JP4587646B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体装置の製造方法に関し、特に除去すべきパーティクルの寸法が小さい場合に適した超音波洗浄を用いた半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
洗浄液中に超音波を発生させて被洗浄物を洗浄する超音波洗浄において、洗浄液中の溶存気体量を低減させることによって洗浄効果を高めることができる(特許文献1、特許文献4)。また、洗浄液中を伝搬する超音波の音圧を高めることにより、洗浄効果を高めることができる(特許文献2)。また、所望の洗浄効果を得るために、音圧の最適化が必要であることが知られている(特許文献3)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−96258号公報
【特許文献2】
特開平10−22246号公報
【特許文献3】
特開平9−231561号公報
【特許文献4】
特開平7−100445号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
半導体集積回路装置のパターンの微細化が進むと、従来は問題とされなかった微細なパーティクルが信頼性低下の要因になる。従来の超音波洗浄方法では、このような微細なパーティクルを除去することが十分ではなかった。
【0005】
本発明の目的は、微細なパーティクルの除去効果の高い超音波洗浄方法用いた半導体装置の製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によると、
シリコン基板を、過酸化水素水とアンモニア水とを含み、全溶存気体量が5ppm以下である洗浄液中に浸漬させる工程と、
前記洗浄液中を伝搬する超音波の音圧が5mVよりも高く、50mV以下になるように、該洗浄液に超音波を付与し、前記シリコン基板を洗浄する工程と、
洗浄された前記シリコン基板の表層部を酸化して、酸化シリコン膜を形成する工程と
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0008】
上記条件で超音波洗浄を行うと、極微細なパーティクルを効率よく除去することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1(A)〜図2(E)に、実施例による半導体装置の製造途中の基板の断面図を示し、図2(F)に、実施例による方法で作製した半導体装置の断面図を示す。
【0010】
図1(A)に示すように、シリコンからなる半導体基板1の表層部に、シャロートレンチアイソレーション(STI)による素子分離絶縁領域2を形成し、活性領域A1〜A4を画定する。必要に応じて、ウェル形成を行い、閾値調整用のイオン注入を行う。
【0011】
イオン注入後、半導体基板1の表面洗浄を行う。以下、この表面洗浄の手順を詳細に説明する。まず、洗浄液として過酸化水素水とアンモニア水とを純水で希釈したものを用い、超音波洗浄を行う。この処理をSC−1処理と呼ぶ。基板を水洗した後、希釈弗酸を用いて基板表面を洗浄する。この処理をDHF処理と呼ぶ。水洗した後、塩酸と過酸化水素水とを純水で希釈した洗浄液を用いて、表面洗浄を行う。この処理をSC−2処理と呼ぶ。SC−2処理後、水洗及び乾燥を行う。なお、DHF処理及びSC−2処理においては、超音波洗浄は用いられない。
【0012】
図1(B)に示すように、乾燥酸素雰囲気中において熱処理を行い、基板1の表面に厚さ5nmの酸化シリコン膜3を形成する。
図1(C)に示すように、レジスト膜を形成して、露光、現像を行うことにより、活性領域A1及びA2を覆い、活性領域A3及びA4を露出させるレジストパターン4を形成する。
【0013】
図2(D)に示すように、図1(C)に示したレジストパターン4をエッチングマスクとして酸化シリコン膜3を、弗酸を用いてエッチングする。エッチング後、レジストパターン4を除去する。活性領域A1及びA2の上に酸化シリコン膜3が残り、活性領域A3及びA4においては、半導体基板1のシリコン表面が露出する。
【0014】
