JP4588168B2 - Dmtシステムにおける等化器の高速トレーニング - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、一般に、DMTシステムにおける等化器の高速トレーニングに関し、さらに詳しくは、著しく歪が多くおよび/または著しくチャネルが長い回線/ループ上で高速通信するための前置等化器の高速トレーニングに関する。
【0002】
【従来の技術】
通信業界では、情報は銅線,TVケーブル,光ファイバ,ツイステッド・ペアなどの不完全な通信回線上で伝送される。このような伝送は、不完全な状態および環境で行われる。一般に、あらゆる通信チャネルは、空中で信号を送信するワイヤレス・システムであっても、望ましくない寄生特性(例えば、干渉,回線抵抗,回線キャパシタンス,信号反射など)や、外部影響(例えば、他の通信源からのクロストークなど)を有する。これらの寄生成分および影響の結果、時間領域(time domain)における被送信信号の分散(dispersion)や、互いの隣接データ値のスミア(smearing)が生じる。シンボル間干渉(ISI:intersymbol interference)という、このような分散現象を図1に示す。
【0003】
図1は、通信回線または通信チャネル10を示す。チャネル10を表す枠内には、典型的なチャネル10の時間領域インパルス応答12が示されている。具体的には、チャネル10が極めて短い時間期間(例えば、あるサンプリング周波数fsにおいて1サンプル期間のみの時間期間だけ継続する)の被送信インパルス入力δ(t)を受ける場合、歪んだ応答12がチャネル10の受信側で生じる。チャネル10の望ましくない寄生成分および外部干渉のため、応答12はvサンプリング期間で拡散された信号となり、ここでvは、送信信号δ(t)が本来含まれていた1サンプル期間よりも大きい。つまり、応答12は、時間0において短時間期間に応答してチャネル10の一端で生成されたエネルギがvサンプリング期間に亘るスミアおよび歪のある応答であることを示す。信号のこのような分散は、さまざまな状態においてあらゆる通信チャネルで一般的である。従って、図1は、送信側から受信側に(ある変調方式を利用して)チャネル10を介して1ビットのデータ(1つのバイナリ1値)が通信されても、受信側はこの送信されたバイナリ1値の広く時間分散され、歪んだ「イメージ」を受信することを示している。
【0004】
さらに図1は、ADSL(asymmetric digital subscriber line)データ・シンボルをチャネル10上で送信する際の通信データに及ぼす応答12の影響を示している。ADSLシステムでは、データは多くの周波数符号化デジタル・ビットを含む離散的なパケットで送信される。各周波数符号化パケットは、約250ミリ秒の時間期間でトランシーバによって送信され、各パケットは32本の搬送波(carrier)(アップストリーム方向、すなわち、遠隔局から中央局(CO:central office)側)または256本の搬送波(ダウンストリーム方向、すなわち、中央局から遠隔局側)のいずれかを利用して変調される。パケットは、一つずつ、時間的にシリアルに送信され、関連するデータ,ボイス,ビデオ,サウンドまたは他の情報のより大きなブロックをユーザ間で通信する。シンボルとも呼ばれる各パケットは、送信側のデジタル/アナログ・コンバータを利用してチャネルを介して物理的に送信され、受信側でアナログ/デジタル・コンバータを利用して取り出される。図1のインパルス応答12のため、各250マイクロ秒の被送信シンボル14a,16bは、所望の250マイクロ秒期間より長い時間期間では、受信側で歪および/またはスミアが生じる。図1は、チャネル10の受信側において与えられる、スミアが生じた受信シンボル14b,16bを示す。
【0005】
ほとんどの場合、隣接した被スミア・シンボル14b,16bは、時間的に互いに重複し、それにより図1に示すようにシンボル間干渉(ISI)領域18が生じる。このISI領域とは、シンボル14bからのデータがシンボル16bからのデータを歪ませ、あるいはその逆であるところの時間期間のことである。ISI問題に対する一つの解決方法は、ISI領域18内にある全てのISI歪データを破棄することである。別の解決方法は、送信側においてシンボル間のさらに大きな休止(dormant)時間期間を利用することにより、シンボル14a,14bを時間的に互いにさらに拡散することである。互いに密なシンボルの送信する数を少なくすることにより、受信側におけるISI領域18をなくしたり、あるいはそのサイズを縮小することが可能になる。これらの「解決方法」は有効データ送信レートを大幅に低減し、受信信号のビット誤り率(BER:bit error rate)を増加することがある。低いデータ・レートおよびBERの増加はいずれも、業界にとって望ましくない。
【0006】
さらに、一部のチャネル回線10は寄生成分の悪影響を受けることにより、一つの250マイクロ秒のADSLシンボルが時間的にスミアされて、1シンボル以上の時間期間に亘る受信シンボルが生じることがある。別の見方をすると、受信側の一つのADSLシンボルは、いくつかの他のADSLシンボルからの干渉を受けていることがある。データ復元(data recovery)および保全性(integrity)の問題に加えて、送信側で1ユニットの初期パワーを送信するADSLチャネルは、信号がチャネル10の受信側に達するときまでに、このパワーを10-6ユニットのパワー以下に容易に減衰する。ISIと信号減衰の組み合わせは、ADSLデータ送信および復元を複雑にしている。
【0007】
ISIを低減する一つの一般的な方法は、ハード・ワイヤ(hard-wire)された時間領域等化器(TEQ:time domain equalizer)20をチャネル10とインラインでシリアルに配置することである。このようなTEQ方式のシステムを図2に示す。図2の時間領域等化器(TEQ)20の主な目的は、データ・サンプルを破棄する前に、チャネル・インパルス応答を時間的に短縮する(図1の応答12を参照)ことにより、チャネル分散およびそれによって生じるシンボル間干渉(ISI)を低減することである。言い換えると、チャネル10は、そのインパルス応答を求めるためにまず解析され、次にTEQ20は、このインパルス応答の近似逆数を生成する固定フィルタ係数にハード・ワイヤされる。この固定長チャネルおよび固定TEQにより、チャネル・インパルス応答と、TEQ20の応答の組み合わせ(畳み込み)は、ISIの実質的な部分をナルアウト(null out)し、それにより実際のシンボル・データのみが送信側から受信側まで生き残る。
【0008】
