JP3472043B2 - 像加熱装置および画像形成装置 - Google Patents

像加熱装置および画像形成装置

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JP3472043B2 JP20365496A JP20365496A JP3472043B2 JP 3472043 B2 JP3472043 B2 JP 3472043B2 JP 20365496 A JP20365496 A JP 20365496A JP 20365496 A JP20365496 A JP 20365496A JP 3472043 B2 JP3472043 B2 JP 3472043B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁誘導を利用し
て渦電流を発生させて加熱する像加熱装置に関する。
【0002】この装置は、特に電子写真複写機・プリン
タ・ファックス等の画像形成装置における定着装置、即
ち電子写真・静電記録・磁気記録等の適宜の画像形成プ
ロセス手段により、加熱溶融性の樹脂等によりなるトナ
ーを用いて記録材の面に直接若しくは間接方式で形成し
た未定着のトナー画像を記録材面に永久固着画像として
加熱定着処理する装置に関するものである。
【0003】
【従来の技術】図10は従来の技術を説明する図であ
り、電子写真技術をプリンタに応用したレーザービーム
プリンタの概略断面図である。この装置の動作を以下に
説明する。
【0004】ホストコンピュータより送られた画像情報
信号によりスキャナー13からのレーザー光の強度を変
調し、感光ドラム11上に静電潜像を作成する。レーザ
ー光の強度及び照射スポット径は画像形成装置の解像度
及び所望の画像濃度によって適正に設定されており、感
光ドラム11上の静電潜像はレーザー光が照射された部
分は明部電位Vに、そうでない部分は一次帯電器12
で帯電された暗部電位Vに保持されることによって形
成する。感光ドラム11は矢印の方向に回転して静電潜
像は現像器14によって順次現像される。現像器14内
のトナーはトナー供給回転体である現像スリーブ140
2と現像ブレード1401とによって、トナー高さ、ト
リボを制御され、現像スリーブ上1402に均一なトナ
ー層を形成する。現像ブレード1401としては通常金
属製若しくは樹脂製のものが用いられ、樹脂系のものは
現像スリーブ1402に対して適正な当接圧をもって接
している。現像スリーブ1402上に形成されたトナー
層は現像スリーブ1402自身の回転にともない感光ド
ラム11に対向し、現像スリーブ1402に印加されて
いる電圧Vdcと感光ドラム11の表面電位が形成する
電界によりVの部分だけ選択的に顕像化する。感光ド
ラム11上のトナー像は転写装置15によって、給紙装
置から送られてきた紙に順次転写される。転写装置とし
ては図に示したコロナ帯電器以外に、導電弾性回転体に
電源から電流を供給して紙に転写電荷を付与しながら搬
送する転写ローラ方式がある。トナー像を転写された紙
は感光ドラム11の回転と共に定着装置10へと送り出
され、加熱加圧により永久固定画像となる。
【0005】加熱定着装置に代表される像加熱装置とし
ては、従来から図10に示した熱ローラ方式以外に、フ
ィルム加熱方式が広く用いられている。
【0006】熱ローラ方式はローラ内にハロゲンヒータ
等の熱源を用いるのが一般的であるが、これ以外に熱ロ
ーラ自身に電気抵抗を持たせてこれに電力を供給して加
熱する自己発熱ローラ方式も考案されている。
【0007】また、フィルム加熱方式としてはセラミッ
クヒータを熱源として小熱容量のフィルムを加熱するも
のが広く実施されているが、特開平7−114276号
公報では金属フィルムを利用して、これを電磁誘導によ
る渦電流で自己発熱させる誘導加熱方式も開示されてい
る。このようなフィルム加熱方式の特徴としては 小熱容量であるため加熱に要するエネルギーを小さく
できて、オンデマンド定着、省エネ定着を実現できる。 ニップ直後でフィルムの曲率を変化させることができ
るために、フィルム周長によらず、記録材を曲率分離す
ることが可能である。 フィルム周長或いは、加圧ローラ径に比較して広いニ
ップを確保することができるため像加熱装置を小さくす
ることができる。が挙げられる。さらに、金属フィルム
を用いた自己発熱型定着装置においては 金属フィルムの熱伝導性によりニップ内に均一な温度
