JP4586406B2 - 定着装置、定着ベルトおよび画像形成装置 - Google Patents
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Description
また、加熱部材は、電磁誘導加熱部材であることを特徴とすることもできる。
ここで、離型層は、フッ素系化合物微粒子を分散させた硫酸銅めっき浴またはピロリン酸銅めっき浴によって複合めっきされて形成されたことを特徴とすることができる。また、離型層は、フッ素系化合物微粒子が界面活性剤により処理されていることを特徴とすることができる。さらに、基材層はポリイミド樹脂により形成され、基材層に無電解めっきにより金属膜を形成した後、金属膜上に電解めっきにより離型層が形成されたことを特徴とすることもできる。
[実施の形態1]
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置を示した概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1K、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置60を備えている。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回動に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
図3に示すように、定着ベルト61の内部に配置されたホルダ65の両端部にエッジガイド部材80が固設されている。エッジガイド部材80は、ニップ部Nとその近傍に対応する部分に切り欠きが形成された円筒状、すなわち断面がC形状のベルト走行ガイド部801、このベルト走行ガイド部801の外側に設けられ、定着ベルト61の内径よりも大きな外径で形成されたフランジ部802、さらにフランジ部802の外側に設けられ、エッジガイド部材80を定着装置60本体に位置決めして固定するための保持部803で構成されている。
また、フランジ部802は、ホルダ65の両端部において対向するように配置された両フランジ部802の内側面が、定着ベルト61の幅と略一致する間隔を持つように配置されている。そして、定着ベルト61が回動する際には、定着ベルト61の端部がフランジ部802の内側面に当接することによって、定着ベルト61の幅方向への移動(ベルトウォーク)が制限されている。このように、定着ベルト61は、エッジガイド部材80によって片寄りが規制されるように支持されている。
ベルトガイド部材63は、定着ベルト61の内部に配置されたホルダ65に取り付けられており、定着ベルト61の回動方向に向けた複数のリブで形成されている。そのため、ベルトガイド部材63は、定着ベルト61内周面との接触面積が極めて小さく、さらには、摩擦係数が低く、かつ熱伝導率が低いPFAやPPS等の耐熱性樹脂で形成されているので、定着ベルト61内周面との摺動抵抗が小さく、ベルトガイド部材63からの熱の発散も低くなるように構成されている。
また、圧力パッド64を通過した後の定着ベルト61は、圧力パッド64の加圧ロール62側の面から離れる際に、急激な曲率の変化を生じるため、定着後の用紙Pは、定着ベルト61に巻き付くことなく、定着ベルト61から剥離される。
ここで、低摩擦シート68は、表面に凹凸を有するとともに、潤滑剤に対する浸潤性、透過性のない材質で形成されることが望ましい。低摩擦シート68の表面に凹凸を形成することで、低摩擦シート68と定着ベルト61内周面との間の接触面積を減らし、摺動抵抗を一層低減することができる。また、低摩擦シート68を潤滑剤に対する浸潤性、透過性のない材質で形成することで、潤滑剤が低摩擦シート68に滲みこむことを抑制できるので、摺動部において潤滑剤が失われず、潤滑剤の安定的な維持を可能とする。また、潤滑剤が圧力パッド64に浸み込んで膨潤し、ニップ圧が低下することを防ぐこともできる。
なお、低摩擦シート68は、圧力パッド64と別体に構成しても、圧力パッド64と一体的に構成しても、いずれでもよい。本実施の形態の定着装置60では、低摩擦シート68は圧力パッド64と別体に構成し、両端をホルダ65に固定して、圧力パッド64と定着ベルト61との間に挟持されるように構成している。
