JP2003208041A - 定着装置 - Google Patents

定着装置

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JP2003208041A
JP2003208041A JP2002007703A JP2002007703A JP2003208041A JP 2003208041 A JP2003208041 A JP 2003208041A JP 2002007703 A JP2002007703 A JP 2002007703A JP 2002007703 A JP2002007703 A JP 2002007703A JP 2003208041 A JP2003208041 A JP 2003208041A
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fixing
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fixing film
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JP2002007703A
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English (en)
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Toru Saito
齋藤  亨
Takaaki Tsuruya
鶴谷  貴明
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンドレスベルト状の電磁誘導発熱定着フィ
ルムを使用し、かつ摺動板とフィルムガイド部材が別部
品である場合における定着フィルムの長寿命化を図る定
着装置の提供。 【解決手段】 励磁コイル28を設けたフィルムガイド
部材216に筒状の電磁誘導発熱定着フィルム210を
回動可能に外嵌させ、加圧ローラ230を定着フィルム
210を介してフィルムガイド部材216に設けた摺動
板241に押圧させて定着ニップ部Nを形成し、この摺
動板241はフィルムガイド部材216に形成した凹部
内に表面がフィルムガイド部材216の外周面よりも内
側に取付けられて、定着フィルムが摺動板241の端よ
りも内側で接触するようにした。その際、定着ニップ部
N近傍で定着フィルム210の折り曲げ角度θを30°
以内とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、レーザー
ビームプリンタ(LBPと称す)、プリンタ、ファクシ
ミリ、マイクロフィルムリーダプリンタ、記録機等の画
像形成装置に使用される定着装置に関するものである。
【0002】さらに詳しくは、電子写真、静電記録、磁
気記録等の適宜の画像形成プロセス手段により、加熱溶
融性の樹脂等よりなるトナーを用いて、記録材(紙、印
刷紙、転写材シート、エレクトロファックスシート、静
電記録シート、OHTシート、光沢紙、光沢フィルム
等)の面に直接転写方式もしくは間接転写方式で、目的
の画像情報に対応した未定着トナー画像を形成担持さ
せ、該未定着トナー画像を該画像を担持している記録材
面上に永久固着画像として加熱定着処理する方式の定着
装置に関するものであり、エンドレスベルト状の電磁誘
導発熱フィルムに交番磁場を印加し発生する渦電流によ
るジュール熱によって発熱する方式、いわゆる電磁誘導
加熱方式の定着フィルムの耐久性向上に関するものであ
る。
【0003】
【従来の技術】近年、ハロゲンヒータを発熱手段として
用いた定着装置に代わり、薄いエンドレスベルト状金属
フィルム等の電磁誘導発熱フィルムに交番磁場を印加し
発生する渦電流によるジュール熱を用いて発熱手段とす
る、いわゆる電磁誘導加熱方式の定着装置が提案されて
いる。
【0004】このような従来の電磁誘導加熱定着装置の
一例を図7に示す。図7は、従来の定着装置要部の横断
側面模型図である。図7に示す定着装置は、円筒状の電
磁誘導発熱フィルムを用いた、加圧ローラ駆動方式で、
電磁誘導加熱方式の装置である。
【0005】磁場発生手段は磁性コア217a・217
b及び励磁コイル218から構成されている。励磁コイ
ル218には不図示の給電部を介して励磁回路(不図
示)が接続されている。この励磁回路は20kHzから
500kHzの高周波をスイッチング電源で発生できる
ようになっている。
【0006】励磁コイル218は、前記励磁回路から供
給される交番電流(高周波電流)によって交番磁束を発
生する。交番磁束は電磁誘導発熱フィルム部材としての
定着フィルム210の電磁誘導発熱層に渦電流を発生さ
せる。この渦電流は電磁誘導発熱層の固有抵抗によって
ジュール熱を発生させる。
【0007】また、定着フィルム210が外装されるフ
ィルムガイド部材216は、磁性コア217a・217
b及び励磁コイル218を内側に保持している。このフ
ィルムガイド部材216は、定着ニップ部Nへの加圧、
磁性コア217a・217b及び励磁コイル218の支
持、定着フィルム210の支持、該定着フィルム210
の回転時の搬送安定性を図る役目を果たしている。
【0008】また、このフィルムガイド部材216は、
磁束の通過を妨げない電気的に絶縁性を有し高い荷重に
耐えられる材料で形成されている。
【0009】222はフィルムガイド部材216に当接
させて配設した横長の加圧手段としての加圧用剛性ステ
イ、219は磁性コア217a・217b及び励磁コイ
ル218と加圧用剛性ステイ222との間を絶縁するた
めの絶縁部材、230は加圧部材としての加圧ローラで
あり、芯金上にシリコンゴム等の弾性層及び表面に離型
層としてPFAチューブ等が被覆されている。
【0010】加圧用剛性ステイ222の長手方向両端部
と、装置シャーシ側の不図示のバネ受け部材との間に、
それぞれ不図示の加圧バネを縮設することで、加圧用剛
性ステイ222に押し下げ力を作用させている。これに
より、フィルムガイド部材216の下面と加圧ローラ2
30の上面とが定着フィルム210を挟んで圧接して所
定幅の定着ニップ部Nが形成される。
【0011】加圧ローラ230は駆動手段(不図示)に
より回転駆動され、この回転駆動により定着フィルム2
10が従動回転される。定着フィルム210の定着ニッ
プ部Nにおける摺動摩擦力を低減化させるため、フィル
ムガイド部材216の定着ニップ部N部分に、表面滑り
性のよい摺動部材としての摺動板241が設けられてい
る。
【0012】定着フィルム210の温度は、フィルム内
面に定着フィルム210内面用温度検知素子226aが
当接するように配置された温度検知手段226により検
出され、所定の温度が維持されるように温調される。
【0013】また、250は入り口ガイド、251は排
紙ローラである。
【0014】本従来例では、フィルムガイド部材216
として、耐熱性樹脂のPPS樹脂やLCP樹脂を用い、
摺動板241として、セラミック板表面にガラスコーテ
ィングした表面平滑板を用いている。また、摺動板24
1上には、潤滑剤としてフッ素グリス等が塗布されてい
る。
【0015】また、本従来例では、定着フィルム210
の外径をφ34[mm]とし、加圧ローラ230の外径
をφ25[mm]、ローラ硬度を約52[°](高分子
計器株式会社製 Asker−C硬度計での測定値)、
ローラ長を約340[mm]とし、定着フィルム210
と加圧ローラ230の総加圧力として約25[Kgf]
にて定着ニップ幅を最大約9〜9.5[mm]となるよ
うにしている。このときの摺動板241幅としては約1
0[mm]のものを用いている。
【0016】本従来例の定着フィルム210の構成とし
ては、厚み50[μm]のニッケル電鋳フィルムからな
る発熱層上に、厚み300[μm]のシリコンゴム弾性
層を設け、表面に厚み30[μm]のPFAチューブを
被覆している。定着フィルム210の最内周部には、発
熱層の削れ防止層として厚み15[μm]のポリイミド