一般に、従来技術では、ISIの低減は、TEQフィルタ20として知られる、長さNwの有限インパルス応答(FIR:finite impulse response)フィルタと、チャネル10(vサンプルのインパルス応答を有する)を縦続することによって達成され、ここでNwは、データ・サンプル数を表す有限正整数である。なお、本明細書において、アンダーラインのついた変数名は、ベクトル表記の信号またはフィルタ・タップを表すために用いられる。FIRフィルタ応答は、チャネル10の適切な信号解析によって受信されたデータに応答してハード・ワイヤされ、およびの組み合わせは図2に示すターゲット・インパルス応答(TIR:Target Impulse Response)22を有する。なお、応答22は、図1の濾波されていない応答12よりも時間的に短い(すなわち、応答12が存在するサンプルvは、応答22が存在するところのサンプル数Nbよりも大きい)ことに留意されたい。所望のTIR20は、長さNbのFIRフィルタであり、ここで図2のNbは図1のチャネル・インパルス応答の長さvよりもはるかに小さい(ここで、は、寄生成分および外部干渉に起因する設計制限である)。図2の固定TEQ20を追加することにより、図2の不都合なISIはNbサンプルのウィンドウ内に収容され、ここでNb<<vであり(図1のvを参照)、よって発生するISIは少なくなり、また元のデータ14a,16aを受信側に効果的に送信するために、データを破棄する必要は少なくなる。
【0009】
DMT(discrete multi-tone)変調では、ISIはデータのCP(cyclic prefix)部分(ADSLシンボル/パケットにおける非データ・オーバヘッドである)で一般に生じる。CPはシステムにおける非データ・オーバヘッドなので、CP情報は性能劣化なしにNCサンプルのISI期間において容易に破棄できる。データのCP部分を取り出す際に、NbがNCに等しいかそれよりも小さい場合、シンボル・データのISIは図2のシステムを介して完全に除去される。
【0010】
固定TEQフィルタ手法における一つの制限要因は、ほとんどの通信用途では、送信機または受信機を固定長通信チャネルに常に結合するわけではないことである。さらに、固定長通信回線さえも、外部干渉,熱変化などにより、経時的にインパルス応答が変化する。従って、TEQ20を固定チャネル10にハード・ワイヤせずに、図2のTEQ20はチャネル10におけるトレーニング期間の開始時にコンフィギュレーション可能となるように設計できる。固定時間期間のトレーニング段階が開始されると、TEQ20は、固定時間トレーニング段階においてISIを漸進的に低減するために、TEQ20を反復的に適応させる。トレーニング・サイクル中に自己適応する一般的な時間領域等化(TEQ)トレーニング・システムのブロック図を図3に示す。
【0011】
図3において、既知のトレーニング・シーケンスは、送信機24からチャネル10(または図3ではチャネルと記される)を介して送信される。受信機26は、まず同じトレーニング・シーケンスを利用して、TEQフィルタをトレーニングする。一般に、トレーニング・シーケンスは、特定の通信仕様(例えば、V.90,V.34,パワー・モデム,ADSL,ISDNなどのうち一つまたはそれ以上の仕様)によって固定される有限時間期間の既知の信号であり、そのためトレーニング・シーケンスは送信機24および受信機26の両方によって再現可能に実施するのが容易である。受信機26は、遅延回路30を介してトレーニング・シーケンスの供給を遅延させ、そのため受信機内の信号rおよびzは、加算器回路32への入力において時間的に一致する。すなわち、回路30によって生じる遅延Δは、チャネル10における物理的な遅延に等しい。ターゲット・インパルス応答(TIR)フィルタ28は、長さNbの有限インパルス応答(FIR)フィルタである。また、フィルタおよびは、それぞれフィードフォーワード・フィルタおよびフィードバック・フィルタともいう。動作時に、TEQフィルタおよびTIR の係数は、平均二乗誤差(mean squared error)|e|2を最小限にするように、以下で説明するプロセスによって、適応的に調整され、ここで出力e(誤差)は図3の右側に示されている。値eは、受信側の内部で利用されるトレーニング信号zと、実際のチャネル10およびTEQ20を介して送信機から受信される信号rとの間の差である。ほぼゼロの誤差eは、ISIがNbサンプルに低減されており、これは受信機26内で最終的に破棄されることを意味する。
【0012】
トレーニング期間中にTEQ20においてフィルタ係数を反復的に生成するために図3において用いられるフィードバック反復的プロセスは、従来の平均最小二乗(LMS:least mean square)手法と呼ばれる。LMS方法の基本的な目的は、各フレーム/シンボルについて測定された出力データ・シーケンス(i)および瞬時勾配推定値(instantaneous gradient estimates)を利用して、平均二乗誤差|e(i)|2を再帰的に最小限にすることである。1994年2月8日に発行されたChow らによる米国特許第5,285,474号 "Method for Equalizing a Multicarrier Signal in a Multicarrier Communication System"によって最初に開示されたこの方法は、以下で説明するようにいくつかの制限がある。現在一般に用いられる従来のLMS方法は、次のとおりである:
1.トレーニング・シーケンスが与えられると、チャネル出力(1)(時間1における信号)を得て、をある開始値に初期化する。
【0013】
2.i=1〜N1の場合
(トレーニング段階の時間期間においてループし、ここでN1は有限固定トレーニング時間期間によって許される最大反復数である)
(i)T((i)),(i)T((i)),(i)=FFT(
(時間領域信号に対して高速フーリエ変換を実行する)
(i)=(i).(i)/(i)
の既知の値からを求める;所望の誤差e=0では、であり、よってである)
=[IFFT((i))」+ Nb
(Nb要素および最大エネルギを有するIFFT()のウィンドウを求める)
(i)=FFT(
(Nbサンプルの選択されたウィンドウを利用して新たなを求める)
誤差を計算:(i)=(i).(i)−(i).(i)
(図3の加算器32を参照)
の更新値:(i+1)=(i)+μ(i).(i)*
(既知のLMSルーチンを利用してを更新する。ただし、μは固定正整数であり、経時的に変化しない)
=[IFFT((i+1))]+ Nw
(Nw要素および最大エネルギを有するIFFT()のウィンドウを求める)
次のi
(トレーニング期間が許すまで、あるいはトレーニング時間期間内で誤差ができるだけ最小限に抑えられるまで、反復する)
3.TEQをアクティブにして、チャネル上でデータの送信を開始する。
上記のアルゴリズムは、典型的なワイヤライン・チャネル上で利用する場合、最適なTEQ係数のセットに収束するためには、非常に多くの反復(N1)を一般に必要とする。上記のLMSアルゴリズムは、極めて遅いだけでなく、有限トレーニング期間の最後で、大きな残留誤差またはミスアラインメント(LMSアルゴリズムの平均最小二乗誤差と、最適な理論的な解の平均最小二乗誤差との間の差)を生じることがある。このLMSアルゴリズムの非最適な結果は、トレーニング時間期間が規格によって設定され、遅いLMS方法が最適なTEQ係数に収束することを許す十分に長い時間期間ではないことに起因する。上記のアルゴリズムは遅いので、ほとんどの通信規格では割り当てられたトレーニング時間期間内で最適なTEQ設定に収束しない。従って、上記の方法を利用する場合、フル・データ送信レートが達成されず、最大許容回線長は、図3の従来のLMSアルゴリズムの非最適な収束のため、縮小する必要がある。
【0014】