そして、加圧ロール62は、定着ベルト61に対向するように配置され、図示しない駆動モータにより矢印D方向に、例えば140mm/sのプロセススピードで回転し、この回転により定着ベルト61を従動させるように構成している。さらに加圧ロール62は、加圧ロール62と圧力パッド64とにより定着ベルト61を挟持した状態で保持してニップ部Nを形成し、このニップ部Nに未定着トナー像を担持した用紙Pを通過させることで、熱および圧力を加えて未定着トナー像を用紙Pに定着している。
図4は定着ベルト61の層構造を示した図である。図4に示したように、定着ベルト61は、耐熱性の高いフィルム状部材からなる基材層611と、基材層611の外周面上に積層された導電性離型層612とにより構成されている。
定着ベルト61の基材層611は、厚さ10〜150μm、さらに好ましくは50〜100μmの耐熱性の高いフィルムで形成され、例えば熱硬化性ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン等の合成樹脂を使用することができる。なお、定着ベルト61の両端部がエッジガイド部材80に突き当たった場合でも、座屈等が生じない程度の剛性を確保することが好ましく、基材層611としては、例えば厚さ80μmの熱硬化性ポリイミドフィルムが好適に使用される。
このように、導電性離型層612は、金属めっき膜で形成されているので、優れた導電性を有している。また、導電性離型層612は、金属マトリックスの中でフッ素系化合物樹脂微粒子が均一な分散相を形成し、さらには、めっき膜の表面近傍において、フッ素系化合物樹脂微粒子の一部分が金属中に埋め込まれ、残りがめっき膜の表面に露出した状態が形成されているので、トナーに対する優れた離型性も有している。
また、導電性離型層612の中のフッ素系化合物樹脂微粒子の添加量としては、めっき浴中の分散状態等により決定されるものであり、10〜30重量%、好ましくは10〜20重量%が好適である。これは、添加量が10重量%より少ない場合には、充分なトナーに対する離型性が得られず、添加量が30重量%より多い場合には、導電性離型層612の電気抵抗値が高くなり、充分な発熱効率を得ることができず、ウォームアップタイムの短縮効果が小さくなるからである。
さらに、基材層611に無電解めっき処理を行って形成するニッケル等の金属膜の厚さとしては、0.2〜1.0μmに形成するのが好ましい。金属膜の厚さが0.2μmより薄い場合には、複合めっき処理の際の電極としての電気抵抗が高くなり好ましくないからである。また、1.0μmより厚い場合には、金属膜の硬度により定着ベルト61の可とう性が失われ、定着ベルト61のニップ部Nでの変形が不充分となり、定着性に影響を与える可能性があるからである。
まず、導電性離型層612を構成する金属マトリックスとしては、上述したようなニッケル(Ni)や銅(Cu)等のめっき可能な金属材料であることが必要であるが、その中でも導電性の高い金属材料は、膜厚が薄くても電気抵抗を低く抑えることができ、高い発熱効率が得られるので、薄膜化によって熱容量を低く抑えることが可能となり、ウォームアップタイムの短縮に対する効果が大きい。その代表的な金属材料として、銅(Cu)が好適に用いられる。
その場合、銅めっき層を形成するためのめっき浴としては、定着ベルト61に用いる場合には、硫酸銅めっき浴あるいはピロリン酸銅めっき浴が好ましい。硫酸銅めっき浴では、シアン化銅めっき浴やフッ化ホウ素酸銅めっき浴等と比較して、高導電性かつ高比重(緻密)であるので、良好な誘導加熱特性を得ることができるからである。さらには、硫酸銅めっき浴による銅めっき層は、柔軟性(可とう性)が高いことから、変形しながら回動する定着ベルト61に用いても、内部応力の少ない金属膜を形成することができ、機械的特性にも優れているからである。また、ピロリン酸銅めっき浴では、pHが中性付近にあり、界面活性剤の効果が充分得られ、フッ素系化合物の分散性がよい銅めっき層を形成することが可能なためである。
また、上記した界面活性剤によってめっき浴中でのフッ素系化合物樹脂微粒子の良好な分散性を保つと同時に、めっきを行なう際には、めっき浴を攪拌することで、めっき浴中でフッ素系化合物樹脂微粒子の沈殿や分離を生じることなく、共析させることが可能となる。この場合の攪拌方法としては、特に限定するものではなく、一般的に用いられる機械攪拌を行うことが可能である。例えばポンプ等で攪拌しながらめっき浴を循環させることによって、フッ素系化合物樹脂微粒子の分散性を維持し、めっき浴中の金属イオン濃度を保つとともに、めっき金属の析出に伴う浴の温度上昇を抑制することもできる。