コート層を設けている。
【0017】また、加圧ローラ230で定着フィルム2
10を摺動板241側へ押しつけ定着ニップ部Nを形成
した状態では、定着フィルム210の横断面形状がつぶ
れた円又は楕円等の凸の形状となる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の定着装置においては次のような問題点があっ
た。
【0019】1) フィルムガイド部材216と摺動板
241が別部品であるので、フィルムガイド部材216
に摺動板241を保持する場合に、フィルムガイド部材
216の外周面と摺動板241の表面とを安定して確実
にフラットな面に保持することが困難であった。
【0020】2) また、フィルムガイド部材216の
外周面から摺動板241の表面が突出した形で保持する
と、 2)−1 摺動板241のエッジ部で定着フィルム21
0が削られてしまい、定着フィルム210の寿命を著し
く短くしてしまうことがある。
【0021】2)−2 定着ニップ部Nの下流側では、
定着フィルム210がフリーになるため、定着分離性が
悪化し、最悪定着フィルムへ巻き付きが発生することが
ある。
【0022】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
のであり、詳しくは、エンドレスベルト状の電磁誘導発
熱フィルムを定着フィルムとして用い、前記定着フィル
ムのフィルムガイド部材と摺動部材が別部品で構成され
ている電磁誘導加熱定着装置において、定着フィルムが
高寿命な定着装置の提供を目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、磁場発生
手段と、前記磁場発生手段により電磁誘導発熱するエン
ドレスベルト状のフィルム部材と、前記フィルム部材を
回動可能に外嵌保持するフィルムガイド部材と、前記フ
ィルム部材を介して前記フィルムガイド部材に加圧手段
により加圧接触し、前記フィルムガイド部材との間に定
着ニップ部が形成される加圧部材と、前記フィルムガイ
ド部材の定着ニップ部に設けられ、前記フィルム部材の
内周面と摺動する摺動部材と、を有し、前記加圧部材の
回動により前記フィルム部材が従動回転し、未定着トナ
ー像を担持した記録材を前記加圧部材と前記フィルム部
材との間に該トナー像を前記フィルム部材に接触させて
挟持搬送させ、未定着トナー画像を記録材に定着させる
定着装置であって、前記フィルム部材は、前記フィルム
ガイド部材に設けられる前記摺動部材に対し、前記フィ
ルム部材の移動方向における端位置よりも内側で加圧接
触することを特徴とするものである。
【0024】第2の発明は、磁場発生手段と、前記磁場
発生手段により電磁誘導発熱するエンドレスベルト状の
フィルム部材と、前記フィルム部材を回動可能に外嵌保
持するフィルムガイド部材と、前記フィルム部材を介し
て前記フィルムガイド部材に加圧手段により加圧接触
し、前記フィルムガイド部材との間に定着ニップ部が形
成される加圧部材と、前記フィルムガイド部材の定着ニ
ップ部に設けられ、前記フィルム部材の内周面と摺動す
る摺動部材と、を有し、前記加圧部材の回動により前記
フィルム部材が従動回転し、未定着トナー像を担持した
記録材を前記加圧部材と前記フィルム部材との間に該ト
ナー像を該フィルム部材に接触させて挟持搬送させ、未
定着トナー画像を記録材に定着させる定着装置であっ
て、前記フィルムガイド部材には、前記摺動部材が嵌合
する凹部が形成され、前記摺動部材の表面が前記フィル
ムガイド部材の外周面よりも該凹部の内側に位置するこ
とを特徴とするものである。
【0025】第3の発明は、上記第2の発明で、前記フ
ィルム部材は、前記定着ニップ部において、前記摺動部
材に突出して加圧接触していることを特徴とする。
【0026】第4の発明は、上記第3の発明で、前記フ
ィルム部材は、前記摺動部材に対して凸状に突出後、移
動方向下流側で凹状に変位することを特徴とする。
【0027】第5の発明は、上記いずれかの発明で、前
記フィルム部材が前記摺動部材に対して突出して加圧接
触する際の折り曲げ角度は30°以内であることを特徴
とする。
【0028】第6の発明は、上記いずれかの発明で、前
記摺動部材は、前記フィルム部材の移動方向上流側端部
を曲面形状に形成したことを特徴とする。
【0029】第7の発明は、上記いずれかの発明で、前
記フィルム部材は、少なくとも金属層を有する積層構造
であることを特徴とする。
【0030】第8の発明は、上記第1から第6のいずれ
かの発明で、前記フィルム部材は、少なくとも強磁性体
の金属を有する積層構造であることを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面に沿って説明する。本実施の形態における例示が
本発明を限定することはないとする。
【0032】(実施の形態1)以下、本発明に係る実施
の形態1について図1から図4を参照して説明する。各
図に共通する部材には同一の符号を付す。
【0033】まず、本実施の形態1に係る定着装置を備
えた画像形成装置の一形態としてカラー画像形成装置に
ついて図2を用いて説明する。
【0034】図2は、カラー画像形成装置の概略断面図
である。図2に示すカラー画像形成装置では中間転写体
を使用している。
【0035】図2において、第一の画像担持体としての
繰り返して使用される回転ドラム型の電子写真感光体
(以下「感光ドラム」と称す)31は、図中矢印の時計
回り方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって
回転駆動される。
【0036】感光ドラム31は、回転過程で、一次帯電
器(コロナ放電器)32により所定の極性・電位に一様
に帯電処理され、次いで、不図示の画像露光手段(カラ
ー原稿画像の色分解、結像光学系等)による画像露光3
3を受けることにより目的のカラー画像の第一の色成分
像(例えばブラック成分像)に対応した静電潜像が形成
される。
【0037】次いで、感光ドラム31上の静電潜像は、
第一現像器としてのブラック現像器41を用いて第一色
としてのブラックトナー(着色荷電粒子)BKにより現
像される。このとき第二〜第四の現像器としてのマゼン
タ、シアン、イエローの各現像器42、43、44は、
作動オフになっていて感光ドラム31には作用せず、第
一色のブラックトナー画像は、各現像器42、43、4
4により影響を受けない。
【0038】中間転写体としての中間転写ドラム20
は、本実施の形態1において、パイプ状の芯金21と、
その外周面に形成した中抵抗の弾性層22からなる。中
抵抗の弾性層22としては、シリコンゴム、フッ素ゴ
ム、ウレタンゴム、EPDM等の弾性材料に、カーボン
や酸化亜鉛等の金属酸化物等を配合分散して電気抵抗値
(体積抵抗率)を105〜1011[Ωcm]の中抵抗に
調整した、ソリッドあるいは発泡肉質の層を用いてる。
【0039】この中間転写ドラム20は、感光ドラム3
1に対して平行に、かつ感光ドラム31の下面部に接触
させて配置するように、その長手両端部が支承されてお
り、感光ドラム31と同じ周速度で図示矢印の反時計回
り方向に回転する。また、中間転写ドラム20は、感光
ドラム31に対して所定の押圧力をもって圧接した状態
に保持されており、感光ドラム1と中間転写ドラム20
との間には、転写部としての転写ニップ部n´が形成さ
れている。
【0040】本実施の形態1で使用しているトナーは、
一例として、非磁性の体積平均粒径約10[μm]の一
成分トナーであり、固有電荷量が約−25[μC/g]
の負極性トナーを用いている。
【0041】感光ドラム1の面に形成保持された第一色
のブラックトナー画像が、転写ニップ部n´を通過する
過程で、中間転写ドラム20の芯金21に、中間転写ド
ラム20に対する第一のバイアス電源61から、トナー
帯電極性(本実施の形態1ではマイナス)とは逆極性
(プラス)の転写バイアスが印加される。そして、転写
ニップ域に形成された電界により、中間転写ドラム20
