅器45によって出力線Loutを駆動する駆動電流を十分確保することが可能となり、列スイッチ46の切り換え時間は短く設定することができる。この結果、列選択信号を用いて列スイッチ46を切り換え、画素を行方向(X方向)に切り換える更新時間(アクセススピード)は短く設定することが可能となる。
例えば、画素数が1024×1024のCMOS画像センサ4の従来例では、X方向の更新時間(アクセススピード)は、約20ns程度となる。
この結果、図9(a)に示したように、例えば1024×1024のCMOS画像センサ4から横長の長方形部分領域(X方向:64素子、Y方向:16素子、画素数1024)の画素信号をX方向に走査して読み出す場合の読み出し時間は、1行当たりのX方向の読み出し時間(約20n×64)とY方向の更新時間(約400ns)との合計値に行数(16)を乗じた値、即ち約26.9μsとなる。
これに対して、同じCMOS画像センサ4から図9(b)に図示した縦長の長方形部分領域(X方向:16素子、Y方向:64素子、画素数1024)の画素信号をX方向に走査して読み出す場合の読み出し時間は、1行当たりのX方向の読み出し時間(約20n×16)とY方向の更新時間(約400ns)との合計値に行数(64)を乗じた値、即ち約46.1μsとなる。
また、同じ縦長の長方形部分領域(X方向:16素子、Y方向:64素子、画素数1024)の画素信号を読み出す場合であっても図9(c)に示したようにY方向に走査して読み出す場合には読み出し時間が大きく異なってくる。Y方向に走査して読み出す場合の読み出し時間は、1列当たりのY方向の読み出し時間(約400ns×64)とX方向の更新時間(約20ns)との合計値に列数(16)を乗じた値、即ち約409.9μsとなる。
このように、従来のCMOS画像センサにおいては、同一画素数であっても、読み出す部分画素領域の形状又は向き、或いは読み出しの走査方向によって読み出し時間に大きな差異が生じることになる。
この結果、特許文献1が開示する撮像カメラ装置のように、全画素領域の中から特定の部分画素領域の大きさや回転角をフレーム毎に変更しながら抽出するシステム(特許文献1の図4参照。)においては、フレーム毎に画像データの読み出し時間が異なることになり、システムタイミング設計上大きな制約となる他、システム性能(高速リアルタイム性)を損なう結果ともなる。
特許文献2が開示する技術は、座標の指定に要する時間を短縮することは可能であるものの、前述したX方向とY方向の更新時間の差異を均一化するものではない。
また、特許文献1が開示する撮像カメラ装置においては、同一フレーム内において、同一画素に複数回アクセスする場合があるが、この際にはCMOS画像センサの非破壊読み出し性が求められる。従来のCMOS画像センサは、フォトダイオードのような受光素子の周辺回路はアナログ回路で構成されているため、受光素子に蓄積された電荷は時間と共に徐々に変化し完全な非破壊性を実現することは困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、特定の画素領域の読み出し方向に依存せず、同一の画素数であれば特定の画素領域の形状や向き等にかかわらず同一の読み出し時間を確保することが可能であると共に、完全な非破壊読み出しを可能とする画像センサおよびその画像読み出し方法を提供することを目的とする。
本発明に係る画像センサは、上記課題を解決するため、受光素子を有する複数の画素が面状に配列された画像センサにおいて、複数の画素から出力される画素信号の電圧振幅を画素毎にA/D変換する前記複数の画素と同数のA/D変換器と、A/D変換器によって変換されたデジタル画素信号を画素毎に記憶する前記複数の画素と同数のSRAM(Static Random Access Memory)と、面状の配列内に設けられる部分画素領域に対して、前記部分画素領域内の座標を任意に指定し前記SRAMに記憶された画素毎のデジタル画素信号を、前記部分画素領域の大きさ、形状、向き、および読み出し方向に依存しない一定の読み出し速度で、かつランダムに読み出す制御部と、を備え、前記A/D変換器および前記SRAMは、画素毎に前記画素に隣接して設けられる、ことを特徴とする。
