JP4586952B2 - ステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵量に対する操舵角度の比率を車速に応じて変更可能なステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
操舵に応じた入力シャフトの回転を遊星ギア機構を介して出力シャフトに伝達し、その出力シャフトの回転をステアリングギアにより舵角が変化するように車輪に伝達するステアリング装置が従来から提案されている。その遊星ギア機構は、入力シャフトに取り付けられたサンギアに噛み合う遊星ギアを保持するキャリアと、その遊星ギアに噛み合うリングギアとを有し、そのキャリアに出力シャフトが取り付けられている。そのリングギヤを回転駆動するモータにより車速/及び又は入力シャフトの回転角に応じて制御することで、その入力シャフトから出力シャフトへの回転伝達比を変更している。これにより、操舵量に対する操舵角度の比率を車速に応じて変更できる。
【0003】
上記のように車速/及び又は入力シャフトの回転角に応じて操舵量に対する操舵角度の比率を変更するステアリング装置において、操舵に対する応答性を向上するためには、上記モータの制御系における制御ゲインを高く設定する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、その制御ゲインを高く設定した場合、直進走行時や駐車状態から発進するために制御系を起動する時にドライバーがステアリングホイールから手を離していると、制御を収束せずにモータおよびステアリングホイールが振動することがある。これは、ドライバーがステアリングホイールから手を離していると、出力シャフトの回転角を入力シャフトの回転角に応じた目標回転角に一致させるためにモータを制御しても、出力シャフトの回転がギヤ機構を介して伝わることで入力シャフトが回転するために目標回転角が変動し、且つ、応答性向上のために制御ゲインを高く設定しているために出力シャフトの回転角の目標回転角からのオーバーシュートが大きくなり、出力シャフトの回転角を目標回転角に収束させることができなくなることによる。その出力シャフトの回転がギヤ機構を介して伝わることによる入力シャフトの回転角変動は、入力シャフトの回転角と出力シャフトの回転角との偏差が大きい程に大きくなる。また、そのギヤ機構が入力シャフトの回転を減速して出力シャフトに伝達する時は、入力シャフトにより伝達される操舵トルクが出力シャフトにより伝達される操舵トルクよりも小さくなるので、入力シャフトの回転角は変動し易くなる。さらに、制御系の起動前にステアリングホイールを回転させることで入力シャフトの回転角と出力シャフトの回転角との偏差が大きくなっている場合、制御系の起動時にステアリングホイールが急激に回転することがある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決することのできるステアリング装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、操舵に応じた入力シャフトの回転を回転伝達機構を介して出力シャフトに伝達し、その出力シャフトの回転をステアリングギアにより舵角が変化するように車輪に伝達し、その回転伝達機構の構成要素を回転駆動する電動アクチュエータにより車速/及び又は入力シャフトの回転角に応じて制御することで、その入力シャフトから出力シャフトへの回転伝達比を変更可能なステアリング装置に適用される。
【0007】
本発明の第1の特徴は、その入力シャフトの回転角と出力シャフトの回転角との偏差の大きさが設定値以上である場合は、その設定値未満である場合よりも、その電動アクチュエータの制御系における制御ゲインが小さくされる点にある。この場合、構成を簡単化する上で、その入力シャフトの回転角を検出するセンサと、その出力シャフトの回転角を検出するセンサと、車速を検出するセンサと、入力シャフトの回転角と車速と出力シャフトの目標回転角との間の関係を記憶する手段と、その記憶した関係と、入力シャフトの検出回転角と、検出車速とに基づき出力シャフトの目標回転角を演算する手段と、前記制御ゲインに対応する値として、前記偏差の大きさが前記設定値以上である場合および前記設定値未満である場合それぞれの、出力シャフトの目標回転角と検出回転角との偏差に対する電動アクチュエータの目標制御量の比率に相関する値を記憶する手段と、その記憶した制御ゲインに対応する値に基づき電動アクチュエータの目標制御量に対応する値を演算する手段とを備え、その演算した目標制御量に対応する値に基づき電動アクチュエータが駆動されるのが好ましい。