分布を作ることができるため、画像ムラや定着ムラなど
の問題が発生しにくい。 フィルム自身が発熱体であるため、伝達ロスが小さ
い。 等の特徴を挙げることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の熱
ローラ方式による定着装置では、定着ローラの熱容量が
大きく、加熱に要する電力が大きくなるばかりか、ウェ
イトタイムが長くなるという問題があった。
【0009】また、フルカラーの画像記録装置のような
熱容量の大きな定着ローラを用いる場合、温調と定着ロ
ーラ表面の昇温とに遅延が発生するため、定着不良や光
沢ムラやオフセット等の問題が発生していた。
【0010】さらにフィルム加熱方式、特に金属フィル
ムを用いた場合には、フィルム自身の回転に伴ってニッ
プ部及びその出入口においてフィルムが屈曲を繰り返さ
れるために機械的に疲労しやすく、耐久性が低いという
問題があった。
【0011】また、上記機械的疲労に対して金属層を厚
くするのには限界があり、薄い金属層に対しては磁束が
有効に働かないためにロスが大きくなるという問題があ
った。
【0012】本発明は、像加熱装置および画像形成装置
において、小熱容量の加熱体を利用して低エネルギー加
熱を可能とし、高耐久性の装置を提供することを目的と
したものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本出願に係る第1の発明
は、トナー像を担持した記録材を、回転加圧部材と曲率
可変の円筒フィルムとで形成される像加熱ニップを通過
させることにより永久画像ならしめる画像形成装置にお
いて、該円筒フィルムが、硫黄の含有率0.04wt%
以下のニッケル金属層と、これを被覆する樹脂層とを有
し、曲率半径が12mm以下の部分が存在するように懸
架されていることを特徴とする像加熱装置である。
【0014】上記構成において、ニッケル中の硫黄成分
を抑えることにより屈曲による像加熱フィルムの金属疲
労を低減することができる。
【0015】本出願に係る第2の発明は、回転加圧部材
とともに像加熱ニップを形成する曲率可変の円筒フィル
ムを用いる像加熱装置であって、上記円筒フィルムはマ
ンガンの含有率が0.2wt%以上のニッケルからなる
金属層と、これを被覆する樹脂層とを有することを特徴
とするものである。
【0016】上記構成において、ニッケル中のマンガン
成分を加えることにより高温時の像加熱フィルムの柔軟
性を高めることができる。
【0017】本出願に係る第3の発明は、像加熱装置に
用いる、円筒フィルムは磁性金属層と、これを被覆する
単層又は、複数層の樹脂層とを有し、樹脂層のうち少な
くとも一層は導電性樹脂層であることを特徴とするもの
である。
【0018】導電性樹脂層は円筒フィルムに復元力を与
えるとともに、磁性金属層の外部の磁束を有効利用でき
るものである。
【0019】また、本出願に係る第4の発明は、第3の
発明において、磁性金属層は硫黄の含有率が0.04w
t%以下のニッケル層であることを特徴とするものであ
る。
【0020】また、本出願に係る第5の発明は、第3の
発明において、磁性金属層はマンガンの含有率が0.2
wt%以上のニッケル層であることを特徴とするもので
ある。
【0021】また、本出願に係る第6の発明は、第3の
発明において、樹脂層は導電性樹脂層と、これを被覆す
る絶縁層とからなることを特徴とするものである。
【0022】上記構成において、絶縁層は導電性樹脂と
被加熱像との間に働く電気的鏡映力を減衰させる効果を
有する。
【0023】また、本出願に係る第7の発明は、第3の
発明において、導電性樹脂層が磁性体を分散含有するこ
とを特徴とするものである。
【0024】上記構成において磁性体を分散した導電性
樹脂層は、磁性金属の外部の磁束を導く効果を有する。
【0025】また、本発明は、上記したこれの像加熱用
フィルムに誘導加熱により発熱させることを特徴とする
像加熱装置である。
【0026】また、本発明は、記録材上にトナーを形成
し、このトナー像を担時した記録材を定着装置を通過さ
せることにより永久画像ならしめる画像形成装置であっ
て、上記定着装置として上記像加熱装置を用いたことを
特徴とする画像形成装置である。
【0027】上記構成において、本発明の像加熱フィル
ムを用いた像加熱装置は小熱容量の加熱体を利用して低
電力動作を可能とし、高い記録材分離性と高耐久性とを
有し、上記像加熱装置を備えた画像形成装置は、省エネ