本発明に係る画像センサおよびその画像読み出し方法によれば、画素領域の読み出し方向に依存せず、同一の画素数であれば特定の画素領域の形状や向き等にかかわらず同一の読み出し時間を確保することが可能であると共に、完全な非破壊読み出しを可能とする。
本発明に係る画像センサおよびその画像読み出し方法の実施形態について添付図面を参照して説明する。
(1)第1の実施形態
図1は、本発明に係る画像センサ1の第1の実施形態における構成例を示した図である。
画像センサ1は、画素ユニットPがX方向にM列、Y方向にN行面状に配列されて構成され、合計MN個の画素ユニットP(P(n,m)、n=1〜N、m=1〜M)を備えている。
図1では、説明の便宜上、MN個の画素ユニットPのうち、第n行第m列の画素ユニットP(n,m)、第n行第m+1列の画素ユニットP(n,m+1)、第n+1行第m列の画素ユニットP(n+1,m)、および第n+1行第m+1列の画素ユニットP(n+1,m+1)の4個の画素ユニットPだけを図示している。
各画素ユニットPは、光を画素信号に変換する画素11と、画素11から出力されるアナログ信号の画素信号をデジタル信号に変換するA/D変換器12と、デジタル信号に変換された画素信号を記憶するメモリ13とを備えて構成される。
A/D変換器12とメモリ13は、画素11と1対1に対応しており、画像センサ1全体ではそれぞれ画素11と同数のMN個を備えて構成される。
また、A/D変換器12とメモリ13は、物理的に画素11に隣接して配置される。
画素11は、フォトダイオード等で構成され光を電気信号に変換する受光素子14と、受光素子14に蓄積される電荷を例えばフレームタイム(画像更新周期)毎にリセットするためのスイッチ用トランジスタ15と、受光素子14の電気信号を増幅しアナログ信号の画素信号として出力する増幅用トランジスタ16とを備えている。
各画素ユニットPのメモリ13の出力は、同一の列を貫く列バスBm(m=1〜M)に接続され、各列バスBm(m=1〜M)は、列スイッチ17を介して出力バスBoutに接続される。画像センサ1の画素信号は、出力バスBoutを介して外部に取り出される。
他方、画像センサ1は、各画素ユニットPに対する制御信号を生成する制御部10を備えている。制御部10で生成する制御信号には、受光素子14をリセットするためのピクセルリセット信号、画素信号をA/D変換しメモリ13に記憶させるための書込信号、座標を指定しメモリ13に記憶された画素信号を読み出すための行読出信号および列読出信号等が含まれる。
これらの制御信号のうち、ピクセルリセット信号および書込信号は、制御部10から総ての画素ユニットPに共通の信号を分配して接続され、各画素ユニットP内では、ピクセルリセット信号はスイッチ用トランジスタ15のゲートに、また書込信号はA/D変換器12とメモリ13とに接続される。
一方、行読出信号は、行毎に独立した行読出信号Rr,n(n=1〜N)として、それぞれ対応する行の画素ユニットPのメモリ13に接続される。
また、列読出信号は、列毎に独立した列読出信号Rc,m(m=1〜M)として、それぞれ対応する列の列スイッチ17に接続される。
上記のように構成された画像センサ1の動作について説明する。
図2は、画像センサ1のタイミングチャートを示したものである。ピクセルリセット信号は、フレームタイムTf毎に周期的に制御部10で生成される。このピクセルリセット信号は総ての画素ユニットPに共通に配信され、各画素ユニットP内の受光素子14に蓄積された電荷が一斉にリセットされる。ピクセルリセット信号によってフレームタイムTf毎に画像が更新されることになる。
ピクセルリセット信号によってリセットされた後に、各画素ユニットP内の受光素子14には新たな画素信号が蓄積(露光)される。所定の露光時間Teが経過した後、制御部10から書込信号が総ての画素ユニットPに共通に配信される。各画素ユニットP内のA/D変換器12は、画素11から出力されるアナログ量の画素信号を書込信号に基づいてデジタル量に変換する。
さらに、各画素ユニットP内のメモリ13は、デジタル量に変換された画素信号を書込信号に基づいて記憶する。この結果、メモリ13には各画素ユニットP毎に、画素信号が書込信号に基づいて一斉に記憶される。