上記の問題だけでなく、上記のLMS方法の固有の数値制限として、およびの時間領域ウィンドウ処理(windowing)(射影[.]+ n演算)がある。実際、LMS TEQトレーニング・アルゴリズムの作者の一人は、このアルゴリズムは、反復の数を増加すると、性能が悪化することを近年開示している。つまり、従来のLMSアルゴリズムはトレーニング動作中に実際に発散(diverge)することがあり、そのためLMS補正されたTEQを利用することは、システムがチャネルを単純に放置して、全ての寄生影響を受ける場合よりも悪くなる。Palらによる "A New Method of Channel Shortening with Applications to Discrete Multitone (DMT) Systems," Proc. Of the IEEE International Conference on Communications, vol. 2, pp. 763-768, June 1998を参照。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従って、アルゴリズムが最適なLMS解に高速に収束するように、ISIをよりインテリジェントかつ効果的に低減あるいは除去する新たな方法が必要とされる。このアルゴリズムは、(1)シンボルまたはパケット毎により多くのデータを送信する;(2)より確実かつ/または簡単にデータを復元する;(3)送信レートを改善するために、経時的にシンボルをより密にパッキングする;(4)信号対雑音比(S/N)を改善する;および/または(5)より長いチャネル回線長を利用する、のうち一つまたはそれ以上を可能にすべきである。TEQシステムをトレーニングするこの新規な方法は、従来のLMS TEQトレーニング・アルゴリズムの主な弱点、すなわち、(1)高速収束の欠如(あるいは規格におけるより長いトレーニング時間の必要性);(2)長いチャネル長での遅い収束または収束の欠如;(3)最適な解からの発散の可能性;および/または(4)現在設定されている規格のトレーニング時間内で最適解に収束できず、そのため現在の通信性能が劣化すること、のうち一つまたはそれ以上を克服すべきである。
【0016】
【実施例】
本発明の特徴および利点については、添付の図面とともに以下の詳細な説明から理解を深めることができよう。ただし、同様な参照番号は、同様かつ対応する部分を表すものとする。
【0017】
一般に、図4ないし図7は、現存の通信システムで用いられる有限かつ調整不可能なトレーニング時間期間内で、TEQフィルタ係数を最適またはほぼ最適な設定に高速で収束させるための高速平均最小二乗(FLMS:fast least mean squares)アルゴリズムおよび装置を教示する。本明細書において教示されるアルゴリズムは、ATM,ADSL,ISDN,V.90,V.34,DSL,光通信,ワイヤレス,パワー・モデム,ケーブル・モデムまたは回線減衰および/または信号歪に対処する必要のある他の通信システムに対して機能する。さらに、本明細書で教示される手法は、干渉相殺(interference canceling),システム識別,予測および逆モデリング(inverse modeling)など、時間領域または周波数領域のいずれかにおいて高速な適応型トレーニング/トラッキングを必要とするいくつかの他の問題にも容易に適用できる。一般に、本明細書で教示される方法は、(1)収束反復毎により大きな調整ステップ変更を可能にするため、チャネル減衰に応じて受信トレーニング信号をスケーリングし;および(2)ベクトルμにおける各成分が周波数領域におけるすべての搬送波/ビンについて反復ごとに個別かつ固有に調整されるように、ステップ・サイズ・ベクトル(μ)を利用する、ことによって、従来の方法に比べて改善された収束レートを得る。
【0018】
この改善されたアルゴリズムは、(1)シンボル毎あるいは単位時間毎により多くのデータを送信する;(2)より確実かつ/または簡単なデータ復元方法;(3)ビット送信レートを改善するために、経時的にデータ・シンボルをより密にパッキングする;(4)信号対雑音比(S/N)を改善する;および/または(5)インフラ・コストの節減およびサービス・エリアの拡大のためにより長いチャネル回線長を利用する、のうち一つまたはそれ以上を可能にすべきである。本明細書で教示されるFLMS方法は、従来のLMS方法よりもより高速に収束する可能性が高いので、既存のLMS方法ではなく、FLMSを利用する場合には、固定トレーニング期間において最適なTEQ設定を得る可能性が高くなる。さらに、図5ないし図9のFMSアルゴリズムは長い回線長および短い回線長についても等しく高速に収束し、ここで問題が多いが、より望ましい長い回線長に対する性能は大幅に向上される。一般に、より望ましい長い回線長を犠牲にして短い回線長でのみ有効であった従来の方法とは異なり、全ての回線長は本明細書で教示されるアルゴリズムから等しく恩恵を受ける。さらに、本明細書におけるFLMSアルゴリズムは、既存のLMSアルゴリズムにおいて発散を生じさせた環境においても発散しないことが判明した。
【0019】
このFLMSアルゴリズムについては、図4ないし図7を特に参照して理解を深めることができよう。
【0020】
図4は、著しく歪が生じた、および/または著しく長いチャネル回線を利用する高速通信インフラ内で前置等化器(pre-equalizers)を高速トレーニングするための適応型高速LMS(FLMS)システムを示す。図4は、チャネル10およびトレーニング信号を示す。チャネル10は、図1で説明したチャネルと同様な、寄生成分および歪を有するチャネル回線またはループである。従って、許容可能なレベルの性能を達成するためには、シンボル間干渉(ISI)は、図1の場合と同様に、図4のシステムにおいても除去あるいは低減する必要がある。このようなISIの除去または低減は、特定の技術(例えば、V.90,ADSLなど)の規格組織によって設定されるトレーニング信号を利用して、図4において達成される。信号は、送信機24によって供給または生成され、チャネル10を介して送信され、またこの信号は図示のように受信機26内でアクセスされる。
【0021】
図4は、雑音信号NEXT+AWGNを送信信号に結合して、受信信号を生成する加算器21を示す。加算器21およびその入力は、実際のシステムの物理的な構成要素ではなく、むしろ、この加算器およびその雑音入力は、一般的な通信回線において通常存在する実世界の雑音を模擬する。すなわち、加算器21は、システムの真の構成要素ではなく、一般の通信回線が固有に歪を伴うことを示すために図4において存在しているに過ぎない。このような雑音は、一般に、隣接する通信回線間のNEXT(Near-End Cross Talk)雑音および回線における経時的な熱変化に起因するAWGN(Additive White Gaussian Noise)である。
【0022】
受信信号は、時間領域等化器(TEQ:time domain equalizer)に送られ、このTEQ20は、適応型高速LMS TEQ更新アルゴリズム34(図5および図6においてさらに詳しく説明する)に起因する高速レートの収束にてシンボル間干渉(ISI:intersymbol interference)を低減するために経時的にトレーニングされる。TEQ20は、ダイナミック利得ベクトル(μ)の反復的な適用を介して、信号の正規化を利用することにより、適応的に調整され、ここで利得ベクトルにおける各要素は、ベクトルにおける全ての他の要素から独立して変更/収束できる(図5および図6についての以降の説明を参照)。
【0023】