これにより、出力シャフトの回転角が入力シャフトの回転角に追従するように電動アクチュエータを制御する際に、その制御前における出力シャフトの回転角と入力シャフトの回転角との偏差の大きさが設定値以上である場合は、その電動アクチュエータの制御系における制御ゲインを小さくできる。よって、その回転角の偏差が大きいために出力シャフトの回転がギヤ機構を介して伝わることで入力シャフトの回転角変動が大きくなろうとする時に、ドライバーがステアリングホイールから手を離していても、制御による出力シャフトの回転角の目標回転角からのオーバーシュートを小さくして出力シャフトの回転角が徐々に目標回転角に収束するようにし、入力シャフトの回転角が大きく変動するのを抑制できる。これにより、直進走行時や制御系の起動時にドライバーがステアリングホイールから手を離しても、制御を収束させて電動アクチュエータおよびステアリングホイールが振動するのを防止できる。また、ドライバーがステアリングホイールから手を離した状態で制御系を起動する時に、その回転角の偏差が大きくても、ステアリングホイールが急激に回転するのを抑制できる。
一方、その回転角の偏差の大きさが設定値未満である場合は、出力シャフトの回転角が入力シャフトの回転角に対応する目標値に追従するように電動アクチュエータを制御する際に制御ゲインを大きくできる。これにより、ドライバーがステアリングホイールにより操舵力を作用させる時は、操舵に対する舵角変化の応答性を向上することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1に示す車両のステアリング装置1は、ステアリングホイール(図示省略)に連結される入力シャフト2を備えている。その入力シャフト2はベアリング7、8を介してハウジング10により支持されている。
【0012】
その入力シャフト2は遊星ギア機構(回転伝達機構)30を介して出力シャフト11に連結されている。その出力シャフト11は、入力シャフト2と同軸心に隙間を介して配置され、ベアリング12、13を介してハウジング10により支持されている。その出力シャフト11の回転は、例えばラックピニオン式ステアリングギアやボールスクリュー式ステアリングギア等のステアリングギアにより舵角が変化するように車輪に伝達される。そのステアリングギアは公知のものを用いることができる。これにより、操舵に応じた入力シャフト2の回転が遊星ギア機構30を介して出力シャフト11に伝達され、その出力シャフト11の回転がステアリングギアにより舵角が変化するように車輪に伝達される。
【0013】
その遊星ギア機構30は、サンギア31とリングギア32とに噛み合う遊星ギア33をキャリア34により保持する。そのサンギア31は、入力シャフト2の端部に同行回転するように連結されている。そのキャリア34は、出力シャフト11に同行回転するように連結されている。そのリングギア32は、入力シャフト2を覆うようにハウジング10に固定された筒状部材35によりベアリング9を介して支持されたホルダー36に、ボルト362を介して固定されている。また、そのホルダー36の外周にウォームホイール37が同行回転するように嵌め合わされている。そのウォームホイール37に噛み合うウォーム38がハウジング10により支持されている。そのウォーム38がハウジング10に取り付けられたモータ(電動アクチュエータ)39により駆動されることで、そのリングギア32は回転駆動される。
【0014】
その遊星ギア機構30の構成要素であるリングギア32を回転駆動するモータ39により車速に応じて制御することで、その入力シャフト2から出力シャフト11への回転伝達比を変更できる。すなわち図2に示すように、そのモータ39は車両の制御装置40に接続され、その制御装置40に車速センサ41と入力シャフト2の回転角を検出する舵角センサ42と、出力シャフト11の回転角を検出する回転角センサ43とが接続されている。その制御装置40は、その遊星ギア機構30による入力シャフト2から出力シャフト11への回転伝達比が車速に応じて変化するように、各センサ41、42、43からの検出値に応じてモータ39の回転速度を制御する。