ルギー、高信頼性を有するものとなる。
【0028】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施例の特徴を表
す図面であり、図2はその斜視図である。同図において
1は回転加熱部材であるところの定着フィルム、105
は磁束の通過を妨げない絶縁性のフィルムガイドで、定
着フィルム1はフィルムガイド105によって搬送安定
性を図られながら矢印の方向に回転する。
【0029】フィルムガイド105の形状としてはニッ
プ部で平らな部分をもたせており、ニップ出口近傍にお
いて高い曲率(実測曲率半径で5mm)で定着フィルム
1をガイドするような形状となっている。
【0030】201は交番磁束を発生するための励磁コ
イルであり、フィルムガイド105によって支持されて
いる。202は励磁コイル201で発生する磁束を効率
よく定着フィルム1に導くための高透磁率磁性部材であ
るところのフェライトコアである。3は回転加圧部材で
あるところの加圧ローラで芯金301上にシリコーンゴ
ム層302を2mm被覆させて弾性をもたせ、定着フィ
ルム1とニップNを形成している。また、加圧ローラ3
は定着フィルム1を記録材Pの搬送方向に回転駆動させ
る駆動ローラの役割も兼ねている。
【0031】励磁コイル201には励磁回路601が接
続されており、この励磁回路601は60KHzの交番
電流を励磁コイル201へ供給できるようになってい
る。5はNTC素子で定着フィルム1の裏面に接触させ
てあり、マイコン603に定着フィルム1の温度を電圧
に変換して伝えている。602は矩形波発生回路で、マ
イコン603からの情報によって矩形波のデューティー
比を変化させて励磁回路601内のスイッチング素子を
制御する。
【0032】励磁コイル201としては加熱に十分な交
番磁束を発生するものでなければならないが、そのため
には抵抗成分を低く、インダクタンス成分を高くとる必
要がある。本実施例では励磁コイル201の芯線として
線径3mmの高周波用のものを用いて、定着フイルム内
にニップNを周回するように10回巻いてある。
【0033】励磁コイル201は励磁回路601から供
給される交番電流によって交番磁束を発生し、交番磁束
は定着フィルム1の発熱層101に渦電流を発生させ
る。この渦電流は発熱層101の固有抵抗によってジュ
ール熱を発生させて、弾性層102、離型層103を介
してニップNに搬送される記録材Pと記録材P上のトナ
ーTを加熱することができる。
【0034】定着フィルム1について図3を用いて詳し
く説明する。定着フィルム1は抵抗体であるニッケルか
らなる厚み50μmの円筒状発熱層101の表面に樹脂
層として、シリコーンゴムからなる弾性層102とフッ
素樹脂の離型層103との2層を設けてある。抵抗体と
しては10−3〜10−8Ω・cmの電気良導体である
金属、金属化合物であれば同様の原理で加熱可能である
が、電鋳法によるフィルム製造が容易で、耐腐食性が優
れている点からニッケルフィルムが好ましい。通常、電
鋳法によるニッケルフィルムは、電解浴中にサッカリ
ン、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホ
ン酸ナトリウム等の添加剤を加えることにより、電着応
力を低減させて成型精度を向上させ、電鋳被膜に光沢を
与えている。一方このようにして製造されたニッケル電
鋳は硫黄を含み、柔軟性や高温時の弾力性失われるとい
う性質があるため本発明の構成においては金属疲労が発
生して破断するという問題が発生した。そこで、本発明
におけるニッケルフィルムにおいては、柔軟性を重視し
て上記添加剤を極力減量してニッケルフィルムにおける
硫黄の含有率を0.04%(質量比)以下にしたものを
用いている。硫黄の含有率が0.04%を越えると、高
温状態においてニッケルフィルムが脆くなったり、柔軟
性を失ってしまう。
【0035】またニッケルフィルムにマンガンを加える
ことにより高温度にニッケルフィルムが脆くなることを
防ぐことができる。ニッケルフィルム中にマンガンを加
える方法としては、スルファミン酸ニッケルが300〜
450g/l、塩化ニッケルが0〜30g/l、および
ホウ酸が30〜45g/lからなるニッケル電解液中に
マンガン微粒子を入れ良く撹拌した状態で電気メッキす
る方法が挙げられる。
【0036】また発熱層101の厚みに関しては、薄く
すると十分な磁路が確保できなくなり、外部へ磁束が洩