チャネル10上で送信される信号だけでなく、トレーニング信号は受信機側26においても生成・アクセスされ、遅延回路30を介して入れられる。遅延回路30による遅延Δは、チャネル10における送信側から受信側までの時間遅延に実質的に一致する。ターゲット・インパルス応答(TIR:target impulse response)フィルタ28は、FLMSアルゴリズムによって制御され、このアルゴリズムは、トレーニング規準信号を生成するために、ユニット34を介して実行される。誤差e=0およびわずかな雑音(negligible noise)である望ましい事例の場合、(適切な遅延を有する)は畳み込みに等しく、よってであり、そのため加算器32の出力はゼロとなる。誤差e=0で収束するためには、ユニット34によって実行されるFLMSアルゴリズムは、e=0となるまで、あるいは誤差が割り当てられた標準トレーニング時間期間内で最小限となるまで、および/またはを反復的に調整する。
【0024】
図5は、従来技術に比べて改善されたフィルタ特性を提供するために、フィルタ20をトレーニングするために用いられる高速平均最小二乗(FLMS)方法100を示す。図5において、最初に、ステップ102は、チャネル10からトレーニング信号の一部を受信する。ステップ102は図4においても示され、ここでは、チャネル10上のトレーニング・シーケンスの送信から得られる受信信号を表す。ステップ140において、ユニット34内のソフトウェア,マイクロプロセッサ(CPUまたはMPU),マイクロコントローラ(MCU),デジタル信号プロセッサ(DSP)または同様な制御システムは、TEQフィルタ係数を初期値または開始値に初期化する。さらに、ユニット34は、図5のステップ104を介して、実数および虚数符号標識(sign indicator) 1 1(これらは図5および図6におけるステップ134〜138において規定されるように用いられる)を初期化する。また、ステップ104は、利得スカラ(gain scalar)μ(一実施例では、値μはスカラ量である)または利得ベクトルμ(別の実施例では、値μはベクトルである)を、開始/デフォルト値に初期化する。ステップ106において、ループ・カウンタiは、1または別の妥当な開始値に初期化される。
【0025】
図5のステップ108において、受信信号は走査され、最大絶対値(すなわち、max|(i)|)を有する信号の被サンプリング点を求める。ステップ110は、max|(i)|値の対数の底2(すなわち、log2)をとり、バイナリ・シフト値Nsを求める。シフト値Nsは、信号をより大きな大きさの信号に利得または乗算するために、着信データを左にシフトするビット位置の数を求めるために用いられる。この大きな大きさの信号は、受信側における正規化信号(normalized signal)といい、チャネル10の送信側から本来送信された信号とほぼ同じ強さの信号である。一例として、極めて短いチャネル長は、送信信号をほぼ10分の1に減衰させることがある。この短いチャネルの場合、約3〜4ビット位置の左シフトは、デジタル受信信号を、元の送信信号の最大大きさに近い最大大きさに変換するが、これは23または24程度の値は十進減衰値10にほぼ等しいためである。同様に、長いチャネル長は送信信号を500分の1に減衰することがある。この場合、受信信号の最大利得点を送信信号の最大利得点に近づけるように、受信信号約を調整するために、約9ビットの左シフトが必要とされる。一実施例では、信号がそれほど大きく利得しないことを保証することを目的とし、またmax|(i)|値が連続信号の被サンプリング点に基づき、ここで被サンプリング点は信号の真の最大値とはならないという理由で、ステップ110において算出される左シフト値は、一定マージンによってデクリメント(decrement)してもよい(例えば、Ns=Ns−m;ただし、mは約1〜5の間の有限正整数である)。別の形式では、値Nsはパーセントによってデクリメントしてもよい(例えば、Ns=INT(Ns*0.7;ただし、INTは、小数点で値を切り、必要に応じて丸め(rounding)が行われる基本的な整数関数である)。要するに、ステップ108〜110によって求められる値Nsは、信号をある正規化量に正規化するためにステップ116によって用いられる。
【0026】
既知の従来技術では、図5におけるステップ116の場合のように、信号を正規化信号に利得または正規化しなかった。図5におけるこのような利得は、大きな効果を有する。利得のないあるいは正規化されない従来技術では、フィルタ係数の反復的な調整または適応は、特に、長いチャネル回線や、大きな減衰を有する長いループ長では、極めて小さい信号値(i)に基づいていた。そのため、従来技術が式(i+1)=(i)+μ(i).(i)*によって一反復において係数を調整した場合、たとえ大きな固定利得値μによって乗算された(i)値でも、各反復に対してパラメータの極めて小さな調整しか得られなかった。アルゴリズムは収束から程遠い場合、各反復におけるこれらの若干のステップは、割り当てられた標準トレーニング期間中に最適なフィルタ係数に適切に収束することはなかった。従って、特に長いチャネルの場合、フィルタ係数を最適な設定に収束させるためには、従来のLMSルーチンでは非常に多くの反復を必要とする。この遅い収束のため、トレーニング時間期間は、図3のアルゴリズムがフィルタ係数値の適切なセットを求めることができる前に通常終了してしまい、システムにおいてISIを効果的に低減できなかった。
【0027】
実質的には、従来のLMSアルゴリズムは、長い通信回線は一般に短い回線よりも寄生歪を受けるので、このような変換が最も必要なときに最適なフィルタ係数の収束することができなかった。従来のLMS方法がμを大きな数値に増加することによって小さな(i)値を補償する場合、長いチャネル回線のためのフィルタ係数の収束は改善される。しかし、大きな固定μ値を有する同じモデムを短いチャネル長の接続に結合した場合、積μ(i).(i)*内の大きな(i)値とともに大きなμ値は、最適な収束の欠如を生じさせ、場合によっては発散(divergence)さえも生じさせる。このことは、短いチャネル長は、長いチャネルのために補償された従来のアルゴリズムによって改善されないことがあることを意味する。さらに悪い場合には、短いループ/チャネルを時々利用するシステムは、長いチャネルのために従来のLMS方法を補償しすぎるトレーニング手順を利用することによって悪化することがある。
【0028】
上記の従来技術の問題点は、図5のステップ108〜116を介して導出されるの正規化値を利用することによって回避される。ステップ116において送信パワーにほぼ等しいあるいは若干小さい正規化パワー値に信号を正規化すると、以降の全ての計算で用いられる信号は、全てのチャネル長について均等になり、かつチャネル長から独立される。従って、任意のチャネル長のフィルタ係数は、等しい速度および最適な効果で収束する。さらに、従来技術の固定値μの過補償(overcompensation)はどの用途でも必要ないので、従来技術において発散が生じた領域において、発散を完全に避けることができる。
【0029】