例えば、車速零の据え切り状態では入力シャフト2の回転角速度とリングギア32の回転角速度とが等しくなるようにモータ39を制御することで入力シャフト2から出力シャフト11への回転伝達比を1とし、高速になる程にリングギア32の回転角速度を低下させて遊星ギア機構30を減速ギア機構として機能させることで、車両の低速での旋回性と高速での走行安定性とを向上できる。なお、そのリングギア32をモータ39により車速に代えて、あるいは車速と共に、入力シャフト2の回転角に応じて制御するようにしてもよい。例えば、入力シャフト2の回転角が大きい場合は小さい場合よりも入力シャフト2から出力シャフト11への回転伝達比を大きくすることで、車両の旋回性を向上できる。
【0015】
図3は、制御装置40の制御ブロック線図を示す。図3において、TiはステアリングホイールHの操舵トルク、Vは車速のセンサ41による検出値、θiは入力シャフト2の回転角の舵角センサ42による検出値、θoは出力シャフト11の回転角の回転角センサ43による検出値、θo* は出力シャフト11の回転角の目標値、i* はモータ39の駆動電流の目標値、C1は入力シャフト2の回転角θiに対する出力シャフトの目標回転角θo* の調節部、C2は出力シャフト11の目標回転角θo* と回転角θoとの偏差(θo* −θo)に対するモータ39の駆動電流の目標値i* の調節部である。
【0016】
その制御装置40は、舵角センサ42により検出した入力シャフト2の回転角θiに対する出力シャフト11の目標回転角θo* を、予め定められて記憶された関係に基づき演算する。本実施形態では、その入力シャフト2の回転角θiに対する出力シャフトの目標回転角θo* の調節部C1は比例制御要素とされ、出力シャフト11の目標回転角はθo* =K(V)・θiにより求められる。ここでK(V)は比例ゲインであり、車速Vの関数とされている。この入力シャフト2の回転角θiと車速Vと出力シャフト11の目標回転角θo* との間の関係を表す比例ゲインK(V)が制御装置40に記憶される。例えば図4に示すように、その比例ゲインK(V)は車速Vが増大する程に減少するものとされ、この関係が制御装置40に記憶される。制御装置40は、その記憶した比例ゲインK(V)と車速Vとの関係と、入力シャフト2の検出回転角θiと、検出車速Vとに基づき出力シャフト11の目標回転角θo* を演算する。
【0017】
その制御装置40は、出力シャフト11の目標回転角θo* と検出回転角θoとの偏差(θo* −θo)と、モータ39の目標制御量に対応する目標駆動電流i* との間の関係を記憶する。本実施形態では、その偏差(θo* −θo)に対する目標駆動電流i* の調節部C2は比例積分(PI)制御要素とされ、目標駆動電流i* はi* =G・(θo* −θo)により求められる。ここでGは伝達関数であり、例えばKgをゲイン、Tを時定数として、その伝達関数GはPI制御がなされるようにG=Kg・〔1+1/(T・s)〕とされ、その時定数Tは最適な制御を行えるように調整される。その伝達関数Gが制御装置40に記憶される。
【0018】
上記モータ39の制御系において、入力シャフト2の回転角θiと出力シャフト11の回転角θoとの偏差(θi−θo)の大きさが設定値以上である場合は、その設定値未満である場合よりも、制御ゲインが小さくされる。本実施形態では、その制御ゲインに対応する値は上記伝達関数GのゲインKgとされている。その偏差(θi−θo)の大きさが設定値以上である場合の伝達関数GのゲインとしてKg=αが、その偏差(θi−θo)の大きさが設定値未満である場合の伝達関数GのゲインとしてKg=βが、それぞれ制御装置40に記憶される。各ゲインの値α、βは、出力シャフト11の目標回転角θo* と検出回転角θoとの偏差(θo* −θo)に対するモータ39の目標制御量に対応する目標駆動電流i* の比率に相関し、α<βとされている。
【0019】
制御装置40は、その記憶した伝達関数Gと、出力シャフト11の目標回転角θo* と検出回転角θoとの偏差(θo* −θo)と、入力シャフト2の回転角θiと出力シャフト11の回転角θoとの偏差(θi−θo)の大きさに応じて記憶した制御ゲインに対応する値Kgとに基づき、モータ39の目標制御量に対応する目標駆動電流i* を演算する。その目標駆動電流i* が印加されることでモータ39は駆動される。
【0020】