次に、制御部10は、行読出信号および列読出信号を用いて画素ユニットPの行と列、即ち座標を指定して該当する座標の画素ユニットPの画素信号を読み出す。例えば、画素ユニットP(n,m)の画素信号を読み出す場合には、行読出信号Rr,nと列読出信号Rc,mとをオンとすることで、画素ユニットP(n,m)の画素信号が列バスBmを介して出力バスBoutに出力される。
引き続き画素ユニットP(n+1,m)の画素信号を読み出す場合には、行読出信号Rr,n+1と列読出信号Rc,mをオンとすることで、画素ユニットP(n+1,m)の画素信号が列バスBmを介して出力バスBoutに出力される。
このように、読み出し時間Trの間に、行読出信号および列読出信号を順次更新することによって画像センサ1内の任意の画素ユニットPの画素信号を順次読み出すことができる。
メモリ13は種々の形態で構成することが可能であるが、SRAM(Static Random Access Memory)で構成することが好ましい。この理由は、SRAMは例えばDRAMに比べて高速な書込読み出しが可能である他、X座標とY座標とでアクセスタイムが均一であり、複数の画素信号を読み出す際に読み出し順序に依存せず、同一の画素数であれば常に一定の読み出し時間で読み出すことが可能であるためである。
従来の画像センサにおいては、図8に示したように、画素信号を列読み出し線Lmおよび出力線Loutを介してアナログ信号の形態で出力する形態であった。このため、アナログ信号の波形を維持するためには伝達線の遅延時間や送信元の駆動能力を考慮して読み出し時間を設定する必要があり、読み出し時間の短縮には一定の限界があった。
さらに、一般的には、列読み出し線Lmを介して画素信号を各画素から列方向(Y方向)に駆動する能力は低く、行方向(X方向)では列読み出し線Lmの端部に設けられた高速駆動用増幅器45の効果によって駆動能力は高い。このため、画素をY方向に更新する更新時間は長くなり、X方向に更新する場合とでは更新時間に大きな差が生じることとなり、同一の画素数であっても、読み出す画素領域の形状や向き、或いは読み出し方向によって読み出し時間が大きく異なっていた。
これに対して、第1の実施形態に係る画像センサ1によれば、画素ユニットP毎に画素信号をデジタル信号に変換し、さらに画素ユニットP毎にメモリ13に記憶する形態としている。そしてメモリ13に記憶されたデジタル信号を列バスBmおよび出力バスBoutを介して読み出す形態としている。
このため、従来の画像センサのようにアナログ信号の波形の維持を考慮する必要がなく、高速で「0」、「1」のデジタル信号を転送することが可能となる。さらに、メモリ13としてSRAMを用いれば、X方向の更新時間とY方向の更新時間は同一に設定できるため、同一画素数であれば、読み出す画素領域の形状や向き、或いは読み出し方向に関わらず常に一定の読み出し時間を実現することが可能となる。
換言すれば、第1の実施形態に係る画像センサ1は、画素信号の読み出しに関して一般的なSRAMと全く同様な完全ランダムアクセスが可能となる。
さらに、第1の実施形態に係る画像センサ1によれば、完全な非破壊読み出しが実現できる。従来の画像センサ4では受光素子14の周辺回路はアナログ回路で形成されているため、例えば、同一フレームタイムTf内で同一の画素に複数回アクセスするような場合、アクセス毎の完全な同一性は確保できず、若干の変動を許容せざるを得なかった。
これに対して、第1の実施形態に係る画像センサ1によれば、一旦メモリ13に画素信号が記憶された後には画素信号が書き換えられない限り何度でも全く同一の画素信号を読み出すことが可能であり、完全な非破壊読み出しが実現できる。
図3は、第1の実施形態に係る画像センサ1を用いて、全くランダムな位置にある画素ユニットPにアクセスする際のタイミングチャートを示したものである。
第1の実施形態に係る画像センサ1によれば、画素ユニットPの座標が、PA、PB、PCのようにY座標が同一でX座標が連続的に更新される場合であっても、また、PCからPD或いはPEからPFのようにX座標、Y座標ともに離散的にランダムに変化する場合であっても、一定の処理遅れTdを維持して読み出しクロック信号の周期に同期して画素信号が読み出され、完全なランダムアクセス性が実現できる。
図4は、全画素領域(M×N)の中から、長方形の部分画素領域(m×n)の画素信号をフレーム毎に向きを回転させながら読み出す状況を示したものである。