コンピュータ変数を初期化し、正規化またはシフト値Nsを求めた後、反復フィルタ係数トレーニング・アルゴリズムは、ステップ114〜116によって実行される。まず、ステップ114において、1〜N1までのループ構造は、フィルタ係数の反復収束を実行するために開始される。上記のように、受信信号は、着信デジタル信号に対しNsビット位置だけ左シフトすることにより、ステップ116において正規化される。ステップ118において、受信機は、(ステップ116によって正規化される)およびの時間領域信号を、周波数領域に高速フーリエ変換(FFT)し、ここで周波数領域は大文字(例えば、)によって表される。図4のフィルタ28に関連するフィルタ・パラメータは、誤差(図4の加算器32を参照)を想定して更新される。ステップ120に示すように、の関係(乗算および除算が成分ごとに行われる)を考慮すると、はステップ120において反復的に更新できる。
【0030】
ステップ120において、=0の場合のの値を求めた後、ステップ124は逆高速フーリエ変換(IFFT)を実行し、の時間領域値を求める。の成分は、広い時間の範囲で拡散している可能性が高い。ステップ126は、Nbサンプル点を含む内の時間ウィンドウを求めるために、信号が及ぶ広い時間の範囲を走査するために用いられ、ここで信号のこれらのNbサンプル点は、内の他の全てのNbサイズのウィンドウにおいて最大エネルギを含む。の大きな領域からのNbデータ要素を有し、このウィンドウの外の一切のデータを有さない、最大総合パワーのこのウィンドウは、FFT処理され、ステップ128に示すように周波数領域に戻される。FFTステップ128の次に、正規化値,値,ステップ128からのウィンドウ化値および既存の値(図4の加算器32を参照)を利用して、誤差(i)は算出される。
【0031】
図5のステップ132は、ベクトルの複素共役((i)*として表される)で乗算された、勾配ベクトル(gradient vector) を求めるために用いられる。このベクトルとベクトル *の乗算は、成分単位で実行され、いくつかの成分を有するベクトルが得られる。図5においては示されていないが、勾配ベクトルは、収束の速度が極めて重要な場合(特に長い回線/ループの場合)、(適切な左シフトによって)スケールアップしてもよい。ベクトル内の各成分の実数および虚数部分は、ステップ134において解析される。ステップ134において、ベクトルにおけるそれぞれ現行または最新の実数成分の符号と、ベクトルにおけるそれぞれ現行または最新の虚数成分の符号が求められる。現行(すなわち、最新または新たな)符号は、図5および図6において 2 2と記されている。また、ステップ114〜116の一つまたはそれ以上の以前の反復からの古い符号はシステムによって格納され、ここで古い符号(または最初の反復または最初のいくつかの反復におけるデフォルトの符号)は、図5および図6においてRRR1 1と記されている。ステップ136において、それぞれ−1または1である、 1 2 1 2の現行符号または旧符号は、既知である。ステップ136において、2つの積、 1 2および 1 2の最小値が求められる。 1 2または 1 2のいずれかのある成分が−1である場合、の対応する成分は、ステップ136において−1となる。 1 2および 1 2の両方のある成分が1である場合、の対応する成分は、ステップ136において1となる。
【0032】
ステップ138において、ステップ136からの符号ベクトルを利得ベクトルの変化率(rate of change)αで乗算し、この結果に図5においてと記される定ベクトルを加算することによって、利得ベクトルμの各成分は更新される。ステップ132〜138のプロセスについては、図6を参照してさらに詳しく説明する。図5におけるステップ138の結果は、値の各成分をその最適なレートにて極めて効率的に収束させるために、ベクトルμの各成分がみずからインクリメントまたはデクリメントされることになる。単純な例として、3つのμの成分の全てについて開始値が0.5であり、変化率ステップ・サイズがα=0.05であり、付加定数(additive constant)が図5および図6のようにであるとすると、3成分ベクトルの進行は次のようになる:
μ1:0.50→0.53→0.55→0.58...
μ2:0.50→0.48→0.45→0.43...
μ3:0.50→0.53→0.50→0.52...
ステップ138におけるベクトルμの調整の後(詳細については図6を参照)、フィルタ20(図4を参照)のフィルタ係数を成分単位で更新するために、ステップ140においてμの新たな値が用いられる。ステップ138における成分の反復的な修正の後、新たな符号値 2および 2は、ステップ142における次の反復について旧符号値 1および 1に設定される。さらに、の算出と同様に、周波数領域ベクトルは、ステップ142を介して時間領域シーケンスに再変換される。ステップ144において、シーケンスのNw要素の有限ウィンドウが識別され、ここでこのNw要素のウィンドウは、シーケンス内のサイズNwの他の全てのウィンドウにおいて最大エネルギを有する。このNwのウィンドウは、i=N1のループ変数が得られるまで、あるいは収束がこれ以上改善されなくなるまで、ステップ114〜146の次の反復のための次の値として用いられる。
【0033】
従って、新規なFLMS手法は次のように要約できる:
FLMS TEQトレーニング・アルゴリズム:
1.トレーニング・シーケンスが与えられると、チャネル出力(1)を得て、 1 1μ(1)=μ0.に初期化する。
2.受信信号(1)の最大絶対値Myを求め、Ns=|Fix(log2(My))|−mを算出する。ただし、mは、用いられる特定のアーキテクチャに応じて選択された整数マージンである。
3.i=1〜NIの場合
Normalize(i):(i)=2Ns(i)
(i)=FFT((i)),(i)=FFT((i)),(i)=FFT(
(i)=(i).(i)/(i)
=[IFFT((i))]+ Nb=Nb要素および最大エネルギを有するウィンドウ
(i)=FFT(
誤差算出:(i)=(i).(i)−(i).(i)
(i)=(i).(i)*
2 =Sign[Real((i))], 2 =Sign[Imag((i))]
=Min{ 1 2 1 2
Updateμμ(i+l)=[(+α.).μ(i)]+=Max{Min{(+α.).μ(i),μmax},μmin
を更新:(i+l)=W(i)+μi+l .(i)
1 2 1 2
=[IFFT((i+l))]+ Nw=Nw要素および最大エネルギを有するウィンドウ
次のi
上記の詳細なFLMSアルゴリズムにおいて、Fix(t)は、ゼロに向けてtを最寄りの整数に丸めることを示す。Nsの実際の計算は、1が得られる前に先行の0ビットの数を計数し、次にマージンmを除算することにより、モトローラDSP56300ファミリなど、分数データ表現を有するデジタル信号プロセッサ(DSP)によって効率的に実行される。このようなDSPでは、受信信号(i)をスケーリングすることは、DSPの演算論理ユニットにおいて表すことのできる数のダイナミック・レンジが限られているので、必要な演算となりうる。最後に、時間領域または周波数領域における全てのベクトル乗算は、並列(成分単位の)乗算からなり、これらの乗算もほとんどのDSPアーキテクチャにおいて極めて効率的に実行される。同様に、上記の擬似コードにおけるMin/Maxブロックは、最新のDSPエンジンにおいて容易に実行できる並列演算に相当する。従って、本明細書で教示されるアルゴリズムは、多くの市販のDSPエンジンにおいて極めて効率的に実行できる。
【0034】