レジストパターン4を除去した後、図1(B)に示した酸化工程の前に行った表面洗浄と同様の洗浄を行う。
図2(E)に示すように、乾燥酸素雰囲気中で熱処理を行い、図1(B)に示した酸化工程と同様の条件で、半導体基板1の表面を酸化する。これにより酸化シリコン膜5が形成される。活性領域A1及びA2においては、残っていた酸化シリコン膜3を通してシリコン表面が酸化され、より厚い酸化シリコン膜3及び5が形成される。図においては、理解の容易のために、酸化シリコン膜3と5とを明確に分けて表しているが、実際には両者を区別することはできず、1層の酸化シリコン膜となる。
【0015】
活性領域A3及びA4の表面には、厚さ5nmの酸化シリコン膜5が形成される。活性領域A1及びA2の上に形成された酸化シリコン膜3及び5の合計の厚さは7.5nmになる。
【0016】
図2(F)に示すように、活性領域A1及びA3に、それぞれPMOSトランジスタQP1及びQP2を形成し、活性領域A2及びA4に、それぞれNMOSトランジスタQN1及びQN2を形成する。これらのトランジスタは、周知の成膜、フォトリソグラフィ、エッチング、イオン注入等の技術を用いて形成することができる。
【0017】
活性領域A1及びA2に形成されたPMOSトランジスタQP1及びNMOSトランジスタQN1のゲート絶縁膜の厚さは7.5nmである。活性領域A3及びA4に形成されたPMOSトランジスタQP2及びNMOSトランジスタQN2のゲート絶縁膜の厚さは5nmである。このように、ゲート絶縁膜の厚さの異なる複数のMOSトランジスタを形成することができる。
【0018】
以下、上述の製造工程のうち、図1(A)の状態及び図2(D)の状態で、酸化工程前に行われる超音波洗浄処理について、詳細に説明する。
図3に、超音波洗浄装置の概略断面図を示す。外槽10内に処理槽11が配置されている。外槽10と処理槽11との間に伝播水12が満たされている。外槽10の底に複数の高周波振動子13が取り付けられている。処理槽11内に洗浄液15が満たされ、その中に洗浄すべき複数の半導体ウエハ16が浸漬される。
例えば、50枚の半導体ウエハ16が、一定の間隔で並ぶようにホルダに保持され、洗浄液15に浸漬される。
【0019】
SC−1処理で用いた洗浄液中の溶存気体量を2ppmとし、洗浄液中に発生する超音波の音圧を変えて洗浄を行った。
図4(A)に、音圧が5〜50mVの条件で洗浄したウエハの、0.09μm以上のパーティクルの検出結果を示す。図4(B)に、音圧が100〜150mVの条件で洗浄したウエハの、0.09μm以上のパーティクルの検出結果を示す。なお、音圧は、本多電子株式会社製の超音波音圧計HUS−5またはHUS−7を用い、図3の超音波洗浄装置の洗浄液15に浸漬されたウエハ16の上端よりも7cm深い位置で測定された。洗浄液15の液面からウエハ16の上端までの深さは約3cmである。すなわち、音圧測定点までの深さは約10cmである。ウエハを浸漬させていない状態の音圧の測定値と、50枚のウエハのうち中央の10枚のウエハを取り除き、ウエハを取り除いた部分の音圧を測定した結果とは、ほぼ同一であった。
【0020】
一般的には、音圧が高くなればパーティクル除去能力も高くなると考えられる。ところが、寸法0.09μm程度の極微細なパーティクルまでを考慮すると、音圧を高くすればパーティクル除去能力も高くなるとはいえないことが分かる。パーティクル除去効果を高めるために、好適な音圧の範囲があると考えられる。さらに、音圧の範囲が5〜50mVを示せば、パーティクル除去効果がウエハサイズに依存することもない。
【0021】
図5に、図3に示した超音波洗浄器のメガソニックパワーと、SC−1処理を行った場合のパーティクル除去率との関係を示す。横軸はメガソニックパワーを単位「W」で表し、縦軸はパーティクル除去率を単位「%」で表す。なお、検出対象としたパーティクルは、寸法0.16μm以上のものである。メガソニックパワーを増加させると、約100Wにおいてパーティクル除去率が極大値を示し、約430Wにおいて極小値を示す。パーティクル除去率を高めるためには、メガソニックパワーを増加させればよいというものではないことがわかる。
【0022】