外面に対してブラックトナー画像が中間転写される。本
実施の形態1では、中間転写ドラム20への印加電圧は
+2[KV]〜+5[KV]としている。
【0042】中間転写ドラム20に対する第一色のブラ
ックトナー画像の転写が終わった後に、感光ドラム31
表面はクリーニング装置34により清掃される。
【0043】以下、上記した第一色のブラックトナー画
像の作像と同様に、第二色としてのマゼンタ画像、第三
色としてのシアン画像、第四色としてのイエロー画像の
作像がなされる。
【0044】マゼンタ画像の作像においては、感光ドラ
ム31に対する帯電、マゼンタ成分像に対応した画像露
光33、第二現像器としてのマゼンタ現像器42による
マゼンタトナーMの現像、形成されたマゼンタトナー画
像の中間転写ドラム20への転写、感光ドラム31面の
クリーニング装置34による清掃がなされる。
【0045】シアン画像の作像においては、感光ドラム
31に対する帯電、シアン成分像に対応した画像露光3
3、第三現像器としてのシアン現像器43によるシアン
トナーCの現像、形成されたシアントナー画像の中間転
写ドラム20への転写、感光ドラム31面のクリーニン
グ装置34による清掃がなされる。
【0046】イエロー画像の作像においては、感光ドラ
ム31に対する帯電、イエロー成分像に対応した画像露
光33、第四現像器としてのイエロー現像器44による
イエロートナーYの現像、形成されたイエロートナー画
像の中間転写ドラム20への転写、感光ドラム31面の
クリーニング装置34による清掃がなされる。
【0047】上記した4つのトナー画像(ブラック、マ
ゼンタ、シアン、イエローの各トナー画像)の作像及び
転写サイクルが順次実行されることにより、中間転写ド
ラム20の外面に対して、前記4つのトナー画像が順次
に重畳転写されて、目的のカラー画像に対応した合成カ
ラートナー(鏡像)が形成される。
【0048】また、転写ローラ25は、中間転写ドラム
20に対して平行に、かつ中間転写ドラム20の下面に
接触させて配置するように支承されており、中間転写ド
ラム20と同じ周速度若しくは約0.5〜1[パーセン
ト]程度異なる周速度で図中矢印の時計回り方向に回転
する。
【0049】この転写ローラ25は、芯金26と、その
外周に形成した弾性層27からなり、弾性層27は、本
実施の形態1では、中抵抗の弾性体を用いている。
【0050】感光ドラム31から中間転写ドラム20へ
の4つのトナー画像の順次転写実行過程において、転写
ローラ25の芯金26には、転写ローラ25に対する第
二のバイアス電源29からトナーと同極性(マイナス)
のバイアス電圧が印加されている。このバイアス電圧に
より、転写ローラ25から中間転写ドラム20へとトナ
ー画像を反発する電界が生じて、転写ローラ25や中間
転写ドラム20側のトナー画像を転移することが阻止さ
れる。
【0051】感光ドラム31上のトナー画像を中間転写
ドラム20に転写する際に、感光ドラム31の非画像部
の電位は感光ドラム31のトナー画像部の電位と異なっ
ている。すなわち、中間転写ドラム20の芯金21の電
位を基準とした場合、感光ドラム31の非画像部との電
位差が感光ドラム31のトナー画像部との電位差よりも
大きいために、転写電流はトナー画像部で非画像部より
多く流れる。
【0052】この傾向は、中間転写ドラム20の抵抗値
が低い場合に顕著に生じる。例えば、非画像部への電流
値がトナー画像部への電流値の2倍以上となる場合に
は、非画像部の電界がトナー画像に影響を及ぼしてしま
うことがある。これより、低抵抗体は中間転写体ドラム
20に適していない。反対に、中間転写ドラム20が高
抵抗体の場合には、第一のバイアス電源61の形成でき
る電界があまりに小さくなり、中間転写自体が損なわれ
てしまう。
【0053】これより、中間転写ドラム20の弾性体2
2としては、体積抵抗値が105〜1011[Ωcm]、
好ましくは、107〜1010[Ωcm]の範囲の中抵抗
体が好適である。この範囲の体積抵抗値の弾性体22を
用いれば、転写バイアスとして+2[KV]〜+5[K
V]を芯金21に印加することにより、上述した適正な
転写電流値を設定することができる。
【0054】感光ドラム31側から中間転写ドラム20
側へ重畳転写された4つのトナー画像は、中間転写ドラ
ム20と転写ローラ25の転写ニップ部n´で記録材P
上に転写される。記録材Pは、給紙カセット35側から
1枚ずつ分離給紙され、レジストローラ37及び転写ガ
イド38を経て、所定のタイミングで転写ニップ部n´
へ給紙される。記録材Pの給紙とともに、転写ローラ2
5の芯金26に対するバイアス電源が、第二のバイアス
電源29から第一のバイアス電源28に切り替わり、芯
金26に対してトナーと逆極性(プラス)の転写バイア
スが印加される。
【0055】第一のバイアス電源28による転写バイア
スは、中間転写ドラム20の芯金21に対して第一のバ
イアス電源61から印加されているトナーと逆極性(プ
ラス)のバイアスよりも絶対値が大きくなるようにして
あり、この転写バイアスにより、中間転写ドラム20側
のトナー画像が中間転写ドラム20と転写ローラ25と
の転写ニップ部n´に給送された記録材P上に転写され
る。トナー画像転写を受けた記録材Pは、ガイド39を
介して定着装置としての定着器40へ導入されていく。
【0056】記録材Pが転写ニップ部n´を通過した後
には、中間転写ドラム20の芯金21及び転写ローラ2
5の芯金26に対するバイアス電源がそれぞれ第二バイ
アス電源62、29に切り替えられ、それぞれトナーと
同極性(マイナス)のバイアスが印加される。このバイ
アス切替えにより中間転写ドラム20面の転写残トナー
が感光ドラム31面側へ戻されてクリーニング装置34
に回収されることで、中間転写ドラム20は清掃され
る。また、転写ローラ25面に付着したトナーも中間転
写ドラム20面に戻され、さらに感光ドラム31面に戻
されて、クリーニング装置34に回収されることで、転
写ローラ25の清掃もなされる。
【0057】このように、中間転写ドラム20は、弾性
層22が中抵抗であることから、トナーと同極性のバイ
アス印加(クリーニングバイアス)によって転写残トナ
ーを感光ドラム31面側に充分戻し転移させてクリーニ
ング状態にすることができる。このため、特別なクリー
ニング装置の配備を必要とせず装置構成を簡略化するこ
とができている。
【0058】なお、本実施の形態1に適用される作像部
は上記した構成に限るものではない。
【0059】また、本実施の形態1に用いられるトナー
としては、重合法により製造され、低軟化点物質を53
〜0[重量%]含み、形状係数SF−1が100〜11
0である実質球形トナー(以下単に重合トナーと称す)
を用いている。
【0060】低軟化点物質としては、ASTMD341
8−8に準拠し測定された軟化点の主体極大ピーク値が
40〜90[℃]を示す化合物としている。
【0061】重合トナーの極大ピーク値の温度の測定に
は、例えば、パーキンエルマー社製DSC−7を用い
る。この装置検出部の温度補正は、インジウムと亜鉛の
融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱
を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い対照
用に空パンをセットし、昇温速度10[℃/min]で
測定を行った。
【0062】具体的には、重合トナーとしては、パラフ
ィンワックス、ポリオレフィン、フィッシャートロピッ
シュワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、エステル
ワックス、及びこれらの誘導体又はこれらのグラフト/
ブロック化合物を利用することができる。好ましくは、
下記の一般構造式で示す炭素数が10以上の長鎖エステ
ル部分を一個以上有するエステルワックスを利用すると
よい。
【0063】具体的なエステルワックスの代表的な化合
物の構造式を下記に化学式(1)、(2)、及び(3)
として示す。
【0064】