また、めっき膜の内部応力を除去したり、めっき膜のレベリング性の向上や高導電化を図るため、適宜めっき浴に応じた適当な光沢剤を添加することも可能である。
図5は磁場発生ユニット85の構成と作用とを説明する概略断面図である。なお、図5では、説明を分かり易くするため構成を概略的に表現している。図5に示したように、磁場発生ユニット85は、磁界を発生させる励磁コイル851と、励磁コイル851を保持するコイル支持部材852と、励磁コイル851に電流を供給する励磁回路853とで構成されている。
この励磁コイル851には、励磁回路853によって所定の周波数の交流電流が印加される。これによって励磁コイル851の周囲には交流磁界Hが発生する。この交流磁界Hが定着ベルト61の導電性離型層612を横切る際に、導電性離型層612には電磁誘導作用によってその交流磁界Hの変化を妨げる磁界を発生するように渦電流Iが生じる。この励磁コイル851に印加する交流電流の周波数は、例えば、10〜50kHzに設定されるが、本実施の形態では30kHzに設定されている。
このように、渦電流Iが定着ベルト61の導電性離型層612を流れることによって、この導電性離型層612の抵抗値Rに比例した電力W(W=I2R)によるジュール熱が発生し、定着ベルト61を加熱するものである。
このため、例えば、A4サイズのL.E.F.(Long Edge Feed)紙に対し30ppmのプリント能力を有し、起動時の定着温度180℃、定常定着時の定着温度170℃に設定された画像形成装置において、ウォームアップタイムを10秒程度(1200W投入時)に短縮することができ、このクラスの画像形成装置ではウォームアップタイムが3〜7分、最速機でも30〜45秒であることを考慮すると、極めて高いファーストプリント能力を達成することが可能となる。また予熱を与えるスタンバイモードやローパワーモード等の設定も必要ないので、省エネルギーの観点からも極めて優れている。
さらに、基材層611には、アルカリエッチング処理によって粗面化された表面に、アンカー効果等の機械的結合力や化学的結合力、物理的結合力によって強固に結合された金属膜が形成され、導電性離型層612がこの金属膜に複合めっきされているので、導電性離型層612と金属膜とは金属同士の結合によって強固に固着されて、剥離の発生が極めて生じ難い。
さらに、従来のように基材層611上に発熱層と離型層とを別個に設ける場合と比較して、層構造が簡単になり、安価に製造することも可能となる。
(実施例1)
基材としてポリイミド樹脂(商品名:Uワニス、宇部興産(株)製)からなる膜厚70μm、外径30mmの無端状ベルトを用い、このポリイミド樹脂基材にアルカリエッチング処理を行い、これを洗浄した後に、ニッケル無電解めっき処理を行って膜厚0.5μmのニッケル層を形成した。さらにあらかじめ粒径1μmの球形PTFE粒子を分散させた水/イソプロピルアルコールの10:90混合液を投入して、PTFE粒子を分散浮遊させた電解めっき浴(NiSO4H2O:300g/l、NiCl2H2O:50g/l、H3BO3:40g/l)を50℃に加熱し、ニッケル無電解めっきを行ったポリイミドベルト上に電流密度6A/dm2で80分の電解Ni−PTFE複合金属めっき処理を行い、ニッケルとPTFE粒子を同時に析出させた。
この複合めっき処理により、基材の無電解ニッケル膜上に膜厚60μmで、PTFE粒子を15重量%含有した複合ニッケルめっき膜を形成した。このポリイミドベルトの水に対する接触角は120°であった。
このポリイミドベルトを定着ベルトとして電磁誘導方式の定着装置に組み込み、高周波電圧をかけたところ、定着ベルト表面が短時間(10秒程度)で定着可能温度まで加熱された。また、定着試験として、富士ゼロックス社製J紙(商品名)を用い、用紙搬送速度190mm/secで10万枚の通紙試験を行ったところ、定着ベルトにおける層間剥離は未発生で、良好な定着画像が得られた。
実施例1と同様の方法でポリイミド樹脂基材上に無電解ニッケル膜を形成し、めっき浴に分散浮遊させるフッ素系化合物樹脂微粒子としてフッ化ピッチを用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりニッケル・フッ化ピッチ同時析出膜を形成した。この処理により、無電解ニッケル膜上に膜厚60μmで、フッ化ピッチ粒子を16重量%含有した複合ニッケルめっき膜を形成した。このポリイミドベルトの水に対する接触角は、123°であった。