れて発熱体自身の発熱エネルギーは小さくなる場合があ
り、厚くすると熱容量が大きくなり昇温に要する時間が
長くなるばかりか、屈曲疲労に対して弱くなる傾向があ
る。従って厚みは発熱体に用いた材料の比熱、密度、透
磁率、抵抗率、不純物含有率の値によって適正値があ
り、本実施例では50μmの厚みで、3℃/sec以上
の昇温速度を得ることができて、耐久性も満足するもの
が得られた。
【0037】弾性層102は200μmのシリコーンゴ
ムを用いており、ニップ部において被加熱像を覆って熱
の伝達を確実にするとともに、ニッケルフィルムからな
る発熱層101に復元力を補って、回転・屈曲による疲
労を防いでいる。
【0038】離型層103としてはPFA、PTFE、
FEP等のフッ素樹脂以外に、シリコーン樹脂、シリコ
ーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の離型性かつ
耐熱性のよい材料を選択することができる。離型層10
3の厚さは20〜100μmが好ましく、離型層103
の厚さが20μmよりも小さいと塗膜の塗ムラで離型性
の悪い部分ができたり、耐久性が不足するといった問題
が発生する。また、離型層が100μmを超えると熱伝
導が悪化するという問題が発生し、特に樹脂系の離型層
の場合は硬度が高くなりすぎ、弾性層102の効果がな
くなってしまう。
【0039】また図4に示すように、定着フィルム1の
層構成において断熱層104を設けてもよい。断熱層1
04としてはフッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド
樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹
脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹
脂などの耐熱樹脂がよい。また、断熱層104の厚さと
しては10〜1000μmが好ましい。断熱層104の
厚さが10μmよりも小さい場合には断熱効果が得られ
ず、また、耐久性も不足する。一方、1000μmを超
えると高透磁率コア202から発熱層101の距離が大
きくなり、磁束が十分に発熱層101に到達しなくな
る。断熱層104を設けた場合、発熱層101に発生し
た熱による励磁コイル201の昇温を防止できるため、
安定した加熱をすることができる。
【0040】定着フィルム1の径としては内包する励磁
コイル201やコア202の占有容積によって選ぶこと
ができる。本例では円筒形状で直径40mmのものを用
いているが、これを剛体ローラで構成したとすると、図
5(1)に示すようにニップ下流端での曲率半径はロー
ラの半径に等しく20mmとなり、回転加熱体と記録材
との曲率分離が困難になって分離爪等の補助部材が必要
となる。分離爪は回転加熱体表面を摺擦するために、磨
耗跡や汚れなどの問題の原因となりやすく、従来より高
画質画像形成装置において重要な問題となる。一方本例
では曲率可変なフィルム状回転加熱体を用いることによ
り、ニップ下流端において曲率を高くして、大径の回転
加熱体を用いた場合でも曲率分離を行うことを達成して
いる。
【0041】なお実測曲率半径は 定着フィルム1がフィルムガイド105に密着してい
るとみなせる場合には定着フィルムガイド105のニッ
プ下流端の丸め半径に定着フィルム1の厚みを加えた
値。 図5(2)に示すようにフィルムガイド105に対し
て定着フィルム1が隙間を有する場合には、ニップ下流
端と最大隙間とを定着フィルムが結ぶ曲線から仮想円C
を作ったときの外半径r。で定義している。
【0042】(実施例) 〔実施例1〕図3に示される定着フィルム1を製造し
た。
【0043】定着フィルム1は抵抗体であるニッケルか
らなる厚み50μmの円筒状発熱層101の表面に樹脂
層として、シリコーンゴムからなる弾性層102とフッ
素樹脂の離型層103との2層を設けてある。
【0044】実験は図6に示すような二つのローラA、
及びBに定着ベルト1を懸架して、ローラB内にはハロ
ゲンヒータHを入れて像加熱時と同じ温度条件にし、定
着ベルトの発熱層であるニッケルフィルム層に含む硫黄
の含有率及び、ローラBの半径rを変化させて空回転耐
久及び記録材分離試験を行った。表1に結果を示す。
【0045】
【表1】
【0046】結果より分離部における曲率半径を12m
m以下にして、ニッケルフィルム中の硫黄含有率を0.