【化1】
【0065】また、本実施の形態1で好ましく用いられ
るエステルワックスとしては、硬度0.5〜5.0を有
するものである。エステルワックスの硬度は、直径20
[mm]で厚さが5[mm]の円筒状のサンプルを作製
した後、島津製作所製ダイナミック微小硬度計DUH−
200を用い、ビッカース硬度を測定した値である。測
定条件は、0.5[g]の荷重で負荷速度が9.67
[mm/sec]の条件で10[μm]変位させた後、
15秒間保持し、得られた打痕形状を測定しビッカース
硬度を求める。本実施の形態1に好ましく用いられるエ
ステルワックスの硬度は、0.5〜5.0の値を示す。
具体的な化合物の例を下記の化学式(1)、(2)、
(3)、及び(4)に示す。
【0066】
【化2】
【0067】なお、ここでいう形状係数SF−1とは、
球状物質の球状の丸さの割合を示す数値であり、球状物
質を2次元平面上に投影してできる楕円状の図形の最大
長MAXLNGの2乗を図形面積AREAで割って、1
00π/4を乗じたときの値で表わされる。つまり、形
状係数SF−1は次式で定義されるものである。
【0068】
【数1】
【0069】ここで、形状係数SF−1は、日立製作所
FE−SEM(S−800)を用いて、トナー像を無作
為に100個サンプリングし、その画像情報をインター
フェースを介してニコレ社製画像解析装置(Luzex
3)に導入し解析を行い上式より算出したものである。
【0070】また、シアントナーの調整方法を以下に説
明する。
【0071】高速攪拌装置を備えた21リットル用四つ
口フラスコ中に、イオン交換水710[重量部]と、
0.1[モル/リットル]−Na3PO4水溶液450
[重量部]とを添加し、高速攪拌装置の回転数を120
00回転に調整しながら、フラスコ内の水溶液を65
[℃]に加温せしめた。この水溶液に、1.0[モル/
リットル]−CaCL2水溶液68[重量部]を徐々に
添加し、微少な難水溶液性分散剤Ca3(PO42を含
む分散媒系を調整した。
【0072】一方、分散質系としては、スチレン単量体
を165[重量部]、n−ブチルアクリレート単量体を
35[重量部]、I.ピクメントブルー15:30を1
4[重量部]、飽和ポリエステルを10[重量部]、
{テレフタール酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェ
ノール A酸価15、ピーク分子量:6000}、サリ
チル酸金属化合物を2[重量部]、下記の化学式で示さ
れる化合物(極大ピーク値59.4℃)を60[重量
部]とする。
【0073】
【化3】
【0074】上記した混合物をアトライターを用い3時
間分散させた後、重合開始剤である2、2‘−アゾビス
(2、4−ジメチルバレロニトリル)10[重量部]を
添加した分散物を分散媒中に投入し、回転数を維持しつ
つ15分間造粒した。その後、高速攪拌器からプロペラ
攪拌羽根に攪拌器を変え、内温を80[℃]に昇温させ
50回転で重合を10時間継続させた。重合終了後スラ
リーを冷却し、希塩酸を添加し分散媒を除去せしめた。
さらに洗浄し乾燥を行うことで、コールターカウンター
で測定したシアントナーの重量平均粒径は6.2[μ
m]で個数変動係数が27[%]となり、SF−1が1
04となった。
【0075】上記したシアントナーの調整と同様にし
て、SF−1が104になるように、イエロートナー、
マゼンタトナー及びブラックトナーを製造した。なお、
着色剤としては、イエロートナーではC.I.ピグメン
トイエロー17、マゼンタトナーではC.I.ピグメン
トレッド122、及びブラックトナーではカーボンブラ
ックを用いた。
【0076】なお、本実施の形態1に適用されるトナー
は上記した構成に限るものではない。
【0077】次に、本実施の形態に係る定着装置として
の定着器40について図1を用いて説明する。
【0078】図1は、定着器40の概略構成を示す断面
図である。
【0079】図1に示す定着器40は、エンドレスフィ
ルム状の電磁誘導発熱フィルムを用いた加圧ローラ駆動
方式で、電磁誘導加熱方式の装置である。
【0080】磁場発生手段は磁性コア217a・217
b及び励磁コイル218から主に構成される。
【0081】磁性コア217a・217bは高透磁率の
部材であり、フェライトやパーマロイ等といったトラン
スのコアに用いられる材料がよく、より好ましくは10
0[kHz]以上でも損失の少ないフェライトを用いる
のがよい。
【0082】励磁コイル218には給電部に励磁回路
(不図示)を接続してある。この励磁回路は20[kH
z]から500[kHz]の高周波をスイッチング電源
で発生するようになっている。
【0083】励磁コイル218は励磁回路から供給され
る交番電流(高周波電流)によって交番磁束を発生す
る。交番磁束はフィルム部材としての定着フィルム21
0の電磁誘導発熱層に渦電流を発生させる。そして、こ
の渦電流は電磁誘導発熱層の固有抵抗によってジュール
熱を発生させる。
【0084】216は横断面略半円弧状樋型のフィルム
ガイド部材であり、外側に円筒状の定着フィルム210
をルーズに外嵌させている。また、フィルムガイド部材
216は、磁性コア217a・217b及び励磁コイル
218を内側に保持している。
【0085】フィルムガイド部材216は、定着ニップ
部Nへの加圧、励磁コイル218と磁性コア217の支
持、定着フィルム210の支持、該定着フィルム210
の回転時の搬送安定性を図る役目を果たす。このフィル
ムガイド部材216は磁束の通過を妨げない絶縁性の部
材であり、高い荷重に耐えられる材料が用いられる。
【0086】222は、フィルムガイド部材216の内
面平面部に当接させて配設した横長の加圧手段としての
加圧用剛性ステイである。
【0087】219は、磁性コア217a・217b及
び励磁コイル218と加圧用剛性ステイ222の間を絶
縁するための絶縁部材である。
【0088】加圧部材としての加圧ローラ230は、芯
金と、前記芯金周りに同心一体にローラ状に成形被覆さ
せたシリコンゴム、フッ素ゴム、及びフッ素樹脂等の耐
熱性弾性材層と、表面離型層とで構成されており、芯金
の長手方向両端部を装置の不図示のシャーシ側板金間に
回転自由に軸受け保持させて配設している。
【0089】定着フィルム210の摺動摩擦力を低減す
るため、フィルムガイド部材216の定着ニップ部Nに
は、表面摺動性のよい摺動部材としての摺動板241が
嵌め込まれている。この摺動板241は表面にフッ素グ
リス等(本実施の形態1では、ダイキン工業(株)製の
フッ素グリスであるデムナムグリスL−200を用いて
いる)を塗布している。
【0090】加圧用剛性ステイ222の長手方向両端部
と装置シャーシ側の不図示のバネ受け部材との間に、そ
れぞれ不図示の加圧バネを縮設することで、加圧用剛性
ステイ222に押し下げ力を作用させている。これによ
り、フィルムガイド部材216の下面部の摺動板241
と加圧ローラ230の上面とが定着フィルム210を挟
んで圧接して所定幅の定着ニップ部Nが形成されること
になる。
【0091】加圧ローラ230は、駆動手段M(不図
示)により図中矢視の時計回り方向に回転駆動される。
加圧ローラ230が回転駆動されると、定着ニップ部N
での加圧ローラ230の表面と定着フィルム210外面
との摩擦力により、定着フィルム210に回転力が作用
する。そして、定着フィルム210は、図中矢視の反時
計回り方向に、加圧ローラ230の周速度にほぼ対応し
た周速度をもって、フィルムガイド部材216の外周を
従動回転する。このとき、定着フィルム210の内面
は、定着ニップ部Nにおいて摺動板241と摺動する。
【0092】なお、フィルムガイド部材216の周面
に、その長手方向に沿って所定の間隔を置いて凸リブ部
を形成し、フィルムガイド部材216の周面と定着フィ
ルム210の内面との接触摺動抵抗を低減させて定着フ
ィルム210の回転負荷を少なくしても良い。
【0093】また、定着ニップ部Nの温度は、不図示の
温度検知手段を含む温調系により励磁コイル218に対