このポリイミドベルトを定着ベルトとして電磁誘導方式の定着装置に組み込み、高周波電圧をかけたところ、定着ベルト表面が短時間(10秒程度)で定着可能温度まで加熱された。また、定着試験として、富士ゼロックス社製J紙(商品名)を用い、用紙搬送速度190mm/secで10万枚の通紙試験を行ったところ、定着ベルトにおける層間剥離は未発生で、良好な定着画像が得られた。
基材としてポリイミド樹脂(商品名:Uワニス、宇部興産(株)製)からなる膜厚70μm、外径30mmの無端状ベルト基材を用い、このポリイミド樹脂基材にアルカリエッチング処理を行い、これを洗浄した後に、ニッケル無電解めっき処理を行って膜厚0.5μmのニッケル層を形成した。
さらにあらかじめ粒径2.5μmの球形PTFE粒子を、PTFE粒子1gに対してノニオン系のフッ素系界面活性剤を10gで表面処理し、これを光沢剤が添加された硫酸銅めっき浴に添加し、PTFE粒子を分散浮遊させた硫酸銅めっき浴(CuSO4H2O:200g/l、H2SO4:50g/l、塩素イオン(Cl−):10mg/l)を作製した。このめっき浴を30℃に維持し、無電解ニッケルめっきを行ったポリイミドベルト上に電流密度5A/dm2で50分の電解Cu−PTFE複合金属めっき処理を行い、銅とPTFE粒子とを同時に析出させた。
このめっき処理により、無電解ニッケル膜上に膜厚25μmで、PTFE粒子を30重量%含有した複合銅めっき膜を形成した。このベルトの水に対する接触角は、126°だった。
このポリイミドベルトを定着ベルトとして電磁誘導方式の定着装置に組み込み、高周波電圧をかけたところ、定着ベルト表面が短時間(10秒程度)で定着可能温度まで加熱された。また、定着試験として、富士ゼロックス社製J紙(商品名)を用い、用紙搬送速度190mm/secで10万枚の通紙試験を行ったところ、定着ベルトにおける層間剥離は未発生で、良好な定着画像が得られた。
基材としてポリイミド樹脂(商品名:Uワニス、宇部興産(株)製)からなる膜厚70μm、外径30mmの無端状ベルト基材を用い、このポリイミド樹脂基材にアルカリエッチング処理を行い、これを洗浄した後に、ニッケル無電解めっき処理を行って膜厚0.5μmのニッケル層を形成した。
さらにあらかじめ粒径2.5μmの球形PTFE粒子を、PTFE粒子1gに対してカチオン系のフッ素系界面活性剤を10gで表面処理して、これを光沢剤が添加されたピロリン酸銅めっき浴に添加し、PTFE粒子を分散浮遊させたピロリン酸銅めっき浴(Cu2P2O7・3H2O:90g/l、K4P2O7:330g/l、アンモニア水:3ml/l)を作製した。このめっき浴を50°に維持し、無電解ニッケルめっきを行ったポリイミドベルト上に電流密度3.5A/dm2で50分の電解Cu−PTFE複合金属めっき処理を行い、銅とPTFE粒子とを同時に析出させた。
このめっき処理により、無電解ニッケル膜上に膜厚30μmで、PTFE粒子を25重量%含有した複合銅めっき膜を形成した。このポリイミドベルトの水に対する接触角は、124°であった。
このポリイミドベルトを定着ベルトとして電磁誘導方式の定着装置に組み込み、高周波電圧をかけたところ、定着ベルト表面が短時間(10秒程度)で定着可能温度まで加熱された。また、定着試験として、富士ゼロックス社製J紙(商品名)を用い、用紙搬送速度190mm/secで10万枚の通紙試験を行ったところ、定着ベルトにおける層間剥離は未発生で、良好な定着画像が得られた。
ニッケル電鋳またはSUSを塑性加工した金属ベルト基材上に、層厚30μmのPTFE樹脂層をディップコートにより被覆した定着ベルトを作成した。
この定着ベルトを電磁誘導方式の定着装置に組み込み、高周波電圧をかけたところ、定着ベルト表面を定着可能温度まで加熱するまでに、1分程度かかった。また、定着試験として、富士ゼロックス社製J紙(商品名)を用い、用紙搬送速度190mm/secで通紙試験を行ったところ、途中でPTFE樹脂層が摩耗し、3万枚の経過時に剥離が生じ、通紙試験を中止した。また、通紙試験中にトナーオフセットの発生も認められた。
基材としてポリイミド樹脂(商品名:Uワニス、宇部興産(株)製)からなる膜厚70μm、外径30mmの無端状ベルト基材を用い、このポリイミド樹脂基材にアルカリエッチング処理を行い、これを洗浄した後に、ニッケル無電解めっき処理を行って膜厚0.5μmのニッケル層を形成した。