図5、図6のフローチャートを参照して上記制御装置40による制御手順を説明する。まず、各センサ41、42、43の検出値を読み込む(ステップ1)。次に、車速Vに対応する比例ゲインK(V)を求める(ステップ2)。次に、その求めた比例ゲインK(V)と入力シャフト2の回転角θiとから出力シャフト11の目標回転角θo* を演算する(ステップ3)。次に、モータ39の制御系における制御ゲインに対応する値として、伝達関数GのゲインKgを求める(ステップ4)。すなわち図6に示すように、入力シャフト2の回転角θiと出力シャフト11の回転角θoとの偏差(θi−θo)の大きさが設定値Δθ以上か否かを判断し(ステップ101)、設定値Δθ以上であればゲインKgをαとし(ステップ102)、その設定値Δθ未満であればゲインKgをβとする(ステップ103)。次に、そのゲインKgと、目標回転角θo* と出力シャフト11の回転角θiとの偏差(θo* −θo)と、伝達関数Gとから目標駆動電流i* を演算する(ステップ5)。その目標駆動電流i* を印加することでモータ39を駆動する(ステップ6)。次に、制御を終了するか否かを、例えば車両のイグニッションスイッチがオンか否かにより判断し(ステップ7)、終了しない場合はステップ1に戻る。
【0021】
上記第1実施形態によれば、出力シャフト11の回転角θoが入力シャフト2の回転角θiに追従するようにモータ39を制御する際に、その制御前における入力シャフト2の回転角θiと出力シャフト11の回転角θoとの偏差(θi−θo)の大きさが設定値Δθ以上である場合は、そのモータ39の制御系における制御ゲインに対応する値Kgを小さくできる。よって、その回転角の偏差(θi−θo)が大きいために出力シャフト11の回転が遊星ギア機構30を介して伝わることで入力シャフト2の回転角変動が大きくなろうとする時に、ドライバーがステアリングホイールから手を離していても、制御による出力シャフト11の回転角の目標回転角θo* からのオーバーシュートを小さくして出力シャフト11の回転角が徐々に目標回転角θo* に収束するようにし、入力シャフト2の回転角が大きく変動するのを抑制できる。これにより、直進走行時や制御系の起動時にドライバーがステアリングホイールから手を離しても、制御を収束させてモータ39およびステアリングホイールが振動するのを防止できる。また、ドライバーがステアリングホイールから手を離した状態で制御系を起動する時に、その回転角の偏差(θi−θo)が大きくても、ステアリングホイールが急激に回転するのを抑制できる。
一方、その出力シャフト11の回転角と入力シャフト2の回転角との偏差(θi−θo)の大きさが設定値Δθ未満である場合は、出力シャフト11の回転角が入力シャフト2の回転角に対応する目標値θo* に追従するようにモータ39を制御する際に制御ゲインを大きくできる。これにより、ドライバーがステアリングホイールにより操舵力を作用させる時は、操舵に対する舵角変化の応答性を向上することができる。
【0022】
以下、本発明の比較例を説明する。なお、第1実施形態と同様部分は同一符号で示し、相違点を説明する。本比較例においては、図1、図2において2点鎖線で示すように、入力シャフト2により伝達される操舵トルクTiを検出するトルクセンサ51(図2参照)が設けられている。上記第1実施形態においては、モータ39の制御系において、入力シャフト2の回転角θiと出力シャフト11の回転角θoとの偏差(θi−θo)の大きさが設定値以上である場合は、その設定値未満である場合よりも、制御ゲインが小さくされたが、これに代えて本比較例においては、図7の制御ブロック線図に示すように、入力シャフト2により伝達される操舵トルクTiの大きさが設定値未満である場合は、その設定値以上である場合よりも、制御ゲインが小さくされる。
【0023】
本比較例では、その操舵トルクTiの大きさが設定値未満である場合の伝達関数GのゲインとしてKg=γが、その操舵トルクTiの大きさが設定値以上である場合の伝達関数GのゲインとしてKg=δが、それぞれ制御装置40に記憶される。各ゲインの値γ、δは、出力シャフト11の目標回転角θo* と検出回転角θoとの偏差(θo* −θo)に対するモータ39の目標制御量に対応する目標駆動電流i* の比率に相関し、γ<δとされている。
【0024】
その制御装置40は、その記憶した伝達関数Gと、出力シャフト11の目標回転角θo* と検出回転角θoとの偏差(θo* −θo)と、検出操舵トルクTiの大きさに応じて記憶した制御ゲインに対応する値Kgとに基づき、モータ39の目標制御量に対応する目標駆動電流i* を演算する。その目標駆動電流i* が印加されることでモータ39は駆動される。