する電流供給が制御されることで所定の温度が維持され
るように温調される。
【0094】定着フィルム210の内面に定着フィルム
210の内面用温度検知素子(本実施の形態1ではサー
ミスタ素子)226aが板バネ等により当接されるよう
に、温度検出手段226が定着フィルム210の内部に
配置されている。本実施の形態1においては、温度検知
手段226で測定した定着フィルム210の温度情報を
もとに定着ニップ部Nの温度を制御するようにしてい
る。
【0095】このように定着フィルム210の回転が行
われ、また励磁回路から励磁コイル218への給電によ
り上記のように定着フィルム210の電磁誘導発熱がな
されて定着ニップ部Nが所定の温度に立ち上がって温調
される。そして、画像形成手段部から搬送された未定着
トナー画像が形成された記録材Pが、定着ニップ部Nの
定着フィルム210と加圧ローラ230との間に画像面
が上向き、即ち画像面が定着フィルム210面に対向し
て導入され、定着ニップ部Nにおいて画像面が定着フィ
ルム210の外面に密着して定着フィルム210と一緒
に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。
【0096】この定着ニップ部Nを定着フィルム210
と一緒に記録材Pが挟持搬送されていく過程において、
定着フィルム210の電磁誘導発熱により加熱されて記
録材P上に未定着トナー画像が加熱定着される。
【0097】記録材Pは定着ニップ部Nを通過すると回
転する定着フィルム210の外面から分離して排出搬送
されていく。記録材P上の加熱定着トナー画像は定着ニ
ップ部Nを通過後、冷却され永久固着像となる。
【0098】また、本実施の形態1においては、図1に
示すように、定着フィルム210のこの発熱域Hの対向
位置に暴走時の励磁コイル218への給電を遮断するた
め発熱域H温度検知素子としてのサーモスイッチ252
を配設している。
【0099】サーモスイッチ252は定着フィルム21
0の発熱域Hに対向して定着フィルム210の外面に非
接触に配設している。サーモスイッチ252と定着フィ
ルム210との間の距離は約2mmとした。これによ
り、定着フィルム210にサーモスイッチ252の接触
による傷が付くことがなく、耐久による定着画像の劣化
を防止することができる。
【0100】このような構成の定着器40によれば、定
着ニップ部Nが発熱域Hとなり発熱する構成と異なり、
装置故障による定着器40の暴走時等に、定着ニップ部
Nに紙が挟まった状態で定着器40が停止し、励磁コイ
ル218に給電が続けられ定着フィルム210が発熱し
続けた場合でも、記録材Pの一形態として紙が挟まって
いる定着ニップ部Nでは発熱していないために、紙が直
接加熱されることがない。また、発熱域Hでの発熱量が
多くなると、サーモスイッチ252が配設されているた
め、サーモスイッチ252が220[℃](本実施の形
態1で使用のサーモスイッチ252の動作温度)を感知
して、サーモスイッチ252が切れた時点で、不図示の
リレースイッチにより励磁コイル218への給電が遮断
される。
【0101】これより、紙の発火温度は約400℃近辺
であるため紙が発火することなく、定着フィルム210
の発熱を停止することができる。
【0102】なお、発熱域H用温度検知素子としてはサ
ーモスイッチ252のほかに、温度ヒューズを用いるこ
ともできる。
【0103】上記した定着器40の構成には、トナーに
低軟化物質を含有させたトナーを使用したため、定着器
40にオフセット防止のためのオイル塗布機構を設けて
いないが、低軟化物質を含有させていないトナーを使用
した場合にはオイル塗布機構を設けてもよい。また、低
軟化物質を含有させたトナーを使用した場合にもオイル
塗布や冷却分離を行ってもよい。
【0104】励磁コイル218としては、コイル(線
輪)を構成させる導線(電線)として、一本ずつがそれ
ぞれ絶縁被覆された銅製の細線を複数本束ねたもの(束
線)を用い、これを複数回巻いて励磁コイル218を形
成している。本実施の形態1では、10ターン巻いて励
磁コイル218を形成している。
【0105】励磁コイル218の絶縁被覆としては、定
着フィルム210の発熱による熱伝導を考慮して耐熱性
を有する被覆を用いるのがよい。例えば、アミドイミド
やポリイミド等の被覆を用いるとよい。
【0106】また、励磁コイル218は外部から圧力を
加えて密集度を向上させてもよい。
【0107】励磁コイル218の形状は、定着フィルム
210の発熱層の曲面に沿うようにしている。本実施の
形態1では定着フィルム210の発熱層と励磁コイル2
18との間の距離は約2mmになるように設定してい
る。
【0108】また、フィルムガイド部材216及び絶縁
部材219の材質としては、絶縁性に優れ耐熱性がよい
ものがよい。例えば、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポ
リイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹
脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹
脂、PTFE樹脂、FEP樹脂、LCP樹脂等を選択す
るとよい。
【0109】磁性コア217a・217b及び励磁コイ
ル218と、定着フィルム210の発熱層との間の距離
はできる限り近づけた方が磁束の吸収効率が高くなる。
この距離が5mmを越えるとこの効率が著しく低下する
ため5mm以内にするのがよい。また、5mm以内であ
れば定着フィルム210の発熱層と励磁コイル218の
距離が一定である必要はない。
【0110】本実施の形態1において、定着フィルム2
10は、電磁誘導発熱性の定着フィルム210の基層と
なる金属フィルム等でできた発熱層と、その外面に積層
した弾性層と、その外面に積層した離型層と、定着フィ
ルム210の最内周面に発熱層の削れ防止層とが設けら
れた複合構造をしている。それぞれの層の構成は不図示
としている。発熱層と弾性層との間の接着、及び弾性層
と離型層との間の接着のため、各層間にプライマー層
(不図示)を設けてもよい。
【0111】略円筒形状である定着フィルム210にお
いては、発熱層が内面側となり、離型層が外面側とな
る。
【0112】上述したように、前記発熱層に交番磁束が
作用することで前記発熱層に渦電流が発生して前記発熱
層が発熱することになる。その熱が、弾性層及び離型層
を介して、定着ニップ部Nに通紙される記録材Pを加熱
してトナー画像の加熱定着がなされる。
【0113】定着フィルム210の発熱層としては、ニ
ッケル、鉄、強磁性ステンレス、ニッケル−コバルト合
金等といった強磁性体の金属を用いるとよい。非磁性の
金属でも良いが、より好ましくは磁束の吸収の良いニッ
ケル、鉄、磁性ステンレス、コバルト−ニッケル合金等
の金属が良い。
【0114】発熱層の厚みとしては、次式で表される表
皮深さσより厚く、かつ200[μm]以下にすること
が好ましい。
【0115】σ=503×(ρ/fμ)1/2 上式において、表皮深さσ[m]は、励磁回路の周波数
f[Hz]と透磁率μと固有抵抗ρ[Ωm]とで表され
る。
【0116】また、表皮深さσは、電磁誘導で使われる
電磁波の吸収の深さを示しており、これより深いところ
では電磁波の強度は1/e以下になっており、逆にいう
と、殆どのエネルギーはこの深さまでで吸収されてい
る。
【0117】これより、発熱層の厚さは、好ましくは1
〜100[μm]とするとよい。発熱層の厚みが1[μ
m]よりも小さいとほとんどの電磁エネルギーが吸収し
きれないため効率が悪くなる。一方、発熱層の厚みが1
00[μm]を超えると剛性が高くなりすぎ、また屈曲
性が悪くなり回転体として使用するには現実的ではなく
なる。
【0118】また、定着フィルム210の弾性層として
は、シリコンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴ
ム等のように、耐熱性がよく熱伝導率がよい材質が好適