そして、硫酸銅めっき浴(CuSO4H2O:200g/l、H2SO4:50g/l、塩素イオン(Cl−):10mg/l)を30℃に維持し、無電解ニッケルめっきを行ったポリイミドベルト上に電流密度5A/dm2で50分の電解Cuめっき処理を行った。さらに、層厚30μmのPTFE樹脂層をディップコートにより被覆した。
このポリイミドベルトを定着ベルトとして電磁誘導方式の定着装置に組み込み、高周波電圧をかけたところ、定着ベルト表面が短時間(10秒程度)で定着可能温度まで加熱された。しかし、定着試験として、富士ゼロックス社製J紙(商品名)を用い、用紙搬送速度190mm/secで通紙試験を行ったところ、途中でPTFE樹脂層が摩耗し、5万枚の経過時に剥離が生じ、通紙試験を中止した。また、通紙試験中にトナーオフセットの発生も認められた。
また、導電性離型層612表面近傍のフッ素系化合物微粒子は、その一部分が金属中に埋め込まれ、残りが被膜の表面に露出した状態になっているので、トナーに対する離型性が高く、定着ベルト61表面へのトナーオフセットを極めて少なく抑えることができる。さらに、導電性離型層612は、金属マトリックスの中でフッ素樹脂やフッ素系化合物の微粒子が均一な分散相を形成しながら基材層611に強固に固着しているので、強度が高く、優れた耐摩耗性を発揮することができる。そのため、定着ベルト61表面に傷がついたり、導電性離型層612が剥離することを防ぐことが可能となる。
実施の形態1では、加熱手段として外部に配設された電磁誘導加熱部材によって電磁誘導加熱される定着ベルトを用い、加圧手段として加圧ロールを用いた定着装置が搭載された画像形成装置について説明した。実施の形態2では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置であって、加熱手段として内部に配設された電磁誘導加熱部材によって電磁誘導加熱される定着ベルト61を用いた定着装置について説明する。尚、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
さらに、定着ベルト61内周面と磁場発生ユニット86との間には、定着ベルト61の内周面と磁場発生ユニット86のコイル支持部材862との摺動抵抗を小さくするため、低摩擦シート68が配設されている。この低摩擦シート68は、磁場発生ユニット86と別体に構成しても、磁場発生ユニット86と一体的に構成しても、いずれでもよい。
なお、ニップ部Nを通過した用紙Pは、ニップ部Nの出口領域(剥離ニップ部)において定着ベルト61の曲率の変化によって定着ベルト61から剥離される。
そして、導電性離型層612は、PFA、PTFE等のフッ素樹脂やフッ化ピッチといったフッ素系化合物樹脂の微粒子が分散された、ニッケル(Ni)や銅(Cu)等の導電率の高い金属からなるめっき浴によって、フッ素系化合物樹脂が共析された金属複合めっき膜により形成されている。導電性離型層612が金属複合めっき膜によって形成されることで、導電性離型層612は、磁場発生ユニット86から発生した交流磁界を受けて渦電流を誘起し、その渦電流によるジュール熱によって加熱される発熱層としての機能と、用紙Pに担持されるトナー像に対する離型層としての機能とを併せ持つことができる。
実施の形態1では、加熱手段として外部に配設された電磁誘導加熱部材によって電磁誘導加熱される定着ベルトを用い、加圧手段として加圧ロールを用いた定着装置が搭載された画像形成装置について説明した。実施の形態3では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置であって、加熱部材としてセラミックヒータが配設された定着ベルトを用い、加圧手段として加圧ロールを用いた定着装置について説明する。尚、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
セラミックヒータ86は、加圧ロール62側の面がほぼフラットに形成されている。そして、定着ベルト61を介して加圧ロール62に押圧される状態で配置され、ニップ部Nを形成している。したがって、セラミックヒータ86は圧力部材としても機能している。ニップ部Nを通過した用紙Pは、ニップ部Nの出口領域(剥離ニップ部)において定着ベルト61の曲率の変化によって定着ベルト61から剥離される。
さらに、定着ベルト61内周面とセラミックヒータ86との間には、定着ベルト61の内周面とセラミックヒータ86との摺動抵抗を小さくするため、低摩擦シート68が配設されている。この低摩擦シート68は、セラミックヒータ86と別体に構成しても、セラミックヒータ86と一体的に構成しても、いずれでもよい。