産業用等の特殊な画像カメラにおいては、高解像度を維持しつつ超高速撮影を可能とする画像センサが求められる場合がある。このような場合、例えば全画素数を1024×1024の高解像度とし、全画素をフレームタイム1ms(毎秒1000回の更新周期)程度の超高速で更新することは画像データの伝送速度や画像処理速度の点から近い将来の技術をもってしても容易ではない。
そこで、通常の速度での撮影、例えばフレームタイム33ms(毎秒約30回の更新周期)で撮影する場合には全画素数(1024×1024)を更新させ、超高速で撮影する場合には部分画素領域(例えば128×256)の画素のみを読み出して超高速で更新するといった手法が考えられる。
この際、産業用カメラ等では、回転、移動、拡大、縮小(以下回転等と呼ぶ)するような対象物を常に一定の向き、大きさで撮像する要望がある。
特許文献1が開示する技術は、このような要望に答えるもので、回転等する対象物の特徴量を抽出し、フィードバック技術に基づくトラッキングによって対象物を含む部分画素領域のみを一定の位置、向き、大きさに変換しつつ読み出すことを可能としている。即ち、一定の位置、向き、大きさを有する部分画素領域の画素信号を読み出した後に対象物に対して回転等の変換を施すのではなく、画素信号の読み出しの座標自体を予め逆アフィン変換等によって算出しておき、この算出された座標によって部分画素領域の画素信号を読み出すことにより、読み出した時点で回転等の変換が施された画像が得られることになる。このため、画像処理時間が全体として短縮され、超高速撮影に大きな効果が期待される。
特許文献1が開示する技術では、図4に示したように、フレームタイム毎に異なる形状や向きの部分画素領域を読み出す必要がある(図4は、向きのみが変化する例を示している)。この際、部分画素領域の形状や向きによって画素信号の読み出し時間がフレームタイム毎に異なると画像センサの出力を適切な処理タイミングで画像処理することが困難となる。また、フレームタイム毎に画素信号の読み出し時間が異なる場合には、結局は読み出し時間が最も長くなる場合を想定してシステムタイミングを構築せざるを得なくなり、せっかくの超高速カメラの実力を発揮できないことになる。
第1の実施形態に係る画像センサ1によれば、部分画素領域の形状、向き、或いは読み出し方向が異なったとしても、画素数が変化しない限り常に同一の読み出し時間で画素信号を読み出すことが可能であるため、特許文献1が開示する技術に好適な画像センサ1を提供することができる。
図1に示した画素11は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を用いて形成することができるが、A/D変換器12、メモリ13、列スイッチ17、制御部10を構成するロジック回路等も同様にCMOSを用いて形成することが可能である。このため、画像センサ1全体を1つのCMOSチップ上に形成することが可能となり、小型高集積、低消費電力の画像センサ1を低コストで実現することが可能となる。
また、CMOSを用いたプロセス技術は各種ロジック回路やメモリ回路として広く普及しており、新たに特殊なプロセス技術を開発することなく既存のプロセス技術を利用することができるため、開発リスクが少なく低コスト化に寄与する。
なお、図1に示した画像センサ1では制御部10を含めた構成としているが、実装上の効率等の観点から、制御部10を分離し画像センサ1の外部に設ける形態としてもよい。
(2)第2の実施形態
図5は、本発明に係る画像センサ2の第2の実施形態における構成例を示したものである。
第2の実施形態に係る画像センサ2と第1の実施形態に係る画像センサ1との主な相違点は、第1の実施形態に係る画像センサ1が画素ユニットP毎にA/D変換器12およびメモリ13を設ける構成としているのに対して、第2の実施形態に係る画像センサ2においては、画素ユニットPを列毎にグループ化し、グループ毎にA/D変換器22およびメモリ23を設ける構成としている点である。
グループ化は行毎に行っても良い。いずれのグループ化であっても基本的な構成や動作は異なることはない。本説明では列毎にグループ化した実施形態で説明する。