図6に、メガソニックパワーと音圧との関係を示す。横軸はメガソニックパワーを単位「W」で表し、縦軸は音圧を単位「mV」で表す。この音圧は、本多電子株式会社製の超音波音圧計HUB−5またはHUB−7で測定された結果である。図5からわかるように、パーティクル除去率を高めるためには、メガソニックパワーを100W程度にすればよい。また、メガソニックパワーを300Wまで増加させると、パーティクル除去率が低下してしまう。
【0023】
この結果と、図6に示した関係から、高いパーティクル除去率を確保するためには、音圧を50mV以下にすることが好ましいと考えられる。また、音圧が低すぎると、パーティクルを除去することができなくなる。このため、音圧を5mVよりも高くすることが好ましい。
【0024】
図7に、図2(E)の活性領域A1及びA2に形成されている厚さ約7.5nmの酸化シリコン膜3、4のQbd寿命試験の結果を示す。横軸は酸化シリコン膜中を移動した累積電荷量を対数目盛で表し、左縦軸はワイブル値を表す。なお、右縦軸に、左縦軸のワイブル値に相当する累積不良率を単位「%」で示している。図中のアスタリスク記号及びプラス記号は、それぞれSC−1処理時に、音圧を20mV及び100mVとして超音波洗浄を行った試料のワイブル値を示す。
【0025】
音圧20mVの条件で洗浄して形成した酸化シリコン膜の方が、信頼性が高いことが分かる。
洗浄後に多くのパーティクルが残っていた領域と、Qbd寿命試験において早期に絶縁破壊が発生した測定点とは、必ずしも一致しなかった。このことから、酸化シリコン膜の耐圧の低下は、洗浄後に残存するパーティクルに起因するのみではなく、耐圧低下の要因が他にもあると考えられる。例えば、超音波洗浄時の音圧を高くすると、酸化シリコン膜の不均質な箇所へのキャビティの集中が生じてダメージを与えるとも考えられる。超音波洗浄時の音圧を5mVよりも高く、50mV以下にすることにより、信頼性の高い酸化シリコン膜を形成することができる。
【0026】
上記実施例では、洗浄液中の溶存気体量を2ppmとした。溶存気体量が多くなると、超音波の音圧を高めることができなくなる。このため、溶存気体量を5ppm以下とすることが好ましい。また、上記実施例では、洗浄液として過酸化水素水とアンモニア水と水との混合液を用いたが、他の洗浄液を用いる場合にも、音圧の好適な範囲は変わらないであろう。
【0027】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、超音波洗浄時の音圧を5mVよりも高く、かつ50mV以下にすることにより、パーティクルの除去効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例による半導体装置の製造方法を説明するための、製造途中の装置の断面図である。
【図2】 (D)及び(E)は、実施例による半導体装置の製造方法を説明するための、製造途中の装置の断面図であり、(F)は実施例による方法で作製した半導体装置の断面図である。
【図3】 超音波洗浄装置の概略断面図である。
【図4】 洗浄後のウエハのパーティクル付着状況を示す図である。
【図5】 メガソニックパワーとパーティクル除去率との関係を示すグラフである。
【図6】 メガソニックパワーと音圧との関係を示すグラフである。
【図7】 実施例及び比較例による方法で作製した酸化シリコン膜のQbd寿命試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 半導体基板
2 素子分離絶縁領域
3、5 酸化シリコン膜
4 レジストパターン
10 外槽
11 処理槽
12 伝播水
13 高周波振動子
15 洗浄液
16 ウエハ

Claims (1)

  1. シリコン基板を、過酸化水素水とアンモニア水とを含み、全溶存気体量が5ppm以下である洗浄液中に浸漬させる工程と、
    前記洗浄液中を伝搬する超音波の音圧が5mVよりも高く、50mV以下になるように、該洗浄液に超音波を付与し、前記シリコン基板を洗浄する工程と、
    洗浄された前記シリコン基板の表層部を酸化して、酸化シリコン膜を形成する工程と
    を有する半導体装置の製造方法。
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