また、ニップ部Nの下流側近傍には、定着ベルト61から剥離された用紙Pを完全に定着ベルト61から分離し、画像形成装置の排出部へ向かう排紙通路に誘導するための剥離補助部材70が配設されている。剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ベルト61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ベルト61と近接する状態でバッフルホルダ72によって保持されている。
本実施の形態の定着装置91においても、導電性離型層612は、フッ素系化合物樹脂が共析された金属複合めっき膜により形成されている。そして、導電性離型層612表面近傍のフッ素系化合物微粒子は、その一部分が金属中に埋め込まれ、残りが被膜の表面に露出した状態になっている。そのため、トナーに対する離型性が高く、定着ベルト61表面へのトナーオフセットを極めて少なく抑えることができる。
また、導電性離型層612は、金属マトリックスの中でフッ素樹脂やフッ素系化合物の微粒子が均一な分散相を形成しながら基材層611に強固に固着しているので、強度が高く、優れた耐摩耗性を発揮することができる。そのため、定着ベルト61表面に傷がついたり、導電性離型層612が剥離することを防ぐことが可能となる。
Claims (10)
- 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、
外表面に離型層が形成されたベルト部材と、
前記ベルト部材を電磁誘導加熱する電磁誘導加熱部材と、
前記ベルト部材に圧接しながら前記記録材が通過するニップ部を形成する加圧部材とを備え、
前記ベルト部材は、前記離型層がフッ素系化合物微粒子を共析させた金属複合めっき膜により形成され、当該金属複合めっき膜が前記電磁誘導加熱部材により電磁誘導加熱されることを特徴とする定着装置。 - 前記ベルト部材の前記離型層は、前記フッ素系化合物微粒子がPTFE微粒子またはフッ化ピッチ微粒子であることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記ベルト部材の前記離型層は、前記フッ素系化合物微粒子の添加量が10〜30重量%であることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記ベルト部材の前記離型層は、ニッケルまたは銅を金属マトリックスとしたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記ベルト部材の前記離型層は、10〜100μmの膜厚で形成されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 記録材に担持されたトナー像を定着する定着ベルトであって、
基材層と、
前記基材層の外表面に配設され、フッ素系化合物微粒子を共析させた金属複合めっき膜により形成され、当該金属複合めっき膜が電磁誘導加熱される離型層と
を備えたことを特徴とする定着ベルト。 - 前記離型層は、前記フッ素系化合物微粒子を分散させた硫酸銅めっき浴またはピロリン酸銅めっき浴によって複合めっきされて形成されたことを特徴とする請求項6記載の定着ベルト。
- 前記離型層は、前記フッ素系化合物微粒子が界面活性剤により処理されていることを特徴とする請求項6記載の定着ベルト。
- 前記基材層はポリイミド樹脂により形成され、当該基材層に無電解めっきにより金属膜を形成した後、当該金属膜上に電解めっきにより前記離型層が形成されたことを特徴とする請求項6記載の定着ベルト。
- トナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、
前記記録材上に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着手段とを含み、
前記定着手段は、
フッ素系化合物微粒子を共析させた金属複合めっき膜により形成された離型層が外表面に形成されたベルト部材と、
前記ベルト部材を加熱する電磁誘導加熱部材と、
前記ベルト部材に圧接しながら前記記録材が通過するニップ部を形成する加圧部材とを備え、
前記ベルト部材の離型層は、前記金属複合めっき膜が前記電磁誘導加熱部材により電磁誘導加熱されることを特徴とする画像形成装置。
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