04wt%以下にすることによって、記録材の分離性を
確保し且つ、耐久疲労によるフィルム破断を防止するこ
とができることがわかる。なお、上記実験はニッケルフ
ィルム単独について行ったものであるが、別の実験にお
いて上記ニッケルフィルムに被覆する樹脂層の有無によ
る違いを確認したところ、本実施例のように樹脂層を設
けた場合にはローラBの半径が1mmの場合でフィルム
の耐久寿命が約30%延びることがわかった。
【0047】また、ニッケルフィルム中にマンガンを微
量加えることにより高温時にニッケルが脆くなることを
防ぐことができる。本例の定着フィルムは200℃程度
の温度に耐える必要があり、0.2wt%以上マンガン
を含むニッケルフィルムを用いている。
【0048】次に最大通紙幅がA4サイズ紙、印字速度
が毎分3枚の4色カラー画像形成装置の定着装置として
上記像加熱装置を用いた場合の作用効果について画像形
成装置の動作と共に記す。
【0049】図7は本発明を用いた電子写真カラープリ
ンタの断面図である。11は有機感光体でできた感光体
ドラム、12はこの感光体ドラム11に一様な帯電を行
なうための帯電装置、13は不図示の画像信号発生装置
からの信号をレーザ光のオン/オフに変換し、感光体ド
ラム11に静電潜像を形成するレーザ光学箱である。1
101はレーザ光、1102はミラーである。感光体ド
ラム11の静電潜像は現像器14によってトナーを選択
的に付着させることで顕像化される。現像器14は、イ
エローY、マゼンタM、シアンCのカラー現像器と黒用
の現像器Bから構成され、一色ずつ感光体ドラム11上
の潜像を現像しこのトナー像を中間転写体ドラム16上
に順次重ねてカラー画像を得る。中間転写体ドラム16
は金属ドラム上に中抵抗の弾性層と高抵抗の表層を有す
るもので、金属ドラムにバイアス電位を与えて感光体ド
ラム11との電位差でトナー像の転写を行なうものであ
る。一方、給紙カセットから給紙ローラによって送り出
された記録材Pは、感光体ドラム11の静電潜像と同期
するように転写ローラ15と中間転写体ドラム16との
間に送り込まれる。転写ローラ15は記録材Pの背面か
らトナーと逆極性の電荷を供給することで、中間転写体
ドラム16上のトナー像を記録材P上に転写する。こう
して、未定着のトナー像をのせた記録材Pは加熱定着装
置10で熱と圧を加えられて、記録材P上に永久固着さ
せられて、排紙トレー(不図示)へと排出される。感光
体ドラム11上に残ったトナーや紙粉はクリーナ17に
よって除去され、また、中間転写体ドラム16上に残っ
たトナーや紙粉はクリーナ18によって除去され、感光
体ドラム11は帯電以降の工程を繰り返す。
【0050】定着装置10には上述の像加熱装置を用い
ており、記録材Pはニップで加熱されてトナー像が定着
されてニップ出口で分離される。
【0051】前述のように本例の像加熱装置は、弾性層
102や離型層103の樹脂層を介してはいるが、その
熱抵抗はハロゲンヒータを内包する熱ローラ方式の定着
装置に比して小さく、発熱体の熱を直接像加熱に消費す
るものであって、上記構成においてトナー量の多いフル
カラー画像を定着する場合にも、トナー像を十分溶融す
ることができて、高画質の画像形成装置を得ることがで
きる。また、定着装置の熱容量が小さいためオンデマン
ド定着が可能で、待機中の消費電力を著しく低減させる
ことができる。
【0052】また、本実施例では4色カラー画像形成装
置について説明してきたが、モノクロ或いは1パスマル
チカラー画像形成装置に利用してもよい。この場合は定
着フィルム1の樹脂層として弾性層102を省略して離
型層103だけにすることができる。
【0053】〔実施例2〕次に、本発明の他の実施例に
ついて説明する。
【0054】本例は像加熱装置より一層の小型化を図っ
たもので、概略構成は図8に示すものである。なお、図
中前出と同機能の部材には同符号を付すものとする。
【0055】定着フィルム1としては前述同様φ40m
mのものを用いており、フィルムガイド105、駆動ロ
ーラ19及び、テンションローラ20により懸架してあ
る。19、20両ローラはともに直径15mmのものを
用いており、駆動ローラ19では表面に滑り防止加工を
施して、定着フィルム1の内面と高摩擦で接触して回転