に採用される。
【0119】定着フィルム210の弾性層の厚さとして
は、10〜500[μm]が好ましい。これは定着画像
の品質を保証するために必要な厚さである。
【0120】つまり、カラー画像を印刷する場合、特に
写真画像等では記録材P上で大きな面積に渡ってベタ画
像が形成される。この場合、記録材Pの凹凸あるいはト
ナー層の凹凸に、定着フィルム210の加熱面(離型
層)が追従できないと、加熱ムラが発生することがあ
り、その結果として伝熱量が多い部分と少ない部分で画
像に光沢ムラが発生することになる。伝熱量が多い部分
は光沢度が高く、伝熱量が少ない部分では光沢度が低く
なる。
【0121】そのため、定着フィルム210の弾性層の
厚さとしては、10[μm]以下では記録材Pあるいは
トナー層の凹凸に追従しきれず画像光沢ムラが発生する
ことがある。また、弾性層の厚さが1000[μm]以
上の場合には弾性層の熱抵抗が大きくなりクイックスタ
ートを実現することが難しくなる。
【0122】これより、定着フィルム210の弾性層の
厚みは好ましくは50〜500[μm]とするとよい。
【0123】また、定着フィルム210の弾性層の硬度
は、硬度が高すぎると記録材Pあるいはトナー層の凹凸
に追従しきれず画像光沢ムラが発生することがある。そ
こで、弾性層の硬度としては、60[°](JIS−
A)以下、より好ましくは45[°](JIS−A)以
下とするとよい。
【0124】また、定着フィルム210の弾性層の熱伝
導率λに関しては、6×10-4〜2×10-3[cal/
cm・sec・deg.]とするとよい。
【0125】定着フィルム210の弾性層の熱伝導率λ
が6×10-4[cal/cm・sec・deg.]より
も小さい場合には、熱抵抗が大きく、定着フィルム21
0の表層(離型層)における温度上昇が遅くなることが
ある。
【0126】一方、定着フィルム210の弾性層の熱伝
導率λが2×10-3[cal/cm・sec・de
g.]よりも大きい場合には、硬度が高くなりすぎた
り、圧縮永久歪みが悪化することがある。
【0127】これより、定着フィルム210の弾性層の
熱伝導率λは、6×10-4〜2×10-3[cal/cm
・sec・deg.]とするとよい。より好ましくは、
8×10-4〜1.5×10-3[cal/cm・sec・
deg.]とするとよい。
【0128】また、定着フィルム210の離型層は、本
実施の形態1においては、上記した弾性層にフッ素樹脂
チューブを被覆したものであり、厚み約30μmのPF
Aチューブを使用している。
【0129】これより、本実施の形態1において、定着
フィルム210としては、外径φ34mm、長さ約38
0mmのものを用い、発熱層として厚み50[μm]の
Ni電鋳フィルムを使用し、弾性層として厚み300
[μm]・テストピース硬度約5°(JIS−A)・熱
伝導率約0.8×10-3[cal/cm・sec・℃]
のシリコンゴムを使用し、離型層として厚み30[μ
m]のPFAチューブを使用し、削れ防止層として厚み
約15[μm]程度のポリイミド樹脂のコーティング層
を使用している。
【0130】また、摺動板241としては、セラミック
(本実施の形態1ではアルミナを使用)基板上に表面ガ
ラスコートをした幅約10[mm]、厚み約0.65
[mm]の長方形状の板を用いている。
【0131】摺動板241は、セラミックのため焼き上
がり時には縮む傾向があるため、幅寸法として約10〜
9.5[mm]、厚みとして約0.55〜0.75[m
m]の大きさのばらつきを有する。
【0132】このように寸法公差をもった摺動板241
が、フィルムガイド部材216の底面部の定着ニップ部
Nに設けた凹部260に嵌め込み可能であるように、フ
ィルムガイド部材216の凹部260の寸法は、幅約1
0〜10.5[mm]、深さ約0.85〜0.95[m
m]の寸法で設けられている。
【0133】摺動板241は、耐熱性のあるシリコン接
着剤等によりフィルムガイド部材凹部260に嵌め込み
接着されており、上記した摺動板241の厚さと上記し
た凹部260の深さの寸法関係より、摺動板241の表
面は凹部260内に位置している。
【0134】次に、本実施の形態1に特徴的な構成につ
いて説明する。
【0135】本実施の形態1においては、定着フィルム
210が定着ニップ部Nにおいて折り曲げられる角度
(以下、折り曲げ角度θと称する)に対して、定着フィ
ルム210の耐久性を検討した。
【0136】本実施の形態においては、幅10[mm]
の摺動板241に対して、加圧ローラ230のローラ硬
度を調整して、定着ニップ幅並びに折り曲げ角度θを変
化させ、定着フィルム210の耐久性の変化を検討して
いる。この結果を図8に示す。
【0137】ここで、折り曲げ角度θは、定着ニップ部
N付近で定着フィルム210に加わるストレスの程度を
示す評価指数であり、定着フィルム210が定着ニップ
部N端部からフィルムガイド部材216の凹部260端
部まで直線で近似される形状にちかい形状になっている
としたときの定着フィルム210の折り曲げ角度として
いる。
【0138】定着フィルム210の折り曲げ角度θは、
次式で求められる。
【0139】θ=arctan((t2−t1)/
((d2−d1)/2)) 上式において、t1:摺動板241厚み、t2:フィル
ムガイド部材凹部260の深さ、d1:摺動板241
幅、d2:フィルムガイド部材凹部260の幅である。
なお、上式については、定着ニップ部Nは、フィルムガ
イド部材凹部260の中心に形成されていると想定し、
また、フィルムガイド部材216と摺動板241の接着
層の厚み分は無視している。
【0140】摺動板241は、フィルムガイド部材21
6とは別部品とし、かつセラミックス製のため寸法公差
を有している。そのため、フィルムガイド部材216に
摺動板241をはめ込むように設けた凹部260は、摺
動板241の寸法公差を見込んでもはめ込みができるよ
うに、その凹部260形状は摺動板241寸法公差の最
大寸法よりも大きく形成されている。
【0141】このような構成によれば、フィルムガイド
部材216の凹部260にはめ込まれた摺動板241
は、その寸法公差のばらつきを考えても、フィルムガイ
ド部材216の定着ニップ部Nの底面よりも内側に引き
こもった状態になる。そして、加圧ローラ230で定着
フィルム210を摺動板241側へ押しつけ定着ニップ
部Nを形成した状態では、定着フィルム210の横断面
形状がつぶれた円や楕円等の凸の形状から、定着ニップ
部Nの近傍で一部凹になる部分が存在するように構成さ
れている。
【0142】このため、記録材Pの搬送方向に対して定
着ニップ部Nの下流側では、定着フィルム210の横断
面形状が凹から凸に代わる部分が存在し、この部分で定
着フィルム210の曲率半径が小さい部分ができること
になる。
【0143】そのため、記録材Pの定着フィルム210
からの排紙に際して、曲率分離が可能になり、分離爪等
を用いることなく確実に定着分離を行え、定着分離不
良、定着巻き付き等の問題を解決することができる。
【0144】また、分離爪を用いる必要がないため、分
離爪による定着フィルム210への傷、削れ、損傷や、
分離爪のこすれ、分離爪部に付着したトナー等による画
像汚れ等の問題発生を解決することができる。
【0145】一方、定着フィルム210の横断面形状の
凹形状を大きくすると、定着フィルム210の横断面形
状が凹から凸に代わる部分において定着フィルム210
の曲率半径がより小さくなり、定着フィルム210に大
きなストレスが加わることがある。例えば、図3に示す
ように、定着ニップ部Nの入り口近傍のa部等でストレ
スが定着フィルム210に加わる。そして、定着フィル
ム210にクラックや亀裂等が発生し寿命を短くするこ
とになる。
【0146】特に、定着フィルム210として電磁誘導
加熱用金属フィルムを採用する場合には、オンデマンド
フィルム定着装置等に使用されるポリイミドフィルム等
の強度の高いフィルムを使用する場合よりも、小さい曲