【0025】
本比較例における制御装置40による制御手順の第1実施形態との相違は、図5のフローチャートにおけるステップ1においてトルクセンサ51の検出値を読み込む点と、ステップ4において伝達関数GのゲインKgを求める際に、図8に示すように、操舵トルクTiの大きさが設定値ΔTi未満か否かを判断し(ステップ201)、設定値ΔTi未満であればゲインKgをγとし(ステップ202)、その設定値ΔTi以上であればゲインKgをδとする(ステップ203)点にある。他は第1実施形態と同様の構成とされている。
【0026】
上記比較例によれば、入力シャフト2により伝達される操舵トルクTiの大きさが設定値ΔTi未満であるか否かを判断することで、ドライバーがステアリングホイールから手を離すことで操舵力を作用させていない状態か否かを判断できる。その操舵トルクTiの大きさが設定値ΔTi未満である場合は、出力シャフト11の回転角が入力シャフト2の回転角に追従するようにモータ39を制御する際に制御ゲインを小さくできる。よって、出力シャフト11の回転が遊星ギア機構30を介して伝わることで入力シャフト2の回転角変動が大きくなろうとする時に、ドライバーがステアリングホイールから手を離していても、制御による出力シャフト11の回転角の目標回転角θo* からのオーバーシュートを小さくして出力シャフト11の回転角が徐々に目標回転角θo* に収束するようにし、入力シャフト2の回転角が大きく変化するのを抑制できる。これにより、ドライバーがステアリングホイールから手を離しても、制御を収束させてモータ39およびステアリングホイールが振動するのを防止できる。また、ドライバーがステアリングホイールから手を離した状態で制御系を起動する時に、入力シャフト2の回転角と出力シャフト11の回転角との偏差が大きくても、ステアリングホイールが急激に回転するのを抑制できる。
一方、その操舵トルクTiの大きさが設定値ΔTi以上である場合は、出力シャフト11の回転角が入力シャフト2の回転角に対応する目標値θo* に追従するようにモータ39を制御する際に制御ゲインを大きくできる。これにより、ドライバーがステアリングホイールにより操舵力を作用させる時は、操舵に対する舵角変化の応答性を向上することができる。
【0027】
以下、本発明の第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態、比較例と同様部分は同一符号で示し、第1実施形態との相違点を説明する。本第2実施形態においては、比較例と同様に操舵トルクTiを検出するトルクセンサ51が設けられている。本第2実施形態においては、図9の制御ブロック線図に示すように、第1実施形態と同様に、モータ39の制御系において、入力シャフト2の回転角θiと出力シャフト11の回転角θoとの偏差(θi−θo)の大きさが設定値以上である場合は、その設定値未満である場合よりも、制御ゲインが小さくされ、さらに、比較例と同様に、入力シャフト2により伝達される操舵トルクTiの大きさが設定値未満である場合は、その設定値以上である場合よりも、制御ゲインが小さくされる。
【0028】
本第2実施形態では、入力シャフト2の回転角θiと出力シャフト11の回転角θoとの偏差(θi−θo)の大きさが設定値以上である場合の伝達関数GのゲインとしてKg=αが、操舵トルクTiの大きさが設定値未満である場合の伝達関数GのゲインとしてKg=γが、その偏差(θi−θo)の大きさが設定値以上である場合の伝達関数GのゲインとしてKg=βが、その操舵トルクTiの大きさが設定値以上である場合の伝達関数GのゲインとしてKg=δが、それぞれ制御装置40に記憶される。各ゲインの値α、β、γ、δは、出力シャフト11の目標回転角θo* と検出回転角θoとの偏差(θo* −θo)に対するモータ39の目標制御量に対応する目標駆動電流i* の比率に相関し、α<β、α<δ、γ<β、γ<δとされている。なお、α=γ、β=δとしてもよい。
【0029】
その制御装置40は、その記憶した伝達関数Gと、出力シャフト11の目標回転角θo* と検出回転角θoとの偏差(θo* −θo)と、検出操舵トルクTiの大きさに応じて記憶した制御ゲインに対応する値と偏差(θi−θo)の大きさに応じて記憶した制御ゲインに対応する値の中で小さい方の制御ゲインに対応する値Kgとに基づき、モータ39の目標制御量に対応する目標駆動電流i* を演算する。その目標駆動電流i* が印加されることでモータ39は駆動される。