駆動させ、平滑な表面を持つテンションローラ20は従
動回転しながら定着フィルム1に対して一定のテンショ
ンをかけてて駆動ローラ19との良好な接触を確保して
いる。本構成のニップ出口ではテンションローラ20に
よる引張力により定着フィルム1の曲率を高く(実測曲
率半径0.5mm以下)できる。
【0056】前述の第一の実施例においては加圧ローラ
3により定着フィルム1を駆動するために記録材がニッ
プに挿入された時に駆動力が低下するのに対して、本例
では直接定着フィルム1を駆動できるためにスリップな
どの問題が発生しにくいという利点がある。
【0057】一方本構成は3カ所の懸架部で、定着フィ
ルム1の曲率を大きく変化させるのに加えて、定着フィ
ルム1にテンションを加える必要があり、屈曲或いは引
っ張りストレスを与えやすい。この点に関して、本発明
の定着フィルム1は硫黄分を0.04%以下に抑えて柔
軟性を持たせたことによって、定着フィルム1の金属疲
労による破断を防止して高耐久の像加熱装置を実現でき
る。
【0058】〔実施例3〕次に本発明のさらなる他の実
施例について説明する。本実施例は第一の実施例におけ
る弾性層102を導電化している。具体的にはシリコー
ンゴムにカーボンブラックを適量配合して体積抵抗率で
10Ωcm以下に調整した厚み300μmのものを用
いている。弾性層102の導電化に関しては上記方法以
外に金属ウィスカー等を配合しても良い。一方、離型層
103の体積抵抗率は1014Ωcm以上で絶縁層とし
て機能する。
【0059】本実施例におけるこの導電性弾性層の役割
は、磁性金属からなる発熱層101の周囲に洩れる磁束
のエネルギーを導電弾性層内を流れる電流により消費し
て周辺への磁束を遮断するとともに、自ら発熱して像加
熱に寄与することにある。特に、金属疲労を防止するた
めに発熱層102の厚みを薄くしていくと周辺への漏れ
磁束が増加するために、導電性弾性層の役割は重要とな
る。
【0060】一般に上記導電性弾性層の抵抗値は磁性金
属に比較して大きくまた、透磁率も磁性金属に比較する
と小さいことから、単独で発熱層として利用した場合に
は発熱効率が低くなる傾向があるが、本発明の構成によ
れば磁束エネルギーの大部分を磁性金属で消費して、こ
れを補うものとして上記導電性弾性層を用い場合には高
効率の加熱が実現できる。
【0061】また本例における磁性金属は上記導電性弾
性層に対しては磁束の誘導部材として働いて、導電性弾
性層に導かれる磁力線の密度を高くして発熱効率を高め
る作用を持つ。
【0062】本発明は、上述した磁性金属からなる主発
熱層と、導電化した樹脂層とが互いの短所を補足する形
で高効率に発熱することに着目したものである。
【0063】離型層103は導電性弾性層102に対し
て記録材を絶縁する絶縁層としても働いて、記録材上の
被加熱像と導電性弾性層に働く鏡映力を弱めて、オフセ
ット汚れが発生するのを防ぐ効果がある。
【0064】図9は、樹脂層として導電性ゴムを用いた
場合の効果を確認した実験結果を示すもので、入力電力
1000W、回転速度120mm/secの条件で、室
温からの定着フィルム温度上昇の様子をプロットしたも
のである。磁性金属との組み合わせは導電性ゴム単独よ
り、また、導電ゴム層を用いた方が絶縁ゴム層より発熱
効率が高くなることがわかる。
【0065】〔実施例4〕次に本発明のさらなる他の実
施例について説明する。本実施例は前記第三の実施例の
構成においてさらに、弾性層102に磁性体を分散させ
ている。磁性体としてはニッケル、コバルト、鉄等の金
属、またはこれらの磁性化合物を用いることが好適で、
弾性層102はカーボンブラックにより導電性を示すと
とも、磁性体により高い透磁率を有する。これにより導
電性弾性層内に高い密度の磁力線が通るために、導電性
弾性層を流れる誘導電流密度が高くすることができて、
さらなる発熱効率の向上を得ることができる。
【0066】検討によれば、弾性体102に磁性体を配
合して透磁率を10〜200倍にしたもので加熱を行っ
た場合、10%以上低い電圧において同発熱量(100
0W)を得ることができた。これは励磁コイル201の
発生した磁束を効率よく定着フィルム1で消費して熱に
変換できていることを意味しており、本発明によれば省
エネルギーであるばかりでなく、電源負荷を低減するこ