率半径の形状部のストレスや折り曲げストレスに対し
て、クラックや亀裂等が発生しやすい。
【0147】ここで、上述の定着フィルム210の折り
曲げ角度θを各種設定構成し、耐久性を確認してみた。
【0148】図8に示すように、比較例1に用いた加圧
ローラ230は、外形25[mm]、長手長さ約340
[mm]のものであり、厚み約3.5[mm]のテスト
ピース硬度が約1[゜](JIS−A)となるシリコン
ゴムを弾性層とし、その表面に厚み70[μm]のPF
Aチューブを被覆している。このような加圧ローラ23
0の硬度は約52[゜](Asker−C硬度)とな
る。
【0149】一方、実施例1としては、上記した比較例
1と比して、加圧ローラ230の弾性層に厚み約3.5
[mm]のテストピース硬度が約6[°]となるシリコ
ンゴムを用いて、加圧ローラ230の硬度を約62
[°]と硬くしてある。その他の構成は比較例1と同様
としている。
【0150】また、加圧力25[Kgf]にて定着ニッ
プ部Nを形成すると、最大ニップ幅部での定着ニップ幅
は、比較例1においてd1=約9.5[mm]となり、
実施例1においてd1=約8.0[mm]となる。この
状態で、定着フィルム210の折り曲げ角度θを計算す
ると、比較例1において約35.3[°]となり、実施
例1において約12.8[°]となる。
【0151】比較例1及び実施例1の構成を有するそれ
ぞれの定着器40において、定着フィルム210の温調
温度を185[℃]とし、定着フィルム210の回転周
速度を約100[mm/sec]とするように制御しな
がら、加圧ローラ230及び定着フィルム210の空回
転を行って、定着フィルム210の耐久性について評価
した。
【0152】このような評価において、比較例1では、
約130[h]にて定着フィルム210のニッケル電鋳
にクラックが生じた。一方、実施例1では、500
[h]を経過してもクラックの発生はみられなかった。
【0153】このように、実施例1は、比較例1に比し
て折り曲げ角度θが小さいため、定着フィルム210へ
加わるストレスが小さく、定着フィルム210の耐久寿
命を延ばすことができる。
【0154】以上説明したように、本実施の形態1によ
れば、フィルムガイド部材216の外周面に対して摺動
板241の表面が凹形状となり、定着フィルム210が
摺動板241のエッジ部と摺動することを防止している
ので、定着フィルム210の耐久性を向上させることが
できる。
【0155】また、定着ニップ部Nにおける定着フィル
ム210の横断面形状を凹形状とすると定着フィルム2
10にクラック等が生じることがあるが、本実施の形態
1によれば、定着ニップ部N近傍での定着フィルム21
0の折り曲げ角度θを30°以内とし、定着フィルム2
10のクラック等の発生を抑制している。
【0156】さらには、本実施の形態1によれば、定着
ニップ部N近傍において定着フィルム210の移動方向
に対して定着ニップ部Nの下流側が凹形状となっている
ため、この部分の曲率の変化により記録材Pを定着フィ
ルム210から分離することが可能となる。そのため、
分離爪が不要となり、従来問題となっていた分離爪によ
る定着フィルム210の損傷を回避することができる。
【0157】(実施の形態2)以下、本発明に係る実施
の形態2について説明する。前出した部材と共通する部
材には同一の符号を付する。なお、以下の説明において
上記した実施の形態1と重複する部分については説明を
省略する。
【0158】本実施の形態2においては、従来例及び実
施の形態1と異なり、A4サイズ系の定着器40に適す
る構成としている。
【0159】このような構成を有する実施の形態2にお
いては、図8の実施例2に示すように、加圧ローラ23
0の軸方向長さを約230[mm]とし、加圧力18
[kgf]にて定着ニップ部Nを形成しており、このと
きの最大ニップ幅での定着ニップ幅はd1=約8.5
[mm]となる。その他の構成は上記した実施の形態1
と同様とする。
【0160】実施例2の構成を有する定着器40におい
て、実施の形態1と同様の条件で空回転を行い耐久性を
評価すると、約400[h]以上経過しても定着フィル
ム210にクラックは生じなかった。実施例2におい
て、定着フィルム210の折り曲げ角θは約16.4
[°]であった。
【0161】次に、実施例3の構成について説明する。
【0162】実施例3の構成としては、図8に示すよう
に、上記した実施例2と同様の構成において、摺動板2
41の厚みt1、及びフィルムガイド部材216の凹部
260の深さt2のみ異なる。摺動板241としては寸
法公差が最大のものとして厚みt1=0.75[mm]
とし、フィルムガイド部材216の凹部260としては
寸法公差が最大のものとして深さt2=0.85[m
m]とする。このような構成によれば、定着フィルム2
10の折り曲げ角度θが小さくなる。
【0163】実施例3の構成を有する定着器40におい
て、上記同様の条件で空回転を行い耐久性を評価する
と、約700hにおいても定着フィルム210にクラッ
クの発生はみられなかった。実施例3において定着フィ
ルム210の折り曲げ角θは約6.7[°]であった。
【0164】このように、実施例2、3の折り曲げ角度
θ(それぞれ16.4[°]、6.7[°])は、比較
例1の折り曲げ角θ(35.5[°])に比して小さい
ため、定着フィルム210へ加わるストレスが小さく、
定着フィルム210の耐久寿命を延ばすことができる。
【0165】以上説明したように、本実施の形態2によ
れば、上記した実施の形態1と同様の効果を得ることが
できる。
【0166】(実施の形態3)以下、本発明に係る実施
の形態3について図5及び図6を参照して説明する。前
出した図を含め各図に共通する部材には同一の符号を付
する。なお、上記した実施の形態1と重複する部分につ
いては説明を省略する。
【0167】本実施の形態3においては、従来例及び実
施の形態1、2と以下の点で異なる。
【0168】摺動板241の断面形状は、従来例及び実
施の形態1、2においては略長方形とし摺擦面をフラッ
トとしているが、本実施の形態3においては、図6に示
すように、記録材Pの搬送時における定着フィルム21
0の順方向回転の上流側における摺動板241の形状を
R形状としている。
【0169】ところで、定着フィルム210の折り曲げ
角度θを小さくするために、フィルムガイド部材216
と摺動板241の段差をできるだけ小さくなるように設
定したいが、段差を小さくすると、ガイド部材216の
凹部260の深さと摺動板241の厚みの寸法公差の関
係により、図5(a)に示すように、摺動板241の摺
擦面がフィルムガイド部材216底面(外周面)から飛
び出すことがある。このようなとき、上記した実施例
1、2、3のように摺動板241の断面形状が略長方形
であると、摺動板241のエッジ部が定着フィルム21
0に当接することになり、その部分で定着フィルム21
0が削られてしまい著しく寿命を短くすることになる。
【0170】そこで、本実施の形態3においては、図5
(b)に示すように、摺動板241の定着フィルム21
0順方向回転上流側の形状をR形状とし、摺動板241
が取り付け時の傾きや長手方向の反り、傾き等により、
一部フィルムガイド部材216から多少飛び出しても、
その場合の定着フィルム210の削れを少なくしてい
る。このため、フィルムガイド部材216と摺動板24
1との段差をより小さく設定することができる。
【0171】上記した構成を有する実施例4としては、
図8に示すように、摺動板241に厚み約0.85[m
m]のものを使用し、上流側エッジ部に約R60の形状
をつけている。下流側はフラットのままとしている。そ
の他の構成は、実施例1と同じものを使用し、同様の条
件で耐久性を評価したところ、約800h経過後におい
ても定着フィルム210のクラック発生等の問題は生じ
なかった。実施例4において定着フィルム210の折り
曲げ角θは2.4[°]であった。
【0172】このように、実施例4の折り曲げ角度θ
(2.4[°])は、比較例1の折り曲げ角θ(35.