【0030】
本第2実施形態における制御装置40による制御手順の第1実施形態との相違は、図5のフローチャートにおけるステップ1においてトルクセンサ51の検出値を読み込む点と、ステップ4において伝達関数GのゲインKgを求める手順とにある。すなわち、図10に示すように、入力シャフト2の回転角θiと出力シャフト11の回転角θoとの偏差(θi−θo)の大きさが設定値Δθ以上か否かを判断し(ステップ301)、設定値Δθ以上であれば偏差(θi−θo)に対応するゲインKgとして記憶されたαを第1仮ゲインKg′として読み出し(ステップ302)、その設定値Δθ未満であれば偏差(θi−θo)に対応するゲインKgとして記憶されたβを第1仮ゲインKg′として読み出す(ステップ303)。次に、操舵トルクTiの大きさが設定値ΔTi未満か否かを判断し(ステップ304)、設定値ΔTi未満であれば検出操舵トルクTiに対応するゲインKgとして記憶されたγを第2仮ゲインKg″として読み出し(ステップ305)、その設定値ΔTi以上であれば検出操舵トルクTiに対応するゲインKgとして記憶されたδを第2仮ゲインKg″として読み出す(ステップ306)。次に、第1仮ゲインKg′と第2仮ゲインKg″の大小を比較し(ステップ307)、小さい方をゲインKgとする(ステップ308、309)。他は第1実施形態、比較例と同様の構成とされ、第1実施形態、比較例の作用効果を奏する。
【0031】
上記各実施形態において、入力シャフト2の回転角と出力シャフト11の回転角との偏差や操舵トルクの大きさが設定値以上か否かに応じてモータ39の制御系における制御ゲインを変化させる構成と共に、入力シャフト2に回転阻止方向のトルクを摩擦力に基づき付与する機構が設けられている。すなわち図1に示すように、ハウジング10の外部において入力シャフト2に環状の摩擦付与部材71が嵌め合わされ、さらに入力シャフト2の外周にナット72がねじ合わされている。その入力シャフト2にねじ合わされるナット72により摩擦付与部材71がハウジング10に相対摺動可能に押し付けられる。これにより、摩擦付与部材71とハウジング10との間に生じる摩擦力に基づき、入力シャフト2に回転阻止方向のトルクを付与できる。その摩擦力の大きさはナット72により摩擦付与部材71のハウジング10への押し付け力を変化させることで調節可能とされている。なお、そのようなナット72に代えて、入力シャフト2にねじ合わされされるステアリングホイールにより摩擦付与部材71をハウジング10に押し付けるようにしてもよい。
これにより、遊星ギア機構30により入力シャフト2の回転が減速されて出力シャフト11に伝達される時に、入力シャフト2により伝達される操舵トルクと出力シャフト11により伝達される操舵トルクとの偏差を低減できる。よって、出力シャフト11の回転角が入力シャフト2の回転角に追従するようにモータ39を制御する際に、その制御による出力シャフト11の回転角の目標回転角θo* からのオーバーシュートが大きく、その出力シャフト11の回転がギヤ機構を介して入力シャフト2に伝わる際にドライバーがステアリングホイールから手を離していても、入力シャフト2の回転角が大きく変化するのを摩擦力に基づき抑制できる。これにより、直進走行時や制御系の起動時にドライバーがステアリングホイールから手を離しても、制御を収束させてモータ39およびステアリングホイールが振動するのを防止できる。また、ドライバーがステアリングホイールから手を離した状態で制御系を起動する時に、入力シャフト2の回転角と出力シャフト11の回転角との偏差が大きくても、ステアリングホイールが急激に回転するのを抑制できる。
【0032】
本発明は上記各実施形態に限定されない。例えば、上記各実施形態における入力シャフト2に回転阻止方向のトルクを摩擦力に基づき付与する機構を、入力シャフト2の回転角と出力シャフト11の回転角との偏差や操舵トルクの大きさが設定値以上か否かに応じてモータ39の制御系における制御ゲインを変化させる構成と共にではなく、その構成に代えて設けることで、遊星ギア機構30により入力シャフト2の回転が減速されて出力シャフト11に伝達される時に、入力シャフト2により伝達される操舵トルクと出力シャフト11により伝達される操舵トルクとの偏差を低減するようにしてもよい。