インプレース演算(in place computation)およびスペクトラル・エルミート・シンメトリ(spectral Hermitian symmetry)を利用すると、FLMSアルゴリズムの反復毎の必要な追加の複雑さは次のようになる:
・受信信号をスケーリングし、ステップ・サイズを更新するための3N+1乗算/シフト。
・ステップ・サイズが許容範囲内(投射演算[.]+)であることを確認するための2(N+1)比較。
・勾配推定値(実数部分および虚数部分)およびステップ・サイズを格納するための3N+1メモリ位置。
【0035】
このような演算オーバヘッドのわずかな増加は、FLMSアルゴリズムの正確かつ高速な収束に伴う利点を得るためには許容可能と思われる。
【0036】
図6は、図5のステップ132〜138によって実行されるプロセスをさらに詳しく示す。図6のソフトウェアおよび/またはハードウェア図において、正規化したFFT受信信号の複素共役((i)*と示される)と、図5のステップ130において計算された誤差信号は、乗算ユニットまたは乗算ルーチン150に与えられる。値 *およびは、図6における乗算器150によって乗算され、勾配になる(このステップは、図5のステップ132にも示される)。ユニット150から出力される勾配(i)は、現行反復に関連する新たな勾配または最新の勾配である。この新たな勾配だけでなく、一つまたはそれ以上の以前の反復からの旧勾配(一般に、直前の反復からの一つの勾配量である)も、図6において(i−1)としてコンピュータ読出可能なメモリに格納される。すなわち、図6のユニット151は、一つまたはそれ以上の以前の演算からの一つまたはそれ以上の古い勾配値(図6は、直前の反復からの一つの勾配(i−1)のみを特に示している)を格納する格納ユニットである。図6の特定の仕様について、汎用DSPを利用して実装を行う場合、(i−1)および(i)の両方を格納するために同じメモリ・ブロックを利用でき、それにより以前の反復からのの旧成分は、インプレース演算を利用して新たな成分と順次置換される。
【0037】
ユニット150が勾配(i)を計算した後、新たな勾配(i)および旧勾配(i−1)の両方は、演算またはメモリ・ユニット152,154,156,158を介して実数および虚数演算成分に分離される。旧および新実数成分()および旧および新虚数成分()は、乗算関数または乗算ユニット160,162を介してそれぞれ乗算される。乗算ユニット150,160,162は、多くの異なる専用の乗算ユニットおよび/または関数でもよく、あるいは全ての乗算関数150,160,162の間でタイム・シェアリングされ、また図6に示す他の乗算関数用に用いられる一つの乗算ユニットまたは一つの関数でもよい。反復中の乗算器160の動作の一例として、ユニット152,154からの実数成分の一つのみが負であり、残りが正である場合、ユニット160からの積は負になる。ユニット152,154からの値の両方が負または正である場合、ユニット160の出力は正となる。次に、ユニット160,162からの乗算された値は、符号検出ユニットまたはルーチン164,166に個別に与えられる。ユニット164,166からの2つの出力値は、1または−1のいずれかであり、最小検出ユニット168に入力され、ユニット164〜168は図5のステップ136に示す演算を実行する。図6のユニット152,164,156,166は、図5に示すステップ134を暗黙に実行する(なお、乗算の符号は、2つの符号の乗算に等しいことに留意されたい)。
【0038】
図6にいて、が図6のユニット168によって出力された後、の値および一つまたはそれ以上の旧ステップ・サイズ・スカラまたはベクトルμ(用いられる実施例に依存する)は、ステップ・サイズ更新ユニットまたはルーチン170に与えられる。ユニット170において、の各成分(1または−1のいずれか)は、利得ベクトルの変化率αによって、乗算器171を介して乗算される。αの値は、補正率(correction factor)とみなすことができる。一般に、αは0と1の間の小さな量であり、所望の用途および収束に応じて、回路設計者および/またはユーザによって異なって選択される。ユニット171によるα乗算の後、加算ユニットまたはルーチン172は、ベクトルなどの整数定数を乗算器171の出力に加算するために用いられる。加算器172を介して定ベクトルを加算した後、別の乗算器173は、加算器172の出力と、格納ユニット174からのスカラまたはベクトルμの一つまたはそれ以上の古い格納済み値とをとって、別の乗算または演算を実行する。
【0039】
次の反復的演算中に用いられる新たなμ成分である、乗算器173の成分単位のベクトル出力またはスカラ出力は、床/天井リミタ・ユニット(floor and ceiling limiter unit)176(投射段(projection stage))に与えられる。ユニット176内のリミタ部177は、(実施例に応じて)成分単位で、ベクトル単位で、あるいはスカラ単位で、新たなμを上限と比較し、上限を超える場合には、μmaxに基づいて量μを上限に制限する。同様に、ユニット176のリミタ部178は、(実施例に応じて)成分単位で、ベクトル単位で、あるいはスカラ単位で、新たなμ値を下限と比較し、下限を超える場合には、mminに基づいて量μを下限に制限する。最終的な新規μ値である、リミタ176の出力は、次の反復において用いられ、また図5を参照して説明したように、一つまたはそれ以上の以降の反復において用いるために旧格納ユニット174に格納される。演算上の制限のため、ベクトル・ステップ・サイズが必要ない、あるいは実装できない場合、ベクトルμは多くの異なる方法でスカラに変換できる。例えば、符号ベクトルは、その成分の平均値をとることによってスカラに変換でき、図6におけるユニット170を介してスカラ・ステップ・サイズを更新するために利用できる(単位ベクトルは単一のスカラになる)。ベクトル利得μを利用することは、TEQ適応型設計のための好適な実施例であったが、これはLMS更新に関連する固有値拡散(eigenvalue spread)は、実際に用いられるほとんどの通信チャネルに対して極めて大きいためである。従って、図6は、量μを各反復においてダイナミックに変更する具体的な方法を詳細に示す。
【0040】
図7は、図1ないし図3の一つまたはそれ以上について説明した従来の解決方法に対する、図4ないし図6に示した方法を利用する利点を示す。図7の上の部分は、第1のX−Yグラフ500を示す。グラフ500において、X軸はADSLシステムのチャネル回線長またはループ長を表し、Y軸は与えられた回線長において通信されるダウンストリーム・ビット容量(毎秒当りのキロビット、すなわちKbps)を表す。プロット500において、非時間領域等化手法(インパルスまたはIMPコンフィギュレーションという),既知の平均最小二乗(LMS)手法および本明細書で教示される高速LMS(FLMS)手法を利用して、同一環境下における同一銅線の異なる回線長について試験した。非フィルタ手法は、図7の曲線502に示されるように、回線長の関数として通信ビット・レートを与える。最良ケースのLMS手法(「従来の技術」で説明したように発散しない手法)は、図7のLMS曲線504に示されるように、約5〜10%だけ曲線502のビット容量を改善できる。しかし、図7の曲線506に示すように、全ての可能な回線長でのビット通信レートは、FLMS手法を利用することによって、従来のLMS手法よりもはるかに改善できる。
【0041】