5[°])に比して小さいため、定着フィルム210へ
加わるストレスが小さく、定着フィルム210の耐久寿
命を延ばすことができる。また、摺動板241は、定着
フィルム210の順回転方向に対して上流側のエッジ部
をR形状としているため、エッジ部により定着フィルム
210を削ることを防止し、定着フィルム210の寿命
を長くすることができる。
【0173】以上説明したように、本実施の形態3によ
れば、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができ
るとともに、摺動板241がフィルムガイド部材216
の凹部260から飛び出すことがあっても、摺動板24
1の定着フィルム210の移動方向上流側のエッジ部が
R形状となっているため、定着フィルム210が傷つく
ことを回避することができる。また、このような構成と
することにより、フィルムガイド部材216の外周面と
摺動板241の表面との段差をより小さくすることがで
き、定着フィルム210の耐久性をより向上させること
ができる。
【0174】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
定着ニップ部にてフィルム部材と加圧部材が圧接されて
いるときに、摺動部材のフィルム部材の移動方向に対す
る端部に、フィルム部材が接触しないのでフィルム部材
の耐久性を向上させることができる。
【0175】また、フィルム部材の折り曲げ角度θを3
0°以内とすることにより、フィルム部材のクラック等
の発生を抑制し、耐久性を向上させることができる。
【0176】また、前記フィルム部材は、前記摺動部材
に対して凸状に突出後、移動方向下流側で凹状に変位す
ること定着ニップ部近傍でのフィルム部材に段差が形成
され、記録材のフィルム部材からの分離性を向上させる
ことができるので、定着装置への記録材の巻き付き等の
発生を防止することができる。
【0177】さらには、定着分離性を向上させることが
できるため、分離爪を省略することができ、従来問題と
なっていたフィルム部材が分離爪により傷つけられるこ
とを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る定着器の概略構成を
示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る定着器が用いられ
るカラー画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る定着器の定着ニッ
プ部付近の定着フィルム形状の変形を示す断面図であ
る。
【図4】本発明の実施の形態1に係る定着器の定着ニッ
プ部付近の定着フィルムの折り曲げ角度θの説明図であ
る。
【図5】本発明の実施の形態3に係る定着器の摺動板上
流側エッジをR形状にした効果の説明図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る定着器の定着ニッ
プ部付近の概略構成を示す断面図である。
【図7】従来例の定着器の概略構成を示す断面図であ
る。
【図8】本発明の実施の形態1、2、3に係る比較例
1、実施例1、2、3、4での定着フィルムの折り曲げ
角度θと耐久性能についての試験結果をまとめた図表で
ある。
【符号の説明】
20‥‥中間転写ドラム 21‥‥芯金 22‥‥弾性層 25‥‥転写ローラ 26‥‥芯金 27‥‥弾性層 28、29‥‥転写ローラ用バイアス電源 31‥‥感光ドラム 32‥‥一次帯電器 33‥‥画像露光 34‥‥クリーニング装置 35‥‥給紙カセット 36‥‥給紙ローラ 37‥‥レジストローラ 38‥‥転写ガイド 39‥‥ガイド 40‥‥定着器 41‥‥ブラック現像器 42‥‥マゼンタ現像器 43‥‥シアン現像器 44‥‥イエロー現像器 61、62‥‥中間転写ドラム用バイアス 210‥‥定着フィルム 216‥‥フィルムガイド部材 217a、217b‥‥磁性コア 218‥‥励磁コイル 219‥‥絶縁部材 222‥‥加圧用剛性ステイ 226‥‥温度検知手段 226a‥‥定着フィルム内面用温度検知素子 230‥‥加圧ローラ 241‥‥摺動板 250‥‥入り口ガイド 251‥‥排紙ローラ 252‥‥サーモスイッチ 260‥‥凹部 H‥‥発熱域 n´‥‥転写ニップ部 N‥‥定着ニップ部 P‥‥記録材

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁場発生手段と、前記磁場発生手段によ
    り電磁誘導発熱するエンドレスベルト状のフィルム部材
    と、前記フィルム部材を回動可能に外嵌保持するフィル
    ムガイド部材と、前記フィルム部材を介して前記フィル
    ムガイド部材に加圧手段により加圧接触し、前記フィル
    ムガイド部材との間に定着ニップ部が形成される加圧部
    材と、前記フィルムガイド部材の定着ニップ部に設けら
    れ、前記フィルム部材の内周面と摺動する摺動部材と、
    を有し、前記加圧部材の回動により前記フィルム部材が
    従動回転し、未定着トナー像を担持した記録材を前記加
    圧部材と前記フィルム部材との間に該トナー像を前記フ
    ィルム部材に接触させて挟持搬送させ、未定着トナー画
    像を記録材に定着させる定着装置であって、前記フィル
    ム部材は、前記フィルムガイド部材に設けられる前記摺
    動部材に対し、前記フィルム部材の移動方向における端
    位置よりも内側で加圧接触することを特徴とする定着装
    置。
  2. 【請求項2】 磁場発生手段と、前記磁場発生手段によ
    り電磁誘導発熱するエンドレスベルト状のフィルム部材
    と、前記フィルム部材を回動可能に外嵌保持するフィル
    ムガイド部材と、前記フィルム部材を介して前記フィル
    ムガイド部材に加圧手段により加圧接触し、前記フィル
    ムガイド部材との間に定着ニップ部が形成される加圧部
    材と、前記フィルムガイド部材の定着ニップ部に設けら
    れ、前記フィルム部材の内周面と摺動する摺動部材と、
    を有し、前記加圧部材の回動により前記フィルム部材が
    従動回転し、未定着トナー像を担持した記録材を前記加
    圧部材と前記フィルム部材との間に該トナー像を該フィ
    ルム部材に接触させて挟持搬送させ、未定着トナー画像
    を記録材に定着させる定着装置であって、前記フィルム
    ガイド部材には、前記摺動部材が嵌合する凹部が形成さ
    れ、前記摺動部材の表面が前記フィルムガイド部材の外
    周面よりも該凹部の内側に位置することを特徴とする定
    着装置。
  3. 【請求項3】 前記フィルム部材は、前記定着ニップ部
    において、前記摺動部材に突出して加圧接触しているこ
    とを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
  4. 【請求項4】 前記フィルム部材は、前記摺動部材に対
    して凸状に突出後、移動方向下流側で凹状に変位するこ
    とを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  5. 【請求項5】 前記フィルム部材が前記摺動部材に対し
    て突出して加圧接触する際の折り曲げ角度は30°以内
    であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記
    載の定着装置。
  6. 【請求項6】 前記摺動部材は、前記フィルム部材の移
    動方向上流側端部を曲面形状に形成したことを特徴とす
    る請求項1から5のいずれかに記載の定着装置。
  7. 【請求項7】 前記フィルム部材は、少なくとも金属層
    を有する積層構造であることを特徴とする請求項1から
    6のいずれかに記載の定着装置。
  8. 【請求項8】 前記フィルム部材は、少なくとも強磁性
    体の金属を有する積層構造であることを特徴とする請求
    項1から6のいずれかに記載の定着装置。
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