とが可能で、低コストな像加熱装置、或いはこれを用い
た画像形成装置を実現できる。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように、本出願の発明によ
れば、小熱容量の像加熱フィルムを実現して省電力動作
を可能とし、しかも像加熱フィルムと記録材との分離を
容易にして、さらに耐久性に富んだ像加熱フィルムを実
現できる。
【0068】また、本出願の発明によれば、ウェイトタ
イムが短縮されて、省エネルギー動作が可能となり、記
録材との分離が容易になって信頼性が向上した、高寿命
の像加熱装置又は、画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を説明する概略断面図で
ある。
【図2】本発明の第1の実施例の説明する概略斜視図及
び回路接続図である。
【図3】本発明の第1の実施例の定着フィルムの一部断
面図である。
【図4】本発明の第1の実施例の動作を説明する図であ
る。
【図5】本発明の定着フィルムの性能試験を説明する概
略断面図である。
【図6】本発明の像加熱装置を用いたカラー画像形成装
置を説明する概略断面図である。
【図7】本発明の第1の実施例の原理を説明する図であ
る。
【図8】本発明の第2の実施例を説明する概略断面図で
ある。
【図9】本発明の第3の実施例の効果を説明する図であ
る。
【図10】従来例の利用例を示す図である。
【符号の説明】
1 定着フィルム 101 磁性金属層 102 弾性樹脂層 103 被覆樹脂層 201 励磁コイル 202 コア 3 加圧ローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中根 清文 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−35277(JP,A) 特開 平7−48691(JP,A) 特開 平7−263614(JP,A) 特開 平8−63017(JP,A) 特開 平8−137308(JP,A) 特開 平9−34286(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 13/20 G03G 15/20

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トナー像を担持した記録材を、回転加圧部
    材と曲率可変の円筒フィルムとで形成される像加熱ニッ
    プを通過させることにより永久画像ならしめる画像形成
    装置において、該円筒フィルムが、硫黄の含有率0.0
    4wt%以下のニッケル金属層と、これを被覆する樹脂
    層とを有し、曲率半径が12mm以下の部分が存在する
    ように懸架されていることを特徴とする像加熱装置。
  2. 【請求項2】 上記円筒フィルムの樹脂層が単層又は、
    複数層の樹脂層であり、樹脂層のうち少なくとも一層は
    導電性樹脂層であることを特徴とする請求項1記載の像
    加熱装置。
  3. 【請求項3】 上記円筒フィルムの樹脂層が導電性樹脂
    層と、これを被覆する絶縁層とからなることを特徴とす
    る請求項2記載の像加熱装置。
  4. 【請求項4】 導電性樹脂層が磁性体を分散含有するこ
    とを特徴とする請求項2記載の像加熱装置。
  5. 【請求項5】 誘導加熱により上記円筒フィルムを発熱
    させることを特徴とする請求項1記載の像加熱装置。
  6. 【請求項6】 回転加圧部材とともに像加熱ニップを形
    成する曲率可変の円筒フィルムであって、マンガンの含
    有率が0.2wt%以上のニッケル金属層と、これを被
    覆する樹脂層とを有する円筒フィルムを、誘導加熱によ
    り発熱させることを特徴とする像加熱装置。
  7. 【請求項7】 記録材上にトナー像を形成し、このトナ
    ー像を担持した記録材を定着装置を通過させることによ
    り永久画像ならしめる画像形成装置であって、上記定着
    装置として請求項6記載の像加熱装置を用いたことを特
    徴とする画像形成装置。
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