図7のグラフ600は、従来のLMS手法と本明細書で教示される新規のFLMS手法について、回線長の関数としてのダウンストリーム・ビット容量の増加率を比較する。最良LMSの結果は、TEQ処理を利用しない同一回線に対して、約10%だけチャネルのビット・レートを概して改善する。なお、従来のLMS手法が非TEQシステムに対して提供する10%の改善は、回線長から相対的に独立している(曲線602を参照)ことに留意されたい。言い換えると、従来のLMS手法は、単純な寄生成分の影響の少ない短い回線長に対してほど、問題のある長い回線長に対してはそれほど良好な成果が出ない。しかし、FMS手法は、あらゆる回線長に対して、従来のLMS手法よりも改善できる。さらに、FLMS手法は、15Kft〜20Kft程度の長い回線長では、回線当りのビット容量を増加する点で40%以上効果的であることが判明した。FLMSを利用する際に得られるこの改善は、受信信号()正規化および利得スカラまたは利得ベクトルμのダイナミックな調整により、FLMS手法は、収束の遅いLMS手法を利用する場合に可能である以上に、固定トレーニング・サイクル時間期間においてTEQフィルタをさらに最適化することができるという事実に部分的に起因する。トレーニング中に信号を正規化することは、図5のステップ130,132,140の計算において長い回線長に伴う著しい回線減衰を除去することにより、より長いチャネル回線を良好に最適化されることを保証する。LMSアルゴリズムにおけるこの減衰は、適切なスピード収束するアルゴリズムの能力を低減し、このような問題は本明細書で教示されるFLMS手法では、緩和されるか、完全に回避される。
【0042】
従って、本明細書で教示されるFLMS方法は、シンボル間干渉(ISI)をよりインテリジェントかつ効果的に低減または除去する。FLMS手法は最適なLMS解に収束するが、従来のLMS手法はトレーニング時間期間内に完全に収束せず、あるいは状況によっては発散することさえある。FLMSには一つまたはそれ以上の別の利点もある。例えば、図7に示すようなFLMS方法を利用する場合、シンボル毎により多くのデータを送信できる。FLMSアルゴリズムは他のほとんどの他のアルゴリズムに比べて良好にISI干渉を低減するので、より確実かつ/またはより単純なデータ復元アルゴリズムを採用できる(より高速な収束のため、同一単位のデータを取得するのに少ないDSP MIPSしか必要としない)。さらに、回線伝送レートが高速化すると、FLMS手法は経時的にデータ・シンボルのより密なパッキングを可能にし、上記のようなシンボル毎のビット密度の改善だけでなく、送信レートも改善できる。信号対雑音比(S/N)を改善し、および/またはより長いチャネル回線長のシステムを採用することを同時に行うことができ、そのためより多くの居住地域が低コストで高速通信の恩恵を享受できる(すなわち、必要な中継局または基地局の数を低減できる)。
【0043】
別の利点は、本明細書で教示されるFLMSシステムおよびアルゴリズムは多くの異なる用途でも利用できることである。最近の通信システムにおいて採用される時間領域等化器(TEQ)は、本明細書で説明した主要用途である。FLMS TEQトレーニング・アルゴリズムは、既存のDSLシステムにおいてモトローラ56300DSPを利用して実装・試験を行い、従来のLMS方法に比べて大きな改善を実証してきた(図7を参照)。この新規の方法の処理ステップ数の追加は、一部のDSPアーキテクチャ上のTEQトレーニングに対して有効な反復数の低減を課すかもしれないが、トレーニング後の最終的な結果は、ダウンストリームおよびアップストリーム接続の両方について、ISI低減の点で大幅に改善された性能を一般に発揮する。この利点は、長いループについて特に顕著であった(図7を参照)。これは、通信企業がシステム・インフラ・コストを節減するため(例えば、必要な中継局または基地局の数を低減する)および/または基地局毎の利用者サービス・エリアのサイズを拡大するために、より長い回線/ループ長を要求しつづけているので、重要である。
【0044】
本明細書で教示されるFLMS方法および構造は、周波数領域等化器用途でも利用できる。一般に、周波数領域等化器(FEQ)は、DMT(discrete multitone)システムにおける重要な用途である。最適なTEQフィルタが設計またはトレーニングされると、受信経路の等価チャネル・インパルス応答は、送信データが受信機によって復号される前に等化しなければならない。が受信経路チャネルのインパルス応答(TEQを含む)の周波数領域表現である場合、FEQの典型的な選択は、単純にとなる。一方、システムが通常動作(「ショー・タイム(show time)」)になった後、DTMTトランシーバは経時的にチャネルの変化を追跡しなければならない。通常、FEQタップは、本明細書で教示したFLMS TEQトレーニングと同様な方法で、FLMSアルゴリズムを介して適応される。受信信号をスケーリングし、適応ステップ・サイズ・ベクトルμを利用することにより、周波数領域等価性能は改善される。なぜならば、トレーニング・プロセスは、ループ長,各搬送波/ビンの現在の最適収束レートおよび/またはシステムの改善された数値安定性(例えば、小さい残留誤差)から独立しているためである。
【0045】
また、FLMSルーチンおよび/またはハードウェアは、周波数領域エコー・キャンセラ(FREC:frequency domain echo canceller)および/または同様なソフトウェア方法においても利用できる。周波数領域エコー・キャンセラ(FREC)は、スペクトル重複(spectral overlap)を実施するDMTトランシーバにとって重要な用途である。スペクトル重複とは、トランシーバからのダウンストリームおよびアップストリーム信号が重複する周波数帯域上で通信されることである。スペクトル重複は、通信システムの最大周波数を低減し、そのためより長い回線長をサポートできるので望ましい。回線上で通信される最大周波数を低減することは、チャネルの寄生成分は通常、周波数の直接関数であるので(すなわち、周波数が高いほど、寄生成分は悪化する)、より長い回線長を可能にする。FRECでは、DMTデータの周波数および時間領域を調べて、適応型FRECフィルタ係数の周波数領域更新を設計することを意図する。FREC適応型設計の効率的な方法については、1994年5月31日に発行された、Hoらによる米国特許第5,317,596号 "Method and Apparatus for Echo Cancellation with Discrete Multitone Modulation"において開示されている。同様に、FRECフィルタ係数の実際の更新は、本明細書で教示されるFLMS TEQトレーニングの同様な構造を有するFLMSアルゴリズムに基づくことができる。適応型ステップ・サイズ・スカラまたはベクトルμを利用することは、トレーニング・プロセスが全ての搬送波/ビンについて最適な収束レートを提供し、および/または改善された数値安定性を提供するので、エコー・キャンセレーション性能を改善する。従って、本明細書で教示されるFLMSアルゴリズムに対して多くの実際的な用途が存在する。
【0046】
本発明について、特定の実施例を参照して説明してきたが、更なる修正および改善は当業者に想起される。よって、本発明は特許請求の範囲に定められる発明の精神および範囲から逸脱しないこのような一切の修正を網羅するものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】固有のチャネル分散,干渉、歪および/または回線寄生成分に起因するシンボル間干渉(ISI)の従来の問題を示すブロック図である。