第1の実施形態に係る画像センサ1は、画素11に隣接してA/D変換器12およびメモリ23を配設する構成としている。このため、画素11の受光面積を従来のCMOS画像センサと同様に維持するためには集積度の高いCMOSプロセスが必要となる。しかしながら、近年のCMOS微細プロセス技術の進歩は著しく、近い将来には十分実現可能な範囲である。
他方、現状のCMOSプロセスを利用する場合には、画素11に隣接してA/D変換器12およびメモリ13を配設する構成にすると、画素11の受光面積を縮小せざるを得なくなる可能性がある。この結果、画素11の受光量が減少する。また、画素11の受光面積を維持した場合にはCMOSチップの面積(画素アレイ領域2aの面積)を大きくせざるを得ず、この場合にはレンズ系等の光学系の大型化等が別途必要となる。
第2の実施形態に係る画像センサ2では、画素21とA/D変換器22およびメモリ23とを物理的に分離して配置する構成としている。この結果、現状のCMOSプロセス技術を用いたとしても画素21の受光面積の減少や画素アレイ領域2aの面積の拡大をすることなく画像センサ2を実現することが可能となる。
第2の実施形態に係る画像センサ2の構成と動作について、第1の実施形態に係る画像センサ1と異なっている点を中心に説明する。
第2の実施形態に係る画素21では、受光素子24と増幅用トランジスタ26のゲートとの間に、電荷転送用スイッチ27と電荷保持用キャパシタ28を備えた構成としている。また、電荷保持用キャパシタ28には、キャパシタリセット用スイッチ28aが接続されている。
増幅用トランジスタ26の出力は、セルスイッチ29を介して列読み出し線Lm(m=1〜M)に接続される。
各列読み出し線Lm(m=1〜M)は、画素アレイ領域2aの一端において、A/D変換器22に接続される。各A/D変換器22は列毎に設けられており、実装上は、例えば画素アレイ領域2aの外周部のA/D変換器領域2bに配列される。
メモリ23もA/D変換器22と同様に列毎に設けられ、メモリ23にはA/D変換器22の出力が接続される。各メモリ23は、実装上は、例えばA/D変換器領域2bに隣接したメモリ領域2cに配列される。
画像センサ2に設けられる制御部20では、各種制御信号を生成する。これらの制御信号のうち、ピクセルリセット信号およびピクセル転送信号は制御部20から総ての画素ユニットP(P(n,m)、n=1〜N、m=1〜M)に共通の信号を分配して接続され、各画素ユニットP内では、ピクセルリセット信号はスイッチ用トランジスタ25のゲートに、また、ピクセル転送信号は電荷転送用スイッチ27に接続される。
一方、行選択信号は、行毎に独立した行選択信号Rn(n=1〜N)として、それぞれ対応する行の画素ユニットPのセルスイッチ29に接続される。
また、書込信号は列毎に設けられたA/D変換器22およびメモリ23にそれぞれ分配して接続される。
この他、制御部20からはSRAM読み出しアドレス信号やSRAM制御信号が各メモリ23に対して接続され、さらに各メモリ23の出力は出力バスBoutに接続される。
上記のように構成された画像センサ2の動作について説明する。
図6は、画像センサ2のタイミングチャートを示したものである。
ピクセルリセット信号は、第1の実施形態に係る画像センサ1と同様に、フレームタイムTf毎に制御部20で周期的に生成され、各画素ユニットP内の受光素子24に蓄積された電荷が一斉にリセットされる。ピクセルリセット信号によってフレームタイムTf毎に画像が更新されることになる。
ピクセルリセット信号によってリセットされた後に、各画素ユニットP内の受光素子24には新たな画素信号が蓄積(露光)される。所定の露光時間Teが経過する直前に、制御部20からキャパシタリセット用信号が総ての画素ユニットPに共通に配信され、キャパシタリセット用スイッチ28aがオンになることによって電荷保持用キャパシタ28がリセットされる。これによって、電荷保持用キャパシタ28に蓄積されていた1つ前のフレームの画素情報が消去される。その後、制御部20からピクセル転送信号が総ての画素ユニットPに共通に配信される。ピクセル転送信号によって電荷転送用スイッチ27がオンとなり、新たなフレームの画素信号は電荷保持用キャパシタ28に一斉に転送される。
さらにこの後、制御部20から行選択信号が第1行から第N行まで順次出力される。この結果、電荷保持用キャパシタ28に蓄積されている画素信号は、第1行から第N行まで順次各列読み出し線Lm(m=1〜M)に出力されることになる。