また、入力シャフト2の回転角θiに対する出力シャフト11の目標回転角θi* の関係や、伝達関数Gは上記実施形態に限定されず、入力シャフト2から出力シャフト11への回転伝達比を変更するために電動アクチュエータにより車速/及び又は入力シャフト2の回転角に応じて制御できれば、制御システムの構成は特に限定されない。
また、入力シャフト2に遊星ギア機構30のリングギア32あるいはキャリア34を連結し、出力シャフト11に連結される遊星ギア機構30の構成要素を入力シャフト2に連結されていないサンギア31あるいはリングギア32とし、モータ39により駆動される遊星ギア機構30の構成要素を入出力シャフト2、11に連結されていないサンギア31あるいはキャリア34としてもよい。すなわち、サンギア31、リングギア32、キャリア34の遊星ギア要素の中の何れかを入力シャフト2に連結し、その遊星ギア要素の中で入力シャフト2に連結されていない何れかを出力シャフト11に連結し、その遊星ギア要素の中で入出力シャフトに連結されていないものをモータ39により回転駆動すればよい。
さらに、遊星ギア機構30以外の回転伝達機構、例えば遊星コーン式回転伝達機構を介して入力シャフト2から出力シャフト11に回転を伝達するステアリング装置にも本発明を適用できる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、操舵量に対する操舵角度の比率を車速/及び又は入力シャフトの回転角に応じて変更可能に制御する場合に、簡単な構成によって、制御を収束させてモータおよびステアリングホイールの振動を防止し、制御系の起動時にステアリングホイールが急激に回転するのを防止し、しかも操舵時においては応答性を向上できるステアリング装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のステアリング装置の縦断面図
【図2】本発明の実施形態のステアリング装置の制御構成の説明図
【図3】本発明の第1実施形態のステアリング装置における制御系のブロック線図
【図4】本発明の実施形態のステアリング装置の制御系における比例ゲインK(V)と車速Vとの関係一例を示す図
【図5】本発明の実施形態のステアリング装置における制御手順を示すフローチャート
【図6】本発明の第1実施形態のステアリング装置におけるゲインの演算手順を示すフローチャート
【図7】本発明の比較例のステアリング装置における制御系のブロック線図
【図8】本発明の比較例のステアリング装置におけるゲインの演算手順を示すフローチャート
【図9】本発明の第2実施形態のステアリング装置における制御系のブロック線図
【図10】本発明の第2実施形態のステアリング装置におけるゲインの演算手順を示すフローチャート
Claims (2)
- 操舵に応じた入力シャフトの回転を回転伝達機構を介して出力シャフトに伝達し、その出力シャフトの回転をステアリングギアにより舵角が変化するように車輪に伝達し、その回転伝達機構の構成要素を回転駆動する電動アクチュエータにより車速/及び又は入力シャフトの回転角に応じて制御することで、その入力シャフトから出力シャフトへの回転伝達比を変更可能なステアリング装置において、
その入力シャフトの回転角と出力シャフトの回転角との偏差の大きさが設定値以上である場合は、その設定値未満である場合よりも、その電動アクチュエータの制御系における制御ゲインが小さくされることを特徴とするステアリング装置。 - その入力シャフトの回転角を検出するセンサと、
その出力シャフトの回転角を検出するセンサと、
車速を検出するセンサと、
入力シャフトの回転角と車速と出力シャフトの目標回転角との間の関係を記憶する手段と、
その記憶した関係と、入力シャフトの検出回転角と、検出車速とに基づき出力シャフトの目標回転角を演算する手段と、
前記制御ゲインに対応する値として、前記偏差の大きさが前記設定値以上である場合および前記設定値未満である場合それぞれの、出力シャフトの目標回転角と検出回転角との偏差に対する電動アクチュエータの目標制御量の比率に相関する値を記憶する手段と、
その記憶した制御ゲインに対応する値に基づき電動アクチュエータの目標制御量に対応する値を演算する手段とを備え、
その演算した目標制御量に対応する値に基づき電動アクチュエータが駆動される請求項1に記載のステアリング装置。
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