【図2】図1の場合のようにTEQが利用されないときに生じるチャネル応答に比べて改善された、全体的なチャネル応答(ターゲット・インパルス応答)を生成することを意図する、不完全なチャネルとハード・ワイヤされたTEQとの従来の組み合わせを示すブロック図である。
【図3】TEQフィルタ係数を最適設定にゆっくり収束させるために、元のチャネルとTEQとの組み合わせが反復的に処理される、従来のTEQトレーニング手順を示すブロック図である。
【図4】適応型高速平均最小二乗(FLMS)等化システムであって、(1)TEQおよびTIRフィルタがダイナミック利得スカラおよび/またはベクトル(μ)を介して適応的に調整され;および(2)極めて高速に平均二乗誤差|e(i)|2を最小限にするために、受信信号が信号正規化される、FLMS等化システムを示すブロック図である。
【図5】図4のシステムと同様なシステムにおいて、高速LMS(FLMS)等化を実行するための方法を示すフローチャートである。
【図6】図5で導入されるステップ・サイズ(μ)ベクトル/スカラの反復的処理に関する詳細を示すブロック図である。
【図7】既存のDSLトランシーバにおける図3の最良の従来方法に対する、図5ないし図7の新たな方法を利用した場合に得られる典型的な回線伝送の改善を示すX−Yプロットである。
【符号の説明】
10 チャネル
12 応答
14a,16a データ
18 シンボル間干渉(ISI)領域
20 時間領域等化器(TEQ)
21 加算器
22 ターゲット・インパルス応答
24 送信機
26 受信機
28 ターゲット・インパルス応答(TIR)フィルタ
30 遅延回路
32 加算回路
34 ユニット
150 乗算ユニットまたはルーチン
151 格納ユニット
152,154,156,158 演算またはメモリ・ユニット
160,162 乗算関数またはユニット
164,166 符号検出ユニットまたはルーチン
168 最小検出ユニット
170 ステップ・サイズ更新ユニットまたはルーチン
171,173 乗算器
172 加算ユニットまたはルーチン
174 格納ユニット
176 床/天井リミタ・ユニット
177,178 リミタ部

Claims (2)

  1. 受信機をトレーニングする方法であって、
    (a)受信信号を受信する段階(102)と、
    (b)特定の時間期間において前記受信信号の最大絶対値を求める段階(108)と、
    (c)前記受信信号の前記最大絶対値から導出された値を利用して、前記受信信号を正規化受信信号に正規化する段階(116)と、
    (d)以降のデータを受信する際に前記受信機によって用いられる適応フィルタ係数のセットを生成するために、前記正規化受信信号を利用する段階(118〜146)であって、
    前記時間領域正規化受信信号を周波数領域受信信号(Y)に変換する段階(118)と、
    前記受信機において周波数領域初期化トレーニング・シーケンス(X)を与える段階と、
    前記周波数領域受信信号(Y),前記周波数領域初期化トレーニング・シーケンス(X)および周波数領域適応フィルタ係数(W)から、誤差(E)がゼロとなるように周波数領域ターゲット・インパルス応答(B)を算出する段階(120)と、
    前記周波数領域ターゲット・インパルス応答(B)を時間領域ターゲット・インパルス応答(b)に変換する段階(124)と、
    前記時間領域ターゲット・インパルス応答(b)において最大エネルギのウィンドウを求める段階(126)と、
    前記ウィンドウを周波数領域ウィンドウに変換する段階(128)と、
    前記周波数領域受信信号(Y),前記周波数領域初期化トレーニング・シーケンス(X),前記周波数領域ウィンドウおよび周波数領域適応フィルタ係数(W)を利用して、誤差(E)を求める段階(130)と、
    前記誤差(E)に前記周波数領域受信信号(Y)の複素共役を乗ずることにより、勾配ベクトル(G)を求める段階(132)と、
    誤差信号および前記正規化受信信号の関数として利得ベクトルを更新する段階(138)であって、前記勾配ベクトル(G)における実数部および虚数部の符号変化を利用して、利得ベクトルを更新することを含む、前記利得ベクトルを更新する段階と、
    前記受信機内でフィルタ係数を調整するため、前記利得ベクトルを利用する段階(140〜146)と
    を含む、前記正規化受信信号を利用する段階(118〜146)と、
    (e)段階(c)及び段階(d)を複数反復する段階と
    を備える方法。
  2. 受信機をトレーニングする方法であって、
    (a)通信チャネルから時間領域受信信号を受信する段階(102)と、
    (b)特定の時間期間において前記時間領域受信信号の最大絶対値を求める段階(108)と、
    (c)前記時間領域受信信号の前記最大絶対値から導出された値を利用して、前記時間領域受信信号を時間領域正規化受信信号に正規化する段階(116)と、
    (d)前記時間領域正規化受信信号を周波数領域受信信号()に変換する段階(118)と、
    (e)前記受信機において周波数領域初期化トレーニング・シーケンス()を与える段階と、
    (f)前記周波数領域受信信号(),前記周波数領域初期化トレーニング・シーケンス()および周波数領域適応フィルタ係数()から、誤差()がゼロとなるように周波数領域ターゲット・インパルス応答()を算出する段階(120)と、
    (g)前記周波数領域ターゲット・インパルス応答()を時間領域ターゲット・インパルス応答()に変換する段階(124)と、
    (h)前記時間領域ターゲット・インパルス応答()において最大エネルギのウィンドウを求める段階(126)と、
    (i)前記ウィンドウを周波数領域ウィンドウに変換する段階(128)と、
    (j)前記周波数領域受信信号(),前記周波数領域初期化トレーニング・シーケンス(),前記周波数領域ウィンドウおよび周波数領域適応フィルタ係数()を利用して、誤差()を求める段階(130)と、
    (k)前記誤差()に前記周波数領域受信信号()の複素共役を乗ずることにより、勾配ベクトル()を求める段階(132)と、
    (l)前記勾配ベクトル()における実数部および虚数部の符号変化を利用して、ステップ・サイズ・ベクトルを更新する段階(134〜138)と、
    (m)前記周波数領域適応フィルタ係数()を更新するために、前記ステップ・サイズ・ベクトルおよび前記勾配ベクトル()を利用する段階(140)と、
    (n)時間領域適応フィルタ係数()を生成するため、前記周波数領域適応フィルタ係数()を時間領域に変換する段階(142)と、
    (o)前記時間領域適応フィルタ係数()における最大エネルギのウィンドウを求める段階(144)と、
    (p)前記ウィンドウを周波数領域適応フィルタ係数に変換する段階(146)と、
    (q)前記受信機によって用いられる最終的なフィルタ係数を得るために、段階(c)ないし段階(p)を複数反復する段階と
    を備える方法。
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