他方、制御部20からは、行選択信号に同期してA/D変換器22およびメモリ23に対して書込信号が出力され、列読み出し線Lm(m=1〜M)から出力される画素信号は順次A/D変換され、メモリ23に記憶される。
行選択信号が第N行を選択した時点で、対応する列の総ての行の画素信号がデジタル化されてメモリ23に記憶される。メモリ23は各列毎に設けられているため、画像センサ2の総ての画素信号が列毎にグループ化されてメモリ23に記憶されることになる。メモリ23への書込は列毎に並列に行われるため、短時間での書込が可能となる。
続いて、制御部20から各メモリ23に対してアドレス(座標)を指定するSRAM読み出しアドレス信号とSRAM制御信号が出力され、指定されたアドレスの画素信号が出力バスBoutを介して外部に出力される。
メモリ23には、総ての画素信号が列毎にグループ化されて記憶されているが、読み出しに際しては総ての画素信号を読み出す必要はない。
また、メモリ23をSRAMで構成することにより、X方向、Y方向の読み出し更新時間は均一にすることが可能である。
従って、画素信号の読み出しに関しては、第1の実施形態に係る画像センサ1と全く同様に図3に例示した完全なランダムアクセス性が実現できる。また、部分画素領域を読み出す場合においては、図4に例示したように、画素数が同一である限り部分画素領域の形状、向き、或いは読み出し方向の如何に関わらず、常に一定の読み出し時間で部分画素領域の画素信号を読み出すことが可能となる。
また、画像センサ2の総ての構成品、即ち、制御部20,画素ユニットP、A/D変換器22およびメモリ23は、第1の実施形態に係る画像センサ1と同様に、汎用のCMOSプロセス技術を用いて単一のCMOSチップ上に形成することが可能であり、小型高集積、低消費電力、低コストといった第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、第1の実施形態と同様に、制御部20を画像センサ2の外部に設ける形態であっても良い。
第2の実施形態に係る画像センサ2によれば、A/D変換器22およびメモリ23を画素アレイ領域2aの外部に隣接して設ける形態としているため、第1の実施形態の効果に加えて、現状のCMOSプロセス技術を利用したとしても各画素ユニットPの受光面積の減少や、画素アレイ面積の拡大をすることがない。また、CMOSプロセスの微細化技術の進捗した場合には、同一画素アレイ面積を維持しつつも更なる高解像度化(画素数の増大)が実現できる。
(3)第3の実施形態
図7は、本発明に係る画像センサ3の第3の実施形態の構成例を示したものである。
第3の実施形態に係る画像センサ3と第2の実施形態に係る画像センサ2とでは、A/D変換器22とメモリ23の物理的な配置が相違しているものの、基本的な構成や動作については異なるところはない。
第3の実施形態に係る画像センサ3は、奇数列の画素ユニットPを担当するA/D変換器22およびメモリ23と、偶数列の画素ユニットPを担当するA/D変換器22およびメモリ23とを異なる領域に配置する構成としたものである。
図7に示した例では、奇数列を担当するA/D変換器22およびメモリ23をそれぞれ画素アレイ領域3aの一端側のA/D変換器領域3b、メモリ領域3cに配置し、偶数列を担当するA/D変換器22およびメモリ23をそれぞれ画素アレイ領域3aの他端側のA/D変換器領域3d、メモリ領域3eに配置している。
このように奇数列と偶数列を担当するA/D変換器22およびメモリ23を2つに分離して配置することで、列単位のA/D変換器22およびメモリ23の実装可能面積を余裕を持って確保することができる。このため、A/D変換のビット数が多い場合などに特に有効である。
メモリ23から画素信号を読み出す際のアドレッシングの方法は特に限定するものではないが、例えば、行アドレス、ブロックアドレス、およびチップセレクト(CS)信号を用いてメモリ23のアドレスを指定することができる。
図7に示した例では、1024×1024素子の面上の画素アレイを1024列のグループに分割し、16列をひとつのブロックとして全部で64ブロックをもって構成している。各ブロック内の奇数列或いは偶数列を担当するメモリ23(SRAM#1〜#16)は、それぞれ1024行分の画素信号を記憶している。A/D変換のビット数を10ビットとすれば、各メモリ23(SRAM#1〜#16)には、それぞれ1024×10ビットのデータが記憶されることになる。
ブロック内のメモリ23(SRAM#1〜#16)の選択は、チップセレクト信号(CS1〜CS16)を用いて選択することができる。
上記のようなアドレス構成によって、制御部30から行アドレス、ブロックアドレス、およびチップセレクト信号を用いてアドレス指定することにより、指定されたアドレスの画素単位の画素信号を出力バスBoutに出力することができる。
上記のアドレッシング方法は、第2の実施形態に係る画像センサ2に対しても適用可能なものである。
なお、本発明は上記の各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
本発明に係る画像センサの第1の実施形態における構成例を示す図。 本発明に係る画像センサの第1の実施形態の動作例を示すタイミングチャート。 本発明に係る画像センサの第1の実施形態の動作を説明する第1の図。 本発明に係る画像センサの第1の実施形態の動作を説明する第2の図。 本発明に係る画像センサの第2の実施形態における構成例を示す図。 本発明に係る画像センサの第2の実施形態の動作例を示すタイミングチャート。 本発明に係る画像センサの第3の実施形態における構成例を示す図。 従来のCMOS画像センサの構成例を示す図。 従来のCMOS画像センサの読み出し時間を説明する図。
符号の説明
1、2、3 画像センサ
1a、2a、3a 画素アレイ領域
2b、3b、3d A/D変換器領域
2c、3c、3e メモリ領域
4 従来のCMOS画像センサ
10、20、30 制御部
11、21 画素
12、22 A/D変換器
13、23 メモリ
14、24 受光素子
15、25 スイッチ用トランジスタ
16、26 増幅用トランジスタ
Bm(m=1〜M) 列バス
Bout 出力バス
Lm(m=1〜M) 列読み出し線
P(n,m)(n=1〜N、m=1〜M) 画素ユニット

Claims (3)

  1. 受光素子を有する複数の画素が面状に配列された画像センサにおいて、
    前記複数の画素から出力される画素信号の電圧振幅を画素毎にA/D変換する前記複数の画素と同数のA/D変換器と、
    前記A/D変換器によって変換されたデジタル画素信号を画素毎に記憶する前記複数の画素と同数のSRAM(Static Random Access Memory)と、
    前記面状の配列内に設けられる部分画素領域に対して、前記部分画素領域内の座標を任意に指定し前記SRAMに記憶された画素毎のデジタル画素信号を、前記部分画素領域の大きさ、形状、向き、および読み出し方向に依存しない一定の読み出し速度で、かつランダムに読み出す制御部と、を備え、
    前記A/D変換器および前記SRAMは、画素毎に前記画素に隣接して設けられる、
    ことを特徴とする画像センサ。
  2. 前記画素、前記A/D変換器および前記メモリは、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)で1つのチップ上に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の画像センサ。
  3. 受光素子を有する複数の画素が面状に配列された画像センサの画像読み出し方法において、
    前記複数の画素から出力される画素信号の電圧振幅、前記各画素に隣接して設けられるA/D変換器によって画素毎にA/D変換し、
    A/D変換された前記デジタル画素信号を、前記各画素に隣接して設けられるSRAM(Static Random Access Memory)画素毎に記憶し、
    前記面状の配列内に設けられる部分画素領域に対して、前記部分画素領域内の座標を任意に指定し前記SRAMに記憶された画素毎のデジタル画素信号を、前記部分画素領域の大きさ、形状、向き、および読み出し方向に依存しない一定の読み出し速度で、かつランダムに読み出すことを特徴とする画像読み出し方法。
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